(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181826
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60W 20/20 20160101AFI20231218BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20231218BHJP
B60K 6/52 20071001ALI20231218BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20231218BHJP
B60W 10/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60W20/20
B60K6/48 ZHV
B60K6/52
B60K6/54
B60W10/00 900
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095177
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真司
(72)【発明者】
【氏名】福山 尚尋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幹大
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】江口 裕滋
(72)【発明者】
【氏名】東 靖之
【テーマコード(参考)】
3D202
【Fターム(参考)】
3D202AA00
3D202AA08
3D202BB53
3D202CC21
3D202CC22
3D202CC24
3D202DD05
3D202FF01
3D202FF04
(57)【要約】
【課題】 田植え機などのような作業車両が、知られている。しかしながら、従来の田植え機などのような作業車両については、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用は必ずしも実現されていない。
【解決手段】 エンジン210と、バッテリー500と、発電機410と、作業機240と、を備えている田植え機であって、発電機410は、エンジン210により発生された駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電し、作業機240は、エンジン210によらず、バッテリー500により駆動されることを特徴とする田植え機である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(210)と、バッテリー(500)と、発電機(410)と、作業機(240)と、を備えている作業車両であって、
前記発電機(410)は、前記エンジン(210)により発生された駆動力により発電することにより、前記バッテリー(500)を充電し、
前記作業機(240)は、前記エンジン(210)によらず、前記バッテリー(500)により駆動されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
後輪(222)と、後輪ギアケース(332)と、を備えており、
前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力は、前記後輪ギアケース(332)へ伝達され、
前記後輪(222)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により駆動され、
前記発電機(410)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により発電することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前輪(221)と、後輪(222)と、後輪ギアケース(332)と、を備えており、
前記発電機(410)は、モーターとしても機能するモータージェネレーター(420)であり、
走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、前記後輪(222)は前記モータージェネレーター(420)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モータージェネレーター(420)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第二のレベルより大きい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モータージェネレーター(420)および前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力により駆動され、
停車状態においては、前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力は前記後輪ギアケース(332)へ伝達されるが、前記後輪(222)は前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により駆動されず、前記モータージェネレーター(420)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により発電することにより、前記バッテリー(500)を充電することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
エンジン(210)と、モーター(431)と、前輪(221)と、後輪(222)と、を備えている作業車両であって、
走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、前記後輪(222)は前記モーター(431)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モーター(431)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第二のレベルより大きい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モーター(431)および前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力により駆動されることを特徴とする作業車両。
【請求項5】
エンジン(210)と、バッテリー(500)と、発電機(410)と、後輪(222)と、後輪ギアケース(332)と、を備えている作業車両であって、
停車状態においては、前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力は前記後輪ギアケース(332)へ伝達されるが、前記後輪(222)は前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により駆動されず、前記発電機(410)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により発電することにより、前記バッテリー(500)を充電することを特徴とする作業車両。
【請求項6】
前輪(221)を備えており、
走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動されることを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機などのような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
田植え機などのような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の田植え機などのような作業車両については、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用は必ずしも実現されていない。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用を促進することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、エンジン(210)と、バッテリー(500)と、発電機(410)と、作業機(240)と、を備えている作業車両であって、
前記発電機(410)は、前記エンジン(210)により発生された駆動力により発電することにより、前記バッテリー(500)を充電し、
前記作業機(240)は、前記エンジン(210)によらず、前記バッテリー(500)により駆動されることを特徴とする作業車両である。
【0007】
第2の本発明は、後輪(222)と、後輪ギアケース(332)と、を備えており、
前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力は、前記後輪ギアケース(332)へ伝達され、
前記後輪(222)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により駆動され、
前記発電機(410)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により発電することを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0008】
第3の本発明は、前輪(221)と、後輪(222)と、後輪ギアケース(332)と、を備えており、
前記発電機(410)は、モーターとしても機能するモータージェネレーター(420)であり、
走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、前記後輪(222)は前記モータージェネレーター(420)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モータージェネレーター(420)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第二のレベルより大きい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モータージェネレーター(420)および前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力により駆動され、
停車状態においては、前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力は前記後輪ギアケース(332)へ伝達されるが、前記後輪(222)は前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により駆動されず、前記モータージェネレーター(420)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により発電することにより、前記バッテリー(500)を充電することを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第4の本発明は、エンジン(210)と、モーター(431)と、前輪(221)と、後輪(222)と、を備えている作業車両であって、
走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、前記後輪(222)は前記モーター(431)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モーター(431)により発生された後輪駆動力により駆動され、
走行負荷が前記第二のレベルより大きい走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動され、前記後輪(222)は前記モーター(431)および前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力により駆動されることを特徴とする作業車両である。
【0010】
第5の本発明は、エンジン(210)と、バッテリー(500)と、発電機(410)と、後輪(222)と、後輪ギアケース(332)と、を備えている作業車両であって、
停車状態においては、前記エンジン(210)により発生された後輪駆動力は前記後輪ギアケース(332)へ伝達されるが、前記後輪(222)は前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により駆動されず、前記発電機(410)は、前記後輪ギアケース(332)へ前記伝達された後輪駆動力により発電することにより、前記バッテリー(500)を充電することを特徴とする作業車両である。
【0011】
第6の本発明は、前輪(221)を備えており、
走行状態においては、前記前輪(221)は前記エンジン(210)により発生された前輪駆動力により駆動されることを特徴とする第5の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0012】
第1の本発明により、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用を促進することが可能である。
【0013】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、エンジン動力の選択的な利用を促進することが可能である。
【0014】
第3の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用をさらに促進することが可能である。
【0015】
第4の本発明により、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用を促進することが可能である。
【0016】
第5の本発明により、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用を促進することが可能である。
【0017】
第6の本発明により、第5の本発明の効果に加えて、エンジン動力の選択的な利用を促進することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
【
図2】本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構ブロック図(その一)
【
図3】本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構線図(その一)
【
図4】本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構線図(その二)
【
図5】本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構ブロック図(その二)
【
図6】本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構ブロック図(その三)
【
図7】(a)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッドエンジン搭載方法の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッドエンジン搭載方法の説明図(その二)
【
図8】(a)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッドエンジン搭載方法の説明図(その三)、(b)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッドエンジン搭載方法の説明図(その四)
【
図9】本発明における実施の形態の吸入空気ブースト装置の燃費改善の説明図
【
図10】本発明における実施の形態のPTO電動パワートレインの説明図
【
図11】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン仕様の説明図(その一)
【
図12】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン仕様の説明図(その二)
【
図13】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン仕様の説明図(その三)
【
図14】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン仕様の説明図(その四)
【
図15】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン仕様の説明図(その五)
【
図16】本発明における実施の形態のトラクター電動化の燃費改善の説明図
【
図17】(a)本発明における実施の形態のモータージェネレーターの形状およびエンジンへのハイブリッド搭載方法の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態のモータージェネレーターの形状およびエンジンへのハイブリッド搭載方法の説明図(その二)
【
図18】本発明における実施の形態の旋回時のモータージェネレーターのハイブリッドモーター駆動制御の説明図
【
図19】本発明における実施の形態の作業機接地時のモータージェネレーターのハイブリッドモーター駆動制御の説明図
【
図20】(a)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッド制御の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッド制御の説明図(その二)
【
図21】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン構成の説明図(その一)
【
図22】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン構成の説明図(その二)
【
図23】本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン構成の説明図(その三)
【
図24】本発明における実施の形態の電動パワートレインのバッテリー管理の説明図(その一)
【
図25】本発明における実施の形態の電動パワートレインのバッテリー管理の説明図(その二)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0021】
(1)はじめに、
図1を参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0022】
ここに、
図1は、本発明における実施の形態の田植え機の左側面図である。
【0023】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、制御機構600などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0024】
本実施の形態の田植え機は、操舵装置230における手動操縦操作または自動操縦操作に基づいた制御機構600の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で車体100を走行させながら、ローター261およびフロート262を有する整地装置260により圃場の整地を行って苗植付け具241aを有する苗植付け装置240aにより圃場への苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場への施肥を行うための田植え機である。
【0025】
走行装置220ならびに施肥装置250、整地装置260および苗植付け装置昇降機構270は、HSTである主変速装置310および副変速装置320を有する変速機構を介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0026】
本実施の形態の田植え機は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0027】
図2および3を主として参照しながら、いわゆるeアシスト田植え機について具体的に説明する。
【0028】
ここに、
図2は本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構ブロック図(その一)であり、
図3は本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構線図(その一)である。
【0029】
エンジン210により発生された駆動力は、主変速装置310、副変速装置320および、フロントギアケースとも呼ばれる、前輪ギアケース331を経由して左右の前輪221へ伝達される。
【0030】
エンジン210により発生された駆動力は、主変速装置310、副変速装置320、前輪ギアケース331および左の後輪ギアケース332を経由して左の後輪222および左の発電機410へ伝達され、主変速装置310、副変速装置320、前輪ギアケース331および右の後輪ギアケース332を経由して右の後輪222および右の発電機410へ伝達される。
【0031】
作業機電動機432は、バッテリー500を利用して作業機240を駆動するためのモーターとして機能する。
【0032】
発電機410は、エンジン210により発生された駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電する。より具体的には、左右の発電機410は、エンジン210により発生された駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電する。
【0033】
作業機240は、エンジン210によらず、バッテリー500により駆動される。
【0034】
エンジン210により発生された後輪駆動力は、後輪ギアケース332へ伝達される。より具体的には、エンジン210により発生された後輪駆動力は、左右の後輪ギアケース332へ伝達される。
【0035】
後輪222は、後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、左右の後輪222は、それぞれ、左右の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により駆動される。
【0036】
発電機410は、後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電する。より具体的には、左右の発電機410は、それぞれ、左右の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電する。
【0037】
もちろん、本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構線図(その二)である
図4において示されているように、左右の発電機410のみならず、第三の発電機410が、エンジン210により発生された駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電してもよい。
【0038】
なお、本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構ブロック図(その二)である
図5において示されているように、発電機410は、モーターとしても機能するモータージェネレーター420であってもよい。より具体的には、左右の発電機410は、それぞれ、モーターとしても機能する左右のモータージェネレーター420であってもよい。
【0039】
エンジン210により発生された駆動力は、主変速装置310、副変速装置320、前輪ギアケース331および左の後輪ギアケース332を経由して左の後輪222および左のモータージェネレーター420へ伝達され、主変速装置310、副変速装置320、前輪ギアケース331および右の後輪ギアケース332を経由して右の後輪222および右のモータージェネレーター420へ伝達される。
【0040】
左のモータージェネレーター420はバッテリー500を利用して左の後輪222を駆動するためのモーターとして機能し、右のモータージェネレーター420はバッテリー500を利用して右の後輪222を駆動するためのモーターとして機能する。
【0041】
走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、後輪222はモータージェネレーター420により発生された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、左の後輪222は左のモータージェネレーター420により発生された後輪駆動力により駆動され、右の後輪222は右のモータージェネレーター420により発生された後輪駆動力により駆動される。
【0042】
走行負荷が第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、後輪222はモータージェネレーター420により発生された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行負荷が第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、左右の前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、左の後輪222は左のモータージェネレーター420により発生された後輪駆動力により駆動され、右の後輪222は右のモータージェネレーター420により発生された後輪駆動力により駆動される。
【0043】
走行負荷が第二のレベルより大きい走行状態においては、前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、後輪222はモータージェネレーター420およびエンジン210により発生された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行負荷が第二のレベルより大きい走行状態においては、左右の前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、左の後輪222は左のモータージェネレーター420およびエンジン210により発生された後輪駆動力により駆動され、右の後輪222は右のモータージェネレーター420およびエンジン210により発生された後輪駆動力により駆動される。
【0044】
車輪駆動のための負荷が少ないとき、たとえば、路上走行などが行われるとき、苗植付け装置240aの植付け部が駆動されない状態においては、走行は左右の後輪222のモータージェネレーター420のみで行われる構成が考えられる。つまり、後輪駆動がモータージェネレーター420のみで行われるEVモード、走行負荷が増大したとき、前輪駆動も内燃機関であるエンジン210により行われるハイブリッド走行のHVモード、走行負荷がさらに増大して出力が上昇されるとき、エンジン210の動力が左右の後輪222へも伝達される、すなわち、後輪222においてはエンジン出力がモーター出力へ足合わされて駆動が行われるパワーモードが、実装されてもよい。
【0045】
電動化およびカーボンニュートラル化に関しては、田植え機のような農業機械についてもさまざまな要求があり、苗植付け装置240aの植付け部などを電動で駆動させることができるので、エンジン出力を低減することができるのみならず、燃料消費および排ガス排出量を抑制することができるこのような構成は望ましい。
【0046】
停車状態においては、エンジン210により発生された後輪駆動力は後輪ギアケース332へ伝達されるが、後輪222は後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により駆動されず、モータージェネレーター420は、後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電する。より具体的には、停車状態においては、エンジン210により発生された後輪駆動力は左右の後輪ギアケース332へ伝達されるが、左右の後輪222は左右の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により駆動されず、左のモータージェネレーター420は、左の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電し、右のモータージェネレーター420は、右の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電する。
【0047】
バッテリー500を急速に充電することが必要であるとき、停車状態においては、動力がエンジン210により後輪ギアケース332へ伝達されるが、後輪222は駆動されないで、モータージェネレーター420へ動力を直接的に伝達することができる構成が考えられる。つまり、急速充電が停車状態において行われる急速充電モードが、実装されてもよい。
【0048】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0049】
(2a)本発明における実施の形態の田植え機の伝動機構ブロック図(その三)である
図6を主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0050】
左のモーター431はバッテリー500を利用して左の後輪222を駆動するためのモーターとして機能し、右のモーター431はバッテリー500を利用して右の後輪222を駆動するためのモーターとして機能する。
【0051】
走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、後輪222はモーター431により発生された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行負荷が第一のレベルより小さい走行状態においては、左の後輪222は左のモーター431により発生された後輪駆動力により駆動され、右の後輪222は右のモーター431により発生された後輪駆動力により駆動される。
【0052】
走行負荷が第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、後輪222はモーター431により発生された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行負荷が第一のレベルより大きいが第二のレベルより小さい走行状態においては、左右の前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、左の後輪222は左のモーター431により発生された後輪駆動力により駆動され、右の後輪222は右のモーター431により発生された後輪駆動力により駆動される。
【0053】
走行負荷が第二のレベルより大きい走行状態においては、前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、後輪222はモーター431およびエンジン210により発生された後輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行負荷が第二のレベルより大きい走行状態においては、左右の前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動され、左の後輪222は左のモーター431およびエンジン210により発生された後輪駆動力により駆動され、右の後輪222は右のモーター431およびエンジン210により発生された後輪駆動力により駆動される。
【0054】
車輪駆動のための負荷が少ないとき、たとえば、路上走行などが行われるとき、苗植付け装置240aの植付け部が駆動されない状態においては、走行は左右の後輪222のモーター431のみで行われる構成が考えられる。つまり、後輪駆動がモーター431のみで行われるEVモード、走行負荷が増大したとき、前輪駆動も内燃機関であるエンジン210により行われるハイブリッド走行のHVモード、走行負荷がさらに増大して出力が上昇されるとき、エンジン210の動力が左右の後輪222へも伝達される、すなわち、後輪222においてはエンジン出力がモーター出力へ足合わされて駆動が行われるパワーモードが、実装されてもよい。
【0055】
電動化およびカーボンニュートラル化に関しては、田植え機のような農業機械についてもさまざまな要求があり、苗植付け装置240aの植付け部などを電動で駆動させることができるので、エンジン出力を低減することができるのみならず、燃料消費および排ガス排出量を抑制することができるこのような構成は望ましい。
【0056】
(2b)
図2から5を再び主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0057】
停車状態においては、エンジン210により発生された後輪駆動力は後輪ギアケース332へ伝達されるが、後輪222は後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により駆動されず、発電機410は、後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電する。より具体的には、停車状態においては、エンジン210により発生された後輪駆動力は左右の後輪ギアケース332へ伝達されるが、左右の後輪222は左右の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により駆動されず、左の発電機410は、左の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電し、右の発電機410は、右の後輪ギアケース332へ伝達された後輪駆動力により発電することにより、バッテリー500を充電する。
【0058】
電池とも呼ばれるバッテリー500を急速に充電することが必要であるとき、停車状態においては、動力がエンジン210により後輪ギアケース332へ伝達されるが、後輪222は駆動されないで、左右の後輪モーターとしても機能するように構成されたモータージェネレーターである発電機410へ動力を直接的に伝達することができる構成が考えられる。つまり、急速充電が停車状態において行われる急速充電モードが、実装されてもよい。
【0059】
走行状態においては、前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動される。より具体的には、走行状態においては、左右の前輪221はエンジン210により発生された前輪駆動力により駆動される。
【0060】
バッテリー500を急速に充電することが必要であるとき、走行状態においては、前輪221はエンジン210により駆動され、動力がエンジン210により後輪ギアケース332へ伝達されるが、後輪222は駆動されないで、左右の後輪モーターとしても機能するように構成されたモータージェネレーターである発電機410へ動力を直接的に伝達することができる構成が考えられる。つまり、急速充電が前輪駆動で行われる充電優先モードが、実装されてもよい。
【0061】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0062】
(3a)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッドエンジン搭載方法の説明図(その一から四)である
図7(a)および7(b)ならびに8(a)および8(b)を主として参照しながら、モータージェネレーターのハイブリッドエンジン搭載方法について説明する。
【0063】
図7(a)および7(b)において示されているように、農業機械用ハイブリッドエンジンについて、エンジンタイミングギアにPTOギアを連結し、PTOギアをエンジンの両サイドに取付けることができ、PTOギアにより油圧ポンプおよびモータージェネレーターを駆動し、油圧ポンプおよびモータージェネレーターを左右任意の側に取付けることができる構成が考えられる。PTOギアにより油圧ポンプのみを駆動する構成(
図7(a)参照)も考えられるが、モータージェネレーターも取付ける構成(
図7(b)参照)が望ましい。既存の構成を大きく変更することなく、モーターを効率的に搭載することができる。
【0064】
図8(a)および8(b)において示されているように、農業機械用ハイブリッドエンジンについて、エンジンタイミングギアにPTOギアを連結し、PTOギアにより油圧ポンプを駆動し、PTOギアの前後反対側よりモータージェネレーターを駆動する構成が考えられる。一つのPTOギアの前後より油圧ポンプのみを駆動する構成(
図8(a)参照)も考えられるが、モータージェネレーターも取付ける構成(
図8(b)参照)が望ましい。既存の構成を大きく変更することなく、モーターを搭載することができる。
【0065】
(3b)本発明における実施の形態の吸入空気ブースト装置の燃費改善の説明図である
図9を主として参照しながら、吸入空気ブースト装置の燃費改善について説明する。
【0066】
コンバイン搭載用後処理装置付きターボなし電子制御エンジンについて、エアクリーナー後の配管内にモーター付きタービンを設け、ジェネレーターからモーターへ電力供給し、エンジン回転数によりタービン回転数が比例的に増加するように制御し、タービンのブースト効果で吸入空気流量を増やして燃費を改善する構成が考えられる。コンバインでは刈取り作業時などで高回転域での作業があるため、吸気タービンを設置することにより、ブースト効果が発生してより燃費が良くなる効果がある。
【0067】
芝刈り機搭載用後処理装置付きターボなし電子制御エンジンについて、エアクリーナー後の配管内にモーター付きタービンを設け、ジェネレーターからモーターへ電力供給し、エンジン回転数によりタービン回転数が比例的に増加するように制御し、タービンのブースト効果で吸入空気流量を増やして燃費を改善する構成が考えられる。芝刈り機では芝刈りなどで高回転域での作業があるため、吸気タービンを設置することにより、ブースト効果が発生してより燃費が良くなる効果がある。
【0068】
(3c)本発明における実施の形態のPTO電動パワートレインの説明図である
図10を主として参照しながら、PTO電動パワートレインについて説明する。
【0069】
モーター動力のみで駆動する電動トラクターについて、PTO軸にモータージェネレーターを設け、PTO軸端のスプライン形状に合うハンドルを設け、ハンドルを用いてPTO軸を回すことでバッテリーの充電を行うことができる構成が考えられる。農業機械ではエネルギー回生を行える機会が少ないため、圃場でまたは路上でバッテリー上がりが起こって車両が運転不能になる可能性がある。PTO軸を回し、モータージェネレーターによる発電、およびバッテリー充電を行うことでシステムを駆動することができる最低限の電力を確保し、圃場でまたは路上で運転不能になったときの救済を行うことができる。
【0070】
(3d)本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン仕様の説明図(その一から五)である
図11から15を主として参照しながら、ハイブリッドエンジン仕様について説明する。
【0071】
図11および12において示されているように、農機用ハイブリッドエンジンについて、ギアケースの横にモータージェネレーターを設ける構成が考えられる。フライホイールはエンジンから遠い位置に配置されており、フライホイールを回してエンジンを始動するのではなく、モータージェネレーターがモーターとして駆動することで始動が行われる構成(
図11参照)も考えられるが、モータージェネレーター上にコントローラーを設け、ジェネレーターを廃止したスペースにコントローラーを設ける構成(
図12参照)が望ましい。農業機械用ハイブリッドシステムのモータージェネレーターおよびコントローラーの配置仕様を確立することが期待されており、モータージェネレーターをギアケースの横に配置し、コントローラーをモータージェネレーターの上に配置することで、両者を近い距離に配置することができるため、配線抵抗を小さくすることができる。コントローラーは現行エンジンのジェネレータースペースに配置されるので、スペース確保のための新規部品が必要とならず、多くの部品を流用することができる。
【0072】
図13において示されているように、スターターを廃止し、スターターを廃止したスペースにコントローラーを設ける構成が考えられる。モータージェネレーターをギアケースの横に配置し、コントローラーをモータージェネレーターの後ろに配置することで、両者を近い距離に配置することができるため、配線抵抗を小さくすることができる。コントローラーは現行エンジンのスタータースペースに配置されるので、スペース確保のための新規部品が必要とならず、多くの部品を流用することができる。
【0073】
図14において示されているように、ジェネレーターを廃止し、ジェネレーターを廃止したスペースにコントローラーを設け、スターターを廃止し、スターターを廃止したスペースにバッテリーを設ける構成が考えられる。モータージェネレーターをギアケースの横に配置し、コントローラーをモータージェネレーターの上に配置し、バッテリーをモータージェネレーターの後ろに配置することで、両者を近い距離に配置することができるため、配線抵抗を小さくすることができる。コントローラーは現行エンジンのジェネレータースペースに配置され、バッテリーは現行エンジンのスタータースペースに配置されるので、スペース確保のための新規部品が必要とならず、多くの部品を流用することができる。
【0074】
図15において示されているように、スターターを廃止し、スターターを廃止したスペースにコントローラーを設け、ジェネレーターを廃止し、ジェネレーターを廃止したスペースにバッテリーを設ける構成が考えられる。モータージェネレーターをギアケースの横に配置し、バッテリーをモータージェネレーターの上に配置し、コントローラーをモータージェネレーターの後ろに配置することで、両者を近い距離に配置することができるため、配線抵抗を小さくすることができる。バッテリーは現行エンジンのジェネレータースペースに配置され、コントローラーは現行エンジンのスタータースペースに配置されるので、スペース確保のための新規部品が必要とならず、多くの部品を流用することができる。
【0075】
(3e)本発明における実施の形態のトラクター電動化の燃費改善の説明図である
図16を主として参照しながら、トラクター電動化の燃費改善について説明する。
【0076】
トラクター電動化について、発電専用エンジンを設け、遊星歯車の太陽歯車をモーターで回転し、遊星歯車をモーターで回転し、内歯車の外周でギアを駆動し出力する構成が考えられる。このような構成により、出力軸の回転を制御し、エンジンを一定速度の発電専用にしてエンジン回転速度が一定速度になるように制御を行うことにより、燃費は改善される。自動車については2030年に内燃機関を完全に廃止する目標も考えられているが、平均負荷率が7割を越える作業が多い、トラクターの完全電動化は、バッテリー容量、それに伴うコスト、および充電時間を考慮すると、必ずしも現実的でないものの、部分電動化などで効率化を推進して二酸化炭素排出量を減らすことにより燃費を改善する取組みは必須であると考えられる。
【0077】
トラクター電動化について、さらにバッテリーとPCUとの組合わせにより発電負荷を調整する構成が考えられる。このような構成により、出力軸の回転を制御し、エンジン負荷率を均等化するのみならず、油圧クラッチを減らして伝達系の効率を改善し、HSTを利用しないで無段変速を実現することにより、燃費は改善される。
【0078】
(3f)本発明における実施の形態のモータージェネレーターの形状およびエンジンへのハイブリッド搭載方法の説明図(その一および二)である
図17(a)および17(b)を主として参照しながら、モータージェネレーターの形状およびエンジンへのハイブリッド搭載方法について説明する。
【0079】
前後に回転軸が突出しているモータージェネレーターについて、前軸側がベルトへ連結されて後軸側がフライホイールへ連結されているエンジンの構成(
図17(a)参照)が考えられる。スターターモーターとジェネレーターをそれぞれ搭載し、エンジン始動時にはスターターでフライホイールを駆動し、エンジン運転中はジェネレーターでベルトを駆動する構成(
図17(b)参照)も考えられるが、2つの部品を搭載するのは効率が悪いことがある。レイアウトを大きく変更することなく、モータージェネレーターを効率よくコンパクトにエンジンへ搭載することができる。
【0080】
(3g)本発明における実施の形態の旋回時のモータージェネレーターのハイブリッドモーター駆動制御の説明図である
図18を主として参照しながら、旋回時のモータージェネレーターのハイブリッドモーター駆動制御について説明する。
【0081】
モータージェネレーターを搭載する農業機械用エンジンについて、ステアリングの動きを検知し、旋回角に応じてモーター駆動トルクおよび発電量を調整する制御を行う構成が考えられる。モータージェネレーターを搭載する農業機械用エンジンの制御において、旋回時には大きなエンジン動力が利用されるので、エンジン回転数が低下することがあるが、エンジン回転数の低下を抑制して旋回挙動を安定させることができる。
【0082】
(3h)本発明における実施の形態の作業機接地時のモータージェネレーターのハイブリッドモーター駆動制御の説明図である
図19を主として参照しながら、作業機接地時のモータージェネレーターのハイブリッドモーター駆動制御について説明する。
【0083】
モータージェネレーターを搭載する農業機械用エンジンについて、作業機接地動作を検知し、モーター駆動トルクおよび発電量を調整する制御を行う構成が考えられる。モータージェネレーターを搭載する農業機械用エンジンの制御において、作業機接地時には大きなエンジン動力が利用されるので、エンジン回転数が低下することがあるが、エンジン回転数の低下を抑制して旋回挙動を安定させることができる。
【0084】
(3i)本発明における実施の形態のモータージェネレーターのハイブリッド制御の説明図(その一および二)である
図20(a)および20(b)を主として参照しながら、モータージェネレーターのハイブリッド制御について説明する。
【0085】
モータージェネレーターを搭載する農業機械用エンジンについて、モーター駆動する連続駆動時間および最大トルクをバッテリー残量に応じて増加させるまたは減少させる制御を行う構成(
図20(a)参照)が考えられる。バッテリー残量に応じて制御しない場合においてはモーターが突然に動かなくなることがあるが、バッテリー残量に応じてモーターによるアシストが徐々に減少することで作業の違和感がほとんどない応用的な構成(
図20(b)参照)も考えられる。
【0086】
(3j)本発明における実施の形態のハイブリッドエンジン構成の説明図(その一から三)である
図21から23を主として参照しながら、ハイブリッドエンジン構成について説明する。
【0087】
図21において示されているように、農機用ハイブリッドエンジンについて、ファンプーリとモータージェネレータープーリとの間にオートテンショナーを設け、エンジン回転数および燃料噴射量からエンジン負荷率を算出し、クランク出力とモーターアシスト出力との間の差が一定値以上になるようにモーター駆動電流を制御する構成が考えられる。回生時とモーターアシスト時とを比べると、ベルトの緩み側と張り側との間の関係は逆転するので、通常の構成においては2個のオートテンショナーが必要になるが、クランク出力とモーターアシスト出力との間の差が一定範囲以内に収まるようにモーター駆動電流を制御することにより、一定のベルト張力がクランクとモータージェネレーターとの間に発生するので、2個のオートテンショナーは不要になる。
【0088】
図22において示されているように、農機用ハイブリッドエンジンについて、フライホイールにベルト溝を設け、リヤプレートにテンショナーを設け、モータージェネレーターをリヤプレートへ組付けてベルトを介してフライホイールと連結する構成が考えられる。農機用ハイブリッドエンジンのモータージェネレーター搭載方法を確立することが期待されており、モータージェネレーターをリヤプレートに設けることで、現行エンジンのスターターをモータージェネレーターと置換えたレイアウトを採用することができるので、大きなレイアウト変更なしにハイブリッド化を行うことができる。
【0089】
図23において示されているように、農機用ハイブリッドエンジンについて、冷間時にはモータージェネレーターの制御において回生運転を優先する構成が考えられる。冷間時にモーターアシストを積極的に行うと、エンジン暖機完了が遅くなり、エンジン出力制限解除も遅くなることがあり、また、キャビン内のヒーターの効きも遅くなることがあるが、冷間時にはモータージェネレーターでの回生運転を優先することでエンジンに負荷を与え、早期の暖機完了を図ることができる。
【0090】
(3k)本発明における実施の形態の電動パワートレインのバッテリー管理の説明図(その一および二)である
図24および25を主として参照しながら、電動パワートレインのバッテリー管理について説明する。
【0091】
図24において示されているように、モーターを動力とする電動農機について、自宅または倉庫から圃場までの移動に消費した電力を移動電力とみなし、圃場から自宅または倉庫に帰宅する場合も同様の移動電力を消費すると仮定し、圃場到着後、作業開始前のバッテリー残量から移動電力を引いた量を作業電力とみなすことにより、作業時の消費電力が作業電力に近接すると、オペレーターに帰宅または充電を促す構成が考えられる。農業機械ではエネルギー回生できる機会が少ないため、圃場でのバッテリー消費が多くなると、自宅または倉庫までの移動ができなくなるので、圃場に移動するまでに消費された電力から帰宅に必要な電力分を見積もり、作業開始前に帰宅用の電力として割当てておくことにより、圃場または道路でのバッテリー切れの発生を抑制することができる。
【0092】
図25において示されているように、携帯端末を用いてGPSで現在地の確認のみならず圃場および最終目的地の選択を行い、GPSにより現在地から圃場までのナビゲーションを行って消費電力を算出し、GPSにより圃場の大きさから作業に要する消費電力を算出し、作業後の最終目的地までのナビゲーションを行って消費電力を算出し、合計消費電力がバッテリー残量を超える場合においては、充電不足が発生する可能性をユーザーに警告する構成が考えられる。現在のバッテリー残量で作業を終えることができるかどうかを圃場に出発する前に把握することは困難であるが、圃場までの距離および広さからGPS機能を利用して消費電力を予測し、ユーザーが携帯端末で確認できるようにすることにより、車両が作業途中においてまたは移動途中において停止してしまう可能性を事前に通知することができる。
【0093】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0094】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0095】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0096】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0097】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0098】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0099】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0100】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明における作業車両は、さまざまなニーズに対応した複数の動力源の選択的な利用を促進することができ、田植え機などのような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操舵装置
240 作業機
240a 苗植付け装置
241a 苗植付け具
250 施肥装置
260 整地装置
261 ローター
262 フロート
270 苗植付け装置昇降機構
310 主変速装置
320 副変速装置
331 前輪ギアケース
332 後輪ギアケース
410 発電機
420 モータージェネレーター
431 モーター
432 作業機電動機
500 バッテリー
600 制御機構