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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181701
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/533 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
H01R13/533 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094972
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 綾那
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】今吉 孝江
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087EE11
5E087FF08
5E087GG15
5E087HH04
5E087LL04
5E087LL12
5E087RR12
5E087RR15
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】コネクタユニットの耐振性を向上する。
【解決手段】本開示のコネクタユニット100は、相手側コネクタ50と、コネクタ10と、を備えたコネクタユニット100であって、相手側ハウジング60は、前方に開口する相手側フード部を有し、ハウジング20は、相手側フード部に外嵌可能なフード部22と、相手側フード部に内嵌可能なタワー部23と、フード部22の後端とタワー部23の後端とをつなぐ連結部21と、を有し、タワー部23は、フード部22の前端よりも前方に突出する形態をなして端子11を内部に収容する端子収容部26と、端子収容部26の後側に連なり、端子11に接続された電線12を内部に収容する電線収容部24と、を有しており、相手側ハウジング60とハウジング20が嵌合した状態において相手側フード部が電線収容部24の外周を包囲する配置で、相手側フード部の前端がハウジング20の後端部に位置している、コネクタユニット100である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側ハウジングを有する相手側コネクタと、前記相手側ハウジングに嵌合可能なハウジングを有するコネクタと、を備えたコネクタユニットであって、
前記相手側ハウジングと前記ハウジングが嵌合した際に前記相手側ハウジングの嵌合面と前記ハウジングの嵌合面とが対向し、互いの前記嵌合面側を前側と定義した場合に、
前記相手側ハウジングは、前方に開口する相手側フード部を有し、
前記ハウジングは、前記相手側フード部に外嵌可能なフード部と、前記相手側フード部に内嵌可能なタワー部と、前記フード部の後端と前記タワー部の後端とをつなぐ連結部と、を有し、
前記タワー部は、前記フード部の前端よりも前方に突出する形態をなして端子を内部に収容する端子収容部と、前記端子収容部の後側に連なり、前記端子に接続された電線を内部に収容する電線収容部と、を有しており、
前記相手側ハウジングと前記ハウジングが嵌合した状態において前記相手側フード部が前記電線収容部の外周を包囲する配置で、前記相手側フード部の前端が前記ハウジングの後端部に位置している、コネクタユニット。
【請求項2】
前記フード部は前方に開口する筒状をなし、前記フード部の開口縁部には径方向外側に厚みを増すように増肉された増肉部が設けられている、請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記増肉部は、前方に向かうほど厚みを増す手待ち部を有している、請求項2に記載のコネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
振動環境下で使用されるコネクタとして、例えば特開2019-125545号公報(下記特許文献1)に記載のコネクタが知られている。コネクタは、複数の雌端子金具と、ハウジングと、リテーナと、シール部材と、を備えている。ハウジングは合成樹脂製であって、複数の雌端子金具を挿入可能な複数のキャビティを有するハウジング本体部と、ハウジング本体部の外周を包囲する筒状の嵌合筒部と、嵌合筒部とハウジング本体部とをつなぐ径方向にのびた連結部と、を有している。ハウジング本体部のうち連結部を挟んで後側に位置する部分は、各キャビティを区画しつつ左右一列に連なる連鎖円筒形状のキャビティタワー部を有している。雌端子金具は、電線の端末部に接続されたワイヤーバレル部と、電線に外嵌された個別型のゴム栓に圧着接続されたインシュレーションバレル部と、を有している。ゴム栓は、キャビティタワー部内に圧縮状態で収容されている。
【0003】
上記のコネクタに嵌合可能な相手コネクタは、複数の雄端子金具と、相手ハウジングと、を備えている。相手ハウジングは合成樹脂製であって、前方に突出する筒状のフード部を有している。コネクタが相手コネクタに嵌合されると、嵌合筒部とハウジング本体部との間にフード部が嵌合するとともに、雄端子金具と雌端子金具が電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-125545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のコネクタでは、嵌合筒部とハウジング本体部の間に嵌合したフード部の先端よりも後方に電線収容部が突出しているため、コネクタと相手コネクタの全体の重心がコネクタの後方に位置しやすく、共振時にコネクタ後端の変位量が大きくなる。すなわち、嵌合状態においてハウジングのうち相手コネクタのフード部と嵌合していない部分が大きければ、共振時に当該部分が変位しやすくなる。一方、ハウジングのうち相手コネクタのフード部と嵌合している部分は、相手コネクタとコネクタの振動が一体化しやすいため、共振時でも変位を抑制しやすい。このようにコネクタの耐振性向上のためにはさらなる改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタユニットは、相手側ハウジングを有する相手側コネクタと、前記相手側ハウジングに嵌合可能なハウジングを有するコネクタと、を備えたコネクタユニットであって、前記相手側ハウジングと前記ハウジングが嵌合した際に前記相手側ハウジングの嵌合面と前記ハウジングの嵌合面とが対向し、互いの前記嵌合面側を前側と定義した場合に、前記相手側ハウジングは、前方に開口する相手側フード部を有し、前記ハウジングは、前記相手側フード部に外嵌可能なフード部と、前記相手側フード部に内嵌可能なタワー部と、前記フード部の後端と前記タワー部の後端とをつなぐ連結部と、を有し、前記タワー部は、前記フード部の前端よりも前方に突出する形態をなして端子を内部に収容する端子収容部と、前記端子収容部の後側に連なり、前記端子に接続された電線を内部に収容する電線収容部と、を有しており、前記相手側ハウジングと前記ハウジングが嵌合した状態において前記相手側フード部が前記電線収容部の外周を包囲する配置で、前記相手側フード部の前端が前記ハウジングの後端部に位置している、コネクタユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタユニットの耐振性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、コネクタユニットの斜視図である。
図2図2は、コネクタユニットの分解斜視図である。
図3図3は、コネクタユニットの内部構造を示す縦断面図である。
図4図4は、コネクタユニットの内部構造を示す横断面図である。
図5図5は、コネクタの正面図である。
図6図6は、コネクタの側面図である。
図7図7は、相手側コネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示のコネクタユニットは、相手側ハウジングを有する相手側コネクタと、前記相手側ハウジングに嵌合可能なハウジングを有するコネクタと、を備えたコネクタユニットであって、前記相手側ハウジングと前記ハウジングが嵌合した際に前記相手側ハウジングの嵌合面と前記ハウジングの嵌合面とが対向し、互いの前記嵌合面側を前側と定義した場合に、前記相手側ハウジングは、前方に開口する相手側フード部を有し、前記ハウジングは、前記相手側フード部に外嵌可能なフード部と、前記相手側フード部に内嵌可能なタワー部と、前記フード部の後端と前記タワー部の後端とをつなぐ連結部と、を有し、前記タワー部は、前記フード部の前端よりも前方に突出する形態をなして端子を内部に収容する端子収容部と、前記端子収容部の後側に連なり、前記端子に接続された電線を内部に収容する電線収容部と、を有しており、前記相手側ハウジングと前記ハウジングが嵌合した状態において前記相手側フード部が前記電線収容部の外周を包囲する配置で、前記相手側フード部の前端が前記ハウジングの後端部に位置している、コネクタユニットである。
【0010】
上記のコネクタユニットによると、端子収容部がフード部の前端よりも前方に突出する形態をなし、相手側フード部の前端がハウジングの後端部に位置しているから、コネクタユニット全体の重心を従来よりも前方に位置させることができる。これにより、共振時におけるコネクタユニット全体の変位を従来のコネクタユニットよりも抑制できる。
【0011】
また、従来のコネクタでは嵌合状態においてハウジングのうち相手側フード部の前端よりも後方に突出する部分の寸法が連結部の板厚と電線収容部の前後方向の長さとを合わせた寸法となっていたために、共振時にコネクタ後端の変位量が大きくなっていた。これに対し、上記のコネクタでは相手側フード部が電線収容部の外周を包囲する配置となっているから、嵌合状態においてハウジングのうち相手側フード部の前端よりも後方に突出する部分の寸法が連結部の板厚のみとなるため、後方への突出量を抑えることができ、共振時にコネクタ後端の変位量が大きくなるのを抑えることができる。
【0012】
(2)前記フード部は前方に開口する筒状をなし、前記フード部の開口縁部には径方向外側に厚みを増すように増肉された増肉部が設けられていることが好ましい。
増肉部がフード部の開口縁部に設けられているため、コネクタユニット全体の重心をさらに前方に位置させることができる。
【0013】
(3)前記増肉部は、前方に向かうほど厚みを増す手待ち部を有していることが好ましい。
増肉部に手持ち部があるから、コネクタを相手側コネクタに嵌合させる際に指が手持ち部に引っ掛かりやすくなり、増肉部を嵌合時の操作部として利用できる。また、手持ち部がハウジング後端に設けられている場合と比較して、コネクタユニット全体の重心を前方に位置させることができるから、耐振性をより向上できる。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
<実施形態>
本開示の実施形態について、図1から図7を参照しつつ説明する。本実施形態のコネクタユニット100は、相手側ハウジング60を有する相手側コネクタ50と、相手側ハウジング60に嵌合可能なハウジング20を有するコネクタ10と、を備える。以下の説明においては、矢線Zの示す方向を上下方向、矢線Xの示す方向を前後方向、矢線Yの示す方向を左右方向として説明する。
【0016】
本実施形態のコネクタ10は、図2に示すように、ハウジング20と、ゴム栓30と、を備えている。コネクタ10は、相手側コネクタ50と嵌合可能とされている。ここで、相手側ハウジング60とハウジング20が嵌合した際に、相手側ハウジング60の嵌合面60Aとハウジング20の嵌合面20Aとが前後方向に対向するようになっており、互いの嵌合面20A、60A側を前側と定義する。なお、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0017】
[相手側コネクタ]
相手側コネクタ50は、相手側ハウジング60と、相手側端子51と、を備えている。相手側ハウジング60は、絶縁性の合成樹脂製であり、図3に示すように、板状をなす本体部61と、本体部61の周縁から前方にのびる前側筒部62と、本体部61の周縁から後方にのびる後側筒部63と、を備えている。前側筒部62は筒形のフード状をなして前方に開口しており、前側筒部62の奥壁が本体部61によって構成されている。後側筒部63は筒形のフード状をなして後方に開口しており、後側筒部63の奥壁が本体部61によって構成されている。
【0018】
図2に示すように、前側筒部62と本体部61と後側筒部63とは、この順に連なって設けられている。前側筒部62の外周面62Aと本体部61の外周面61Aと後側筒部63の外周面63Aとは面一をなすように連続している。前側筒部62の外周面62Aにはロック受け部64が設けられている。前側筒部62の外周面62Aにおけるロック受け部64の左右両側には一対の保護壁65が設けられている。後側筒部63の後端には一対のフランジ部66が左右方向に張り出して設けられている。
【0019】
相手側端子51は、金属製であり、図3および図4に示すように、タブ状をなす雄端子である。相手側端子51は、プレス加工、切削加工、鋳造等、公知の手法により所定の形状に形成される。相手側端子51を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。相手側端子51の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。
【0020】
相手側端子51は、図3に示すように、相手側ハウジング60の本体部61を前後方向に貫通する形態で本体部61に保持されている。相手側端子51のうち前側筒部62に対応する部分は、本体部61から前側筒部62の前後方向の全長の約3分の1まで突出している。相手側端子51のうち後側筒部63に対応する部分は、図示省略するものの、本体部61から後側筒部63の開口縁よりも後方に突出している。
【0021】
[コネクタ]
コネクタ10は、ハウジング20と、端子11と、ゴム栓30と、を備えている。ハウジング20は、絶縁性の合成樹脂製であり、図3に示すように、板状をなす連結部21と、連結部21の周縁から前方にのびるフード部22と、フード部22の内部において連結部21から前方にのびるタワー部23と、連結部21の上面に設けられたロックアーム25と、を備えている。連結部21は、フード部22の後端とタワー部23の後端とをつないでいる。フード部22は、相手側ハウジング60の前側筒部62に外嵌し、タワー部23は、相手側ハウジング60の前側筒部62に内嵌する。
【0022】
端子11は、金属製であり、角筒状をなす雌端子である。端子11は、プレス加工、切削加工、鋳造等、公知の手法により所定の形状に形成される。端子11を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。端子11の表面にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成する金属は、スズ、ニッケル、銀等必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。
【0023】
フード部22は、図2に示すように、筒形のフード状をなして前方に開口している。フード部22の奥壁は、連結部21によって構成されている。フード部22のうちロックアーム25に対応する部分は上方に膨出するとともに前端部を残して切り欠かれており、この膨出した部分にロックアーム25の全体が収容されている。したがって、フード部22は、ロックアーム25の左右両側に配された一対の保護壁22Aを有している。コネクタ10と相手側コネクタ50が嵌合した状態では、図1に示すように、フード部22の一対の保護壁22Aの内側に相手側ハウジング60の一対の保護壁65が収容される。
【0024】
タワー部23は、図5に示すように、前面視で左右方向に長い略方形状とされている。タワー部23は、前後方向に開口する少なくとも一対の(本開示においては3つの)キャビティ23Aと、隣り合う一対のキャビティ23A間を仕切る隔壁23Bと、を有している。
【0025】
タワー部23は、端子11を内部に収容する端子収容部26と、端子収容部26の後側に連なり、端子11に接続された電線12を内部に収容する電線収容部24と、を備えて構成されている。キャビティ23Aと隔壁23Bは、端子収容部26の前端から電線収容部24の後端にわたって設けられている。
【0026】
電線収容部24は、図3に示すように、端子11に接続された電線12と、電線12に外嵌されたゴム栓13と、を収容している。電線12は、導電性の単芯線または金属細線からなる芯線を絶縁被覆で包囲した周知の形態のものである。ゴム栓13が電線12の絶縁被覆と電線収容部24の内周面との間に挟持されることでタワー部23のキャビティ23Aが止水されている。
【0027】
端子収容部26の底壁にはランス26Aが形成されている。ランス26Aは片持ち梁状をなして前方にのびる形状とされている。端子11をキャビティ23Aに後方から挿入すると、ランス26Aが下方に撓み変形し、端子11が端子収容部26内の正規の位置に挿入されると、ランス26Aが元の形状に復帰して端子11に係止するようになっている。これにより、端子11がキャビティ23Aにおいて端子収容部26に保持される。
【0028】
ロックアーム25は、図5に示すように、一対の保護壁22Aにそれぞれ接続された一対の基端部25Aと、一対の基端部25Aを中心として揺動可能なアーム部25Bと、アーム部25Bの前端部に形成されたロック係止部25Cと、アーム部25Bの後端部に形成された解除操作部25Dと、を備えている。アーム部25Bは、その中央より後端寄りの位置で一対の基端部25Aに連結されている。
【0029】
コネクタ10と相手側コネクタ50を嵌合させると、ロック係止部25Cがロック受け部64に乗り上げることでアーム部25Bが弾性的に揺動し、ロック係止部25Cがロック受け部64を乗り越えるとアーム部25Bが弾性的に復帰し、ロック係止部25Cがロック受け部64に係止するようになっている。これにより、コネクタ10と相手側コネクタ50が嵌合状態に保持される。
【0030】
解除操作部25Dを下方に押し込むと、アーム部25Bの前端部が上方に揺動変位し、ロック係止部25Cとロック受け部64の係止が解除される。この係止が解除された状態でコネクタ10と相手側コネクタ50を互いに引き離すことで離脱可能とされている。
【0031】
[ゴム栓]
ゴム栓30は、合成ゴム、天然ゴム等からなる弾性部材であり、図2に示すように、角が丸められた方形の環状に形成されている。ゴム栓30は、筒状の止水部32と、止水部32から前方にのびる筒状の耐振部33と、を備えている。図3に示すように、止水部32はタワー部23の電線収容部24に外嵌され、耐振部33はタワー部23の端子収容部26に外嵌される。
【0032】
止水部32は、止水部32の周方向に切れ目なく形成されたリップ31を有している。リップ31は、前後方向に複数(本開示においては2つ)並んで設けられている。リップ31は、図3に示すように、止水部32の外周面から径方向外側に突出した部分と、止水部32の内周面から径方向内側に突出した部分と、を有する。相手側ハウジング60の前側筒部62内にタワー部23が嵌合すると、止水部32が前側筒部62の内周面62Bと電線収容部24の外周面24Aとの間に挟まれることでリップ31が潰れるようになっている。すなわち、リップ31が前側筒部62の内周面62Bと電線収容部24の外周面24Aの双方に密着することで前側筒部62とタワー部23との間が止水されるようになっている。
【0033】
耐振部33は、止水部32から端子収容部26の外周面26Bに沿って前方にのびる筒状に形成されている。耐振部33の前端は、端子収容部26の前後方向の全長の2分の1付近に位置している。端子収容部26の前端部分26Cがリップ31を中心として振動しようとした場合、耐振部33によって振動が抑制されるようになっている。これにより、端子11と相手側端子51の接点が振動によって摩耗することを抑制できる。
【0034】
[コネクタユニット全体の耐振性が向上する理由]
図3に示すように、嵌合状態において前側筒部62が電線収容部24の外周を包囲する配置で相手側ハウジング60の前側筒部62の前端はコネクタ10の後端(連結部21の前面)に位置している。このため、ハウジング20のうち前側筒部62の前端より後方に突出した部分は連結部21のみとなっている。一方、特開2019-125545号公報に記載の従来のコネクタでは、ハウジングのうちフード部の前端よりも後方に突出した部分が、連結部とキャビティタワー部(電線とゴム栓を収容する部分)と一対のアーチ部と底部とから構成されているため、キャビティタワー部と一対のアーチ部と底部とが本開示のコネクタ10よりも余分に後方に飛び出して配置されていることになる。したがって、本開示のコネクタ10の重心は、従来のコネクタよりも前方に位置することになり、共振時におけるコネクタ10の後端の変位を抑制できる。これに伴い、コネクタ10と相手側コネクタ50から構成されるコネクタユニット100の重心も、従来のコネクタよりも前方に位置し、コネクタユニット100全体の変位を抑制できる。
【0035】
タワー部23は、フード部22の前端よりも前方に突出する形態をなしている。これにより、前側筒部62とタワー部23の嵌合部分が従来のコネクタユニットよりも前後方向に長くなっている。嵌合部分においてはハウジング20と相手側ハウジング60の振動が一体化するため、共振時においても変位量を小さく抑えることができる。
【0036】
さらに、フード部22の開口縁部には径方向外側に厚みを増すように増肉された増肉部27が設けられている。この増肉部27によってもコネクタユニット100の重心は、さらにコネクタ10の前方に位置することになり、コネクタユニット100全体の変位をさらに抑制できる。
【0037】
また、増肉部27の後端部には、前方に向かうほど厚みを増す手持ち部27Aが形成されている。例えば手持ち部27Aに親指と人差し指を宛がってコネクタ10を相手側コネクタ50に向けて押し込むことで嵌合作業がしやすくなる。このような手持ち部27Aは、従来のコネクタでは段部としてハウジング本体部の後端部に形成されていたものであり、コネクタの重心が本開示のコネクタ10よりも後方に位置する要因となっていた。その点、本開示のコネクタ10では、手持ち部27Aを有する増肉部27がフード部22の前端部に形成されているため、コネクタユニット100全体の重心が従来のコネクタユニットよりも前方に位置し、共振時の変位をさらに抑制できるようになっている。
【0038】
[実施形態の作用効果]
本開示のコネクタユニット100は、相手側ハウジング60を有する相手側コネクタ50と、相手側ハウジング60に嵌合可能なハウジング20を有するコネクタ10と、を備えたコネクタユニット100であって、相手側ハウジング60とハウジング20が嵌合した際に相手側ハウジング60の嵌合面60Aとハウジング20の嵌合面20Aとが対向し、互いの嵌合面20A、60A側を前側と定義した場合に、相手側ハウジング60は、前方に開口する前側筒部62を有し、ハウジング20は、前側筒部62に外嵌可能なフード部22と、前側筒部62に内嵌可能なタワー部23と、フード部22の後端とタワー部23の後端とをつなぐ連結部21と、を有し、タワー部23は、フード部22の前端よりも前方に突出する形態をなして端子11を内部に収容する端子収容部26と、端子収容部26の後側に連なり、端子11に接続された電線12を内部に収容する電線収容部24と、を有しており、相手側ハウジング60とハウジング20が嵌合した状態において前側筒部62が電線収容部24の外周を包囲する配置で、前側筒部62の前端がハウジング20の後端部に位置している、コネクタユニット100である。
【0039】
上記のコネクタユニット100によると、端子収容部26がフード部22の前端よりも前方に突出する形態をなし、前側筒部62の前端がハウジング20の後端部に位置しているから、コネクタユニット100全体の重心を従来よりも前方に位置させることができる。これにより、共振時におけるコネクタユニット100全体の変位を従来のコネクタユニットよりも抑制できる。
【0040】
また、従来のコネクタでは嵌合状態においてハウジングのうち相手側フード部の前端よりも後方に突出する部分の寸法が連結部の板厚と電線収容部の前後方向の長さとを合わせた寸法となっていたために、共振時にコネクタ後端の変位量が大きくなっていた。これに対し、上記のコネクタ10では前側筒部62が電線収容部24の外周を包囲する配置となっているから、嵌合状態においてハウジング20のうち前側筒部62の前端よりも後方に突出する部分の寸法が連結部21の板厚のみとなるため、後方への突出量を抑えることができ、共振時にコネクタ10後端の変位量が大きくなるのを抑えることができる。
【0041】
フード部22は前方に開口する筒状をなし、フード部22の開口縁部には径方向外側に厚みを増すように増肉された増肉部27が設けられていることが好ましい。
増肉部27がフード部22の開口縁部に設けられているため、コネクタユニット100全体の重心をさらに前方に位置させることができる。
【0042】
増肉部27は、前方に向かうほど厚みを増す手待ち部27Aを有していることが好ましい。
増肉部27に手持ち部27Aがあるから、コネクタ10を相手側コネクタ50に嵌合させる際に指が手持ち部に引っ掛かりやすくなり、増肉部27を嵌合時の操作部として利用できる。また、手持ち部27Aがハウジング20後端に設けられている場合と比較して、コネクタユニット100全体の重心を前方に位置させることができるから、耐振性をより向上できる。
【0043】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では耐振部33を備えるゴム栓30を用いているが、耐振部を備えていないゴム栓でもよい。また、止水部がリップを有していないゴム栓でもよい。
【0044】
(2)上記実施形態では増肉部27がフード部22の開口縁部において径方向外側に厚みをますように増肉されたものを例示したが、フード部22の開口縁部から前方に突出するように増肉されたものでもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では増肉部27が手持ち部27Aを有しているものを例示したが、増肉部が手持ち部を有していないものでもよい。
【符号の説明】
【0046】
10:コネクタ 11:端子 12:電線 13:ゴム栓
20:ハウジング 20A:嵌合面 21:連結部 22:フード部 22A:保護壁 23:タワー部 23A:キャビティ 23B:隔壁 24:電線収容部 24A:外周面 25:ロックアーム 25A:基端部 25B:アーム部 25C:ロック係止部 25D:解除操作部 26:端子収容部 26A:ランス 26B:外周面 26C:前端部分 27:増肉部 27A:手持ち部
30:ゴム栓 31:リップ 32:止水部 33:耐振部
50:相手側コネクタ 51:相手側端子
60:相手側ハウジング 60A:嵌合面 61:本体部 61A:外周面 62:前側筒部(相手側フード部) 62A:外周面 62B:内周面 63:後側筒部 63A:外周面 64:ロック受け部 65:保護壁 66:フランジ部
100:コネクタユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7