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特開2023-181759運行情報管理装置及び運行情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181759
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】運行情報管理装置及び運行情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20231218BHJP
   G06Q 10/1091 20230101ALI20231218BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q10/10 342
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095082
(22)【出願日】2022-06-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り カーゴニュース(5月10日発行)第5047号 輸送経済新聞(4月26日発行)第3467号 物流ウィークリー(令和4年5月9日公開)(https://weekly-net.co.jp/logistics/147648/) ロジビズオンライン(令和4年5月9日公開)(https://online.logi-biz.com/59092/) NEWSRELEA.SE(令和4年5月9日公開)(https://newsrelea.se/GKkm6l) 船井総研WEBセミナー(令和4年3月24日開催) 青森トラック協会運送事業者ITセミナー(令和4年4月19日開催) トラックショー(令和4年5月12日~14日開催) ツナグテWEBセミナー(令和4年5月26日開催)
(71)【出願人】
【識別番号】592048475
【氏名又は名称】鈴与株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】小久保 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】林 裕司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良成
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】様々な事業者が車両の運行に関する情報を実態に合わせて修正しやすくする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る運行情報管理装置1は、運転者が運転した車両が滞在した場所と、車両が場所に滞在した日時と、を含む運行明細情報を取得する運行明細情報取得部111と、運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成する管理情報生成部113と、運行明細情報と、管理情報と、を関連付けて情報端末に表示させる表示制御部114と、情報端末において、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける変更受付部115と、を有し、表示制御部は、変更受付部が受け付けた運行明細情報に対する変更に応じて運行明細情報及び管理情報を変更し、変更受付部が受け付けた管理情報に対する変更に応じて運行明細情報を変更せずに管理情報を変更する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が運転した車両が滞在した場所と、前記車両が前記場所に滞在した日時と、を含む運行明細情報を取得する運行明細情報取得部と、
前記運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成する管理情報生成部と、
前記運行明細情報と、前記管理情報と、を関連付けて情報端末に表示させる表示制御部と、
前記情報端末において、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける変更受付部と、
を有し、
前記表示制御部は、前記変更受付部が受け付けた前記運行明細情報に対する変更に応じて前記運行明細情報及び前記管理情報を変更し、前記変更受付部が受け付けた前記管理情報に対する変更に応じて前記運行明細情報を変更せずに前記管理情報を変更する、
運行情報管理装置。
【請求項2】
前記管理情報生成部は、前記管理情報として、前記運転者の拘束時間又は総運転時間の少なくとも一方を含む運行管理情報と、前記運転者の勤務時間を含む勤怠管理情報と、を生成する、
請求項1に記載の運行情報管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記変更受付部が受け付けた、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方において変更が行われた又は変更が行われなかった数又は割合に対応する変更情報を、前記運転者が利用する運転者端末又は前記情報端末の少なくとも一方に表示させる、
請求項1又は2に記載の運行情報管理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方が含む複数の項目のうち変更された又は変更されなかった項目の数又は割合と、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方が変更された又は変更されなかった日の数又は割合と、の少なくとも一方を示す前記変更情報を、前記運転者端末又は前記情報端末の少なくとも一方に表示させる、
請求項3に記載の運行情報管理装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、複数の前記運転者の前記運行明細情報及び前記管理情報を、複数の前記運転者それぞれの前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方において過去に変更が行われた数又は割合が多い順番で、前記情報端末に表示させる、
請求項1又は2に記載の運行情報管理装置。
【請求項6】
前記変更受付部は、前記運転者ごとに前記運行明細情報又は前記管理情報のどちらかの変更を受け付ける、
請求項1又は2に記載の運行情報管理装置。
【請求項7】
前記車両の速度又は位置の少なくとも一方の日時ごとの履歴を含む走行データを取得する走行データ取得部をさらに有し、
前記運行明細情報取得部は、前記走行データを用いて、前記運行明細情報が含む前記場所又は前記日時の少なくとも1つの誤りを検出する、
請求項1又は2に記載の運行情報管理装置。
【請求項8】
プロセッサが実行する、
運転者が運転した車両が滞在した場所と、前記車両が前記場所に滞在した日時と、を含む運行明細情報を取得するステップと、
前記運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成するステップと、
前記運行明細情報と、前記管理情報と、を関連付けて情報端末に表示させるステップと、
前記情報端末において、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方の変更を受け付けるステップと、
前記受け付けるステップにおいて受け付けた前記運行明細情報に対する変更に応じて前記運行明細情報及び前記管理情報を変更し、前記受け付けるステップにおいて受け付けた前記管理情報に対する変更に応じて前記運行明細情報を変更せずに前記管理情報を変更するステップと、
を有する、運行情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行情報を管理するための運行情報管理装置及び運行情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両運行の安全性を向上させるために、車両の運転者の拘束時間、運転時間、勤務時間等を記録することが求められている。従来、車両に設けられたデジタルタコグラフ等の装置が運転者の操作に応じて貨物の積卸しや休憩等の時刻及び位置を含む運行明細情報を記録するシステムの導入が進められている。しかしながら、運転者による装置の操作忘れや操作ミスにより、記録された運行明細情報が実態と異なっている場合がある。
【0003】
特許文献1には、車両における各作業の開始時刻や終了時刻に対して実績に応じた修正を受け付け、修正された時刻を用いて自動的に運転者の勤務時間を算出するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-128486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転者を管理する事業者によって、運行明細情報が実態と異なっていると判断された場合に、運行明細情報自体を修正する場合と、運行明細情報を修正せずに拘束時間、運転時間、勤務時間等を修正する場合と、がある。特許文献1に記載されたシステムは、運行明細情報自体を修正する事業者には適用できるが、運行明細情報を修正せずに拘束時間、運転時間、勤務時間等を修正する事業者には適用できない。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、様々な事業者が車両の運行に関する情報を実態に合わせて修正しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の運行情報管理装置は、運転者が運転した車両が滞在した場所と、前記車両が前記場所に滞在した日時と、を含む運行明細情報を取得する運行明細情報取得部と、前記運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成する管理情報生成部と、前記運行明細情報と、前記管理情報と、を関連付けて情報端末に表示させる表示制御部と、前記情報端末において、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける変更受付部と、を有し、前記表示制御部は、前記変更受付部が受け付けた前記運行明細情報に対する変更に応じて前記運行明細情報及び前記管理情報を変更し、前記変更受付部が受け付けた前記管理情報に対する変更に応じて前記運行明細情報を変更せずに前記管理情報を変更する。
【0008】
前記管理情報生成部は、前記管理情報として、前記運転者の拘束時間又は総運転時間の少なくとも一方を含む運行管理情報と、前記運転者の勤務時間を含む勤怠管理情報と、を生成してもよい。
【0009】
前記表示制御部は、前記変更受付部が受け付けた、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方において変更が行われた又は変更が行われなかった数又は割合に対応する変更情報を、前記運転者が利用する運転者端末又は前記情報端末の少なくとも一方に表示させてもよい。
【0010】
前記表示制御部は、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方が含む複数の項目のうち変更された又は変更されなかった項目の数又は割合と、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方が変更された又は変更されなかった日の数又は割合と、の少なくとも一方を示す前記変更情報を、前記運転者端末又は前記情報端末の少なくとも一方に表示させてもよい。
【0011】
前記表示制御部は、複数の前記運転者の前記運行明細情報及び前記管理情報を、複数の前記運転者それぞれの前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方において過去に変更が行われた数又は割合が多い順番で、前記情報端末に表示させてもよい。
【0012】
前記変更受付部は、前記運転者ごとに前記運行明細情報又は前記管理情報のどちらかの変更を受け付けてもよい。
【0013】
前記運行情報管理装置は、前記車両の速度又は位置の少なくとも一方の日時ごとの履歴を含む走行データを取得する走行データ取得部をさらに有し、前記運行明細情報取得部は、前記走行データを用いて、前記運行明細情報が含む前記場所又は前記日時の少なくとも1つの誤りを検出してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の運行情報管理方法は、プロセッサが実行する、運転者が運転した車両が滞在した場所と、前記車両が前記場所に滞在した日時と、を含む運行明細情報を取得するステップと、前記運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成するステップと、前記運行明細情報と、前記管理情報と、を関連付けて情報端末に表示させるステップと、前記情報端末において、前記運行明細情報又は前記管理情報の少なくとも一方の変更を受け付けるステップと、前記受け付けるステップにおいて受け付けた前記運行明細情報に対する変更に応じて前記運行明細情報及び前記管理情報を変更し、前記受け付けるステップにおいて受け付けた前記管理情報に対する変更に応じて前記運行明細情報を変更せずに前記管理情報を変更するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、様々な事業者が車両の運行に関する情報を実態に合わせて修正しやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る運行情報管理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る運行情報管理システムのブロック図である。
図3】運行明細情報取得部が取得する運行明細情報を説明するための模式図である。
図4】例示的な運行明細情報及び管理情報を表示している管理者端末の模式図である。
図5】変更受付部が運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける方法を説明するための模式図である。
図6】変更受付部が算出する例示的な変更数又は変更割合の模式図である。
図7】例示的な変更情報を表示している運転者端末及び管理者端末の模式図である。
図8】実施形態に係る運行情報管理システムが実行する運行情報管理方法のシーケンス図である。
図9】実施形態に係る運行情報管理システムが実行する運行情報管理方法のシーケンス図である。
図10】変形例に係る運行情報管理システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[運行情報管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る運行情報管理システムSの模式図である。運行情報管理システムSは、運行情報管理装置1と、管理者端末2と、運転者端末3と、を含む。運行情報管理システムSは、複数の管理者端末2及び複数の運転者端末3を含んでもよい。運行情報管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0018】
運行情報管理装置1は、車両Vの運行に関する情報を管理するコンピュータである。車両Vは、例えば、貨物を運送するためのトラック等の自動車である。運行情報管理装置1は、車両Vの運行に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて生成した情報を管理者端末2及び運転者端末3に表示させ、管理者端末2において表示された情報の変更を受け付ける。
【0019】
管理者端末2は、管理者が利用するコンピュータである。管理者は、例えば、車両V又は車両Vを運転する運転者を管理する事業者の従業員である。運転者端末3は、運転者が利用するコンピュータである。管理者端末2及び運転者端末3は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報端末である。管理者端末2及び運転者端末3は、例えば、運行情報管理装置1から受信した情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付け可能なタッチパネルやキーボード等の操作部と、を有する。管理者端末2及び運転者端末3は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して、運行情報管理装置1との間で通信を行う。
【0020】
本実施形態に係る運行情報管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。運行情報管理装置1は、運転者が運転した車両Vが滞在した滞在場所と、車両Vが滞在場所に滞在した滞在日時と、を含む運行明細情報を取得する(a)。運行明細情報は、例えば、車両Vが滞在場所に到着し、運転者が滞在場所において貨物の積卸しや休憩等をし、車両Vが滞在場所から出発したことを表す情報である。滞在場所は、例えば、車両Vを管理する営業所、貨物の積卸しが行われる倉庫、運転者が休憩する駐車場等である。
【0021】
運行情報管理装置1は、例えば、車両Vに設置された車両Vに関する情報を記録するデジタルタコグラフ等の車載コンピュータから、ネットワーク(無線または有線のいずれでもよい)、USBケーブル、記憶媒体(SDカード、USBメモリー等)などを介して運行明細情報を受信する。車載コンピュータは運転者による操作に応じて貨物の積卸しや休憩等の状態を記録するため、運行明細情報には誤りや記録漏れが含まれ得る。運行情報管理装置1が運行明細情報を取得する方法としては、他にも、デジタルタコグラフに代えてアナログタコグラフを用いる方法や、運転者が手書きで記入した運行記録を管理者が管理者端末から入力する方法等がある。ただし、本実施形態に係る運行情報管理システムSの特徴の1つは、入力の際に管理者が未確認のデータを後から修正することができる点にあるため、管理者の操作を介さずに運行明細情報を送受信可能なデジタルタコグラフが好適である。
【0022】
運行情報管理装置1は、取得した運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成する。管理対象時間は、法令や自主規制等により管理が求められている時間であり、例えば拘束時間、総運転時間、勤務時間等である。運行情報管理装置1は、管理者端末2に、運行明細情報及び管理情報を関連付けて表示させる(b)。
【0023】
運行情報管理装置1は、管理者端末2において、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける(c)。ここで運行情報管理装置1は、管理者端末2における運行明細情報に対する変更に応じて運行明細情報及び管理情報を変更し、管理者端末2における管理情報に対する変更に応じて運行明細情報を変更せずに管理情報を変更する。
【0024】
運行情報管理装置1は、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方において変更が行われた又は変更が行われなかった数又は割合に対応する変更情報を、運転者端末3に表示させる(d)。また、運行情報管理装置1は、変更情報を管理者端末2に表示させてもよい。
【0025】
このような構成により、運行情報管理システムSは、運行明細情報に対する変更を管理情報に自動的に反映する一方で、管理情報に対する変更を運行明細情報に自動的に反映しないため、運行明細情報自体を修正する事業者と、運行明細情報を修正せずに拘束時間、総運転時間、勤務時間等の管理情報を修正する事業者と、のどちらにも利用され得る。これにより、運行情報管理システムSは、様々な事業者が車両Vの運行に関する情報を実態に合わせて修正しやすくすることができる。
【0026】
また、運行情報管理システムSは、運行明細情報又は管理情報において変更が行われた又は変更が行われなかった数又は割合を運転者に通知することにより、車載コンピュータに対する操作ミスの有無を運転者に把握させ、運行明細情報の精度を向上させることができる。
【0027】
[運行情報管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る運行情報管理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0028】
運行情報管理装置1は、制御部11と、記憶部12と、を有する。運行情報管理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、運行情報管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0029】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、運行情報管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0030】
制御部11は、運行明細情報取得部111と、走行データ取得部112と、管理情報生成部113と、表示制御部114と、変更受付部115と、を有する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、運行明細情報取得部111、走行データ取得部112、管理情報生成部113、表示制御部114及び変更受付部115として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0031】
以下、本実施形態に係る運行情報管理システムSが実行する表示制御方法を詳細に説明する。運行情報管理装置1において、運行明細情報取得部111は、車両Vの車載コンピュータが記録した、車両Vが滞在した場所である滞在場所と、車両Vが滞在場所に滞在した日時である滞在日時と、を含む運行明細情報を取得する。複数の運転者が存在する場合に、運行明細情報取得部111は、複数の運転者それぞれが運転した車両Vの運行明細情報を取得する。
【0032】
図3は、運行明細情報取得部111が取得する運行明細情報を説明するための模式図である。車両Vが備えるデジタルタコグラフ等の車載コンピュータは、運転者によるボタン等の操作に応じて、運行明細情報を記録する。
【0033】
車載コンピュータは、例えば、運転者が操作部において出勤、出庫、荷積(積地)、荷卸(卸地)、荷積卸(積卸地)、休憩、待機、給油、非走行、帰庫、退勤等の予め定義された区分を選択したことに応じて、選択された区分の滞在が開始されたことを検出し、GPS(Global Positioning System)を用いて測定した車両Vの位置を滞在場所として特定する。また、車載コンピュータは、例えば操作部において所定の終了操作(終了ボタンの押下等)が行われたことに応じて、当該区分の滞在が終了されたことを検出する。滞在が開始されたタイミングから滞在が終了されたタイミングまでの期間を、滞在日時とする。
【0034】
車載コンピュータは、選択された区分と、滞在日時(図3の例では着日、着時刻、発日及び発時刻の組み合わせ)と、滞在場所と、車両Vの累計走行距離と、を関連付けた運行明細情報を記録する。図3の例において、1回の滞在が1つの運行明細行に対応しており、運行明細情報は複数の運行明細行を含む。
【0035】
運行明細情報は、ここに示した具体的な情報に限られず、その他の情報を含んでもよい。運行明細情報は、例えば、運転者による車載コンピュータの操作によって入力された、車両Vを識別するための車体番号(車番)、車両Vが運搬している貨物の荷主の名称、車両Vが走行した際に運転者が支払った高速道路利用代金(高速代)、車両Vに燃料を補給する際に運転者が支払った燃料料金(燃料代)等を含んでもよい。
【0036】
車載コンピュータは、所定の時間(例えば、1時間)ごとに、又は新たな運行明細情報が記録される度に、記録した運行明細情報を、例えばネットワークを介して運行情報管理装置1に送信する。運行情報管理装置1において、運行明細情報取得部111は、車両Vの車載コンピュータが送信した運行明細情報を受信する。
【0037】
走行データ取得部112は、車両Vの速度又は位置の少なくとも一方の日時ごとの履歴を含む走行データを取得する。車両Vの車載コンピュータは、車両Vの速度、走行時間、走行距離、位置等を所定の時間間隔で測定することによって生成した走行データを、自動的に記録する。車載コンピュータは、所定の時間(例えば、1時間)ごとに、又は新たな走行データが記録される度に、記録した走行データを、ネットワークを介して運行情報管理装置1に送信する。運行情報管理装置1において、走行データ取得部112は、車両Vの車載コンピュータが送信した走行データを受信する。走行データは、ここに示した具体的な情報に限られず、その他の情報を含んでもよい。
【0038】
運行明細情報取得部111は、走行データ取得部112が取得した走行データを用いて、運行明細情報が含む滞在場所又は滞在日時のうち少なくとも1つの誤りを検出してもよい。運行明細情報取得部111は、例えば、特定の期間において車両Vが滞在場所に滞在していたことを運行明細情報が示している場合であって、当該期間に車両Vが所定速度以上で走行していたことを走行データが示している場合に、滞在日時が誤っていることを検出する。また、運行明細情報取得部111は、例えば、特定の期間において車両Vが滞在場所に滞在していたことを運行明細情報が示している場合であって、当該期間に車両Vが当該滞在場所とは異なる位置にいたことを走行データが示している場合に、滞在場所が誤っていることを検出する。
【0039】
さらに、運行明細情報取得部111は、滞在場所又は滞在日時の少なくとも一方が誤っていることを検出したことを条件として、当該滞在場所又は当該滞在日時の少なくとも一方を自動的に修正してもよい。運行明細情報取得部111は、例えば、特定の期間において休憩や待機等の区分の滞在が終了していないことを運行明細情報が示している場合(車載コンピュータにおいて終了操作が行われていない場合等)であって、当該期間に車両Vが所定速度以上で走行していたことを走行データが示している場合に、当該期間に当該滞在が終了したことを示すように運行明細情報を修正する。これにより、運行情報管理装置1は、運転者による車載コンピュータの操作ミス等によって運行明細情報が誤っている可能性がある場合に、管理者が運行明細情報を修正する手間を削減できる。
【0040】
運行明細情報取得部111は、走行データを用いて運行明細情報の誤りを検出する処理を行わなくてもよい。この場合に、走行データ取得部112は、車両Vの車載コンピュータから走行データを取得しなくてもよい。
【0041】
管理情報生成部113は、運行明細情報取得部111が取得した運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成する。管理情報生成部113は、例えば、管理情報として、運行管理情報と、勤怠管理情報と、を生成する。管理情報生成部113は、管理情報として、運行管理情報又は勤怠管理情報の一方のみを生成してもよい。
【0042】
運行管理情報は、例えば、前日休息時間と、拘束時間と、総運転時間と、最大連続運転時間と、総待機時間と、を含む。前日休息時間は、前日の退勤時刻から当日の出勤時刻までの時間である。拘束時間は、出勤時刻から退勤時刻までの時間である。総運転時間は、1日の中で運転者が車両Vを運転した時間の合計値である。最大連続運転時間は、1日の中で運転者が連続して車両Vを運転した時間の最大値である。総待機時間は、1日の中で運転者が待機した時間の合計値である。
【0043】
管理情報生成部113は、例えば、1日の中で運行明細情報が示す最初の時刻から最後の時刻までの時間を拘束時間として算出する。管理情報生成部113は、例えば、運行明細情報において1日の中で特定の滞在場所に滞在していない時間を合計することによって総運転時間を算出する。管理情報生成部113は、例えば、運行明細情報において1日の中で特定の滞在場所に滞在していない時間の中で最も長い連続した時間を最大連続運転時間として算出する。管理情報生成部113は、例えば、運行明細情報において1日の中で「待機」の区分に関連付けられた滞在時間を合計することによって総待機時間を算出する。
【0044】
勤怠管理情報は、例えば、勤務時間と、時間内労働時間と、時間外労働時間と、休日労働時間と、深夜労働時間と、を含む。時間内労働時間は、法令や自主規制等により定められた所定時間内の労働時間であり、時間外労働時間は、法令や自主規制等により定められた所定時間外の労働時間である。休日労働時間は、休日の労働時間であり、深夜労働時間は、深夜時間帯の労働時間である。
【0045】
管理情報生成部113は、例えば、1日の中で運行明細情報が示す最初の時刻を出勤時刻と特定し、1日の中で運行明細情報が示す最後の時刻を退勤時刻と特定し、特定した出勤時刻及び退勤時刻を用いて勤務時間、時間内労働時間、時間外労働時間、休日労働時間及び深夜労働時間を算出する。また、管理情報生成部113は、例えば、後述の勤怠管理用端末から取得された情報に基づいて、出勤時刻及び退勤時刻を特定してもよい。
【0046】
管理情報生成部113が運行明細情報から運行管理情報及び勤怠管理情報を生成するために用いる規則(算出対象の項目及び計算式)は、記憶部12に予め記憶されている。運行管理情報及び勤怠管理情報は、ここに示した具体的な情報に限られず、運行明細情報から算出可能なその他の情報を含んでもよい。
【0047】
管理情報生成部113は、運行明細情報取得部111が取得した運行明細情報と、当該運行明細情報から生成した管理情報と、を運転者と関連付けて記憶部12に記憶させる。複数の運転者が存在する場合に、管理情報生成部113は、複数の運転者それぞれが運転した車両Vの運行明細情報から管理情報を生成し、当該運行明細情報及び当該管理情報を当該運転者と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0048】
表示制御部114は、運行明細情報取得部111が取得した運行明細情報と、管理情報生成部113が生成した運行管理情報及び勤怠管理情報を含む管理情報と、を関連付けて管理者端末2に表示させる。表示制御部114は、例えば、1人の運転者の運行明細情報及び管理情報を表示するためのHTML(Hyper Text Markup Language)ファイル等の表示情報を、管理者端末2に送信する。
【0049】
図4は、例示的な運行明細情報及び管理情報を表示している管理者端末2の模式図である。管理者端末2は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、運行明細情報及び管理情報を表示部上に表示する。管理者端末2は、例えば、1人の運転者の運行明細情報と、当該運転者の管理情報が含む運行管理情報及び勤怠管理情報と、を1つの画面内に同時に表示する。
【0050】
図4の例において、管理者端末2は、画面の上領域に運行明細情報を表示し、左下領域に運行管理情報を表示し、右下領域に勤怠管理情報を表示している。運行明細情報、運行管理情報及び勤怠管理情報が含む各項目は、管理者による操作に応じて変更可能な入力欄(例えば、選択領域又は自由入力領域)として表示される。
【0051】
運行明細情報取得部111が運行明細情報において滞在場所又は滞在日時の少なくとも一方が誤っていることを検出した場合に、表示制御部114は、運行明細情報の中で、誤っていることが検出された滞在場所(図4における住所)又は滞在日時(図4における着日、着時刻、発日又は発時刻)を、その他の項目とは異なる表示態様(例えば、文字又は入力欄の色又は大きさ)で表示してもよい。これにより、運行情報管理装置1は、走行データに基づいて誤っている可能性があると検出された項目を、管理者が把握しやすくできる。
【0052】
複数の運転者が存在する場合に、表示制御部114は、複数の運転者の運行明細情報及び管理情報を、複数の運転者それぞれの運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方において過去に変更が行われた数又は割合が多い順番で、管理者端末2に表示させてもよい。過去に変更が行われた数又は割合は、後述の変更受付部115が算出する変更数又は変更割合であり、運転者と関連付けて記憶部12に記憶されている。これにより、運行情報管理装置1は、変更が必要になる確率の高い運転者の運行明細情報又は管理情報を管理者に対して優先的に提示し、管理者が運行明細情報又は管理情報の変更要否を判断しやすくすることができる。
【0053】
変更受付部115は、運行明細情報及び管理情報を表示している管理者端末2において、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける。管理者端末2は、例えば、管理者によって運行明細情報又は管理情報が含むいずれかの項目の内容を変更する操作が行われた場合に、変更された内容を示す情報を運行情報管理装置1に送信する。変更受付部115は、管理者端末2から受信した情報に基づいて、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける。
【0054】
ここで変更受付部115は、管理者端末2において運行明細情報又は管理情報のどちらが変更されたかに応じて、異なる処理を行う。図5(a)、図5(b)は、変更受付部115が運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける方法を説明するための模式図である。
【0055】
図5(a)に示すように、変更受付部115は、管理者端末2において運行明細情報を変更する操作が行われたことに応じて、運行明細情報と管理情報(運行管理情報及び勤怠管理情報)との両方を変更する。この場合に、管理情報生成部113は、変更された運行明細情報から所定の規則に従って管理情報を再生成する。変更受付部115は、管理情報生成部113によって再生成された管理情報を、変更された管理情報として受け付ける。
【0056】
一方、図5(b)に示すように、変更受付部115は、管理者端末2において管理情報(運行管理情報又は勤怠管理情報)を変更する操作が行われたことに応じて、運行明細情報を変更せずに、管理情報を変更する。
【0057】
変更受付部115は、変更結果に従って、記憶部12において運行明細情報及び管理情報の両方を変更し、又は記憶部12において運行明細情報を変更せずに管理情報を変更する。
【0058】
表示制御部114は、変更受付部115による変更結果に従って、運行明細情報に対する変更に応じて運行明細情報及び管理情報を変更し、又は管理情報に対する変更に応じて運行明細情報を変更せずに管理情報を変更するための表示情報を、管理者端末2に送信する。管理者端末2は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、運行明細情報及び管理情報の両方を変更して表示し、又は管理情報のみを変更して表示する。
【0059】
このように、運行情報管理装置1は、運行明細情報に対する変更を管理情報に自動的に反映する一方で、管理情報に対する変更を運行明細情報に自動的に反映しない。そのため、運行情報管理システムSにおいて、ある事業者は運行明細情報を変更することによって管理情報を変更する手間を削減できるとともに、別の事業者は管理情報を変更することによって運行明細情報を変更しないまま残すことができる。これにより、運行情報管理装置1は、様々な事業者が車両Vの運行に関する情報を実態に合わせて修正しやすくすることができる。
【0060】
また、変更受付部115は、運転者を管理する事業者ごとに、運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかを切り替えてもよい。この場合に、管理者端末2は、例えば、事業者(事業者に属する管理者)から、運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかを選択する操作を受け付け、運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかを示す情報を運行情報管理装置1に送信する。変更受付部115は、管理者端末2から受信した情報に基づいて、当該管理者端末2を利用する事業者と関連付けて、運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかの設定を受け付ける。
【0061】
さらに、変更受付部115は、運転者ごとに運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかを切り替えてもよく、さらに、各運転者における運行明細情報の修正数または修正率(図6参照)に応じて運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかを切り替えてもよい。これにより、運行情報管理システムSは、例えば、修正数(変更数)または修正率(変更割合)の高い運転者に限って元データである運行明細情報の変更を可能とし、それ以外の運転者は管理情報のみ変更可能とするなど、より精密な勤怠管理が可能となる。
【0062】
変更受付部115は、受け付けた設定に関連付けられた事業者が利用する管理者端末2において、当該設定に従って運行明細情報又は管理情報のどちらかの変更を受け付ける。変更受付部115は、例えば、運行明細情報の変更を受け付ける設定が行われた事業者の管理者端末2において、運行明細情報の入力欄を変更可能にし、管理情報の入力欄を変更不可能にする。一方、変更受付部115は、例えば、管理情報の変更を受け付ける設定が行われた事業者の管理者端末2において、管理情報の入力欄を変更可能にし、運行明細情報の入力欄を変更不可能にする。これにより、運行情報管理装置1は、事業者ごとに設定された方針に応じて運行明細情報又は管理情報のどちらを変更可能にするかを切り替えることができ、管理者が誤って運行明細情報又は管理情報を変更することを抑制できる。
【0063】
変更受付部115は、記憶部12に記憶された運行明細情報及び管理情報に基づいて、所定期間において受け付けた、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方において変更が行われた数である変更数又は割合である変更割合を算出する。所定期間は、例えば、1日、1週間、1ヶ月等の期間、又は全期間である。所定期間は、管理者端末2において管理者によって指定された期間であってもよい。
【0064】
図6は、変更受付部115が算出する例示的な変更数又は変更割合の模式図である。図6は、変更受付部115が運転者ごとに算出した、所定期間の運行明細情報が含む運行明細行の総数(図6の運行明細行数)と、所定期間において変更が行われた運行明細行の数である変更数(図6の修正行数)と、運行明細行の総数の中で変更が行われた運行明細行の数の割合である変更割合(図6の修正率)と、を表している。
【0065】
変更受付部115は、運行明細行の数に代えて、運行明細情報が含む複数の項目の中で変更が行われた項目の数を用いて変更数又は変更割合を算出してもよい。この場合に、変更数は運行明細情報の中で変更が行われた項目の数であり、変更割合は運行明細情報が含む項目の総数の中で変更が行われた項目の数の割合である。
【0066】
また、変更受付部115は、運行明細行の数に代えて、運行明細情報が取得された複数の日の中で変更が行われた日の数を用いて変更数又は変更割合を算出してもよい。この場合に、変更数は運行明細情報の変更が行われた日の数であり、変更割合は運行明細情報が取得された日の総数の中で運行明細情報の変更が行われた日の数の割合である。
【0067】
また、変更受付部115は、運行明細情報の変更数又は変更割合に代えて又は加えて、管理情報の変更数又は変更割合を算出してもよい。この場合に、変更受付部115は、管理情報が含む複数の項目の中で変更が行われた項目の数を用いて変更数又は変更割合を算出し、又は管理情報が取得された複数の日の中で管理情報の変更が行われた日の数を用いて変更数又は変更割合を算出してもよい。
【0068】
また、変更受付部115は、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方において変更が行われた数又は割合に代えて又は加えて、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方において変更が行われなかった数である非変更数又は割合である非変更割合を算出してもよい。この場合に、変更受付部115は、例えば、所定期間において変更が行われなかった運行明細行の数、変更が行われなかった項目の数、又は変更が行われなかった日の数を用いて非変更数又は非変更割合を算出する。
【0069】
表示制御部114は、変更受付部115が算出した変更数、変更割合、非変更数又は非変更割合のうち少なくとも1つに対応する変更情報を、運転者端末3又は管理者端末2の少なくとも一方に表示させる。表示制御部114は、例えば、変更数、変更割合、非変更数又は非変更割合に対応するメッセージ又はグラフを含む表示情報を、運転者端末3又は管理者端末2に送信する。
【0070】
図7(a)は、例示的な変更情報を表示している運転者端末3の模式図である。運転者端末3は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、変更数、変更割合、非変更数又は非変更割合のうち少なくとも1つに対応する変更情報を表示部上に表示する。図7(a)の例において、運転者端末3は、変更情報として、特定の日付において変更数が1個以上であることを示すメッセージを表示している。また、運転者端末3は、変更情報として、変更された項目の名称を表示している。
【0071】
図7(b)は、例示的な変更情報を表示している管理者端末2の模式図である。管理者端末2は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、変更数、変更割合、非変更数又は非変更割合のうち少なくとも1つに対応する変更情報を表示部上に表示する。
【0072】
図7(b)の例において、管理者端末2は、変更情報として、運転者ごとの変更数(修正数)を示す棒グラフと、運転者ごとの変更割合(修正率)を示す折れ線グラフと、を表示している。運転者事の変更数を示す棒グラフは、変更された項目ごとに異なる色や模様等の表示態様で表されている。また、管理者端末2は、変更情報として、全運転者の変更数の平均値(平均修正数)と、全運転者の変更割合の平均値(平均修正率)と、を表示している。表示制御部114は、管理者端末2に代えて又は加えて、運転者端末3に同様の変更情報を表示させてもよい。
【0073】
このように、運行情報管理装置1は、運行明細情報又は管理情報において変更が行われた又は変更が行われなかった数又は割合を運転者又は管理者に通知する。これにより、運転者は、車載コンピュータにおいて操作するボタン又はタイミングを誤ったことや、操作を忘れたこと等の操作ミスの有無を把握することができるため、車載コンピュータが記録する運行明細情報の精度を向上させることができる。また、管理者は、運行明細情報において変更が必要か否かの傾向を俯瞰できるため、運転者に対して車載コンピュータに対する操作ミスを削減するように運転者に対して適切な指導をしやすくなる。
【0074】
[運行情報管理方法のシーケンス]
図8図9は、本実施形態に係る運行情報管理システムSが実行する運行情報管理方法のシーケンス図である。図8のシーケンス図は、本実施形態に係る運行情報管理方法において運行明細情報及び管理情報の変更を受け付ける処理を表している。運行情報管理装置1において、運行明細情報取得部111は、車両Vが滞在した場所である滞在場所と、車両Vが滞在場所に滞在した日時である滞在日時と、を含む運行明細情報を取得する(S11)。また、走行データ取得部112は、車両Vの速度又は位置の少なくとも一方の日時ごとの履歴を含む走行データを取得する。
【0075】
運行明細情報取得部111は、走行データ取得部112が取得した走行データを用いて、運行明細情報が含む滞在場所又は滞在日時のうち少なくとも1つの誤りを検出する(S12)。運行明細情報取得部111は、滞在場所又は滞在日時の少なくとも一方が誤っていることを検出したことを条件として、当該滞在場所又は当該滞在日時の少なくとも一方を自動的に修正してもよい。
【0076】
管理情報生成部113は、運行明細情報取得部111が取得した運行明細情報から所定の規則に従って算出した時間である管理対象時間を含む管理情報を生成する(S13)。管理情報生成部113は、例えば、管理情報として、運行管理情報と、勤怠管理情報と、を生成する。管理情報生成部113は、運行明細情報取得部111が取得した運行明細情報と、当該運行明細情報から生成した管理情報と、を運転者と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0077】
表示制御部114は、運行明細情報取得部111が取得した運行明細情報と、管理情報生成部113が生成した運行管理情報及び勤怠管理情報を含む管理情報と、を関連付けて管理者端末2に表示させる(S14)。表示制御部114は、例えば、1人の運転者の運行明細情報及び管理情報を表示するための表示情報を、管理者端末2に送信する。
【0078】
管理者端末2は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、運行明細情報及び管理情報を表示部上に表示する。管理者端末2は、管理者によって運行明細情報又は管理情報が含むいずれかの項目の内容を変更する操作が行われた場合に、変更された内容を示す情報を運行情報管理装置1に送信する(S15)。運行情報管理装置1において、変更受付部115は、管理者端末2から受信した情報に基づいて、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方の変更を受け付ける。
【0079】
管理者端末2において運行明細情報を変更する操作が行われた場合に(S16のYES)、変更受付部115は、運行明細情報と管理情報(運行管理情報及び勤怠管理情報)との両方を変更する(S17)。この場合に、管理情報生成部113は、変更された運行明細情報から所定の規則に従って管理情報を再生成する。変更受付部115は、管理情報生成部113によって再生成された管理情報を、変更された管理情報として受け付ける。管理者端末2において運行明細情報を変更する操作が行われていない場合に(S16のNO)、運行情報管理装置1は次のステップに進む。
【0080】
管理者端末2において管理情報(運行管理情報又は勤怠管理情報)を変更する操作が行われた場合に(S18のYES)、変更受付部115は、運行明細情報を変更せずに、管理情報を変更する(S19)。管理者端末2において管理情報を変更する操作が行われていない場合に(S18のNO)、運行情報管理装置1は次のステップに進む。
【0081】
変更受付部115は、変更結果に従って、記憶部12において運行明細情報及び管理情報の両方を変更し、又は記憶部12において運行明細情報を変更せずに管理情報を変更する。
【0082】
表示制御部114は、変更受付部115による変更結果に従って、運行明細情報に対する変更に応じて運行明細情報及び管理情報を変更し、又は管理情報に対する変更に応じて運行明細情報を変更せずに管理情報を変更するための表示情報を、管理者端末2に送信する(S20)。管理者端末2は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、運行明細情報及び管理情報の両方を変更して表示し、又は管理情報のみを変更して表示する。運行情報管理システムSは、運行明細情報及び管理情報の変更を受け付ける処理を終了する条件が満たされていない場合(例えば、管理者端末2において終了操作が行われていない場合)に(S21のNO)、ステップS15~ステップS20の処理を繰り返す。運行情報管理システムSは、運行明細情報及び管理情報の変更を受け付ける処理を終了する条件が満たされた場合(例えば、管理者端末2において終了操作が行われた場合)に(S21のYES)、処理を終了する。
【0083】
図9のシーケンス図は、本実施形態に係る運行情報管理方法において変更数又は変更割合を表示する処理を表している。図9の処理は、例えば、図8の処理が終了した後に開始される。変更受付部115は、記憶部12に記憶された運行明細情報及び管理情報に基づいて、所定期間において受け付けた、運行明細情報又は管理情報の少なくとも一方において変更が行われた数である変更数又は割合である変更割合を算出する(S22)。
【0084】
表示制御部114は、変更受付部115が算出した変更数、変更割合、非変更数又は非変更割合のうち少なくとも1つに対応する変更情報を、運転者端末3又は管理者端末2の少なくとも一方に表示させる(S23)。表示制御部114は、例えば、変更数、変更割合、非変更数又は非変更割合に対応するメッセージ又はグラフを含む表示情報を、運転者端末3又は管理者端末2に送信する。運転者端末3又は管理者端末2の少なくとも一方は、運行情報管理装置1から受信した表示情報に従って、変更情報を表示部上に表示する。
【0085】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る運行情報管理システムSにおいて、運行情報管理装置1は、運行明細情報に対する変更を管理情報に自動的に反映する一方で、管理情報に対する変更を運行明細情報に自動的に反映しない。そのため、運行情報管理システムSにおいて、ある事業者は運行明細情報を変更することによって管理情報を変更する手間を削減できるとともに、別の事業者は管理情報を変更することによって運行明細情報を変更しないまま残すことができる。これにより、運行情報管理装置1は、様々な事業者が車両Vの運行に関する情報を実態に合わせて修正しやすくすることができる。
【0086】
また、運行情報管理装置1は、運行明細情報又は管理情報において変更が行われた又は変更が行われなかった数又は割合を運転者又は管理者に通知することにより、車載コンピュータに対する操作ミスの有無を運転者に把握させ、又は管理者が運転者を指導しやすくし、運行明細情報の精度を向上させることができる。
【0087】
また、運行情報管理装置1は、運行明細情報又は管理情報において変更が行われた後も、変更前のデータを保持し、更にこれを変更後のデータと共に表示可能としてもよい。これにより、運行明細情報又は管理情報の変更履歴を事後的にチェックすることができるため、管理者による不正を防止することが期待される。
【0088】
[変形例]
本変形例において、運行情報管理装置1は、運転者の勤怠管理に用いられる各端末(以下、併せて「勤怠管理用端末K」という。)から、運転者の勤怠に関する情報(以下「勤怠情報」という。)を取得する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。図10は、本変形例に係る運行情報管理システムSの模式図である。勤怠管理用端末Kは、例えば、タイムカード打刻機と、アルコールチェッカーと、点呼システムと、のうち少なくとも1つを含む。タイムカード打刻機は、運転者の出勤・退勤時の打刻時間を記録する装置である。アルコールチェッカーは、運転者への呼気検査の結果及び実施時刻を記録する装置である。点呼システムは、運転者に対する点呼時刻を記録する装置である。
【0089】
例えば、勤怠管理用端末Kがタイムカード打刻機を含む場合に、運行明細情報取得部111は、タイムカード打刻機から出勤・退勤時の打刻時間を勤怠情報として取得してもよい。これにより、運行情報管理装置1は、運転者の出勤・退勤時間をより正確に把握することが可能となり、勤怠管理の精度を向上させることができる。
【0090】
また、例えば、勤怠管理用端末Kがアルコールチェッカーを含む場合に、運行明細情報取得部111は、アルコールチェッカーから運転者への呼気検査の実施時刻を勤怠情報として取得してもよい。また、例えば、勤怠管理用端末Kが点呼システムを含む場合に、運行明細情報取得部111は、点呼システムから点呼時刻を勤怠情報として取得してもよい。一般的に、呼気検査や点呼は運転者の乗車直前に実施されることが多いから、運行情報管理装置1は、これらの実施時刻を取得することで、運転者の乗車時刻(運転開始時刻)をより正確に把握することができる。
【0091】
そして、表示制御部114は、車両Vから取得した運行明細情報と、勤怠管理用端末Kから取得した運転者の勤怠情報とを照合して、その結果に基づき所定の処理(管理者への通知、自動修正等)を行ってもよい。表示制御部114は、例えば、運行明細情報の一例である運転開始時刻が、勤怠情報の一例である呼気検査の実施時刻又は点呼時刻との乖離が大きい場合、その旨を管理者端末2に通知してもよい。また、表示制御部114は、管理者端末2への通知に代えて(あるいは、これと併せて)、運行明細情報(運転開始時刻)を自動的に修正してもよい。このように、運行情報管理装置1は、車両Vから取得した運行明細情報と、勤怠管理用端末Kから取得した運転者の勤怠情報とを一括管理することにより、より精度の高い勤怠管理を実現することができる。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0093】
運行情報管理装置1、管理者端末2及び運転者端末3のプロセッサは、図8図9に示す運行情報管理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。すなわち、運行情報管理装置1、管理者端末2及び運転者端末3のプロセッサは、図8図9に示す運行情報管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行することによって、図8図9に示す運行情報管理方法を実行する。図8図9に示す運行情報管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0094】
S 運行情報管理システム
1 運行情報管理装置
11 制御部
12 記憶部
111 運行明細情報取得部
112 走行データ取得部
113 管理情報生成部
114 表示制御部
115 変更受付部
2 管理者端末
3 運転者端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10