(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181800
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/02 BRH
B65D1/02 ZAB
B65D1/02 BRP
B65D1/02 BSF
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095144
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】荻野 大介
(72)【発明者】
【氏名】加堂 立樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 義弘
(72)【発明者】
【氏名】大住 裕一
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033CA16
3E033CA19
3E033DA03
3E033DA08
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD01
3E033EA05
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】容器の胴部を押し潰しやすく、かつ折り畳みやすい樹脂製容器を実現する。
【解決手段】口部2、肩部3、胴部4、および底部5を備える樹脂製容器1であって、胴部4が、略角柱状であり、胴部4の少なくとも一部に、胴部4の横断面における二組の対向する辺を延長すると内角が直角ではない平行四辺形が形成される形状を有する特定部分42が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部、および底部を備える樹脂製容器であって、
前記胴部が、略角柱状であり、
前記胴部の少なくとも一部に、前記胴部の横断面における二組の対向する辺を延長すると内角が直角ではない平行四辺形が形成される形状を有する特定部分が設けられている樹脂製容器。
【請求項2】
前記胴部が、前記肩部に連設されている側から前記底部に連設されている側に向かう順に、上側部分、前記特定部分、および下側部分に区分される請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記特定部分が、前記上側部分および前記下側部分よりも内側に凹んでいる請求項2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記特定部分からさらに内側に凹んでいる凹部を有する請求項3に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記特定部分に、周方向に延びる横リブが設けられている請求項4に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
前記特定部分の対向する一対の面において、複数の前記横リブが平行に設けられている請求項5に記載の樹脂製容器。
【請求項7】
前記胴部が、前記特定部分と前記底部との間の部分である下側部分を有し、
前記下側部分における二つの面の境目のうち、前記特定部分における前記平行四辺形の鋭角の頂点に対応する境目に連設される境目に沿って延びるリブが設けられている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項8】
前記胴部が、前記特定部分と前記肩部との間の部分である上側部分を有し、
前記肩部と前記上側部分との境目に沿って延びるリブが設けられている請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項9】
前記特定部分における二つの面の境目のうち、前記平行四辺形の鋭角の頂点に対応する境目に沿って延びるリブが設けられている請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【請求項10】
前記胴部の横断面について、長辺と短辺とを区別可能である請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの液体製品を充填し、これを流通や販売などに供するための容器として、樹脂製容器が汎用されている。樹脂製容器は、他の容器に比べて軽量である、容量やデザイン等の要請に従って任意の形状を作りやすい、透明である場合は内容物を確認しやすい、などの利点を有するため、幅広い用途に用いられている。
【0003】
使用後の樹脂製容器を廃棄、再利用等のために保管、運搬等するにあたり、その嵩高さが問題になる場合がある。たとえば缶や紙容器などは、使用後の空容器を平坦に押し潰すことが容易である。しかし樹脂製容器は、樹脂の弾性に起因して、押しつぶすことが難しい場合がある。
【0004】
この課題に対し、たとえば特開2008-201448号公報(特許文献1)には、側壁面を部分的に膨出させた独特の形状の横溝を有する合成樹脂製容器が開示されている。また、特開2008-56291号公報(特許文献2)には、折り畳み操作の起点となる縦方向リブおよび横方向リブが設けられた容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-201448号公報
【特許文献2】特開2008-56291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、容器を押し潰すことが容易になるに留まり、押し潰した後の容器を折り畳むことは考慮されていなかった。また、特許文献2の技術では、容器の肩部と底部とを折り畳むことは考慮されているが、最も大きな体積を占める胴部を折り畳むことは考慮されていなかった。そのため従来の技術には、使用後の容器の嵩高さを抑える点で改善の余地があった。
【0007】
そこで、容器の胴部を押し潰しやすく、かつ折り畳みやすい樹脂製容器の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る樹脂製容器は、口部、肩部、胴部、および底部を備える樹脂製容器であって、前記胴部が、略角柱状であり、前記胴部の少なくとも一部に、前記胴部の横断面における二組の対向する辺を延長すると内角が直角ではない平行四辺形が形成される形状を有する特定部分が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、特定部分の断面が略平行四辺形状であるため、当該平行四辺形の鋭角の頂点を閉じるように力を加えることで、横断面が長方形状の従来の容器に比べて容易に、かつ、より平坦に、特定部分を潰すことができる。そして、特定部分が平坦になることで、当該特定部分を起点として容器を上下方向に二つ折りにしやすい。このように、本発明によれば、容器の胴部を押し潰しやすく、かつ折り畳みやすい樹脂製容器を実現できる。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記胴部が、前記肩部に連設されている側から前記底部に連設されている側に向かう順に、上側部分、前記特定部分、および下側部分に区分されることが好ましい。
【0012】
この態様によれば、特定部分が胴部の上下中央に位置するので、容器の二つ折りを一層行いやすい。
【0013】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記特定部分が、前記上側部分および前記下側部分よりも内側に凹んでいることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、特定部分が、使用者が容器を把持する際の好適な把持位置として機能する。
【0015】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記特定部分からさらに内側に凹んでいる凹部を有することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、使用者が容器を把持する際に、凹部に指を引っ掛けることで、容器の把持が安定しやすい。
【0017】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記特定部分に、周方向に延びる横リブが設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、特定部分について、使用中の容器の強度と、使用後の容器の折り畳みやすさと、を両立しやすい。
【0019】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記特定部分の対向する一対の面において、複数の前記横リブが平行に設けられていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、複数の横リブが平行に設けられている面の強度をさらに高めやすい。
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記胴部が、前記特定部分と前記底部との間の部分である下側部分を有し、前記下側部分における二つの面の境目のうち、前記特定部分における前記平行四辺形の鋭角の頂点に対応する境目に連設される境目に沿って延びるリブが設けられていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、下側部分を潰す操作を行う際に、リブが折り目として機能するので、下側部分を潰しやすい。
【0022】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記胴部が、前記特定部分と前記肩部との間の部分である上側部分を有し、前記肩部と前記上側部分との境目に沿って延びるリブが設けられていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、上側部分を潰す操作を行う際に、リブが折り目として機能するので、上側部分を潰しやすい。
【0024】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記特定部分における二つの面の境目のうち、前記平行四辺形の鋭角の頂点に対応する境目に沿って延びるリブが設けられていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、特定部分を潰す操作を行う際に、リブが折り目として機能するので、特定部分を潰しやすい。
【0026】
本発明に係る樹脂製容器は、一態様として、前記胴部の横断面について、長辺と短辺とを区別可能であることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、同容量の容器を他の形状で実現する場合に比べて持ちやすい容器を提供できる。
【0028】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図4】実施形態に係るボトルの胴部の特定部分の横断面図(
図1のIV-IV線における断面図)である。
【
図5】実施形態に係るボトルの折りたたみ方法の手順を示す図である。
【
図6】実施形態に係るボトルの折りたたみ方法の手順を示す図である。
【
図7】実施形態に係るボトルの折りたたみ方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る樹脂製容器の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る樹脂製容器を、プラスチックボトル1(以下、単にボトル1と称する。)に適用した例について説明する。
【0031】
〔ボトルの全体構成〕
本実施形態に係るボトル1はポリエチレンテレフタレート製であり、無色透明の容器である。ボトル1は、ポリエチレンテレフタレート製のプリフォームを原料とする二軸延伸ブロー成形により得られる。なお、ボトルを構成する材料は、ポリエチレンテレフタレートに限定されず、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンなどであってもよい。また、当該材料の由来は、石油、植物由来原料、リサイクル原料などでありうる。
【0032】
本実施形態では、ボトル1の容量を2Lとしてある。ただし、ボトル1の容量は特に限定されず、一般的に流通している280mL、350mL、500mLなど、200mL~2L程度であってよい。
【0033】
ボトル1は、たとえば、清涼飲料水(炭酸飲料、果実飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、豆乳類、野菜飲料、スポーツ飲料、ココア飲料など)、アルコール飲料、乳飲料などの飲料、スープなどの液体食品、ソースや醤油などの液体調味料、などの液体製品を充填する用途に供される。
【0034】
本実施形態に係るボトル1は、口部2、肩部3、胴部4、および底部5を有する(
図1および
図2)。なお、以下の説明においてボトル1の上下方向について言及するときは、底部5が接地するようにボトル1を設置した姿勢(
図1および
図2に図示した姿勢)に基づく上下方向をいうものとする。すなわち、ボトル1の上側は口部2の側であり、ボトル1の下側は底部5の側である。また、ボトル1の横方向(または水平方向)について言及するときは、上記の上下方向と直交する方向(すなわち
図1の左右方向または紙面と直交する方向)をいうものとする。なお、ボトル1の対向する一対の面は、それぞれ同一の形状を有する。
【0035】
ボトル1を上方から見ると、略四角形状である(
図3)。なお、略四角形状とは、数学的な定義に従う四角形の形状に限定されず、工業製品として設けられうる丸みづけなどが設けられた実質的に四角形とみなせる形状であってもよいことを意味する。より詳細には、当該四角形は長方形であり、ボトル1の側面について、横断面の長辺側の面(
図1)と短辺側の面(
図2)とを区別できる。
【0036】
口部2は、内部に充填される液体製品を出し入れする開口部であり、その外面にはキャップ(不図示)を螺合するための雄ねじ部が設けられている。肩部3は、口部2から胴部4に向けてボトル1が徐々に拡大する部分である。なお、口部2から下方に向けてボトル1が徐々に拡大して最大限拡大した高さ方向の位置を、肩部3と胴部4との境界と定義する。底部5は、ボトル1を机などの面に置くときに接地面になる部分であり、底部5から胴部4に向けてもボトル1が徐々に拡大している。なお、接地面から上方に向けてボトル1が徐々に拡大して最大限拡大した高さ方向の位置を、底部5と胴部4との境界と定義する。口部2、肩部3、および底部5の構造および機能は、公知のプラスチックボトルの口部、肩部、および底部とそれぞれ同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0037】
〔胴部の構成〕
胴部4は、肩部3に連設されている側(上側)から底部5に連設されている側(下側)に向かう順に、上側部分41、特定部分42、および下側部分43に区分される。
【0038】
(1)上側部分41
上側部分41は、胴部4のうち特定部分42より上側の部分、すなわち特定部分42と肩部3との間の部分である。上側部分41には、肩部3と上側部分41との境目に沿って延びる第一横リブ61と、複数(本実施形態では五つ)の第二横リブ62と、が設けられている(
図1および
図2)。第一横リブ61は、横断面の長辺側の面(
図1)および短辺側の面(
図2)の各面(全四面)に、それぞれの面の範囲内に収まる長さで設けられた凹リブ(ボトル1の表面から内側方向に突入する態様のリブをいう。以下同じ。)である。第一横リブ61の深さは均一である。なお、凹リブの深さとは、リブがボトル1の内側に突入する深さをいい、以下の他の凹リブについても同様とする。
【0039】
第二横リブ62は、上側部分41の全周にわたって、水平方向に沿って設けられている凹リブである。第二横リブ62は、深さが深い部分と浅い部分とが交互に設けられた波状の形状を有する。より詳細には、横断面の辺に対応する部分に深さが深い部分が設けられ、横断面の頂点に対応する部分に浅い部分が設けられている。
【0040】
なお、上側部分41の横断面形状は、ボトル1の平面図(
図3)と実質的に同一である。
【0041】
(2)特定部分42
特定部分42は、上側部分41および下側部分43よりもボトル1の内側に凹んだ部分として形成されている(
図1および
図2)。特定部分42の横断面を
図4に示す。当該横断面において対向する二組の辺44、45を認めることができ、一方の組の辺44は長辺側の面(
図1)に対応し、他方の組の辺45は短辺側の面(
図2)に対応する。これらの二組の対向する辺44、45を延長すると、平行四辺形Pが形成される。この平行四辺形Pは、内角が鋭角の頂点P1と内角が鈍角の頂点P2と、を有し、したがって平行四辺形Pの内角は直角ではない。すなわち、平行四辺形Pは長方形ではない。
【0042】
特定部分42の長辺側の面(
図1)と短辺側の面(
図2)との境目に沿って、第一縦リブ71が設けられている。より詳細には、長辺側の面と短辺側の面との境目のうち、平行四辺形Pの鋭角の頂点P1に対応する二つの境目に、第一縦リブ71が設けられている。なお、本実施形態では、第一縦リブ71はボトル1の外側に突出する態様で設けられた凸リブである。
【0043】
特定部分42は、特定部分42の主たる部分42aからさらに内側に凹んでいる凹部42bを有する。凹部42bは、横断面の長辺側の面(
図1)の左右方向中央に設けられている。また、凹部42bの中央には、十字状のリブ46が設けられている。リブ46は、直交する二つの凹リブからなる。
【0044】
特定部分42の主たる部分42aには、第一縦リブ71を起点として周方向に延びる第三横リブ63が設けられている。第三横リブ63は凹リブであり、その深さは均一である。第一縦リブ71から、横断面の長辺側の一対の面(
図1)の側には、凹部42bの傍まで一本の第三横リブ63が延びている。第一縦リブ71から、横断面の短辺側の一対の面(
図2)(対向する一対の面の一例である。)の側には、三本の第三横リブ63が延びている。短辺側の面に設けられた上中下の三本の第三横リブ63のうち、中段の一本は短辺側の面の範囲内に収まる長さで設けられており、上段および下段の二本は隣接する長辺側の面まで延びて凹部42bの傍に至っている。また、上段および下段の二本の第三横リブ63は、長辺側の面においてそれぞれ中段に向けて曲がり、凹部42bの傍において合流する。
【0045】
なお、第一縦リブ71を起点として周方向の両側に第三横リブ63が設けられていることについて、第三横リブ63を横切る態様で第一縦リブ71が設けられている、と捉えることもできる。
【0046】
特定部分42は、使用者がボトル1を把持する際の好適な把持位置として機能する。第一に、特定部分42が上側部分41および下側部分43よりもボトル1の内側に凹んだ部分として形成されているので、比較的手が小さい使用者であっても特定部分42を無理なく掴みやすい。第二に、使用者が特定部分42を掴んだときに、凹部42bに指を引っ掛けることができるので、ボトル1の把持が安定しやすい。
【0047】
平行四辺形Pの鋭角および鈍角の各頂点の内角の大きさは、平行四辺形Pが平行四辺形である限りにおいて限定されない。換言すれば、0°より大きい角θを用いて、鋭角の頂点の内角を90°-θ、鈍角の頂点の内角を90°+θとして、それぞれ表される。本実施形態では、θが5°であり、すなわち、頂点P1の内角が85°、頂点P2の内角が95°である。この例のように、θが1°以上30°以下であることが好ましい。特定部分32の断面形状が平行四辺形Pであることは、特定部分Pを潰す操作(後述)を行いやすくする効果をもたらすが、θが1°以上であると、この効果が特に表れやすい。また、θが30°以下であると、特定部分42のボトル1の把持位置としての機能が損なわれにくい。θは、3°以上であることがより好ましく、4°以上であることがさらに好ましい。また、θは、10°以下であることがより好ましく、6°以下であることがさらに好ましい。
【0048】
(3)下側部分43
下側部分43は、胴部4のうち特定部分42より下側の部分、すなわち特定部分42と底部5との間の部分である。下側部分43には、上から順に、波状リブ64、バネリブ65、および複数(本実施形態では二つ)の第四横リブ66が設けられている。これらのリブはいずれも凹リブである。また、下側部分43の横断面の長辺側の面(
図1)と短辺側の面(
図2)との境目のうち、第一縦リブ71の下方に位置する二つの境目に沿って延びる第二縦リブ72が設けられている。第二縦リブ72は、波状リブ64および第四横リブ66を横切る態様で設けられた凸リブである。なお、下側部分43の横断面形状は、ボトル1の平面図(
図3)と実質的に同一である。
【0049】
波状リブ64は、その上下方向の位置が下側部分43の周方向に沿って連続的に変化する形状で設けられたリブである。バネリブ65は、下側部分43の全周にわたって設けられた溝部分65aと、下側部分43の全周にわたって溝部分65aの上下に一つずつ形成された小凹部65bと、を有する。なお、溝部分65aおよび小凹部65bを包含するバネリブ65の全体を一つのリブと捉えることもできる。
【0050】
第四横リブ66は、下側部分43の全周にわたって、水平方向に沿って設けられている。ただし、前述のように第二縦リブ72が第四横リブ66を横切っている。第二縦リブ72が横切っている箇所以外では、第四横リブ66の深さは均一である。
【0051】
〔ボトルの折りたたみ方法〕
本実施形態に係るボトル1では、上記の各構成要素を設けることによって、従来のプラスチックボトルに比べて折りたたみやすい容器が実現されている。使用後のボトル1を折りたたむことによって、使用後のボトル1を廃棄、再利用等のために保管、運搬等する際の体積を低減できる。以下では、ボトル1を折りたたむ方法を説明する。
【0052】
第一に、特定部分42を潰す操作を行う(
図5)。具体的には、横断面の長辺側の二面のそれぞれを、横断面の平行四辺形Pの頂点P1(鋭角)に向かうように互い違いに動かす。この操作を行うと、平行四辺形Pの頂点P1の内角が小さくなるとともに頂点P2の内角が180°に近づくように、特定部分42が変形する(潰れる)。
【0053】
本実施形態では、特定部分42の横断面が平行四辺形状であるので、内角が鋭角の頂点P1を閉じるように力が加えられたときに、その力に従って変形しやすい。このため、横断面が長方形状の従来のプラスチックボトルに比べて容易に、かつ、より平坦に、特定部分42を潰すことができる。また、第一縦リブ71がボトル1の外方に突出する態様で設けられていることによって、その内角が小さくなるように変形する頂点P1部分の可動性が高まっている。このように、第一縦リブ71がいわば折り目として機能することも、上記の変形を容易にすることに寄与している。
【0054】
第二に、潰した特定部分42において、ボトル1を二つに折りたたむ(
図6)。このとき、上側部分41と下側部分43とが互いに当接する格好になる。その後、上側部分41と下側部分43とをまとめて潰す操作を行う。このとき、第二縦リブ72が、第一縦リブ71と同様に折り目として機能し、下側部分43を潰すことを容易にしている。
【0055】
第三に、肩部3と底部5との相対位置を固定する操作を行う。特定部分42を上下に折り曲げるとともに上側部分41と下側部分43とを潰したことによって、肩部3と底部5とが近接して配置された状態になっているので、この状態で両者の相対位置を固定して、ボトル1の占有体積が低減された状態を固定するのである(
図7)。具体的には、肩部3と底部5とを係合させるとよい。
【0056】
本実施形態では、特定部分42の横断面を平行四辺形状として、潰した後の形状が平坦になるようにしてあるので、従来のプラスチックボトルに比べて特定部分42を上下に折り曲げやすい。このようにボトル1を折りたたむことで、ボトル1の占有体積を低減できる。
【0057】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る樹脂製容器のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0058】
上記の実施形態では、胴部4が上側部分41、特定部分42、および下側部分43に区分される構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器において、胴部に特定部分が設けられている限り、胴部の区分数は限定されない。たとえば、胴部の全域が特定部分として設けられていてもよい。また、胴部が特定部分を含む二つの領域に区分されてもよい。すなわち、胴部が、上側部分と特定部分に区分されてもよいし、特定部分と下側部分とに区分されてもよい。
【0059】
上記の実施形態では、特定部分42が上側部分41および下側部分43よりもボトル1の内側に凹んだ部分として形成され、特定部分42が凹部42bを有する構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器において、特定部分の構造は、特定部分の横断面における二組の対向する辺を延長すると内角が直角ではない平行四辺形が形成される形状である限りにおいて限定されない。
【0060】
上記の実施形態では、特定部分42に第一縦リブ71および第三横リブ63が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器において、特定部分におけるリブの有無および配置は任意である。したがって、これらのリブの一方または双方が設けられていなくてもよい。また、これらのリブの他のリブが設けられていてもよい。
【0061】
上記の実施形態では、ボトル1が平面図において略長方形状であり、ボトル1の側面について横断面の長辺側の面(
図1)と短辺側の面(
図2)とを区別できる構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器は、平面図において略正方形状であって、横断面の長辺側の面と短辺側の面とを区別できない形状であってもよい。この場合、特定部分の横断面における二組の対向する辺を延長して形成される平行四辺形は菱形であり、この場合も内角が直角ではないという条件が満たされている。また、この場合は、長辺側の面と短辺側の面とを区別できないものの、対向する二面からなる二対のうちの一対を上記の実施形態における長辺側の面(
図1)とし、他の一対を短辺側の面(
図2)とすれば、上記の実施形態と同様に本発明を実施できる。
【0062】
なお、容器の横断面の長辺側の面と短辺側の面とを区別できる形状(断面が略長方形状)と、これを区別できない形状(断面が略正方形状)とを比較すると、容器の容量が同一である前提のもとで両者を比較した場合に、前者の方が短辺側の面の幅を小さくできるという特徴がある。この特徴は、比較的大きな容量(たとえば1.5L以上)の容器において、短辺側の面の幅が使用者の手に収まりやすい限度に抑制され、持ちやすい容器を提供できるという利点になる。
【0063】
上記の実施形態では、下側部分43に第二縦リブ72が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器において、下側部分におけるリブの有無および配置は任意である。
【0064】
上記の実施形態では、肩部3と上側部分41との境目に沿って伸びる第一横リブ61が設けられている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る樹脂製容器において、上側部分41におけるリブの有無および配置は任意である。
【0065】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、たとえば液体製品を充填する容器として利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 :プラスチックボトル
2 :口部
3 :肩部
4 :胴部
41 :上側部分
42 :特定部分
42a :特定部分の主たる部分
42b :凹部
43 :下側部分
44 :辺(長辺側)
45 :辺(短辺側)
46 :リブ
5 :底部
61 :第一横リブ
62 :第二横リブ
63 :第三横リブ
64 :波状リブ
65 :バネリブ
65a :溝部分
65b :小凹部
66 :第四横リブ
71 :第一縦リブ
72 :第二縦リブ
P :平行四辺形
P1 :頂点(鋭角)
P2 :頂点(鈍角)