(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181710
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】充電コネクター用ホルダー
(51)【国際特許分類】
H01M 10/46 20060101AFI20231218BHJP
H01R 13/60 20060101ALI20231218BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231218BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20231218BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20231218BHJP
【FI】
H01M10/46 101
H01R13/60
H02J7/00 P
H02J7/00 301B
B60L53/16
B60L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094989
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】峯村 知孝
【テーマコード(参考)】
5E021
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC36
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H030AS08
5H030AS18
5H030DD13
5H030DD15
5H030DD23
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】充電コネクターをホルダーに保持した状態を確実かつ簡易にロックし、このロックを確実かつ簡便に解除する。
【解決手段】ホルダーHは、ラッチ41及びコイルスプリング42、ロックレバー43及びコイルスプリング44、ソレノイド45、ガイドレバー46及びコイルスプリング47、トリガー48からなる電気錠4を備え、この電気錠4により、フック93とフック係合部3との係合状態を押さえ込み保持するラッチ41をロックし、ロックを解除する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の充電口に接続するための充電コネクターの給電嵌合部を接続可能なコネクター保持部と、充電コネクターの給電嵌合部の周囲に近接して電動車両の充電口のフック係合部に係合させるために配設され、常態としてばねにより給電嵌合部の外周面に向けて付勢されて、充電コネクターに具備する解除ボタンの操作により給電嵌合部の外周面から離れる方向に移動可能な形式のフックと係合可能なフック係合部と、を備え、充電コネクターの給電嵌合部を前記コネクター保持部に合わせるとともに、前記フックと前記フック係合部とを対応させて、充電コネクターを前記コネクター保持部に押し込み挿入することにより、充電コネクターの給電嵌合部を前記コネクター保持部に接続し、前記フックと前記フック係合部とを係合させて、充電コネクターを保持する充電コネクター用ホルダーにおいて、
前記フックと前記フック係合部との係合状態をロックする電気錠を備え、
前記電気錠は、
周面にロック溝を有し、前記フック係合部の周囲に前記フックを背後から押え込み可能に前記フック係合部に向けて進退可能に配置されるラッチ、及び前記ラッチを常態として前記フック係合部に向けて前記フックを押え込み保持可能に押圧付勢するラッチ押圧付勢用のばね部材と、
一端に前記ラッチの前記ロック溝に係合可能なロック爪を有し、前記ロック爪を前記ラッチの周面の前記ロック溝を有する面に向けるロック方向又はその反対のロック解除方向に回動可能にかつ前記ラッチによる前記フックの押え込み位置で前記ラッチの前記ロック溝に係合可能に軸支されるロックレバー、及び前記ロックレバーを常態として前記ロック方向に回動付勢するロックレバー回動付勢用のばね部材と、
前記ロックレバーの他端側に設置され、前記ロックレバーの他端にプランジャを作動連結されて、通電により、前記ロックレバーを前記ロック解除方向に駆動するソレノイドと、
前記ロックレバーの一端側に前記ロックレバーと同じ方向に回動可能に軸支されて、一端が前記ロックレバーの一端に作動連結されて、前記ロックレバーを前記ロック方向又は前記ロック解除方向に回動案内するガイドレバー、及び前記ガイドレバーを常態として前記ロックレバーを前記ロック解除方向に回動案内し前記ロックレバーのロック解除状態を保持可能に回動付勢する前記ロックレバー回動付勢用のばね部材よりも大きいばね力を有するガイドレバー回動付勢用のばね部材と、
前記コネクター保持部内に充電コネクターの給電嵌合部の前記コネクター保持部に対する挿脱方向に進退可能に配置され、一端が前記コネクター保持部外に突出されて前記ガイドレバーの他端に作動連結され、他端が充電コネクターの給電嵌合部により押圧可能に前記コネクター保持部内に突出されて、当該他端の押圧により、前記ガイドレバーを介して前記ロックレバーを前記ロック方向に回動案内するトリガーと、
を備え、
充電コネクターの給電嵌合部を前記コネクター保持部に接続することにより、前記フック係合部に係合される前記フックが前記ラッチにより押さえ込まれるとともに、前記ラッチのロック溝と前記ロックレバーの前記ロック爪との係合により、前記ラッチがロックされ、
前記ソレノイドの通電により、前記ラッチのロックが解除される、
ことを特徴とする充電コネクター用ホルダー。
【請求項2】
電気錠に非常用のロック解除ユニットが併設され、前記ロック解除ユニットは、コネクター保持部と並列に装着され、一端の鍵孔を有し、当該鍵孔に鍵を挿入してローターを回転する形式のシリンダー錠と、前記ローターに前記ロータの半径方向に向けて前記ロータ―と一体回転可能に取り付けられ、前記ローターの回転により、ロックレバーに係合し、前記ロックレバーをロック解除方向に回動するロック解除レバーとからなる請求項1に記載の充電コネクター用ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源からの充電ケーブルの先端に設けられて、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッドカー(PHV)などの電動車両の車載電池の充電に使用する充電コネクターを、充電装置の周囲や建物、塀の壁面など充電コネクターの設置面に保持するのに用いる充電コネクター用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッドカーなどの電動機を動力源とする電動車両の普及が進む中、これらの電動車両に電気を供給するために、公道沿いの公共の空間や民間事業者の施設内などに充電装置を置く給電ステーション(充電スタンドとも言う。)が整備されつつあり、また、一般住宅やマンションの駐車場などでも充電装置が併設されつつある。この種の充電装置は、充電装置本体と、この本体に接続される充電ケーブルと、充電ケーブルの先端に装着される充電コネクターとを備え、充電コネクターを各種電動車両に設けられる充電口に接続して充電するようになっている。
【0003】
図11に一般的な充電コネクターの概要を示している。
図11に示すように、充電コネクター9は、略円柱状のボディ90、及びボディ90の軸方向一端側から軸方向に沿って突出され、先端の開口面に複数極の端子を配置された円筒状の給電嵌合部91と、ボディ90の軸方向他端側から斜めに延びるグリップ92とを一体に備え、全体としてガン型に構成され、給電嵌合部91を電動車両の充電口に設けられたインレットに差し込むことで、電動車両の車載電池に電気的に接続されるようになっている。また、この充電コネクター9と電動車両の充電口とを機械的に接続するために、ボディ90の軸方向一端側には、給電嵌合部91の外側に、電動車両側の充電口に設けられたフック係合部に係合されて、充電コネクター9と電動車両側の充電口との接続状態を保持するフック93が設けられる。このフック93は先端に給電嵌合部91の外周面に向けて突出する爪931を有し、このフック93の先端側が爪931の突出方向において進退自在に構成され、この爪931が常態としてバネ94の付勢力によって給電嵌合部91側に押し付けられるようになっている。そして、このフック93の基端側のボディ90に、フック93による押し付け状態を解除するための解除ボタン95が設けられ、ユーザーが解除ボタン95を押すと、バネ94の付勢力に抗してフック93が給電嵌合部91の外周面から離れる方向に移動し、電動車両側の充電口のフック係合部と爪931との係止状態が解除されるようになっている。また、この充電コネクターの場合、給電嵌合部91の下部に電動車両の充電口にガイドとして形成された凹部に係合可能な凸部96が軸方向に向けて設けられる。なお、充電コネクター9のグリップ92の下端側には充電ケーブルCが接続される。充電ケーブルCは、電力を給電するための給電ケーブルと制御信号を入出力するための通信ケーブルとからなり、その基端部は、充電装置の場合、充電装置の電源部に接続され、一般家庭の電源を用いる場合は、電源コンセントに接続できるようにプラグが装着される。
【0004】
ところで、給電ステーションの場合でも一般家庭の場合でも、充電装置を使用しない間は、充電装置の周囲や建物、塀の壁面などで人の手の届く高さの範囲に充電コネクターを給電嵌合部を保護して保持し、また、充電ケーブルを巻き掛るためのホルダーが必要となる。
【0005】
この種の充電コネクター用ホルダーが例えば特許文献1により提案されている。
この文献1の充電コネクター用ホルターは、充電装置本体に固定ねじを用いて固定されるベースと、ベースの前面側に取り付けられるホルダー本体とを備え、全体として上下方向に長い略箱状に形成される。ホルダー本体の上部には充電ケーブルを掛け回すための凹部が設けられ、ホルダー本体の下部前側の角には斜めに傾斜するテーパー部が設けられて、テーパー部には、充電コネクターの嵌合部(給電嵌合部)が差し込み接続される保持部(コネクター保持部)が設けられる。この場合、保持部は、略円形の底部と、この底部の周部から底部と直交する方向に突出する側部とにより丸穴状に形成され、テーパー部に開口している。また、保持部の内径は充電コネクターの嵌合部の外径よりも若干大きく、下斜め前方に開口しており、この保持部に下側から嵌合部が差込接続されるようになっている。また、ホルダー本体の前面において保持部の上側には充電コネクターのフックが挿入される凹部が設けられ、この凹部の内側にはフックの爪が係止可能な突起が設けられる。また、ホルダー本体の前面において凹部よりも上側には、下側ほど前方への突出量が大きくなるように斜めに傾斜するフードが一体に設けられており、雨水などが凹部や保持部に入り込みにくくなっている。
【0006】
このようにしてホルダー本体は充電装置の周囲にベースを介して複数のねじにより取り付けられる。そして、充電コネクターをホルダー本体に保持するときは、充電コネクターの嵌合部をホルダー本体の保持部に挿入し押し込む。これによりフックが凹部内に挿入されフックの掛止爪が凹部内の突起に係止されて、充電コネクターがホルダー本体に固定保持される。充電ケーブルはホルダー本体の上から上部の凹部に巻き掛けておく。充電コネクターをホルダー本体から取り外す場合は、解除ボタンを押下することでフックと凹部の突起との係合が外れるので、この状態で充電コネクターを保持部から引き抜けばよい。
【0007】
また、このホルダーの場合、ホルダー本体の前面に3桁のダイアル鍵を有する円盤状の摘みが設けられている。この摘みの回転軸には長尺の板金からなる規制片がネジ止めされ、この規制片の先端に樹脂製のカバーが取り付けられる。ダイアル鍵の3桁の数字が所定の番号に一致していれば、摘みを回転させることができ、摘みを正転又は逆転させると、規制片が正転又は逆転する。規制片は所定の施錠位置と解除位置との間で回転自在となっている。このようにして、ユーザーが充電コネクターをホルダー本体に挿入した後、摘みを回し規制片を所定の規制位置に移動させて、ダイアル鍵を用いて施錠すると、充電コネクターのフックが規制片先端のカバーに当たって突起から離れる方向に移動できなくなり
、充電コネクターがホルダー本体に保持された状態でロックされる。このロック状態においてユーザーがダイアル鍵を操作してロックを解除すると、摘みの回転が可能になり、ロック解除後にユーザーが摘みを回して、規制片を解除位置に移動させると、充電コネクターの解除ボタンを押すことによってフックを突起から離れる方向へ移動させることができ、充電コネクターをホルダー本体から取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この種の充電コネクター用ホルダーは、既述のとおり、充電装置(本体)の周囲や建物、塀の壁面などに取り付けられて、充電装置の待機状態、つまり、充電装置を使用しないときに、充電コネクターの給電嵌合部を保護しつつ保持するため、また、充電ケーブルを巻き掛け整理整頓するために使用される。この場合、充電コネクターが、特に急速式の充電装置の場合、数十キロワットの出力を有し、直流で数百アンペア、数百ボルトが流れるために、充電装置の待機状態では、充電コネクターがホルダー本体に確実に保持されることは勿論のこと、さらに、充電コネクターのいたずらや不正な使用を防ぎ、充電コネクターの損傷を防止する観点から、また、充電コネクターの先端は電極が露出されているため、充電コネクターが放置されないように、安全上の観点からも、充電コネクターがホルダー本体に保持されている状態がロック(施錠)されることが望ましい。
【0010】
しかしながら、上記従来の充電コネクター用ホルダーのようなダイヤル錠では、また鍵を用いる通常のシリンダー錠であっても、不特定多数のユーザーが利用する給電ステーションの充電装置や多くのユーザーに利用されるマンション駐車場の充電装置で使用するには、暗証番号や鍵の管理が困難で実用的にも不向きであり、また、このような手動式の錠前ユニットでは充電装置に課金システムを導入する場合に併用できない、という問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の充電コネクター用ホルダーにおいて、不特定多数のユーザーが利用する給電ステーションの充電装置や多くのユーザーに利用されるマンション駐車場の充電装置などでの使用に最適な錠形式で、充電コネクターをホルダー本体に保持した状態を確実かつ簡易にロック(施錠)し、このロック状態を確実かつ簡便に解除し得る錠ユニットを備えること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、
電動車両の充電口に接続するための充電コネクターの給電嵌合部を接続可能なコネクター保持部と、充電コネクターの給電嵌合部の周囲に近接して電動車両の充電口のフック係合部に係合させるために配設され、常態としてばねにより給電嵌合部の外周面に向けて付勢されて、充電コネクターに具備する解除ボタンの操作により給電嵌合部の外周面から離れる方向に移動可能な形式のフックと係合可能なフック係合部と、を備え、充電コネクターの給電嵌合部を前記コネクター保持部に合わせるとともに、前記フックと前記フック係合部とを対応させて、充電コネクターを前記コネクター保持部に押し込み挿入することにより、充電コネクターの給電嵌合部を前記コネクター保持部に接続し、前記フックと前記フック係合部とを係合させて、充電コネクターを保持する充電コネクター用ホルダーにおいて、
前記フックと前記フック係合部との係合状態をロックする電気錠を備え、
前記電気錠は、
周面にロック溝を有し、前記フック係合部の周囲に前記フックを背後から押え込み可能に前記フック係合部に向けて進退可能に配置されるラッチ、及び前記ラッチを常態として前記フック係合部に向けて前記フックを押え込み保持可能に押圧付勢するラッチ押圧付勢用のばね部材と、
一端に前記ラッチの前記ロック溝に係合可能なロック爪を有し、前記ロック爪を前記ラッチの周面の前記ロック溝を有する面に向けるロック方向又はその反対のロック解除方向に回動可能にかつ前記ラッチによる前記フックの押え込み位置で前記ラッチの前記ロック溝に係合可能に軸支されるロックレバー、及び前記ロックレバーを常態として前記ロック方向に回動付勢するロックレバー回動付勢用のばね部材と、
前記ロックレバーの他端側に設置され、前記ロックレバーの他端にプランジャを作動連結されて、通電により、前記ロックレバーを前記ロック解除方向に駆動するソレノイドと、
前記ロックレバーの一端側に前記ロックレバーと同じ方向に回動可能に軸支されて、一端が前記ロックレバーの一端に作動連結されて、前記ロックレバーを前記ロック方向又は前記ロック解除方向に回動案内するガイドレバー、及び前記ガイドレバーを常態として前記ロックレバーを前記ロック解除方向に回動案内し前記ロックレバーのロック解除状態を保持可能に回動付勢する前記ロックレバー回動付勢用のばね部材よりも大きいばね力を有するガイドレバー回動付勢用のばね部材と、
前記コネクター保持部内に充電コネクターの給電嵌合部の前記コネクター保持部に対する挿脱方向に進退可能に配置され、一端が前記コネクター保持部外に突出されて前記ガイドレバーの他端に作動連結され、他端が充電コネクターの給電嵌合部により押圧可能に前記コネクター保持部内に突出されて、当該他端の押圧により、前記ガイドレバーを介して前記ロックレバーを前記ロック方向に回動案内するトリガーと、
を備え、
充電コネクターの給電嵌合部を前記コネクター保持部に接続することにより、前記フック係合部に係合される前記フックが前記ラッチにより押さえ込まれるとともに、前記ラッチのロック溝と前記ロックレバーの前記ロック爪との係合により、前記ラッチがロックされ、
前記ソレノイドの通電により、前記ラッチのロックが解除される、
ことを要旨とする。
【0013】
この充電コネクター用ホルダーはまた、電気錠に非常用のロック解除ユニットが併設され、前記ロック解除ユニットは、コネクター保持部と並列に装着され、一端に鍵孔を有し、当該鍵孔に鍵を挿入してローターを回転する形式のシリンダー錠と、前記ローターに前記ロータの半径方向に向けて前記ロータ―と一体回転可能に取り付けられ、前記ローターの回転により、ロックレバーに係合し、前記ロックレバーをロック解除方向に回動するロック解除レバーとからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の充電コネクター用ホルダーによれば、上記の構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
すなわち、このホルダーでは、充電コネクターの給電嵌合部をコネクター保持部に合わせるとともに、フックとフック係合部とを対応させて、充電コネクターを、フックでラッチをばねの付勢力に抗して押し込みながら、コネクター保持部に押し込み挿入することにより、充電コネクターの給電嵌合部をコネクター保持部に接続し、フックとフック係合部とを係合させるとともに、ラッチによりフックを背後から押え込み保持し、このラッチを電気錠のロックレバーによりロックするようにした。このようにしたことで、充電コネクターをこのホルダーに挿入し押し込むだけの通常の操作で、充電コネクターをこのホルダーに保持し、この保持した状態を自動的にロックすることができる。したがって、不特定多数のユーザーが利用する給電ステーションの充電装置や多くのユーザーに利用されるマンション駐車場の充電装置などでの使用に最適な錠形式を実現し、しかも、充電コネクターのこのホルダーに保持した状態を確実かつ簡易にロックすることができる。
また、電気錠のソレノイドを通電することにより、ロックレバーをロック解除方向に回動して、フックのロックを解除するようにしたので、例えば、ソレノイドのコントローラー側に、接触式又は非接触式のICカードなどをカードリーダーで読み取ることで、又はスマートフォンなどの携帯端末の機能を用いて、電気信号を送るようにすることにより、接触式又は非接触式のICカードやスマートフォンなどを用いた簡単な操作で、充電コネクターとこのホルダーとのロック状態を自動的に解除することができ、充電コネクターを不特定多数のユーザーが利用する給電ステーションの充電装置や多くのユーザーに利用されるマンション駐車場の充電装置などでの使用に最適な錠形式で、充電コネクターとこのホルダーとのロック状態を確実かつ簡便に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態による充電コネクター用ホルダーの外観を充電コネクターとともに示す斜視図
【
図2】同ホルダーの構成を充電コネクターの要部の構成と共に示す側面断面図
【
図4】同ホルダーの通常の使用例(充電コネクターを同ホルダーに保持する前の状態)を示す図
【
図5】同ホルダーの通常の使用例(充電コネクターを同ホルダーに差し込み、挿入途中の状態)を示す図
【
図6】同ホルダーの通常の使用例(充電コネクターを同ホルダーに差し込み、挿入を完了して、フックとフック係合部が係合された状態のフックがラッチで押え込まれてロックされた状態)を示す図
【
図7】同ホルダーの通常の使用例(同ホルダーに保持された充電コネクターのフックを押え込みロックするラッチが電気錠の通電によりロック解除された状態)を示す図
【
図8】同ホルダーの通常の使用例(同ホルダーに保持された充電コネクターのフックを押え込みロックするラッチのロック解除後、充電コネクターをコネクター保持部から引き抜く、引き抜き途中の状態)を示す図
【
図9】同ホルダーの通常の使用例(同ホルダーに保持された充電コネクターのフックを押え込みロックするラッチのロック解除後、充電コネクターをコネクター保持部から引き抜いた、引き抜き完了の状態)を示す図
【
図10】同ホルダーの特に非常用のロック解除ユニットの使用例((1)はロック解除前(2)はロック解除後の各状態を)を示す図
【
図11】電気自動車(EV)やプラグインハイブリッドカー(PHV)などの電動車両の車載電池の充電に使用する一般的な充電コネクターを示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1は充電コネクター用ホルダーの外観を充電コネクターの要部とともに示している。
図2、
図3はそれぞれ、充電コネクター用ホルダーの構成を示している。
なお、
図1、
図2に示す充電コネクター9の構成については既に説明したとおりであり、以下の説明の中で使用される「充電コネクター9の給電嵌合部91」又は「給電嵌合部91」は「電気自動車、プラグインハイブリッドカーなどの電動車両の充電口に接続するための充電コネクターの給電嵌合部」をいい、「充電コネクター9のフック93」又は「フック93」は「充電コネクターの給電嵌合部の周囲に近接して電動車両の充電口のフック係合部に係合させるために配設され、常態としてばねにより給電嵌合部の外周面に向けて付勢されて、充電コネクターに具備する解除ボタンの操作により給電嵌合部の外周面から離れる方向に移動可能な形式のフック」をいい、「凸部96」は「給電嵌合部の下部に電動車両の充電口にガイドとして形成された凹部に係合可能な凸部」をいう。必要に応じて、
図11を参照されたい。
【0017】
図1、
図2に示すように、充電コネクター用ホルダーHは、このホルダーHの外形をなし、このホルダーHの各機能部を組み入れるためのホルダー本体1と、このホルダーHの機能部として、充電コネクター9の給電嵌合部91を接続可能なコネクター保持部2、及び充電コネクター9のフック93と係合可能なフック係合部3とを備え、充電コネクター9の給電嵌合部91をコネクター保持部2に合わせるとともに、フック93とフック係合部3とを対応させて、充電コネクター9をコネクター保持部2に押し込み挿入することにより、充電コネクター9の給電嵌合部91をコネクター保持部2に接続し、フック93とフック係合部3とを係合させて、充電コネクター9を保持するようになっている。
【0018】
そして、この充電コネクター用ホルダーHにあっては、特に、フック93とフック係合部3との係合状態をロックする電気錠4と、非常用のロック解除ユニット5とを併せて備える。
【0019】
この充電コネクター用ホルダーH(以下、単にホルダーHという。)では、ホルダー本体1は、充電装置の周囲や建物、塀の壁面などのホルダー設置面に取付ねじを用いて固定されるホルダーベース11と、ホルダーベース11の前面側に取付ねじにより取り付けられ、前面部121の下部に開口され充電コネクター9の給電嵌合部91を保持可能なコネクター保持部2、前面部121の上下方向中間部に開口され充電コネクター9のフック93を通し係止可能なフック係合部3、前面部121のフック係合部3に近接して開口され非常用のロック解除ユニット5を装着可能なロック解除ユニット取付部130を有するホルダーケース12とからなる。
【0020】
ホルダーベース11は、例えばステンレススチールなどの金属材料からなる縦に長い略平板状のプレートで、上縁部を大きい円弧状に下縁部を小さい円弧状に形成されて、全体が上部から下部に向けて漸次幅狭のテーパ状に形成される。このホルダーベース11の上部側の一部P1が充電ケーブルの懸架部1221の一部をなし、その下部がホルダーケース12の取付部P2で、その上部にホルダーケース12のための受け部111が形成され、適宜の位置に複数のねじ挿通孔(図示省略)が穿たれる。なお、このホルダーベース11側の受け部111は、ホルダーベース11の取付部P2の上部中央に断面略L字形に形成されて、取付部P2の前面に連続してホルダーベース11の幅方向に延びる水平部111aと、水平部111aの前端部から立ち上げられてホルダーベース11の幅方向に延びる垂直部111bとを有し、水平部111aにその延びる方向に沿って差し込み口が貫通形成されてなる。
【0021】
ホルダーケース12は、例えばポリエステル系のプラスチックなどの合成樹脂材からなり、前面部121、上面部122、左右の側面部123,124、底面部125を有し、後面部126は開口されて、全体がホルダーベース11の取付部P2に被着可能に形成される。上面部122は、充電コネクター9に接続される充電ケーブルCの懸架部1221の残部として左右方向中央部から左右両側に向けて漸次下方傾斜の略円弧状に形成され、かつ前面部121の上端部121tが上面部122の高さよりも上方に延ばされて、(ホルダーベース11とホルダーケース12との組み立て時に)ホルダーベース11の上部側の一部P1とともに略凹状をなす。左右の両側面部123、124はそれぞれ下部から上部にかけて漸次幅広に形成されて、前面部121の上部側がホルダーベース11から最も離れ、前面部121が上部側から下部に向けて漸次ホルダーベース11に近接する傾斜面(つまり、下向きの傾斜面)をなす。この前面部121に対して上面部122の懸架部1221、コネクター保持部2及びフック係合部3がそれぞれ直角方向に形成されて、これら懸架部1221、コネクター保持部2及びフック係合部3はホルダーベース11側が高く前面部121側を低くして斜め(つまり、前面部121側が下向きの斜め)に形成される。
【0022】
このようなホルダーケース12において、コネクター保持部2は、このホルダーケース12の前面部121の下部に開口され、ホルダーベース11の取付部P2前面に当接可能にホルダーケース12の後面部126開口(面)まで延び、ホルダーケース12の後面部126側の端面を底部とする有底円筒状に形成される。この場合、コネクター保持部2は底部の中央が小径の円筒部になっていて、底部はこの中央の円筒部とこの円筒部の周囲の平面部とからなり、この円筒部がホルダーケース12の後面部126開口(面)まで延びている。この底部において、円筒部周囲の平面、この場合、上部に後述するトリガー48が挿通可能に挿通孔21が穿たれる。なお、このコネクター保持部2の内周面の下部に軸方向に向けて溝22が形成され、この溝22に充電コネクター9の給電嵌合部91の下部に設けられた凸状部96が係合可能になっている。
【0023】
またこのホルダーケース12において、フック係合部3は、このホルダーケース12の前面部121のコネクター保持部2の直上部に凹部31が形成されその奥の面の略中央に係止穴30が形成されてなる。凹部31は、充電コネクター9でも他の機種の充電コネクターでもボディ90の特にフック93回り、すなわち、ボディ90のフック収納部901の先端側が嵌合可能に係止穴30の周囲を各種機種のフック収納部901の先端側に対応する形状及び大きさに拡張して形成される。係止穴30はこの凹部31の奥の面に充電コネクター9のフック93が挿通可能にかつ係止可能に形成される。この場合、係止穴30の下部縁部の内側面(ホルダーケース12の内部から見て係止穴30の下部縁部の内側面)がフック93の係止面となる。また、この凹部31内で係止穴30の下部縁部の外側に、先端に前方に向けて下方傾斜面を有する凸状部が形成され、これが充電コネクター9のフック93を係止穴30の下部縁部の内側面(係止面)に移動案内するガイド部32になっている。このガイド部32の先端傾斜面を含む上面から係止穴30の下部縁部の内側面(係止面)までが充電コネクター9のフック93の係合面になる。
【0024】
さらに、このホルダーケース12においては、前面部121にフック係合部3に近接してロック解除ユニット取付部130が設けられる。この場合、この取付部130として、前面部121のフック係合部3の上部で一方の側部側、ここでは右側にロック解除ユニット5を挿着可能に孔が形成される。
【0025】
このようにしてホルダーケース12の前面部121に、コネクター保持部2、フック係合部3及びロック解除ユニット取付部130が形成されて、ホルダーケース12の内部でフック係合部3及びロック解除ユニット取付部130の背後にそれぞれ、電気錠取付部、ロック解除ユニット取付部が設けられる。
【0026】
なお、このホルダーケース12には、このケース内の上部にホルダーベース11側の受け部111に対応してホルダーケース12側の係止部14がホルダーケース12の後部面126開口に向けて突出しホルダーベース側の受け部11に係合可能に形成される。この場合、ホルダーケース12側の係止部14は、ステンレススチールなどの剛性を有する金属材料により断面略L字形に形成されて、ホルダーケース12の前面部121側から後面部126開口まで延びる突出部141と、突出部141の後面部126側の端部に鉤形に形成されてホルダーベース側の受け部111に差し込み口を通して係合可能な爪部142とからなる。また、このケース内の適宜の位置に複数のねじ挿通部がホルダーベース11側の各ねじ挿通部に連通可能に形成される。
【0027】
このホルダーケース12の電気錠取付部に電気錠4が取り付けられる。
電気錠4は、ラッチ41と、ラッチ押圧付勢用のばね部材42と、ロックレバー43及びロックレバー回動付勢用のばね部材44と、ソレノイド45と、ガイドレバー46及びガイドレバー回動付勢用のばね部材47と、トリガー48と、非常用のロック解除ユニット5とを備えて構成される。
【0028】
ラッチ41は、周面にロック溝410を有し、ホルダーケース12内のフック係合部3の周囲に、充電コネクター9のフック93を背後から押え込み可能に、フック係合部3に向けて進退可能に配置される。
【0029】
この場合、ラッチ41は、フック係合部3の係止穴30の径と略同じか少し小さい長さで充電コネクター9のフック93の幅よりも少し大きい幅を有する水平断面四角形のブロックからなる。なお、このラッチ41はプレート状のものであってもよい。ロック溝410はこのラッチ41の背面、言い換えれば、ラッチ41がホルダーケース12内に取り付けられた状態でホルダーケース12の後部面126開口に対向する面に、その長さ方向(上下方向)中間部に後述するロックレバー43のロック爪43Lが係合可能に形成される。この場合、ロック溝410はラッチ41の背面で上下方向略中央にロック爪43Lが嵌合可能に上下方向に延びる側面視略円弧状に背面視略線状に形成される。なお、このラッチ41の正面の先端(下端)は先方(下方)に向けて下り傾斜のガイド面になっている。
【0030】
また、この場合、ホルダーケース12内の電気錠取付部にラッチ41を移動案内するラッチガイド411を有する。このラッチガイド411は、フック係合部3の周囲として、凹部31の内面上部でフック係合部3に対向する位置に、フック係合部2に対して略直角方向に、ラッチ41を嵌挿可能に、略角筒形に形成される。なお、この場合、このラッチガイド411は、ホルダーケース12の前面部121の内面に凸状部が形成され、この凸状部の後方にプレートが取り付けられて、これら凸状部とプレート(後述の中間プレート部)との間に画成される。また、このプレートは、電気錠4各部の取付プレートとして兼用され、ホルダーケース12の前面部121と平行な中間プレート部と、中間プレート部の左右上部から後面部126開口に向けて延びる上部一対の軸受プレート部と、中間プレート部の左右下部から後面部126開口に向けて延びる下部一対の軸受プレート部と、中間プレート部の上端部から前面部121に向けて延びる上プレート部と、中間プレート部の下端部から後面部126開口に向けて延びる下プレート部と、下プレート部の端部から下方向に直角に延びる下延長プレート部とからなる。
【0031】
このようにしてラッチ41はホルダーケース12内の電気錠取付部に形成されたラッチガイド411に挿入配置されて、充電コネクター9のフック93を背後(上部)から押え込み可能に、フック係合部3に向けて進退可能になっている。
【0032】
ラッチ押圧付勢用のばね部材42は、ラッチ41を常態としてフック係合部3に向けて充電コネクター9のフック93を押え込み保持可能に押圧付勢するもので、ラッチ41の取付位置に近接して設けられ、ラッチ41に作動連結される。この場合、このばね部材42にコイルスプリング(以下、コイルスプリング42という。)が採用され、コイルスプリング42がラッチ41の後端部とラッチガイド411の上部(取付プレートの上プレート部)との間に介装される。
【0033】
このようにしてラッチ41がホルダーケース12内の電気錠取付部に設けられたラッチガイド411に挿入配置され、ラッチ押圧付勢用のコイルスプリング42がラッチ41の後端部とラッチガイド411の上部との間に介装されて、充電コネクター9のフック93を背後(上部)から押え込み保持可能になっている。
【0034】
ロックレバー43は、一端にラッチ41のロック溝410に係合可能なロック爪43Lを有し、ロック爪43Lをラッチ41の周面のロック溝410を有する面に向けるロック方向に又はその反対のロック解除方向に回動可能にかつラッチ41によるフック93の押え込み位置でラッチ41のロック溝410に係合可能に軸支される。
【0035】
この場合、ロックレバー43は、略イ字形をなすプレートで、ホルダーケース12の前面部121側から後面部126開口に向けて下方斜めに延びる上部431と、上部431の下縁部部中間から下方に延びる下部432とからなり、上部431直下で下部432の上部に左右両側に向けて突出する一対の回転軸433を有し、下部432の下部に左右両側に向けて突出する一対のガイドピン434を有する。ロック爪43Lは、側面視略台形に似た形状を呈し、下部432の前縁部下部に一体に形成されて、前方(ホルダーケース12の前面部121)に向けて略円弧状に突出される。
【0036】
このロックレバー43は、既述の取付プレートの上部一対の軸受プレート部間に、一対の回転軸433を通して、前後方向に向けて回動可能に取り付けられる。
【0037】
このようにしてロックレバー43はロック爪43Lが、ラッチ41によるフック93の押え込み位置で、ラッチ41のロック溝410に係合可能になっている。
【0038】
ロックレバー回動付勢用のばね部材44は、ロックレバー43を常態としてロック方向に回動付勢するもので、ロックレバー43の取付位置に近接して設けられ、ロックレバー43に作動連結される。この場合、このばね部材44にコイルスプリング(以下、コイルスプリング44という。)が採用され、コイルスプリング44がロックレバー43の各回転軸433の周面に巻き付けられて、一端が取付プレートのばね受けに係止され、他端がロックレバー43の上部431のばね受けにロックレバー43の上部431を後方に向けて回動付勢可能に係止される。
【0039】
このようにしてロックレバー43がホルダーケース12内の電気錠取付部に取り付けられた取付プレートの上部一対の軸受プレート部間に支持され、コイルスプリング44が取付プレートとロックレバー43の上部431との間に介装されて、ロックレバー43を常態としてロック(ロック爪43Lとラッチ41のロック溝410との係合)方向に回動付勢可能になっている。
【0040】
ソレノイド45は、ロックレバー43の他端側に設置され、ロックレバー43の他端にプランジャ451を作動連結されて、通電により、ロックレバー43をロック解除方向に駆動する。
【0041】
この場合、ソレノイド45は汎用品で、本体45Sと、本体45Sの一端から突出され進退駆動されるプランジャ451とからなる。このソレノイド45は、ホルダーケース12内の電気錠取付部に設置された取付プレートの上プレート部上にプランジャ451を後面部126開口に向けて設置され、図示されない充電コネクター用ホルダーのコントローラーに配線を介して電気的に接続される。
【0042】
このようにしてソレノイド45がホルダーケース12内の電気錠取付部に設けられた取付プレートの上プレート部に設置され、通電により、プランジャ451が前方(ホルダーケース12の前面部121)に向けて引き動作され、ロックレバー43をロック解除方向に駆動するようになっている。
【0043】
ガイドレバー46は、ロックレバー43の一端側にロックレバー43と同じ方向に回動可能に軸支されて、一端がロックレバー43の一端(ロック爪43L側の端部)に作動連結されて、ロックレバー43をロック方向又はロック解除方向に回動案内する。
【0044】
この場合、ガイドレバー46は、上下に長い左右一対のプレート461と、これらのプレート461を上下方向中間で連結するプレート462とからなる。左右の各プレート461は上部が幅広で、この上部にロックレバー43用のガイド孔4610が横方向(ホルダーケース12内の電気錠取付部に取り付けられた状態で前後方向)に長い長孔状で円弧状にして形成され、下部が幅狭で、この下部にトリガー48用のガイド孔4620が縦方向(ホルダーケース12内の電気錠取付部に取り付けられた状態で上下方向)に長い長孔状で直線状にして形成される。左右の各プレート461の上下方向中間部に左右両側に向けて突出する一対の回転軸463を有する。
【0045】
このガイドレバー46は、既述の取付プレートの下部一対の軸受プレート部間に、一対の回転軸463を通して、前後方向に向けて回動可能に取り付けられ、上部のガイド孔4610にロックレバー43の下部432の各ガイドピン434が通されて係合される。
【0046】
このようにしてガイドレバー46は、上部の各ガイド孔4610とロックレバー43の下部の各ガイドピン434との係合により、ロックレバー43に作動連結され、ロックレバー43をロック方向又はロック解除方向に回動案内可能になっている。
【0047】
ガイドレバー回動付勢用のばね部材47は、ロックレバー回動付勢用のばね部材44よりも大きいばね力を有し、ガイドレバー46を常態としてロックレバー43をロック解除方向に回動案内しロックレバー43のロック解除状態を保持可能に回動付勢するもので、ガイドレバー46の取付位置に近接して設けられ、ガイドレバー46に作動連結される。この場合、このばね部材47にコイルスプリング(以下、コイルスプリング47という。)が採用され、コイルスプリング47がガイドレバー46の各回転軸463の周面に巻き付けられて、一端が取付プレートのばね受けに係止され、他端がガイドレバー46の各プレート461の上部のばね受けにガイドレバー46の上部を後方に向けて回動付勢可能に係止される。
【0048】
このようにしてガイドレバー46がホルダーケース12内の電気錠取付部に取り付けられた取付プレートの下部一対の軸受プレート部間に支持され、コイルスプリング47が取付プレートとガイドレバー46の上部との間に介装されて、併せて、ロックレバー43の下部432に作動連結されて、ガイドレバー46を常態として後方(ホルダーケース12の後面部126開口)に向けて、ロックレバー43をロック解除方向に回動付勢可能になっている。
【0049】
トリガー48は、コネクター保持部2内に、充電コネクター9の給電嵌合部91のコネクター保持部2に対する挿脱方向に進退可能に配置され、一端がコネクター保持部2外に突出されてガイドレバー46の他端に作動連結され、他端が充電コネクター9の給電嵌合部91により押圧可能にコネクター保持部2内に突出されて、当該他端の押圧により、ガイドレバー46を介してロックレバー43をロック方向に回動案内する。
【0050】
この場合、トリガー48は、角形のロッドからなり、一端側が断面積の大きい大ロッド部481で、他端側が断面積の小さい小ロッド部482になっている。大ロッド部481の左右両側面で小ロッド部482側の中間部に左右両側に向けて突出する一対のガイドピン483が設けられる。
【0051】
このトリガー48は、他端側の小ロッド部482がコネクター保持部2の底部の挿通孔21を通じてコネクター保持部2内に挿通され、一端側の大ロッド部481が既述の取付プレートの下延長プレート部の孔に通されて、ホルダーケース12の前後方向に向けて進退可能に配置され、左右両側面の各ガイドピン483がガイドレバー46の左右の各プレート461の下部の各ガイド孔4620に通されて係合される。
【0052】
このようにしてトリガー48は、ホルダーケース12内の電気錠取付部に取り付けられた取付プレートの下延長プレート部とコネクター保持部2の底部との間に挿通され、一端がガイドレバー47の他端に作動連結されて、トリガー48の他端の押圧により、ガイドレバー46を介してロックレバー43をロック方向に回動案内するようになっている。
【0053】
このホルダーケース12のロック解除ユニット取付部に非常用のロック解除ユニット5が取り付けられる。
図1、
図3に示すように、このロック解除ユニット5は、一端の鍵孔50を有し、この鍵孔50に鍵(図示省略)を挿入してローター51を回転する形式の一般的なシリンダー錠52と、ローター51にローター51の半径方向に向けてロータ―51と一体回転可能に取り付けられ、ローター51の回転により、ロック状態のロックレバー43に係合し、ロックレバー43をロック解除方向に回動するロック解除レバー53とからなる。このロック解除ユニット5は、ホルダーケース12の前面部121の取付部130から挿入されて、ホルダーケース12内のロック解除ユニット取付部にコネクター保持部2と並列に装着される。この場合、ロック解除ユニット5は、後部のロック解除レバー53が常態として縦向きの状態を取り、電気錠4のロックレバー43に係合(接触)せず、電気錠4による充電コネクター9のフック93のロック状態を維持し、このロック状態からシリンダー錠52の鍵の操作により、ローター51を90度回転させることにより、ロック解除レバー53がロックレバー43の上部431の下端に係合してロックレバー43の上部431を前方へ回動し、下部432のロック爪43Lをラッチ41のロック溝410から離脱可能な作動形式にして取り付けられる。
【0054】
このようにしてシリンダー錠52の鍵穴に鍵を差し込み、この場合、右に90度のロック解除位置まで回転させることにより、ロック解除レバー53がロックレバー43の上部431の下端に係合してロックレバー43の上部431を前方へ回動して、下部432のロック爪43Lをラッチ41のロック溝410から離脱し、この状態から鍵を左に90度のロック位置まで回転させることにより、ロック解除レバー53がロックレバー43の上部431の下端から離間する方向に回動され、ロックレバー43の上部431がロックレバー回動付勢用のコイルスプリング44の付勢力により後方へロック解除レバー43に追従しながら回動し、下部432のロック爪43Lがラッチ41のロック溝410に係合するようになっている。なお、この場合、鍵はロック位置においてのみ抜き差し可能である。
【0055】
この充電コネクター用ホルダーHは、かかる構成を備え、ホルダーベース11がホルダー設置面に設置されて、取付ねじがホルダーベース側の各ねじ挿通部に通されホルダー設置面に締結されて固定され、ホルダーケース12が、ホルダーケース12側の係止部14をホルダーベース1側の受け部111に係合され、取付ねじがホルダーケース12側のねじ挿通部からホルダーベース11側のねじ挿通部に通されホルダー設置面に締結されて取り付けられる。
このようにして、充電コネクター9の給電嵌合部91をコネクター保持部2に接続することにより、フック係合部3に係合される充電コネクター9のフック93がラッチ41により押さえ込まれるとともに、ラッチ41のロック溝410とロックレバー43のロック爪43Lとの係合により、ラッチ41がロックされ、ソレノイド45の通電により、ラッチ41のロックが解除されるようになっている。
【0056】
図4乃至
図9にこの充電コネクター用ホルダーHの使用例を示している。
なお、
図4は充電コネクター9をこのホルダーHに保持する前の初期状態を示している。この状態では、ソレノイド45(のプランジャ451)は常態位置(通電されていないときの定位置)で、ロックレバー43は、ガイドレバー46の回動案内により、ロック解除位置(ロック爪43Lがラッチ41のロック溝410から離脱されてロック溝410の直前の位置)に保持される。この場合、ガイドレバー46は常態位置(このホルダーHに充電コネクター9が保持されていないときの、このホルダーHの前面部121に対してガイドレバー46の左右の各プレート461の上部が後方に回動された定位置)に待機される。このガイドレバー46の左右の各プレート461の上部の各ガイド孔4610の前端部に、ロックレバー43の各ガイドピン434が係合されて、ロックレバー43はロック解除位置、すなわち、下部432のロック爪43Lがラッチ41のロック溝410から離脱されたロック溝410直前の待機位置、に保持される。
【0057】
充電コネクター9をこのホルダーHに保持する場合、
図4に示すように、充電コネクター9の給電嵌合部91をコネクター保持部2に合わせるとともに、フック93とフック係合部3とを対応させて、
図5に示すように、充電コネクター9を、この充電コネクター9でコネクター保持部2内のトリガー48の他端をガイドレバー回動付勢用のコイルスプリング47の付勢力に抗して押し込みながら、コネクター保持部2に押し込み挿入する。この充電コネクター9の押し込み挿入とともに、充電コネクタ―9のフック93がフック係合部3の凹部31内に挿入され、係止穴30外側のガイド部32に先端の傾斜面に案内されて乗り上げることにより、係止穴30に向けてせり上がる。また、このフック93の先端はラッチ41の先端のガイド面に接し、このガイド面の案内により、ラッチ41を押し上げながらフック係合部3に向けて前進される。これと同時に、コネクター保持部2内のトリガー48が充電コネクター9の給電嵌合部91の先端に押されて後退される。このトリガー48の後退により、ガイドレバー46の左右の各プレート461の上部が前方に向けて回動され、ロックレバー43をロック方向に回動案内する。この場合、ガイドレバー46の左右の各プレート461の上部が前方に回動されると、左右の各プレート461の上部の各ガイド孔4610とロックレバー43の各ガイドピン434との係合が解除され、ロックレバー43はロックレバー回動付勢用のコイルスプリング44の付勢力によりロック方向に回動され、下部432のロック爪43Lがラッチ41のロック溝410に向けて前進回動される。そして、
図6に示すように、充電コネクター9の給電嵌合部91がコネクター保持部2に接続されると、フック93がガイド部32を乗り越えて、フック93とフック係合部3が係合され、ロックレバー43のロック爪43Lがラッチ41のロック溝410に係合しロックされる。かくして充電コネクター9はホルダーHに保持され、フック93とフック係合部3が係合状態のフック93がロック状態のラッチ41に押え込み保持される。これにより、フック93は離脱方向の動きを規制され、充電コネクター9の解除ボタン95を操作しても、フック93をフック係合部3から外すことができず、充電コネクター9は完全にロックされる。
【0058】
このホルダーHと充電コネクター9とのロック状態を解除する場合、コントローラー側で、接触式又は非接触式のICカードなどをカードリーダーで読み取り、又はスマートフォンなどの携帯端末の機能を用いて、ソレノイド45に電気信号を送る。
図6、
図7に示すように、ソレノイド45が通電されて、プランジャ451が本体45S内に吸引され、ロックレバー43がロック解除方向に回動される。この場合、ソレノイド45のプランジャ451の引き動作により、ロックレバー43の上部431が前方に回動され、下部432が後方に回動されて、下部432のロック爪43Lがラッチ41のロック溝410から離脱される。これにより、ラッチ41のロックが解除され、フック93のロックが解除される。このフック93のロック解除により、
図8に示すように、充電コネクター9の解除ボタン95が押下可能になり、この解除ボタン95の押下により、フック93をフック係合部3から離脱して、充電コネクター9をホルダーHから引き抜けばよい。
【0059】
なお、充電コネクター9をホルダーHから抜き取ると、
図9に示すように、電気錠4の各部は弾性復帰により、初期状態(段落0056参照)に戻される。これにより、ソレノイド45の通電を切っても、ロックプレート43のロック解除状態は保持される。
【0060】
非常用のロック解除ユニット5は非常時に使用される。
図10(1)に示すように、このロック解除ユニット5は常態として、後部のロック解除レバー53が縦向きの状態になっていて、電気錠4のロックレバー43に係合(接触)せず、電気錠4によるフック93のロック状態が維持される。そして、非常時の使用の場合、
図10(2)に示すように、シリンダー錠52の鍵穴50に所定の鍵を差し込み、ロック位置からロック解除位置に回転すると、ローター51の回転によりロック解除レバー53が電気錠4のロックレバー43の上部431に向けて回動されて上部431の下端に接触し、このロックレバー43をロック解除方向に、すなわち、上部431を前方に向けて押圧回動し、下部432のロック爪43Lがラッチ41のロック溝410から後退され、離脱される。これにより、ロックレバー43とラッチ41との係合によるラッチ41のロック状態が解除され、フック93がロック解除される。かくして、充電コネクター9の解除ボタン95が押下可能になり、この解除ボタン93の押下により、フック93をフック係合部3から離脱して、充電コネクター9をホルダーHから引き抜くことができる。
【0061】
以上説明したように、このホルダーHによれば、充電コネクター9の給電嵌合部91をコネクター保持部2に合わせるとともに、フック93とフック係合部3とを対応させて、充電コネクター9を、フック93でラッチ41をラッチ押圧付勢用のコイルスプリング42の付勢力に抗して押し込みながら、コネクター保持部2に押し込み挿入することにより、充電コネクター9の給電嵌合部91をコネクター保持部2に接続し、フック93とフック係合部3とを係合させるとともに、ラッチ41によりフック93を背後(上部)から押え込み保持し、このラッチ41を電気錠4のロックレバー43によりロックするようにしたので、充電コネクター9をこのホルダーHに挿入し押し込むだけの通常の操作で、充電コネクター9をこのホルダーHに保持し、この保持した状態を自動的にロックすることができ、不特定多数のユーザーが利用する給電ステーションの充電装置や多くのユーザーに利用されるマンション駐車場の充電装置などでの使用に最適な錠形式で、充電コネクター9をこのホルダーHに保持した状態を確実かつ簡易にロックすることができる。
【0062】
また、任意のコントローラーによりソレノイド45に電気信号を送ることによりソレノイド45を作動させて、ロックレバー43をラッチ41からロック解除方向に回動し、ラッチ41とロックレバー43との係合を解除するようにしたので、例えば、コントローラー側に、接触式又は非接触式のICカードなどをカードリーダーで読み取ることで、又はスマートフォンなどの携帯端末の機能を用いて、電気信号をソレノイド45に送るようにすることにより、接触式又は非接触式のICカードやスマートフォンなどを用いた簡単な操作で、充電コネクター9とこのホルダーHとのロック状態を自動的に解除することができ、不特定多数のユーザーが利用する給電ステーションの充電装置や多くのユーザーに利用されるマンション駐車場の充電装置などでの使用に最適な錠形式で、充電コネクター9とこのホルダーHとのロック状態を確実かつ簡便に解除することができる。
【0063】
さらに、このホルダーHでは、非常用のロック解除ユニット5を電気錠4に併設し、このロック解除ユニット5を、一端の鍵穴50に鍵を挿入してローター51を回転する形式のシリンダー錠52と、ローター51に取り付けられ、ローター51の回転に連動して電気錠4のロックレバー43に係脱可能なロック解除レバー53とにより構成し、ロック解除レバー53が電気錠4のロックレバー43に係合せず、ロックレバー43によるラッチ41のロック状態を維持するロック位置と、ロック解除レバー53がロックレバー43に係合し、ロックレバー43をロック解除方向に押圧回動して、ロックレバー43によるラッチ41のロック状態を解除するロック解除位置との間で回動するようにしたので、コントローラーやソレノイド45など電気系統のトラブルなどにより、ロック解除できないような非常の場合に、鍵の簡単な操作で、ロックプレート43によるラッチ41のロック状態を確実に解除することができる。
【符号の説明】
【0064】
H 充電コネクター用ホルダー
1 ホルダー本体
11 ホルダーベース
111 受け部
111a 水平部
111b 垂直部
12 ホルダーケース
121 前面部
122 上面部
1221 懸架部
123 側面部
124 側面部
125 底面部
126 後面部
130 ロック解除ユニット取付部
14 係止部
141 突出部
142 爪部
2 コネクター保持部
21 挿通孔
22 溝
3 フック係合部
30 係止穴
31 凹部
32 ガイド部
4 電気錠
41 ラッチ
410 ロック溝
411 ラッチガイド
42 ラッチ押圧付勢用のばね部材(コイルスプリング)
43 ロックレバー
431 上部
432 下部
433 回転軸
434 ガイドピン
43L ロック爪
44 ロックレバー回動付勢用のばね部材(コイルスプリング)
45 ソレノイド
45S 本体
451 プランジャ
46 ガイドレバー
461 プレート
462 プレート
4610 ガイド孔
4620 ガイド孔
463 回転軸
47 ガイドレバー回動付勢用のばね部材(コイルスプリング)
48 トリガー
481 大ロッド部
482 小ロッド部
483 ガイドピン
5 非常用のロック解除ユニット
50 鍵穴
51 ローター
52 シリンダー錠
53 ロック解除レバー