(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181707
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
H01L21/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094985
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 信仁
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH07
5F033HH32
5F033HH33
5F033JJ11
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ32
5F033JJ33
5F033KK08
5F033KK11
5F033KK18
5F033KK21
5F033KK32
5F033KK33
5F033MM13
5F033NN32
5F033QQ09
5F033QQ17
5F033QQ48
5F033VV09
5F033XX09
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能向上を実現する。
【解決手段】半導体装置SDは、配線層MWと、配線層MWを覆う絶縁層IL3と、絶縁層IL3上に設けられた薄膜抵抗TRと、薄膜抵抗TRを配線層MWに接続するプラグ電極PLとを備える。プラグ電極PLは、バリア層BRと埋込層BMとを含む。埋込層BMは、第1傾斜面SL1で囲まれた領域を埋める充填部FMと、充填部FMから第2傾斜面SL2に沿って伸びる伸張部EXとで構成される。薄膜抵抗TRは、プラグ電極PLの充填部FMおよび伸張部EXに接触している。第2傾斜面SL2が半導体基板の主面に対してなす第2傾斜角θ2は、第1傾斜面SL1が半導体基板の主面に対してなす第1傾斜角θ1よりも小さい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記主面上に形成された配線層と、
前記配線層を覆うように設けられ、上面と、前記配線層の一部を露出するビアとを有する絶縁層と、
前記ビア内に設けられたプラグ電極と、
前記プラグ電極上および前記絶縁層上に設けられ、前記プラグ電極を介して前記配線層に電気的に接続された薄膜抵抗と、
を備える半導体装置であって、
前記ビアは、その周囲が前記配線層に接する第1傾斜面と、前記第1傾斜面につながる第2傾斜面とを含み、
前記第1傾斜面は、前記主面に対して第1傾斜角を有し、
前記第2傾斜面は、前記主面に対して第2傾斜角を有し、
前記第2傾斜角は、前記第1傾斜角よりも小さく、
前記プラグ電極は、前記第1傾斜面上および前記第2傾斜面上に延在するバリア層と、前記バリア層上に設けられた埋込層とを有し、
前記埋込層は、前記バリア層上に形成され、前記第1傾斜面で囲まれた領域を埋める充填部と、前記充填部から前記第2傾斜面に沿って前記バリア層上に伸びる伸張部とを有し、
前記薄膜抵抗は、前記充填部と前記伸張部とに接触している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記上面は、前記主面に略平行であり、
前記主面に垂直な方向において、前記伸張部の先端から前記上面までの距離は第1深さであり、
前記上面から前記充填部の上面である研磨面までの第2深さは、前記第1深さよりも深い、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ビアは、第3傾斜面を含み、
前記第2傾斜面は、前記第1傾斜面と前記第3傾斜面とを互いに接続し、
前記第3傾斜面は、前記主面に対して第3傾斜角を有し、前記第3傾斜角は、前記第2傾斜角よりも小さく、
前記プラグ電極上に設けられた前記薄膜抵抗は、前記第3傾斜面を介して前記上面上に延在している、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記薄膜抵抗は、前記第2傾斜面と前記伸張部との間に設けられた前記バリア層に接触している、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記薄膜抵抗の膜厚は、前記バリア層の膜厚よりも薄い、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記薄膜抵抗は、SiCr、SiCrC,NiCr、TiNまたはTaNからなる、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記埋込層は、タングステンまたは銅を主成分とする金属膜からなる、半導体装置。
【請求項8】
配線層と、前記配線層を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた薄膜抵抗と、前記絶縁層内に設けられ、前記薄膜抵抗を前記配線層に接続し、かつバリア層と埋込層とを含むプラグ電極と、を備える半導体装置の製造方法であって、
(a)主面を有する半導体基板と、前記半導体基板の前記主面上に設けられた前記配線層と、前記配線層を覆い、かつ上面を有する前記絶縁層とを準備する工程、
(b)前記絶縁層に、前記配線層の一部を露出し、かつ第1傾斜面で囲まれた第1開口を形成する工程、
(c)前記第1開口の上部に、第2傾斜面で囲まれた第2開口を形成する工程、
(d)前記第1開口から露出した前記配線層、前記第1傾斜面、前記第2傾斜面および前記上面の上に前記バリア層を形成する工程、
(e)前記バリア層上に埋込金属層を形成することによって、前記第1開口および前記第2開口を埋め込む工程、
(f)前記埋込金属層にCMP処理を施し、前記上面上および前記第2開口内の前記バリア層および前記埋込金属層を除去することによって、前記第1開口と、前記第2開口の一部とを埋めるように、前記埋込層の一部を構成する充填部を形成する工程、
(g)前記充填部にスパッタエッチング処理を施すことによって、前記第2傾斜面に沿う前記バリア層上に、前記充填部から伸び、かつ前記埋込層の一部を構成する伸張部を形成する工程、
(h)前記充填部および前記伸張部に接するように前記プラグ電極上に前記薄膜抵抗を形成する工程、
を備え、
前記第1傾斜面は、前記主面に対して第1傾斜角を有し、
前記第2傾斜面は、前記主面に対して第2傾斜角を有し、
前記第2傾斜角は、前記第1傾斜角よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記上面は、前記主面と略平行であり、
前記主面に垂直な方向において、前記伸張部の先端から前記上面までの距離は第1深さであり、
前記上面から前記充填部の上面である研磨面までの第2深さは、前記第1深さよりも深い、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、前記第2開口の上部に第3傾斜面で囲まれた第3開口が形成され、
前記第3傾斜面は前記主面に対して第3傾斜角を有し、前記第3傾斜角は、前記第2傾斜角よりも小さく、
前記プラグ電極上に形成された前記薄膜抵抗は、前記第3傾斜面を介して前記上面上に延在する、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、アルゴンガス雰囲気中で前記絶縁層に対してスパッタエッチング処理をすることで、前記第2開口を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(g)工程では、アルゴンガス雰囲気中で前記充填部に対してスパッタエッチング処理をする、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記薄膜抵抗は、SiCr、SiCrC,NiCr、TiNまたはTaNからなる、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記埋込金属層は、タングステンまたは銅を主成分とする金属膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では硬質研磨パッドを用いてCMP処理を行い、
前記(f)工程の後に、軟質研磨パッドを用いたバフ研磨を施すことなく、前記(g)工程を行う、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、薄膜抵抗を内蔵する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、OCO(On Chip Oscillator)回路を有するマイコンチップまたはAD/DAコンバータ回路を有するアナログ半導体装置では、半導体チップ内に抵抗素子を内蔵させることが一般的である。このような抵抗素子には、高いシート抵抗および低いTCR(抵抗温度係数)などが求められるため、金属薄膜抵抗が用いられている。
【0003】
特許文献1には、タングステン(W)プラグ電極を介して下層配線に接続された薄膜抵抗が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者の検討によれば、以下の課題が確認された。プラグ電極は、絶縁層に形成された開口にタングステン膜を埋込んだ後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により開口内にのみ選択的にタングステン膜を残すことで形成される。しかしながら、開口の開口径は、絶縁層の上面から開口の底部に向かって減少している。すなわち、開口の側壁は傾斜面である。また、CMP法でタングステン膜を研磨する際に、タングステン膜の研磨面の高さは絶縁層の上面よりも低くなる。つまり、絶縁層の上面と研磨面との間に「段差」が発生する。なぜなら、絶縁層に対してタングステン膜の研磨レートが高いスラリーを用いており、さらには絶縁層の上面上のタングステン膜を完全に研磨除去するためにオーバー研磨が必要となるからである。そして、オーバー研磨によって「段差」が発生すると、平面視におけるプラグ電極の径が減少するため、プラグ電極上に形成する薄膜抵抗との接触抵抗が増加するという課題が確認された。
【0006】
「段差」を解消するために、前述の研磨に続いて、タングステン膜に対して絶縁層の研磨レートが高いスラリーを用いてバフ研磨を実施することで、絶縁層とタングステン膜の研磨面をほぼ均一にすることができる。しかしながら、前述の平面視におけるプラグ電極の径が減少するという課題が解消されるわけではない。さらに、バフ研磨を用いると製造コストが増加するという課題もある。
【0007】
製造コストを増加させることなく、薄膜抵抗とプラグ電極との接触抵抗を低減する技術が求められている。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
次のとおりである。
【0010】
一実施の形態における半導体装置は、配線層と、配線層を覆う絶縁層と、絶縁層上に設けられた薄膜抵抗と、薄膜抵抗を配線層に接続するプラグ電極とを備える。プラグ電極は、バリア層と埋込層とを含み、埋込層は、第1傾斜面で囲まれた領域を埋める充填部と、充填部から第2傾斜面に沿って伸びる伸張部とで構成される。薄膜抵抗は、プラグ電極の充填部および伸張部に接触しており、第2傾斜面が半導体基板の主面に対してなす第2傾斜角は、第1傾斜面が半導体基板の主面に対してなす第1傾斜角よりも小さい。
【0011】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、配線層と、配線層を覆う絶縁層と、絶縁層上に設けられた薄膜抵抗と、絶縁層内に設けられ、薄膜抵抗を配線層に接続し、かつバリア層と埋込層とを含むプラグ電極と、を備える半導体装置の製造方法である。主面を有する半導体基板と、半導体基板の主面上に設けられた配線層と、配線層を覆い、かつ上面を有する絶縁層とを準備する工程、絶縁層に配線層の一部を露出し、かつ第1傾斜面で囲まれた第1開口を形成する工程を含む。さらに、第1開口の上部に第2傾斜面で囲まれた第2開口を形成する工程、第1開口から露出した配線層、第1傾斜面、第2傾斜面および上面の上にバリア層を形成する工程、バリア層上に埋込金属層を形成することによって、第1開口および第2開口を埋め込む工程を含む。さらに、埋込金属層にCMP処理を施し、上面上および第2開口内のバリア層および埋込金属層を除去することによって、第1開口と、第2開口の一部とを埋めるよう埋込層の一部を構成する充填部を形成する工程を含む。さらに、充填部にスパッタエッチング処理を施すことによって、第2傾斜面に沿うバリア層上に充填部から伸び、かつ埋込層の一部を構成する伸張部を形成する工程、充填部および伸張部に接するようにプラグ電極上に薄膜抵抗を形成する工程を含む。そして、第1傾斜面は、主面に対して第1傾斜角を有し、第2傾斜面は、主面に対して第2傾斜角を有し、第2傾斜角は、第1傾斜角よりも小さい。
【発明の効果】
【0012】
一実施の形態によれば、薄膜抵抗とプラグ電極との接触抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】本実施の形態の半導体装置の製造工程を示すプロセスフロー図である。
【
図5】本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図6】
図5に続く本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図7】
図6に続く本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図8】
図7に続く本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図9】
図8に続く本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図10】
図9に続く本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図11】比較例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図12】
図11に続く比較例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図14】変形例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図15】
図14に続く変形例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図16】
図15に続く変形例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図17】CMPにおける研磨面の高さバラツキを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0015】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0017】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0018】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0019】
なお、
図3以降で半導体基板SBを省略しているが、
図2に示すように、配線層MW、プラグ電極PL及び薄膜抵抗TRは、半導体基板SBの上に形成されているため、
図3以降の説明で半導体基板SB、主面SBaなどの用語を用いる場合がある。
【0020】
また、「深さ」または「高さ」の用語は、半導体基板SBの主面SBaに垂直な方向におけるA面(またはA点)とB面(またはB点)との距離を意味する。
【0021】
(実施の形態)
<半導体装置の構造>
図1は本実施の形態の半導体装置の平面図である。
図2は
図1のX-X´線に沿う断面図である。
図3は
図2のA部の拡大断面図である。但し、
図3以降では後述するマスク層MKおよび絶縁層IL4は省略している。
【0022】
図1に示すように、半導体装置SDは複数個の薄膜抵抗(薄膜抵抗素子)TRを有する。平面視において、各薄膜抵抗TRは、Y方向において所望の幅を有し、X方向に延在する略長方形を有する。略長方形には、4つの角が、面取りされた形状または丸められた形状などが含まれる。X方向とY方向は、半導体基板SBの主面SBa(
図2参照)に沿う方向であり、互いに直行する方向である。複数の薄膜抵抗TRは、X方向およびY方向に行列状に配置されている。各薄膜抵抗TRは、その両端に配置されたプラグ電極PLにより、下層の配線層MWに接続されている。
図1では、4つの薄膜抵抗TRが配線層MWにより直列接続された例を示しているが、複数の薄膜抵抗TRは並列接続することもできる。また、直列接続した複数の薄膜抵抗TRを並列接続すること、並列接続した複数の薄膜抵抗TRを直列接続することもできる。
【0023】
なお、プラグ電極PLの直径Hと、X方向およびY方向に隣接するプラグ電極PL間の間隔Sとの関係は、H/S≦1とするのが好ましい。つまり、隣接するプラグ電極PL間の間隔Sは、プラグ電極PLの直径Hと等しいか、または、それ以上とする。H/S>1の場合、後述するプラグ電極PLを形成するためのCMP工程で、プラグ電極PLを囲む絶縁層IL3の上面UFに対して研磨面BMT(
図3、
図9参照)を十分に下げることができないからである。つまり、H/S≦1とすることで、CMP工程において、プラグ電極PLの高さ(言い換えると、絶縁層IL3の上面UFに対する研磨面BMTの降下量または上面UFに対する研磨面BMTの深さ)制御性が向上する。
【0024】
図2に示すように、配線層MW、プラグ電極PLおよび薄膜抵抗TRは、半導体基板SB上に形成されている。半導体基板SBは、所望の膜厚を有し、平坦な主面SBaと平坦な裏面SBbとを有する。図示しないが、主面SBaには複数のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)と、MISFETを囲むSTI(Shallow Trench Isolation)と呼ばれる素子分離層が形成されている。素子分離層は、隣接するMISFET間を電気的に分離するために設けられている。素子分離層は、半導体基板SBに埋め込まれた絶縁層(例えば、酸化膜)で形成されており、素子分離層(絶縁層)は、主面SBaおよび裏面SBbに対して平行な上面を有している。後述する傾斜角の基準面を主面SBaとする場合、例えば、素子分離層の上面とすることができる。また、傾斜角の基準面を裏面SBbとすることもできる。主面SBa上には複数の絶縁層IL1およびIL2が形成されており、例えば、CMP法で平坦化されかつ主面SBaと略平行な上面を持つ絶縁層IL2上に配線層MWが形成されている。配線層MWは、主導体層MWaとバリア層MWbおよびMWcとの積層構造を有する。主導体層MWaは、例えば、アルミニウム(Al)または銅(Cu)を主成分とする金属膜である。バリア層MWbおよびMWcは、例えば、チタン(Ti)とチタン(Ti)上の窒化チタン(TiN)との積層膜、窒化タンタル(TaN)膜、または、タンタル(Ta)とタンタル(Ta)上の窒化タンタル(TaN)との積層膜からなる。配線層MWは、その側壁および上面を絶縁層IL3で覆われている。絶縁層IL3は、積層膜で構成することも可能であり、例えば、配線層MWの側壁を覆う絶縁層と、配線層MWの上面を覆う絶縁層とを別層とすることもできる。
【0025】
配線層MW上には絶縁層IL3内に設けられたプラグ電極PLが配置されており、絶縁層IL3上には薄膜抵抗TRが形成されている。薄膜抵抗TRの両端に位置するプラグ電極PLにより薄膜抵抗TRは、配線層MWに電気的に接続されている。薄膜抵抗TRは、マスク層MKおよび絶縁層IL4で覆われている。マスク層MKは、薄膜抵抗TRを所望のパターンに加工するためのハードマスクであり、例えば、酸化膜または窒化膜などからなる。絶縁層IL1からIL4は、例えば、酸化膜、窒化膜または酸化膜と窒化膜との積層膜などからなる。
【0026】
図3に示すように、薄膜抵抗TRはプラグ電極PLを介して配線層MWに接続されている。配線層MWは絶縁層IL3で覆われている。絶縁層IL3はCMP法で平坦化され、主面SBaと略平行な上面UFを有する。絶縁層IL3には配線層MWの一部を露出するビア(開口)VAが設けられており、ビアVA内にはプラグ電極PLが埋め込まれ、プラグ電極PLは配線層MWに接触している。
【0027】
ビアVAは、絶縁層IL3に設けられた第1傾斜面SL1,第2傾斜面SL2および第3傾斜面SL3でその周囲を囲まれた(規定された)開口である。第1傾斜面SL1、第2傾斜面SL2および第3傾斜面SL3は、配線層MW側から絶縁層IL3の上面UFに向かって第1傾斜面SL1、第2傾斜面SL2および第3傾斜面SL3の順に並んでいる。第1傾斜面SL1、第2傾斜面SL2および第3傾斜面SL3は、半導体基板SBの主面SBaに対する第1傾斜角θ1、第2傾斜角θ2および第3傾斜角θ3を有する。第2傾斜角θ2は第1傾斜角θ1よりも小さく、第3傾斜角θ3は第2傾斜角θ2よりも小さい。例えば、第1傾斜角θ1は、例えば87°(84°≦θ1<90°)である。第2傾斜角θ2は、例えば70°(65°≦θ2≦75)である。第3傾斜角θ3は、例えば20°(15°≦θ3≦25)である。つまり、第1傾斜面SL1,第2傾斜面SL2および第3傾斜面SL3は、配線層MW側から絶縁層IL3の上面UFに向かって、ビアVAの開口径が広がるように傾斜している。
【0028】
プラグ電極PLは、埋込層BMとバリア層BRとで構成されている。バリア層BRは、ビアVAの底面上と、第1傾斜面SL1および第2傾斜面SL2上とに連続して形成され、ビアVAの底面に設けられたバリア層BRは配線層MWに接触している。バリア層BR上には埋込層BMが形成され、埋込層BMは充填部FMと伸張部EXとを備える。充填部FMは、第1傾斜面SL1で囲まれた第1開口OP1および第2傾斜面SL2で囲まれた第2開口OP2の一部を埋め込むように形成されている(
図9参照)。そして、第2傾斜面SL2上に形成されたバリア層BR上には、充填部FMから伸びるように伸張部EXが形成されている。伸張部EXは第2傾斜面SL2に沿って充填部FMから絶縁層IL3の上面UFに向かって突出している。従って、絶縁層IL3の上面UFから充填部FMの上面である研磨面BMTまでの深さd2は、絶縁層IL3の上面UFから伸張部EXの先端またはバリア層BRの先端までの深さd1よりも深い(大きい)(d2>d1)。言い換えると、伸張部EXの先端またはバリア層BRの先端は、充填部FMの上面である研磨面BMTよりも半導体基板SBの主面SBaから離れている。
【0029】
薄膜抵抗TRは、絶縁層IL3の上面UF上およびビアVA内に設けられ、ビアVA内でプラグ電極PLに接触している。薄膜抵抗TRは、プラグ電極PLの充填部FMおよび伸張部EXに接触しており、第2傾斜面SL2上のバリア層BRにも接触している。薄膜抵抗TRがプラグ電極PLの充填部FMおよび伸張部EXに接触しているため、プラグ電極PLが伸張部EXを有さない場合に比べて、薄膜抵抗TRとプラグ電極PLとの接触抵抗を低減できる。また、薄膜抵抗TRがプラグ電極PLの充填部FM、伸張部EXおよびバリア層BRに接触しているため、プラグ電極PLに伸張部EXおよび第2傾斜面SL2上のバリア層BRが存在しない場合に比べて、薄膜抵抗TRとプラグ電極PLとの接触抵抗を低減できる。プラグ電極PLが伸張部EXを有することで、平面視および断面視において、薄膜抵抗TRとプラグ電極PLとの接触面積が増加し、その結果、接触抵抗が低減される。
【0030】
また、プラグ電極PL上の薄膜抵抗TRは第3傾斜面SL3を介して絶縁層IL3の上面UFに延在している。第3傾斜面SL3の第3傾斜角θ3が、第1傾斜面SL1の第1傾斜角θ1および第2傾斜面SL2の第2傾斜角θ2に比べて小さいため、薄膜抵抗TRの断線を防止または抑制することができる。薄膜抵抗TRの膜厚hが、例えば第3傾斜面SL3による段差d1(絶縁層IL3の上面UFから伸張部EX先端までの深さd1とほぼ等しい)よりも薄い場合、(第3傾斜面SL3のX方向の長さW1)>(第3傾斜面SL3による段差d1)とすることが、薄膜抵抗TRの断線防止に有効である。
【0031】
因みに、薄膜抵抗TRは、例えば、シリコン・クロム(SiCr)、シリコン・クロム・炭素(SiCrC)、ニッケル・クロム(NiCr)、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)等からなる。薄膜抵抗TRの膜厚hは5nm~10nmである。絶縁層IL3の上面UFから伸張部EX先端までの深さ(第3傾斜面SL3による段差)d1は5nm~15nmである。絶縁層IL3の上面UFから充填部FMの上面である研磨面BMTまでの深さd2は50nm未満である。
【0032】
<半導体装置の製造方法>
図4は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示すプロセスフロー図である。
図5~10は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11~12は、比較例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17は、CMPにおける研磨面の高さバラツキを示す図面である。本実施の形態の半導体装置SDの製造工程は、
図4に示すステップS1~S9を含む。
【0033】
図4に示す配線層MW形成工程(ステップS1)および絶縁層IL3形成工程(ステップS2)では、
図5に示すように、絶縁層IL2上に配線層MWを形成する。絶縁層IL2の上面はCMP法による平坦化処理が施されており、配線層MWは絶縁層IL2の平坦面上に形成される。配線層MWは、主導体層MWaとバリア層MWbおよびMWcとの積層構造を有する。主導体層MWaは、例えば、アルミニウム(Al)または銅(Cu)を主成分とする金属膜である。バリア層MWbおよびMWcは、例えば、チタン(Ti)とチタン(Ti)上の窒化チタン(TiN)との積層膜、窒化タンタル(TaN)膜、または、タンタル(Ta)とタンタル(Ta)上の窒化タンタル(TaN)との積層膜からなる。次に、配線層MWを覆うように絶縁層IL3を形成する。絶縁層IL3の上面UFはCMP法で平坦化され、半導体基板SBの主面SBaと並行または略平行になっている。絶縁層IL3は、例えば、酸化膜、窒化膜または酸化膜と窒化膜との積層膜などからなる。
【0034】
図4に示す第1開口OP1形成工程(ステップS3)では、
図6に示すように、絶縁層IL3に第1開口OP1を形成し、配線層MWの一部を露出する。第1開口OP1は、絶縁層IL3に異方性エッチングを施すことによって形成される。第1開口OP1は、絶縁層IL3に形成された第1傾斜面SL1によってその周囲を囲まれており、第1傾斜面SL1によって規定されている。第1傾斜面SL1は、絶縁層IL3の上面UFから配線層MWに達する。第1傾斜面SL1は半導体基板SBの主面SBaに対して第1傾斜角θ1を有し、第1傾斜角θ1は、例えば87°(84°≦θ1<90)とする。
【0035】
図4に示す第2開口OP2形成工程(ステップS4)では、
図7に示すように、第1開口OP1の上部に第2開口OP2を形成する。第2開口OP2は、第2傾斜面SL2でその周囲を囲まれ、第2傾斜面SL2で規定されている。第2傾斜面SL2は半導体基板SBの主面SBaに対して第2傾斜角θ2を有し、第2傾斜角θ2は、例えば70°(65°≦θ2<75°)とする。第2傾斜面SL2は、第1傾斜面SL1を有する絶縁層IL3に対してアルゴン(Ar)雰囲気中でスパッタエッチング(スパッタエッチング処理)を実施することで形成される。このスパッタエッチングにより、第1開口OP1から露出した配線層MW表面の酸化物などを除去することができる。
【0036】
図4に示すバリア層BR形成工程(ステップS5)および埋込金属層BMF堆積工程(ステップS6)では、
図8に示すように、第1開口OP1の底部上(言い換えると、第1開口OP1で露出した配線層MWの上)、第1傾斜面SL1上、第2傾斜面SL2上および絶縁層IL3の上面UF上にバリア層BRを堆積する。次に、バリア層BR上に埋込金属層BMFを堆積し、第1開口OP1および第2開口OP2を埋込金属層BMFで埋め込む。バリア層BRは、例えば、チタン(Ti)膜(下層)と窒化チタン(TiN)膜(上層)との積層膜とし、積層膜の膜厚は50nm程度とする。埋込金属層BMFは、例えば、タングステン(W)を主成分とする金属膜とし、埋込金属層BMFの膜厚は200~800nmとする。また、埋込金属層BMFとして銅(Cu)を主成分とする金属膜とすることもでき、その場合のバリア層BRは、例えば、窒化タンタル(TaN)膜としてもよい。
【0037】
図4に示すCMP工程(ステップS7)について
図9を用いて説明する。CMP法を用いて埋込層BMの一部分である充填部FMを形成し、第2傾斜面SL2上には、充填部FMから露出するバリア層BRを形成する。CMP法を用いて絶縁層IL3の上面UF上の埋込金属層BMFおよびバリア層BRを研磨して除去する。すなわち、第1開口OP1および第2開口OP2外に形成された埋込金属層BMFおよびバリア層BRが除去される。さらに研磨を進め、第2開口OP2内の埋込金属層BMFを部分的に除去し、埋込金属層BMFの研磨面BMTを上面UFから深さd2だけ下げる。こうして第1開口OP1および第2開口OP2の一部を埋め込む埋込層BMの一部である充填部FMを形成する。研磨面BMTは第2傾斜面SL2の途中に位置するが、深さd2は、10nm≦d2<50nmとするのが好ましい。研磨面BMTを上面UFより所定値以上下げることで、上面UF上に埋込金属層BMFおよびバリア層BRが残留するのを防止できる。このCMP工程では、硬質研磨パッドと、絶縁層IL3に対して埋込金属層BMFの研磨レートが高いスラリーを用いる。硬質研磨パッドとは、被研磨膜側に、例えば発砲ポリウレタンが配置された研磨パッドである。また、このCMP工程では、バリア層BRの研磨レートが埋込金属層BMFの研磨レートに比べて小さいことを利用して、第2傾斜面SL2上に充填部FMから露出したバリア層BRを残すことが重要である。つまり、研磨面BMTを絶縁層IL3の上面UFから十分に(深さd2≧10nm)下げることで、充填部FMから突出し、かつ第2傾斜面SL2上に延在するバリア層BRを形成できる。さらに、CMP工程では、バリア層BRから露出した第2傾斜面SL2および上面UFが研磨され、第3傾斜面SL3が形成される。第3開口OP3は第2開口OP2上に位置し、第3傾斜面SL3で周囲を囲まれている(言い換えると、第3傾斜面SL3で規定されている)。第3傾斜面SL3は、半導体基板SBの主面SBaに対して第3傾斜角θ3を有し、第3傾斜角θ3は、例えば20°(15°≦θ3<25°)とする。
【0038】
図4に示すスパッタエッチング工程(ステップS8)では、
図10に示すように、第2傾斜面SL2上で埋込層BMの充填部FMから露出したバリア層BR上に伸張部EXを形成する。伸張部EXは、充填部FMから突出するように連続的に形成され、充填部FMと伸張部EXとで埋込層BMが構成される。そして、埋込層BMとバリア層BRとでプラグ電極PLが構成される。伸張部EXは、充填部FMに対して、アルゴン(Ar)雰囲気中でスパッタエッチング(スパッタエッチング処理)を施すことで形成される。スパッタエッチングにより充填部FMの金属原子が第2傾斜面SL2上のバリア層BRの上に飛散、堆積することで伸張部EXが形成される。第2傾斜面SL2の第2傾斜角θ2が比較的大きく、第3傾斜面SL3の傾斜角θ3が第2傾斜面SL2の傾斜角θ2よりも小さく、上面UFは半導体基板SBの主面SBaと略平行で傾斜角がないため、第2傾斜面SL2上のバリア層BR上に選択的に伸張部EXを形成できる。
【0039】
図4に示す薄膜抵抗TR形成工程(ステップS9)では、
図3に示すように、プラグ電極PL上および絶縁層IL3上に薄膜抵抗TRが形成される。薄膜抵抗TRは、プラグ電極PLの充填部FM、伸張部EXおよびバリア層BRに接触している。プラグ電極PL上の薄膜抵抗TRは第3傾斜面SL3を介して上面UF上に延在している。薄膜抵抗TRは、例えば、スパッタリング法を用いて形成する。この後、薄膜抵抗TRは、
図2に示すマスク層MKを用いて、
図1に示す長方形のパターンに加工される。
【0040】
ここで比較例の半導体装置SD0の製造方法を
図11~12を用いて説明する。比較例の半導体装置SD0は、
図4に示すCMP工程(ステップS7)にバフ研磨工程が追加されている。
図9で説明した研磨(「バフレス研磨」と称す)に続いてバフ研磨を実施することにより、
図11に示すように、埋込層BMの研磨面BMTと絶縁層IL3の上面UFとを等しい高さ(半導体基板SBの主面SBaを基準とする)に揃えることができる。
図9に示すバフレス研磨が終了した構造体に対し、バフ研磨を実施して、研磨面BMTが第1傾斜面SL1に達する位置でバフ研磨を終了する。バフ研磨は、例えば、軟質研磨パッドと、埋込金属層BMFの研磨レートに対して絶縁層IL3の研磨レートが高いスラリーとを用いる。軟質研磨パッドとは、被研磨膜側に、例えば不織布が配置された研磨パッドである。
【0041】
次に、
図4に示すスパッタエッチング工程(ステップS8)を実施した後、
図4に示す薄膜抵抗TR形成工程(ステップS9)を実施して、
図12に示すように、プラグ電極PLおよび絶縁層IL3の上面UFの上に薄膜抵抗TRを形成する。
【0042】
バフレス研磨後にバフ研磨を追加した場合、プラグ電極PLの研磨面BMTと絶縁層IL3の上面UFとが等しい高さになるため、薄膜抵抗TRの断線を防止することができる。しかしながら、プラグ電極PLと薄膜抵抗TRとの接触領域の幅W3は、
図10に示す幅W2に比べ減少するため、プラグ電極PLと薄膜抵抗TRとの接触抵抗が増加してしまう。また、バフ研磨を追加したことで製造コストが増加してしまう。
【0043】
<本実施の形態の半導体装置およびその製造方法の特徴>
本実施の形態の半導体装置によれば、
図3に示すように、埋込層BMが充填部FMと充填部FMから伸びる伸張部EXとを有するため、薄膜抵抗TRとプラグ電極PLとの接触抵抗を低減することができる。
【0044】
また、
図3に示すように、プラグ電極PL上に形成された薄膜抵抗TRは、第1傾斜面SL1および第2傾斜面SL2よりも傾斜が緩やかな第3傾斜面SL3を介して絶縁層IL3の上面に延在しているため、薄膜抵抗TRの断線を防止または抑制することができる。
【0045】
また、
図3に示すように、ビアVA内において、第3傾斜面SL3上にはバリア層BRおよび埋込層BMを介することなく薄膜抵抗TRが延在している。つまり、第3傾斜面SL3上の薄膜抵抗TRは抵抗素子の一部を構成している。そして、第3傾斜面SL3は、半導体基板SBの主面SBaに対して第3傾斜角θ3を有する、言い換えると、絶縁層IL3の上面UFに対して第3傾斜角θ3を有する。従って、ビアVAが第3傾斜面SL3を含まず、上面UFがバリア層BRまで延在する場合に比べて、各薄膜抵抗TRに接続された2つのプラグ電極PL間の平面視における距離を短縮できる。言い換えると、半導体装置SDを小型化できる。
【0046】
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、
図4に示すCMP工程(ステップS7)は、「バフレス研磨」のみとし、
図11の比較例で説明した「バフ研磨」を実施することなく、
図4に示すスパッタエッチング工程(ステップS8)を実施する。プラグ電極PLを「バフレス研磨」によるCMP法で形成するため製造コストを低減できる。
【0047】
また、本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、
図9に示すCMP工程(
図4のステップS7)では、意図的に、研磨面BMTを絶縁層IL3の上面UFから深く掘り下げる。そして、バリア層BRと埋込金属層BMFとの研磨レートの差を利用することで、充填部FMから露出するバリア層BRを第2傾斜面SL2上に形成する。次に、
図10に示すスパッタエッチング工程(
図4のステップS8)では、露出したバリア層BR上に、埋込層BMの一部分である伸張部EXを形成する。次に、
図3に示す薄膜抵抗TR形成工程(
図4のステップS9)では、埋込層BMを構成する充填部FMおよび伸張部EXに接触するように薄膜抵抗TRを形成する。このような製造方法により、薄膜抵抗TRとプラグ電極PLとの接触抵抗を低減することができる。つまり、
図9に示すCMP工程で、充填部FMから露出するバリア層BRを形成するためには、絶縁層IL3の上面UFに対する研磨面BMTの深さd2を10nm以上とすることが重要である。
【0048】
なお、
図17は、CMPにおけるプラグ電極PLの研磨面BMTの高さバラツキを示す図である。「バフ研磨」または「バフレス研磨」を施した各5つのサンプルの研磨面BMTの高さバラツキを示している。
図17では、「バフ研磨」を「バフ有」と示し、「バフレス研磨」を「バフ無」と示している。縦軸のd2は、絶縁層IL3の上面UFから研磨面BMTまでの距離であり、
図3及び
図9に示すd2に対応している。
図17の縦軸において、「-5」は研磨面BMTの高さが上面UFの高さよりも5nm深い(低い)ことを意味する。「バフ有」では、研磨面BMTの高さ設定値(0nm)に対して±5nm以下のバラツキがあり、「バフ無」では、研磨面BMTの高さ設定値(25nm)に対して±5nm以下のバラツキがある。従って、「バフ研磨」で研磨面BMTと上面UFとの間に例えば最大5nmの段差が発生する場合が想定される。本願発明者の検討によれば、この程度の段差では、充填部FMから露出したバリア層BRを形成することはできないことが確認されている。つまり、比較例においては「バフ研磨」による研磨面BMTの高さバラツキが発生しても、充填部FMから露出したバリア層BRは形成されない。
【0049】
<変形例>
変形例は、
図3の第2傾斜面SL2がない構造となっている。
図13は、変形例の半導体装置の断面図である。
図14~16は、変形例の半導体装置の製造工程を示す断面図である。変形例の半導体装置の製造工程は
図4に示す製造工程フローと同様であり、
図14~16は
図7~9に対応している。
【0050】
図13に示すように、変形例の半導体装置SD1では、ビアVAは、絶縁層IL3に設けられた第1傾斜面SL1および第3傾斜面SL3でその周囲を囲まれた(規定された)開口である。プラグ電極PLは第1開口OP1内に形成されており、埋込層BMの伸張部EXは第1傾斜面SL1上に形成されている。
【0051】
伸張部EXおよびバリア層BRは、半導体基板SBの主面SBaに対して傾斜角θ1を有する第1傾斜面SL1上に形成されているため、薄膜抵抗TRとプラグ電極PLとの接触抵抗を低減できる。また、プラグ電極PL上の薄膜抵抗TRは、第1傾斜面SL1よりも緩やかな傾斜を有する第3傾斜面SL3を介して絶縁層IL3の上面UFに延在しているため、薄膜抵抗TRの断線を防止または抑制できる。
【0052】
図14は、
図7に対応しており、
図4の第2開口OP2形成工程(ステップS4)を示す。第2開口OP2は、
図7に示される第2開口OP2に比べ浅い。
【0053】
図15は、
図8に対応しており、
図4のバリア層BR堆積工程(ステップS5)および埋込金属層BMF堆積工程(ステップS6)を示す。
図15の説明は
図8の説明と同様である。
【0054】
図16は、
図9に対応しており、
図4のCMP工程(ステップS7)を示す。
図16に示すように、埋込層BMの充填部FMの研磨面BMTは第1傾斜面SL1に達しており、その深さd2aを有する。CMP工程では、
図15の第2傾斜面SL2は研磨されてなくなり、第1傾斜面SL1に続いて第3傾斜面SL3が形成される。
【0055】
次に、
図4のスパッタエッチング工程(ステップS8)および薄膜抵抗TR形成工程(ステップS9)を実施することにより、
図13に示すように、第1傾斜面SL1上のバリア層BR上に伸張層EXを形成し、プラグ電極PL上に薄膜抵抗TRを形成する。
【0056】
変形例においても、上記実施の形態と同様に、薄膜抵抗TRの断線を防止または抑制することができる。
【0057】
また、上記実施の形態と同様に、各薄膜抵抗TRに接続された2つのプラグ電極PL間の平面視における距離を短縮できる。
【0058】
また、CMP工程はバフレス研磨であるため製造コストを低減できる。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0060】
その他、上記実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0061】
[付記1]
主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記主面上に形成された配線層と、
前記配線層を覆うように設けられ、上面と、前記配線層の一部を露出するビアとを有する絶縁層と、
前記ビア内に設けられたプラグ電極と、
前記プラグ電極上および前記絶縁層上に設けられ、前記プラグ電極を介して前記配線層に電気的に接続された薄膜抵抗と、
を備える半導体装置であって、
前記ビアは、その周囲が前記配線層に接する第1傾斜面と、前記第1傾斜面につながる第2傾斜面とを含み、
前記第1傾斜面は、前記主面に対して第1傾斜角を有し、
前記第2傾斜面は、前記主面に対して第2傾斜角を有し、
前記第1傾斜角は90°未満であり、前記第2傾斜角は、前記第1傾斜角よりも小さく、
前記プラグ電極は、前記第1傾斜面上に延在するバリア層と、前記バリア層上に設けられた埋込層とを有し、
前記埋込層は、前記バリア層上に形成され、前記第1傾斜面で囲まれた領域を埋める充填部と、前記充填部から前記上面に向かって伸びる伸張部とを有し、
前記薄膜抵抗は、前記充填部と前記伸張部とに接触している、半導体装置。
【0062】
[付記2]
配線層と、前記配線層を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた薄膜抵抗と、前記絶縁層内に設けられ、前記薄膜抵抗を前記配線層に接続し、かつバリア層と埋込層とを含むプラグ電極と、を備える半導体装置の製造方法であって、
(a)主面を有する前記半導体基板と、前記半導体基板の前記主面上に設けられた前記配線層と、前記配線層を覆い、かつ上面を有する前記絶縁層とを準備する工程、
(b)前記絶縁層に前記配線層の一部を露出し、かつ第1傾斜面で囲まれた第1開口を形成する工程、
(c)前記第1開口の上部に第2傾斜面で囲まれた第2開口を形成する工程、
(d)前記第1開口から露出した前記配線層、前記第1傾斜面、前記第2傾斜面および前記上面の上に前記バリア層を形成する工程、
(e)前記バリア層上に埋込金属層を形成することによって、前記第1開口および前記第2開口を埋め込む工程、
(f)前記埋込金属層にCMP処理を施し、前記上面上および前記第2開口内の前記バリア層および前記埋込金属層を除去することによって、前記第1開口の一部を埋めるように、前記埋込層の一部を構成する充填部を形成する工程、
(g)前記充填部にスパッタエッチング処理を施すことによって、前記第1傾斜面に沿う前記バリア層上に前記充填部から伸び、かつ前記埋込層の一部を構成する伸張部を形成する工程、
(h)前記充填部および前記伸張部に接するように前記プラグ電極上に前記薄膜抵抗を形成する工程、
を備え、
前記(f)工程では、前記第2傾斜面を除去して前記第1傾斜面につながる第3傾斜面を形成し、
前記第1傾斜面は、前記主面に対して第1傾斜角を有し、
前記第3傾斜面は、前記主面に対して第3傾斜角を有し、
前記第1傾斜角は90°未満であり、前記第3傾斜角は、前記第1傾斜角よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0063】
BM 埋込層
BMF 埋込金属層
BMT 研磨面
BR バリア層
EX 伸張部
FM 充填部
IL1,IL2,IL3,IL4 絶縁層
MK マスク層
MW 配線層
MWa 主導体層
MWb,MWc バリア層
OP1,OP2,OP3 開口
PL プラグ電極
SB 半導体基板
SBa 主面
SBb 裏面
SL1,SL2,SL3 傾斜面
TR 薄膜抵抗(薄膜抵抗素子)
UF 上面
VA ビア(開口)