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特開2023-181780受信装置及びインパルスノイズ除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181780
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】受信装置及びインパルスノイズ除去方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/10 20060101AFI20231218BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20231218BHJP
【FI】
H04B1/10 L
H04B1/10 H
H04H40/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095117
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 浩輔
【テーマコード(参考)】
5K052
【Fターム(参考)】
5K052AA01
5K052BB03
5K052DD04
5K052DD21
5K052EE02
5K052EE04
5K052EE25
5K052FF32
5K052GG31
5K052GG48
5K052GG57
(57)【要約】
【課題】精度良くインパルスノイズを除去すること。
【解決手段】受信装置10は、放送波からインパルスノイズを除去するための処理を行う制御部であるノイズキャンセラ13を有する。ノイズキャンセラ13は、放送波のガードバンドから、ピーク周波数を含む、一部の周波数成分を抽出するようにBPF13bの帯域を調整する。ノイズキャンセラ13は、BPF13bによって抽出された周波数成分のレベルが第1の閾値を超えた時間領域の位置である第1のノイズ位置と、放送波のレベルが第2の閾値を超えた時間領域の位置である第2のノイズ位置と、を検出する。ノイズキャンセラ13は、第1のノイズ位置と第2のノイズ位置が重複する位置における、放送波に対して、ノイズを除去する処理を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波からインパルスノイズを除去するための処理を行う制御部を有し、
前記制御部は、
前記放送波のガードバンドに含まれるピーク周波数を取得し、
前記ガードバンドから、前記ピーク周波数を含む、一部の周波数成分を抽出するようにバンドパスフィルタの帯域を調整し、
前記バンドパスフィルタによって抽出された周波数成分のレベルが第1の閾値を超えた時間領域の位置である第1のノイズ位置と、前記放送波のレベルが第2の閾値を超えた時間領域の位置である第2のノイズ位置と、を検出し、
前記第1のノイズ位置と前記第2のノイズ位置が重複する位置における、前記放送波に対して、ノイズを除去する処理を行う
受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ガードバンドにおけるあらかじめ定められた数のピーク周波数を含むように、前記バンドパスフィルタの帯域を調整する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ガードバンドにおけるピーク周波数の周波数方向の位置に応じて、前記バンドパスフィルタの帯域を周波数方向に移動させる
請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ガードバンドにおける複数のピーク周波数のそれぞれに対応した帯域を、前記バンドパスフィルタに追加する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ノイズを除去する処理によってノイズが除去された放送信号に対して、さらにピーク周波数を取得し、得られたピーク周波数を基に、前記バンドパスフィルタの帯域を調整する
請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
放送波からインパルスノイズを除去するための処理を行う制御部によって実行されるインパルスノイズ除去方法であって、
前記放送波のガードバンドに含まれるピーク周波数を取得し、
前記ガードバンドから、前記ピーク周波数を含む、一部の周波数成分を抽出するようにバンドパスフィルタの帯域を調整し、
前記バンドパスフィルタによって抽出された周波数成分のレベルが第1の閾値を超えた時間領域の位置である第1のノイズ位置と、前記放送波のレベルが第2の閾値を超えた時間領域の位置である第2のノイズ位置と、を検出し、
前記第1のノイズ位置と前記第2のノイズ位置との論理積である位置における、前記放送波に対して、のノイズを除去する処理を行う
インパルスノイズ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置及びインパルスノイズ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;直交周波数分割多重)と呼ばれる変調方式によって変調されたデジタルテレビジョン放送波等の放送信号を受信する車載用受信装置が知られている。
【0003】
そのような車載用受信装置が受信する放送信号には、車両の電装系の始動や停止等に伴って発生するインパルスノイズが混入する場合がある。なお、ここでいう「インパルスノイズ」とは、典型的にはインパルス波形(非常に短い時間に急峻に立ち上がり立ち下がりを繰り返す波形)が断続的に表れるようなノイズを指す。
【0004】
これに対し、従来、BPF(Band Pass Filer)により、放送波から、信号領域以外のガードバンドに対応する部分を抽出し、当該抽出した部分におけるインパルスノイズを検出する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-147276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術には、インパルスノイズを精度良く検出できない場合があるという問題がある。
【0007】
例えば、車両からは、インパルスノイズだけでなく、インパルスノイズとは無関係の定常ノイズ等が発生する場合がある。なお、ここでいう「定常ノイズ」とは典型的には、インパルスノイズより振幅は小さいが時間的に連続的に表れるノイズを指す。
【0008】
インパルスノイズは、振幅は大きいが極短期間しか現れないため、ガードバンド全体で見るとエネルギーが小さく、定常ノイズに埋もれてしまう可能性がある。その結果、インパルスノイズの検出感度が低下する。
【0009】
その際、単に閾値を下げることでインパルスノイズの検出感度を上げると、定常ノイズまでインパルスノイズとして検知してしまい、誤検知が増えてしまうため望ましくない。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、インパルスノイズを精度良く検出できる受信装置及びインパルスノイズ除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る受信装置は、第1の実施形態の受信装置10は、放送波からインパルスノイズを除去するための処理を行う制御部を有する。制御部は、放送波のガードバンドから、ピーク周波数を含む、一部の周波数成分を抽出するようにバンドパスフィルタの帯域を調整する。制御部は、バンドパスフィルタによって抽出された周波数成分のレベルが第1の閾値を超えた時間領域の位置である第1のノイズ位置と、放送波のレベルが第2の閾値を超えた時間領域の位置である第2のノイズ位置と、を検出する。制御部は、第1のノイズ位置と第2のノイズ位置が重複する位置における、放送波に対して、ノイズを除去する処理を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インパルスノイズを精度良く検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、インパルスノイズ除去手法の概要を示す図である。
図2図2は、受信装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、ノイズキャンセラの構成を示すブロック図である。
図4図4は、バンドパスフィルタの帯域の調整を説明する図である。
図5図5は、周期的インパルスノイズを説明する図である。
図6図6は、時間平均部における時間平均処理を説明するための図である。
図7図7は、閾値決定部における閾値決定処理を説明する図である。
図8図8は、推定位置拡張部における推定位置拡張処理を説明する図である。
図9図9は、ノイズ除去部におけるノイズ除去処理を説明する図である。
図10図10は、ノイズキャンセラが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の受信装置によるインパルスノイズ除去手法の概要を図1を用いて説明する。図1は、インパルスノイズ除去手法の概要を示す図である。
【0015】
図1の(A)には、放送波のガードバンド部分のレベルに基づいてノイズの混入候補区間を推定する処理の概要が示されている。図1の(B)には、放送波の放送信号を含む帯域部分のレベルに基づいてノイズ位置を推定する処理の概要が示されている。図1の(C)には、双方の推定結果の関係に基づいてインパルスノイズを検出する処理の概要が示されている。
【0016】
第1の実施形態の受信装置は、放送波の、ガードバンドのうちの一部の周波数成分、具体的にはピーク周波数を含む周波数成分に基づいてノイズ位置を推定する。さらに、受信装置は放送波の、放送信号を含む帯域部分に基づいてノイズ位置を推定したうえで、双方の推定結果に基づいてインパルスノイズを検出する。
【0017】
具体的には、図1の(A)に示すように、受信装置は、放送波から、バンドパスフィルタによりガードバンドの一部を抽出する(図1の(A-1)参照)。これは、無信号の隙間であるガードバンドが、混入するインパルスノイズ成分の検出に適していることによる。また、バンドパスフィルタについては、図4を用いて後述する。
【0018】
ここで、図1の(A-2)は、バンドバスフィルタで抽出したガードバンド部分のレベルを時間領域からみた場合の(すなわち、時間軸t上に展開した場合の)検出結果の一例である。図1の(A-2)に示すように、バンドパスフィルタのようなフィルタ回路を用いた場合、インパルスノイズは、実際のインパルスノイズの混入位置である位置t1から遅延し、かつ、幅が広がって検出される。これはフィルタの持つ群遅延によるもので、FIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタやIIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルタのようなデジタルフィルタを用いた場合も同様である。
【0019】
なお、受信装置は、そのような検出結果を前提として、閾値b1を超える信号レベルを示す区間w1を、混入候補区間として推定する(図1の(A-2)参照)。
【0020】
そして、図1の(A-3)に示すように、受信装置は、推定した混入候補区間を拡張した拡張区間w1+を含む推定結果を、周波数成分に基づく「第1の推定結果P1」として定める。なお、ここでの拡張に関する詳細については、図8を用いて後述する。
【0021】
一方、図1の(B)に示すように、受信装置は、放送波の、放送信号を含む帯域部分における波形のレベルに基づき、「第2の推定結果P2」を定める。なお、図1の(B-1)には、閾値b2を超える信号が、位置t1におけるインパルスノイズと位置t2における強信号のみである例を示している。
【0022】
なお、「放送波の、放送信号を含む帯域部分」とは、受信装置に入力される放送波全体でも、放送波全体のうち1または複数のチャンネルの放送信号を含む帯域部分であってもよいし、ガードバンドを含んでいてもよい。
【0023】
ここで、図1の(B-2)に示すように、受信装置は、「第2の推定結果P2」を定めるにあたっては、放送信号を遅延させた遅延データを用いる。これは、バンドパスフィルタによる遅延を前提とした「第1の推定結果P1」と、「第2の推定結果P2」とを比較するに際して整合をとるためである。
【0024】
なお、このような整合をとることは、放送信号そのものではなく、「第2の推定結果P2」のような処理結果を遅延させることによっても実現できる。以下では、放送信号を遅延させた場合について説明することとする。
【0025】
そして、図1の(B-3)に示すように、受信装置は、閾値b2を超える位置t1及び位置t2を含む推定結果を、時間領域に基づく「第2の推定結果P2」として定める。
【0026】
つづいて、図1の(C)に示すように、受信装置は、「第1の推定結果P1」と、遅延差を加味した「第2の推定結果P2」との論理積をとることによってインパルスノイズを検出する。
【0027】
すなわち、図1の(C)の破線の閉曲線1に囲まれた部分に示すように、「第1の推定結果P1」の混入候補区間である拡張区間w1+に含まれる「第2の推定結果P2」の位置t1における信号が、最終的にインパルスノイズとして検出される。また、拡張区間w1+には含まれない位置t2における強信号は、最終的にインパルスノイズとして検出されない。
【0028】
そして、受信装置は、このように検出されたノイズ位置t1におけるインパルスノイズを除去することとなる。なお、受信装置によるインパルスノイズの除去方法については、図9を用いて後述する。
【0029】
さらに、受信装置は、放送波に対してFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)処理を行って得られたガードバンド部分のピーク周波数を基に、バンドパスフィルタの帯域幅やカットオフ周波数(以下「帯域幅等」という)を調整することができる。これにより、受信装置は、定常ノイズ等の影響を抑え、インパルスノイズの除去精度をさらに向上させることができる。
【0030】
なお、図1の(A)は、図3を用いて後述する第1の推定部2に対応している。また、図1の(B)は、第2の推定部3に対応している。また、図1の(C)は、ノイズ検出部4に対応している。
【0031】
また、上述した閾値b1及びb2については、信号レベルの時間平均に基づいて可変とすることができる。閾値については、図6及び図7を用いて後述する。
【0032】
図2は、受信装置10の構成を示すブロック図である。なお、図2では、受信装置10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0033】
図2に示すように、受信装置10は、車両Vに搭載されたデジタルテレビジョン(DTV:Digital Television)受信機に含まれる。また、車両Vの電子機器等から発生するインパルスノイズが、DTVの放送信号に重畳する場合がある。
【0034】
受信装置10は、RF(Radio Frequency)/IF(Intermediate Frequency)部11、復調LSI(Large Scale Integration)10a、及びデコーダ17を備える。
【0035】
RF/IF部11は、アンテナにおいて受信した放送信号から受信すべき放送波の信号を抽出して増幅する。RF/IF部11は、高周波信号(RF信号)増幅回路及び中間周波信号(IF信号)増幅回路等を含む。RF/IF部11は、処理信号(IF信号)を復調LSI10aに出力する。復調LSI10aは、放送信号を復調し、映像及び音声として出力する。
【0036】
復調LSI10aは、同期部12、ノイズキャンセラ13、FFT部14、等化部15、及び誤り訂正部16を備える。
【0037】
同期部12は、放送波に含まれる放送信号のフレームタイミング/シンボルタイミングの同期を取る。同期部12は、処理後のIF信号をノイズキャンセラ13に出力する。
【0038】
ノイズキャンセラ13は、入力されたIF信号に含まれるインパルスノイズを検出して除去する処理を行う。ノイズキャンセラ13は、処理後のIF信号をFFT部14に出力する。なお、ノイズキャンセラ13の詳細については、図3を用いて後述する。
【0039】
FFT部16は、IF信号に対してFFT処理を行い、等化部15に出力する。また、このとき、FFT部14は、FFT処理の結果(例えばピーク周波数)をノイズキャンセラ13に通知する。
【0040】
等化部15は、入力されたIF信号の歪みを補正する等化処理を行う。また、誤り訂正部16は、データ信号の誤りを検出して訂正する。
【0041】
デコーダ17は、誤り訂正後のデータ信号を外部装置に対して出力する処理を行う。なお、外部装置は、例えば、デジタルテレビジョン放送の映像を表示する車載装置等である。
【0042】
また、受信装置10では、復調LSI10aが、OFDM処理部として機能する。
【0043】
ここで、ノイズキャンセラ13の構成について、図3を用いてさらに詳細に説明する。図3は、ノイズキャンセラの構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、ノイズキャンセラ13は、データ遅延部13aと、BPF13bと、時間平均部13c,13d,13h,13iと、閾値決定部13e,13jと、コンパレータ13f,13kと、推定位置拡張部13gと、AND回路13lと、ノイズ除去部13mとを備えている。
【0045】
なお、ノイズキャンセラ13では、BPF13b、時間平均部13c,13d、閾値決定部13e、コンパレータ13f及び推定位置拡張部13gが、第1の推定部2として機能する。
【0046】
また、時間平均部13h,13i、閾値決定部13j、コンパレータ13kが、第2の推定部3として機能する。また、AND回路13lが、ノイズ検出部4として機能する。
【0047】
データ遅延部13aは、入力信号(以下、「実データ」と記載する)をメモリ等にため込んで遅延させる処理を行う。データ遅延部13aは、遅延した入力信号(以下、「遅延データ」と記載する)を第2の推定部3を構成する時間平均部13h、時間平均部13i及びノイズ除去部13mに対して出力する。
【0048】
BPF13bは、実データに基づいて設定された帯域に対応する部分を通過させ、時間平均部13cに対して出力するバンドパスフィルタである。
【0049】
ここで、ノイズキャンセラ13は、放送波のガードバンドに含まれるピーク周波数を取得し、ガードバンドから、ピーク周波数を含む、一部の周波数成分を抽出するようにBPF13bの帯域幅等を調整(設定)する。
【0050】
その後、ノイズキャンセラ13は、BPF13bによって抽出された周波数成分のレベルが第1の閾値を超えた第1のノイズ位置と、放送波のレベルが第2の閾値を超えた第2のノイズ位置と、を検出する。第1のノイズ位置と第2のノイズ位置は、時間領域の位置(例えば、時刻又は時間区間)である。
【0051】
第1のノイズ位置を出力する処理は、第1の推定部2によって行われる。第1の閾値は閾値b1に相当する。また、第1のノイズ位置は第1の推定結果P1(例えば、拡張区間w1+)に相当する。
【0052】
第2のノイズ位置を出力する処理は、第2の推定部3によって行われる。第2の閾値は閾値b2に相当する。また、第2のノイズ位置は第2の推定結果P2(例えば、位置t1又は位置t2に相当する。
【0053】
さらに、ノイズキャンセラ13は、第1のノイズ位置と第2のノイズ位置が重複する位置(例えば、図1の閉曲線1に囲まれた部分)における、放送波に対して、ノイズを除去する処理(後述するノイズ除去部13mに相当)を行う。
【0054】
ノイズキャンセラ13による位置を検出する処理及びノイズを除去する処理については、図5図9を用いて後に説明する。ここでは、図4及び図5を用いて、ノイズキャンセラ13によるBPF13bの帯域幅等を調整する処理について説明する。前述の通り、受信装置10は、BPF13bの帯域幅等を調整することにより、定常ノイズ等の影響を抑え、インパルスノイズの除去精度をさらに向上させることができる。
【0055】
図3に示すように、ノイズキャンセラ13は、BPF13bの帯域幅等を調整するために、FFT部からピーク周波数を取得する。
【0056】
そして、図4に示すように、ノイズキャンセラ13は、BPF13bの帯域をR1からR2に変更する。図4は、バンドパスフィルタの帯域幅等の調整を説明する図である。このとき、ピーク周波数はf1及びf2であるものとする(ただし、f1<f2)。
【0057】
帯域R1は、初期値として設定される帯域である。例えば、帯域R1は、ガードバンド全体に対応する帯域である。
【0058】
帯域R2は、帯域R1より狭く、かつピーク周波数f1及びf2を含む帯域である。f1を下限とし、f2を上限とする範囲の帯域であってもよい。
【0059】
なお、具体的には、ノイズキャンセラ13は、BPF13bの帯域幅等を決定する係数を変更することにより調整を行うことができる。
【0060】
なお、ピーク周波数の個数は、図4に示すものに限られず、1個又は3個以上であってもよい。ノイズキャンセラ13は、ガードバンドにおけるあらかじめ定められた数のピーク周波数を含むように、BPF13bの帯域幅等を調整する。これにより、定常ノイズ等の影響を最低限に抑えつつ、BPF13bによって抽出される部分におけるインパルスノイズの割合を増加させることができる。
【0061】
また、ノイズキャンセラ13は、ノイズを除去する処理によってノイズが除去された放送信号に対してFFTを行った結果得られたピーク周波数、すなわち残留しているノイズのピーク周波数を基に、BPF13bの帯域幅等をさらに調整する。これにより、再帰的にインパルスノイズ検出の精度を向上させていくことができる。
【0062】
ノイズキャンセラ13は、FFT部14によるFFTの結果、振幅(パワー)が閾値以上であった周波数を示す情報をピーク周波数として取得してもよいし、振幅(パワー)が大きかった上位の一定数の周波数を示す情報をピーク周波数として取得してもよい。ノイズキャンセラ13は、放送波のスペクトラムをFFT部14から取得して、ノイズキャンセラ13の側で所定の閾値を超える振幅(パワー)を持つ周波数をピーク周波数として取得するようにしてもよい。
【0063】
なお、以上の説明では復調処理に用いられるFFT部14を、インパルスノイズ検出のためのガードバンド内のピーク周波数の抽出に利用している。これにより、別途FFT部を設ける必要がなく、コストを抑えることができる。ただし、復調処理に用いられるFFT部14とは別に、ピーク周波数抽出用のFFTを設けてもよい。
【0064】
ここで、インパルスノイズには、周波数領域と時間領域の両方において周期性が見られる場合がある。図4で説明したBPF13bの帯域の調整は、このようなインパルスノイズを検出する際に有効である。
【0065】
図5は、周期的インパルスノイズを説明する図である。図5に示すように、デジタルテレビジョンの放送信号に重畳するインパルスノイズは、時間領域においてΔtの周期で発生し、周波数領域において1/Δtの周波数として現れる場合がある。
【0066】
特にインパルス波のスペクトラムは、複数の周波数のサイン波の足し合わせで表現されるため、1/Δtの周波数を基本波とする複数のピークが現れる。一方、定常ノイズは、波形が広い周波数帯に亘って一様になる傾向がある。
【0067】
BPF13bの帯域幅等を調整することにより、抽出後の部分に含まれる定常ノイズのエネルギーを小さくして、相対的にインパルスノイズのエネルギーが占める割合を大きくすることができ、インパルスノイズが定常ノイズに埋もれてしまうことがなく、インパルスノイズを精度よく検出することができる。
【0068】
ここで、デジタルテレビジョン放送の14chは、479.142857MHz~476.357857MHz~481.927857MHzであり、15chは482.357857MHz~487.927857MHzであるものとする。このとき、481.927857MHz~482.357857MHzはガードバンドである。
【0069】
FFT部14によって特定されたピーク周波数が、f1=482.100MHzとf2=482.200MHzであったものとする。このとき、ノイズキャンセラ13は、BPF13bが抽出する帯域が482.100MHz~482.200MHzとなるように調整を行う。
【0070】
図4の例では、ノイズキャンセラ13は、帯域R1を帯域R2に縮小する調整を行っている。一方で、ノイズキャンセラ13は、ガードバンドにおけるピーク周波数の周波数方向の位置に応じて、BPF13bの帯域を周波数方向に移動させてもよい。このように、ノイズキャンセラ13は、ピーク周波数に応じてBPF13bの帯域幅等を柔軟に調整することができる。
【0071】
例えば、ノイズキャンセラ13は、482.100MHz~482.200MHzである帯域R1´を、482.250MHz~482.350MHzである帯域R2´に移動させてもよい。
【0072】
ノイズキャンセラ13による帯域の調整方法は、上記のものに限られない。ノイズキャンセラ13は、ピーク周波数を含むように、帯域の周波数方向の正負いずれか又は両方への拡大、縮小、移動を行うことができる。
【0073】
なお、チャンネルが定められた帯域であっても、地域及び時期によっては放送信号が存在しない場合がある。このため、ノイズキャンセラ13は、BPF13bの帯域を調整する際に、放送信号が存在しないチャンネルをガードバンドと同様に扱ってもよい。すなわち、調整後の帯域の一部が、放送信号のチャンネルと重複していてもよい。
【0074】
さらに、ノイズキャンセラ13は、ガードバンドにおける複数のピーク周波数のそれぞれに対応した帯域を、BPF13bに追加してもよい。これにより、さらに精度良くインパルスノイズを検出できる。
【0075】
例えば、ピーク周波数が481.950MHz、482.050MHz、482.150MHz、482.250MHzであった場合、ノイズキャンセラ13は、481.950MHz~482.050MHzである帯域R3と、482.150MHz~482.250MHzである帯域R4を追加してもよい。
【0076】
以降、BPF13bの帯域が調整された後の処理について説明する。時間平均部13cは、BPF13bを通過した部分についての時間平均をとる。時間平均部13cは、時間平均後のデータを時間平均部13d及びコンパレータ13fに対して出力する。
【0077】
時間平均部13dは、時間平均部13cから入力された時間平均後のデータについて、時間平均部13cよりも相対的に長い時間平均をとる。時間平均部13dは、時間平均後のデータを閾値決定部13eに対して出力する。
【0078】
ここで、時間平均後のデータには、インパルスノイズ以外のノイズ(以下、「一般ノイズ」と記載する)をオフセットするオフセット値を含む。なお、時間平均部13c及び時間平均部13dの詳細については、図6を用いて後述する。
【0079】
閾値決定部13eは、時間平均部13dから入力された時間平均後のデータに含まれるオフセット値に基づき、閾値b1(図1参照)に対応する閾値を決定する。閾値決定部13eは、決定後の閾値をコンパレータ13fに対して出力する。なお、閾値決定部13eの詳細については、図7を用いて後述する。
【0080】
コンパレータ13fは、時間平均部13cから入力された時間平均後のデータ、及び、閾値決定部13eから入力された閾値に基づき、閾値を超える信号レベルを示す区間(図1の区間w1参照)を混入候補区間として推定位置拡張部13gに対して出力する。
【0081】
推定位置拡張部13gは、コンパレータ13fから入力された混入候補区間を拡張したうえで、拡張区間(図1の拡張区間w1+参照)を含む「第1の推定結果P1」(図1参照)を、AND回路13lに対して出力する。なお、推定位置拡張部13gの詳細については、図8を用いて後述する。
【0082】
時間平均部13hは、データ遅延部13aから入力された遅延データについての時間平均をとる。時間平均部13hは、時間平均後のデータをコンパレータ13kに対して出力する。
【0083】
時間平均部13iは、データ遅延部13aから入力された遅延データについて、時間平均部13hよりも相対的に長い時間平均をとる。時間平均部13iは、時間平均後のデータを閾値決定部13jに対して出力する。
【0084】
なお、時間平均後のデータには、既に述べた時間平均部13dの場合と同様に、一般ノイズをオフセットするオフセット値を含む。また、時間平均部13h及び時間平均部13iの詳細については、図6を用いて後述する。
【0085】
閾値決定部13jは、時間平均部13iから入力された時間平均後のデータに含まれるオフセット値に基づき、閾値b2(図1参照)に対応する閾値を決定する。閾値決定部13jは、決定後の閾値をコンパレータ13kに対して出力する。なお、閾値決定部13jの詳細については、図7を用いて後述する。
【0086】
コンパレータ13kは、時間平均部13hから入力された時間平均後のデータ、及び、閾値決定部13jから入力された閾値に基づき、閾値を超える信号レベルを示す位置を含む「第2の推定結果P2」(図1参照)を、AND回路13lに対して出力する。閾値を超える信号レベルを示す位置は、例えば図1の位置t1及びt2である。
【0087】
AND回路13lは、推定位置拡張部13gから入力された「第1の推定結果P1」と、コンパレータ13kから入力された「第2の推定結果P2」との論理積をとる論理回路で、論理積演算の結果、真となるノイズ位置をノイズ除去部13mに対して出力する。
【0088】
ノイズ除去部13mは、データ遅延部13aから入力された遅延データ、及び、AND回路13lから入力されたノイズ位置に基づいてインパルスノイズを除去する。なお、具体的な除去手法については、図9を用いて後述する。
【0089】
ここで、時間平均部13c、13d、13h及び13iにおける時間平均処理について図6を用いて説明する。図6は、時間平均部13c、13d、13h及び13iにおける時間平均処理を説明する図である。
【0090】
なお、図6の(A)には、時間平均部13c、13d、13h及び13iの構成例を、図6の(B)には、第1の推定部2における時間平均部13c及び13dの動作例を、それぞれ示している。また、第2の推定部3における時間平均部13h及び13iの動作例については、図6の(B)に示す時間平均部13c及び13dの動作例とそれぞれ重複するため、ここでの説明を省略する。
【0091】
図6の(A)に示したように、時間平均部13c、13d、13h及び13iには、一般的なIIR(Infinite impulse response)フィルタを用いることができる。
【0092】
この場合、時間平均部13c、13d、13h及び13iは、乗算器131、加算器132、遅延素子133及び乗算器134で構成される。ここで、乗算器131は、前段からの入力に対して時間平均に関する係数「K(0<K<1)」を乗じて加算器132へ出力する。遅延素子133は、加算器132の出力を「Z-1」(いわゆる、Z変換の伝達関数)遅延させた後、乗算器134へ出力する。
【0093】
乗算器134は、遅延素子133からの入力に対して係数「1-K」を乗じて加算器132へ出力する。そして、加算器132は、乗算器131の出力と乗算器134の出力とを加算して後段へ出力する。
【0094】
ここで、第1の推定部2を例に挙げて、時間平均部13c及び13dの動作例について説明する。図6の(B)に示したように、時間平均部13cは、BPF13bが出力する起伏の激しい波形(矩形5に囲まれた部分参照)を、時間平均をとることによって平滑化する(矩形6に囲まれた部分参照)。
【0095】
すなわち、波形が示す出力値を緩やかに変化させることによって、インパルスノイズの誤検出を防止することができる。また、時間平均部13dは、時間平均部13cよりも相対的に長い時間平均をとることによって波形のさらなる平滑化を行う。
【0096】
これにより、時間平均部13dは、一般ノイズ成分をオフセットするオフセット値を得ることができる(矩形7に囲まれた部分参照)。すなわち、インパルスノイズ以外の一般ノイズ成分に基づく誤検出を防止することができる。
【0097】
つづいて、閾値決定部13e及び13jにおける閾値決定処理について図7を用いて説明する。図7は、閾値決定部13e及び13jにおける閾値決定処理を説明する図である。
【0098】
図7に示すように、閾値決定部13e及び13jは、乗算器145及び加算器146で構成される。ここで、乗算器145は、前段(時間平均部13dあるいは13i)からの入力(時間平均された値)に係数を乗じて加算器146へ出力する。
【0099】
加算器146は、あらかじめユーザにより設定された固定閾値と乗算器145の出力とを加算して後段(コンパレータ13fあるいは13k)へ出力する。なお、固定閾値は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ等の記憶デバイスに格納することとしてもよい。
【0100】
これにより、閾値決定部13e及び13jは、時間平均部13dあるいは13iによる時間平均処理に基づいて閾値を決定することができる。すなわち、受信状況等に応じてインパルスノイズの判定基準を可変とする適応制御を行うことができる。
【0101】
なお、これまで、図6を用いて時間平均部13c、13d、13h及び13iについて、図7を用いて閾値決定部13e及び13jについて、それぞれ説明してきたが、いずれの処理部もシンプルで小規模な演算回路によって構成することができる。したがって、受信装置10を、低コストで、かつ、処理速度に優れた小型の構成部品で構成することが可能となる。
【0102】
次に、推定位置拡張部13gにおける推定位置拡張処理について図8を用いて説明する。図8は、推定位置拡張部13gにおける推定位置拡張処理を説明する図である。なお、図8の(1)では、時間平均をとることで平滑化された検出結果(BPF13bによって抽出された部分)に対応する波形を正弦波で示しており、微細な波形の起伏を省略している。
【0103】
ここで、図8の(1)に示すように、推定位置拡張部13gは、検出結果において閾値b1を超える信号レベルを示す区間w1を、混入候補区間としてコンパレータ13fから入力されたものとする。
【0104】
この場合、図8の(2)に示すように、推定位置拡張部13gは、区間w1を時間軸の正方向へ拡張して拡張区間w1+とする。これは、区間w1が狭すぎることによるインパルスノイズの検出漏れを防止する目的で行われる。
【0105】
なお、図8の(2)に示すように、拡張する量については、確実に検出漏れを防ぐことができるように、区間w1の数倍であることが好ましい。また、拡張する量の上限値は、次のインパルスノイズの検出期間までの間で設定可能である。
【0106】
そして、図8の(2)に示すように、推定位置拡張部13gは、拡張区間w1+を含む「第1の推定結果P1」(図1参照)を、AND回路13lに対して出力する。なお、ここでは、「第1の推定結果P1」を拡張区間w1+を含むパルス波として図示しているが、推定位置拡張部13gの出力形式を限定するものではない。
【0107】
次に、ノイズ除去部13mにおけるノイズ除去処理について図9を用いて説明する。図9は、ノイズ除去部13mにおけるノイズ除去処理を説明する図である。なお、図9の(A)には、ノイズ除去手法のその1について、図9の(B)には、ノイズ除去手法のその2について、図9の(C)には、ノイズ除去手法のその3について、それぞれ示している。
【0108】
ここで、図9に示すように、ノイズ除去部13mには、ノイズ検出部4に含まれるAND回路13lから、検出されたインパルスノイズのノイズ位置t1が入力されたものとする。また、図9の(C)における閉曲線に囲まれた部分は、ノイズ位置t1の近傍の拡大図である。
【0109】
図9の(A)に示すように、ノイズ除去部13mは、ノイズ位置t1の出力値を「0」へ置換することによって、インパルスノイズを除去する構成でも実現できる。
【0110】
また、図9の(B)に示すように、ノイズ除去部13mは、ノイズ位置t1における出力値をそのタイミングにおける時間平均値へ置換することによって、インパルスノイズ成分を減衰する構成でも実現できる。
【0111】
また、図9の(C)に示すように、ノイズ除去部13mは、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ等の記憶デバイスである記憶部18に一般的なインパルスノイズの波形(以下、「ノイズレプリカ18a」と記載する)をあらかじめ記憶しておく。
【0112】
図9の(C)に示すように、ノイズ除去部13mは、ノイズ位置t1における波形に対してノイズレプリカ18aを重ねたうえで、かかるノイズレプリカ18a分を減算することによって、インパルスノイズ成分を減衰する構成でも実現できる。
【0113】
ノイズキャンセラ13において実行される処理の処理手順について図10を用いて説明する。図10は、ノイズキャンセラ13が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0114】
例えば、受信装置10のノイズキャンセラ13は、演算処理装置(復調信号の高速演算処理が可能なマイクロコンピュータ(DSP)等)により構成され、その演算処理によってノイズ除去を行うものとする。ノイズキャンセラ13の演算処理装置は、制御部と言い換えられてもよい。
【0115】
まず、図10に示すように、ノイズキャンセラ13は、同期部12からデータ(IF信号)を取得する(ステップS101)。
【0116】
次に、ノイズキャンセラ13は、ピーク周波数に基づきバンドパスフィルタを調整し、調整済みのバンドパスフィルタによりガードバンド帯域の一部を抽出する(ステップS102)。
【0117】
そして、抽出結果の時間平均に基づいて閾値を決定する(ステップS103)。なお、ここにいう閾値は、上述した閾値b1(図1参照)に対応する。
【0118】
そして、ノイズキャンセラ13は、決定した閾値を超える信号レベルを示す時間軸上の区間があるか否かを判定する(ステップS104)。ここで、そのような区間があると判定された場合(ステップS104,Yes)、ノイズキャンセラ13は、該当する区間を拡張したうえで(ステップS105)、拡張区間をノイズの混入候補区間(以下、「ノイズ区間」と記載する)と推定する(ステップS106)。
【0119】
つづいて、ノイズキャンセラ13は、実データを遅延させた遅延データを入力したうえで(ステップS107)、遅延データの時間平均に基づいて閾値を決定する(ステップS108)。なお、ここにいう閾値は、上述した閾値b2(図1参照)に対応する。
【0120】
そして、ノイズキャンセラ13は、決定した閾値を超える信号レベルを示す時間軸上の位置があるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、そのような位置があると判定された場合(ステップS109,Yes)、ノイズキャンセラ13は、該当位置が実データに基づくノイズ区間に含まれるか否かを判定する(ステップS110)。
【0121】
ここで、該当位置がノイズ区間に含まれると判定された場合(ステップS110,Yes)、ノイズキャンセラ13は、該当位置のインパルスノイズを除去したうえで(ステップS111)、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0122】
なお、ステップS104の判定条件を満たさなかった場合(ステップS104,No)、ステップS109の判定条件を満たさなかった場合(ステップS109,No)又はステップS110の判定条件を満たさなかった場合(ステップS110,No)、ノイズキャンセラ13は、インパルスノイズを除去することなく、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0123】
上述してきたように、第1の実施形態の受信装置10は、放送波からインパルスノイズを除去するための処理を行う制御部であるノイズキャンセラ13を有する。ノイズキャンセラ13は、放送波のガードバンドから、ピーク周波数を含む、一部の周波数成分を抽出するようにBPF13bの帯域を調整する。ノイズキャンセラ13は、BPF13bによって抽出された周波数成分のレベルが第1の閾値を超えた時間領域の位置である第1のノイズ位置と、放送波のレベルが第2の閾値を超えた時間領域の位置である第2のノイズ位置と、を検出する。ノイズキャンセラ13は、第1のノイズ位置と第2のノイズ位置が重複する位置における、放送波に対して、ノイズを除去する処理を行う。
【0124】
このように、インパルスノイズに起因すると考えられるピーク周波数に基づきBPF13bの帯域を調整することで、抽出される部分にインパルスノイズの成分が相対的に増えることになる。このため、実施形態によれば、精度良くインパルスノイズを除去することができる。
【0125】
なお、第1の実施形態では、第2の推定部3が、主にノイズの混入候補「位置」をピンポイントで推定する場合について説明してきたが、「位置」は「区間」に含まれる。したがって、第2の推定部3も、第1の推定部2と同様に、インパルスノイズの混入候補「区間」を推定すると換言してもよい。
【0126】
また、第1の実施形態では、並列に実行した第1の推定部2及び第2の推定部3の推定結果の論理積をとることでインパルスノイズを検出する場合について説明してきたが、このような手法に限定されるものではない。
【0127】
例えば、先行して第1の推定部2の推定結果を得たうえで、推定結果に含まれるインパルスノイズの混入候補区間についてのみ、第2の推定部3による推定処理を行うこととしてもよい。その場合、混入候補区間以外の区間については閾値判定等を行う必要がないため、受信装置にかかる処理負荷を低減することができる。
【0128】
以上のように、第1の実施形態の受信装置及びインパルスノイズ除去方法は、精度良くインパルスノイズを除去したい場合に有用であり、特に、走行中等に受信環境が絶えず変化することでインパルスノイズが生じやすい車載用受信装置への適用に適している。
【符号の説明】
【0129】
10 受信装置
11 RF/IF部
12 同期部
13 ノイズキャンセラ
13a データ遅延部
13b BPF
13c、13d 時間平均部
13e 閾値決定部
13f コンパレータ
13g 推定位置拡張部
13h、13i 時間平均部
13j 閾値決定部
13k コンパレータ
13l AND回路
131、134、135 乗算器
132、136 加算器
133 遅延素子
14 FFT部
15 等化部
16 誤り訂正部
17 デコーダ
18 記憶部
18a ノイズレプリカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10