(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181810
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】制御システム、イヤフォンおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R1/10 104E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095154
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直子
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA09
5D005BB08
(57)【要約】
【課題】ユーザの移動の状態に応じてイヤフォンの密閉または開放状態を制御する。
【解決手段】制御システムは、内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、ハウジングの内部に収納され、経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着されるイヤフォンと、ユーザにより携帯される無線端末と、を備え、無線端末は、ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度であると判定した場合、イヤフォンに移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を送信し、イヤフォンは、無線端末から取得した信号に基づき、開閉バルブを制御する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、前記ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着されるイヤフォンと、
前記ユーザにより携帯される無線端末と、を備え、
前記無線端末は、
前記ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度であると判定した場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の信号を送信し、
前記イヤフォンは、
前記無線端末から取得した前記信号に基づき、前記開閉バルブを制御する、
制御システム。
【請求項2】
前記イヤフォンは、
前記無線端末から取得した前記信号に基づき、前記開閉バルブの状態が閉状態か否かを判定し、
前記開閉バルブの状態が前記閉状態であると判定した場合、前記開閉バルブを開放し開状態とする、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記無線端末は、
前記移動速度が第1速度以上であって、かつ前記第1速度より大きい第2速度以下である第1の範囲と、
前記移動速度が前記第2速度以上の第3速度以上であって、かつ前記第3速度より大きい第4速度以下である第2の範囲と、
前記移動速度が前記第4速度以上の第5速度以上であって、かつ前記第5速度より大きい第6速度以下である第3の範囲と、のうち少なくとも1つの範囲に前記移動速度が当てはまる場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の前記信号を送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第1の範囲は、前記ユーザがウォーキングによる移動を行う時の標準的な移動速度であり、
前記第2の範囲は、前記ユーザがランニングによる移動を行う時の標準的な移動速度であり、
前記第3の範囲は、前記ユーザがサイクリングによる移動を行う時の標準的な移動速度である、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記無線端末は、前記第1の範囲と、前記第2の範囲と、前記第3の範囲と、のうち前記ユーザが選択した範囲に前記移動速度が当てはまる場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の前記信号を送信する、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第1速度と、前記第2速度と、前記第3速度と、前記第4速度と、前記第5速度と、前記第6速度との値は、前記無線端末へのユーザ操作により任意に設定される、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項7】
前記無線端末は、前記移動速度が所定の時間以上継続して前記所定の範囲内の速度となると判定した場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の前記信号を送信する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記無線端末は、前記ユーザの移動に係る加速度を測定し、前記加速度が第7の範囲内であると判定した場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の前記信号を送信する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記無線端末は、表示部を有し、前記表示部に前記ユーザの移動に係る前記開閉バルブの開閉設定の画面を表示し、
前記画面は、前記移動に係る前記開閉バルブの開閉の制御を実行するか否かを設定するボタンと、前記第1の範囲を設定する欄と、前記第2の範囲を設定する欄と、前記第3の範囲を設定する欄と、前記移動速度が所定の時間以上継続して所定の範囲内の速度となることを考慮するか否かを設定する欄と、加速度を考慮するか否かを設定する欄と、を含む、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項10】
無線端末と通信可能に接続されたイヤフォンであって、
内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に収納され、前記経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、
前記無線端末から前記ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を取得した場合、前記信号に基づき前記開閉バルブを制御する、
イヤフォン。
【請求項11】
内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、前記ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着されるイヤフォンと、無線端末と、を制御する方法であって、
前記無線端末において、
前記ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度であると判定した場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の信号を送信し、
前記イヤフォンにおいて、
前記無線端末から取得した前記信号に基づき、前記開閉バルブを制御する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、イヤフォンおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なるリスニング環境に適応するために漏れあり状態と漏れなし状態とを切り替えられる漏れ制御機能を有するイヤフォンが開示されている。イヤフォンは、外耳道を実質的に覆って配置されるように成形および構成される。イヤフォンは、外耳道へ音を発するスピーカ要素を収容したハウジングであって、外耳道側を向いた内端から周辺側を向いた外端まで伸びるチャンネルを有するハウジングを有する。イヤフォンは、チャンネルが実質的に閉鎖されている閉鎖状態と、チャンネルが周囲からの音を通す開放状態とを切り替え可能な閉鎖手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、イヤフォンはユーザの左右両耳のそれぞれに挿入しユーザの外耳道を密閉することで、ユーザは周囲環境の雑音を遮断した状態で出力された音を聞くことができる。しかしながら、ユーザがイヤフォンを装着しながら発話をする場合(例えば、電話をする場合)、ユーザは自分の声がこもってしまう感覚を持ってしまい話しづらいことがあった。
【0005】
特許文献1では、イヤフォンは、ハウジングのチャンネルを制御することでユーザの外耳道の密閉されている状態と密閉されていない状態とを変更する。特許文献1に開示されているイヤフォンは、音楽を再生している場合にはチャンネルを閉鎖状態としユーザの耳を密閉し、電話をしている場合にはチャンネルを開放状態としユーザの耳を開放する。
【0006】
一方で、イヤフォンで音楽を再生している場合でも外耳道をイヤフォンで密閉すると、ユーザの移動の動作に伴う振動音が体内で反響し、ユーザは不快感を覚えることがあった。この振動音には、移動中のユーザの呼吸音も含まれる。そのため、ユーザがイヤフォンを耳に装着した際に、ユーザによる移動の動作に伴う振動音がユーザの体内で反響することを軽減する必要があった。
【0007】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、ユーザの移動の状態に応じて、耳に装着されるイヤフォンの密閉状態または開放状態を制御し、不快感を覚えることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、前記ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着されるイヤフォンと、前記ユーザにより携帯される無線端末と、を備え、前記無線端末は、前記ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度であると判定した場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の信号を送信し、前記イヤフォンは、前記無線端末から取得した前記信号に基づき、前記開閉バルブを制御する、制御システムを提供する。
【0009】
また、本開示は、無線端末と通信可能に接続されたイヤフォンであって、内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、前記無線端末から前記ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を取得した場合、前記信号に基づき前記開閉バルブを制御する、イヤフォンを提供する。
【0010】
また、本開示は、内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に収納され、前記経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブと、を有し、前記ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着されるイヤフォンと、無線端末と、を制御する方法であって、前記無線端末において、前記ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度であると判定した場合、前記イヤフォンに前記移動速度が前記所定の範囲内の速度である旨の信号を送信し、前記イヤフォンにおいて、前記無線端末から取得した前記信号に基づき、前記開閉バルブを制御する、制御方法を提供する。
【0011】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、ユーザの移動の状態に応じて、耳に装着されるイヤフォンの密閉状態または開放状態を制御し、不快感を覚えることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】本実施の形態に係るイヤフォンのブロック図を示す図
【
図6】本実施の形態に係るスマートフォンのブロック図を示す図
【
図9】イヤフォン制御システムの開閉バルブの開閉制御に係る処理のシーケンス図
【
図10】ユーザの移動速度に応じた開閉バルブの制御に係る処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を適宜参照して、本開示に係る制御システム、イヤフォンおよび制御方法を具体的に開示した実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0015】
まず、
図1および
図2を参照して、イヤフォンのハードウェア構成について説明する。
図1は、イヤフォンの正面図を示す図である。
図2は、イヤフォンの背面図を示す図である。
【0016】
なお、説明の便宜上、
図1に示すようにイヤフォン1LのタッチセンサTCLの面に平行な面に沿ってX軸およびY軸を定義し、さらに、そのタッチセンサTCLの面に対して直交する軸をZ軸とする。イヤフォン1Lに対してタッチセンサTCLのマイクMC1L側を上端側、タッチセンサTCLのマイクMC1Lとは反対側のマイクMC2Lを下端側とした場合に、下端側から上端側に延びる軸をX軸とする。X軸およびZ軸に対して垂直な軸をY軸とする。本実施の形態では、
図1に係るイヤフォン1Lの向きを正面図と定義する。これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。また、他の図面についても同様である。
【0017】
また、本実施の形態では、左右一対のイヤフォン1L、1Rにおいて左耳のイヤフォン1Lおよび右耳のイヤフォン1Rの構成は同一である。同一の構成要素の符合は、左耳のイヤフォン1Lでは末尾に「L」を、右耳のイヤフォン1Rでは末尾に「R」を付して表現する。以下の説明では、その一方の左側のイヤフォン1Lのみを説明し、その他方の、右側のイヤフォン1Rの説明を省略する。
【0018】
イヤフォン1は、ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着され、それぞれの一端側に異なるサイズを有する複数のイヤーピースが交換可能に装着されるイヤフォン1L、1Rである。イヤフォン1は、ユーザの左耳に装着されるイヤフォン1Lとユーザの右耳に装着されるイヤフォン1Rとにより構成される、独立して単独で動作可能な2つのイヤフォン(つまり、イヤフォン1Lおよびイヤフォン1R)により構成されてよい。この場合、イヤフォン1Lとイヤフォン1Rとは無線(例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信)で通信可能となっている。または、イヤフォン1は、イヤフォン1Lとイヤフォン1Rとが有線(言い換えると、ワイヤ等のケーブル)で接続される一対のイヤフォンとして構成されてもよい。
【0019】
図1に示すように、イヤフォン1Lは、ユーザの耳に装着して使用されるインナー型の音響装置であり、ユーザが所持するスマートフォンあるいは携帯型音楽プレーヤ等の外部機器から無線(例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信)で送信される音データ(例えば音楽データ)を受信する。イヤフォン1Lは、受信された音データに基づく音信号を音響的に出力する。また、イヤフォン1Lは、未使用時には充電ケースであるクレードル(不図示)に載置される。イヤフォン1Lに内蔵されるバッテリB1L(
図3)が満充電でない場合等に、イヤフォン1Lがクレードルの所定の載置箇所に載置されると、クレードルから送電される電力に基づいてイヤフォンに内蔵されるバッテリB1Lは充電される。
【0020】
イヤフォン1Lの構造部材としてハウジングHOLを有する。ハウジングHOLは、合成樹脂、金属、セラミックなどの材料が複合体で設けられ、その内部にイヤフォン1Lを構成する各種の部材が収納される収納空間が形成される。また、ハウジングHOLには、その収納空間に連通する取付円筒部FCL1(
図3および
図4参照)が設けられる。この取付円筒部FCL1は、後述するタッチセンサTCLとは反対側となるハウジングHOLの一端側に設けられる。
【0021】
イヤフォン1Lは、イヤフォン1Lの本体に取り付けられるイヤーピースIPLを有する。例えば、イヤフォン1Lは、ユーザの耳に対しイヤーピースIPLにより外耳道の内部に挿入された状態で保持され、この保持された状態がイヤフォン1Lの使用状態とされる。
【0022】
イヤーピースIPLは、シリコンなどの柔軟性のある部材からなり、内筒部(不図示)および外筒部(不図示)を有して射出成型される。イヤーピースIPLは、その内筒部でハウジングHOLの取付円筒部FCL1に挿嵌して固定され、またこのハウジングHOLの取付円筒部FCL1に対し交換可能(着脱自在)に設けられる。イヤーピースIPLは、その外筒部でユーザの外耳道に装着され、装着する外耳道の形状に応じて弾性変形する。この弾性変形により、イヤーピースIPLはユーザの外耳道に保持される。イヤーピースIPLは、複数の異なるサイズを有する。イヤーピースIPLは、複数の異なるサイズのイヤーピースのうちいずれかのサイズのイヤーピースがイヤフォン1Lに取り付けられユーザの左耳に装着される。
【0023】
操作入力部の一例として、タッチセンサTCLは、
図1に示すようにハウジングHOLのイヤーピースIPLが配置された一端側と反対側の他端側に設けられる。タッチセンサTCLは、ユーザの入力操作(例えばタッチ操作)を検知するタッチセンサ機能を有するセンサ素子である。センサ素子は、例えば静電容量式のタッチセンサの電極である。タッチセンサTCLは、例えば真円状の面として形成されてもよいし、例えば、楕円上の面として形成されてもよい。また、タッチセンサTCLは、矩形状の面として形成されてもよい。
【0024】
また、ユーザの指等によるタッチセンサTCLへのタッチ操作として、例えば次のような操作が挙げられる。イヤフォン1Lは、短い時間のタッチ操作が行われた場合、外部機器に対し音楽の再生、停止、曲送り、曲戻し等のうちいずれかを指示してもよい。イヤフォン1Lは、長い時間のタッチ操作(いわゆる長押しタッチ)が行われた場合、スマートフォン等の外部機器とBluetooth(登録商標)等の無線通信を行うためのペアリング動作等を行ってもよい。また、イヤフォン1Lは、タッチセンサTCLの表面を指でなぞる(いわゆるスワイプ動作)が行われた場合、再生されている音楽の音量調整等を行ってもよい。
【0025】
開口部60Lは、ハウジングHOLに形成されユーザの外耳道側の一端側から周囲環境側の他端側までを通気可能な経路に通じる穴である。開口部60Lの詳細な構造の断面例については、
図3および
図4を参照して後述する。
【0026】
イヤフォン1Lは、電気電子部材として、複数のマイク(マイクMC1L、マイクMC2LおよびマイクMC3L)を有する。これら複数のマイクはハウジングHOLの収納空間(不図示)に収納される。
【0027】
マイクMC1Lは、
図1に示すように、ハウジングHOLの表面上に露出するようにあるいはその表面付近に設けられ、イヤフォン1Lの外部の周囲音などを収音可能に配置される。つまり、マイクMC1Lは、イヤフォン1Lがユーザの耳に装着された状態でのユーザの周囲音を検出することが可能である。マイクMC1Lは外部の周囲音を電気信号(音信号)に変換して音信号入出力制御部S1Lに送る。
【0028】
マイクMC2Lは、
図1に示すように、ハウジングHOLの表面上に露出するようにあるいはその表面付近に設けられ、イヤフォン1Lを装着したユーザの発話に基づく音声信号を収音可能に配置される。そのため、イヤフォン1Lは、ユーザのスマートフォンF1などの携帯電話装置に通信可能な状態でいわゆるハンズフリー通話を実現することが可能である。マイクMC2Lは、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音(つまり、音声信号を検知)可能なマイクロフォンデバイスにより構成される。マイクMC2Lは、ユーザの発話に基づいて生じる音声を収音して電気信号に変換して音信号入出力制御部S1Lに送る。マイクMC2Lは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に挿入された時にイヤフォン1Lの延在方向がユーザの口元を向くように配置され(
図1参照)、タッチセンサTCL下部(つまり-X方向)の位置に配置される。ユーザによって発話される音声はマイクMC2Lにより収音されては電気信号に変換され、この電気信号の大小によって、マイクMC2Lによるユーザの発話の有無が検知可能となる。
【0029】
マイクMC3Lは、
図2に示すように、ハウジングHOLの取付円筒部FCL1付近の面内に配置され、イヤフォン1Lがユーザの左耳内に挿入されるとその左耳の外耳道に可能な限り近接して配置される。マイクMC3Lは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着された状態でのユーザの左耳とイヤーピースIPLとの間から漏れた音を電気信号(音信号)に変換して音信号入出力制御部S1Lに送る。
【0030】
スピーカSP1Lは、
図2に示すように、ハウジングHOLの取付円筒部FCL1内に配置される。スピーカSP1Lは電子部品であり、外部機器から無線で送信された音データ(例えば音楽データ)を音響的に出力する。ハウジングHOLの内部では、スピーカSP1Lの前面(言い換えると、音響的に出力される音の放音面)は、イヤーピースIPLで覆われたハウジングHOLの取付円筒部FCL1側に向けられる。これにより、スピーカSP1Lから音響的に出力された音楽データは、ユーザの耳穴(例えば外耳部分)から更に外耳の外耳道、中耳の鼓膜に伝達されていき、ユーザが音楽データを聴取できる。
【0031】
装着センサSELは、ユーザの左耳への装着の有無を検知するデバイスにより構成され、例えば赤外線センサあるいは静電センサを用いて構成される。赤外線センサの場合、装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていれば、装着センサSELから照射された赤外線が左耳内で反射した赤外線を受光することでユーザの左耳への装着を検知可能である。また、装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていなければ、装着センサSELから照射された赤外線が反射しないで赤外線を受光しないことでユーザの左耳への非装着を検知可能である。一方、静電センサの場合、装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていれば、ユーザの左耳内までの距離に応じた静電容量の変化値が装着センサSELが保持する閾値より大きいと判定することでユーザの左耳への装着を検知可能である。また、装着センサSELはイヤフォン1Lがユーザの左耳に装着されていなければ、静電容量値の変化値が装着センサSELが保持する閾値より小さいと判定することでユーザの左耳への非装着を検知可能である。装着センサSELは、イヤフォン1Lがユーザの左耳に挿入された時に外耳道に対向する位置、かつタッチセンサTCLの背面側に設けられる。
【0032】
次に、
図3および
図4を参照して、開閉バルブの開状態と閉状態とを説明する。
図3は、開閉バルブが閉状態の図である。
図4は、開閉バルブが開状態の図である。
図3および
図4はイヤフォン1Rの図であるが、イヤフォン1Lも同様の構造を有しておりここでは説明を省略する。また、
図3および
図4では、イヤーピースIPL,IPR(
図1および
図2参照)の図示は省略している。
【0033】
図3および
図4に示す断面図は、
図1に係るイヤフォン1RのA-A断面図である。
【0034】
開閉バルブ70Rは、経路71を通る空気の制御を行う可動機構を有した機器である。開閉バルブ70Rは、ハウジングHOR内に残存している音をハウジングHOR外に開放するための経路71を開放状態にするか密閉状態にするかを切り替える。ハウジングHOR内に残存している音は、例えば、ドライバSP1RDrから出力された音の反響音、あるいは、ユーザの発話によってユーザ自身の体内を介して右耳付近まで音響的に伝達した伝達音である。これらの音は、ユーザがイヤフォン1Rを装着した状態で発話する際に、ユーザが外部の音を聞き取る際の違和感もしくは聞き取りにくさを与える原因となっている。開閉バルブ70Rの動作(具体的には、開閉)は、イヤフォン制御部S2Rによって制御される。バルブは、例えば
図3に示したゲートバルブでもよいし、グローブバルブ、ニードルバルブ、ボールバルブまたはバタフライバルブでもよい。
【0035】
開閉バルブ70Rは、イヤフォン制御部S2Lからの信号(制御信号)に基づいて、方向DR1の向きで可動する。開閉バルブ70Rは、方向DR1の向きで可動し壁面72に当接することで経路71を塞いで密着状態にすることができる。
図3に示した開閉バルブ70が壁面72に当接し経路71を塞いでいる状態を「閉状態」と称する。ユーザがイヤフォン1Rを右耳に装着し、開閉バルブ70が閉状態の場合、経路71は開閉バルブ70Rによって塞がれているのでユーザの耳は密閉された状態となる。
【0036】
図4に示した開閉バルブ70Rが壁面72から一定距離ほど離れ経路71を開放している状態を「開状態」と称する。開閉バルブ70Rが、方向DR1の向きで可動し壁面72から離れることで経路71が開放される。ユーザがイヤフォン1Rを右耳に装着し、開閉バルブ70Rが開状態の場合、経路71は開閉バルブ70Rによって塞がれていなくタッチセンサTCR側の周囲環境と通じているためユーザの耳は密閉されていない状態となる。この状態では、ハウジングHOR内に残存している音が経路71を介してハウジングHOR外に開放されることになり、ユーザがイヤフォン1Rを装着した状態で発話する際に、ユーザが外部の音を聞き取る際の違和感もしくは聞き取りにくさを感じることが抑制されることが期待される。
【0037】
次に、
図5を参照して、イヤフォンのブロック図について説明する。
図5は、本実施の形態に係るイヤフォンのブロック図を示す図である。
図5は、
図1および
図2に示す左右一対のイヤフォン1L、1Rのそれぞれのブロック図である。なお、以下では、左右一対のイヤフォン1L、1Rのうち、イヤフォン1Lの構成について説明するが、イヤフォン1Rの構成はイヤフォン1Lの構成と同じである。そのため、
図5においても同様に、イヤフォン1Rの説明を省略する。
【0038】
イヤフォン制御システム100は、イヤフォン1L、イヤフォン1RおよびスマートフォンF1を備える。
【0039】
操作入力部の一例であるタッチセンサTCLは、イヤフォン制御部S2Lと通信可能に接続される。タッチセンサTCLは、ユーザによって行われたタッチ操作に関する信号をイヤフォン制御部S2Lに出力する。
【0040】
装着センサSELは、イヤフォン制御部S2Lと通信可能に接続され、ユーザの耳とイヤフォン1Lとが接触しているか否かに関する信号をイヤフォン制御部S2Lに出力する。
【0041】
電力監視部13Lは、例えば半導体チップを用いて構成されている。電力監視部13Lは、バッテリB1Lを有しバッテリB1Lの充電残量を計測する。バッテリB1Lは例えばリチウムイオン電池である。電力監視部13Lは、計測したバッテリB1Lの充電残量に関する情報をイヤフォン制御部S2Lに出力する。
【0042】
音信号入出力制御部S1Lは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを用いて構成されている。音信号入出力制御部S1Lは、イヤフォン制御部S2Lと通信可能に接続されており、音信号をPCM(Pulse Code Modulation)方式でデジタル形式に変換されたデジタル信号でやり取りする。音信号入出力制御部S1Lは、スマートフォンF1から取得した音信号に関するデジタル信号に対し、音量レベルを調整してスピーカSP1Lに出力する。
【0043】
音信号入出力制御部S1Lは、マイクMC1L、マイクMC2LおよびマイクMC3Lと接続され、各マイクから各マイクによって収音された音信号が入力される。音信号入出力制御部S1Lは、各マイクから入力された音信号を増幅する、アナログ信号からデジタル信号に変換するなどといった処理が可能であってもよい。音信号入出力制御部S1Lは各マイクから入力された音信号のデータをイヤフォン制御部S2Lへ送信する。
【0044】
制御部の一例として、イヤフォン制御部S2Lは、例えばCPU、MPUあるいはDSP等のプロセッサを用いて構成されており、音信号入出力制御部S1L、ROM11L、RAM12L、電力監視部13L、開閉バルブ70Lおよび無線通信部14Lと通信可能に接続されており、音信号をPCM方式でデジタル形式に変換されたデジタル信号でやり取りする。イヤフォン制御部S2Lは、イヤフォン1Lの全体的な動作を司るコントローラとして機能し、イヤフォン1Lの各部の動作を統括するための制御処理、イヤフォン1Lの各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。
【0045】
音信号入出力制御部S1Lおよびイヤフォン制御部S2Lは、ROM(Read Only Memory)11Lに記憶されたプログラムおよびデータを用いることで、それぞれの機能を実現する。音信号入出力制御部S1Lおよびイヤフォン制御部S2Lは、動作中にRAM(Random Access Memory)12Lを使用し、生成あるいは取得したデータもしくは情報をRAM12Lに一時的に保存してもよい。
【0046】
無線通信部14Lは、イヤフォン1LとスマートフォンF1とを送受信が可能に無線接続し、音信号入出力制御部S1Lまたはイヤフォン制御部S2Lで処理された音信号をスマートフォンF1に送信する。無線通信部14Lは、アンテナATLを有し、例えばBluetooth(登録商標)の通信規格に従った近距離無線通信を行う。無線通信部14Lは、Wi-Fi(登録商標)などの通信回線または移動体通信回線などに接続可能に設けられてもよい。また、イヤフォン1L、1Rのそれぞれは、無線通信部14Lおよび無線通信部14Rを用いてスマートフォンF1との間で個別に無線通信を行うことが可能である。そのため、イヤフォン1L、1Rのそれぞれは、スマートフォンF1から送信されるデータ、音信号あるいは情報を受信することが可能である。
【0047】
開閉バルブ70Lは、イヤフォン制御部S2Lと通信可能に接続される。開閉バルブ70Lは、イヤフォン制御部S2Lからの信号に基づき動作(つまり、開閉の動作)する。開閉バルブ70Lは、例えば、スマートフォンF1に表示される設定画面から設定された内容に基づき、イヤフォン制御部S2Lによって開状態もしくは閉状態となるよう制御される。本実施の形態では、例えば、開閉バルブ70Lは、ユーザの移動速度に基づき制御される。なお、開閉バルブ70Lの制御方法はこれらに限られず、通話中であるか否かによって制御するなどでもよい。
【0048】
スマートフォンF1は、ユーザにより携帯される無線端末である。
【0049】
次に、
図6を参照して、スマートフォンのブロック図を用いてスマートフォンのハードウェア構成例について説明する。
図6は、本実施の形態に係るスマートフォンのブロック図を示す図である。スマートフォンF1は、表示/操作部30と、公衆回線通信I/F部31と、公衆回線プロトコル制御部32と、制御部33と、ROM34と、RAM35と、音信号バス36と、音信号入出力制御部37と、近距離無線制御部38と、無線LAN通信I/F部39と、イヤフォン通信I/F部40と、USB通信I/F部41と、位置情報測位部42と、加速度センサ43と、バッテリB2とを含む構成である。なお、
図6では、インターフェースを「I/F」と略記している。
【0050】
表示部あるいは操作部の一例としての表示/操作部30は、ユーザの操作を受け付けたり、制御部33により生成されたデータを表示したりするタッチパネルを用いて構成され、いわゆるユーザインタフェースを形成する。表示/操作部30は制御部33によって生成される各種画面を表示してよい。表示/操作部30は、表示された各種画面に対するユーザの操作を受け付けて入力信号を生成して制御部33に送る。
【0051】
公衆回線通信I/F部31は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT3と接続され、公衆基地局(不図示)との間で公衆回線を用いた無線通信(例えばLTE(Long Term Evolution)等の4G(第4世代移動通信方式)あるいは5G(第5世代移動通信方式)に準拠した無線通信)を行う。なお、公衆回線通信I/F部は、スマートフォンF1の構成から省略されてもよい。
【0052】
公衆回線プロトコル制御部32は、音信号バス36と公衆回線通信I/F部31との間でデータの入出力に関する制御を実行する。なお、公衆回線プロトコル制御部32は、スマートフォンF1の構成から省略されてもよい。
【0053】
制御部33は、例えばCPU、MPUまたはDSP等のプロセッサを用いて構成されている。スマホOS処理部33Aおよびスマホアプリ処理部33Bを機能的に有しており、スマホOS処理部33Aおよびスマホアプリ処理部33BのそれぞれとROM34との協働によって各種の処理および制御を行う。制御部33は、位置情報測位部42から取得したスマートフォンF1の位置情報(言い換えると、ユーザの位置情報)に基づきユーザの移動の速度(以下、移動速度と称する)を算出する。なお、ユーザの移動速度は、外部端末により測定され、スマートフォンF1が取得してもよい。
【0054】
ROM34は、制御部33の動作を規定するプログラムとそのプログラムの実行時に使用するデータとが書き込まれている。ROM34には、スマートフォンF1の識別情報、音信号を送信する先として事前に登録(ペアリング)されたイヤフォン1の識別情報をそれぞれ記憶している。また、ROM34は、ユーザの移動速度に係る情報を保存していてもよい。ユーザの移動速度に係る情報とは、例えば、ユーザがウォーキングしていると推測される統計的に標準的な速度の範囲に係る情報である。なお、ユーザの移動速度に係る情報は、ウォーキングしていると推測される統計的に標準的な速度の範囲に係る情報に限られず、ランニングまたはサイクリングしていると推測される統計的に標準的な速度の範囲に係る情報でもよい。一例として、ユーザがウォーキングしていると推測される速度の範囲は3[km/h]から6[km/h]である。なお、ユーザがウォーキングしていると推測される速度の範囲は一例でありこれに限定されない。また、ユーザの移動速度に係る情報は、予め定められてROM34に保存されていてもよいし、ユーザによって任意に決定されてもよい(
図8参照)。
【0055】
RAM35は、制御部33の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMである。RAM35には、制御部33により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。
【0056】
音信号バス36は、制御部33との間での音信号データ、公衆回線プロトコル制御部32との間での音信号データ、音信号入出力制御部37との間での音信号データ、近距離無線制御部38との間での音信号データの入出力を行う。
【0057】
音信号入出力制御部37は、制御部33から出力された指令に基づいて、マイクMC4により収音された音信号データを、音信号バス36を介して制御部33に送ったり、音信号バス36を介して入力された音信号をスピーカSP2から出力させたりする。
【0058】
マイクMC4は、スマートフォンF1を使用するユーザの発話に基づく音声を収音して音信号に変換し、変換後の音信号を音信号入出力制御部37に送る。マイクMC4により収音された音信号は、音信号入出力制御部37、音信号バス36を経由して制御部33に入力される。
【0059】
スピーカSP2は、音信号入出力制御部37からの音信号データを音響的に出力する。
【0060】
近距離無線制御部38は、音信号バス36と無線LAN通信I/F部39との間および音信号バス36とイヤフォン通信I/F部40との間のデータの入出力に関する制御を実行する。近距離無線制御部38は、制御部33から出力された指令、音信号バス36を介して入力された音信号のデータを、無線LAN通信I/F部39またはイヤフォン通信I/F部40に送る。また近距離無線制御部38は、無線LAN通信I/F部39またはイヤフォン通信I/F部40から入力された音信号のデータを制御部33に送ってもよい。
【0061】
無線LAN通信I/F部39は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT2と接続され、イヤフォン1との間で無線LANによる無線通信(例えば近距離無線制御部38からのデータ送信)を行う。無線LAN通信I/F部39は、無線LANルータ(図示略)を介してインターネットに接続可能な通信回路を用いて構成される。また、無線LAN通信I/F部39は、上述した無線LANルータ(図示略)を介して、イヤフォン1L、1Rのそれぞれとの間で無線通信(例えばWi-Fi(登録商標)等の無線LAN)を行ってもよい。
【0062】
イヤフォン通信I/F部40は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT1と接続され、イヤフォン1との間でBluetooth(登録商標)による近距離無線通信(例えば近距離無線制御部38からのデータ送信)を行う。
【0063】
USB通信I/F部41は、スマートフォンF1と外部機器(例えばPC(Personal Computer))とをケーブル等の有線で通信するためのインターフェースである。USB通信I/F部41は、制御部33とデータ通信可能に接続されていて、外部機器からのデータを制御部33に送信することができる。またUSB通信I/F部41を介して、外部の商用電源からバッテリB2に電荷を供給してもよい。
【0064】
位置情報測位部42は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機である。位置情報測位部42は、スマートフォンF1が備えるアンテナAT4と接続され、複数の航法衛星(つまり、GPS衛星)から発信された時刻およびGPS衛星の位置(座標)を示す複数の信号を受信する。位置情報測位部42は、受信された複数の信号に基づいて、GPS受信機の位置(つまり、スマートフォンF1の位置)を算出する。位置情報測位部42は、スマートフォンF1の位置情報を制御部33に出力する。
【0065】
加速度センサ43は、スマートフォンF1の加速度を測定する。スマートフォンF1の加速度とは、つまり、スマートフォンF1を所持しているユーザの移動の加速度である。加速度センサ43は、例えば、3次元の慣性運動(直交3軸方向の並進運動)を検出する慣性センサである。加速度センサ43は、測定したスマートフォンF1の加速度を制御部33に送信する。
【0066】
バッテリB2は、外部の商用電源から供給される電荷を蓄積可能なバッテリ(例えば電池)である、スマートフォンF1に電源を供給する。なお、バッテリB2は、脱着可能な構成であってもよい。バッテリB2は、外部の商用電源から電源の供給を直接得てもよいし、外部の商用電源から切り離された状態においてスマートフォンF1に電源を供給可能であってもよい。
【0067】
次に、
図7を参照して、ターゲット移動速度モードについて説明する。
図7は、ターゲット移動モードを説明する図である。
【0068】
スマートフォンF1の制御部33によって算出されたユーザの移動速度が、所定の範囲内の速度である場合、そのユーザの移動速度をターゲット移動速度と称する。所定の範囲とは、ROM34に保存されている予め定められた範囲またはユーザによって設定された範囲(
図8参照)である。ターゲット移動速度の情報を用いて開閉バルブ70Lおよび開閉バルブ70Rが制御されるモードのことをターゲット移動速度モードと称する。制御部33が、ユーザがターゲット移動速度で移動していると判定した場合、ターゲット移動速度モードはオンとなる。制御部33が、ユーザがターゲット移動速度で移動していないと判定した場合、ターゲット移動速度モードはオフとなる。ユーザがターゲット移動速度で移動していない場合とは、例えば、止まっているまたは電車等で高速に移動しているなどである。
【0069】
密閉モードおよび開放モードとは、イヤフォン1が開状態か閉状態かに係るモードのことである。密閉モードとは、例えば、ユーザが音楽を聴いている場合のモードである。なお、ユーザが聴いているものは音楽に限られず動画データまたは録音データ等に関する音信号でもよい。開放モードとは、例えば、電話等でユーザが発話をしている場合のモードである。なお、密閉モードおよび開放モードの例は一例であり、上記に限らない。
【0070】
スマートフォンF1の制御部33は、ユーザの移動速度がターゲット移動速度となるのを検知すると、ターゲット移動速度モードをオンにする。また、スマートフォンF1の制御部33は、ユーザの移動速度がターゲット移動速度から外れるのを検知すると、ターゲット移動速度モードをオフにする。
【0071】
ケースCAでは、ターゲット移動速度モードがオフの場合のイヤフォン1の密閉状態を表す。ターゲット移動速度モードがオフでありかつ密閉モードの場合、イヤフォン1は閉状態となる。ターゲット移動速度モードがオフでありかつ開放モードの場合、イヤフォン1は開状態となる。
【0072】
ケースCBでは、ターゲット移動速度モードがオンの場合のイヤフォン1の密閉状態を表す。ターゲット移動速度モードがオンでありかつ密閉モードの場合、イヤフォン1は開状態となる。ターゲット移動速度モードがオンでありかつ開放モードの場合、イヤフォン1は開状態となる。つまり、ケースCBでは密閉モードと開放モードとに関わらずイヤフォン1は開状態となる。
【0073】
次に、
図8を参照して、移動時開閉設定の画面例について説明する。
図8は、移動時開閉設定の画面例を示す図である。
【0074】
移動時開閉設定画面MNは、スマートフォンF1の表示/操作部30に表示される画面の一例である。スマホアプリ処理部33Bは、表示/操作部30に移動時開閉設定画面MNを表示させる。
【0075】
移動時開閉設定画面MNは、ユーザの移動速度に基づく開閉バルブ70Lおよび開閉バルブ70Rの開閉に係る設定(以下、移動時開閉設定と称する)画面である。
【0076】
ボタンBTは、移動時開閉設定のオンとオフとを切り替えるボタンである。
【0077】
項目IT1は、ユーザがウォーキング中と推測されるターゲット移動速度の範囲を設定する項目である。項目IT1で設定されるターゲット移動速度の範囲は、例えば、3[km/h]から6[km/h]である。項目IT1で設定されるターゲット移動速度の範囲は、予め決められた範囲でもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。また、ターゲット移動速度の範囲は一例であり3[km/h]から6[km/h]に限定されない。項目IT1のターゲット移動速度の範囲を、第1速度以上であって、かつ第1速度より大きい第2速度以下である第1の範囲とする。
【0078】
項目IT2は、ユーザがランニング中と推測されるターゲット移動速度の範囲を設定する項目である。項目IT2で設定されるターゲット移動速度の範囲は、例えば、6[km/h]から15[km/h]である。項目IT2で設定されるターゲット移動速度の範囲は、予め決められた範囲でもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。また、ターゲット移動速度の範囲は一例であり6[km/h]から15[km/h]に限定されない。項目IT2のターゲット移動速度の範囲を、第2速度以上の第3速度以上であって、かつ第3速度より大きい第4速度以下である第2の範囲とする。
【0079】
項目IT3は、ユーザがサイクリング中と推測されるターゲット移動速度の範囲を設定する項目である。項目IT3で設定されるターゲット移動速度の範囲は、例えば、15[km/h]から30[km/h]である。項目IT3で設定されるターゲット移動速度の範囲は、予め決められた範囲でもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。また、ターゲット移動速度の範囲は一例であり15[km/h]から30[km/h]に限定されない。項目IT3のターゲット移動速度の範囲を、第4速度以上の第5速度以上であって、かつ第5速度より大きい第6速度以下である第3の範囲とする。
【0080】
これにより、スマートフォンF1は、第1の範囲と、第2の範囲と、第3の範囲と、のうち少なくとも1つの範囲に前記移動速度が当てはまる場合、イヤフォン1Lおよびイヤフォン1Rにユーザの移動速度が所定の範囲内の速度である旨の前記信号を送信する。イヤフォン1Lのイヤフォン制御部S2Lは、スマートフォンF1からの信号に基づき開閉バルブ70Lを制御する。イヤフォン1Rのイヤフォン制御部S2Rは、スマートフォンF2からの信号に基づき開閉バルブ70Rを制御する。
【0081】
なお、設定可能なターゲット移動速度の範囲の数は、ウォーキング、ランニングおよびサイクリングの3つに限られず3つ以上でもよい。
【0082】
項目IT4は、ユーザの移動速度が所定の時間以上継続してターゲット移動速度となる場合に、開閉バルブ70Rおよび開閉バルブ70Lを開状態となるように制御されることを設定する項目である。つまり、ユーザが項目IT4を押下しチェックすると、スマートフォンF1は、ユーザの移動速度が継続してターゲット移動速度となると判定した場合、イヤフォン1にユーザの移動速度がターゲット移動速度である旨の信号を送信する。以下、ユーザの移動速度が継続してターゲット移動速度となるか否かの判定に用いられる時間を継続時間と称する。継続時間は予め定められた時間でもよいし、ユーザによって任意に設定可能でもよい。継続時間は例えば5分である。なお、継続時間は5分に限られない。
【0083】
項目IT5は、ユーザの移動速度の加速度を考慮するか否かを設定する項目である。つまり、スマートフォンF1の加速度センサ43が測定したユーザの移動に係る加速度が第1の範囲、第2の範囲または第3の範囲の移動速度に対して適正な値かどうかを、スマートフォンF1は判定する。スマートフォンF1は、加速度が各ターゲット移動速度の範囲に対して予め定められた範囲内であると判定した場合、イヤフォン1にユーザの移動速度がターゲット移動速度である旨の信号を送信する。予め定められた範囲の加速度の値は、ROM34に保存されていてもよい。
【0084】
次に、
図9を参照して、イヤフォン制御システムの開閉バルブの開閉制御に係る処理を説明する。
図9は、イヤフォン制御システムの開閉バルブの開閉制御に係る処理のシーケンス図である。
【0085】
ユーザは、移動時開閉設定画面MNを呼び出す操作をスマートフォンF1の表示/操作部30に対して行う(St10)。
【0086】
スマートフォンF1は、ステップSt10の処理のユーザの操作に基づき移動時開閉設定画面MNを表示/操作部30に表示する(St11)。
【0087】
スマートフォンF1は、イヤフォン1と近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)通信)を開始する(St12)。ステップSt12の処理のイヤフォン1とのBluetooth(登録商標)通信は、ユーザの操作によって開始されてもよいし、スマートフォンF1の設定により自動で開始されてもよい。
【0088】
スマートフォンF1の制御部33は、位置情報測位部42の信号に基づきユーザの移動速度を算出する(St13)。なお、ユーザの移動速度は、その移動速度を測定可能な外部端末によって測定され、その測定結果をスマートフォンF1が取得してもよい。
【0089】
スマートフォンF1の制御部33は、ステップSt13の処理で算出したユーザの移動速度がターゲット移動速度であるか否かを判定する(St14)。
【0090】
スマートフォンF1は、ステップSt14の処理の結果をイヤフォン1に送信する(St15)。
【0091】
イヤフォン1は、ステップSt15の処理で取得したユーザの移動速度がターゲット移動速度であるか否かに係る情報に基づき、開閉バルブ70Rおよび開閉バルブ70Lの開閉制御を実行する(St16)。
【0092】
スマートフォンF1とイヤフォン1とは、ステップSt12からステップSt16までの処理を繰り返し実行する。
【0093】
次に、
図10を参照して、ユーザの移動速度に応じた開閉バルブの制御に係る処理について説明する。
図10は、ユーザの移動速度に応じた開閉バルブの制御に係る処理のフローチャートである。
図10のフローチャートに係る各処理は、イヤフォン制御部S2Lおよびイヤフォン制御部S2Rによって実行される。イヤフォン制御部S2Lおよびイヤフォン制御部S2Rは同様の処理を実行するため、ここではイヤフォン制御部S2Lにより実行されることを説明し、イヤフォン制御部S2Rにより実行されることの説明は省略する。
【0094】
イヤフォン制御部S2Lは、スマートフォンF1から送信されたユーザの移動速度に関する情報を取得する(St20)。ユーザの移動速度に関する情報とは、
図9のステップSt15の処理でスマートフォンF1から取得した、ユーザの移動速度がターゲット移動速度であるか否かに係る情報である。
【0095】
イヤフォン制御部S2Lは、ユーザの移動速度がスマートフォンF1の制御部33によってターゲット移動速度であると判定されている場合(St21、YES)、開閉バルブ70Lが現在閉状態となっているか否かを判定する(St22)。
【0096】
イヤフォン制御部S2Lは、開閉バルブ70Lが現在閉状態でない(つまり開状態である)と判定した場合(St22、NO)、開閉バルブ70Lはそのまま開状態としターゲット移動速度モードをオンとする(St24)。イヤフォン制御部S2Lの処理は、ステップSt24の処理の後ステップSt20の処理に戻る。
【0097】
イヤフォン制御部S2Lは、開閉バルブ70Lが現在閉状態であると判定した場合(St22、YES)、開閉バルブ70Lを制御し開状態とする(St23)。
【0098】
イヤフォン制御部S2Lは、ステップSt23の処理で開閉バルブ70Lを開状態とした後、ターゲット移動速度モードをオンとする(St24)。イヤフォン制御部S2Lの処理は、ステップSt24の処理の後ステップSt20の処理に戻る。
【0099】
イヤフォン制御部S2Lは、ユーザの移動速度がスマートフォンF1の制御部33によってターゲット移動速度でないと判定されている場合(St21、NO)、イヤフォン1Lのモードが密閉モードであるか否かを判定する(St25)。例えば、ターゲット移動速度であったユーザの移動速度がターゲット移動速度から外れた場合は、スマートフォンF1の制御部33でターゲット移動速度でないと判定される。
【0100】
イヤフォン制御部S2Lは、イヤフォン1Lのモードが密閉モードであると判定した場合(St25、YES)、開閉バルブ70Lが現在開状態であるか否かを判定する(St26)。
【0101】
イヤフォン制御部S2Lは、開閉バルブ70Lが現在開状態ではない(つまり、閉状態である)と判定した場合(St26、NO)、開閉バルブ70Lはそのまま閉状態としターゲット移動速度モードをオフとする(St28)。イヤフォン制御部S2Lの処理は、ステップSt28の処理の後ステップSt20の処理に戻る。
【0102】
イヤフォン制御部S2Lは、開閉バルブ70Lが現在開状態であると判定した場合(St26、YES)、開閉バルブ70Lを制御し閉状態とする(St27)。
【0103】
イヤフォン制御部S2Lは、ステップSt27の処理で開閉バルブ70Lを閉状態とした後、ターゲット移動速度モードをオフとする(St28)。イヤフォン制御部S2Lの処理は、ステップSt28の処理の後ステップSt20の処理に戻る。
【0104】
イヤフォン制御部S2Lは、イヤフォン1Lのモードが密閉モードでない(つまり開放モード)と判定した場合(St25、NO)、開閉バルブ70Lが現在閉状態であるか否かを判定する(St29)。
【0105】
イヤフォン制御部S2Lは、開閉バルブ70Lが現在閉状態ではない(つまり、開状態である)と判定した場合(St29、NO)、開閉バルブ70Lはそのまま開状態としターゲット移動速度モードをオフとする(St31)。イヤフォン制御部S2Lの処理は、ステップSt31の処理の後ステップSt20の処理に戻る。
【0106】
イヤフォン制御部S2Lは、開閉バルブ70Lが現在閉状態であると判定した場合(St29、YES)、開閉バルブ70Lを制御し開状態とする(St30)。
【0107】
イヤフォン制御部S2Lは、ステップSt30の処理で開閉バルブ70Lを開状態とした後、ターゲット移動速度モードをオフとする(St31)。イヤフォン制御部S2Lの処理は、ステップSt31の処理の後ステップSt20の処理に戻る。
【0108】
以上により、本実施の形態に係る制御システム(例えば、イヤフォン制御システム100)は、ユーザの左耳および右耳のそれぞれに装着されるイヤフォン(例えば、イヤフォン1)とユーザにより携帯される無線端末(例えば、スマートフォンF1)と、を備える。イヤフォンは、内部に空間を有し、ユーザの外耳道側の一端部から周囲環境側の一端部までを通気可能な経路を有するハウジング(例えば、ハウジングHOLおよびハウジングHOR)を有する。イヤフォンは、ハウジングの内部に収納され、経路の一部を塞ぐことが可能な開閉バルブ(例えば、開閉バルブ70Lおよび開閉バルブ70R)を有する。無線端末は、ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度であると判定した場合、イヤフォンに移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を送信する。イヤフォンは、無線端末から取得した信号に基づき、開閉バルブを制御する。
【0109】
これにより、制御システムは、ユーザの移動速度が所定の範囲内の速度、つまりターゲット移動速度である場合に、イヤフォンの開閉バルブを開状態にすることができる。制御システムは、ユーザが移動している間に開閉バルブを開放することにより外音の聴き取り易さを向上させることができる。また、ユーザがイヤフォンで音楽等を聴く際に、音がユーザの体内で反響するのを抑制し聴きやすさを向上することができる。これにより、制御システムは、ユーザの移動の状態に応じて、耳に装着されるイヤフォンの密閉状態または開放状態を制御し、不快感を覚えることを抑制することができる。
【0110】
また、本実施の形態に係るイヤフォンは、無線端末から取得した信号に基づき、開閉バルブの状態が閉状態か否かを判定し、開閉バルブの状態が閉状態であると判定した場合、開閉バルブを開放し開状態とする。これにより、制御システムは、ユーザの移動速度に基づき開閉バルブを開放することができる。これにより、制御システムは、ユーザが無線端末またはイヤフォンに開閉バルブの開閉を切り替える操作をせずに自動で開閉バルブの開閉に係る制御を実行することができる。
【0111】
また、本実施の形態に係る制御システムの無線端末は、第1の範囲と、第2の範囲と、第3の範囲と、のうち少なくとも1つの範囲に移動速度が当てはまる場合、イヤフォンに移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を送信する。第1の範囲は、移動速度が第1速度以上であって、かつ第1速度より大きい第2速度以下である範囲である。第2の範囲は、移動速度が第2速度以上の第3速度以上であって、かつ第3速度より大きい第4速度以下である範囲である。第3の範囲は、移動速度が第4速度以上の第5速度以上であって、かつ第5速度より大きい第6速度以下である範囲である。これにより、制御システムは、ユーザの移動速度が第1の範囲、第2の範囲または第3の範囲のうち少なくとも1つの範囲に当てはまる場合(つまり、ユーザの移動速度がターゲット移動速度である場合)、イヤフォンを開状態とすることができる。
【0112】
また、本実施の形態に係る制御システムの第1の範囲は、ユーザがウォーキングによる移動を行う時の標準的な移動速度である。第2の範囲は、ユーザがランニングによる移動を行う時の標準的な移動速度である。第3の範囲は、ユーザがサイクリングによる移動を行う時の標準的な移動速度である。これにより、制御システムは、ユーザがウォーキング、ランニングまたはサイクリングによる移動を行う場合に、開閉バルブの開閉に係る制御を実行することができ、これらの行動による移動を行っている最中でもユーザが外音の聴き取り易さを向上することができる。
【0113】
また、本実施の形態に係る制御システムの無線端末は、第1の範囲と、第2の範囲と、第3の範囲と、のうちユーザが選択した範囲に移動速度が当てはまる場合、イヤフォンに移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を送信する。これにより、制御システムは、ユーザにより決定された設定に基づきイヤフォンの密閉または開放状態を制御することができる。これにより、ユーザのイヤフォンの使用に係る利便性を向上させることができる。
【0114】
また、本実施の形態に係る制御システムの第1速度と、第2速度と、第3速度と、第4速度と、第5速度と、第6速度との値は無線端末へのユーザ操作により任意に設定される。これにより、制御システムは、各ユーザの歩く速度、走る速度およびサイクリングの速度に応じてターゲット移動速度の範囲を設定することができる。これにより、ユーザのイヤフォンの使用に係る利便性を向上させることができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る制御システムの無線端末は、移動速度が所定の時間以上継続して所定の範囲内の速度となると判定した場合、イヤフォンに移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を送信する。これにより、制御システムは誤検知を減らし高精度なイヤフォンの密閉または開放状態の制御を実行することができる。
【0116】
また、本実施の形態に係る制御システムの無線端末は、ユーザの移動に係る加速度を測定し、加速度が第7の範囲内であると判定した場合、イヤフォンに移動速度が所定の範囲内の速度である旨の信号を送信する。これにより、制御システムは、誤検知を減らし高精度なイヤフォンの密閉または開放状態の制御を実行することができる。
【0117】
また、本実施の形態に係る制御システムの無線端末は、表示部(例えば、表示/操作部30)を有し、表示部にユーザの移動に係る開閉バルブの開閉設定の画面(例えば、移動時開閉設定画面MN)を表示する。画面は、移動に係る開閉バルブの開閉の制御を実行するか否かを設定するボタンを含む。画面は、第1の範囲を設定する欄と、第2の範囲を設定する欄と、第3の範囲を設定する欄と、を含む。画面は、移動速度が所定の時間以上継続して所定の範囲内の速度となることを考慮するか否かを設定する欄と、加速度を考慮するか否かを設定する欄と、を含む。これにより、制御システムは、ユーザによりイヤフォンの密閉または開放状態を制御する設定を決定することができる。これにより、ユーザのイヤフォン使用に係る利便性を向上させることができる。
【0118】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示の技術は、ユーザの移動の状態に応じて、耳に装着されるイヤフォンの密閉状態または開放状態を制御し、不快感を覚えることを抑制する制御システム、イヤフォンおよび制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0120】
100 イヤフォン制御システム
1,1L,1R イヤフォン
IPL,IPR イヤーピース
MC1L,MC1R,MC2L,MC2R,MC3L,MC3R,MC4 マイク
TCL,TCR タッチセンサ
HOL,HOR ハウジング
SEL,SER 装着センサ
SP1L,SP1R,SP2 スピーカ
SP1RDr ドライバ
FCL1 取付円筒部
DR1 方向
11L,11R,34 ROM
12L,12R,35 RAM
13L,13R 電力監視部
B1L,B1R,B2 バッテリ
14L,14R 無線通信部
ATL,ATR,AT1,AT2,AT3 アンテナ
S2L,S2R イヤフォン制御部
S1L,S1R,37 音信号入出力制御部
F1 スマートフォン
30 表示/操作部
31 公衆回線通信I/F部
32 公衆回線プロトコル制御部
33 制御部
33A スマホOS処理部
33B スマホアプリ処理部
36 音信号バス
38 近距離無線制御部
39 無線LAN通信I/F部
40 イヤフォン通信I/F部
41 USB通信I/F部
60L,60R 開口部
70L,70R 開閉バルブ
71 経路
72 壁面
CA,CB ケース
MN 移動時開閉設定画面
BT ボタン
IT1,IT2,IT3,IT4,IT5 項目