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  • 特開-補正装置および補正プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181702
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】補正装置および補正プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0338 20130101AFI20231218BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094974
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 将史
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA02
5B087AD01
(57)【要約】
【課題】ジョイスティック装置の操作性の低下を抑制できる補正装置および補正プログラムを提供すること。
【解決手段】ユーザの操作により傾倒されるレバーと、レバーに設けられたマグネットと、マグネットの位置変化に基づいてレバーの角度を検出する磁気センサと、を備えたジョイスティック装置と電気的に接続される補正装置であって、磁気センサで検出された検出角度を取得する取得部と、検出角度および予め定められた第1設定値に基づいて第1角度を算出し、第1角度および予め定められた第2設定値に基づいて第2角度を算出する算出部と、第2角度が予め定められたレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、第2角度がレバー可動範囲に含まれない場合、第2角度をレバー可動範囲に含まれる値に補正する補正部と、補正部により補正された第2角度を外部装置へ出力する出力部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作により傾倒されるレバーと、前記レバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの位置変化に基づいて前記レバーの角度を検出する磁気センサと、を備えたジョイスティック装置と電気的に接続される補正装置であって、
前記磁気センサで検出された検出角度を取得する取得部と、
前記検出角度および予め定められた第1設定値に基づいて第1角度を算出し、前記第1角度および予め定められた第2設定値に基づいて第2角度を算出する算出部と、
前記第2角度が予め定められたレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、
前記第2角度が前記レバー可動範囲に含まれない場合、前記第2角度を前記レバー可動範囲に含まれる値に補正する補正部と、
前記補正部により補正された前記第2角度を外部装置へ出力する出力部と、を有する、
補正装置。
【請求項2】
前記第1設定値は、前記レバーが無負荷状態のときに前記磁気センサにより検出される値であり、
前記第2設定値は、前記第1角度と、前記レバーの角度と前記第1角度とのズレ量の関係を1次関数として近似し、最小二乗法を用いて算出された値であり、
前記算出部は、
前記検出角度から前記第1設定値を減算することにより、前記第1角度を算出し、
前記第1角度と前記第2設定値とを乗算した値に前記第1角度を加算することにより、前記第2角度を算出する、
請求項1に記載の補正装置。
【請求項3】
前記第2角度が前記レバー可動範囲に含まれる場合、
前記補正部は、前記第2角度の補正を行わず、
前記出力部は、前記算出部により算出されたままの前記第2角度を前記外部装置へ出力する、
請求項1に記載の補正装置。
【請求項4】
前記第2角度は、二次元座標で表され、
前記レバー可動範囲は、2つの座標軸の交点を中心とした楕円で表され、
前記補正部は、
前記レバー可動範囲に含まれない前記第2角度の二次元座標を、前記楕円の中心と当該第2角度の二次元座標とを結んだ直線と、前記楕円の外周との交点の二次元座標に補正する、
請求項1に記載の補正装置。
【請求項5】
前記外部装置は、車両に搭載される制御装置である、
請求項1に記載の補正装置。
【請求項6】
ユーザの操作により傾倒されるレバーと、前記レバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの位置変化に基づいて前記レバーの角度を検出する磁気センサと、を備えたジョイスティック装置と電気的に接続されるコンピュータに実行させる補正プログラムであって、
前記磁気センサで検出された検出角度を取得する処理と、
前記検出角度および予め定められた第1設定値に基づいて第1角度を算出する処理と、
前記第1角度および予め定められた第2設定値に基づいて第2角度を算出する処理と、
前記第2角度が予め定められたレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する処理と、
前記第2角度が前記レバー可動範囲に含まれない場合、前記第2角度を前記レバー可動範囲に含まれる値に補正する処理と、
補正された前記第2角度を外部装置へ出力する処理と、を前記コンピュータに実行させる、
補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補正装置および補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの操作により傾倒されるレバーと、そのレバーに設けられたマグネットと、そのマグネットの位置の変化に応じてレバーの角度を検出する磁気センサと、を備えたジョイスティック装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-221342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、大型機械(例えば、建設機械、農業機械等)で用いられるジョイスティック装置では、小型機械(例えば、ゲーム機、医療機器等)で用いられるジョイスティック装置に比べて、大型であり、マグネットと磁気センサとの間の距離が大きくなる。そのため、実際のレバーの角度と、磁気センサで検出されるレバーの角度との間にズレが生じやすい。その結果、ジョイスティック装置の特徴である直感的な操作性が損なわれてしまうおそれがあった。
【0005】
本開示の一態様の目的は、ジョイスティック装置の操作性の低下を抑制できる補正装置および補正プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る補正装置は、ユーザの操作により傾倒されるレバーと、前記レバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの位置変化に基づいて前記レバーの角度を検出する磁気センサと、を備えたジョイスティック装置と電気的に接続される補正装置であって、前記磁気センサで検出された検出角度を取得する取得部と、前記検出角度および予め定められた第1設定値に基づいて第1角度を算出し、前記第1角度および予め定められた第2設定値に基づいて第2角度を算出する算出部と、前記第2角度が予め定められたレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する判定部と、前記第2角度が前記レバー可動範囲に含まれない場合、前記第2角度を前記レバー可動範囲に含まれる値に補正する補正部と、前記補正部により補正された前記第2角度を外部装置へ出力する出力部と、を有する。
【0007】
本開示の一態様に係る補正プログラムは、ユーザの操作により傾倒されるレバーと、前記レバーに設けられたマグネットと、前記マグネットの位置変化に基づいて前記レバーの角度を検出する磁気センサと、を備えたジョイスティック装置と電気的に接続されるコンピュータに実行させる補正プログラムであって、前記磁気センサで検出された検出角度を取得する処理と、前記検出角度および予め定められた第1設定値に基づいて第1角度を算出する処理と、前記第1角度および予め定められた第2設定値に基づいて第2角度を算出する処理と、前記第2角度が予め定められたレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する処理と、前記第2角度が前記レバー可動範囲に含まれない場合、前記第2角度を前記レバー可動範囲に含まれる値に補正する処理と、補正された前記第2角度を外部装置へ出力する処理と、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ジョイスティック装置の操作性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一態様に係るジョイスティック装置および補正装置の構成例を示すブロック図
図2】本開示の一態様に係るレバーの角度の一例を模式的に示す図
図3】本開示の一態様に係るレバー可動範囲の一例を模式的に示す図
図4】本開示の一態様に係る角度の補正例を模式的に示す図
図5】本開示の一態様に係る補正装置の動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
まず、図1を用いて、本実施の形態に係るジョイスティック装置200および補正装置100の構成について説明する。図1は、ジョイスティック装置200および補正装置100の構成例を示すブロック図である。
【0012】
ジョイスティック装置200は、例えば、大型機械(例えば、建設機械、農業機械等)で用いられるジョイスティック装置である。
【0013】
図1に示すように、ジョイスティック装置200は、主な構成要素として、レバー210、マグネット220、および磁気センサ230を有する。
【0014】
レバー210は、操作軸であり、ユーザの操作により傾倒される。
【0015】
マグネット220は、レバー210に固定され、レバー210の傾倒に伴って移動する。
【0016】
磁気センサ230は、例えばICチップであり、マグネット220との相対位置の変化に基づいて、レバー210の角度を検出する。
【0017】
ここで、図2を用いて、磁気センサ230で検出されるレバー210の角度について説明する。図2は、磁気センサ230で検出されるレバー210の角度の一例を模式的に示す図である。
【0018】
まず、磁気センサ230は、マグネット220の位置(x、y、z)を取得する。
【0019】
次に、磁気センサ230は、取得したマグネット220の位置(x、y、z)に基づいて、角度(α、β)を算出する。
【0020】
αは、x軸方向のレバー210の角度であり、βは、y軸方向のレバー210の角度である。このように、レバー210の角度は、二次元座標で表される。
【0021】
次に、磁気センサ230は、算出した角度(α、β)を、後述する補正装置100へ出力する。
【0022】
なお、以下では、磁気センサ230から補正装置100へ出力される角度を、「検出角度(α0、β0)」と表記する。
【0023】
以下、図1の説明に戻る。
【0024】
補正装置100は、ジョイスティック装置200と電気的に接続され、ジョイスティック装置200との通信が可能なコンピュータである。
【0025】
図示は省略するが、補正装置100は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置、コンピュータプログラムを格納したハードディスク、フラッシュメモリなどの補助記憶装置を有する。
【0026】
以下に説明する補正装置100の機能は、CPUが補助記憶装置から読み出したコンピュータプログラムを主記憶装置のRAMに展開して実行することにより実現される。なお、そのコンピュータプログラムは、所定の記録媒体に記録されて、ユーザ等に提供されてもよい。
【0027】
図1に示すように、補正装置100は、取得部110、算出部120、判定部130、補正部140、出力部150を有する。
【0028】
取得部110は、磁気センサ230から検出角度(α0、β0)を取得する。
【0029】
算出部120は、検出角度(α0、β0)および予め定められた第1設定値αc、βcに基づいて、第1角度(α1、β1)を算出する。
【0030】
具体的には、算出部120は、α0からαcを減算し、α1を算出する。同様に、算出部120は、β0からβcを減算し、β1を算出する。
【0031】
第1設定値αc、βcは、レバー210が無負荷状態(操作されていない状態)のときに磁気センサ230により検出されて出力される角度である。
【0032】
すなわち、α軸を横軸とし、β軸を縦軸とする二次元座標において、検出角度(α0、β0)と第1設定値αc、βcとの差分である第1角度(α1、β1)は、原点からの角度変化とみなすことができる。
【0033】
次に、算出部120は、第1角度(α1、β1)および予め定められた第2設定値αs、βsに基づいて、第2角度(α2、β2)を算出する。
【0034】
具体的には、算出部120は、α1とαsとを乗算した値にα1を加算し、α2を算出する。同様に、算出部120は、β1とβsとを乗算した値にβ1を加算し、β2を算出する。
【0035】
第2設定値αs、βsは、第1角度(α1、β1)と、レバー210の角度と第1角度(α1、β1)とのズレ量(以下、単にズレ量という)の関係を1次関数としてそれぞれ近似し、最小二乗法を用いて算出された値であり、下記の数式で表される。
【数1】
【0036】
上記数式において、xは、複数の第1角度(α1、β1)である。yは、複数の第1角度(α1、β1)のそれぞれに対応する、複数のズレ量である。iは、複数の第1角度(α1、β1)の数である。
【0037】
判定部130は、第2角度(α2、β2)が予め定められたレバー210の可動範囲(以下、レバー可動範囲という)に含まれるか否かを判定する。
【0038】
ここで、図3を用いて、レバー可動範囲R1の一例について説明する。図3は、レバー可動範囲の一例を模式的に示す図である。
【0039】
図3に示すように、レバー可動範囲R1は、互いに垂直に交わる2つの座標軸(α軸、β軸)の交点(原点O)を中心とした楕円で表される。レバー可動範囲R1の外側には、磁気センサ230から出力される値の範囲であるセンサ出力範囲R2が設定されている。
【0040】
算出部120で算出された第2角度(α2、β2)がとりうる値は、レバー可動範囲R1外かつセンサ出力範囲R2内となる可能性がある。その場合、第2角度(α2、β2)を補正する必要がある。
【0041】
以下、図1の説明に戻る。
【0042】
補正部140は、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲R1に含まれない場合、第2角度(α2、β2)を、レバー可動範囲R1に含まれる値に補正する。
【0043】
ここで、図4を用いて、第2角度(α2、β2)の補正例について説明する。図4は、第2角度(α2、β2)の補正例を模式的に示す図である。図4は、図3に示したレバー可動範囲R1を部分的に拡大して示している。なお、図4では、図3に示したセンサ出力範囲R2の図示は省略している。
【0044】
図4に示すように、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲R1に含まれていない場合、補正部140は、その第2角度(α2、β2)を、直線Lとレバー可動範囲R1の外周との交点の座標(α3、β3)に補正する。図4に示す直線Lは、原点Oと第2角度(α2、β2)とを結ぶ2点間の直線である。以下では、補正後の第2角度を、「第3角度(α3、β3)」と表記する。
【0045】
なお、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲R1に含まれる場合、補正部140は、第2角度(α2、β2)の補正を行わない。
【0046】
以下、図1の説明に戻る。
【0047】
出力部150は、補正部140により第2角度(α2、β2)の補正が行われた場合、その補正により得られた第3角度(α3、β3)を外部装置へ出力する。
【0048】
一方、出力部150は、補正部140により第2角度(α2、β2)の補正が行われない場合(すなわち、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲R1に含まれる場合)、算出部120により算出されたままの第2角度(α2、β2)を外部装置へ出力する。
【0049】
外部装置としては、例えば、車両に搭載される制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
以上、ジョイスティック装置200および補正装置100の構成について説明した。
【0051】
次に、図5を用いて、補正装置100の動作の流れについて説明する。図5は、補正装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、取得部110は、磁気センサ230から検出角度(α0、β0)を取得する(ステップS1)。
【0053】
次に、算出部120は、検出角度(α0、β0)と第1設定値αc、βcとに基づいて、第1角度(α1、β1)を算出する(ステップS2)。
【0054】
次に、算出部120は、第1角度(α1、β1)と第2設定値αs、βsとに基づいて、第2角度(α2、β2)を算出する(ステップS3)。
【0055】
次に、判定部130は、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS4)。
【0056】
第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲に含まれない場合(ステップS4:NO)、補正部140は、第2角度(α2、β2)を補正する(ステップS5)。これにより、第3角度(α3、β3)が算出される。
【0057】
次に、出力部150は、第3角度(α3、β3)を外部装置へ出力する(ステップS6)。
【0058】
一方、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲に含まれる場合(ステップS4:YES)、補正部140による第2角度(α2、β2)の補正は行われず、出力部150は、算出部120により算出されたままの第2角度(α2、β2)を外部装置へ出力する(ステップS7)。
【0059】
以上、補正装置100の動作について説明した。
【0060】
上述したように、本実施の形態の補正装置100は、ユーザの操作により傾倒されるレバー210と、レバー210に設けられたマグネット220と、マグネット220の位置変化に基づいてレバー210の角度を検出する磁気センサ230と、を備えたジョイスティック装置200と電気的に接続される補正装置100であって、磁気センサ230で検出された検出角度(α0、β0)を取得する取得部110と、検出角度(α0、β0)および予め定められた第1設定値αc、βcに基づいて第1角度(α1、β1)を算出し、第1角度(α1、β1)および予め定められた第2設定値αs、βsに基づいて第2角度(α2、β2)を算出する算出部120と、第2角度(α2、β2)が予め定められたレバー可動範囲に含まれるか否かを判定する判定部130と、第2角度(α2、β2)がレバー可動範囲に含まれない場合、第2角度(α2、β2)をレバー可動範囲に含まれる値に補正する補正部140と、補正部140により補正された第2角度(α2、β2)を外部装置へ出力する出力部150と、を有することを特徴とする。
【0061】
この特徴により、実際のレバー210の角度と、磁気センサ230で検出されるレバー210の角度との間のズレを補正することができるので、例えば大型機械等において、ジョイスティック装置の操作性の低下を抑制することができる。
【0062】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示の補正装置および補正プログラムは、ジョイスティック装置のレバーの角度の補正に有用である。
【符号の説明】
【0064】
100 補正装置
110 取得部
120 算出部
130 判定部
140 補正部
150 出力部
200 ジョイスティック装置
210 レバー
220 マグネット
230 磁気センサ
図1
図2
図3
図4
図5