(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181712
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20231218BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20231218BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R12/91
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094991
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】夏目 貴史
(72)【発明者】
【氏名】田中 真二
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】石榑 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB26
5E223AB33
5E223AB45
5E223AC23
5E223BA15
5E223BA17
5E223BA23
5E223BB17
5E223CA13
5E223CA21
5E223CD01
5E223DB08
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA53
(57)【要約】
【課題】絶縁体内に収容される内導体に対して、相手側内導体を良好に接続できるようにすることを目的とする。
【解決手段】同軸コネクタ60は、相手側内導体を有する相手側同軸コネクタが接続される同軸コネクタであって、相手側内導体が接続される内導体62と、内導体が収容される筒部72を含む絶縁体70と、絶縁体の周りを囲む外導体90と、を備え、筒部の内周部に、筒部の内周部の周方向において部分的に突出し、筒部の軸方向に沿って延びるリブ部77が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側内導体を有する相手側同軸コネクタが接続される同軸コネクタであって、
前記相手側内導体が接続される内導体と、
前記内導体が収容される筒部を含む絶縁体と、
前記絶縁体の周りを囲む外導体と、
を備え、
前記筒部の内周部に、前記筒部の内周部の周方向において部分的に突出し、前記筒部の軸方向に沿って延びるリブ部が形成されている、同軸コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸コネクタであって、
前記内導体は、前記周方向において間隔をあけて位置する複数の弾性片を有し、
前記リブ部は、前記周方向において前記複数の弾性片の間に位置する、同軸コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の同軸コネクタであって、
前記複数の弾性片は、前記筒部の中心軸周りに等間隔で位置し、
前記リブ部を複数備え、
前記複数のリブ部は、前記筒部の中心軸周りに等間隔で位置する、同軸コネクタ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の同軸コネクタであって、
前記内導体は、前記筒部の基端側に位置する基端筒部を有し、前記複数の弾性片は、前記基端筒部から前記筒部の先端側に向けて延出しており、
前記リブ部は、前記基端筒部よりも前記筒部の先端側の領域に位置している、同軸コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載の同軸コネクタであって、
前記リブ部の基端部は、前記筒部の基端側から先端側に向うに連れて徐々に前記筒部の中心軸に向う斜面を有する同軸コネクタ。
【請求項6】
請求項4に記載の同軸コネクタであって、
前記基端筒部がその周方向において部分的に外周側に突出する位置決め凸部を有し、
前記筒部が、前記位置決め凸部が嵌る位置決め凹部を有する、同軸コネクタ。
【請求項7】
請求項4に記載の同軸コネクタであって、
前記筒部の内周部に、前記周方向において部分的に突出すると共に前記筒部の中心軸に沿って延び、前記基端筒部の外周部に接する位置決めリブ部が形成されている、同軸コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載の同軸コネクタであって、
前記位置決めリブ部を複数備え、
前記複数の位置決めリブ部は、前記筒部の中心軸周りに等間隔で位置する、同軸コネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記絶縁体が、前記筒部の先端側に位置し、前記筒部の内径よりも小さい径の挿入孔を有する先端ガイド部を含み、
前記挿入孔は、前記筒部内に向って徐々に縮径するガイド面を有する、同軸コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載の同軸コネクタであって、
前記挿入孔は、前記ガイド面のうち前記筒部側の周縁から前記筒部に向って延びる同径ガイド面を有する、同軸コネクタ。
【請求項11】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の同軸コネクタであって、
前記外導体は、前記相手側同軸コネクタの相手側外導体に対して斜め姿勢で、前記相手側外導体と導通可能な外導体導通片を含む、同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板側内導体と、基板側誘電体と、基板側外導体とを有する基板側コネクタを開示している。基板側内導体は、基板側誘電体内に収容されている。可動側内導体のタブが基板側内導体内の基板側内導体に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、内導体に対して、他の内導体をさらに良好に接続できるようにすることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、絶縁体内に収容される内導体に対して、相手側内導体を良好に接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の同軸コネクタは、相手側内導体を有する相手側同軸コネクタが接続される同軸コネクタであって、前記相手側内導体が接続される内導体と、前記内導体が収容される筒部を含む絶縁体と、前記絶縁体の周りを囲む外導体と、を備え、前記筒部の内周部に、前記筒部の内周部の周方向において部分的に突出し、前記筒部の軸方向に沿って延びるリブ部が形成されている、同軸コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、絶縁体内に収容される内導体に対して、相手側内導体を良好に接続できるようにすることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る同軸コネクタを備える機器を示す斜視図である。
【
図5】
図5は同軸コネクタを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の同軸コネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)相手側内導体を有する相手側同軸コネクタが接続される同軸コネクタであって、前記相手側内導体が接続される内導体と、前記内導体が収容される筒部を含む絶縁体と、前記絶縁体の周りを囲む外導体と、を備え、前記筒部の内周部に、前記筒部の内周部の周方向において部分的に突出し、前記筒部の軸方向に沿って延びるリブ部が形成されている、同軸コネクタである。
【0012】
本開示によると、筒部の内周部に、前記筒部の内周部の周方向において部分的に突出し、前記筒部の軸方向に沿って延びるリブ部が形成されている。このため、リブ部が形成された部分で、内導体と絶縁体との間の隙間を小さくできる。これにより、相手側内導体が内導体と絶縁体との間に誤って挿入され難くなり、絶縁体内に収容される内導体に対して、相手側内導体を良好に接続できる。
【0013】
(2)(1)の同軸コネクタであって、前記内導体は、前記周方向において間隔をあけて位置する複数の弾性片を有し、前記リブ部は、前記周方向において前記複数の弾性片の間に位置していてもよい。
【0014】
この場合、リブ部は、筒部の内周部の周方向において複数の弾性片の間に位置するため、リブ部が、複数の弾性片の弾性変形を妨げ難い。これにより、複数の弾性片の間に、相手側内導体を円滑に挿入することができる。また、リブ部は、複数の弾性片と筒部の内周部との間で、相手側内導体が、内導体と絶縁体との間に誤って入ってくることを抑制することができる。
【0015】
(3)(2)の同軸コネクタであって、前記複数の弾性片は、前記筒部の中心軸周りに等間隔で位置し、前記リブ部を複数備え、前記複数のリブ部は、前記筒部の中心軸周りに等間隔で位置していてもよい。
【0016】
この場合、複数の弾性片は、相手側内導体をその周りから均等な態様で挟むことができる。複数のリブ部は、複数の弾性片の間で、均等な態様で、相手側内導体の誤挿入を抑制できる。
【0017】
(4)(2)又は(3)の同軸コネクタであって、前記内導体は、前記筒部の基端側に位置する基端筒部を有し、前記複数の弾性片は、前記基端筒部から前記筒部の先端側に向けて延出しており、前記リブ部は、前記基端筒部よりも前記筒部の先端側の領域に位置していてもよい。
【0018】
これにより、基端筒部にリブ部を回避する形状を作り込まなくていいので、基端筒部の加工が容易となる。
【0019】
(5)(4)の同軸コネクタであって、前記リブ部の基端部は、前記筒部の基端側から先端側に向うに連れて徐々に前記筒部の中心軸に向う斜面を有していてもよい。
【0020】
これにより、弾性片がリブ部の基端部に引っ掛り難く、内導体が円滑に筒部内に挿入される。
【0021】
(6)(4)又は(5)の同軸コネクタであって、前記基端筒部がその周方向において部分的に外周側に突出する位置決め凸部を有し、前記筒部が、前記位置決め凸部が嵌る位置決め凹部を有してもよい。
【0022】
この場合、位置決め凸部が位置決め凹部に嵌ることで、リブ部が、筒部の内周部の周方向において複数の弾性片の間に正確に位置することができる。
【0023】
(7)(4)から(6)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記筒部の内周部に、前記周方向において部分的に突出すると共に前記筒部の中心軸に沿って延び、前記基端筒部の外周部に接する位置決めリブ部が形成されていてもよい。
【0024】
このように、位置決めリブ部が基端筒部の外周部に接することで、基端筒部を筒部内の一定位置に支持し易い。
【0025】
(8)(7)の同軸コネクタであって、前記位置決めリブ部を複数備え、前記複数の位置決めリブ部は、前記筒部の中心軸周りに等間隔で位置してもよい。このように、複数の位置決めリブ部が、筒部の中心軸周りに等間隔で基端筒部に接することで、筒部の中心軸と基端筒部との中心軸とを一致させ易い。
【0026】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記絶縁体が、前記筒部の先端側に位置し、前記筒部の内径よりも小さい径の挿入孔を有する先端ガイド部を含み、前記挿入孔は、前記筒部内に向って徐々に縮径するガイド面を有してもよい。
【0027】
この場合、相手側内導体がガイド面によって内導体に向けて案内される。これにより、相手側内導体が内導体と絶縁体との間に誤って挿入され難くなり、絶縁体内に収容される内導体に対して、相手側内導体をさらに良好に接続できる。
【0028】
(10)(9)の同軸コネクタであって、前記挿入孔は、前記ガイド面のうち前記筒部側の周縁から前記筒部に向って延びる同径ガイド面を有してもよい。
【0029】
この場合、同径ガイド面が相手側内導体をより確実に内導体に向けて案内できる。
【0030】
(11)(1)から(10)のいずれか1つの同軸コネクタであって、前記外導体は、前記相手側同軸コネクタの相手側外導体に対して斜め姿勢で、前記相手側外導体と導通可能な外導体導通片を含んでもよい。
【0031】
このように、外導体端子が、相手側同軸コネクタの相手方外導体に対して斜め姿勢で、相手側外導体と導通可能な外導体端子導通片を含めば、同軸コネクタと相手側同軸コネクタとの位置誤差を吸収できる。この場合に、内導体と相手側外導体とが斜め姿勢となることが考えられる。この場合でも、相手側内導体が内導体と絶縁体との間に誤って挿入され難くなり、絶縁体内に収容される内導体に対して、相手側内導体をさらに良好に接続できる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の同軸コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0033】
[実施形態]
以下、実施形態に係る同軸コネクタについて説明する。
図1は同軸コネクタ60を備える機器10を示す斜視図である。
【0034】
<機器の全体構成について>
機器10は、例えば、カメラ機器である。カメラ機器は、例えば、車載用の機器である。機器10は、カメラ機器でなくてもよい。
【0035】
機器10は、ケース12と、電気部品20とを備える。ケース12内に電気部品20が収容されている。電気部品20に同軸コネクタ60が固定されている。
【0036】
ケース12は、第1ケース13と、第2ケース14とを備えている。第1ケース13及び第2ケース14は、例えば、樹脂によって形成される。第1ケース13と第2ケース14とが合体することで、電気部品20を収容する直方体箱状のケース12が構成される。機器10がカメラ機器である場合、第1ケース13は撮像用のレンズ又は窓を有しており、第2ケース14が外部接続用同軸コネクタ30を有していることが想定される。
【0037】
外部接続用同軸コネクタ30は、電気部品20と、外部の電気部品とを接続するための同軸コネクタである。例えば、外部接続用同軸コネクタ30は、外部の電気部品に接続されたケーブルが接続される同軸コネクタである。外部接続用同軸コネクタ30が接続されるケーブルは、例えば、同軸ケーブルである。
【0038】
より具体的には、ケース12の底部15に保持筒部16が突設されている。保持筒部16は、円筒であり、底部15の中央部から外側に突出している。保持筒部16の内側開口は第2ケース14内に開口し、保持筒部16の外側開口は第2ケース14外に開口している。保持筒部16の中心軸の方向中間部に保持仕切部17が形成されている。本実施形態では、保持筒部16の中心軸Xの方向中間部であって内側開口寄りの位置に保持仕切部17が形成されている。保持仕切部17は、保持筒部16のうち内側開口側の空間と、外側開口側の空間とを仕切っている。保持仕切部17に保持孔17hが形成されており、当該保持孔17hに外部接続用同軸コネクタ30が挿入されて保持される。
【0039】
本実施形態では、保持筒部16の外周部に、ケーブルの端部に取付けられたケーブルコネクタを保持するための係止突部18aが形成されている。係止突部18aが形成されることは必須ではない。
【0040】
外部接続用同軸コネクタ30は、外部接続用内導体32と、外部接続用絶縁体34と、外部接続用外導体36とを備える。
【0041】
外部接続用内導体32は、細長い棒状に形成されており、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用絶縁体34は、樹脂等の絶縁体によって形成されており、外部接続用内導体32の周りを囲んでいる。本実施形態では、外部接続用絶縁体34は、誘電体である。外部接続用外導体36は、金属等の導電材料によって形成されている。外部接続用外導体36は、外部接続用絶縁体34の周りを囲む筒状に形成されている。
【0042】
電気部品20は、例えば、基板に電子部品が実装された実装基板である。機器10がカメラ機器である場合、電気部品20は、回路基板21と、当該回路基板21に実装された撮像素子22であることが想定される。撮像素子22は、第1ケース13の撮像用のレンズ又は窓に対向し、当該レンズ又は窓を回して外側景色を撮像する。以下、撮像素子22が向く第1ケース13側を前側、それとは反対側の第2ケース14側を後側という場合がある。
【0043】
本実施形態では、同軸コネクタ60は、回路基板21のうち撮像素子22とは反対側の面に位置している。同軸コネクタ60は、回路基板21に固定され、当該回路基板21から上記外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。同軸コネクタ60は、基板側同軸コネクタである。同軸コネクタ60は、例えば、内導体62と、絶縁体70と、外導体90とを備える。内導体62に後述する可動側内導体42が接続される。絶縁体70は、内導体62が収容される筒部72を含む。外導体90は、絶縁体70の周りを囲んでいる。つまり、内導体62と絶縁体70と外導体90とは、この順で中心から外周側に向って同心円状に配置される。
【0044】
同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが、中継コネクタ40を介して接続される。中継コネクタ40は、例えば、可動側内導体42と、可動側絶縁体44と、可動側外導体46とを備える。可動側内導体42の周囲を可動側絶縁体44が囲んでいる。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、可動側絶縁体44は、誘電体であってもよい。可動側絶縁体44の周囲を可動側外導体46が囲んでいる。可動側内導体42は内導体62に接続される相手側内導体の一例であり、可動側外導体46は外導体90に接続される相手側外導体の一例であり、中継コネクタ40は同軸コネクタ60に接続される相手側同軸コネクタの一例である。
【0045】
可動側内導体42が内導体62に挿入接続されると共に、外導体90が可動側外導体46に挿入接続された状態で、中継コネクタ40が同軸コネクタ60に接続されている。この状態で、中継コネクタ40は、同軸コネクタ60からさらに外部接続用同軸コネクタ30に向けて突出している。外部接続用内導体32が可動側内導体42に挿入接続されると共に、可動側外導体46が外部接続用外導体36に挿入接続されることで、中継コネクタ40が外部接続用同軸コネクタ30に接続される。これにより、中継コネクタ40が、同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とを中継接続する。
【0046】
これにより、外部からのケーブルが、当該外部接続用同軸コネクタ30に接続されることで、当該ケーブルの接続先である外部の電気部品と、ケース12内の電気部品20とが電気的に接続される。
【0047】
上記中継コネクタ40と同軸コネクタ60との接続状態において、可動側内導体42は内導体62に対して傾いた状態で挿入接続される。また、外導体90は、可動側外導体46に対して傾いた状態で挿入接続される。つまり、中継コネクタ40は、同軸コネクタ60に対して傾いた状態で接続され得る(
図2の矢印P1参照)。これにより、本機器10の組付作業時又は完成状態において、同軸コネクタ60と外部接続用同軸コネクタ30とが同軸上で対向する位置からずれていたとしても(
図2の矢印P2参照)、同軸コネクタ60に対して中継コネクタ40が傾くことで、当該位置ずれが吸収される。
【0048】
<同軸コネクタについて>
同軸コネクタ60について具体的に説明する。
図3は同軸コネクタ60を示す斜視図である。
図4は同軸コネクタ60を示す底面図である。
図5は同軸コネクタ60を示す分解斜視図である。
図6は絶縁体70を示す斜視図である。
図7は
図4のVII-VII線断面図である。
図8は
図4のVIII-VIII線断面図である。
図9は
図3のIX-IX線断面図である。
図9では外導体90は省略されている。
【0049】
上記のように、同軸コネクタ60は、例えば、内導体62と、絶縁体70と、外導体90とを備える。
【0050】
内導体62は、細長い導電性部材である(
図5、
図7-
図9参照)。本実施形態では、内導体62は、金属板をプレス加工することによって形成されている。より具体的には、内導体62は、基端筒部64と、複数の弾性片66とを含む。
【0051】
基端筒部64は、筒状、より具体的には、円筒状に形成されている。基端筒部64は、筒部72の基端側に収容される。なお、同軸コネクタ60において先端とは可動側内導体42が接続される側の端であり、基端とは当該先端とは反対側の端、ここでは、回路基板21を向く側の端である。
【0052】
基端筒部64は、周方向において部分的に外周側に突出する位置決め凸部64Pを有する。本実施形態では、基端筒部64の周方向の一部にスリット64Sが形成されている。基端筒部64のうちスリット64Sの両側の一対の縁部から基端筒部64の外側に向けて一対の位置決め凸部64Pが突出している。一対の位置決め凸部64Pは、互いに並行である。位置決め凸部64Pが上記構成であることは必須ではない。環状をなす基端筒部の周方向の一部が部分的に外周側に突出するように変形されることで、位置決め凸部が形成されてもよい。位置決め凸部は省略されてもよい。
【0053】
基端筒部64の基端側縁から基端筒部64の内側に向けて延長片64aが延出している。延長片64aは、回路基板21の回路に半田付されてもよい。
【0054】
基端筒部64に係止突部64bが突設されている。係止突部64bは、基端筒部64の外周部から部分的に突出している。係止突部64bは、基端筒部64の先端から基端に向って徐々に突出寸法が大きくなる形状に形成されている。また、係止突部64bは、基端筒部64の基端側を向く面を有している。本実施形態では、係止突部64bのうち基端筒部64の基端側を向く面は、基端筒部64の中心軸Xに対して直交する面である。本実施形態では、一対の位置決め凸部64Pの形成箇所と、複数(ここでは3つ)の係止突部64bとが、基端筒部64の中心軸X周りに均等間隔(ここでは90度間隔)で位置している。なお、基端筒部64の中心軸Xは、絶縁体70の筒部72の中心軸Xと一致し、同軸コネクタ60の全体の中心軸Xとも一致している。
【0055】
複数の弾性片66は、筒部72内において当該筒部72の周方向において間隔をあけて位置する。好ましくは、複数の弾性片66は、筒部72の中心軸X周りに等間隔で位置する。ここで、等間隔とは、誤差範囲内の同一性(例えば、中心軸X周りで±5度の範囲内で同じ)を含む。本実施形態では、複数の弾性片66が、基端筒部64の一端縁から当該基端筒部64の周方向において間隔をあけて延出している。基端筒部64は、筒部72の基端側に位置しており、複数の弾性片66は、筒部の先端側に向けて延びている。
【0056】
本実施形態では、複数の弾性片66は、2つの弾性片66である。このため、基端筒部64の一端の環状縁のうち対向する2箇所から2つの弾性片66が延出している。つまり、2つの弾性片66の幅方向中心を基準にすると、当該2つの弾性片66は、筒部72の周方向において180度間隔で位置する。基端筒部64の周方向において、2つの弾性片66間に2つの隙間が存在している。弾性片66は、基端筒部64から延出する中間片66aと、接点部66bと、ガイド片66cとを含む。中間片66aは、基端筒部64の一端から遠ざかるにつれて基端筒部64の中心軸Xに向うように傾斜している。また、中間片66aは、先端側に向って徐々に幅狭に形成されている。接点部66bは、中間片66aの先端にから基端筒部64から遠ざかる方向に延びている。接点部66bは、基端筒部64の中心軸Xに向って凸となるように湾曲する形状に形成されている。ガイド片66cは、接点部66bの先端に連なっている。ガイド片66cは、基端筒部64から遠ざかるにつれて基端筒部64の中心軸Xから離れるように傾斜している。ガイド片66cの先端縁は丸められている。
【0057】
2つの弾性片66は互いに対向していることから、2つの接点部66bは互いに対向している。また、2つのガイド片66cは、互いに反対側に向って広がっている。2つの弾性片66間に向けて挿入される可動側内導体42は、2つのガイド片66cのうちの少なくとも一つによって2つの接点部66b間に向けて案内され、当該2つの接点部66bによって挟込まれた状態となる。この状態で、2つの接点部66bのうち基端筒部64の中心軸Xに最も近い部分が可動側内導体42に接する。これにより、可動側内導体42が内導体62に電気的に接続された状態に保たれる。つまり、2つの接点部66b間に可動側内導体42が挟込まれている状態で、可動側内導体42が内導体62との正常な接続状態である。
【0058】
弾性片66のうち接点部66bは、その他の部分と比較して中心軸X側に突出している。このため、内導体62に対して可動側内導体42が傾いていたとしても、弾性片66のうち接点部66b以外の部分が可動側内導体42に干渉し難い。このため、内導体62に対して可動側内導体42が傾いていたとしても、一対の接点部66bは、可動側内導体42を良好に挟込み、可動側内導体42と内導体62との正常な接続状態が確立される。
【0059】
なお、弾性片は3つ以上であってもよい。この場合、3つ以上の弾性片によって囲まれる部分に可動側内導体が配置された状態が正常な接続状態とされるとよい。
【0060】
絶縁体70は、樹脂等によって形成されている。誘電体は絶縁体の一種と把握でき、絶縁体70は、誘電体であってもよい。絶縁体70は、例えば、金型成形樹脂部品である。
【0061】
絶縁体70は、筒部72と、先端ガイド部80とを備える。
【0062】
筒部72は、内導体62を収容可能な筒状に形成されている。本実施形態では、筒部72は、円筒状に形成されており、その内部に円柱状空間72Sが形成されている。円柱状空間72Sは、内導体62の全体を収容可能に形成されている。ここでは、円柱状空間72Sの長さは、内導体62の長さよりも大きい。円柱状空間72Sの内径は、基端筒部64の外径と同じか大きい。
【0063】
上記したように、円柱状空間72Sの基端側に基端筒部64が収容される。筒部72に、位置決め凸部64Pが嵌る位置決め凹部72Gが形成されている。位置決め凹部72Gは、円柱状空間72Sの内周部73から部分的に凹む凹部である。位置決め凹部72Gは、絶縁体70の基端側外方にも開口している。位置決め凹部72Gの幅は、一対の位置決め凸部64Pの外向き面間の幅と同じが当該幅よりも大きい。円柱状空間72Sの基端側に基端筒部64が収容された状態で、位置決め凸部64Pが位置決め凹部72Gに嵌る。これにより、筒部72の中心軸X周りにおいて、筒部72に対する内導体62の姿勢が一定に保たれる。この姿勢は、筒部72の内周部73の周方向において、複数の弾性片66の間に後述するリブ部74を位置させる姿勢である。
【0064】
円柱状空間72Sのうち基端筒部64が配置される部分よりも先端側に複数の弾性片66が収容される。筒部72の内周部73に、リブ部74が形成されている。リブ部74は、内周部73の周方向において部分的に突出し、かつ、筒部72の中心軸Xの方向に沿って延びている。
【0065】
リブ部74は、内周部73の周方向において複数の弾性片66の間に位置する。好ましくは、リブ部74の幅方向中心を基準とし、リブ部74は、筒部72の中心軸X周りに等間隔で位置する。本実施形態では、内周部73の周方向において、2つの弾性片66の間に2つの隙間が存在することから、2つのリブ部74が内周部73に形成されている。好ましくは、内周部73の周方向において、リブ部74は、2つの弾性片66の中央に位置しており、リブ部74とその両隣の弾性片66との間隔は同じに揃えられる。内導体が3つ以上の弾性片を備える場合には、3つ以上のリブ部が形成されてもよい。複数の弾性片間の複数の隙間の全てにリブ部が設けられることは必須ではない。
【0066】
リブ部74は、内周部73のうち基端筒部64が位置する領域よりも先端側の領域に位置している。つまり、リブ部74は、弾性片66の間で突出しているが、基端筒部64が配置される領域では内周部73から突出していない。よって、基端筒部64に、リブ部74に応じた凹みを形成しなくてもよく、基端筒部64をなるべく単純な形状とすることができる。
【0067】
リブ部74の基端部は、筒部72の基端側から先端側に向うに連れて徐々に筒部72の中心軸Xに向う斜面74fを有する。つまり、斜面74fは、リブ部74の基端部の突出寸法を徐々に小さくする面である。斜面74fが筒部72の中心軸Xに対して傾斜する面であることから、内導体62を筒部72内に挿入する際に、内導体62の先端部がリブ部74の基端部に引っ掛り難く、内導体62を筒部72内に容易に挿入できる。リブ部74の基端部が基端筒部64に対して先端側から接触することで、基端筒部64の位置決めがなされてもよい。
【0068】
本実施形態では、リブ部74のうち中心軸X側の面は、当該中心軸Xを曲率中心とする弧状曲面に形成されている。リブ部74のうち中心軸X側の面は、平面、又は、中心軸X側に膨出する曲面形状であってもよい。
【0069】
筒部72の内周部73に、位置決めリブ部76が形成されている。位置決めリブ部76は、内周部73の周方向において部分的に突出すると共に筒部72の中心軸Xの方向に沿って延びている。位置決めリブ部76の横断面(長手方向に対して直交する方向の断面)は、例えば、半円状又はU字状に形成されている。内周部73に対する位置決めリブ部76の突出寸法は、内周部73に対するリブ部74の突出寸法よりも小さい。
【0070】
内周部73において、リブ部74を避けた位置に位置決めリブ部76が形成される。また、内周部73において、弾性片66の外周側位置を避けた位置にリブ部74が形成される。つまり、内周部73の周方向において、位置決めリブ部76は、弾性片66とリブ部74との間に位置する(
図9参照)。
【0071】
位置決めリブ部76は、筒部72の内周部73の長手方向全体に亘って形成されている。筒部72の基端部内に基端筒部64が配置された状態で、位置決めリブ部76の頂部が基端筒部64の外周部に接触することができる。これにより、内周部73内の一定位置に、基端筒部64が位置決めされる。複数(ここでは4つ)での位置決めリブ部76の頂部が基端筒部64の外周部に均等間隔(ここでは中心軸X周りに90度間隔)で接することで、内周部73と基端筒部64とが同軸上に配置されるように、基端筒部64が位置決めされ易い。位置決めリブ部76は、弾性片66間に向って延びていなくてもよい。
【0072】
なお、内周部73に複数の位置決め凸部64Pが形成されることは必須ではない。複数の位置決め凸部64Pが中心軸X周り等間隔で形成されることは必須ではない。
【0073】
先端ガイド部80は、筒部72の先端側に位置している。先端ガイド部80は、筒部72の内周部73の内径よりも小さい径の挿入孔84を有している。筒部72の中心軸Xは、挿入孔84の中心軸Xと一致している。
【0074】
挿入孔84は、筒部72内に向って徐々に縮径するテーパ状のガイド面84aを有する。ガイド面84aの外側の最大径は、例えば、一対のガイド片66cの最大開き幅よりも大きく、基端筒部64の外径よりも大きい。ガイド面84aの内側の最小径は、例えば、基端筒部64の外径よりも小さく、一対のガイド片66cの最大開き幅と同じ程度(例えば、±2mmの範囲内で同じ程度)に設定される。このため、可動側内導体42の先端部がガイド面84aによって複数の弾性片66の間に向けて案内される。
【0075】
また、挿入孔84は、ガイド面84aのうち筒部72側の周縁から筒部72に向って延びる同径ガイド面84bを有する。同径ガイド面84bの中心軸Xは、筒部の中心軸Xと一致している。同径ガイド面84bは、ガイド面84aの内側の最小径部分が中心軸Xに沿って連続する形状に形成されている。
【0076】
このため、可動側内導体42の先端部は、ガイド面84aに沿って中心軸Xに向けて案内された後、同径ガイド面84bによって外周側にずれないように規制されつつ、複数の弾性片66の間に向けて案内される。
【0077】
ガイド面84aに連続して同径ガイド面84bが形成されることで、ガイド面84aのうち最小径側の縁を尖らせなくてもよい。これにより、ガイド面84aが破損、変形等し難くなり、ガイド面84aによりガイド機能が良好に維持される。なお、上記同径ガイド面84bは省略されてもよい。
【0078】
本実施形態では、先端ガイド部80の外周部は、筒部72よりも突出している。先端ガイド部80の外周部に、筒部72に向って徐々に拡径する外周側ガイド面85が形成されている。外周側ガイド面85は、可動側外導体46の筒形状部分を、外導体90の外側に案内する役割を果すことができる。先端ガイド部80の外周部は、筒部72よりも突出していることは必須ではない。
【0079】
絶縁体70に対して内導体62が次のように組付けられる。基端筒部64が筒部72の内周部73にその基端側開口より挿入される。すると、係止突部64bの斜面が内周部73の基端側開口縁及び内周部に押し当てられる。これにより、基端筒部64及び内周部73の少なくとも一方が変形し、基端筒部64が内周部73内に押込まれていく。この際、一対の位置決め凸部64Pは、筒部72の位置決め凹部72Gに嵌め込まれる。一対の位置決め凸部64Pが位置決め凹部72Gの奥側の面に接するまで、基端筒部64が筒部72の内周部73内に押込まれる。この状態では、係止突部64bの頂部が内周部73に食込む。特に、係止突部64bのうち基端筒部64の基端側を向く面が、基端筒部64の抜けを防止するように、内周部73に食込んで係止する。これにより、基端筒部64が筒部72の内周部73のうち基端部に保持される。この状態で、各弾性片66が基端筒部64から先端側に延びて、内周部73のうち基端筒部64と先端ガイド部80との間に配置される。
【0080】
外導体90は、金属等の導電材料によって形成されおり、金属等の絶縁体70の周りを囲んでいる。外導体90は、例えば、金属板をプレス加工等することによって形成される。本実施形態では、外導体90は、外導体筒部92と、外導体導通片94とを含む。
【0081】
外導体筒部92は、内側に筒部72を配置可能な筒状に形成されている。外導体筒部92に部分的に内側に突出する係止突部92aが形成されている。外導体筒部92内に筒部72が配置された状態で、係止突部92aが筒部72の外周部に食込んで係止することで、筒部72に対して外導体筒部92が一定位置に支持される。
【0082】
外導体筒部92のうち先端側の環状縁部から複数の外導体導通片94が延出している。複数の外導体導通片94は、筒部72の外周部を取り囲むように並んでいる。外導体導通片94は、先端側に向って外周側に向うように傾斜し、その途中で、内周側に向うように傾斜している。外導体導通片94のうち最も外側に突出する頂部94aが、可動側外導体46の筒部の内周部に接触する接点である。外導体導通片94のうち頂部94aよりも先端側の部分は、可動側外導体46の筒部を、頂部94aに向けて案内する部分である。
【0083】
上記のように、頂部94aがその先端側部分及び基端側部分に対して外周側に突出している。このため、外導体筒部92が可動側外導体46に対して斜め姿勢であっても、外導体導通片94の頂部94aは、可動側外導体46の筒部の内周部に接して導通を得ることができる。
【0084】
<同軸コネクタに対する中継コネクタの接続動作について>
中心軸Xを通り、かつ、弾性片66を通る断面における接続動作について説明する。上記したように、同軸コネクタ60に対して中継コネクタ40が位置ずれする場合がある。このため、同軸コネクタ60の中心軸Xに対して、中継コネクタ40の中心軸が異なる位置に位置したり、傾いたりすることがある。
【0085】
図8に示すように、同軸コネクタ60の中心軸Xに対して、中継コネクタ40の可動側内導体42の中心軸が異なる位置に位置したり、傾いたりしていると、可動側内導体42の先端部がガイド面84aに接触し、同軸コネクタ60の中心軸Xに向けて案内される(矢印F1参照)。これにより、可動側内導体42は、複数の弾性片66の間に向けて案内される。特に、弾性片66がガイド片66cを有しているため、可動側内導体42は、より確実に接点部66bの間に向けて案内される。この断面においては、一旦、弾性片66の間に向けて案内された可動側内導体42は、複数の弾性片66の間から脱することなく、複数の弾性片66の間に配置される状態に保たれる。
【0086】
中心軸Xを通り、かつ、複数の弾性片66の間を通る断面における接続動作について説明する。上記したように、同軸コネクタ60の中心軸Xに対して、中継コネクタ40の中心軸が異なる位置に位置したり、傾いたりすることがある。
【0087】
この場合でも、
図7に示すように、同軸コネクタ60の中心軸Xに対して、中継コネクタ40の可動側内導体42の中心軸が異なる位置に位置したり、傾いたりしていると、可動側内導体42の先端部がガイド面84aに接触し、同軸コネクタ60の中心軸Xに向けて案内される。しかしながら、同軸コネクタ60の中心軸Xに対して、可動側内導体42の中心軸が傾いていると、当該可動側内導体42の先端部が複数の弾性片66の間から筒部72の内周壁側にずれるように押込まれることが考えられる。
【0088】
ここで、仮に上記リブ部74が省略される場合、弾性片66と筒部72の内周壁との間に寸法W1(
図7参照)の隙間が生じる。当該寸法W1が大きいと、可動側内導体42が当該隙間に進入し(
図7の矢印F2参照)、可動側内導体42が複数の弾性片66の間から脱し易くなることが想定される。また、可動側内導体42が複数の弾性片66の間から脱し、弾性片66の側縁部と筒部72の内周壁側との間に安定して収ってしまう可能性がある。
【0089】
これに対し、内周部73にリブ部74が設けられると、弾性片66とリブ部74の先端部との間の寸法W2(
図7参照)を、上記寸法W1よりも小さくできる。つまり、寸法W2は、寸法W1よりもリブ部74の突出寸法分小さい。このため、リブ部74が省略される場合と比較して、可動側内導体42が複数の弾性片66の間から脱し易い。また、弾性片66と筒部72の内周部との間に、可動側内導体42が安定して収ってしまうスペースが形成され難い。
【0090】
このため、可動側内導体42が複数の弾性片66の間に安定して配置され、可動側内導体42と弾性片66とが正常に接続された状態となり易い。
【0091】
<効果等>
以上のように構成された同軸コネクタ60によると、筒部72の内周部に、当該内周部73の周方向において部分的に突出し、筒部72の軸方向(ここでは中心軸Xと一致)に沿って延びるリブ部74が形成されている。このため、リブ部74が形成された部分で、内導体62と絶縁体70との間の隙間を小さくできる。これにより、相手側導体である可動側内導体42が、内導体62と絶縁体70との間に誤って挿入され難くなり、絶縁体70内に収容される内導体62に対して、可動側内導体42を良好に接続できる。これにより、同軸コネクタ60と中継コネクタ40との接続不良を抑制できる。
【0092】
特に、リブ部74は、内周部73の周方向において複数の弾性片66の間に位置するため、リブ部74が、複数の弾性片66の弾性変形を妨げ難い。つまり、弾性片66の外周側にはリブ部74が形成されず、リブ部74が形成された部分よりも大きな隙間が存在している。このため、複数の弾性片66の間に可動側内導体42が挿入されると、弾性片66は、外周側に円滑に弾性変形することができる。これにより、複数の弾性片66の間に、可動側内導体42を円滑に挿入することができる。また、リブ部74は、複数の弾性片66の内周部73との間で、可動側内導体42が、内導体62と絶縁体70との間に誤って入ってくることを抑制することができる。
【0093】
また、複数の弾性片66は中心軸X周りに等間隔で位置し、リブ部74も中心軸X周りに等間隔で位置する。このため、複数の弾性片66は、可動側内導体42をその周りから均等な態様で挟むことができ、可動側内導体42と内導体62とが良好に電気的に接続される。また、複数のリブ部74は、複数の弾性片66の間で、均等な態様で、可動側内導体42の誤挿入を抑制できる。
【0094】
また、リブ部74は、筒部72内において、基端筒部64よりも先端側の領域に位置しているので、基端筒部64にリブ部74を回避する形状を作り込まなくてもよい。これにより、基端筒部64の加工が容易となる。
【0095】
また、リブ部74の基端部は、先端側に向って中心軸Xに向う斜面74fを有しているため、内導体62を絶縁体70に挿入する際に、弾性片66がリブ部74の基端部に引っ掛り難く、内導体62が円滑に筒部72内に挿入される。
【0096】
また、基端筒部64が位置決め凸部64Pを有し、筒部72が、位置決め凸部64Pが嵌る位置決め凹部72Gを有する。このため、位置決め凸部64Pが位置決め凹部72Gに嵌ることで、リブ部74が、筒部72の内周部73の周方向において複数の弾性片66の間に正確に位置することができる。
【0097】
また、筒部72の内周部に位置決めリブ部76が形成されている。この位置決めリブ部76が基端筒部64の外周部に接することで、基端筒部64を筒部72内の一定位置に支持し易い。仮に、筒部の内周部全体が基端筒部の外周全体に隙間無く接して筒部を位置決めする構成とすると、筒部に対して基端筒部が僅かに位置ずれ又は傾いていると、基端筒部を筒部に挿入し難い。部分的な突出部分である位置決めリブ部76が基端筒部64を位置決めする構成であれば、周方向における位置決めリブ部76間の隙間を利用したり、位置決めリブ部76を変形させたりすることで、筒部72に対して基端筒部64が僅かに位置ずれ又は傾いていても、筒部72は基端筒部64を受入れることができる。
【0098】
また、複数の位置決めリブ部76が、中心軸X周りに等間隔で位置していれば、筒部72の中心軸と基端筒部64の中心軸とを一致させ易い。また、また、複数の位置決めリブ部76を変形させることができるので、基端筒部64の挿入が容易となる。
【0099】
また、絶縁体70が、筒部72の先端側に位置し、筒部72の内径よりも小さい径の挿入孔84を有する先端ガイド部80を含む。この挿入孔84は、筒部72内に向って徐々に縮径するガイド面84aを有する。このため、可動側内導体42がガイド面84aによって内導体62に向けて案内される。これにより、可動側内導体42が内導体62と絶縁体70との間に誤って挿入され難くなり、絶縁体70内に収容される内導体62に対して、可動側内導体42をさらに良好に接続できる。
【0100】
また、挿入孔84は、ガイド面84aのうち筒部72側の周縁から筒部72に向って延びる同径ガイド面84bを有する。このため、同径ガイド面84bが可動側内導体42をより確実に内導体62に向けて案内できる。また、ガイド面84aのうち筒部72側の周縁が変形、破損し難い。
【0101】
また、外導体90は、可動側外導体46に対して斜め姿勢で、当該可動側外導体46と導通可能な外導体導通片94を含む。これにより、同軸コネクタ60と中継コネクタ40との位置誤差を吸収できる。この場合に、内導体62と可動側内導体42とが斜め姿勢となることが考えられる。この場合でも、可動側内導体42が内導体62と絶縁体70との間に誤って挿入され難くなり、絶縁体70内に収容される内導体62に対して、可動側内導体42を良好に接続できる。
【0102】
[変形例]
上記同軸コネクタ60のリブ部74に係る構成は、上記中継コネクタ40又は外部接続用同軸コネクタ30に適用されてもよい。また、上記同軸コネクタ60は、機器10を前提としない同軸コネクタ同士の接続に適用されてもよい。
【0103】
内導体の弾性片が周方向に間隔をあけて位置していない場合においても、上記リブ部74が設けられた部分では、相手側内導体が内導体と絶縁体との間に誤挿入され難い。このため、内導体が周方向に間隔をあけて位置する複数の弾性片を有することは必須ではない。
【0104】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0105】
10 機器
12 ケース
13 第1ケース
14 第2ケース
15 底部
16 保持筒部
17 保持仕切部
17h 保持孔
18a 係止突部
20 電気部品
21 回路基板
22 撮像素子
30 外部接続用同軸コネクタ
32 外部接続用内導体
34 外部接続用絶縁体
36 外部接続用外導体
40 中継コネクタ(相手側同軸コネクタ)
42 可動側内導体(相手側内導体)
44 可動側絶縁体
46 可動側外導体(相手側外導体)
60 同軸コネクタ
62 内導体
64 基端筒部
64P 位置決め凸部
64S スリット
64a 延長片
64b 係止突部
66 弾性片
66a 中間片
66b 接点部
66c ガイド片
70 絶縁体
72 筒部
72G 位置決め凹部
72S 円柱状空間
73 内周部
74 リブ部
74f 斜面
76 位置決めリブ部
80 先端ガイド部
84 挿入孔
84a ガイド面
84b 同径ガイド面
85 外周側ガイド面
90 外導体
92 外導体筒部
92a 係止突部
94 外導体導通片
94a 頂部
X 中心軸