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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181760
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】アダプタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/04 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
G01R1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095083
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
(71)【出願人】
【識別番号】399039719
【氏名又は名称】東日本電気エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】江川 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】市倉 庸宏
(57)【要約】
【課題】電気転てつ機の端子盤の接線子に付属部品を予め取り付けることなく、電気転てつ機の端子盤に装着可能な検査装置用アダプタを提供する。
【解決手段】転てつ機の端子盤10に設けられた接線子13のボルト14に抜き差し可能なクリップ形の端子43を、接線子13の配列に合わせて絶縁基板21に配列してアダプタ20を構成したので、転てつ機の端子盤10に配列された接線子13に、接続のための付属部品を予め取り付けおく必要がなく、アダプタ20の絶縁基板21に配列されたクリップ形の端子43を端子盤10に配列された接線子13(ボルト14)に直接接続することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気転てつ機の端子盤に取り付けて使用される検査装置用アダプタであって、
絶縁基板と、該絶縁基板に設けられ、前記端子盤に設けられた接線子のボルトに抜き差し可能に接続されるクリップ形の端子と、を備えることを特徴とするアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載されたアダプタであって、
前記端子は、前記端子盤の接線子の配列に対応させて配列されることを特徴とするアダプタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたアダプタであって、
前記端子は、前記絶縁基板に形成された相対する凹部の内側に設けられることを特徴とするアダプタ。
【請求項4】
請求項1に記載されたアダプタであって、
前記端子は、前記接線子のボルトを挟圧する一対の接続板を有し、前記端子の先端部には、前記一対の接続板間の間隔が先端に向かって拡幅された接線子案内部が設けられることを特徴とするアダプタ。
【請求項5】
請求項1に記載されたアダプタであって、
前記絶縁基板は、前記端子が対応関係にない前記接線子のボルトに接続されることを阻止する誤接続阻止手段を有することを特徴とするアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気転てつ機の端子盤に装着して使用される検査装置用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたアダプタ210(以下「従来のアダプタ」と称する)は、保守検査対象の電気転てつ機100における外線端子板102の接続端子104のうち、測定端子を接続するべき接続端子104に対応する位置にバナナプラグ216が埋設された有底凹部214を備え、測定端子を接続するべき接続端子104にはバナナプラグ216の挿入孔部14を備えた電気伝導性の測定用ナット10が予め取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-256229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアダプタは、保守検査対象となるすべての電気転てつ機100に対して測定用ナット10(付属部品)を予め取り付けておく必要があるため、設備コストが増大する。また、測定用ナット10(付属品)の取付時に、測定用ナット10を電気転てつ機内に落下させる虞がある。
【0005】
本発明は、電気転てつ機の端子盤の接線子に付属部品を予め取り付けることなく、電気転てつ機の端子盤に装着可能な検査装置用アダプタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアダプタは、電気転てつ機の端子盤に取り付けて使用される検査装置用アダプタであって、絶縁基板と、該絶縁基板に設けられ、前記端子盤に設けられた接線子のボルトに抜き差し可能に接続されるクリップ形の端子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気転てつ機の端子盤の接線子に付属部品を予め取り付けることなく、検査装置のアダプタを電気転てつ機の端子盤に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】YS形電気転てつ機の平面図である。
図2】本実施形態に係るアダプタの平面図である。
図3】本実施形態に係るアダプタの側面図であって、一部を切断面で示す図である。
図4図3における(A)部の拡大図である。
図5図3における(B)部の拡大図である。
図6図4におけるC-C矢視を示す図である。
図7】端子盤にアダプタが装着された転てつ機を示す平面図である。
図8図7におけるD-D矢視を示す図である。
図9】本実施形態の説明図であって、アダプタの向きが正規の位置に対して180°ずれた状態を示す平面図である。
図10図9における側面図である。
図11】本実施形態の説明図であって、アダプタの位置が正規の位置に対して接線子の1ピッチの距離だけ左方向にずれた状態を示す平面図である。
図12図11における側面図である。
図13】本実施形態の説明図であって、アダプタの位置が正規の位置に対して接線子の1ピッチの距離だけ右方向にずれた状態を示す平面図である。
図14図13における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
以下、転てつ機1の端子盤10に装着して使用される検査装置用アダプタ20を説明する。なお、転てつ機1は、側線に設けられ、背向割り出しが可能なYS形電気転てつ機とするが、これに限定することを意図するものではない。
【0010】
また、検査装置(図示省略)は、アダプタ20を除いた構成が従来の検査装置と同一であり、転てつ機1の電動機電圧、電動機電流、表示リレー回路電流、及び制御リレー回路電流等を測定するものである。ここでは、明細書の記載を簡潔にすることを目的に、従来の検査装置に関する説明を省略する。便宜上、図1における上下方向を縦方向と称し、図1における左右方向を横方向又はそのまま左右方向と称する。また、図3における上下方向をそのまま上下方向と称する。
【0011】
図1に示されるように、転てつ機1は、保守検査時にアダプタ20が装着される端子盤10を有する。図1では、端子盤10を表示するため、カバー2の一部が切り取られている。端子盤10には、複数個(本実施形態では「20個」)の接線子13が縦2列×横10列のマトリックス状に配列される。接線子13は、基板11に対して垂直に突設されたボルト14と、ボルト14に螺合された複数個(本実施形態では「3個」)のナット15とを有する。ボルト14の先端部は、最上位置のナット15から突出し、後述する端子43が接続される。なお、接線子13の配列は規格化されたものであり、YS形電気転てつ機であれば同一である。
【0012】
図2又は図3に示されるように、アダプタ20は、ベークライト等からなる絶縁基板21を有する。絶縁基板21は、転てつ機1の端子盤10に対して略同一の縦幅、及び端子盤10よりも大きい横幅を有する。絶縁基板21の下面22には、垂直線(上下方向へ延びる直線)に直交する平面による断面の形状が一定の複数個(本実施形態では「20個」)の凹部31が形成される。凹部31は、マトリックス状に配列された接線子13に対応して縦2列×横10列のマトリックス状に配列される。なお、凹部31の配列は、縦2列×横10列に限定することを意図するものではなく、端子盤10の接線子13の配列に対応していればよい。
【0013】
本実施形態では、凹部31に導電材料からなる端子部材41を収容することにより、端子部材41の端子43が隣接する接線子13に不用意に短絡することがないように構成されている。端子部材41は、クリップ形の端子43と、L字形の端子45と、を有する。端子43は、凹部31の底面32に着座する取付片42と、取付片42の長手方向(図4における「左右方向」)両端から下方向へ延びる一対の接続片44,44(接続板)と、を有する。取付片42の中央には、組み小ねじ53の軸部54(ねじ部)を挿通させるねじ挿通孔46(図6参照)が形成される。他方、絶縁基板21には、絶縁基板21を上下方向に貫通して凹部31の底面32に開口するねじ挿通孔23(図6参照)が形成される。
【0014】
本実施形態では、絶縁基板21のねじ挿通孔23及び取付片42のねじ挿通孔46に挿通した組み小ねじ53の軸部54に四角ナット55を螺合し、組み小ねじ53を締め付けることにより、取付片42が凹部31の底面32に固定、延いては端子部材41が絶縁基板21に固定される。なお、図6に示されるように、組み小ねじ53を締め付けるとき、四角ナット55は、凹部31の縦方向(図6における「上下方向」)に間隔をあけて対向する一対の側壁33,33によって凹部31内における回転が阻止される。また、絶縁基板21には、端子45を通すための上下方向へ延びる溝34が形成される。さらに、凹部31の四隅には、工具によって凹部31を加工したときに形成された断面が半円形の溝35が形成される。
【0015】
クリップ形の端子43は、接続片44,44間の間隔が略一定の基部47と、基部47の下端に接続され、接続片44,44間隔が下方向に向かって縮幅された縮幅部48と、縮幅部48の下端に接続され、接続片44,44間の間隔が下方向(先端)に向かって拡幅された拡幅部49(接線子案内部)と、を有する。端子43は、縮幅部48の下端に形成された挟圧部50によってボルト14の先端部(ナット15から突出した部分)を挟圧することにより、接線子13に電気的に接続される。
【0016】
一方、端子45は、一側が上方向へ延びて端部に電線56の一側が接続される。電線56の他側は、検査装置本体に接続される。なお、図3に示されるように、アダプタ20は、絶縁基板21の下面22が接線子13のナット15に当接されることにより、端子盤10に対して上下方向に位置決めされる。
【0017】
図2に示される平面視において、凹部31及び端子部材41の、組み小ねじ53の軸部54を中心とする時計回り方向の向きは、絶縁基板21の横軸L1を対象軸として線対称(図2における上下対称)に配置されると共に、絶縁基板21の縦軸L2を対象軸として線対称(図2における左右対称)に配置される。図2において、横軸L1及び縦軸L2をX軸及びY軸とする原点Oの直交座標系を定めると、第3象限(絶縁基板21の図2における左下の領域)に横一列に配置された凹部31及び端子部材41は、隣接する凹部31及び端子部材41間で向きを時計回り方向に90°ずらして配置されると共に、一つ置き(交互)に同一の向きに配置される。
【0018】
図2又は図3に示されるように、絶縁基板21の横方向両側の端部24,25には、絶縁基板21の下面22から下方向へ突出し、縦方向へ一定幅で延びる突出部26,27が設けられる。図7又は図8に示されるように、クリップ形の各端子43が端子盤10の対応関係にある(相対する)各接線子13に接続された状態、即ちアダプタ20が端子盤10に対して正規の位置に装着された状態で、絶縁基板21の左側の突出部26と転てつ機1のハウジング3との間には、一定間隔の隙間61が形成される。また、アダプタ20が端子盤10に対して正規の位置に装着された状態で、絶縁基板21の左側の突出部26と最も左側に配置された接線子13(ナット15)との間には、一定間隔の隙間62が形成される。
【0019】
さらに、アダプタ20が端子盤10に対して正規の位置に装着された状態で、絶縁基板21の右側の突出部27と最も右側に配置された接線子13(ナット15)との間には、一定間隔の隙間63が形成される。また、突出部27には、アダプタ20が端子盤10に対して正規の位置に装着された状態において転てつ機1のハウジング3内に配置されたプッシュボタン4との干渉を回避するL字形の切欠き28が形成される。
【0020】
図9又は図10に示されるように、アダプタ20は、端子盤10に対して原点O(図2参照)を中心に時計回り方向へ180°ずれた状態で配置されると、絶縁基板21の端部25の突出部27(誤接続阻止手段)が転てつ機1のハウジング3に当接すると共に、絶縁基板21の端部24の突出部26(誤接続阻止手段)が転てつ機1のプッシュボタン4に当接する。これにより、本実施形態では、アダプタ20の端子43が対応関係にない接線子13に誤って接続されることを阻止している。
【0021】
また、図11又は図12に示されるように、アダプタ20は、端子盤10に対して横一列に配列された接線子13の取付ピッチPの距離だけ左方向へずれた状態で配置されると、絶縁基板21の端部24の突出部26(誤接続阻止手段)が転てつ機1のハウジング3に当接すると共に、絶縁基板21の端部25の突出部27(誤接続阻止手段)が最も右側に配置された接線子12(ボルト14)に当接する。これにより、本実施形態では、アダプタ20の端子43が対応関係にない接線子13に誤って接続されることを阻止している。
【0022】
さらに、図13又は図14に示されるように、アダプタ20は、端子盤10に対して横一列に配列された接線子13の取付ピッチPの距離だけ右方向へずれた状態で配置されると、絶縁基板21の端部24の突出部26(誤接続阻止手段)が最も左側に配置された接線子12(ボルト14)に当接すると共に、絶縁基板21の下面22が転てつ機1のプッシュボタン4当接する。これにより、本実施形態では、アダプタ20の端子43が対応関係にない接線子13に誤って接続されることを阻止している。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、検査装置のアダプタ20を転てつ機1の端子盤10に装着するに際し、転てつ機1のカバー2(図1参照)を開いて端子盤10及び接線子13を露出させる。次に、アダプタ20のクリップ形の各端子43の一対の接続片44の下端に設けられた拡幅部49(接線子案内部、図4参照)を、対応関係にある各接線子13のボルト14の先端に接触させるようにして、アダプタ20を端子盤10に対して位置合わせする。
【0024】
次に、アダプタ20を端子盤10に向かって押し込むと、押し込む過程で、端子43の一対の接続片44,44の間隔がボルト14によって押し広げられ、各端子43の一対の接続片44,44間に対応関係にある各接線子13のボルト14が挿入される(差し込まれる)。このとき、アダプタ20は、横方向に隣接する端子部材41間で向きを時計回り方向に90°ずらして配置しているので、アダプタ20を押し込んだ時に、端子43が接線子13に対して、延いてはアダプタ20が端子盤10に対して縦方向又は横方向へずれることを防ぐことができる。
【0025】
そして、図4又は図5に示されるように、絶縁基板21の下面22が接線子13のナット15に当接されることにより、アダプタ20が端子盤10に対して上下方向へ位置決めされる。この状態では、各接線子13のボルト14が対応関係にある各端子43の挟圧部50によって挟圧される。これにより、アダプタ20の各端子43が端子盤10の対応関係にある各接線子13に接続され、図7及び図8に示されるように、アダプタ20が端子盤10に対して正規の位置に装着される。
【0026】
ここで、従来のアダプタは、保守検査対象となるすべての電気転てつ機に対して測定用ナット(付属部品)を予め取り付けておく必要があるため、設備コストが増大する問題があった。また、測定用ナット(付属品)の取付時に、測定用ナットを電気転てつ機内に落下させる虞がある。
【0027】
これに対し、本実施形態では、転てつ機1の端子盤10に設けられた接線子13のボルト14に抜き差し可能なクリップ形の端子43を、接線子13の配列に合わせて絶縁基板21に配列することでアダプタ20を構成した。
本実施形態では、端子43が対応関係にある接線子13のボルト14に向き合うようにアダプタ20を端子盤10に対して位置合わせし、この状態でアダプタ20を端子盤10に向かって押し込むことにより、端子43の接続片44,44間にボルト14が差し込まれ、端子43が対応関係にある接線子13(ボルト14)に接続される。
本実施形態では、転てつ機1の端子盤10に配列された接線子13に、測定用ナット等の付属部品を予め取り付けおく必要がなく、アダプタ20の絶縁基板21に配列されたクリップ形の端子43を端子盤10に配列された接線子13(ボルト14)に直接接続することができる。
これにより、本実施形態は、設備コストを削減することができると共に作業の能率を向上させることができる。また、端子盤の接線子に取り付ける測定用ナット(付属品)を必要としないので、測定用ナット(付属品)を電気転てつ機内に落下させることもない。
また、本実施形態では、絶縁基板21の端部24の突出部26(誤接続阻止手段)及び端部25の突出部27(誤接続阻止手段)を、転てつ機1のハウジング3又はプッシュボタン4に当接させることにより、アダプタ20の端子43が対応関係にない接線子13に誤って接続されることをあらゆるパターンで阻止しているので、アダプタ20が転てつ機1の端子盤10に誤装着されることを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 転てつ機(電気転てつ機)、10 端子盤、13 接線子、14 ボルト、20 アダプタ、21 絶縁基板、43 端子(クリップ形の端子)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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