IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

特開2023-181741バッテリー上がり防止システム、バッテリー上がり防止方法及び記録媒体
<>
  • 特開-バッテリー上がり防止システム、バッテリー上がり防止方法及び記録媒体 図1
  • 特開-バッテリー上がり防止システム、バッテリー上がり防止方法及び記録媒体 図2
  • 特開-バッテリー上がり防止システム、バッテリー上がり防止方法及び記録媒体 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181741
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】バッテリー上がり防止システム、バッテリー上がり防止方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20231218BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60R16/02 650S
H02J7/00 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095051
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 啓太
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA13
5G503EA08
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】ECU等がスリープ状態に移行せずにバッテリー上がりが生じて、ユーザーが使いたいときに使えないことを課題とする。
【解決手段】本発明における一実施形態のバッテリー上がり防止システムは、遮断制御装置と、バッテリーに流れる電流値を監視する電源監視装置と、前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチと、を備え、前記遮断制御装置は、前記電源監視装置で検出した電流値に基づいて電流値異常が発生しているか否かを判定し、電流値異常と判定した場合に前記第1スイッチを遮断して第1接続状態とし、前記第1接続状態で電流値異常が発生していると判定されなくなった場合に、前記通信装置を介してユーザー端末に異常通知を行う。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮断制御装置と、
バッテリーに流れる電流値を監視する電源監視装置と、
前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチと、を備え、
前記遮断制御装置は、
前記電源監視装置で検出した電流値に基づいて電流値異常が発生しているか否かを判定し、
電流値異常と判定した場合に前記第1スイッチを遮断して第1接続状態とし、
前記第1接続状態で電流値異常が発生していると判定されなくなった場合に、前記通信装置を介してユーザー端末に異常通知を行うことを特徴とするバッテリー上がり防止システム。
【請求項2】
前記遮断制御装置は、前記第1接続状態で前記通信装置が前記ユーザー端末から復帰信号を受信した場合には、前記第1スイッチを接続させることを特徴とする請求項1に記載されたバッテリー上がり防止システム。
【請求項3】
前記バッテリーと前記通信装置との間に設けられる第2スイッチを備え、
前記遮断制御装置は、前記第1接続状態で電流値異常が発生していると判定した場合には、前記第1スイッチを接続して前記第2スイッチを遮断した第2接続状態とし、前記第2接続状態において、電流値異常が発生していると判定されない場合には、前記ユーザー端末に異常通知を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載されたバッテリー上がり防止システム。
【請求項4】
前記遮断制御装置は、前記第2接続状態において、電流値異常が発生していると判定されない場合に、ユーザーが車両を始動すると車両画面に異常を表示させることを特徴とする請求項3に記載されたバッテリー上がり防止システム。
【請求項5】
前記遮断制御装置は、前記第2接続状態で電流値異常が発生していると判定した場合には、前記第2スイッチを接続した第3接続状態とし、前記通信装置からの前記ユーザー端末への異常通知を試み、ユーザーが車両を始動すると車両画面に異常の表示を試みることを特徴とする請求項3に記載されたバッテリー上がり防止システム。
【請求項6】
コンピュータに、
車両の電源がオフとなった後に、バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて、前記バッテリーに電流値異常が発生していると判定した場合に、前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチを遮断して、第1接続状態とする第1接続ステップと、
前記第1接続ステップの後の前記第1接続状態において、前記バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて、電流値異常が発生していると判定しなかった場合に、前記通信装置からユーザー端末に異常通知を行う第1異常通知ステップを実行させることを特徴とするバッテリー上がり防止方法。
【請求項7】
前記コンピュータに、
前記第1異常通知ステップの後に前記ユーザー端末から復帰信号を受信した場合に、前記第1スイッチを接続する復旧ステップを実行させることを特徴とする請求項6に記載されたバッテリー上がり防止方法。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記第2判定ステップにおいて、前記第1接続状態で電流値異常が発生していると判定した場合に、前記第1スイッチを接続して、前記バッテリーと前記通信装置との間に設けられる第2スイッチを遮断した第2接続状態とする第2接続ステップと、
前記第2接続ステップの後の前記第2接続状態において、前記バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第3判定ステップと、を実行させ、
前記第3判定ステップにおいて、電流値異常が発生していると判定しなかった場合には、前記ユーザー端末に異常通知を行わせないことを特徴とする請求項6または7に記載されたバッテリー上がり防止方法。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記第3判定ステップにおいて、前記第2接続状態で電流値異常が発生していると判定せず、車両の電源がオンになった場合に、車両表示装置へ異常を通知する第2異常通知ステップを実行させることを特徴とする請求項8に記載されたバッテリー上がり防止方法。
【請求項10】
前記コンピュータに、
前記第3判定ステップで電流値異常が発生していると判定した場合に、前記第1スイッチと前記第2スイッチを接続した第3接続状態とする第3接続ステップと、
第3接続ステップの後の前記第3接続状態において、前記通信装置から前記ユーザー端末に異常通知を試みる第3異常通知ステップと、ユーザーが車両の電源をオンにすると前記通信装置から前記ユーザー端末に異常通知を行う第4異常通知ステップを実行させることを特徴とする請求項8に記載されたバッテリー上がり防止方法。
【請求項11】
コンピュータに、
車両の電源がオフとなった後に、バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて、バッテリーに電流値異常が発生していると判定した場合に、前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチを遮断して、第1接続状態とする第1接続ステップと、
前記第1接続ステップの後の前記第1接続状態において、前記バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて、電流値異常が発生していると判定しなかった場合に、前記通信装置からユーザー端末に異常通知を行う第1異常通知ステップを実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
コンピュータに、
前記第1異常通知ステップの後に前記ユーザー端末から復帰信号を受信した場合に、前記第1スイッチを接続する復旧ステップを実行させるためのプログラムを記憶した請求項11に記載されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
コンピュータに、
前記第2判定ステップにおいて、前記第1接続状態で電流値異常が発生していると判定した場合に、前記第1スイッチを接続して、前記バッテリーと前記通信装置との間に設けられる第2スイッチを遮断した第2接続状態とする第2接続ステップと、
前記第2接続ステップの後の前記第2接続状態において、前記バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第3判定ステップと、
前記第3判定ステップにおいて、電流値異常が発生していると判定しなかった場合には、前記ユーザー端末に異常通知を行わないステップを実行させるためのプログラムを記憶した請求項11または12に記載されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
コンピュータに、
前記第3判定ステップにおいて、前記第2接続状態で電流値異常が発生していると判定せず、車両の電源がオンになった場合に、車両表示装置へ異常を通知する第2異常通知ステップを実行させるためのプログラムを記憶した請求項13に記載されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
コンピュータに、
前記第3判定ステップで電流値異常が発生していると判定した場合に、前記第1スイッチと前記第2スイッチを接続した第3接続状態とする第3接続ステップと、
第3接続ステップの後の前記第3接続状態において、前記通信装置から前記ユーザー端末に異常通知を試みる第3異常通知ステップと、ユーザーが車両の電源をオンにすると前記通信装置から前記ユーザー端末に異常通知を行う第4異常通知ステップを実行させるためのプログラムを記憶した請求項13に記載されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバッテリー上がり防止システム、バッテリー上がり防止方法及びバッテリー上がり防止のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行や車両に搭載した電装品の作動には、バッテリーを用いている。停止時の電装品使用やバッテリーの劣化等により、バッテリーからの供給電圧が低下すると、エンジンの始動等ができなくなる。近年では、車両に複数のECU(電子制御装置)が搭載されている。そして、車両の始動前の状態においても、ECUは待機電流等が暗電流として電力を消費する。特許文献1には、このような暗電流負荷を考慮したバッテリー上がりの発生を防止することが可能なバッテリー上がり防止装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-334498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の始動前においては、車両に搭載されたECUは基本的にスリープ状態であり、低消費電力である。しかしながら、車両には複数のECUが搭載されており、これらのECUの連携等によって多くのステータスが生じる。そして、ソフトウェアが対応できていないレアなステータスに陥ることなどからECUがスリープせず、バッテリー上がりが発生することが考えられる。
【0005】
また、カーナビゲーションシステム等の車載機器では、サードパーティ装置を用いる場合がある。サードパーティ装置が車両に取り付けられた場合、ECU同士の予期しないルーチン等によりスリープ状態に移行できないECUが生じることも考えられる。
【0006】
本発明は、ECU等がスリープ状態に移行せずにバッテリー上がりが生じて、ユーザーが使いたいときに使えないことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態のバッテリー上がり防止システムは、遮断制御装置と、バッテリーに流れる電流値を監視する電源監視装置と、前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチと、を備え、前記遮断制御装置は、前記電源監視装置で検出した電流値に基づいて電流値異常が発生しているか否かを判定し、電流値異常と判定した場合に前記第1スイッチを遮断して第1接続状態とし、前記第1接続状態で電流値異常が発生していると判定されなくなった場合に、前記通信装置を介してユーザー端末に異常通知を行う。また、本発明の一実施形態のバッテリー上がり防止方法は、コンピュータに、車両の電源がオフとなった後に、バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップにおいて、前記バッテリーに電流値異常が発生していると判定した場合に、前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチを遮断して、第1接続状態とする第1接続ステップと、前記第1接続ステップの後の前記第1接続状態において、前記バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップにおいて、電流値異常が発生していると判定しなかった場合に、前記通信装置からユーザー端末に異常通知を行う第1異常通知ステップを実行させる。さらに本発明の一実施形態のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに、車両の電源をオフとなった後に、バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップにおいて、バッテリーに電流値異常が発生していると判定した場合に、前記バッテリーと車載機器との間に設けられ、前記バッテリーと通信装置の間には設けられない第1スイッチを遮断して、第1接続状態とする第1接続ステップと、前記第1接続ステップの後の前記第1接続状態において、前記バッテリーに電流値異常が発生しているか否かを判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップにおいて、電流値異常が発生していると判定しなかった場合に、前記通信装置からユーザー端末に異常通知を行う第1異常通知ステップを実行させるためのプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態により、車両の始動前において、ソフトウェアが対応できていないレアな状態やサードパーティ装置の接続、漏電などの故障によるバッテリー上がりでユーザーが使いたいときに使えない状況を防ぎつつ、早期にスタートすることができる。また、本発明の一実施形態はユーザーの操作に応じてシャットダウンさせることで、旅行等で長期に車両を始動させない際のバッテリー上がりを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態における車両のシステムを示す図。
図2】本発明の一実施形態におけるバッテリー上がり防止のフロー図。
図3】本発明の一実施形態における電源オフ後の電流値異常の判定を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に本発明の一実施形態における車両1のシステムを示す。車両1には、バッテリー11が搭載され、一方の電源端子111は電源ライン12により種々の車載機器131~133や外部通信装置14と接続している。車載機器131~133は、エンジン制御装置、ドアロック制御装置、車両表示装置、カーナビゲーションシステム等である。バッテリー11の他方の電源端子112は、電源監視装置22を介してアース15に接続している。
【0011】
また、図1には本発明の一実施形態におけるバッテリー上がり防止システム2が記載されている。バッテリー上がり防止システム2は、プロセッサー211とメモリ212を有したコンピュータであってECUである遮断制御装置21、電源監視装置22、第1スイッチ23、第2スイッチ24を備える。プロセッサー211は1つのプロセッサーであってもよく、複数のプロセッサーであってもよい。メモリ212も1つのメモリであってもよく、複数のメモリであってもよい。また、複数のECUが協働するようにして遮断制御装置21を形成してもよい。遮断制御装置21は、電源ライン12により電源端子111に接続している。また、車載機器131~133は、第1スイッチ23と電源ライン12を介して電源端子111に接続し、外部通信装置14は、第2スイッチ24と電源ライン12を介して電源端子111に接続している。もう一方の電源端子112に接続する電源ライン12には、アース15までの間に電源監視装置22が取り付けられている。
【0012】
バッテリー上がり防止システム2の電源監視装置22、第1スイッチ23、第2スイッチ24は、通信ライン25を介して遮断制御装置21に接続している。電源監視装置22では、電源端子112とアース15の間に流れる電流を監視して、通信ライン25を介して電流値を遮断制御装置21に送信する。また、遮断制御装置21は、通信ライン25を介して第1スイッチ23、第2スイッチ24をオフにしたりオンにしたりすることができる。さらに、遮断制御装置21は、通信ライン25と外部通信装置14を介して通信キャリア回線4に接続し、ユーザー端末であるスマートフォン3と通信することができる。
【0013】
次に、図2を用いて本発明の一実施形態におけるバッテリー上がり防止方法の工程を説明する。図2の工程は、プログラムにより各ステップが実行される。また、プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。ステップS01において車両1の電源がオフとなった時は、第1スイッチ23と第2スイッチ24はオンとなっており、バッテリー上がり防止システム2は全接続状態である。車両1の電源がオフの状態では、ECUである車載機器131~133と外部通信装置14はスリープ状態となって、電流値が小さくなる。この時の暗電流は、電源端子112とアース15の間に集合して流れる。したがって、電源監視装置22によって全接続状態における暗電流を監視することができる。
【0014】
ステップS01で車両1の電源がオフになると、電源監視装置22は暗電流の電流値を検出して遮断制御装置21に送信する。第1判定ステップS02において、遮断制御装置21は、電源監視装置22で検出して送られた電流値に基づいて電流値異常が発生しているか否かの判定を行う。スリープ状態のECUの電流を集めた暗電流は、本来は小さい電流値となるが、車載機器131~133と外部通信装置14の中でスリープ状態にならないECUがあると、電流値が大きくなる。遮断制御装置21は、暗電流が所定値より大きいと電流値異常と判定する。一方、大きくないと判定されると終了する。
【0015】
第1判定ステップS02において、電流値異常と判定すると、遮断制御装置21は第1接続ステップS11で第1スイッチ23を遮断して、バッテリー上がり防止システム2を第1接続状態とする。そして、第2判定ステップS12において、第1接続状態での電流値異常を判定する。電流値異常でないと判定されると、第1異常通知ステップS13で、外部通信装置14等を介してユーザー端末であるスマートフォン3に異常である旨を通知する。第1接続状態では、第1スイッチ23は遮断しているが第2スイッチ24は接続しており、外部通信装置14はバッテリー11に接続されて電源供給されている。また、外部通信装置14がバッテリー11に接続されている状態で電流値異常が生じていないことから、外部通信装置14は正常に機能していると想定され、外部通信装置14を介してスマートフォン3に異常を通知する。
【0016】
異常を通知されたスマートフォン3では、アプリケーションソフトを用いてバッテリー上がり防止システム2へ復帰信号を送信することができる。ユーザーは、車両1に乗り込む前に、スマートフォン3の操作により復帰信号を送信する。復帰信号が送信されると、ステップS14において、遮断制御装置21は外部通信装置14等を介して復帰信号を受信する。そして、遮断制御装置21は、復旧ステップS04で第1スイッチ23を接続して、バッテリー上がり防止システム2は全接続状態となる。これにより、車載機器131~133はバッテリー11と接続され、ドアロック制御装置やエンジン制御装置のECUに電力が供給される。そして、ユーザーはドアロックを解除し、車両1を運転してディーラー等に持ち込んで修理を依頼することができる。
【0017】
一方、第1接続状態における第2判定ステップS12で電流値異常を判定した場合には、外部通信装置14で電流値異常が生じていることとなる。そのため、スマートフォン3への異常通知は行わない。そして、第2接続ステップS21で第1スイッチ23を接続し、第2スイッチ24を遮断して第2接続状態とする。第2接続状態においても、遮断制御装置21は第3判定ステップS22で電流値異常を判定する。第3判定ステップS22で電流値異常がないと判定された場合には、ステップS23でユーザーが電源をオンにして車両1を始動したときに第2異常通知ステップS24で車両表示装置へ異常の通知を行い、車両画面に異常を表示させる。異常を表示したときには、第2接続状態で電流値異常がないと判定されているため、ドアロック制御装置、車両表示装置、エンジン制御装置等は電流値異常の原因ではなく、正常に機能すると想定される。そして、ユーザーは車両1を運転してディーラー等に持ち込み、修理を依頼することができる。
【0018】
第3判定ステップS22において電流値異常が判定された場合には、第3接続ステップS31で第2スイッチを接続して第3接続状態である全接続状態とする。そして、第3異常通知ステップであるステップS32でスマートフォン3への異常通知を試みる。また、ステップS33で、ユーザーが車両1の電源をオンにした場合には、第4異常通知ステップS34で車両表示装置へ異常の通知を行い、異常である旨を表示させるように試みる。ステップS32~ステップS34は、外部通信装置14と車載機器131~133の両方に電流値異常の原因がある場合であるが、極めて希な状況である。このように希な状況ではあるが、実施形態では、スマートフォン3への異常通知と車両表示装置での異常表示の双方について試みる。
【0019】
図3にステップS01で電源オフにした後における暗電流の遷移と電流値異常の判定を示すグラフを示す。電源をオフした後、ECUによりスリープ状態に移行する期間が異なる等の理由により、暗電流は徐々に低下する。図3のグラフは、横軸が時間tであり、縦軸が電流値iである。T1で電源をオフにすると、暗電流の電流値iは太線に示すように、徐々に低下する。
【0020】
そこで、本実施形態では、第1判定ステップS02において、遮断制御装置21は、T1の後に2回にわたり電源監視装置22から電流値を取得して、電流値異常の発生を判定する。まず、T1の後におけるTm1のタイミングで、電流値i1を取得する。
そして、
電流値i1≧電流閾値Ith1
である場合には、電流値異常と判定し、第1接続ステップS11で第1接続状態に移行する。
Tm1のタイミングで電流値異常と判定されないと、Tm1の後におけるTm2のタイミングで、電流値i2を取得する。
電流値i2≧電流閾値Ith2
である場合には、電流値異常と判定し、第1接続ステップS11で第1接続状態に移行する。
ここで、電流閾値Ith1と電流閾値Ith2はメモリ212に記憶された値であり、
電流閾値Ith1≧電流閾値Ith2
となっている。
【0021】
図3の例では、電流値i1は電流閾値Ith1よりも小さく、電流値i2は電流閾値Ith2よりも小さいため、電流値異常を検出しない。電流値i1が電流閾値Ith1以上となった場合には、その時点で電流値異常と判定し、2回目の電流値の取得は行わない。
【0022】
図3に示すように、本実施形態ではTm1のタイミングにおける電流閾値Ith1よりも、Tm2のタイミングにおける電流閾値Ith2を小さく設定している。このように、電源オフのタイミングから徐々に電流閾値を下げることにより、徐々に電流値が下がる暗電流の電流値異常を早く確実に検出することができる。
【0023】
本実施形態では、Tm1のタイミングで電流値異常と判定されず、Tm2のタイミングでも電流値異常と判定されなかった場合は、バッテリー上がり防止の工程を終了する。しかし、Tm2のタイミングより後に、所定回にわたって暗電流を検出して電流値異常であるか判定しても良く、所定の間隔で定期的に暗電流を検出して電流値異常であるか判定しても良い。
【0024】
その他、具体的な構成は実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 車両
11 バッテリー
111 電源端子
112 電源端子
12 電源ライン
131 車載機器
132 車載機器
133 車載機器
14 外部通信装置
15 アース
2 バッテリー上がり防止システム
21 遮断制御装置
211 プロセッサー
212 メモリ
22 電源監視装置
23 第1スイッチ
24 第2スイッチ
25 通信ライン
3 スマートフォン
4 通信キャリア回線
図1
図2
図3