(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181744
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/08 20060101AFI20231218BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
B09B5/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095055
(22)【出願日】2022-06-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】522066919
【氏名又は名称】株式会社エイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100159019
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 弥
(72)【発明者】
【氏名】梅田 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】音成 洋司
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
【Fターム(参考)】
4D004AA11
4D004AB03
4D004AC05
4D004BA05
4D004BA06
4D004CA41
4D004CB05
4D004CB31
4D004CC15
4D004DA02
4D004DA03
4D004DA06
4F401AA40
4F401AC02
4F401BA10
4F401BA13
4F401CA51
4F401EA55
4F401EA63
4F401FA01Y
4F401FA01Z
(57)【要約】
【課題】廃ゴムタイヤや廃免震ゴムユニットのような廃ゴム品の難溶性のゴムを溶解して、ゴムと金属を個別にかつ容易にリサイクル可能な廃棄物処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の廃棄物処理方法は、廃ゴム品を、脂肪酸メチルエステルを主成分とする溶媒に浸漬して保持し、望ましくはこの溶媒を200℃以上かつ発火点未満の液温に加熱保持して、上記廃ゴム品のゴムを溶解する溶解処理手順を有することを特徴とする。本発明の他の廃棄物処理方法は、上記本発明の廃棄物処理方法において、上記溶解処理の前に、上記廃ゴム品を、臭化プロピルを主成分とする前処理液に浸漬し、この前処理液を常温保持する前処理手順をさらに有することを特徴とする。これによって、廃ゴム品のゴムを溶解して液化できるとともに、廃ゴム品のゴムと金属とを容易に分離できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ゴム品を、脂肪酸メチルエステルを主成分とする溶媒に浸漬して保持し、前記廃ゴム品のゴムを溶解する溶解処理手順を有することを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項2】
前記溶解処理は、前記溶媒を200℃以上かつ発火点未満の液温に加熱保持することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理方法。
【請求項3】
前記溶解処理の前に、前記廃ゴム品を、臭化プロピルを主成分とする前処理液に浸漬し、この前処理液を常温保持する前処理手順をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の廃棄物処理方法。
【請求項4】
脂肪酸メチルエステルを主成分とする廃棄物処理溶媒であって、
浸漬された廃ゴム品のゴムを溶解する用途に使用される
ことを特徴とする廃棄物処理溶媒。
【請求項5】
前記ゴムの溶解の溶媒液温が200℃以上かつ発火点未満であることを特徴とする請求項4に記載の廃棄物処理溶媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムタイヤや免震ゴムユニットなどのゴム部材を含んだ製品の廃棄物(以下、廃ゴム品とする)を溶解処理する廃棄物処理方法に関し、特に、金属部材を残してゴム部材を選択的に溶解する処理方法および処理溶媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄されるゴムタイヤ(廃ゴムタイヤ)は、一般に、燃焼処理されるか、チップや粉末にシュレッド加工され、燃料としてリサイクルされている。燃料としてのリサイクルの他にも、例えば、上記の粉末にポリマーを混錬して新たなゴム材料としてリサイクルする技術が提案されている(特許文献1参照)。また例えば、廃ゴムタイヤを脱加硫処理し、この脱加硫物質を回収してゴム材料とする技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
廃棄された発砲スチロールの処理としては、リモネンに代表されるソルベント液を使用して液化させ、体積を著しく減少させる技術がある(例えば特許文献3参照)。発砲スチロールは、緩衝材としての使用が主であるため薬液耐性はあまり考慮されていないと考えられるが、ゴムタイヤに使用されているゴム部材は、ゴムタイヤの用途および機能上、薬液耐性が高く、難溶性のゴムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-202658号公報
【特許文献2】特開2005-023225号公報
【特許文献3】特開2012-251120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、廃ゴム品を燃焼処理すると、ゴム部材のリサイクルができなくなるばかりか、温暖化ガスやその他汚染物質を含む排気を大気中に放出することとなる。また、シュレッド加工では、ゴムタイヤを構成する金属部材や繊維部材がゴムチップやゴム粉末に含まれ、得られるゴム材料の純度が高くならない。さらには、廃ゴム品が免震ゴムユニットのような場合には、そもそも燃焼処理やシュレッド加工が困難である。
【0006】
廃ゴム品は、金属部材との複合体が多く、理想としては、ゴム部材と金属部材とをきれいに分離可能としたい。金属部材をゴム部材と分離できれば、その金属をリサイクルすることは容易である。また、ゴム部材を金属部材から分離できれば、そのゴムのリサイクルの可能性や目的の幅を広げることができる。
【0007】
このように、上記従来技術では、ゴムタイヤのような廃ゴム品については、燃焼処理またはシュレッド加工が主たる処理方法であるため、ゴム部材と金属部材を分離して個別に得ることが困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであって、廃ゴムタイヤや廃免震ゴムユニットのような廃ゴム品の難溶性のゴムを溶解して、ゴムと金属を個別にかつ容易にリサイクル可能な廃棄物処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の廃棄物処理方法は、廃ゴム品を、脂肪酸メチルエステルを主成分とする溶媒に浸漬して保持し、上記廃ゴム品のゴムを溶解する溶解処理手順を有することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の他の廃棄物処理方法は、上記本発明の廃棄物処理方法において、上記溶解処理の前に、上記廃ゴム品を、臭化プロピルを主成分とする前処理液に浸漬し、この前処理液を常温保持する前処理手順をさらに有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の廃棄物処理溶媒は、脂肪酸メチルエステルを主成分とする廃棄物処理溶媒であって、浸漬された廃ゴム品のゴムを溶解する用途に使用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、脂肪酸メチルエステルを主成分とする溶媒に廃ゴム品を浸漬して保持することによって、廃ゴム品のゴムを溶解して液化できるとともに、廃ゴム品のゴムと金属とを容易に分離できるので、それぞれの部材の個別リサイクルが可能になるとともに、廃ゴム液体によるゴムの多目的なリサイクルが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、溶解処理として、廃ゴムタイヤ,廃免震ゴムユニット,廃ゴムクローラー(廃ゴム履帯),廃ゴム転輪,廃高圧ゴムホースなどの廃ゴム品を、脂肪酸メチルエステル(FAME)を主成分とする溶媒(以下、溶媒Dとする)に浸漬して保持することによって、廃ゴム品の構成部材の内、ゴム部材を溶媒Dに溶解させて液化させる。ここで、廃ゴムタイヤなどの「廃」とは、使用済みで、あるいは検品不通過で、廃棄されるものを意味する。
【0014】
上記のゴム部材は、常温でも溶媒Dに溶解するが、溶媒Dに浸漬して加熱保持することによって、溶解速度が速くなる。このときの加熱温度(溶媒Dの液温)は、200℃以上であることが望ましく、かつ発火点未満であることが必要である。従って、上記溶解処理に溶媒Dの液温は、常温以上かつ発火点未満の範囲内に設定されることとなる。また、溶媒Dによる溶解処理は、大気開放下の他に、密閉容器などによる圧力コントロール下や、酸素欠乏雰囲気下で実施可能である。なお、溶媒D中の脂肪酸メチルエステルの濃度は、80重量%以上が望ましい。
【0015】
さらに、上記溶解処理の前処理として、上記の廃ゴム品を、臭化プロピル(1-ブロモプロパン)を主成分とする前処理液(以下、前処理液Eとする)に浸漬し、常温保持することによって、廃ゴム品のゴム部材に前処理液Eを浸透させ、そのあとの溶解処理でのゴム部材の溶解速度を速くする。なお、前処理液E中の脂肪酸メチルエステルの濃度は、80重量%以上が望ましい。
【0016】
溶媒Dの主成分である脂肪酸メチルエステルは、廃ゴム品のゴム成分の内、特に天然ゴム成分に対する浸透性に優れており、かつ廃ゴム品のゴム部材全体を溶解できるという特性がある。この脂肪酸メチルエステルは、従前からバイオディーゼル燃料として使用されているが、ゴムを溶解可能であることは知られていなかった。脂肪酸メチルエステルは、常温でも廃ゴム品のゴムを溶解可能であるが、加熱することによって浸透速度および溶解速度が速くなる。つまり、脂肪酸メチルエステルは、ゴムに浸透してこれを膨潤させるのみならず、ゴムの内部まで溶解可能な処理液である。なお、脂肪酸メチルエステルは、常温から発火点未満の温度で水不溶性の液体であって、引火点が180℃以下である。また、脂肪酸メチルエステルの発火点は、雰囲気の圧力や酸素濃度などによって変動するが、290℃以上とされている。
【0017】
前処理液Eの主成分である臭化プロピルは、廃ゴム品のゴム部材に対する常温での浸透性に優れており、ゴム成分を膨潤させ、溶媒Dによるゴムの溶解処理を促進する(溶解速度を上げる)役目を果たす。この臭化プロピルは、従前からメッキの剥離剤として使用されており、金属、特にアルミを傷め難いという特性がある。つまり、臭化プロピルは、ゴムに浸透してこれを膨潤させ、溶媒Dに溶解し易くするとともに、アルミなどの金属を損傷することなくそのまま残すことが可能な処理液である。なお、臭化プロピルは、常温で無色透明の液体である。
【0018】
ゴムタイヤの構成部位は、トレッド部,サイドウォール部,ビード部,ベルト部,カーカス部などに分類される。トレッド部およびサイドウォール部は、主に天然ゴムと合成ゴムを混合した加硫ゴムで構成され、ビード部およびベルト部は、高炭素鋼,スチールコードなどの金属で構成され、カーカス部は、主に繊維で構成される。このようなゴムタイヤにおいて、最も溶解し難いのは、トレッド部のゴムである。
【0019】
免震ゴムユニットは、ゴム体を2つの金属体で挟んだ構造のゴム金属複合体である。また、ゴム体の内部にも複数枚の金属体が埋め込まれている。ゴムと金属の接合部は、極めて強固であり、ゴム体と金属体の分離が難しい。さらにゴム体は、数千トンの加圧を施して製作された極めて密度が高い強固なものであって、これをシュレッド加工や切削処理することは難しく、燃焼処理することも難しい。このため、免震ゴムユニットは、リサイクルが困難な廃ゴム品である。
【0020】
クローラーユニット(無限軌道機構)は、ブルドーザーなどの重機やコンバインなどの農機に使用されており、クローラー(履帯),起動輪,転輪,誘導輪などで構成されている。クローラーや転輪には、ゴム製のものがある。ゴムクローラーは、ゴムのベルト部品に連繋のための金属部材が埋め込まれた構造のベルトである。ゴム転輪は、金属ホイールの周面にゴム部材が接合された構造のゴムと金属の複合品であり、金属ホイールがアルミ製のものもある。ゴムクローラーおよびゴム転輪のゴムは、未加硫のものが一般に使用されている。
【0021】
高圧ゴムホースは、金属パイプのメッシュ外周面がゴム層で被覆された構造のゴムと金属の複合品である。高圧ホースの外被ゴム層は、一般に表面が加硫されている。
【0022】
本発明による廃ゴム品の処理手順を以下に説明する。被処理廃棄物である廃ゴム品と、溶媒Dと、前処理液Eとを用意する。廃ゴム品は、例えば、ゴムタイヤ,免震ゴムユニット,ゴムクローラー,ゴム転輪,高圧ゴムホースなどである。廃ゴム品の内、可能なものはあらかじめ所定の大きさに裁断しておくか、あるいは所定の間隔で切れ目を入れておく。これによって、溶媒Dおよび前処理液Eの浸透速度を速くできるとともに、使用可能な処理容器の選択自由度を大きくできる。例えば、廃ゴム品そのままでは入りきれない小さな容器を使用した処理が可能となる。
【0023】
まず、廃ゴム品を前処理液Eに浸漬し、常温で所定時間保持する。このとき、浸漬保持時間は、廃ゴム品のゴム部材の特性や大きさや厚さなどに応じて設定され、例えば12~48時間とする。これによって、廃ゴム品のゴム部材に前処理液Eが浸透し、ゴム部材があらかじめ膨潤するので、このあとの溶解処理を容易にすることができる。なお、この前処理液Eによる溶解高速化の効果は、浸漬保持時間が長くなるに従って大きくなり、24時間を超えるとその増加傾向が緩やかになる。
【0024】
次に、前処理液Eから廃ゴム品を取り出して溶媒Dに浸漬し、この溶媒Dをあらかじめ設定した液温にして、そのまま所定時間保持する。このとき、溶媒Dの液温および浸漬保持時間は、廃ゴム品のゴム部材の特性や大きさや厚さなどに応じて設定される。液温は、例えば大気開放下において200~280℃とする。また、浸漬保持時間は、例えば0.5~12時間とする。なお、溶媒Dの加熱(加熱溶解処理)による溶解高速化の効果は、液温200℃以上の場合に顕著となる。また、廃ゴム品の種類によっては、前処理液Eによる前処理をすることなく、溶媒Dによる溶解処理をすることも可能である。
【0025】
本願発明者らは、脂肪酸メチルエステルがゴム(特に天然ゴム)を溶解させる特性を有すること、さらには加熱することによって溶解速度が速くなることを実験で見出した。さらに、天然ゴム, 合成ゴム,天然ゴムと合成ゴムの複合ゴム、加硫されたゴム、未加硫のゴムのいずれも、溶解できることが判った。脂肪酸メチルエステルがゴムに浸透して膨潤させることは従前から知られている。臭化プロピルも同様である。これらの他にも、ゴムを膨潤させる液体物質として知られるものがある。しかし、脂肪酸メチルエステルがタイヤや免震ゴムユニットなどのゴム部材を溶解させることは未知であった。
【0026】
ゴムタイヤ,クローラーユニットのゴムクローラー(ゴム履帯)やゴム転輪などのゴム製品は、その用途および機能から、薬品溶解耐性が極めて高い製品設計になっており、難溶性のゴムが使用される。ゴムの膨潤と溶解は、あくまで異なる現象なのであって、上記のようなゴム製品については、膨潤することがあっても、溶解させることは困難であることを前提に、従前の廃ゴム処理がなされていた。さらに、廃免震ゴムユニットに至っては、シュレッド加工することも困難であって、例えば金属溶融炉に投入して、ユニット全体を一括で融解処理していた。
【0027】
本発明では、難溶性とされていたゴムを溶媒Dによって溶解することができる。溶解可能なゴムの種類は、天然ゴムの他に、ブチルゴム,エチレン・プロピレンゴム,アクリルゴム,フッ素ゴムなどの合成ゴム、およびこれらの合成ゴムの複数種混合ゴム、ならびに天然ゴムとこれらの合成ゴムのとの混合ゴムである。ただし、シリコンゴムについては、他の合成ゴムや天然ゴムとの混合ゴムの場合は溶解可能であるが、シリコンゴム単体の場合は溶解し難い。溶媒Dの液温については、常温から高温になるにつれて溶解速度が速くなり、200℃以上になると、急激に溶解速度が速くなる。また、前処理液Eによる前処理を施すことによって、同じ溶解処理条件で比較したときに、溶解速度がより速くなり、かつ金属を傷めずにゴムを剥離・溶解できる。
【0028】
廃ゴムを溶解して液体とすることによって、廃ゴム品のゴムと金属を分離して個別に得ることができるので、廃ゴムと廃金属それぞれについて、多目的なリサイクル方法が使用できる。加えて、廃ゴム液体は、例えば、アスファルト資材やゴムシート資材や防音資材にリサイクルする場合に、固体のゴムよりも利便性が高い。アスファルトで運動場を造成するには、アスファルトに所定の弾性が必要になる。廃ゴム液体に、ゴムタイヤなどのゴムのバフ粉を混ぜることによって、アスファルトの弾性を容易にコントロールできる。
【0029】
以上のように本発明の実施の形態によれば、脂肪酸メチルエステルを主成分とする溶媒Dに廃ゴム品を浸漬して常温以上かつ発火点未満の液温で保持することによって、廃ゴム品のゴム部材を溶解して液化できるとともに、廃ゴム品のゴムと金属とを容易に分離できるので、それぞれの部材の個別リサイクルが可能になるととともに、廃ゴム液体によるゴムの多目的なリサイクルが可能なる。なお、本発明は、実施の形態で説明したものに限定されず、その主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【実施例0030】
廃ゴムタイヤの溶解処理例を以下に説明する。廃ゴムタイヤは、あらかじめ5~10cm角に裁断したものを使用した。まず、上記裁断した廃ゴムタイヤ片を、前処理液Eに浸漬し、常温で24時間保持したあと、溶媒Dに浸漬し、液温230~250℃で5時間加熱保持した。これによって、廃ゴムタイヤ片のゴムは溶媒Dに溶解して液化し、常温に戻っても液体のままとなった。また、上記の廃ゴムタイヤ片を、前処理液Eに浸漬し、常温で24時間保持したあと、溶媒Dに浸漬し、液温180~230℃で1時間加熱保持し、さらに溶媒Dの液温を230~270℃にして6時間加熱保持した。これによって、廃ゴムタイヤのゴムは溶媒Dに溶解した。なお、液温180~230℃で加熱保持した1時間の開始から終了間際まで、破裂音が継続した。さらにまた、上記の廃ゴムタイヤ片を、前処理液Eに浸漬することなく(前処理なしで)、溶媒Dに浸漬し、液温230~270℃で12時間加熱保持した。これによって、廃ゴムタイヤ変のゴムは溶媒Dに溶解した。
廃免震ゴムユニットの溶解処理例を以下に説明する。まず、廃免震ゴムユニットをそのまま、前処理液Eに浸漬し、常温で24時間保持した。次に、前処理液Eから廃免震ゴムユニットを取り出して溶媒Dに浸漬し、液温280℃で12時間加熱保持した。これによって、廃免震ゴムユニットのゴム体から金属体が剥離され、ゴム体の溶解が開始された。