(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181827
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、植物栽培システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20231218BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20231218BHJP
G06Q 50/02 20120101ALI20231218BHJP
【FI】
A01G9/24 A
A01G7/00 601Z
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095178
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】小澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】寺田 俊行
【テーマコード(参考)】
2B022
2B029
5L049
【Fターム(参考)】
2B022DA20
2B029MA08
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】所望の栽培方針に基づく植物の栽培を容易とする。
【解決手段】制御プログラムPGは、制御装置6に設けられたプロセッサを、農業用ハウス1において栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、農業用ハウス1の内部の環境を調整するための複数の環境調整装置Eを制御する装置制御部64として機能させる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを、
植物栽培用のハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置を制御する装置制御部、
として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記複数の栽培モードには、
前記植物の品質の高さを優先して前記植物を栽培する第1の栽培モードと、
前記植物の栽培に要するコストの低さを優先して前記植物を栽培する第2の栽培モードと、
が含まれる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記複数の栽培モードには、
前記植物の品質の高さと、前記植物の栽培に要するコストの低さと、の両方が実現されるように前記植物を栽培する第3の栽培モードが含まれる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記装置制御部は、
前記複数の栽培モードの中から2以上の栽培モードが選択された場合に、
前記2以上の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記装置制御部は、
前記複数の環境調整装置のうち、前記ハウスの内部の環境に関する第1の物理量を調整するための第1の環境調整装置を稼働させることによる、前記ハウスの内部の環境に関する第2の物理量への影響の程度が、特定の基準を超える場合に、
前記複数の環境調整装置のうち、前記第2の物理量を調整するための第2の環境調整装置を稼働させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
植物栽培用のハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置を制御する装置制御部、
を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
植物栽培用のハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置と、
前記ハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記複数の環境調整装置を制御する装置制御部を具備する情報処理装置と、
を備える、
ことを特徴とする植物栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、植物栽培システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物を栽培するための植物栽培用のハウスにおいて、ハウスに設けられた窓を開閉することで、ハウスの内部の温度を植物の栽培に適した温度に調整する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、植物を所望の栽培方針に基づいて栽培しようとする場合に、従来の技術のように、ハウスの内部の温度を調整するだけでは、所望の栽培方針に基づく植物の栽培が困難となる場合があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、従来の技術と比較して、所望の栽培方針に基づく植物の栽培を容易とする技術の提供を、解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明に係るプログラムは、プロセッサを、植物栽培用のハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置を制御する装置制御部、として機能させる、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る情報処理装置は、植物栽培用のハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置を制御する装置制御部、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る植物栽培システムは、植物栽培用のハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置と、前記ハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記複数の環境調整装置を制御する装置制御部を具備する情報処理装置と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の技術と比較して、所望の栽培方針に基づく植物の栽培が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る植物栽培システムSysの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】農業用ハウス1の外観の一例を示す説明図である。
【
図3】端末装置9の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】入力画面G1の概要の一例を示す説明図である。
【
図5】農業用ハウス1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】環境調整システム2の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】環境計測システム3の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】サーバ装置5の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】制御装置6の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】記憶装置7の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】サーバ装置5による植物栽培調整処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】サーバ装置5による植物栽培調整処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】栽培対象情報JTのデータ構成の一例を示す図である。
【
図14】植物栽培情報JPのデータ構成の一例を示す図である。
【
図15】内部環境調整装置情報JXのデータ構成の一例を示す図である。
【
図16】モード関連情報JMのデータ構成の一例を示す図である。
【
図17】内部環境情報JNのデータ構成の一例を示す図である。
【
図18】外部環境情報JGのデータ構成の一例を示す図である。
【
図19】環境間調整装置情報JYのデータ構成の一例を示す図である。
【
図20】装置候補情報JK[1]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図21】装置候補情報JK[2]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図22】装置候補情報JK[3]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図23】装置候補情報JK[4]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図24】評価値情報JH[k]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図25】サーバ装置5による装置決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図26】装置候補情報JK[5]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図27】装置候補情報JK[6]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図28】装置候補情報JK[7]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図29】装置候補情報JK[8]のデータ構成の一例を示す図である。
【
図30】評価値情報JH[k]のデータ構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
<A.実施形態>
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
<1.貨幣処理装置の概要>
以下、
図1乃至
図10を参照しつつ、植物栽培システムSysの概要について説明する。
【0014】
図1は、植物栽培システムSysの構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0015】
図1に例示するように、植物栽培システムSysは、農業用ハウス1を備える。農業用ハウス1は、例えば、プラスチックハウスまたはガラスハウス等の植物を栽培するための設備である。
【0016】
図2は、農業用ハウス1の外観の一例を示す説明図である。
【0017】
図2に例示するように、農業用ハウス1は、ビニール、プラスチック、または、ガラス等の光透過性の材料で形成された複数の側壁WL-Sと、プラスチックまたはガラス等の光透過性の材料で形成された屋根WL-Tと、により区画された空間であって、植物を栽培するための空間である、内部空間SPを有する。なお、ビニールとしては、例えば、農業用ポリオレフィン系フィルム(農業用POフィルムとも称する)であってもよいし、または、フッ素樹脂から構成されるフィルムであってもよい。また、農業用ハウス1は、例えば、側壁WL-Sまたは屋根WL-Tに設けられた窓WWDと、側壁WL-Sまたは屋根WL-Tに設けられたカーテンWCTと、を備える。また、詳細は後述するが、農業用ハウス1は、換気装置EY2を含む環境調整システム2と、環境計測システム3と、通信装置4と、を備える。
【0018】
説明を、
図1に戻す。
図1に例示するように、植物栽培システムSysは、サーバ装置5と、端末装置9と、を備える。
【0019】
サーバ装置5(「情報処理装置」の一例)は、ネットワークNW経由で農業用ハウス1と通信可能であり、農業用ハウス1に設けられた各種装置を制御する。サーバ装置5の詳細は後述する。
端末装置9は、ネットワークNW経由でサーバ装置5と通信可能であり、端末装置9から入力された情報をサーバ装置5に供給する。
【0020】
図3は、端末装置9の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0021】
図3に例示するように、端末装置9は、端末装置9の各部を制御するための制御装置91と、各種情報を記憶するための記憶装置92と、各種情報を表示するための表示装置93と、各種情報を入力するための入力装置94と、端末装置9の外部に存在する外部装置と通信するための通信装置95と、を備える。
【0022】
記憶装置92は、例えば、制御装置91の作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、端末装置9の制御プログラム等の各種情報を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリとの、一方または双方を含んで構成される。
【0023】
制御装置91は、例えば、プロセッサを含んで構成される。制御装置91に設けられたプロセッサは、例えば、1または複数のCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。制御装置91に設けられたプロセッサは、記憶装置92に記憶された端末装置9の制御プログラムを実行し、当該制御プログラムに従って動作することで、端末装置9の各部を制御する。なお、制御装置91に設けられたプロセッサは、1または複数のCPUに加え、または、1または複数のCPUのうち一部または全部に替えて、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の、ハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。
【0024】
通信装置95は、例えば、ネットワークNWを介してサーバ装置5と通信するためのハードウェアである。制御装置91は、入力装置94から入力された情報が、ネットワークNWを介してサーバ装置5に送信されるように、通信装置95を制御する。
【0025】
図4は、端末装置9から情報を入力する際に表示装置93に表示される、入力画面G1の一例である。制御装置91は、表示装置93において入力画面G1が表示されるように、表示装置93を制御する。
なお、本実施形態では、端末装置9のユーザが、表示装置93に表示される入力画面G1を参照しつつ、農業用ハウス1の内部空間SPにおいて栽培する植物に関する情報を、入力装置94から投入する場合を想定する。
【0026】
図4に例示するように、入力画面G1は、入力エリアL11と、入力エリアL12と、入力エリアL13と、入力エリアL14と、入力エリアL15と、入力エリアL16と、決定ボタンBTNと、を備える。
【0027】
入力エリアL11には、農業用ハウス1において栽培する植物の種類を選択するための複数のラジオボタンが設けられている。端末装置9のユーザは、入力エリアL11において、所望のラジオボタンを選択することで、農業用ハウス1において栽培する植物の種類を指定する。
なお、本実施形態では、入力エリアL11において、農業用ハウス1において栽培する植物の種類を指定する態様を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、入力エリアL11において、農業用ハウス1で栽培する植物の種類に加えて、当該種類の植物の品種を指定可能であってもよい。一例を挙げると、入力エリアL11において、農業用ハウス1で栽培する植物の種類として「いちご」を選択した場合、更に、入力エリアL11において、「あまおう」(登録商標)や「とちおとめ」(登録商標)等の、当該種類の植物の品種を設定可能であってもよい。
【0028】
入力エリアL12には、例えば、農業用ハウス1において栽培する植物の数量を入力するための入力欄が設けられている。端末装置9のユーザは、入力エリアL12に設けられた入力欄において、所望の数値を入力することで、農業用ハウス1において栽培する植物の数量を指定する。
【0029】
入力エリアL13には、例えば、農業用ハウス1の広さを入力するための入力欄が設けられている。ここで、農業用ハウス1の広さとは、例えば、農業用ハウス1が有する内部空間SPの面積及び容積の一方または両方であってもよい。端末装置9のユーザは、入力エリアL13に設けられた入力欄において、所望の数値を入力することで、農業用ハウス1の広さを指定する。
なお、本実施形態では、植物栽培システムSysに1個の農業用ハウス1が設けられる場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。植物栽培システムSysは複数の農業用ハウス1を備えていてもよい。この場合、例えば、入力エリアL13において、植物栽培システムSysが有する複数の農業用ハウス1の中から、一の農業用ハウス1を指定するための情報を入力可能であってもよい。
【0030】
入力エリアL14には、例えば、農業用ハウス1における植物の栽培に関する複数の栽培モードの中から、一の栽培モードを、主栽培モード(「一の栽培モード」の一例)として選択するための、複数のラジオボタンが設けられる。ここで、栽培モードとは、農業用ハウス1における植物の栽培が、所望の栽培方針に基づく栽培となるように、農業用ハウス1に設けられた各種装置を制御することである。
【0031】
本実施形態では、植物栽培システムSysにおいて採用可能な複数の栽培モードに、品質優先モード、コスト優先モード、及び、バランスモードが含まれている場合を、一例として想定する。端末装置9のユーザは、主栽培モードとして、品質優先モード、コスト優先モード、または、バランスモードを選択することができる。
【0032】
ここで、品質優先モード(「第1の栽培モード」の一例)とは、農業用ハウス1における植物の栽培に要するコストの低さよりも、農業用ハウス1において栽培される植物の品質の高さを優先するという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードである。
また、コスト優先モード(「第2の栽培モード」の一例)とは、農業用ハウス1において栽培される植物の品質の高さよりも、農業用ハウス1における植物の栽培に要するコストの低さを優先するという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードである。
また、バランスモード(「第3の栽培モード」の一例)とは、農業用ハウス1において栽培される植物の品質の高さと、農業用ハウス1における植物の栽培に要するコストの低さとの両立を図るという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードである。
【0033】
入力エリアL15には、例えば、複数の栽培モードの中から、他の栽培モードを、副栽培モード(「他の栽培モード」の一例)として選択するための、複数のラジオボタンが設けられる。端末装置9のユーザは、副栽培モードとして、品質優先モード、コスト優先モード、または、バランスモードのうち、主栽培モードとは異なる栽培モードを選択することができる。また、端末装置9のユーザは、副栽培モードとして何れの栽培モードも選択しないことも可能である。なお、本実施形態では、一例として、端末装置9のユーザが、主栽培モードを選択した後に、副栽培モードの選択が可能となる場合を想定する。
【0034】
本実施形態において、端末装置9のユーザが、副栽培モードとして何れの栽培モードも選択しない場合、複数の栽培モードのうち、主栽培モードとして選択された栽培モードが、農業用ハウス1における植物の栽培における栽培モードとして採用される。
また、本実施形態において、端末装置9のユーザが、副栽培モードを選択した場合、複数の栽培モードのうち、主栽培モードと副栽培モードとを組み合わせた組合せ栽培モードが、農業用ハウス1における植物の栽培における栽培モードとして採用される。ここで、組合せ栽培モード(「2以上の栽培モード」の一例)とは、主栽培モードに係る栽培方針を優先しつつ、副栽培モードに係る栽培方針も考慮に入れた栽培モードである。
【0035】
なお、以下では、主栽培モードとして品質優先モードが選択され、副栽培モードとしてコスト優先モードが選択された場合における組合せ栽培モードを、「品質重視組合せ栽培モード」と称する。
また、以下では、主栽培モードとしてコスト優先モードが選択され、副栽培モードとして品質優先モードが選択された場合における組合せ栽培モードを、「コスト重視組合せ栽培モード」と称する。
また、以下では、主栽培モードとして品質優先モードが選択され、副栽培モードとしてバランスモードが選択された場合、及び、主栽培モードとしてバランスモードが選択され、副栽培モードとして品質優先モードが選択された場合における組合せ栽培モードも、品質重視組合せ栽培モードであると看做すこととする。
また、以下では、主栽培モードとしてコスト優先モードが選択され、副栽培モードとしてバランスモードが選択された場合、及び、主栽培モードとしてバランスモードが選択され、副栽培モードとしてコスト優先モードが選択された場合における組合せ栽培モードも、コスト重視組合せ栽培モードであると看做すこととする。
【0036】
入力エリアL16には、主栽培モード優先度ACYを入力するための入力欄が設けられている。ここで、主栽培モード優先度ACYとは、入力エリアL14において主栽培モードが選択され、且つ、入力エリアL15において副栽培モードが選択された場合において、副栽培モードに対して、主栽培モードをどの程度優先するかを示す指標値である。より具体的には、主栽培モード優先度ACYとは、副栽培モードの優先度を基準とする主栽培モードの優先度の比率である。換言すれば、組合せ栽培モードにおいて、主栽培モードは、副栽培モードよりも、「ACY倍」だけ優先されることになる。なお、本実施形態において、主栽培モード優先度ACYは、「1<ACY」を満たす実数である。
端末装置9のユーザは、入力エリアL16に設けられた入力欄において、所望の数値を入力することで、主栽培モード優先度ACYを指定する。
【0037】
決定ボタンBTNは、入力画面G1において入力された内容を確定するためのボタンである。制御装置91は、端末装置9のユーザが、決定ボタンBTNを選択した場合、入力画面G1において入力された内容が栽培対象情報JTとしてサーバ装置5に送信されるように、通信装置95を制御する。なお、栽培対象情報JTについての詳細は、後述する。
【0038】
図5は、農業用ハウス1の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0039】
図5に例示するように、農業用ハウス1は、上述のとおり、環境調整システム2と、環境計測システム3と、を備える。また、農業用ハウス1は、上述のとおり、ネットワークNWを介してサーバ装置5と通信するためのハードウェアである通信装置4を備える。
【0040】
図6は、環境調整システム2の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0041】
図6に例示するように、環境調整システム2は、内部環境調整システム21と、環境間調整システム22と、を備える。
【0042】
内部環境調整システム21は、外部空間SOの環境を利用せずに、内部空間SPの環境を調整するシステムである。具体的には、本実施形態において、内部環境調整システム21は、暖房装置EX1と、冷房装置EX2と、加湿装置EX3と、除湿装置EX4と、二酸化炭素供給装置EX5と、照明装置EX6と、を備える。
ここで、外部空間SOとは、農業用ハウス1の外部の空間であって、農業用ハウス1から所定距離内に位置する農業用ハウス1の近傍の空間である。なお、以下では、内部空間SPの環境を「内部環境」と称し、外部空間SOの環境を「外部環境」と称する。
【0043】
暖房装置EX1は、内部空間SPに対して、内部空間SPの温度よりも高温の空気を供給することで、内部空間SPの温度を上昇させる装置である。なお、以下では、内部空間SPの空気の温度を「内部温度AN1」と称する。
冷房装置EX2は、内部空間SPに対して、内部温度AN1よりも低温の空気を供給することで、内部温度AN1を低下させる装置である。
【0044】
加湿装置EX3は、内部空間SPにおける空気を加湿することで、内部空間SPの湿度を上昇させる装置である。なお、以下では、内部空間SPの空気の湿度を「内部湿度AN2」と称する。
除湿装置EX4は、内部空間SPにおける空気を除湿することで、内部空間SPの湿度を低下させる装置である。
【0045】
二酸化炭素供給装置EX5は、内部空間SPに対して二酸化炭素を供給することで、内部空間SPの二酸化炭素濃度を上昇させる装置である。なお、以下では、内部空間SPの空気中の二酸化炭素濃度を「内部二酸化炭素濃度AN3」と称する。
【0046】
照明装置EX6は、内部空間SPにおいて栽培される植物に対して光を投射することで、内部空間SPの照度を上昇させる装置である。なお、以下では、内部空間SPの照度を「内部照度AN4」と称する。
【0047】
なお、内部温度AN1、内部湿度AN2、内部二酸化炭素濃度AN3、及び、内部照度AN4の各々は、「内部環境に関する物理量」の一例である。以下では、内部温度AN1、内部湿度AN2、内部二酸化炭素濃度AN3、及び、内部照度AN4を、「個別内部環境値ANw」と総称する場合がある。また、以下では、暖房装置EX1、冷房装置EX2、加湿装置EX3、除湿装置EX4、二酸化炭素供給装置EX5、及び、照明装置EX6を、「内部環境調整装置EX」と総称する場合がある。
【0048】
環境間調整システム22は、外部環境を利用することで内部環境を調整するシステムである。具体的には、環境間調整システム22は、外部環境と内部環境との関係性を変化させることで、内部環境を調整するシステムである。具体的には、本実施形態において、環境間調整システム22は、窓開放装置EY1と、換気装置EY2と、遮光装置EY3と、を備える。
【0049】
窓開放装置EY1は、農業用ハウス1に設けられた窓WWDを開放することで、外部空間SOの空気を内部空間SPに取り入れ、且つ、内部空間SPの空気を外部空間SOに排出するための装置である。窓開放装置EY1が窓WWDを開放することで、内部空間SPの空気の温度を、外部空間SOの空気の温度に近づけることができ、内部空間SPの空気の湿度を、外部空間SOの空気の湿度に近づけることができ、また、内部空間SPの空気中の二酸化炭素濃度を、外部空間SOの空気中の二酸化炭素濃度に近づけることができる。
【0050】
なお、以下では、外部空間SOの空気の温度を「外部温度AG1」と称する。また、以下では、外部空間SOの空気の湿度を「外部湿度AG2」と称する。また、以下では、外部空間SOの空気中の二酸化炭素濃度を「外部二酸化炭素濃度AG3」と称する。
【0051】
換気装置EY2は、外部空間SOの空気を内部空間SPに取り入れ、且つ、内部空間SPの空気を外部空間SOに排出するための装置である。換気装置EY2が稼働することで、内部空間SPの空気の温度を、外部空間SOの空気の温度に近づけることができ、内部空間SPの空気の湿度を、外部空間SOの空気の湿度に近づけることができ、また、内部空間SPの空気中の二酸化炭素濃度を、外部空間SOの空気中の二酸化炭素濃度に近づけることができる。なお、本実施形態では、換気装置EY2による外部空間SOの空気の取入効率は、窓開放装置EY1による外部空間SOの空気の取入効率よりも高い場合を想定する。また、本実施形態では、換気装置EY2による内部空間SPの空気の排出効率は、窓開放装置EY1による内部空間SPの空気の排出効率よりも高い場合を想定する。
【0052】
遮光装置EY3は、農業用ハウス1に設けられたカーテンWCTを閉じることで、外部空間SOの照度が、内部空間SPの照度に与える影響を低減させるための装置である。具体的には、遮光装置EY3は、農業用ハウス1に設けられたカーテンWCTを閉じることで、外部空間SOを介して内部空間SPへと照射される太陽光線を低減し、これにより、内部照度AN4と内部温度AN1とを低下させるための装置である。なお、以下では、外部空間SOの照度を「外部照度AG4」と称する。
【0053】
なお、外部温度AG1、外部湿度AG2、外部二酸化炭素濃度AG3、及び、外部照度AG4の各々は、「外部環境に関する物理量」の一例である。以下では、外部温度AG1、外部湿度AG2、外部二酸化炭素濃度AG3、及び、外部照度AG4を、「個別外部環境値AGw」と総称する場合がある。また、以下では、窓開放装置EY1、換気装置EY2、及び、遮光装置EY3を、「環境間調整装置EY」と総称する場合がある。
【0054】
また、以下では、内部環境調整装置EX及び環境間調整装置EYを、「環境調整装置E」と総称する場合がある。
【0055】
図7は、環境計測システム3の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0056】
図7に例示するように、環境計測システム3は、内部環境計測システム31と、外部環境計測システム32と、を備える。
【0057】
内部環境計測システム31は、内部環境の個別内部環境値ANwを検出するためのシステムである。具体的には、本実施形態において、内部環境計測システム31は、内部環境温度センサSX1と、内部環境湿度センサSX2と、内部環境二酸化炭素濃度センサSX3と、内部環境照度センサSX4と、を備える。
【0058】
内部環境温度センサSX1は、内部温度AN1を検出し、当該検出結果を示す内部環境温度情報JN1を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
内部環境湿度センサSX2は、内部湿度AN2を検出し、当該検出結果を示す内部環境湿度情報JN2を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
内部環境二酸化炭素濃度センサSX3は、内部二酸化炭素濃度AN3を検出し、当該検出結果を示す内部環境二酸化炭素濃度情報JN3を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
内部環境照度センサSX4は、内部照度AN4を検出し、当該検出結果を示す内部環境照度情報JN4を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
【0059】
なお、以下では、内部環境温度情報JN1、内部環境湿度情報JN2、内部環境二酸化炭素濃度情報JN3、及び、内部環境照度情報JN4を、「個別内部環境情報JNw」と総称する場合がある。ここで、個別内部環境情報JNwは、個別内部環境値ANwを示す情報である。また、以下では、内部環境温度センサSX1、内部環境湿度センサSX2、内部環境二酸化炭素濃度センサSX3、及び、内部環境照度センサSX4を、「内部環境センサSXw」と総称する場合がある。ここで、内部環境センサSXw(「センサ」の一例)は、個別内部環境値ANwを検出する。
【0060】
外部環境計測システム32は、外部環境の個別外部環境値AGwを検出するためのシステムである。具体的には、本実施形態において、外部環境計測システム32は、外部環境温度センサSY1と、外部環境湿度センサSY2と、外部環境二酸化炭素濃度センサSY3と、外部環境照度センサSY4と、を備える。
【0061】
外部環境温度センサSY1は、外部温度AG1を検出し、当該検出結果を示す外部環境温度情報JG1を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
外部環境湿度センサSY2は、外部湿度AG2を検出し、当該検出結果を示す外部環境湿度情報JG2を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
外部環境二酸化炭素濃度センサSY3は、外部二酸化炭素濃度AG3を検出し、当該検出結果を示す外部環境二酸化炭素濃度情報JG3を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
外部環境照度センサSY4は、外部照度AG4を検出し、当該検出結果を示す外部環境照度情報JG4を通信装置4を介してサーバ装置5に供給する。
【0062】
なお、以下では、外部環境温度情報JG1、外部環境湿度情報JG2、外部環境二酸化炭素濃度情報JG3、及び、外部環境照度情報JG4を、「個別外部環境情報JGw」と総称する場合がある。ここで、個別外部環境情報JGwは、個別外部環境値AGwを示す情報である。また、以下では、外部環境温度センサSY1、外部環境湿度センサSY2、外部環境二酸化炭素濃度センサSY3、及び、外部環境照度センサSY4を、「外部環境センサSYw」と総称する場合がある。ここで、外部環境センサSYw(「外部センサ」の一例)は、個別外部環境値AGwを検出する。
【0063】
図8は、サーバ装置5の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0064】
図8に例示するように、サーバ装置5は、サーバ装置5の各部を制御するための制御装置6と、各種情報を記憶するための記憶装置7と、サーバ装置5の外部に存在する外部装置と通信するための通信装置8と、を備える。サーバ装置5は、農業用ハウス1の環境調整システム2を制御する処理である、植物栽培調整処理を実行する。
【0065】
記憶装置7は、例えば、制御装置6の作業領域として機能するRAM等の揮発性メモリと、サーバ装置5の制御プログラムPG(後述する
図10参照)等の各種情報を記憶するEEPROM等の不揮発性メモリとの、一方または双方を含んで構成される。
制御装置6は、例えば、プロセッサを含んで構成される。制御装置6に設けられたプロセッサは、例えば、1または複数のCPUを含んで構成される。制御装置6に設けられたプロセッサは、記憶装置7に記憶された制御プログラムPGを実行し、当該制御プログラムPGに従って動作することで、サーバ装置5の各部を制御する。なお、制御装置6に設けられたプロセッサは、1または複数のCPUに加え、または、1または複数のCPUのうち一部または全部に替えて、GPU、DSP、または、FPGA等の、ハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。
通信装置8は、例えば、ネットワークNWを介して農業用ハウス1及び端末装置9と通信するためのハードウェアである。
【0066】
図9は、制御装置6の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0067】
図9に例示するように、制御装置6は、制御プログラムPGを実行し、制御プログラムPGに従って動作することで、栽培関連情報取得部61、装置決定部63、及び、装置制御部64として機能する。
【0068】
栽培関連情報取得部61(「取得部」の一例)は、サーバ装置5から栽培対象情報JTを取得する栽培対象情報取得部611と、記憶装置7から目標値情報JPPを取得する目標値情報取得部612と、記憶装置7からモード関連情報JMを取得するモード関連情報取得部613と、記憶装置7から内部環境調整装置情報JXを取得する内部環境調整装置情報取得部614と、環境計測システム3から内部環境情報JNを取得する内部環境情報取得部615と、環境計測システム3から外部環境情報JGを取得する外部環境情報取得部616と、を有する。なお、栽培対象情報JT、目標値情報JPP、モード関連情報JM、内部環境調整装置情報JX、内部環境情報JN、及び、外部環境情報JGについての詳細は、後述する。
【0069】
装置決定部63は、複数の栽培モードの中から主栽培モードまたは副栽培モードとして選択された1または複数の栽培モードに応じて、環境調整システム2に含まれる複数の内部環境調整装置EX及び複数の環境間調整装置EYの中から、農業用ハウス1における植物の栽培のために稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
装置制御部64は、装置決定部63による決定結果に基づいて、環境調整システム2を制御する。すなわち、装置制御部64は、複数の栽培モードの中から主栽培モードまたは副栽培モードとして選択された1または複数の栽培モードに応じて、環境調整システム2の有する複数の環境調整装置Eを制御する。
【0070】
図10は、記憶装置7の構成の概要の一例を示すブロック図である。
【0071】
図10に例示するように、記憶装置7は、栽培対象情報JTと、植物栽培情報JPと、内部環境調整装置情報JXと、モード関連情報JMと、内部環境情報JNと、外部環境情報JGと、環境間調整装置情報JYと、複数の装置候補情報JK[1]~JK[K]と、複数の評価値情報JH[1]~JH[K]と、決定装置情報JDFと、制御プログラムPGと、を記憶している。ここで、値Kは、「K≧2」を満たす自然数である。以下では、複数の装置候補情報JK[1]~JK[K]のうちk番目の装置候補情報JKを、装置候補情報JK[k]と称し、複数の評価値情報JH[1]~JH[K]のうちk番目の評価値情報JHを、評価値情報JH[k]と称する。ここで、変数kは、「1≦k≦K」を満たす自然数である。
【0072】
<2.サーバ装置5の動作>
以下、
図11乃至
図30を参照しつつ、サーバ装置5が植物栽培調整処理を実行する場合のサーバ装置5の動作について説明する。
【0073】
図11及び
図12は、サーバ装置5が植物栽培調整処理を実行する場合の、サーバ装置5の動作の一例を示すフローチャートである。
【0074】
図11に例示するように、植物栽培調整処理が開始されると、サーバ装置5に設けられた栽培対象情報取得部611は、端末装置9から、栽培対象情報JTを取得し(S101)、取得した栽培対象情報JTを、記憶装置7に格納する。
【0075】
図13は、栽培対象情報JTのデータ構成の一例を示す図である。ここで、栽培対象情報JTとは、端末装置9の表示装置93に表示された入力画面G1より入力された内容を示す情報である。
【0076】
図13に例示するように、栽培対象情報JTは、栽培対象植物情報JT1と、栽培対象植物数量情報JT2と、ハウス広さ情報JT3と、選択モード情報JCと、を含む。
【0077】
栽培対象植物情報JT1とは、入力画面G1の入力エリアL11より入力された植物の種類に対応する植物IDを示す情報である。ここで、植物IDとは、農業用ハウス1において栽培可能な1または複数種類の植物の中から、各種類の植物を識別するための情報である。
栽培対象植物数量情報JT2とは、入力画面G1の入力エリアL12より入力された植物の数量を示す情報である。
ハウス広さ情報JT3とは、入力画面G1の入力エリアL13より入力された農業用ハウス1の広さを示す情報である。
【0078】
選択モード情報JC(「選択情報」の一例)とは、主栽培モード情報JC1と、副栽培モード情報JC2と、主栽培モード優先度情報JCYと、を含む情報である。
【0079】
主栽培モード情報JC1とは、主栽培モードとして選択された栽培モードの栽培モードIDを示す情報である。ここで、栽培モードIDとは、植物栽培システムSysにおいて採用可能な複数の栽培モードのうち、組合せ栽培モードを除く複数の栽培モードの中から、各栽培モードを識別するための情報である。つまり、栽培モードIDとは、品質優先モード、コスト優先モード、及び、バランスモードの中から、各栽培モードを識別するための情報である。
【0080】
副栽培モード情報JC2とは、副栽培モードとして選択された栽培モードの栽培モードIDを示す情報である。なお、副栽培モードとして何れの栽培モードも選択されなかった場合、副栽培モード情報JC2には、栽培モードID以外の値、例えば、Null値が設定される。
主栽培モード優先度情報JCYとは、上述した主栽培モード優先度ACYを示す情報である。
【0081】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた目標値情報取得部612は、記憶装置7に記憶された植物栽培情報JPに含まれる目標値情報JPPを取得する(S103)。
【0082】
図14は、植物栽培情報JPのデータ構成の一例を示す図である。ここで、植物栽培情報JPとは、農業用ハウス1において栽培可能な植物に関する情報である。
【0083】
図14に例示するように、植物栽培情報JPは、農業用ハウス1において栽培可能な1または複数種類の植物と1対1に対応する1または複数のレコードを有する。植物栽培情報JPの各レコードは、植物IDと、植物名称情報と、目標値情報JPPと、を有する。
【0084】
このうち、植物名称情報とは、各レコードに記録された植物IDに対応する植物の名称を示す情報である。
また、目標値情報JPPとは、農業用ハウス1において植物IDに対応する植物を栽培する場合に、目標とすべき個別内部環境値ANwを示す情報である。具体的には、本実施形態において、目標値情報JPPは、温度目標値情報JP1と、湿度目標値情報JP2と、二酸化炭素濃度目標値情報JP3と、照度目標値情報JP4と、を含む情報である。
【0085】
温度目標値情報JP1とは、植物IDに対応する植物を栽培する場合に目標とすべき内部温度AN1である目標温度AP1を示す情報である。
湿度目標値情報JP2とは、植物IDに対応する植物を栽培する場合に目標とすべき内部湿度AN2である目標湿度AP2を示す情報である。
二酸化炭素濃度目標値情報JP3とは、植物IDに対応する植物を栽培する場合に目標とすべき内部二酸化炭素濃度AN3である目標二酸化炭素濃度AP3を示す情報である。
照度目標値情報JP4とは、植物IDに対応する植物を栽培する場合に目標とすべき内部照度AN4である目標照度AP4を示す情報である。
【0086】
なお、以下では、目標温度AP1、目標湿度AP2、目標二酸化炭素濃度AP3、及び、目標照度AP4を、「個別目標値APw」と総称する場合がある。また、以下では、温度目標値情報JP1、湿度目標値情報JP2、二酸化炭素濃度目標値情報JP3、及び、照度目標値情報JP4を、「個別目標値情報JPw」と総称する場合がある。ここで、個別目標値情報JPwは、個別目標値APw(「目標値」の一例)を示す情報である。
【0087】
なお、本実施形態では、個別目標値APwが、農業用ハウス1において栽培される植物の種類に応じた固定値として定められる態様を例示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、個別目標値APwは、農業用ハウス1において栽培される植物の成長段階に応じて変動する値となるように定められてもよい。また、例えば、個別目標値APwは、農業用ハウス1において植物が栽培される季節及び時間帯の一方または両方に応じて変動する値となるように定められてもよい。また、例えば、個別目標値APwは、選択モード情報JCの示す1または複数の栽培モードに応じた値となるように定められてもよい。
【0088】
本実施形態において、目標値情報取得部612は、ステップS103において、記憶装置7に記憶された植物栽培情報JPに含まれる複数の目標値情報JPPのうち、ステップS101で取得された栽培対象情報JTに含まれる栽培対象植物情報JT1の示す植物IDに対応する目標値情報JPPを取得する。
【0089】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた内部環境調整装置情報取得部614は、記憶装置7に記憶された内部環境調整装置情報JXを取得する(S105)。
【0090】
図15は、内部環境調整装置情報JXのデータ構成の一例を示す図である。ここで、内部環境調整装置情報JXとは、内部環境調整装置EXに関する情報である。
【0091】
図15に例示するように、内部環境調整装置情報JXは、農業用ハウス1において存在する複数の内部環境調整装置EXと1対1に対応する複数のレコードを有する。内部環境調整装置情報JXの各レコードは、内部装置IDと、内部装置名称情報と、稼働コスト情報JXCと、内部環境修正能力情報JXXと、を有する。
【0092】
内部装置IDとは、農業用ハウス1に存在する全ての内部環境調整装置EXの中から、各内部環境調整装置EXを識別するための情報である。
内部装置名称情報とは、各内部環境調整装置EXの名称を示す情報である。
【0093】
稼働コスト情報JXCとは、内部環境調整装置EXを稼働させた場合に発生するコストCXを示す情報である。ここで、コストCXとは、例えば、内部環境調整装置EXを稼働させた場合に発生する単位時間あたりの消費電力量であってもよいし、内部環境調整装置EXを稼働させる場合に発生する単位時間あたりの金銭的な負担額であってもよい。
【0094】
本実施形態では、一例として、コストCXが予め定められた固定値である場合を想定する。具体的には、本実施形態では、一例として、暖房装置EX1のコストCX1が「10」であり、冷房装置EX2のコストCX2が「10」であり、加湿装置EX3のコストCX3が「8」であり、除湿装置EX4のコストCX4が「8」であり、二酸化炭素供給装置EX5のコストCX5が「6」であり、照明装置EX6のコストCX6が「6」である場合を想定する。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、コストCXは、栽培対象植物数量情報JT2の示す植物の数量に応じて変動する値であってもよい。また、例えば、コストCXは、ハウス広さ情報JT3の示す農業用ハウス1の広さに応じて変動する値であってもよい。また、例えば、コストCXは、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwに応じて変動する値であってもよい。
【0095】
内部環境修正能力情報JXXとは、内部環境調整装置EXによる個別内部環境値ANwの修正能力を示す情報である。具体的には、本実施形態において、内部環境修正能力情報JXXは、温度上昇能力情報JX1と、温度低下能力情報JX2と、湿度上昇能力情報JX3と、湿度低下能力情報JX4と、二酸化炭素濃度上昇能力情報JX5と、照度上昇能力情報JX6と、を含む。
【0096】
温度上昇能力情報JX1とは、内部環境調整装置EXが内部温度AN1を上昇させる能力である、温度上昇能力AX1を示す情報である。
温度低下能力情報JX2とは、内部環境調整装置EXが内部温度AN1を低下させる能力である、温度低下能力AX2を示す情報である。なお、本実施形態では、一例として、温度低下能力AX2が、温度上昇能力AX1に「-1」を積算した値である場合を想定する。
【0097】
湿度上昇能力情報JX3とは、内部環境調整装置EXが内部湿度AN2を上昇させる能力である、湿度上昇能力AX3を示す情報である。
湿度低下能力情報JX4とは、内部環境調整装置EXが内部湿度AN2を低下させる能力である、湿度低下能力AX4を示す情報である。なお、本実施形態では、一例として、湿度低下能力AX4が、湿度上昇能力AX3に「-1」を積算した値である場合を想定する。
【0098】
二酸化炭素濃度上昇能力情報JX5とは、内部環境調整装置EXが内部二酸化炭素濃度AN3を上昇させる能力である、二酸化炭素濃度上昇能力AX5を示す情報である。
照度上昇能力情報JX6とは、内部環境調整装置EXが内部照度AN4を上昇させる能力である、照度上昇能力AX6を示す情報である。
【0099】
なお、以下では、温度上昇能力情報JX1、温度低下能力情報JX2、湿度上昇能力情報JX3、湿度低下能力情報JX4、二酸化炭素濃度上昇能力情報JX5、及び、照度上昇能力情報JX6を、「物理量修正能力情報JXz」と総称する場合がある。また、以下では、温度上昇能力AX1、温度低下能力AX2、湿度上昇能力AX3、湿度低下能力AX4、二酸化炭素濃度上昇能力AX5、及び、照度上昇能力AX6を、「物理量修正能力AXz」と総称する場合がある。つまり、物理量修正能力情報JXzは、物理量修正能力AXzを示す情報である。
【0100】
また、本実施形態では、内部環境調整装置EXの示す物理量修正能力AXzが正の値の場合、内部環境調整装置EXが物理量修正能力AXzを有し、内部環境調整装置EXの示す物理量修正能力AXzが「0」の場合、内部環境調整装置EXが物理量修正能力AXzを有さず、内部環境調整装置EXの示す物理量修正能力AXzが負の値の場合、内部環境調整装置EXが物理量修正能力AXzとは反対の能力を有する場合を想定する。
【0101】
図15に示すように、本実施形態では、一例として、物理量修正能力AXzが予め定められた固定値である場合を想定する。具体的には、本実施形態では、一例として、暖房装置EX1について、温度上昇能力AX1が「5」、すなわち、温度低下能力AX2が「-5」であり、湿度低下能力AX4が「2」、すなわち、湿度上昇能力AX3が「-2」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、冷房装置EX2について、温度低下能力AX2が「5」、すなわち、温度上昇能力AX1が「-5」であり、湿度上昇能力AX3が「2」、すなわち、湿度低下能力AX4が「-2」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、加湿装置EX3について、湿度上昇能力AX3が「5」、すなわち、湿度低下能力AX4が「-5」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、除湿装置EX4について、湿度低下能力AX4が「5」、すなわち、湿度上昇能力AX3が「-5」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、二酸化炭素供給装置EX5について、二酸化炭素濃度上昇能力AX5が「5」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、照明装置EX6について、照度上昇能力AX6が「5」である場合を想定する。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、物理量修正能力AXzは、栽培対象植物数量情報JT2の示す植物の数量に応じて変動する値であってもよい。また、例えば、物理量修正能力AXzは、ハウス広さ情報JT3の示す農業用ハウス1の広さに応じて変動する値であってもよい。また、例えば、物理量修正能力AXzは、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwに応じて変動する値であってもよい。
【0102】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられたモード関連情報取得部613は、記憶装置7に記憶されたモード関連情報JMを取得する(S107)。
【0103】
図16は、モード関連情報JMのデータ構成の一例を示す図である。ここで、モード関連情報JMとは、各栽培モードに関する情報である。
【0104】
図16に例示するように、モード関連情報JMは、植物栽培システムSysにおいて採用可能な複数の栽培モードのうち、組合せ栽培モードを除く複数の栽培モードと1対1に対応する、複数のレコード(本実施形態では、3個のレコード)を有する。モード関連情報JMの各レコードは、栽培モードIDと、栽培モード名称情報と、基準値情報JRRと、許容値情報JLLと、を含む。
【0105】
栽培モード名称情報とは、栽培モードIDに対応する栽培モードの名称を示す情報である。
【0106】
基準値情報JRRとは、温度基準値情報JR1、湿度基準値情報JR2、二酸化炭素濃度基準値情報JR3、及び、照度基準値情報JR4を含む情報であって、各栽培モードにおける環境基準範囲を規定する情報である。ここで、環境基準範囲とは、各栽培モードにおける植物の栽培において、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwと、個別目標値情報JPwの示す個別目標値APwとが、等しい値であると看做すことが可能な、個別内部環境値ANwの範囲である。
【0107】
具体的には、本実施形態において、内部温度AN1と目標温度AP1との差分値が、基準値情報JRRに含まれる温度基準値情報JR1の示す温度基準値AR1以下である場合に、内部温度AN1が環境基準範囲に含まれることとする。
また、内部湿度AN2と目標湿度AP2との差分値が、基準値情報JRRに含まれる湿度基準値情報JR2の示す湿度基準値AR2以下である場合に、内部湿度AN2が環境基準範囲に含まれることとする。
また、内部二酸化炭素濃度AN3と目標二酸化炭素濃度AP3との差分値が、基準値情報JRRに含まれる二酸化炭素濃度基準値情報JR3の示す二酸化炭素濃度基準値AR3以下である場合に、内部二酸化炭素濃度AN3が環境基準範囲に含まれることとする。
また、内部照度AN4と目標照度AP4との差分値が、基準値情報JRRに含まれる照度基準値情報JR4の示す照度基準値AR4以下である場合に、内部照度AN4が環境基準範囲に含まれることとする。
【0108】
なお、以下では、温度基準値AR1、湿度基準値AR2、二酸化炭素濃度基準値AR3、及び、照度基準値AR4を、「個別基準値ARw」と総称する場合がある。また、以下では、温度基準値情報JR1、湿度基準値情報JR2、二酸化炭素濃度基準値情報JR3、及び、照度基準値情報JR4を、「個別基準値情報JRw」と総称する場合がある。ここで、個別基準値情報JRwは、個別基準値ARw(「第1閾値」の一例)を示す情報である。このように、本実施形態において、個別内部環境値ANwと個別目標値APwとの差分値が、個別基準値情報JRwの示す個別基準値ARw以下である場合に、個別内部環境値ANwが環境基準範囲に含まれることになる。
【0109】
なお、本実施形態では、一例として、個別基準値ARwが栽培モードに応じて予め定められた固定値である場合を想定する。具体的には、本実施形態では、一例として、品質優先モードに係る個別基準値ARwが、バランスモードに係る個別基準値ARwよりも小さく、且つ、バランスモードに係る個別基準値ARwが、コスト優先モードに係る個別基準値ARwよりも小さい場合を想定する。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、個別基準値ARwは、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwに応じて変動する値であってもよい。
【0110】
許容値情報JLLとは、温度許容値情報JL1、湿度許容値情報JL2、二酸化炭素濃度許容値情報JL3、及び、照度許容値情報JL4を含む情報であって、各栽培モードにおける環境許容範囲を規定する情報である。ここで、環境許容範囲とは、各栽培モードにおける植物の栽培において、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwを修正しなくても、植物の生長に支障がないと看做すことが可能な、個別内部環境値ANwの範囲である。
【0111】
具体的には、本実施形態において、内部温度AN1と目標温度AP1との差分値が、許容値情報JLLに含まれる温度許容値情報JL1の示す温度許容値AL1以下である場合に、内部温度AN1が環境許容範囲に含まれることとする。
また、内部湿度AN2と目標湿度AP2との差分値が、許容値情報JLLに含まれる湿度許容値情報JL2の示す湿度許容値AL2以下である場合に、内部湿度AN2が環境許容範囲に含まれることとする。
また、内部二酸化炭素濃度AN3と目標二酸化炭素濃度AP3との差分値が、許容値情報JLLに含まれる二酸化炭素濃度許容値情報JL3の示す二酸化炭素濃度許容値AL3以下である場合に、内部二酸化炭素濃度AN3が環境許容範囲に含まれることとする。
また、本実施形態において、内部照度AN4と目標照度AP4との差分値が、許容値情報JLLに含まれる照度許容値情報JL4の示す照度許容値AL4以下である場合に、内部照度AN4が環境許容範囲に含まれることとする。
【0112】
なお、以下では、温度許容値AL1、湿度許容値AL2、二酸化炭素濃度許容値AL3、及び、照度許容値AL4を、「個別許容値ALw」と総称する場合がある。また、以下では、温度許容値情報JL1、湿度許容値情報JL2、二酸化炭素濃度許容値情報JL3、及び、照度許容値情報JL4を、「個別許容値情報JLw」と総称する場合がある。ここで、個別許容値情報JLwは、個別許容値ALw(「第2閾値」の一例)を示す情報である。このように、本実施形態において、個別内部環境値ANwと個別目標値APwとの差分値が、個別許容値情報JLwの示す個別許容値ALw以下である場合に、個別内部環境値ANwが環境許容範囲に含まれることになる。
【0113】
なお、本実施形態では、一例として、個別許容値ALwが栽培モードに応じて予め定められた固定値である場合を想定する。具体的には、本実施形態では、一例として、品質優先モードに係る個別許容値ALwが、バランスモードに係る個別許容値ALwよりも小さく、且つ、バランスモードに係る個別許容値ALwが、コスト優先モードに係る個別許容値ALwよりも小さい場合を想定する。
但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、個別許容値ALwは、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwに応じて変動する値であってもよい。
【0114】
なお、本実施形態では、
図16に例示するように、一の栽培モードに対応する個別許容値ALwは、一の栽培モードに対応する個別基準値ARwよりも大きい値に設定される。
つまり、一の栽培モードに対応する温度許容値AL1は、一の栽培モードに対応する温度基準値AR1よりも大きい値に設定される。また、本実施形態において、一の栽培モードに対応する湿度許容値AL2は、一の栽培モードに対応する湿度基準値AR2よりも大きい値に設定される。また、本実施形態において、一の栽培モードに対応する二酸化炭素濃度許容値AL3は、一の栽培モードに対応する二酸化炭素濃度基準値AR3よりも大きい値に設定される。また、本実施形態において、一の栽培モードに対応する照度許容値AL4は、一の栽培モードに対応する照度基準値AR4よりも大きい値に設定される。
【0115】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた内部環境情報取得部615は、内部環境計測システム31から、内部環境情報JNを取得し(S109)、取得した内部環境情報JNを記憶装置7に記憶させる。
【0116】
図17は、内部環境情報JNのデータ構成の一例を示す図である。
【0117】
図17に例示するように、内部環境情報JNは、内部環境温度センサSX1により検出された内部温度AN1を示す内部環境温度情報JN1と、内部環境湿度センサSX2により検出された内部湿度AN2を示す内部環境湿度情報JN2と、内部環境二酸化炭素濃度センサSX3により検出された内部二酸化炭素濃度AN3を示す内部環境二酸化炭素濃度情報JN3と、内部環境照度センサSX4により検出された内部照度AN4を示す内部環境照度情報JN4と、を含む。つまり、内部環境情報JNとは、内部環境計測システム31により検出された個別内部環境値ANwを示す情報である。
【0118】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた外部環境情報取得部616は、外部環境計測システム32から、外部環境情報JGを取得し(S111)、取得した外部環境情報JGを記憶装置7に記憶させる。
【0119】
図18は、外部環境情報JGのデータ構成の一例を示す図である。
【0120】
図18に例示するように、外部環境情報JG(「外部情報」の一例)は、外部環境温度センサSY1により検出された外部温度AG1を示す外部環境温度情報JG1と、外部環境湿度センサSY2により検出された外部湿度AG2を示す外部環境湿度情報JG2と、外部環境二酸化炭素濃度センサSY3により検出された外部二酸化炭素濃度AG3を示す外部環境二酸化炭素濃度情報JG3と、外部環境照度センサSY4により検出された外部照度AG4を示す外部環境照度情報JG4と、を含む。つまり、外部環境情報JGとは、外部環境計測システム32により検出された個別外部環境値AGwを示す情報である。
【0121】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、ステップS103において取得した目標値情報JPPと、ステップS107において取得した許容値情報JLLと、ステップS109において取得した内部環境情報JNと、に基づいて、複数の個別内部環境値ANwのうち環境許容範囲を超えた個別内部環境値ANwである、許容外環境値ANLを特定する(S113)。
【0122】
なお、本実施形態では、個別内部環境値ANwが許容外環境値ANLとして特定された場合、当該個別内部環境値ANwは、環境調整装置Eにより個別目標値APwに近づく修正を施すべき対象の物理量である、修正対象環境値ANSとしても特定される。
【0123】
図11に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、ステップS103において取得した目標値情報JPPと、ステップS107において取得した基準値情報JRRと、ステップS109において取得した内部環境情報JNと、に基づいて、複数の個別内部環境値ANwのうち環境基準範囲を超えた個別内部環境値ANwである、基準外環境値ANRを特定する(S115)。
【0124】
なお、本実施形態では、個別内部環境値ANwが基準外環境値ANRとして特定された場合、当該個別内部環境値ANwは、環境調整装置Eにより個別目標値APwに近づく修正を施すべき対象の物理量である、修正対象環境値ANSとしても特定される。
【0125】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、ステップS109において取得した内部環境情報JNと、ステップS111において取得した外部環境情報JGと、に基づいて、環境間調整装置情報JYを生成する(S121)。
【0126】
図19は、環境間調整装置情報JYのデータ構成の一例を示す図である。ここで、環境間調整装置情報JYとは、環境間調整装置EYに関する情報である。
【0127】
図19に例示するように、環境間調整装置情報JYは、農業用ハウス1において存在する複数の環境間調整装置EYと1対1に対応する複数のレコードを有する。環境間調整装置情報JYの各レコードは、外部装置IDと、外部装置名称情報と、稼働コスト情報JYCと、環境間修正能力情報JYYと、を有する。
【0128】
外部装置IDとは、農業用ハウス1に存在する全ての環境間調整装置EYの中から、各環境間調整装置EYを識別するための情報である。
外部装置名称情報とは、各環境間調整装置EYの名称を示す情報である。
【0129】
稼働コスト情報JYCとは、環境間調整装置EYを稼働させた場合に発生するコストCYを示す情報である。ここで、コストCYとは、例えば、環境間調整装置EYを稼働させた場合に発生する単位時間あたりの消費電力量であってもよいし、環境間調整装置EYを稼働させる場合に発生する単位時間あたりの金銭的な負担額であってもよい。
【0130】
本実施形態では、一例として、コストCYが予め定められた固定値である場合を想定する。具体的には、本実施形態では、
図19に示すように、窓開放装置EY1のコストCY1が「1」であり、換気装置EY2のコストCY2が「5」であり、遮光装置EY3のコストCY3が「1」である場合を想定する。
【0131】
環境間修正能力情報JYYとは、環境間調整装置EYによる個別内部環境値ANwの修正能力を示す情報である。具体的には、本実施形態において、環境間修正能力情報JYYは、温度上昇能力情報JY1と、温度低下能力情報JY2と、湿度上昇能力情報JY3と、湿度低下能力情報JY4と、二酸化炭素濃度上昇能力情報JY5と、照度上昇能力情報JY6と、を含む。
【0132】
温度上昇能力情報JY1とは、環境間調整装置EYが内部温度AN1を上昇させる能力である温度上昇能力AY1を示す情報である。
【0133】
本実施形態において、装置決定部63は、内部環境情報JNの示す内部温度AN1と、外部環境情報JGの示す外部温度AG1と、に基づいて、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度上昇能力AY1を設定する。
具体的には、装置決定部63は、外部温度AG1から内部温度AN1を減算した減算値が、正の値である場合において、当該減算値が大きくなるにつれて温度上昇能力AY1も正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度上昇能力AY1を設定する。また、装置決定部63は、外部温度AG1から内部温度AN1を減算した減算値が、正の値である場合において、換気装置EY2に対応する温度上昇能力AY1が、窓開放装置EY1に対応する温度上昇能力AY1よりも正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度上昇能力AY1を設定する。また、装置決定部63は、外部温度AG1から内部温度AN1を減算した減算値が、負の値である場合において、当該減算値が小さくなるにつれて温度上昇能力AY1も負の小さい値となるように(つまり、当該減算値の絶対値が大きくなるにつれて温度上昇能力AY1の絶対値も大きい値となるように)、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度上昇能力AY1を設定する。
【0134】
また、本実施形態において、装置決定部63は、外部環境情報JGの示す外部照度AG4に基づいて、遮光装置EY3に対応する温度上昇能力AY1を設定する。
具体的には、装置決定部63は、外部照度AG4が大きくなるにつれて温度上昇能力AY1が負の小さい値となるように、遮光装置EY3に対応する温度上昇能力AY1を設定する。
【0135】
温度低下能力情報JY2とは、環境間調整装置EYが内部温度AN1を低下させる能力である温度低下能力AY2を示す情報である。
【0136】
本実施形態において、装置決定部63は、内部環境情報JNの示す内部温度AN1と、外部環境情報JGの示す外部温度AG1と、に基づいて、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度低下能力AY2を設定する。
具体的には、装置決定部63は、内部温度AN1から外部温度AG1を減算した減算値が、正の値である場合において、当該減算値が大きくなるにつれて温度低下能力AY2も正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度低下能力AY2を設定する。また、装置決定部63は、内部温度AN1から外部温度AG1を減算した減算値が、正の値である場合において、換気装置EY2に対応する温度低下能力AY2が、窓開放装置EY1に対応する温度低下能力AY2よりも正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度低下能力AY2を設定する。また、装置決定部63は、内部温度AN1から外部温度AG1を減算した減算値が、負の値である場合において、当該減算値が小さくなるにつれて温度低下能力AY2も負の小さい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度低下能力AY2を設定する。
【0137】
また、本実施形態において、装置決定部63は、外部環境情報JGの示す外部照度AG4に基づいて、遮光装置EY3に対応する温度低下能力AY2を設定する。
具体的には、装置決定部63は、外部照度AG4が大きくなるにつれて温度低下能力AY2が正の大きい値となるように、遮光装置EY3に対応する温度低下能力AY2を設定する。
【0138】
すなわち、本実施形態では、一例として、温度低下能力AY2が、温度上昇能力AY1に「-1」を積算した値である場合を想定する。
【0139】
湿度上昇能力情報JY3とは、環境間調整装置EYが内部湿度AN2を上昇させる能力である湿度上昇能力AY3を示す情報である。
【0140】
本実施形態において、装置決定部63は、内部環境情報JNの示す内部湿度AN2と、外部環境情報JGの示す外部湿度AG2と、に基づいて、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度上昇能力AY3を設定する。
具体的には、装置決定部63は、外部湿度AG2から内部湿度AN2を減算した減算値が、正の値である場合において、当該減算値が大きくなるにつれて湿度上昇能力AY3も正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度上昇能力AY3を設定する。また、装置決定部63は、外部湿度AG2から内部湿度AN2を減算した減算値が、正の値である場合において、換気装置EY2に対応する湿度上昇能力AY3が、窓開放装置EY1に対応する湿度上昇能力AY3よりも正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度上昇能力AY3を設定する。また、装置決定部63は、外部湿度AG2から内部湿度AN2を減算した減算値が、負の値である場合において、当該減算値が小さくなるにつれて湿度上昇能力AY3も負の小さい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する温度低下能力AY2を設定する。
【0141】
湿度低下能力情報JY4とは、環境間調整装置EYが内部湿度AN2を低下させる能力である湿度低下能力AY4を示す情報である。
【0142】
本実施形態において、装置決定部63は、内部環境情報JNの示す内部湿度AN2と、外部環境情報JGの示す外部湿度AG2と、に基づいて、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度低下能力AY4を設定する。
具体的には、装置決定部63は、内部湿度AN2から外部湿度AG2を減算した減算値が、正の値である場合において、当該減算値が大きくなるにつれて湿度低下能力AY4も正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度低下能力AY4を設定する。また、装置決定部63は、内部湿度AN2から外部湿度AG2を減算した減算値が、正の値である場合において、換気装置EY2に対応する湿度低下能力AY4が、窓開放装置EY1に対応する湿度低下能力AY4よりも正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度低下能力AY4を設定する。また、装置決定部63は、内部湿度AN2から外部湿度AG2を減算した減算値が、負の値である場合において、当該減算値が小さくなるにつれて湿度低下能力AY4も負の小さい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する湿度低下能力AY4を設定する。
【0143】
すなわち、本実施形態では、一例として、湿度低下能力AY4が、湿度上昇能力AY3に「-1」を積算した値である場合を想定する。
【0144】
二酸化炭素濃度上昇能力情報JY5とは、環境間調整装置EYが内部二酸化炭素濃度AN3を上昇させる能力である二酸化炭素濃度上昇能力AY5を示す情報である。
【0145】
本実施形態において、装置決定部63は、内部環境情報JNの示す内部二酸化炭素濃度AN3と、外部環境情報JGの示す外部二酸化炭素濃度AG3と、に基づいて、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する二酸化炭素濃度上昇能力AY5を設定する。
具体的には、装置決定部63は、外部二酸化炭素濃度AG3から内部二酸化炭素濃度AN3を減算した減算値が、正の値である場合において、当該減算値が大きくなるにつれて二酸化炭素濃度上昇能力AY5も正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する二酸化炭素濃度上昇能力AY5を設定する。また、装置決定部63は、外部二酸化炭素濃度AG3から内部二酸化炭素濃度AN3を減算した減算値が、正の値である場合において、換気装置EY2に対応する二酸化炭素濃度上昇能力AY5が、窓開放装置EY1に対応する二酸化炭素濃度上昇能力AY5よりも正の大きい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する二酸化炭素濃度上昇能力AY5を設定する。また、装置決定部63は、外部二酸化炭素濃度AG3から内部二酸化炭素濃度AN3を減算した減算値が、負の値である場合において、当該減算値が小さくなるにつれて二酸化炭素濃度上昇能力AY5も負の小さい値となるように、窓開放装置EY1及び換気装置EY2に対応する二酸化炭素濃度上昇能力AY5を設定する。
【0146】
照度上昇能力情報JY6とは、環境間調整装置EYが内部照度AN4を上昇させる能力である照度上昇能力AY6を示す情報である。
【0147】
本実施形態において、装置決定部63は、外部環境情報JGの示す外部照度AG4に基づいて、遮光装置EY3に対応する照度上昇能力AY6を設定する。
具体的には、装置決定部63は、外部照度AG4が大きくなるにつれて照度上昇能力AY6が負の小さい値となるように、遮光装置EY3に対応する照度上昇能力AY6を設定する。
【0148】
なお、以下では、温度上昇能力情報JY1、温度低下能力情報JY2、湿度上昇能力情報JY3、湿度低下能力情報JY4、二酸化炭素濃度上昇能力情報JY5、及び、照度上昇能力情報JY6を、「物理量修正能力情報JYz」と総称する場合がある。また、以下では、温度上昇能力AY1、温度低下能力AY2、湿度上昇能力AY3、湿度低下能力AY4、二酸化炭素濃度上昇能力AY5、及び、照度上昇能力AY6を、「物理量修正能力AYz」と総称する場合がある。つまり、物理量修正能力情報JYzは、物理量修正能力AYzを示す情報である。
【0149】
本実施形態では、環境間調整装置EYの示す物理量修正能力AYzが正の値の場合、環境間調整装置EYが物理量修正能力AYzを有し、環境間調整装置EYの示す物理量修正能力AYzが「0」の場合、環境間調整装置EYが物理量修正能力AYzを有さず、環境間調整装置EYの示す物理量修正能力AYzが負の値の場合、環境間調整装置EYが物理量修正能力AYzとは反対の能力を有する場合を想定する。
【0150】
図19に示すように、本実施形態では、一例として、窓開放装置EY1について、温度上昇能力AY1が「3」、すなわち、温度低下能力AY2が「-3」であり、湿度上昇能力AY3が「2」、すなわち、湿度低下能力AY4が「-2」であり、二酸化炭素濃度上昇能力AY5が「0」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、換気装置EY2について、温度上昇能力AY1が「4」、すなわち、温度低下能力AY2が「-4」であり、湿度上昇能力AY3が「3」、すなわち、湿度低下能力AY4が「-3」であり、二酸化炭素濃度上昇能力AY5が「-2」である場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、遮光装置EY3について、温度低下能力AY2が「2」、すなわち、温度上昇能力AY1が「-2」であり、照度上昇能力AY6が「-1」である場合を想定する。
【0151】
なお、以下では、物理量修正能力情報JXz及び物理量修正能力情報JYzを、「物理量修正能力情報JZz」と総称する場合がある。つまり、以下では、温度上昇能力情報JX1及び温度上昇能力情報JY1を、「温度上昇能力情報JZ1」と総称し、温度低下能力情報JX2及び温度低下能力情報JY2を、「温度低下能力情報JZ2」と総称し、湿度上昇能力情報JX3及び湿度上昇能力情報JY3を、「湿度上昇能力情報JZ3」と総称し、湿度低下能力情報JX4及び湿度低下能力情報JY4を、「湿度低下能力情報JZ4」と総称し、二酸化炭素濃度上昇能力情報JX5及び二酸化炭素濃度上昇能力情報JY5を、「二酸化炭素濃度上昇能力情報JZ5」と総称し、照度上昇能力情報JX6及び照度上昇能力情報JY6を、「照度上昇能力情報JZ6」と総称する場合がある。
【0152】
また、以下では、物理量修正能力AXz及び物理量修正能力AYzを、「物理量修正能力AZz」と総称する場合がある。つまり、以下では、温度上昇能力AX1及び温度上昇能力AY1を、「温度上昇能力AZ1」と総称し、温度低下能力AX2及び温度低下能力AY2を、「温度低下能力AZ2」と総称し、湿度上昇能力AX3及び湿度上昇能力AY3を、「湿度上昇能力AZ3」と総称し、湿度低下能力AX4及び湿度低下能力AY4を、「湿度低下能力AZ4」と総称し、二酸化炭素濃度上昇能力AX5及び二酸化炭素濃度上昇能力AY5を、「二酸化炭素濃度上昇能力AZ5」と総称し、照度上昇能力AX6及び照度上昇能力AY6を、「照度上昇能力AZ6」と総称する場合がある。
つまり、物理量修正能力情報JZzは、物理量修正能力AZzを示す情報である。
【0153】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、ステップS105において取得した内部環境調整装置情報JXと、ステップS121において生成した環境間調整装置情報JYと、ステップS113において特定した許容外環境値ANLと、ステップS114において特定した基準外環境値ANRと、に基づいて、複数の装置候補情報JK[1]~JK[K]を生成する(S123)。
【0154】
図20乃至
図23の各々は、装置候補情報JK[k]のデータ構成の一例を示す図である。ここで、装置候補情報JK[k]とは、農業用ハウス1における植物の栽培のために稼働すべき環境調整装置Eの候補に関する情報である。
【0155】
本実施形態において、装置決定部63は、ステップS123において、農業用ハウス1における植物の栽培のために稼働すべき環境調整装置Eの組合せの候補を、K個(2個以上)作成する。以下では、装置候補情報JK[k]の示す、環境調整装置Eの組合せの候補を、「k番目の組合せ候補」と称する場合がある。
【0156】
本実施形態において、
図20乃至
図23は、同一の単位期間(以下、
図20乃至
図23に係る単位期間を、「第1の単位期間」と称する)において取得された内部環境情報JN及び外部環境情報JGを用いて生成された環境間調整装置情報JYに基づく、4個の装置候補情報JK[1]~JK[4]を示している。このうち、
図20は、「1番目の組合せ候補」に関する装置候補情報JK[1]を例示する図であり、
図21は、「2番目の組合せ候補」に関する装置候補情報JK[2]を例示する図であり、
図22は、「3番目の組合せ候補」に関する装置候補情報JK[3]を例示する図であり、
図23は、「4番目の組合せ候補」に関する装置候補情報JK[4]を例示する図である。
【0157】
ここで、単位期間とは、外部環境に係る個別外部環境値AGwの変化量が所定範囲以下となることが想定される時間長を有する期間であってもよいし、内部環境に係る個別内部環境値ANwの変化量が所定範囲以下となることが想定される時間長を有する期間であってもよいし、または、外部環境に係る個別外部環境値AGwの変化量が所定範囲以下となり、且つ、内部環境に係る個別内部環境値ANwの変化量が所定範囲以下となることが想定される時間長を有する期間であってもよい。また、単位期間とは、端末装置9のユーザが設定する時間長を有する期間であってもよいし、または、栽培モードに応じて予め定められる時間長を有する期間であってもよい。
なお、単位期間が栽培モードに応じて定められる場合、品質優先モードにおける単位期間が、バランスモードにおける単位期間よりも短く設定され、且つ、バランスモードにおける単位期間が、コスト優先モードにおける単位期間よりも短く設定されてもよい。
【0158】
図20乃至
図23に例示するように、装置候補情報JK[k]は、農業用ハウス1において存在する複数の環境調整装置Eと1対1に対応する複数のレコードを有する。装置候補情報JK[k]の各レコードは、装置IDと、装置名称情報と、稼働有無情報JKT[k]と、稼働コスト情報JKCと、環境修正能力情報JKK[k]と、を含む。
【0159】
装置IDとは、農業用ハウス1に存在する全ての環境調整装置Eの中から各環境調整装置Eを識別するための情報であり、内部装置ID及び外部装置IDの総称である。
装置名称情報とは、環境調整装置Eの名称を示す情報であり、内部装置名称情報及び外部装置名称情報の総称である。
【0160】
稼働有無情報JKT[k]とは、k番目の組合せ候補において環境調整装置Eを稼働させるか否かを示す情報である。本実施形態では、一例として、稼働有無情報JKT[k]が「1」を示す場合に、k番目の組合せ候補において環境調整装置Eを稼働させることを表し、稼働有無情報JKT[k]が「0」を示す場合に、k番目の組合せ候補において環境調整装置Eを稼働させないことを表すこととする。
【0161】
稼働コスト情報JKCとは、k番目の組合せ候補における環境調整装置Eの稼働状況に応じて生じる、環境調整装置Eの稼働に係るコストCKを示す情報である。ここで、コストCKとは、例えば、環境調整装置Eを稼働させた場合に発生する単位時間あたりの消費電力量であってもよいし、環境調整装置Eを稼働させる場合に発生する単位時間あたりの金銭的な負担額であってもよい。つまり、稼働コスト情報JKCとは、稼働コスト情報JXC及び稼働コスト情報JYCの総称である。
【0162】
なお、以下では、k番目の組合せ候補における、環境調整装置Eに対応するコストCKを、「コストCK[k][E]」と称する場合がある。
本実施形態において、装置決定部63は、k番目の組合せ候補において、環境調整装置Eが稼働しておらず、環境調整装置Eに対応する稼働有無情報JKT[k]が「0」を示す場合には、コストCK[k][E]を「0」に設定する。また、装置決定部63は、k番目の組合せ候補において、環境調整装置Eが稼働しており、環境調整装置Eに対応する稼働有無情報JKT[k]が「1」を示す場合には、コストCK[k][E]を、環境調整装置Eに対応するコストCXまたはコストCYと等しい値に設定する。
【0163】
環境修正能力情報JKK[k]は、温度上昇能力情報JZ1に対応する温度上昇能力情報JK1[k]と、温度低下能力情報JZ2に対応する温度低下能力情報JK2[k]と、湿度上昇能力情報JZ3に対応する湿度上昇能力情報JK3[k]と、湿度低下能力情報JZ4に対応する湿度低下能力情報JK4[k]と、二酸化炭素濃度上昇能力情報JZ5に対応する二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]と、照度上昇能力情報JZ6に対応する照度上昇能力情報JK6[k]とのうち、一部または全部を含む情報である。
【0164】
具体的には、装置決定部63は、温度上昇能力AZ1が特定物理量修正能力AZSとして特定された場合に、温度上昇能力AZ1を示す温度上昇能力情報JZ1に対応する温度上昇能力情報JK1[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含める。
ここで、特定物理量修正能力AZSとは、修正対象環境値ANSとして特定された個別内部環境値ANwを個別目標値APwに近づけるための物理量修正能力AZzである。なお、温度上昇能力情報JK1[k]の示す温度上昇能力AK1[k]は、温度上昇能力情報JZ1の示す温度上昇能力AZ1に対応する。
【0165】
以下では、特定物理量修正能力AZSのうち、許容外環境値ANLとして特定された個別内部環境値ANwを個別目標値APwに近づけるための物理量修正能力AZzを、「許容外物理量修正能力AZL」と称する場合がある。
また、以下では、特定物理量修正能力AZSのうち、基準外環境値ANRとして特定された個別内部環境値ANwを個別目標値APwに近づけるための物理量修正能力AZzを、「基準外物理量修正能力AZR」と称する場合がある。
【0166】
また、装置決定部63は、温度低下能力AZ2が特定物理量修正能力AZSとして特定された場合に、温度低下能力AZ2を示す温度低下能力情報JZ2に対応する温度低下能力情報JK2[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含める。なお、温度低下能力情報JK2[k]の示す温度低下能力AK2[k]は、温度低下能力情報JZ2の示す温度低下能力AZ2に対応する。
【0167】
また、装置決定部63は、湿度上昇能力AZ3が特定物理量修正能力AZSとして特定された場合に、湿度上昇能力AZ3を示す湿度上昇能力情報JZ3に対応する湿度上昇能力情報JK3[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含める。なお、湿度上昇能力情報JK3[k]の示す湿度上昇能力AK3[k]は、湿度上昇能力情報JZ3の示す湿度上昇能力AZ3に対応する。
【0168】
また、装置決定部63は、湿度低下能力AZ4が特定物理量修正能力AZSとして特定された場合に、湿度低下能力AZ4を示す湿度低下能力情報JZ4に対応する湿度低下能力情報JK4[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含める。なお、湿度低下能力情報JK4[k]の示す湿度低下能力AK4[k]は、湿度低下能力情報JZ4の示す湿度低下能力AZ4に対応する。
【0169】
また、装置決定部63は、二酸化炭素濃度上昇能力AZ5が特定物理量修正能力AZSとして特定された場合に、二酸化炭素濃度上昇能力AZ5を示す二酸化炭素濃度上昇能力情報JZ5に対応する二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含める。なお、二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]の示す二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]は、二酸化炭素濃度上昇能力情報JZ5の示す二酸化炭素濃度上昇能力AZ5に対応する。
【0170】
また、装置決定部63は、照度上昇能力AZ6が特定物理量修正能力AZSとして特定された場合に、照度上昇能力AZ6を示す照度上昇能力情報JZ6に対応する照度上昇能力情報JK6[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含める。なお、照度上昇能力情報JK6[k]の示す照度上昇能力AK6[k]は、照度上昇能力情報JZ6の示す照度上昇能力AZ6に対応する。
【0171】
以下では、温度上昇能力情報JK1[k]、温度低下能力情報JK2[k]、湿度上昇能力情報JK3[k]、湿度低下能力情報JK4[k]、二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]、及び、照度上昇能力情報JK6[k]を、「特定物理量修正能力情報JKf[k]」と総称する場合がある。また、以下では、温度上昇能力AK1[k]、温度低下能力AK2[k]、湿度上昇能力AK3[k]、湿度低下能力AK4[k]、二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]、及び、照度上昇能力AK6[k]を、「特定物理量修正能力AKf[k]」と総称する場合がある。つまり、特定物理量修正能力情報JKf[k]は、特定物理量修正能力AKf[k]を示す情報である。また、以下では、環境調整装置Eに対応する特定物理量修正能力AKf[k]を、「特定物理量修正能力AKf[k][E]」と称する場合がある。
【0172】
このように、装置決定部63は、物理量修正能力情報JZzの示す物理量修正能力AZzが特定物理量修正能力AZSとして特定された場合、物理量修正能力情報JZzに対応する特定物理量修正能力情報JKf[k]を、環境修正能力情報JKK[k]に含ませる。
【0173】
本実施形態において、装置決定部63は、k番目の組合せ候補において、環境調整装置Eが稼働しておらず、環境調整装置Eに対応する稼働有無情報JKT[k]が「0」を示す場合には、特定物理量修正能力AKf[k][E]を「0」に設定する。
また、装置決定部63は、k番目の組合せ候補において、環境調整装置Eが稼働しており、環境調整装置Eに対応する稼働有無情報JKT[k]が「1」を示す場合であって、特定物理量修正能力情報JKf[k]が環境修正能力情報JKK[k]に含まれる場合、特定物理量修正能力AKf[k][E]を、物理量修正能力AZzと等しい値に設定する。
【0174】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、目標温度AP1に比べて内部温度AN1が低く、目標温度AP1と内部温度AN1との差分値が、温度許容値AL1よりも大きい場合を想定する。このため、
図20乃至
図23に示す例において、装置決定部63は、環境修正能力情報JKK[k]に、温度上昇能力情報JK1[k]を含ませる。
【0175】
また、
図20乃至
図23に示す例では、目標湿度AP2に比べて内部湿度AN2が低く、目標湿度AP2と内部湿度AN2との差分値が、湿度許容値AL2よりも大きい場合を想定する。このため、
図20乃至
図23に示す例において、装置決定部63は、環境修正能力情報JKK[k]に、湿度上昇能力情報JK3[k]を含ませる。
【0176】
また、
図20乃至
図23に示す例では、目標二酸化炭素濃度AP3に比べて内部二酸化炭素濃度AN3が低く、目標二酸化炭素濃度AP3と内部二酸化炭素濃度AN3との差分値が、二酸化炭素濃度許容値AL3よりも大きい場合を想定する。このため、
図20乃至
図23に示す例において、装置決定部63は、環境修正能力情報JKK[k]に、二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]を含ませる。
【0177】
また、
図20乃至
図23に示す例では、目標照度AP4と内部照度AN4との差分値が、照度基準値AR4以下である場合を想定する。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、内部照度AN4が環境基準範囲に含まれる場合を想定する。このため、
図20乃至
図23に示す例において、装置決定部63は、照度上昇能力情報JK6[k]が環境修正能力情報JKK[k]に含まないように、環境修正能力情報JKK[k]を設定する。
図20乃至
図23に示す例において、装置決定部63は、温度低下能力情報JK2[k]及び湿度低下能力情報JK4[k]が環境修正能力情報JKK[k]に含まないように、環境修正能力情報JKK[k]を設定する。
【0178】
また、以下では、農業用ハウス1に設けられた全ての環境調整装置Eに対する特定物理量修正能力AKf[k][E]の合計値を、修正能力合計値ASf[k]と称する。具体的には、本実施形態において、修正能力合計値ASf[k]は、「ASf[k] = AKf[k][EX1] + AKf[k][EX2] + AKf[k][EX3] + AKf[k][EX4] + AKf[k][EX5] + AKf[k][EX6] + AKf[k][EY1] + AKf[k][EY2] + AKf[k][EY3]」として定められる。
【0179】
本実施形態において、装置決定部63は、環境修正能力情報JKK[k]に含まれる特定物理量修正能力情報JKf[k]の示す特定物理量修正能力AKf[k]が、許容外物理量修正能力AZLに該当する場合、修正能力合計値ASf[k]が「ASf[k]≧αL」を充足するように、k番目の組合せ候補に係る環境調整装置Eを選択する。ここで、閾値αLは、「0<αL」を満たす実数である。本実施形態では、一例として、閾値αLが「3」である場合を想定する。
【0180】
また、本実施形態において、装置決定部63は、環境修正能力情報JKK[k]に含まれる特定物理量修正能力情報JKf[k]の示す特定物理量修正能力AKf[k]が、基準外物理量修正能力AZRに該当するが、許容外物理量修正能力AZLには該当しない場合、修正能力合計値ASf[k]が「ASf[k≧αR]を充足するように、k番目の組合せ候補に係る環境調整装置Eを選択する。閾値αRは、「0≦αR<αL」を満たす実数である。本実施形態では、一例として、閾値αRが「0」である場合を想定する。
【0181】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、上述のとおり、内部温度AN1が目標温度AP1よりも低く、内部温度AN1が許容外環境値ANLとして特定され、内部湿度AN2が目標湿度AP2よりも低く、内部湿度AN2が許容外環境値ANLとして特定され、内部二酸化炭素濃度AN3が目標二酸化炭素濃度AP3よりも低く、内部二酸化炭素濃度AN3が許容外環境値ANLとして特定される場合を想定する。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、温度上昇能力AK1[k]が許容外物理量修正能力AZLに該当し、湿度上昇能力AK3[k]が許容外物理量修正能力AZLに該当し、また、二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]が許容外物理量修正能力AZLに該当する場合を想定する。
このため、
図20乃至
図23に示す例において、装置決定部63は、温度上昇能力情報JK1[k]の示す温度上昇能力AK1[k]の合計値である修正能力合計値AS1[k]が、「AS1[k]≧αL(=3)」を満たし、湿度上昇能力情報JK3[k]の示す湿度上昇能力AK3[k]の合計値である修正能力合計値AS3[k]が、「AS3[k]≧αL(=3)」を満たし、且つ、二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]の示す二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]の合計値である修正能力合計値AS5[k]が、「AS5[k]≧αL(=3)」を満たすように、k番目の組合せ候補において稼働すべき環境調整装置Eを選択する。
【0182】
具体的には、装置決定部63は、
図20に例示するように、「1番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、暖房装置EX1、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[1]は「12」となり、修正能力合計値AS3[1]は「8」となり、また、修正能力合計値AS5[1]は「3」となる。
【0183】
また、装置決定部63は、
図21に例示するように、「2番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[2]は「7」となり、修正能力合計値AS3[2]は「10」となり、また、修正能力合計値AS5[2]は「3」となる。
【0184】
また、装置決定部63は、
図22に例示するように、「3番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、二酸化炭素供給装置EX5、及び、換気装置EY2を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[3]は「4」となり、修正能力合計値AS3[3]は「3」となり、また、修正能力合計値AS5[3]は「3」となる。
【0185】
また、装置決定部63は、
図23に例示するように、「4番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[4]は「7」となり、修正能力合計値AS3[4]は「5」となり、また、修正能力合計値AS5[4]は「3」となる。
【0186】
なお、
図20乃至
図24に示す例において、装置決定部63は、内部温度AN1(「第1の物理量」の一例)に関する温度上昇能力AK1[k]を獲得するために、換気装置EY2(「第1の環境調整装置」の一例)を稼働している。そして、
図20乃至
図24に示す例では、換気装置EY2の稼働に伴う、二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k][EY2]が「-2」を示す。このため、
図20乃至
図24に示す例において、装置決定部63が、仮に、内部二酸化炭素濃度AN3(「第2の物理量」の一例)に関する二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]を獲得するために、二酸化炭素供給装置EX5(「第2の環境調整装置」の一例)を稼働させなかった場合には、修正能力合計値AS5[k]が「-2」となり、修正能力合計値AS5[k]が閾値αLを下回る(「特定の基準を超える場合」の一例)ことになる。そこで、
図20乃至
図24に示す例において、装置決定部63は、換気装置EY2と共に二酸化炭素供給装置EX5を稼働させることで、温度上昇能力AK1[k]に係る修正能力合計値AS1[k]が閾値αL以上になることと、二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]に係る修正能力合計値AS5[k]が閾値αL以上になることの、両立を可能としている。
【0187】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、ステップS123において生成した複数の装置候補情報JK[1]~JK[K]に基づいて、複数の評価値情報JH[1]~JH[K]を生成する(S125)。
【0188】
図24は、評価値情報JH[k]のデータ構成の一例を示す図である。
【0189】
図24に例示するように、評価値情報JH[k]は、品質評価値情報JVH[k]と、コスト評価値情報JVC[k]と、バランス評価値情報JVB[k]と、品質重視組合せ評価値情報JVBH[k]と、コスト重視組合せ評価値VBC[k]を示すコスト重視組合せ評価値情報JVBC[k]と、を含む。
【0190】
品質評価値情報JVH[k]とは、品質評価値VH[k]を示す情報である。品質評価値VH[k]とは、k番目の組合せ候補における全ての修正能力合計値ASf[k]の合計値である。
図20乃至
図23に示す例において、品質評価値VH[k]は、「VH[k] = AS1[k] + AS3[k] + AS5[k]」として規定される。
【0191】
具体的には、
図20に例示する「1番目の組合せ候補」において、品質評価値VH[1]は「23」となる。また、
図21に例示する「2番目の組合せ候補」において、品質評価値VH[2]は「20」となる。また、
図22に例示する「3番目の組合せ候補」において、品質評価値VH[3]は「10」となる。また、
図23に例示する「4番目の組合せ候補」において、品質評価値VH[4]は「15」となる。
【0192】
コスト評価値情報JVC[k]とは、コスト評価値VC[k]を示す情報である。コスト評価値VC[k]とは、k番目の組合せ候補における全てのコストCK[k][E]の合計値である。つまり、コスト評価値VC[k]は、
図20乃至
図23に例示するように、「VC[k] = CK[k][EX1] + CK[k][EX2] + CK[k][EX3] + CK[k][EX4] + CK[k][EX5] + CK[k][EX6] + CK[k][EY1] + CK[k][EY2] + CK[k][EY3]」として定められる。
【0193】
具体的には、
図20に例示する「1番目の組合せ候補」において、コスト評価値VC[1]は「30」となる。また、
図21に例示する「2番目の組合せ候補」において、コスト評価値VC[2]は「20」となる。また、
図22に例示する「3番目の組合せ候補」において、コスト評価値VC[3]は「11」となる。また、
図23に例示する「4番目の組合せ候補」において、コスト評価値VC[4]は「12」となる。
【0194】
バランス評価値情報JVB[k]とは、バランス評価値VB[k]を示す情報である。バランス評価値VB[k]とは、品質評価値VH[k]とコスト評価値VC[k]とに基づいて定められる値である。具体的には、バランス評価値VB[k]は、品質評価値VH[k]が大きくなる場合にバランス評価値VB[k]が大きくなり、且つ、コスト評価値VC[k]が大きくなる場合にバランス評価値VB[k]が小さくなるように定められる。本実施形態は、一例として、バランス評価値VB[k]が、「VB[k] = VH[k] - VC[k]」として定められる場合を想定する。
【0195】
具体的には、
図20に例示する「1番目の組合せ候補」において、バランス評価値VB[1]は「-7」となる。また、
図21に例示する「2番目の組合せ候補」において、バランス評価値VB[2]は「0」となる。また、
図22に例示する「3番目の組合せ候補」において、バランス評価値VB[3]は「-1」となる。また、
図23に例示する「4番目の組合せ候補」において、バランス評価値VB[4]は「3」となる。
なお、バランス評価値VB[k]に対する品質評価値VH[k]の割合は、「バランスモードにおける植物の品質の高さの優先の程度」の一例である。
【0196】
品質重視組合せ評価値情報JVBH[k]とは、品質重視組合せ評価値VBH[k]を示す情報である。品質重視組合せ評価値VBH[k]とは、品質評価値VH[k]とコスト評価値VC[k]と主栽培モード優先度ACYとに基づいて定められる値である。具体的には、品質重視組合せ評価値VBH[k]は、品質評価値VH[k]が大きくなる場合に品質重視組合せ評価値VBH[k]が大きくなり、コスト評価値VC[k]が大きくなる場合に品質重視組合せ評価値VBH[k]が小さくなり、且つ、品質評価値VH[k]がコスト評価値VC[k]よりも主栽培モード優先度ACYに応じて優先されるように定められる。本実施形態は、一例として、品質重視組合せ評価値VBH[k]が、「VBH[k] = ACY*VH[k] - VC[k]」として定められる場合を想定する。
【0197】
具体的には、本実施形態では、主栽培モード優先度ACYが「1.4」である場合を想定する。このため、
図20に例示する「1番目の組合せ候補」において、品質重視組合せ評価値VBH[1]は「2.2」となる。また、
図21に例示する「2番目の組合せ候補」において、品質重視組合せ評価値VBH[2]は「8」となる。また、
図22に例示する「3番目の組合せ候補」において、品質重視組合せ評価値VBH[3]は「3」となる。また、
図23に例示する「4番目の組合せ候補」において、品質重視組合せ評価値VBH[4]は「9」となる。
なお、品質重視組合せ評価値VBH[k]に対する品質評価値VH[k]の割合は、「品質重視組合せ栽培モードにおける植物の品質の高さの優先の程度」の一例である。本実施形態において、バランス評価値VB[k]に対する品質評価値VH[k]の割合と、品質重視組合せ評価値VBH[k]に対する品質評価値VH[k]の割合とは、異なる。
【0198】
コスト重視組合せ評価値情報JVBC[k]とは、コスト重視組合せ評価値VBC[k]を示す情報である。コスト重視組合せ評価値VBC[k]とは、品質評価値VH[k]とコスト評価値VC[k]と主栽培モード優先度ACYとに基づいて定められる値である。具体的には、コスト重視組合せ評価値VBC[k]は、品質評価値VH[k]が大きくなる場合に品質重視組合せ評価値VBH[k]が大きくなり、コスト評価値VC[k]が大きくなる場合に品質重視組合せ評価値VBH[k]が小さくなり、且つ、コスト評価値VC[k]が品質評価値VH[k]よりも主栽培モード優先度ACYに応じて優先されるように定められる。本実施形態は、一例として、コスト重視組合せ評価値VBC[k]が、「VBC[k] = VH[k] - ACY*VC[k]」として定められる場合を想定する。
【0199】
具体的には、
図20に例示する「1番目の組合せ候補」において、コスト重視組合せ評価値VBC[1]は「-19」となる。また、
図21に例示する「2番目の組合せ候補」において、コスト重視組合せ評価値VBC[2]は「-8」となる。また、
図22に例示する「3番目の組合せ候補」において、コスト重視組合せ評価値VBC[3]は「-5.4」となる。また、
図23に例示する「4番目の組合せ候補」において、コスト重視組合せ評価値VBC[4]は「-1.8」となる。
なお、コスト重視組合せ評価値VBC[k]に対する品質評価値VH[k]の割合は、「コスト重視組合せ栽培モードにおける植物の品質の高さの優先の程度」の一例である。本実施形態において、バランス評価値VB[k]に対する品質評価値VH[k]の割合と、コスト重視組合せ評価値VBC[k]に対する品質評価値VH[k]の割合とは、異なる。
【0200】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、装置決定処理を実行する(S127)。ここで、装置決定処理とは、農業用ハウス1において栽培モードに応じた栽培方針に基づく植物の栽培を行うために、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する処理である。
【0201】
図25は、サーバ装置5が装置決定処理を実行する場合の、サーバ装置5の動作の一例を示すフローチャートである。
【0202】
図25に例示するように、装置決定処理が開始されると、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、栽培対象情報JTに含まれる選択モード情報JCに基づいて、農業用ハウス1における栽培モードが、品質優先モードであるか否かを判定する(S201)。
【0203】
具体的には、装置決定部63は、ステップS201において、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1が品質優先モードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2にNull値が設定されているという条件を満たすか否かを判定する。そして、装置決定部63は、当該条件が満たされる場合に、農業用ハウス1における栽培モードが品質優先モードであると判定する。また、装置決定部63は、当該条件が満たされない場合に、農業用ハウス1における栽培モードが品質優先モードではないと判定する。
【0204】
ステップS201における判定の結果が否定の場合、装置決定部63は、処理をステップS205に進める。
【0205】
ステップS201における判定の結果が肯定の場合、装置決定部63は、品質評価値VH[1]~VH[K]に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培において稼働すべき環境調整装置Eを決定する(S203)。
【0206】
具体的には、装置決定部63は、ステップS203において、まず、品質評価値VH[1]~VH[K]のうち、最大となる品質評価値VH[k]を特定する。次に、装置決定部63は、ステップS203において、品質評価値VH[1]~VH[K]のうち最大の品質評価値VH[k]に対応する装置候補情報JK[k]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。より具体的には、装置決定部63は、ステップS203において、品質評価値VH[1]~VH[K]のうち最大の品質評価値VH[k]に対応する装置候補情報JK[k]に含まれる稼働有無情報JKT[k]が「1」となる環境調整装置Eを、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0207】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、上述のとおり、品質評価値VH[1]は「23」となり、品質評価値VH[2]は「20」となり、品質評価値VH[3]は「10」となり、品質評価値VH[4]は「15」となる。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、品質評価値VH[1]~VH[4]のうち品質評価値VH[1]が最大となる。よって、
図20乃至
図23に例示する第1の単位期間において、品質優先モードが選択された場合、装置候補情報JK[1]に含まれる稼働有無情報JKT[1]が「1」となる環境調整装置E、すなわち、暖房装置EX1、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0208】
図25に例示するように、装置決定部63は、栽培対象情報JTに含まれる選択モード情報JCに基づいて、農業用ハウス1における栽培モードが、コスト優先モードであるか否かを判定する(S205)。
【0209】
具体的には、装置決定部63は、ステップS205において、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1がコスト優先モードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2にNull値が設定されているという条件を満たすか否かを判定する。そして、装置決定部63は、当該条件が満たされる場合に、農業用ハウス1における栽培モードがコスト優先モードであると判定する。また、装置決定部63は、当該条件が満たされない場合に、農業用ハウス1における栽培モードがコスト優先モードではないと判定する。
【0210】
ステップS205における判定の結果が否定の場合、装置決定部63は、処理をステップS209に進める。
【0211】
ステップS205における判定の結果が肯定の場合、装置決定部63は、コスト評価値VC[1]~VC[K]に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培において稼働すべき環境調整装置Eを決定する(S207)。
【0212】
具体的には、装置決定部63は、ステップS207において、まず、コスト評価値VC[1]~VC[K]のうち、最小となるコスト評価値VC[k]を特定する。次に、装置決定部63は、ステップS207において、コスト評価値VC[1]~VC[K]のうち最小のコスト評価値VC[k]に対応する装置候補情報JK[k]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。より具体的には、装置決定部63は、ステップS207において、コスト評価値VC[1]~VC[K]のうち最小のコスト評価値VC[k]に対応する装置候補情報JK[k]に含まれる稼働有無情報JKT[k]が「1」となる環境調整装置Eを、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0213】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、上述のとおり、コスト評価値VC[1]は「30」となり、コスト評価値VC[2]は「20」となり、コスト評価値VC[3]は「11」となり、コスト評価値VC[4]は「12」となる。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、コスト評価値VC[1]~VC[4]のうちコスト評価値VC[3]が最小となる。よって、
図20乃至
図23に例示する第1の単位期間において、コスト優先モードが選択された場合、装置候補情報JK[3]に含まれる稼働有無情報JKT[3]が「1」となる環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0214】
図25に例示するように、装置決定部63は、栽培対象情報JTに含まれる選択モード情報JCに基づいて、農業用ハウス1における栽培モードが、バランスモードであるか否かを判定する(S209)。
【0215】
具体的には、装置決定部63は、ステップS209において、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1がバランスモードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2にNull値が設定されているという条件を満たすか否かを判定する。そして、装置決定部63は、当該条件が満たされる場合に、農業用ハウス1における栽培モードがバランスモードであると判定する。また、装置決定部63は、当該条件が満たされない場合に、農業用ハウス1における栽培モードがバランスモードではないと判定する。
【0216】
ステップS209における判定の結果が否定の場合、装置決定部63は、処理をステップS213に進める。
【0217】
ステップS209における判定の結果が肯定の場合、装置決定部63は、バランス評価値VB[1]~VB[K]に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培において稼働すべき環境調整装置Eを決定する(S211)。
【0218】
具体的には、装置決定部63は、ステップS211において、まず、バランス評価値VB[1]~VB[K]のうち、最大となるバランス評価値VB[k]を特定する。次に、装置決定部63は、ステップS211において、バランス評価値VB[1]~VB[K]のうち最大のバランス評価値VB[k]に対応する装置候補情報JK[k]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。より具体的には、装置決定部63は、ステップS211において、バランス評価値VB[1]~VB[K]のうち最大のバランス評価値VB[k]に対応する装置候補情報JK[k]に含まれる稼働有無情報JKT[k]が「1」となる環境調整装置Eを、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0219】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、上述のとおり、バランス評価値VB[1]は「-7」となり、バランス評価値VB[2]は「0」となり、バランス評価値VB[3]は「-1」となり、バランス評価値VB[4]は「3」となる。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、バランス評価値VB[1]~VB[4]のうちバランス評価値VB[4]が最大となる。よって、
図20乃至
図23に例示する第1の単位期間において、バランスモードが選択された場合、装置候補情報JK[4]に含まれる稼働有無情報JKT[4]が「1」となる環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0220】
図25に例示するように、装置決定部63は、栽培対象情報JTに含まれる選択モード情報JCに基づいて、農業用ハウス1における栽培モードが、品質重視組合せ栽培モードであるか否かを判定する(S213)。
【0221】
具体的には、装置決定部63は、ステップS213において、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1が品質優先モードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2がコスト優先モード若しくはバランスモードに対応する栽培モードIDを示すという条件と、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1がバランスモードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2が品質優先モードに対応する栽培モードIDを示すという条件との、2つの条件のうち、何れかの条件を満たすか否かを判定する。そして、装置決定部63は、当該2つの条件のうち何れかの条件が満たされる場合に、農業用ハウス1における栽培モードが品質重視組合せ栽培モードであると判定する。また、装置決定部63は、当該2つの条件の何れの条件も満たされない場合に、農業用ハウス1における栽培モードが品質重視組合せ栽培モードではないと判定する。
【0222】
ステップS213における判定の結果が否定の場合、装置決定部63は、処理をステップS217に進める。
【0223】
ステップS213における判定の結果が肯定の場合、装置決定部63は、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[K]に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培において稼働すべき環境調整装置Eを決定する(S215)。
【0224】
具体的には、装置決定部63は、ステップS215において、まず、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[K]のうち、最大となる品質重視組合せ評価値VBH[k]を特定する。次に、装置決定部63は、ステップS215において、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[K]のうち最大の品質重視組合せ評価値VBH[k]に対応する装置候補情報JK[k]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。より具体的には、装置決定部63は、ステップS215において、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[K]のうち最大の品質重視組合せ評価値VBH[k]に対応する装置候補情報JK[k]に含まれる稼働有無情報JKT[k]が「1」となる環境調整装置Eを、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0225】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、上述のとおり、品質重視組合せ評価値VBH[1]は「2.2」となり、品質重視組合せ評価値VBH[2]は「8」となり、品質重視組合せ評価値VBH[3]は「3」となり、品質重視組合せ評価値VBH[4]は「9」となる。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[4]のうち品質重視組合せ評価値VBH[4]が最大となる。よって、
図20乃至
図23に例示する第1の単位期間において、品質重視組合せ栽培モードが選択された場合、装置候補情報JK[4]に含まれる稼働有無情報JKT[4]が「1」となる環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0226】
図25に例示するように、装置決定部63は、栽培対象情報JTに含まれる選択モード情報JCに基づいて、農業用ハウス1における栽培モードが、コスト重視組合せ栽培モードであるか否かを判定する(S217)。
【0227】
具体的には、装置決定部63は、ステップS213において、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1がコスト優先モードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2が品質優先モード若しくはバランスモードに対応する栽培モードIDを示すという条件と、選択モード情報JCのうち、主栽培モード情報JC1がバランスモードに対応する栽培モードIDを示し、且つ、副栽培モード情報JC2がコスト優先モードに対応する栽培モードIDを示すという条件との、2つの条件のうち、何れかの条件を満たすか否かを判定する。そして、装置決定部63は、当該2つの条件のうち何れかの条件が満たされる場合に、農業用ハウス1における栽培モードがコスト重視組合せ栽培モードであると判定する。また、装置決定部63は、当該2つの条件の何れの条件も満たされない場合に、農業用ハウス1における栽培モードがコスト重視組合せ栽培モードではないと判定する。
【0228】
ステップS217における判定の結果が否定の場合、装置決定部63は、装置決定処理を終了させる。
【0229】
ステップS217における判定の結果が肯定の場合、装置決定部63は、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[K]に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培において稼働すべき環境調整装置Eを決定する(S219)。
【0230】
具体的には、装置決定部63は、ステップS219において、まず、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[K]のうち、最大となるコスト重視組合せ評価値VBC[k]を特定する。次に、装置決定部63は、ステップS219において、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[K]のうち最大のコスト重視組合せ評価値VBC[k]に対応する装置候補情報JK[k]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。より具体的には、装置決定部63は、ステップS219において、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[K]のうち最大のコスト重視組合せ評価値VBC[k]に対応する装置候補情報JK[k]に含まれる稼働有無情報JKT[k]が「1」となる環境調整装置Eを、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0231】
なお、
図20乃至
図23に示す例では、上述のとおり、コスト重視組合せ評価値VBC[1]は「-19」となり、コスト重視組合せ評価値VBC[2]は「-8」となり、コスト重視組合せ評価値VBC[3]は「-5.4」となり、コスト重視組合せ評価値VBC[4]は「-1.8」となる。つまり、
図20乃至
図23に示す例では、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[4]のうちコスト重視組合せ評価値VBC[4]が最大となる。よって、
図20乃至
図23に例示する第1の単位期間において、コスト重視組合せ栽培モードが選択された場合、装置候補情報JK[4]に含まれる稼働有無情報JKT[4]が「1」となる環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0232】
以上のように、装置決定部63は、ステップS127において装置決定処理を行うことにより、農業用ハウス1において栽培モードに応じた栽培方針に基づく植物の栽培を行うために、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
【0233】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置決定部63は、装置決定処理の結果に基づいて、決定装置情報JDFを生成する(S129)。ここで、決定装置情報JDFとは、農業用ハウス1において稼働する1または複数の環境調整装置Eを示す情報である。
【0234】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置制御部64は、決定装置情報JDFに基づいて、農業用ハウス1に設けられた複数の環境調整装置Eを制御する(S131)。具体的には、装置制御部64は、ステップS131において、農業用ハウス1に設けられた複数の環境調整装置Eのうち、複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに基づいて定められる決定装置情報JDFの示す環境調整装置Eを稼働させる。
【0235】
図12に例示するように、植物栽培調整処理において、サーバ装置5に設けられた装置制御部64は、ステップS109において内部環境情報JNを取得したタイミングから単位期間が経過したか否かを判定する(S133)。
【0236】
ステップS133における判定の結果が肯定の場合、装置制御部64は、処理をステップS109に進める。
【0237】
ステップS133における判定の結果が否定の場合、装置制御部64は、植物栽培調整処理を終了させる条件である、終了条件が充足されたか否かを判定する(S135)。
【0238】
ステップS135における判定の結果が否定の場合、装置制御部64は、処理をステップS131に進める。
ステップS135における判定の結果が肯定の場合、装置制御部64は、植物栽培調整処理を終了させる。
【0239】
本実施形態では、第1の単位期間とは異なる単位期間(以下、「第2の単位期間」と称する)において、複数の個別内部環境値ANwのうち一部または全部が、第1の単位期間とは異なる値に変化する場合を想定する。
【0240】
具体的には、本実施形態では、第2の単位期間において、目標湿度AP2に比べて内部湿度AN2が低く、目標湿度AP2と内部湿度AN2との差分値が、湿度基準値AR2よりも大きく、且つ、湿度許容値AL2以下である場合を想定する。また、本実施形態では、第2の単位期間において、目標二酸化炭素濃度AP3に比べて内部二酸化炭素濃度AN3が低く、目標二酸化炭素濃度AP3と内部二酸化炭素濃度AN3との差分値が、二酸化炭素濃度基準値AR3よりも大きく、且つ、二酸化炭素濃度許容値AL3以下である場合を想定する。
すなわち、本実施形態では、第1の単位期間において、内部湿度AN2及び内部二酸化炭素濃度AN3が環境許容範囲に含まれないのに対して、第2の単位期間において、内部湿度AN2及び内部二酸化炭素濃度AN3が環境許容範囲に含まれるものの環境基準範囲に含まれない場合を想定する。
【0241】
なお、本実施形態では、第2の単位期間において、目標温度AP1に比べて内部温度AN1が低く、目標温度AP1と内部温度AN1との差分値が、温度許容値AL1よりも大きい場合を想定する。すなわち、本実施形態では、第2の単位期間における内部温度AN1が、第1の単位期間における内部温度AN1と同様に、環境許容範囲に含まれない場合を想定する。
また、本実施形態では、第2の単位期間における内部照度AN4が、第1の単位期間における内部照度AN4と同様に、環境基準範囲に含まれる場合を想定する。
【0242】
つまり、本実施形態では、第2の単位期間において、内部温度AN1が目標温度AP1よりも低く、内部温度AN1が許容外環境値ANLとして特定され、内部湿度AN2が目標湿度AP2よりも低く、内部湿度AN2が基準外環境値ANRとして特定され、内部二酸化炭素濃度AN3が目標二酸化炭素濃度AP3よりも低く、内部二酸化炭素濃度AN3が基準外環境値ANRとして特定される場合を想定する。つまり、本実施形態では、第2の単位期間において、温度上昇能力AK1[k]が許容外物理量修正能力AZLに該当し、湿度上昇能力AK3[k]が基準外物理量修正能力AZRに該当し、また、二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]が基準外物理量修正能力AZRに該当する場合を想定する。
このため、本実施形態では、装置決定部63は、第2の単位期間において、温度上昇能力情報JK1[k]の示す温度上昇能力AK1[k]の合計値である修正能力合計値AS1[k]が、「AS1[k]≧αL」を満たし、湿度上昇能力情報JK3[k]の示す湿度上昇能力AK3[k]の合計値である修正能力合計値AS3[k]が、「AS3[k]≧αR」を満たし、二酸化炭素濃度上昇能力情報JK5[k]の示す二酸化炭素濃度上昇能力AK5[k]の合計値である修正能力合計値AS5[k]が、「AS5[k]≧αR」を満たすように、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを選択する。
より具体的には、本実施形態において、装置決定部63は、一例として、第2の単位期間において、「AS1[k]≧3」を満たし、「AS3[k]≧0」を満たし、「AS5[k]≧0」を満たすように、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを選択する。
【0243】
本実施形態では、一例として、装置決定部63が、第2の単位期間において、ステップS123に係る処理として、栽培関連情報取得部61が取得した内部環境情報JN及び外部環境情報JGに基づいて、
図20乃至
図23に示す4個の装置候補情報JK[1]~JK[4]に加えて、
図26乃至
図29に示す4個の装置候補情報JK[5]~JK[8]を生成する場合を想定する。
【0244】
具体的には、装置決定部63は、第2の単位期間において、
図26に例示する装置候補情報JK[5]に示すように、「5番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、暖房装置EX1、二酸化炭素供給装置EX5、及び、換気装置EY2を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[5]は「9」となり、修正能力合計値AS3[5]は「1」となり、また、修正能力合計値AS5[5]は「3」となる。
【0245】
また、装置決定部63は、第2の単位期間において、
図27に例示する装置候補情報JK[6]に示すように、「6番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、暖房装置EX1、二酸化炭素供給装置EX5、及び、窓開放装置EY1を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[6]は「8」となり、修正能力合計値AS3[6]は「0」となり、また、修正能力合計値AS5[6]は「5」となる。
【0246】
また、装置決定部63は、第2の単位期間において、
図28に例示する装置候補情報JK[7]に示すように、「7番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、窓開放装置EY1を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[7]は「3」となり、修正能力合計値AS3[7]は「2」となり、また、修正能力合計値AS5[7]は「0」となる。
【0247】
また、装置決定部63は、第2の単位期間において、
図29に例示する装置候補情報JK[8]に示すように、「8番目の組合せ候補」において稼働すべき環境調整装置Eとして、暖房装置EX1、及び、窓開放装置EY1を選択する。この場合、修正能力合計値AS1[8]は「8」となり、修正能力合計値AS3[8]は「0」となり、また、修正能力合計値AS5[8]は「0」となる。
【0248】
本実施形態では、一例として、装置決定部63が、第2の単位期間において、ステップS125に係る処理として、装置決定部63により生成された装置候補情報JK[5]~JK[8]に基づいて、評価値情報JH[5]~JH[8]を生成する場合を想定する。
【0249】
図30は、評価値情報JH[5]~JH[8]の一例を示す図である。
【0250】
図30に例示するように、評価値情報JH[5]~JH[8]は、品質評価値VH[5]~VH[8]と、コスト評価値VC[5]~VC[8]と、バランス評価値VB[5]~VB[8]と、品質重視組合せ評価値VBH[5]~VBH[8]と、コスト重視組合せ評価値VBC[5]~VBC[8]と、を示す。
【0251】
図30に例示するように、
図26乃至
図29に示す例では、品質評価値VH[5]は「13」となり、品質評価値VH[6]は「13」となり、品質評価値VH[7]は「5」となり、品質評価値VH[8]は「8」となる。つまり、
図26乃至
図29に示す例では、品質評価値VH[5]~VH[8]のうち、「13」を示す品質評価値VH[5]及び品質評価値VH[6]が最大となる。なお、品質評価値VH[1]~VH[4]の中では、「23」を示す品質評価値VH[1]が最大となり、品質評価値VH[1]~VH[8]の中では、「23」を示す品質評価値VH[1]が最大となる。
【0252】
上述のとおり、農業用ハウス1における栽培モードが品質優先モードである場合、装置決定部63は、ステップS127の装置決定処理において、第1の単位期間においては、品質評価値VH[1]~VH[4]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定し、第2の単位期間においては、品質評価値VH[1]~VH[8]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
よって、装置決定部63は、農業用ハウス1における栽培モードが品質優先モードである場合、第1の単位期間においては、品質評価値VH[1]に対応する装置候補情報JK[1]により規定される環境調整装置E、すなわち、暖房装置EX1、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定し、第2の単位期間においても、品質評価値VH[1]に対応する装置候補情報JK[1]により規定される環境調整装置E、すなわち、暖房装置EX1、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0253】
図30に例示するように、
図26乃至
図29に示す例では、コスト評価値VC[5]は「21」となり、コスト評価値VC[6]は「17」となり、コスト評価値VC[7]は「1」となり、コスト評価値VC[8]は「11」となる。つまり、
図26乃至
図29に示す例では、コスト評価値VC[5]~VC[8]のうち、「1」を示すコスト評価値VC[7]が最小となる。なお、コスト評価値VC[1]~VC[4]の中では、「11」を示す品質評価値VH[3]が最小となり、コスト評価値VC[1]~VC[8]の中では、「1」を示す品質評価値VH[7]が最小となる。
【0254】
上述のとおり、農業用ハウス1における栽培モードがコスト優先モードである場合、装置決定部63は、ステップS127の装置決定処理において、第1の単位期間においては、コスト評価値VC[1]~VC[4]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定し、第2の単位期間においては、コスト評価値VC[1]~VC[8]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
よって、装置決定部63は、農業用ハウス1における栽培モードがコスト優先モードである場合、第1の単位期間においては、コスト評価値VC[3]に対応する装置候補情報JK[3]により規定される環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定し、第2の単位期間においては、コスト評価値VC[7]に対応する装置候補情報JK[7]により規定される環境調整装置E、すなわち、窓開放装置EY1を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0255】
図30に例示するように、
図26乃至
図29に示す例では、バランス評価値VB[5]は「-8」となり、バランス評価値VB[6]は「-4」となり、バランス評価値VB[7]は「4」となり、バランス評価値VB[8]は「-3」となる。つまり、
図26乃至
図29に示す例では、バランス評価値VB[5]~VB[8]のうち、「4」を示すバランス評価値VB[7]が最大となる。なお、バランス評価値VB[1]~VB[4]の中では、「3」を示すバランス評価値VB[4]が最大となり、バランス評価値VB[1]~VB[8]の中では、「4」を示すバランス評価値VB[7]が最大となる。
【0256】
上述のとおり、農業用ハウス1における栽培モードがバランスモードである場合、装置決定部63は、ステップS127の装置決定処理において、第1の単位期間においては、バランス評価値VB[1]~VB[4]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定し、第2の単位期間においては、バランス評価値VB[1]~VB[8]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
よって、装置決定部63は、農業用ハウス1における栽培モードがバランスモードである場合、第1の単位期間においては、バランス評価値VB[4]に対応する装置候補情報JK[4]により規定される環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定し、第2の単位期間においては、バランス評価値VB[7]に対応する装置候補情報JK[7]により規定される環境調整装置E、すなわち、窓開放装置EY1を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0257】
図30に例示するように、
図26乃至
図29に示す例では、品質重視組合せ評価値VBH[5]は「-2.8」となり、品質重視組合せ評価値VBH[6]は「1.2」となり、品質重視組合せ評価値VBH[7]は「6」となり、品質重視組合せ評価値VBH[8]は「0.2」となる。つまり、
図26乃至
図29に示す例では、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[8]のうち、「6」を示す品質重視組合せ評価値VBH[7]が最大となる。なお、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[4]の中では、「9」を示す品質重視組合せ評価値VBH[4]が最大となり、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[8]の中では、「9」を示す品質重視組合せ評価値VBH[4]が最大となる。
【0258】
上述のとおり、農業用ハウス1における栽培モードが品質重視組合せ栽培モードである場合、装置決定部63は、ステップS127の装置決定処理において、第1の単位期間においては、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[4]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定し、第2の単位期間においては、品質重視組合せ評価値VBH[1]~VBH[8]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
よって、装置決定部63は、農業用ハウス1における栽培モードが品質重視組合せ栽培モードである場合、第1の単位期間においては、品質重視組合せ評価値VBH[4]に対応する装置候補情報JK[4]により規定される環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定し、第2の単位期間においては、品質重視組合せ評価値VBH[4]に対応する装置候補情報JK[4]により規定される環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0259】
図30に例示するように、
図26乃至
図29に示す例では、コスト重視組合せ評価値VBC[5]は「-16.4」となり、コスト重視組合せ評価値VBC[6]は「-10.8」となり、コスト重視組合せ評価値VBC[7]は「3.6」となり、コスト重視組合せ評価値VBC[8]は「-7.4」となる。つまり、
図26乃至
図29に示す例では、コスト重視組合せ評価値VBC[5]~VBC[8]のうち、「3.6」を示すコスト重視組合せ評価値VBC[7]が最大となる。なお、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[4]の中では、「-1.8」を示すコスト重視組合せ評価値VBC[4]が最大となり、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[8]の中では、「3.6」を示すコスト重視組合せ評価値VBC[7]が最大となる。
【0260】
上述のとおり、農業用ハウス1における栽培モードがコスト重視組合せ栽培モードである場合、装置決定部63は、ステップS127の装置決定処理において、第1の単位期間においては、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[4]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定し、第2の単位期間においては、コスト重視組合せ評価値VBC[1]~VBC[8]に基づいて、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを決定する。
よって、装置決定部63は、農業用ハウス1における栽培モードがコスト重視組合せ栽培モードである場合、第1の単位期間においては、コスト重視組合せ評価値VBC[4]に対応する装置候補情報JK[4]により規定される環境調整装置E、すなわち、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定し、第2の単位期間においては、コスト重視組合せ評価値VBC[7]に対応する装置候補情報JK[7]により規定される環境調整装置E、すなわち、窓開放装置EY1を、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして決定する。
【0261】
以上のように、本実施形態において、装置制御部64は、栽培モードが品質優先モードである場合、第1の単位期間においては、装置候補情報JK[1]に対応する、暖房装置EX1、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を稼働させ、第2の単位期間においても、装置候補情報JK[1]に対応する、暖房装置EX1、加湿装置EX3、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を稼働させる。
また、装置制御部64は、栽培モードが品質重視組合せ栽培モードである場合、第1の単位期間においては、装置候補情報JK[4]に対応する、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を稼働させ、第2の単位期間においても、装置候補情報JK[4]に対応する、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を稼働させる。
【0262】
これに対して、装置制御部64は、栽培モードがコスト優先モードである場合、第1の単位期間においては、装置候補情報JK[3]に対応する、二酸化炭素供給装置EX5及び換気装置EY2を稼働させ、第2の単位期間においては、装置候補情報JK[7]に対応する、窓開放装置EY1を稼働させる。つまり、装置制御部64は、栽培モードがコスト優先モードである場合、第1の単位期間から第2の単位期間に移行した場合に生じる、内部湿度AN2及び内部二酸化炭素濃度AN3の変動に伴い、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eを、二酸化炭素供給装置EX5及び換気装置EY2から、窓開放装置EY1へと変更する。
【0263】
また、装置制御部64は、栽培モードがバランスモードである場合、第1の単位期間においては、装置候補情報JK[4]に対応する、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を稼働させ、第2の単位期間においては、装置候補情報JK[7]に対応する、窓開放装置EY1を稼働させる。つまり、装置制御部64は、栽培モードがバランスモードである場合、第1の単位期間から第2の単位期間に移行した場合に生じる、内部湿度AN2及び内部二酸化炭素濃度AN3の変動に伴い、第1の単位期間において稼働していた二酸化炭素供給装置EX5及び換気装置EY2を停止させ、窓開放装置EY1のみの稼働へと切り替える。
【0264】
また、装置制御部64は、栽培モードがコスト重視組合せ栽培モードである場合、第1の単位期間においては、装置候補情報JK[4]に対応する、二酸化炭素供給装置EX5、窓開放装置EY1、及び、換気装置EY2を稼働させ、第2の単位期間においては、装置候補情報JK[7]に対応する、窓開放装置EY1を稼働させる。つまり、装置制御部64は、栽培モードがコスト重視組合せ栽培モードである場合、第1の単位期間から第2の単位期間に移行した場合に生じる、内部湿度AN2及び内部二酸化炭素濃度AN3の変動に伴い、第1の単位期間において稼働していた二酸化炭素供給装置EX5及び換気装置EY2を停止させ、窓開放装置EY1のみの稼働へと切り替える。
【0265】
<3.実施形態の結び>
以上のように、本実施形態において、装置決定部63は、内部環境情報JNの示す個別内部環境値ANwと、外部環境情報JGの示す個別外部環境値AGwとに応じて定まる評価値情報JH[k]に基づいて、農業用ハウス1における内部環境及び外部環境に適した1または複数の環境調整装置Eを、農業用ハウス1における植物の栽培に適用される栽培モードに応じて選択する。そして、装置制御部64は、装置決定部63が決定した1または複数の環境調整装置Eを稼働させる。このため、本実施形態によれば、農業用ハウス1において、栽培モードの示す栽培方針に基づく植物の栽培を、容易に行うことが可能となる。
【0266】
<B.変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0267】
<変形例1>
上述した実施形態では、植物栽培システムSysの農業用ハウス1に設けられた外部環境センサSYwが外部環境情報JGを取得する態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。端末装置9は、例えば、各地域の気候に関する情報を管理する気候サーバから、ネットワークNWを介して、外部環境情報JGに含まれる複数の個別外部環境情報JGwのうちの一部または全部を取得してもよい。ここで、端末装置9が気候サーバから外部環境情報JGとして取得する情報は、例えば、農業用ハウス1が存在する地域の気候に関する情報であってもよい。
【0268】
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例1では、装置決定部63が、評価値情報JH[1]~JH[K]に基づいて、複数の装置候補情報JK[1]~JK[K]の中から、栽培モードに応じた装置候補情報JK[k]を選択することで、装置候補情報JK[k]に応じた環境調整装置Eを、農業用ハウス1において稼働すべき環境調整装置Eとして選択する態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、装置決定部63は、物理量修正能力情報JZzの示す物理量修正能力AZzに基づいて、環境調整装置Eを選択してもよい。
【0269】
具体的には、本変形例において、装置決定部63は、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwと、個別目標値情報JPwの示す個別目標値APwとの差分値が、個別基準値ARw(「第1閾値」の一例)よりも大きく、且つ、当該差分値が個別許容値ALw以下となる場合、つまり、個別内部環境値ANwが環境許容範囲に含まれる場合において、農業用ハウス1において稼働する環境調整装置Eとして、物理量修正能力AZzが基準値AZ0以下となる環境調整装置E(「第1の環境調整装置」の一例)を選択する。
また、本変形例において、装置決定部63は、個別内部環境値ANwと個別目標値APwとの差分値が、個別許容値ALw(「第2閾値」の一例)よりも大きく、個別内部環境値ANwが環境許容範囲に含まれない場合において、農業用ハウス1において稼働する環境調整装置Eとして、物理量修正能力AZzが基準値AZ0よりも大きい環境調整装置E(「第2の環境調整装置」の一例)を選択する。
【0270】
例えば、以下では、内部環境調整装置情報JXが、
図15に例示する物理量修正能力AXzを示し、環境間調整装置情報JYが、
図19に例示する物理量修正能力AYzを示す場合を想定する。つまり、以下では、暖房装置EX1の有する温度上昇能力AX1が「5」であり、窓開放装置EY1の有する温度上昇能力AX1が「3」である場合を想定する。また、以下では、基準値AZ0が「3」である場合を想定する。
【0271】
この場合、装置決定部63は、内部温度AN1と目標温度AP1との差分値が、温度基準値AR1よりも大きく温度許容値AL1以下である場合、つまり、内部温度AN1が環境許容範囲に含まれる場合には、農業用ハウス1において稼働する環境調整装置Eとして、温度上昇能力AZ1が基準値AZ0以下となる窓開放装置EY1を選択する。
また、装置決定部63は、内部温度AN1と目標温度AP1との差分値が、温度許容値AL1よりも大きい場合、つまり、内部温度AN1が環境許容範囲に含まれない場合には、農業用ハウス1において稼働する環境調整装置Eとして、温度上昇能力AZ1が基準値AZ0よりも大きい暖房装置EX1を選択する。
【0272】
以上のように、本変形例において、装置決定部63は、栽培モードに応じて定められる個別基準値ARw及び個別許容値ALwに基づいて、農業用ハウス1において稼働する環境調整装置Eを選択する。このため、本変形例によれば、農業用ハウス1において、栽培モードの示す栽培方針に基づく植物の栽培を、容易に行うことが可能となる。
【0273】
<変形例3>
上述した実施形態並びに変形例1及び2では、装置決定部63が、装置候補情報JK[k]または物理量修正能力情報JZzに基づいて、農業用ハウス1において環境間調整装置EYを稼働すべきか否かを決定する態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、装置決定部63は、個別内部環境情報JNwの示す個別内部環境値ANwと、個別目標値情報JPwの示す個別目標値APwとの差分値が、個別外部環境情報JGwの示す個別外部環境値AGwと、個別目標値情報JPwの示す個別目標値APwとの差分値よりも大きい場合において、農業用ハウス1に設けられた複数の環境間調整装置EYのうち、個別内部環境値ANwを個別目標値APwに近づける物理量修正能力AZzを有する環境間調整装置EYを稼働させることを決定してもよい。
【0274】
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例1乃至3では、装置制御部64が、複数の環境調整装置Eを制御する際の栽培モードとして、品質優先モード、コスト優先モード、及び、バランスモードの、3個の栽培モードと、これら3つの栽培モードのうち2つの栽培モードを組み合わせた、品質重視組合せ栽培モード、及び、コスト重視組合せ栽培モードの、2個の組合せ栽培モードと、が存在する場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、装置制御部64が、複数の環境調整装置Eを制御する際の栽培モードとして、上述した栽培モード以外の栽培モードが含まれていてもよい。
【0275】
本変形例では、装置制御部64が、複数の環境調整装置Eを制御する際の栽培モードとして、品質優先モード、コスト優先モード、及び、バランスモード、に加えて、自然栽培モードと、病害虫予防モードと、これらの5つの栽培モードのうち2以上の栽培モードを組み合わせた組合せ栽培モードと、が存在する場合を想定する。
【0276】
このうち、自然栽培モードとは、農薬及び殺虫剤の使用を控え、自然環境に近い内部環境において植物を栽培するという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードである。
また、病害虫予防モードとは、農薬及び殺虫剤を適切に使用し、農業用ハウス1において栽培される植物において病害虫の発生を極力予防するという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードである。
【0277】
なお、本変形例において、品質優先モードとは、農業用ハウス1における植物の栽培に要するコストの低さ、農業用ハウス1における自然環境に近い内部環境の実現、及び、農業用ハウス1において栽培される植物における病害虫の予防の、一部または全部よりも、農業用ハウス1において栽培される植物の品質の高さを優先するという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードであってもよい。
また、本変形例において、コスト優先モードとは、農業用ハウス1において栽培される植物の品質の高さ、農業用ハウス1における自然環境に近い内部環境の実現、及び、農業用ハウス1において栽培される植物における病害虫の予防の、一部または全部よりも、農業用ハウス1における植物の栽培に要するコストの低さを優先するという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードであってもよい。
また、本変形例において、バランスモードとは、農業用ハウス1において栽培される植物の品質の高さ、農業用ハウス1における植物の栽培に要するコストの低さ、農業用ハウス1における自然環境に近い内部環境の実現、及び、農業用ハウス1において栽培される植物における病害虫の予防のうち、少なくとも2以上を実現させるという栽培方針に基づいて、農業用ハウス1における植物の栽培を行う栽培モードであってもよい。
【0278】
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例1乃至4では、環境調整システム2が、暖房装置EX1、冷房装置EX2、加湿装置EX3、除湿装置EX4、二酸化炭素供給装置EX5、及び、照明装置EX6の、6個の内部環境調整装置EXを含む内部環境調整システム21と、窓開放装置EY1、換気装置EY2、及び、遮光装置EY3の、3個の環境間調整装置EYを含む環境間調整システム22と、を備える場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。環境調整システム2は、上述した6個の内部環境調整装置EXとは異なる内部環境調整装置EXを備えてもよいし、また、上述した3個の環境間調整装置EYとは異なる環境間調整装置EYを備えてもよい。
例えば、環境調整システム2は、農業用ハウス1で栽培される植物に水分を供給する潅水装置を備えてもよいし、また、農業用ハウス1の内部空間SP内の土壌の温度を制御する土壌温度制御装置を備えてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例1乃至4では、環境計測システム3の内部環境計測システム31が、内部環境温度センサSX1と、内部環境湿度センサSX2と、内部環境二酸化炭素濃度センサSX3と、内部環境照度センサSX4とを備える場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、内部環境計測システム31は、農業用ハウス1の内部空間SP内の土壌の温度を検出する土壌温度センサを備えてもよい。また、内部環境計測システム31は、農業用ハウス1内の内部空間SP内の土壌における水分量を検出する土壌水分量センサを備えてもよい。
【0279】
<C.付記>
上述した実施形態乃至変形例の記載から、本発明は例えば以下のように把握される。なお、各態様の理解を容易にするために、以下では、図面の参照符号を便宜的に括弧書きで付記するが、本発明を図示の態様に限定する趣旨ではない。
【0280】
<付記1>
本発明の一態様に係るプログラム(例えば、制御プログラムPG)は、プロセッサ(例えば、制御装置6に設けられたプロセッサ)を、植物栽培用のハウス(例えば、農業用ハウス1)において栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置(例えば、環境調整装置E)を制御する装置制御部(例えば、装置制御部64)、として機能させる、ことを特徴とする。
【0281】
本態様によれば、装置制御部が、複数の環境調整装置を、栽培モードに応じて調整するため、栽培モードの示す栽培方針に基づく植物の栽培を容易に行うことができる。
【0282】
<付記2>
本発明の一態様に係るプログラムは、植物栽培用のハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードを示す選択情報(例えば、選択モード情報JC)を取得する取得部(例えば、栽培関連情報取得部61)と、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置を、前記選択情報の示す栽培モードに応じて制御する装置制御部(例えば、装置制御部64)と、して機能させる、ことを特徴とする。
【0283】
本態様によれば、装置制御部が、複数の環境調整装置を、栽培モードに応じて調整するため、栽培モードの示す栽培方針に基づく植物の栽培を容易に行うことができる。
【0284】
<付記3>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1または2に記載のプログラムであって、前記複数の栽培モードには、前記植物の品質の高さを優先して前記植物を栽培する第1の栽培モード(例えば、品質優先モード)と、前記植物の栽培に要するコストの低さを優先して前記植物を栽培する第2の栽培モード(例えば、コスト優先モード)と、が含まれる、ことを特徴とする。
【0285】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、植物の品質の高さを優先して植物を栽培するという栽培方針に基づく植物の栽培と、職部の栽培に要するコストの低さを優先して植物を栽培するという栽培方針に基づく植物の栽培とを、容易に行うことができる。
【0286】
<付記4>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1または2に記載のプログラムであって、前記複数の栽培モードには、前記植物の栽培に要するコストの低さよりも、前記植物の品質の高さを優先して前記植物を栽培する、第1の栽培モードと、前記植物の品質の高さよりも、前記植物の栽培に要するコストの低さを優先して前記植物を栽培する、第2の栽培モードと、が含まれる、ことを特徴とする。
【0287】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、植物の品質の高さを優先して植物を栽培するという栽培方針に基づく植物の栽培と、職部の栽培に要するコストの低さを優先して植物を栽培するという栽培方針に基づく植物の栽培とを、容易に行うことができる。
【0288】
<付記5>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1乃至4に記載のプログラムであって、前記複数の栽培モードには、前記植物の品質の高さと、前記植物の栽培に要するコストの低さと、の両方が実現されるように前記植物を栽培する第3の栽培モード(例えば、バランスモード)が含まれる、ことを特徴とする。
【0289】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、植物の品質の高さと、職部の栽培に要するコストの低さとの、両方を実現するという栽培方針に基づく植物の栽培を、容易に行うことができる。
【0290】
<付記6>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1乃至5に記載のプログラムであって、前記複数の栽培モードの中から2以上の栽培モード(例えば、組合せ栽培モード)が選択された場合に、前記2以上の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0291】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、複数の栽培方針に基づく植物の栽培を、容易に行うことができる。
【0292】
<付記7>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記6に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記複数の栽培モードの中から一の栽培モード(例えば、主栽培モード)が選択された後に、他の栽培モード(例えば、副栽培モード)が選択された場合、前記一の栽培モードが前記他の栽培モードよりも優先されるように、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0293】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、一の栽培モードに係る栽培方針を優先しつつ、他の栽培モードに係る栽培方針も踏まえた植物の栽培とを、容易に行うことができる。
【0294】
<付記8>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1乃至7に記載のプログラムであって、前記複数の栽培モードには、前記植物の品質の高さを優先して前記植物を栽培する第1の栽培モードと、前記植物の栽培に要するコストの低さを優先して前記植物を栽培する第2の栽培モードと、前記植物の品質の高さ、及び、前記植物の栽培に要するコストの低さ、の両方が実現するように前記植物を栽培する第3の栽培モードと、が含まれ、前記装置制御部は、前記複数の栽培モードの中から2以上の栽培モードが選択された場合、前記2以上の栽培モード(例えば、品質重視組合せ栽培モードまたはコスト重視組合せ栽培モード)に応じて前記複数の環境調整装置を制御し、前記装置制御部が前記第3の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する場合における、前記植物の栽培に係る前記植物の品質の高さの優先の程度(例えば、バランス評価値VB[k]に対する品質評価値VH[k]の割合)と、前記装置制御部が前記2以上の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する場合における、前記植物の栽培に係る前記植物の品質の高さの優先の程度(例えば、品質重視組合せ評価値VBH[k]またはコスト重視組合せ評価値VBC[k]に対する品質評価値VH[k]の割合)とは、異なる、ことを特徴とする。
【0295】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、第1の栽培モード、第2の栽培モード、及び、第3の栽培モードに加えて、第1の栽培モード、第2の栽培モード、及び、第3の栽培モードの中から選択された2以上の栽培モードに応じて、複数の環境調整装置を調整することができる。このため、本態様によれば、例えば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、第1の栽培モード、第2の栽培モード、及び、第3の栽培モードのうちから選択された一の栽培モードに応じて、複数の環境調整装置を調整する態様と比較して、より多様な栽培方針により、ハウスにおける植物の栽培が可能となる。
【0296】
<付記9>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記8に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記複数の栽培モードの中から前記第1の栽培モードと前記第2の栽培モードとの一方の栽培モードが選択された後に、前記第1の栽培モードと前記第2の栽培モードとの他方の栽培モードが選択されることで、前記2以上の栽培モードが選択された場合、前記装置制御部が、前記第3の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する場合と比較して、前記植物の品質の高さと、前記植物の栽培に要するコストの低さとの一方を、他方よりも優先して前記植物が栽培されるように、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0297】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、第1の栽培モード、第2の栽培モード、及び、第3の栽培モードのうちから選択された一の栽培モードに応じて、複数の環境調整装置を調整する態様と比較して、植物の品質の高さの優先の程度、及び、植物の栽培に要するコストの低さの優先の程度の一方を、より細やかに調整することが可能となる。
【0298】
<付記10>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記8または9に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記複数の栽培モードの中から前記第1の栽培モードが選択された後に、前記第2の栽培モードが選択されることで、前記2以上の栽培モードが選択された場合、前記装置制御部が、前記第3の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する場合と比較して、前記植物の栽培に要するコストの低さよりも、前記植物の品質の高さを優先して前記植物が栽培されるように、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0299】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、第1の栽培モード、第2の栽培モード、及び、第3の栽培モードのうちから選択された一の栽培モードに応じて、複数の環境調整装置を調整する態様と比較して、植物の品質の高さの優先の程度を、より細やかに調整することが可能となる。
【0300】
<付記11>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記8乃至10に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記複数の栽培モードの中から前記第2の栽培モードが選択された後に、前記第1の栽培モードが選択されることで、前記2以上の栽培モードが選択された場合、前記装置制御部が、前記第3の栽培モードに応じて前記複数の環境調整装置を制御する場合と比較して、前記植物の品質の高さよりも、前記植物の栽培に要するコストの低さを優先して前記植物が栽培されるように、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0301】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、第1の栽培モード、第2の栽培モード、及び、第3の栽培モードのうちから選択された一の栽培モードに応じて、複数の環境調整装置を調整する態様と比較して、植物の栽培に要するコストの低さの優先の程度を、より細やかに調整することが可能となる。
【0302】
<付記12>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1乃至11に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記ハウスの内部の環境に関する物理量を検出するためのセンサ(例えば、内部環境センサSXw)の検出結果(例えば、個別内部環境値ANw)と、前記植物の栽培における前記物理量の目標値(例えば、個別目標値APw)と、に応じて、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0303】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、ハウスの内部の環境に関する物理量を、植物の栽培に適した目標値に近い状態を維持することが可能となる。
【0304】
<付記13>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記12に記載のプログラムであって、前記物理量の目標値は、前記選択された栽培モードに応じて定められる、ことを特徴とする。
【0305】
本態様によれば、ハウスの内部の環境を、各栽培モードに対応する栽培方針に応じて、栽培モード毎に調整することができる。
【0306】
<付記14>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記12または13に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記センサの検出結果と前記目標値との相違の程度が、前記選択された栽培モードに応じて定められる閾値(例えば、個別基準値ARw)よりも大きい場合に、前記複数の環境調整装置のうち、前記センサの検出対象とする物理量に関連する1または複数の環境調整装置を稼働させる、ことを特徴とする。
【0307】
本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、ハウスの内部の環境に関する物理量と、当該物理量の目標値との相違の程度を、栽培モードに応じた閾値以下に抑えることができる。このため、本態様によれば、ハウスにおいて植物を栽培する場合に、ハウスの内部の環境を、各栽培モードに対応する栽培方針に応じた環境とすることができる。
【0308】
<付記15>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記12乃至14に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記センサの検出結果と前記目標値との相違の程度が、前記選択された栽培モードに応じて定められる第1閾値(例えば、個別基準値ARw)よりも大きい場合に、前記複数の環境調整装置のうち、前記センサの検出対象とする物理量に関連する第1の環境調整装置(例えば、物理量修正能力AZzが基準値AZ0以下となる環境調整装置E)を稼働させ、前記センサの検出結果と前記目標値との相違の程度が、前記選択された栽培モードに応じて定められる第2閾値(例えば、個別許容値ALw)よりも大きい場合に、前記複数の環境調整装置のうち、前記センサの検出対象とする物理量に関連する第2の環境調整装置(例えば、物理量修正能力AZzが基準値AZ0よりも大きい環境調整装置E)を稼働させ、前記第2閾値は前記第1閾値よりも大きい、ことを特徴とする。
【0309】
本態様によれば、ハウスの内部において植物を栽培する場合に、ハウスの内部の環境に関する物理量を目標値に近づけるために稼働する環境調整装置が、センサの検出結果と目標値との相違の程度に応じて選択されるため、ハウスの内部の環境に関する物理量を、植物の栽培に適した目標値に近い状態を維持することが可能となる。
【0310】
<付記16>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記12乃至15に記載のプログラムであって、前記プロセッサを、前記ハウスの外部の環境に関する物理量(例えば、個別外部環境値AGw)を示す外部情報(例えば、外部環境情報JG)を取得するための外部情報取得部(例えば、外部環境情報取得部616)、として機能させ、前記装置制御部は、前記外部情報に基づいて、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0311】
本態様によれば、ハウスの外部の環境を利用しつつハウスの内部において植物を栽培する場合に、ハウスの外部の環境を考慮した植物の栽培が可能となる。
【0312】
<付記17>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記12乃至16に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記ハウスの外部の環境に関する物理量を検出するための外部センサ(例えば、外部環境センサSYw)の検出結果に基づいて、前記複数の環境調整装置を制御する、ことを特徴とする。
【0313】
本態様によれば、ハウスの外部の環境を利用しつつハウスの内部において植物を栽培する場合に、ハウスの外部の環境を考慮した植物の栽培が可能となる。
【0314】
<付記18>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記16または17に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記センサの検出結果と前記目標値との相違の程度が、前記選択された栽培モードに応じて定められる閾値よりも大きい場合であって、前記センサの検出結果と前記目標値との相違の程度が、前記外部情報の示す物理量と前記目標値との相違の程度よりも大きい場合において、前記複数の環境調整装置のうち、前記ハウスの外部の環境と前記ハウスの内部の環境との関係性を変化させる環境間調整装置(例えば、環境間調整装置EY)を稼働させる、ことを特徴とする。
【0315】
本態様によれば、ハウスの外部の環境を効率的に利用しつつハウスの内部において植物を栽培することが可能となる。
【0316】
<付記19>
本発明の他の態様に係るプログラムは、付記1乃至18に記載のプログラムであって、前記装置制御部は、前記複数の環境調整装置のうち、前記ハウスの内部の環境に関する第1の物理量(例えば、内部温度AN1)を調整するための第1の環境調整装置(例えば、換気装置EY2)を稼働させることによる、前記ハウスの内部の環境に関する第2の物理量(例えば、内部二酸化炭素濃度AN3)への影響の程度が、特定の基準を超える場合(例えば、修正能力合計値AS5[k]が閾値αLを下回る場合)に、前記複数の環境調整装置のうち、前記第2の物理量を調整するための第2の環境調整装置(例えば、二酸化炭素供給装置EX5)を稼働させる、ことを特徴とする。
【0317】
本態様によれば、ハウスの内部において植物を栽培する場合に、ハウスの内部の環境に係る複数の物理量を、植物の栽培に適した状態に維持することが可能となる。
【0318】
<付記20>
本発明の一態様に係る情報処理装置(例えば、サーバ装置5)は、植物栽培用のハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記ハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置を制御する装置制御部を備える、ことを特徴とする。
【0319】
本態様によれば、装置制御部が、複数の環境調整装置を、栽培モードに応じて調整するため、栽培モードの示す栽培方針に基づく植物の栽培を容易に行うことができる。
【0320】
<付記21>
本発明の一態様に係る植物栽培システムSysは、植物栽培用のハウスの内部の環境を調整するための複数の環境調整装置と、前記ハウスにおいて栽培される植物に係る複数の栽培モードの中から選択された栽培モードに応じて、前記複数の環境調整装置を制御する装置制御部を具備する情報処理装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0321】
本態様によれば、装置制御部が、複数の環境調整装置を、栽培モードに応じて調整するため、栽培モードの示す栽培方針に基づく植物の栽培を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0322】
1…農業用ハウス、2…環境調整システム、3…環境計測システム、4…通信装置、5…サーバ装置、6…制御装置、7…記憶装置、8…通信装置、9…端末装置、21…内部環境調整システム、22…環境間調整システム、31…内部環境計測システム、32…外部環境計測システム、61…栽培関連情報取得部、63…装置決定部、64…装置制御部、91…制御装置、92…記憶装置、93…表示装置、94…入力装置、95…通信装置、611…栽培対象情報取得部、612…目標値情報取得部、613…モード関連情報取得部、614…内部環境調整装置情報取得部、615…内部環境情報取得部、616…外部環境情報取得部。