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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181821
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20231218BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20231218BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20231218BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20231218BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095171
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】平野 新
(72)【発明者】
【氏名】本城 誠
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
5H181MA48
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】遠隔支援における交通の円滑性及び安全性を向上させる。
【解決手段】情報処理装置10は取得部21と制御部22とを有する。取得部21は操作命令を要求する移動体から状況情報を取得する。制御部22は遠隔操作ユニットに移動体の遠隔操作タスクを割当て可能である。制御部22は複数の移動体が遠隔操作タスクの割当てを待機している場合当該複数の移動体毎の状況情報に基づいて割当て順番を決める。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作命令を要求する移動体から、該移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
前記移動体を、前記移動体を遠隔操作可能な遠隔操作ユニットに、前記移動体の遠隔操作タスクを割当て可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の前記移動体が前記遠隔操作タスクの割当てを待機している場合、該複数の移動体毎の状況情報に基づいて、割当て順番を決める
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記状況情報に基づいて前記移動体の優先度を算出し、該優先度に基づいて前記割当て順番を決定する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記状況情報に対して、固定された第1の評価値、及び経過時間に応じて変化する第2の評価値の少なくとも一方を有し且つ前記優先度を算出するための優先要因が予め定められており、
前記制御部は、前記操作命令を要求する移動体から取得する状況情報に基づいて前記優先要因を認定し、該優先要因の前記第1の評価値及び前記第2の評価値に基づいて前記優先度を算出する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、同一の時点における優先度を算出する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記状況情報は、前記移動体の周囲状況を示す周囲情報を含む
情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置において、
前記取得部は、前記周囲情報を、前記操作命令を要求する移動体の周囲の観察装置、及び該移動体の周囲の他の移動体から取得する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記状況情報は、該移動体の乗員状況を示す乗員情報を含む
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体の自動運転技術の開発が進められている。自動運転の運用において、安全性の観点から遠隔地からのオペレータによる遠隔支援が望まれる。オペレータには複数の移動体の遠隔支援が求められることがある。そこで、オペレータの遠隔支援に対する負担を軽減する情報処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-21453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、オペレータの負担を軽減するだけでは、交通における円滑性及び安全性を高めた遠隔支援には不十分であった。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、遠隔支援における交通の円滑性及び安全性を向上させる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点による情報処理装置は、
操作命令を要求する移動体から、該移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
前記移動体を、前記移動体を遠隔操作可能な遠隔操作ユニットに、前記移動体の遠隔操作タスクを割当て可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の前記移動体が前記遠隔操作タスクの割当てを待機している場合、該複数の移動体毎の状況情報に基づいて、割当て順番を決める。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成された本開示に係る情報処理装置によれば、遠隔支援における交通の円滑性及び安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る情報処理装置を備える遠隔支援システムの構成例を示す図である。
図2図1の移動体の概略構成を示すブロック図である。
図3図1の遠隔操作ユニットの概略構成を示すブロック図である。
図4図1の情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】優先要因毎の第1の評価値及び第2の評価値の表である。
図6】第1の総評価値及び第2の総評価値から優先度を算出するための評価マップである。
図7図4の制御部が実行する順番決定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を適用した情報処理装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、一実施形態に係る情報処理装置10を備える遠隔支援システム11は、遠隔操作ユニット12及び情報処理装置10を含んで構成されてよい。遠隔支援システム11は、ネットワーク13を介して移動体14と通信可能であってよい。遠隔支援システム11は、無線通信により移動体14と通信してよい。
【0011】
移動体14は、自律運転を実行可能である。移動体14は、遠隔支援システム11から取得する操作命令に基づいて遠隔運転を実行可能である。更に、移動体14は、移動体14の乗員によって、手動運転を実行可能であってよい。
【0012】
移動体14は、例えば車両、船舶、及び航空機等を含んでよい。車両は、例えば自動車、産業車両、鉄道車両、生活車両、および滑走路を走行する固定翼機等を含んでよい。自動車は、例えば乗用車、トラック、バス、二輪車、およびトロリーバス等を含んでよい。産業車両は、例えば農業および建設向けの産業車両等を含んでよい。産業車両は、例えばフォークリフトおよびゴルフカート等を含んでよい。農業向けの産業車両は、例えばトラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、および芝刈り機等を含んでよい。建設向けの産業車両は、例えばブルドーザー、スクレーバー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、およびロードローラ等を含んでよい。車両は、人力で走行するものを含んでよい。車両の分類は、上述した例に限られない。例えば、自動車は、道路を走行可能な産業車両を含んでよい。複数の分類に同じ車両が含まれてよい。船舶は、例えばマリンジェット、ボート、およびタンカー等を含んでよい。航空機は、例えば固定翼機および回転翼機等を含んでよい。
【0013】
図2に示すように、移動体14は、センサ部15、通信部16、運転制御システム17、及び制御部18を含んで構成されてよい。
【0014】
センサ部15は、周期的に移動体14の状況を検出してよい。検出される移動体14の状況は、当該移動体14の周囲状況を含んでよい。センサ部15は、周囲状況を検出するセンサとして、例えば、移動体14の周囲を撮像する屋外カメラ及び移動体14の周囲の物体を測距する測距センサを含んでよい。屋外カメラは、周囲状況を示す周囲情報として画像を生成してよい。測距センサは、周囲情報として、移動体14の周囲に存在する物体との距離を検出してよい。測距センサは、周囲情報として、測距センサからの方向別の物体の距離値を含む距離分布を生成してよい。検出される移動体14の状況は、当該移動体14の乗員状況を含んでよい。センサ部15は、乗員状況を検出するセンサとして、例えば、移動体14の屋内を撮像する屋内カメラ、マイク、及びバイタルセンサを含んでよい。屋内カメラは、乗員状況を示す乗員情報として、画像を生成してよい。マイクは、乗員状況を示す乗員情報として、乗員の音声を生成してよい。バイタルセンサは、乗員状況を示す乗員情報として、乗員の酔いの状態を生成してよい。センサ部15は、自身の移動体14の位置を検出する位置検出センサを含んでよい。
【0015】
通信部16は、制御部18によって制御されて、ネットワーク13を介して情報処理装置10と無線通信を行ってよい。通信部16は、他の移動体14、路側機等の他の機器、又は情報処理装置10の他の情報処理装置等を更に介して情報処理装置10と無線通信を行ってよい。通信部16は、後述するように、操作命令の要求を情報処理装置10に送信してよい。通信部16は、後述するように、センサ部15が検出する移動体14の状況に関する状況情報を情報処理装置10に送信してよい。通信部16は、後述するように、センサ部15が検出する周囲状況を示す周囲情報を情報処理装置10に送信してよい。通信部16は、操作命令を情報処理装置10から受信してよい。通信部16は、自身の移動体14の位置を示す情報を情報処理装置10に送信してよい。
【0016】
運転制御システム17は、移動体14のエンジン又はモータ等の駆動部、操舵輪等の方向調整部、及びブレーキを制御して、移動体14を運転してよい。運転制御システム17は、センサ部15が検出する周囲状況を示す情報に基づいて自律運転の可否を判別してよい。運転制御システム17は、例えば、周囲状況を示す情報だけに基づく自律運転に対して算出される安全性等の評価値を閾値と比較することにより、自律運転の可否を判別してよい。
【0017】
運転制御システム17は、自律運転可能であると判断する場合、周囲状況に基づいて自律運転を行ってよい。運転制御システム17は、移動体14の周囲状況に起因して自律運転不可能であると判断する場合、自律運転不可であることを制御部18に通知してよい。運転制御システム17は、後述する操作命令に基づいて遠隔運転を行ってよい。運転制御システム17は、移動体14のアクセルペダル、ブレーキペダル、及びステアリングホイール等への乗員の操作に基づいて、手動運転を行ってよい。
【0018】
制御部18は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部18は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。
【0019】
制御部18は、遠隔操作に基づく移動体14の動作を制御してよい。制御部18は、例えば、運転制御システム17から自律運転不可であることの通知を受ける場合、操作命令の要求を情報処理装置10に送信するように通信部16を制御してよい。制御部18は、操作命令の要求後から当該操作命令の要求に対して遠隔操作タスクが遠隔操作ユニット12に割当てられるまで、周囲情報及び乗員情報の少なくとも一方を含む状況情報を生成してよい。制御部18は、状況情報に、自律運転不可であることの通知を運転制御システム17から取得した時点を示す、停止時点を情報として付加してよい。制御部18は、生成した状況情報を情報処理装置10に送信するように通信部16を制御してよい。制御部18は、操作命令の要求に対する遠隔操作タスクの割当て後から自律運転が再開されるまで、周囲情報を情報処理装置10に送信するように通信部16を制御してよい。制御部18は、情報処理装置10から操作命令を受信する場合、当該操作命令を運転制御システム17に転送して、遠隔運転を実行させてよい。
【0020】
遠隔操作ユニット12は、図3に示すように、出力部19及び入力部20を含んで構成されてよい。遠隔操作ユニット12は、遠隔操作ユニット12の操作者に、移動体14の周囲状況を出力部19により認識させ、当該操作者の操作入力を入力情報として入力部20が検出することにより、移動体14を遠隔操作可能である
【0021】
出力部19は、後述する、割当てられる遠隔操作タスクの操作対象である移動体14の周囲情報を出力してよい。出力部19は、例えば、ディスプレイであり、遠隔操作タスクの割当てにより付与される周囲情報としての画像又は物体の距離分布を表示してよい。出力部19は、後述する割当ての順番及び遠隔操作タスクの割当てを待機中の移動体14の位置を示す地図を表示してよい。
【0022】
入力部20は、後述する、割当てられる遠隔操作タスクの操作対象である移動体14を移動させるための操作入力を検出してよい。入力部20は、例えば、ステアリングホイール、アクセルペダル、及びブレーキペダルの組合せ、又は方向レバーとボタンとの組合せであってよい。入力部20は、検出した操作入力に相当する入力情報を生成してよい。入力部20は、入力情報に基づく操作命令を、情報処理装置10を介して間接的に、又は直接的に移動体14に付与してよい。
【0023】
情報処理装置10は、図4に示すように、通信部(取得部)21及び制御部22を含んで構成される。情報処理装置10は、更に記憶部23を含んで構成されてよい。
【0024】
通信部21は、制御部22によって制御されて移動体14とネットワーク13を介して通信してよい。通信部21は、移動体14から操作命令の要求を取得してよい。通信部21は、操作命令を要求する移動体14から、状況情報を取得する。通信部21は、操作命令を要求する移動体14にとっての周囲情報を、当該移動体14の周囲の観察装置、及び当該移動体14の周囲の他の移動体14から取得してよい。周囲の観察装置は、例えば、路側機である。観察装置は、内蔵する屋外カメラ又は測距センサが検出する周囲情報を通信により送信可能な装置であってよい。通信部21は、遠隔操作タスクが遠隔操作ユニット12に割当てられている移動体14から、周囲情報を取得してよい。通信部21は、移動体14から取得する周囲情報を、当該移動体14の遠隔操作タスクが割当てられている遠隔操作ユニット12に付与してよい。通信部21は、遠隔操作タスクが遠隔操作ユニット12に割当てられている移動体14に、当該遠隔操作ユニット12から取得する操作命令を付与してよい。
【0025】
記憶部23は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)など、任意の記憶デバイスを含む。記憶部23は、制御部22を機能させる多様なプログラム及び制御部22が用いる多様な情報を記憶してよい。
【0026】
制御部22は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、ASICを含んでよい。プロセッサは、PLDを含んでよい。PLDは、FPGAを含んでよい。制御部22は、1つ又は複数のプロセッサが協働するSoC及びSiPのいずれかであってもよい。
【0027】
制御部22は、操作命令を要求する移動体14から取得する状況情報を記憶部23に格納してよい。制御部22は、状況情報の取得時刻を示す情報を当該状況情報に付与してよい。制御部22は、同じ移動体14から異なる時点で取得する複数の状況情報を互いに関連付けて記憶部23に格納してよい。制御部22は、移動体14に操作命令を付与する場合、当該移動体14から取得した状況情報に操作命令を付与済みであることを示す情報を付加してよい。又は、制御部22は、移動体14に操作命令を付与する場合、当該移動体14から取得した状況情報を記憶部23から削除してよい。
【0028】
制御部22は、遠隔操作ユニット12に、操作命令を要求する移動体14の遠隔操作タスクを割当可能である。遠隔操作タスクは、遠隔操作ユニット12において、操作命令を要求する移動体14の遠隔操作を行うタスクである。制御部22は、複数の移動体14が遠隔操作タスクの割当てを待機している場合、当該複数の移動体14毎の状況情報に基づいて、割当て順番を決める。遠隔操作タスクの割当てについて以下に説明する。
【0029】
制御部22は、状況情報に基づいて、遠隔操作タスクの割当てを待機している複数の移動体14毎の優先度を算出してよい。制御部22は、複数の移動体14別に、同一の時点における優先度を算出してよい。同一の時点は、厳密に同一な時点だけでなく、比較的短時間である所定の時間間隔に互いに含まれる時点であってよい。
【0030】
制御部22は、優先度の算出のために、状況情報に基づいて少なくとも1つの優先要因を、移動体14毎に認定してよい。優先要因は、操作命令を要求する移動体14、すなわち自律運転を停止して停車中の移動体14の周囲及び内部において、遠隔操作の優先性を判断する要因として予め想定される事象であってよい。優先要因は、状況情報に対して予め定められていてよい。
【0031】
制御部22は、任意の方法で優先要因を認定してよい。制御部22は、例えば、予め学習された判定モデルを用いて、優先要因を認定してよい。
【0032】
優先要因は、例えば、周囲状況においては、渋滞、車外横臥、車線逸脱、分離帯乗上げ、出庫妨害、入庫妨害、鉄道接触、鉄道停止、タクシー乗場停止、停留所停止、公益車両の前方停止、病院前停止等である。車外横臥は、移動体の進行方向に位置する人が路上で倒れている状態である。この移動体は、操作命令を要求した移動体14を意味する。車線逸脱は、移動体の進行方向に位置する他車両が車線から逸脱している状態である。分離帯乗上げは、移動体の進行方向に位置する他車両が中央分離帯に乗上げている状態である。出庫妨害は、移動体の停車位置が駐車中の他車両の出庫位置上であり、出庫を妨害している状態である。入庫妨害は、移動体の停車位置が駐車スペースへの入庫位置上であり、入庫を妨害している状態である。鉄道接触は、移動体の進行方向に位置する他車両が鉄道と接触している状態である。鉄道停止は、鉄道が移動体の進行方向上に停止している状態である。タクシー乗場停止は、タクシー乗場において移動体が停止している状態である。停留所停止は、バス又は路面電車の停留所において移動体が停止している状態である。公益車両の前方停止は、救急車、消防車、郵便車、宅配者等の公益性の高い車両の前方で移動体が停止している状態である。言換えると、公益車両の前方停止は、停止している移動体の進行方向の後方に、公益車両が存在する状態である。病院前停止は、病院の出入り口付近において移動体が停止している状態である。優先要因は、例えば、乗員状況においては、車内横臥、怪我、意識喪失、出血、酔い、泣込み、叫号、消失等である。車内横臥は、乗員が移動体14内で横倒れの状態である。怪我は、乗員が怪我している状態である。意識喪失は、乗員の外観上で意識を喪失している状態である。出血は、乗員が出血している状態である。酔いは、乗員が酔っ払っている状態である。泣込みは、乗員が泣いている状態である。叫号は、乗員が叫号している状態である。消失は、乗員が移動体14内から移動体14外に投げ出された状態である。
【0033】
各優先要因は、第1の評価値及び第2の評価値の少なくとも一方を有してよい。第1の評価値は、時間経過によらない固定された値である。第2の評価値は、経過時間に応じて変化する値であって、例えば、経過時間のべき乗に乗じる係数である。第1の評価値及び第2の評価値は、遠隔操作タスクの緊急性が高い程大きくなるように定められていてよい。第2の評価値は、同じ移動体14から異なる時点で取得する複数の状況情報に応じて補正されてよい。例えば、渋滞に対して定められている第2の評価値は、異なる時点で取得する複数の状況情報それぞれにおける渋滞に含まれる移動体14の数と、異なる時点の時間間隔とに基づいて修正されてよい。言換えると、渋滞に対して定められている第2の評価値は、状況情報を送信する移動体14を含む渋滞への他の移動体14の増加速度に基づいて修正されてよい。
【0034】
図5に示すように、各優先要因別に、第1の評価値及び第2の評価値が定められていてよい。各優先要因は、細分化されていてもよい。例えば、怪我、意識喪失、出血等の優先要因は、その度合いに応じて細分化され、度合いが大きくなるほど、第1の評価値及び第2の評価値が大きくなるように定められていてよい。
【0035】
制御部22は、状況情報から認定した優先要因の第1の評価値及び第2の評価値に基づいて移動体14別の優先度を算出してよい。以下に制御部22による、優先度の算出の具体例について説明する。
【0036】
制御部22は、優先度の算出のために、周囲情報の優先要因に基づく第1の総評価値と、乗員情報の優先要因に基づく第2の総評価値とを算出してよい。第1の総評価値は、周囲情報から認定された全優先要因の第1の評価値の合計値である。第2の総評価値は、周囲情報から認定された全優先要因の第2の評価値を、停止時点から任意に定められる時点までの時間経過に応じて評価した合計値であってよい。例えば、任意の優先要因の第2の評価値が単位時間に対する増加量である傾きである場合、時間経過×当該傾きが任意に定められる時点における第2の評価値として評価される。任意に定められる時点は、前述の優先度を算出する同一の時点である。任意に定められる時点は、例えば、各移動体14に対する優先要因の認定時点であってよく、遠隔操作タスクの割当てを待機している全移動体14に対する優先要因の認定後の時点、言換えると認定後の将来の時点であってよい。
【0037】
制御部22は、第1の総評価値及び第2の総評価値に基づいて優先度を算出してよい。例えば、優先度の算出に、図6に示すように、第1の総評価値を横軸、第2の総評価値を縦軸とする評価マップが用いられてよい。評価マップでは、第1の総評価値及び第2の総評価値がともにゼロである位置が原点に定められている。評価マップでは、原点を通る対角線に沿って、領域が分割されている。分割された各領域には、優先度が定められている。優先度は、原点から最も離れた領域が最大であり、原点に近づくにつれて低くなるように定められている。例えば、原点から最も離れた領域から原点近傍までn個に分割された領域に、優先度p1~pnまでが定められている。なお、最大値であるp1から最小値であるpnまで順番に下がるように、優先度は定められている。
【0038】
制御部22は、移動体14別に算出した第1の総評価値及び第2の総評価値の値により定まる位置を含む領域を判別する。制御部22は、判別した領域の優先度を、当該移動体14の優先度として算出してよい。
【0039】
制御部22は、算出した優先度に基づいて、遠隔操作タスクの割当てを待機している移動体14の割当て順番を決定する。具体的には、制御部22は、割当て順番を、算出した優先度が高い順番に決定してよい。制御部22は、複数の移動体14の優先度が同じである場合、状況情報を最初に取得してからの経過時間がより長い移動体14の割当て順を早めてよい。
【0040】
制御部22は、決定した割当て順番で、遠隔操作ユニット12に遠隔操作タスクを割当てよい。制御部22は、周期的に割当て順番を決定してよく、任意の遠隔操作ユニット12が遠隔操作タスクを実行可能になる度に決定してよい。制御部22は、周期的に割当て順番を決定する構成においては、次に割当て順番を決定するまでの間は、最新に決定された割当て順番に応じて任意の遠隔操作ユニット12に遠隔操作タスクを割当ててよい。
【0041】
制御部22は、決定した割当て順番及び遠隔操作タスクの割当てを待機中の複数の移動体14の位置を示す対象地図を作成してよい。制御部22は、作成した対象地図を、稼働中の遠隔操作ユニット12に送信するように通信部21を制御してよい。
【0042】
上述の優先要因の中の特定の優先要因には、制御部22に実行させる動作が予め定められていてよい。例えば、車外横臥に対しては、消防署への連絡が定められている。又、分離帯乗上げに対しては、警察等への連絡が定められている。又、意識喪失に対しては、消防署への連絡が定められている。又、消失に対しては、警察等への連絡が定められている。制御部22は、認定された優先要因に対して実行すべき動作が定められている場合、当該優先要因を認定させた状況情報を、優先要因及び当該情報状況を発した移動体14の位置情報とともに、特定の連絡先に付与してよい。特定の連絡先は、当該優先要因に対して連絡先として定められている、消防署、警察等である。例えば、車外横臥を含む状況情報を送信した移動体14が存在した場合、当該移動体の位置情報と状況情報を含む連絡情報を生成して消防署へ送信してよい。
【0043】
次に、本実施形態において情報処理装置10の制御部22が実行する、順番決定処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。順番決定処理は、例えば、周期的に開始する。
【0044】
ステップS100において、制御部22は、遠隔操作タスクの割当てを待機中且つ優先度が算出されていない移動体14を選択する。選択後、プロセスはステップS101に進む。
【0045】
ステップS101では、制御部22は、ステップS100において選択した移動体14から取得した状況情報を記憶部23から読出す。読出し後、プロセスはステップS102に進む。
【0046】
ステップS102では、制御部22は、ステップS101において読出した状況情報に基づいて優先要因を認定する。認定後、プロセスはステップS103に進む。
【0047】
ステップS103では、制御部22は、ステップS102において認定した全優先要因に基づいて第1総評価値及び第2総評価値を算出する。算出後、プロセスはステップS104に進む。
【0048】
ステップS104では、制御部22は、ステップS102において算出した第1総評価値及び第2総評価値に基づいて、ステップS100において選択した移動体14の優先度を算出する。算出後、プロセスはステップS105に進む。
【0049】
ステップS105では、制御部22は、遠隔操作タスクの割当てを待機中の全移動体14の優先度を算出済みであるか否かを判別する。全移動体14の優先度を算出していない場合、プロセスはステップS100に戻る。全移動体14の優先度を算出している場合、プロセスはステップS106に進む。
【0050】
ステップS106では、制御部22は、優先度を算出した全移動体14の優先度の高い順番に応じて、遠隔操作タスクの割当て順番を決定する。決定後、順番決定処理は終了する。
【0051】
以上のような構成の本実施形態の情報処理装置10は、複数の移動体14が遠隔操作タスクの割当てを待機している場合、複数の移動体14毎の状況情報に基づいて、割当て順番を決める。複数の自動運転可能な移動体14の自律運転が不可能となる場合、周囲の交通状況、停止原因、及び移動体14内部の乗員の状況によって、遠隔操作を行う緊急性には違いがあることが一般的である。このような事象に対して、上記構成を有する情報処理装置10は、遠隔操作を行う緊急性を状況情報から判別して遠隔操作タスクの割当て順番を決定し得るので、遠隔支援における、交通の円滑性、並びに移動体14の周囲及び内部の人の安全性を向上させ得る。
【0052】
また、本実施形態の情報処理装置10では、状況情報に対して、固定された第1の評価値、及び経過時間に応じて変化する第2の評価値の少なくとも一方を有し且つ優先度を算出するための優先要因が予め定められており、制御部22は、操作命令を要求する移動体14から取得する状況情報に基づいて優先要因を認定し、当該優先要因の第1の評価値及び第2の評価値に基づいて優先度を算出する。遠隔操作タスクの割当てを待機中の移動体14における遠隔操作の緊急性は、自律運転停止後からの経過時間に応じて変化し得る。このような事象に対して、上述の構成を有する情報処理装置10は、緊急性の経時変化に対応して、遠隔操作タスクの割当て順番を決定し得る。したがって、情報処理装置10は、遠隔支援における、交通の円滑性、並びに移動体14の周囲及び内部の人の安全性を更に向上させ得る。
【0053】
また、本実施形態の情報処理装置10は、複数の移動体14における同一の時点における優先度を算出し、当該優先度に基づいて割当て順番を決定する。前述のように、遠隔操作を行う緊急性は経過時間により変化し得る。それゆえ、複数の移動体14間で異なる時点で算出した優先度は、真の緊急性からずれが生じ得る。このような事象に対して、上述の構成を有する情報処理装置10は、真の緊急性からのずれを低減するので、遠隔支援における、交通の円滑性、並びに移動体14の周囲及び内部の人の安全性を一層向上させ得る。
【0054】
また、本実施形態の情報処理装置10は、状況情報に含まれる周囲情報を、操作命令を要求する移動体14の周囲の観察装置、及び当該移動体14の周囲の他の移動体14から取得する。このような構成により、情報処理装置10は、操作命令を要求する移動体14の周囲状況を、多方向から取得した周囲情報に基づいて把握し得る。したがって、情報処理装置10は、当該移動体14のみから周囲情報を取得する構成に比べてより正確に周囲状況を把握し得るので、遠隔支援における、交通の円滑性、並びに移動体14の周囲及び内部の人の安全性をより一層向上させ得る。
【0055】
一実施形態において、(1)情報処理装置は、
操作命令を要求する移動体から、該移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
前記移動体を、前記移動体を遠隔操作可能な遠隔操作ユニットに、前記移動体の遠隔操作タスクを割当て可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の前記移動体が前記遠隔操作タスクの割当てを待機している場合、該複数の移動体毎の状況情報に基づいて、割当て順番を決める。
【0056】
(2)上記(1)の情報処理装置では、
前記制御部は、前記状況情報に基づいて前記移動体の優先度を算出し、該優先度に基づいて前記割当て順番を決定する。
【0057】
(3)上記(2)の情報処理装置では、
前記状況情報に対して、固定された第1の評価値、及び経過時間に応じて変化する第2の評価値の少なくとも一方を有し且つ前記優先度を算出するための優先要因が予め定められており、
前記制御部は、前記操作命令を要求する移動体から取得する状況情報に基づいて前記優先要因を認定し、該優先要因の前記第1の評価値及び前記第2の評価値に基づいて前記優先度を算出する。
【0058】
(4)上記(2)又は(3)の情報処理装置では、
前記制御部は、同一の時点における優先度を算出する。
【0059】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかの情報処理装置では、
前記状況情報は、前記移動体の周囲状況を示す周囲情報を含む。
【0060】
(6)上記(5)の情報処理装置では、
前記取得部は、前記周囲情報を、前記操作命令を要求する移動体の周囲の観察装置、及び該移動体の周囲の他の移動体から取得する。
【0061】
(7)上記(1)乃至(6)のいずれかの情報処理装置では、
前記状況情報は、該移動体の乗員状況を示す乗員情報を含む。
【0062】
以上、情報処理装置10の実施形態を説明してきたが、本開示の実施形態としては、装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、又はメモリカード等)としての実施態様をとることも可能である。
【0063】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であってもよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてもよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてもよい。
【0064】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0065】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0066】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。また、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0067】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0068】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の移動体は、第2の移動体と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0069】
10 情報処理装置
11 遠隔支援システム
12 遠隔操作ユニット
13 ネットワーク
14 移動体
15 センサ部
16 通信部
17 運転制御システム
18 制御部
19 出力部
20 入力部
21 通信部(取得部)
22 制御部
23 記憶部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7