(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181830
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】回路ノイズ判定システム、回路ノイズ判定方法、及び回路ノイズ判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/398 20200101AFI20231218BHJP
G06F 30/27 20200101ALI20231218BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20231218BHJP
G06F 30/367 20200101ALN20231218BHJP
G06F 119/10 20200101ALN20231218BHJP
【FI】
G06F30/398
G06F30/27
G01R31/28 F
G06F30/367
G06F119:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095183
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山岡 寛明
【テーマコード(参考)】
2G132
5B146
【Fターム(参考)】
2G132AA01
2G132AA11
2G132AA12
2G132AB08
2G132AC09
5B146DC03
5B146GL10
(57)【要約】
【課題】疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システム、回路ノイズ判定方法、及び回路ノイズ判定プログラムを提供する。
【解決手段】実施形態に係る回路ノイズ判定システムは、ノイズ解析のための対象回路及び解析設定を有するネットリストを読込む読込み部と、ネットリストに応じて、全回路のノイズ値を算出するノイズ算出部と、対象回路を検出して分類する回路分類部と、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のための回路分類別ノイズ上限基準値を基に、対象回路が発生するノイズ値に対して、回路分類別ノイズ上限基準値を超えている対象回路を出力するノイズ判定部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズ解析のための対象回路及び解析設定を有するネットリストを読込む読込み部と、
前記ネットリストに応じて、全回路のノイズ値を算出するノイズ算出部と、
前記対象回路を検出して分類する回路分類部と、
回路分類別に用意された複数のノイズ判定のための回路分類別ノイズ上限基準値を基に、前記対象回路が発生する前記ノイズ値に対して、前記回路分類別ノイズ上限基準値を超えている前記対象回路を出力するノイズ判定部と、
を備える、回路ノイズ判定システム。
【請求項2】
前記回路分類部は、
複数の回路構造が登録された回路ライブラリを基に、前記対象回路を検出する、
請求項1に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項3】
前記回路ライブラリは、
予め用意した回路分類情報を有する、
請求項2に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項4】
前記回路分類部は、
ディジタル回路パスを検出するディジタル回路パス検出部と、
前記ディジタル回路パス検出部がパスを検出できたか判定するパス検出判定部と、
をさらに備え、
ディジタル回路パス検出判定結果により、前記対象回路をディジタル回路またはアナログ回路として分類し、
前記ノイズ判定部は、
前記ディジタル回路及び前記アナログ回路ごとにノイズ判定する、
請求項1に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項5】
前記回路分類部は、
回路の階層を検出する回路階層検出部と、
階層検出された回路の論理を抽出する論理抽出部と、
前記論理抽出部が論理を抽出できたか判定する論理抽出判定部と
をさらに備え、
論理抽出判定結果により、前記対象回路をディジタル回路またはアナログ回路として分類し、
前記ノイズ判定部は、
前記ディジタル回路及び前記アナログ回路ごとにノイズ判定する、
請求項1に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項6】
前記回路分類部は、
前記回路ライブラリから回路構造を学習する第1回路学習部を、
さらに備え、
学習によって生成された回路構造推論モデル情報を基に、回路推論処理により、前記対象回路を分類する、
請求項2に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項7】
前記第1回路学習部は、
前記回路ライブラリから2分決定グラフを生成する2分決定グラフ生成部を
さらに備え、
2分決定グラフ形式により表現された回路構造を学習する、
請求項6に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項8】
前記回路ライブラリは、
予め用意したラベル付き回路情報を有する、
請求項6または請求項7に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項9】
前記回路分類部は、
回路ノード名を基に、前記対象回路を分類する、
請求項1に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項10】
前記回路分類部は、
前記回路ライブラリから読取った回路構造及びノイズ基準値を学習する第2回路学習部を、
さらに備え、
学習によって生成された回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を基に、回路及びノイズ基準値推論処理により、前記対象回路を分類する、
請求項2に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項11】
前記回路ライブラリは、
予め用意した回路構造及びノイズ基準値を有する、
請求項10に記載の回路ノイズ判定システム。
【請求項12】
ノイズ解析のための対象回路及び解析設定を有するネットリストを読込み、
前記ネットリストに応じて、全回路のノイズ値を算出し、
前記対象回路に含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類し、
回路分類別に用意された複数のノイズ判定のためのノイズ上限基準値を基に、分類された前記対象回路が発生する前記ノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を出力する、
回路ノイズ判定方法。
【請求項13】
回路ノイズ判定システムに用いられるコンピュータのプログラムであって、
ノイズ解析のための対象回路及び解析設定を有するネットリストを読込むこと、
前記ネットリストに応じて、全回路のノイズ値を算出すること、
前記対象回路に含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類すること、
回路分類別に用意された複数のノイズ判定のためのノイズ上限基準値を基に、分類された前記対象回路が発生する前記ノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を出力する、
を前記コンピュータに実行させる、回路ノイズ判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回路ノイズ判定システム、回路ノイズ判定方法、及び回路ノイズ判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランジスタベース回路におけるノイズ解析では、回路全体に対して一律のノイズ上限値を設定し、算出されたノイズと設定されたノイズ上限値とを比較してエラー判定する設計手法が用いられている。しかし、ノイズの上限値を一律に設定してノイズ対策を実施すると、対象集積回路によっては、必ずしも適切な対策が実施できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態が解決しようとする課題は、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システム、回路ノイズ判定方法、及び回路ノイズ判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る回路ノイズ判定システムは、ノイズ解析のための対象回路及び解析設定を有するネットリストを読込む読込み部と、ネットリストに応じて、全回路のノイズ値を算出するノイズ算出部と、対象回路を検出して分類する回路分類部と、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のための回路分類別ノイズ上限基準値を基に、対象回路が発生するノイズ値に対して、回路分類別ノイズ上限基準値を超えている対象回路を出力するノイズ判定部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る回路ノイズ判定システムの模式図である。
【
図2】第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図3】第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図4】第1の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図5】第1の実施形態に係るノイズ判定部の説明図である。
【
図6】第1の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【
図7】第2の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図8A】第2の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図8B】
図8Aに続き、第2の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図9】第2の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図10】第2の実施形態に係るノイズ判定部の説明図である。
【
図11】第2の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【
図12】第3の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図13A】第3の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図13B】
図13Aに続き、第3の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図14】第3の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図15】第3の実施形態に係るノイズ判定部の説明図である。
【
図16】第3の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【
図17】第4の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図18A】第4の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図18B】
図18Aに続き、第4の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図19】第4の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図20】第4の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【
図21】第5の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図22A】第5の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図22B】
図22Aに続き、第5の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図23】第5の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図24】第5の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【
図25】第6の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図26】第6の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図27】第6の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図28】第6の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【
図29】第7の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロック構成図である。
【
図30A】第7の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図30B】
図30Aに続き、第7の実施形態に係る回路ノイズ判定システムのブロックとデータとの関係を例示する概念図である。
【
図31】第7の実施形態に係る回路分類部の説明図である。
【
図32】第7の実施形態に係る第2回路学習部の説明図である。
【
図33】第7の実施形態に係る回路ノイズ判定方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、実施形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なものである。
【0008】
また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。この実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
回路ノイズ判定システム100は、
図1に示すように、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)サーバ1と、記憶媒体2と、コンピュータ装置3、ネットワーク4とを備える。以下の説明において、中央演算処理装置サーバ1をCPUサーバ1とも称する。
【0010】
回路ノイズ判定システム100は、ネットワーク4を介して、ユーザが操作するコンピュータ装置3と、CPUサーバ1と、記憶媒体2とを接続する。コンピュータ装置3は、ユーザが操作する。CPUサーバ1は、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを格納する。記憶媒体2は、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となる入力情報とノイズ判定結果情報を格納する。
【0011】
CPUサーバ1は、例えば、エンジニアリングワークステーション、メインフレーム、スーパーコンピュータでもよい。記憶媒体2は、例えば、ハードディスクの外部記憶装置、メモリの半導体記憶装置、記憶媒体(メディア)でもよい。コンピュータ装置3は、例えば、パソコン(PC)、シンクライアント端末、携帯端末、PDA(Personal Digital Assistant)でもよい。ネットワーク4は、例えば、インターネット、イントラネット、LAN、電話通信網、専用線でもよい。ただし、実際には、これらの例に限定されない。
【0012】
CPUサーバ1は、
図2に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行する回路ノイズ判定プログラム11を備える。以下の説明において、回路ノイズ判定プログラム11をノイズ判定プログラム11とも称する。
【0013】
なお、ノイズ判定プログラム11は、例えば、CPUやマイクロプロセッサ(Microprocessor)の処理装置、または同様な機能を有する半導体集積回路(Integrated Circuit)でもよい。ただし、実際には、これらの例に限定されない。
【0014】
ノイズ判定プログラム11は、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113と、ノイズ判定部114とを備える。ノイズ判定プログラム11は、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。なお、読込み部111、ノイズ算出部112、回路分類部113、及びノイズ判定部114の詳細は、
図3を用いて説明する。
【0015】
記憶媒体2は、第1の情報格納部26と、第2の情報格納部27とを有する。第1の情報格納部26は、ネットリスト21と、回路ライブラリ22とを備える。第2の情報格納部27は、全回路のノイズ値23と、回路分類別ノイズ上限基準値24と、解析レポート25とを備える。
【0016】
ネットリスト21は、
図2に示すように、対象回路21Aと、解析設定21Bとを有する。ネットリスト21は、回路ノイズ判定システム100で解析する回路を記述したものである。なお、ネットリスト21は、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となる入力情報の一例である。また、ネットリスト21は、回路ノイズ判定プログラム11に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となる入力情報の一例であってもよい。
【0017】
対象回路21Aは、例えば、回路を構成する受動素子、能動素子、及び素子同士の接続する節点(ノード)の情報を有する。対象回路21Aは、構成する回路が1つでも複数であってもよい。つまり、ノイズ解析の対象とする回路は、トランジスタベース回路であり、回路設計の最小単位はトランジスタである。以下の説明において、回路ノイズ判定システム100で解析する回路を対象回路21Aと称する。また、素子同士の接続する節点をノードと称する。
【0018】
以下において、回路ノイズ判定システム100で解析するための電源設定を解析設定21Bと称する。解析設定21Bは、例えば、解析するための電源設定である対象回路21Aへの入力電圧及び入力信号などの電源設定の情報である。
【0019】
回路ライブラリ22は、
図2に示すように、回路分類情報22Aを有する。回路分類情報22Aには、複数の回路構造の回路情報が登録されている。なお、回路ライブラリ22は、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となる入力情報の一例である。また、回路ライブラリ22は、回路ノイズ判定プログラム11に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となる入力情報の一例であってもよい。
【0020】
回路分類情報22Aは、例えば、回路種別に予め用意したディジタル回路、アナログ回路等の回路構造の情報を有する。ここで、回路分類情報22Aとは、ディジタル回路またはアナログ回路の回路種別に登録されている回路情報である。ディジタル回路には、例えば、AND回路、OR回路、NAND回路、2入力NAND回路、インバータ、マルチプレクサ、加算器、乗算器等の論理回路等が挙げられる。また、アナログ回路には、例えば、オペアンプ、差動増幅回路、カレントミラー回路、チャージポンプ回路、位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)等のアナログ信号を扱う回路等が挙げられる。なお、回路分類情報22Aは、トランジスタベース回路であり、登録する回路構造の最小単位はトランジスタである。
【0021】
全回路のノイズ値23は、例えば、ノイズ算出部112が出力する全回路のノイズ値を有する。ここで、ノイズ値には、例えば、クロストークノイズ、伝搬ノイズ、電源ノイズ(基板ノイズ)等のノイズが含まれる。なお、全回路のノイズ値23には、対象回路21Aに含まれる回路構造及び各回路構造の入出力の各ノードのノイズ値が含まれる。以下の説明において、対象回路21Aに含まれる回路構造及び各回路構造の入出力の各ノードのノイズ値を全回路のノイズ値23と称する。
【0022】
回路分類別ノイズ上限基準値24は、例えば、回路情報別に各回路構成におけるノードのノイズ上限基準値を有する。ここで、回路分類別ノイズ上限基準値24とは、回路構造ごとに、その回路構造に対応するノイズ上限基準値である。なお、回路分類別ノイズ上限基準値24は、予め設定してもよい。具体的には、回路分類別ノイズ上限基準値24は、回路種別毎に、回路シミュレーションにより予め算出してもよい。また、1つの回路種別の中に、構成の異なる回路が複数存在し、ノイズ上限基準値が複数有する場合は、回路種別毎にノイズ上限値がもっとも高い値(ワーストケース)を代表値として設定してもよい。
【0023】
解析レポート25は、例えば、ノイズ判定部114が出力するノイズ判定結果情報を有する。ここで、ノイズ判定結果情報には、例えば、ノイズ値、ノイズ上限基準値、対象回路、ノードの情報等が挙げられる。なお、解析レポート25は、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となるノイズ判定結果情報の一例である。また、ネットリスト21は、回路ノイズ判定プログラム11に用いられるコンピュータのプログラムを実行するために必要となるノイズ判定結果情報の一例であってもよい。
【0024】
図3に示すように、読込み部111は、ノイズ解析のための対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21を読込む。
【0025】
ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、対象回路21Aに含まれる全回路のノイズ値を算出する。また、ノイズ算出部112は、算出した全回路のノイズ値を全回路のノイズ値23に出力する。なお、ノイズ算出部112は、読込んだ対象回路21A内の全回路において、回路構造ごとに算出したノイズ値をその対応する回路構造に付加して出力してもよい。
【0026】
回路分類部113は、複数の回路構造が登録された回路ライブラリ22を基に、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。また、回路分類部113は、対象回路21Aに含まれる回路構造を回路種別ごとに分類し、分類された回路情報を分類された回路情報31に出力する。なお、回路分類部113は、例えば、回路分類情報22Aを有する回路ライブラリ22及び全回路のノイズ値23を読込んでもよい。また、回路分類部113は、分類された回路情報をノイズ判定部114に出力してもよい。回路分類部113の詳細は、
図4を用いて説明する。
【0027】
ノイズ判定部114は、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のための回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、分類された対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、回路分類別ノイズ上限基準値24を超えている対象回路21Aを解析レポート25に出力する。なお、ノイズ判定部114は、回路分類別ノイズ上限基準値24を読み込んでもよい。ノイズ判定部114の詳細は、
図5を用いて説明する。
【0028】
図4に示すように、回路分類部113は、回路分類情報22Aを基に、対象回路21Aに含まれる回路構造を分類する。具体的には、回路分類部113は、例えば、予め用意した回路分類情報22Aを読込む。
【0029】
次に、回路分類部113は、対象回路21Aの回路構造及びその回路構造に対応するノイズ値を含む全回路のノイズ情報23を読込む。さらに、回路分類部113は、全回路のノイズ情報23に含まれる対象回路21Aの回路構造と、回路分類情報22Aに含まれる回路構造とを照合し、一致する回路構造を検出し、回路種別ごとに対象回路21Aの回路構造を分類する。
【0030】
図4に示すように、回路分類部113は、例えば、全回路のノイズ情報23内の2入力NAND回路と、回路分類情報22A内のディジタル回路として登録した2入力NAND回路とを照合し、一致する回路構造として検出し、ディジタル回路の第1回路として、分類された回路情報31に分類する。同様に、回路分類部113は、例えば、全回路のノイズ情報23内の差動増幅回路と、回路分類情報22A内のアナログ回路として登録した差動増幅回路とを照合し、一致する回路構造として検出し、アナログ回路の第2回路として、分類された回路情報31に分類する。なお、回路分類部113は、例えば、全回路のノイズ情報23内の回路構造が回路分類情報22Aに登録している回路構造の中に含まれていない場合または全回路のノイズ情報23内の回路構造がノイズに強いアナログ回路の場合等は、その他の回路の第3回路として検出し、分類された回路情報31に分類してもよい。
【0031】
図5に示すように、ノイズ判定部114は、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、分類された回路情報31に含まれる対象回路21Aの回路構造のノイズ値を判定する。具体的には、ノイズ判定部114は、例えば、予め設定した回路分類別ノイズ上限基準値24に含まれる各回路(ここでは、第1回路、第2回路)に対応したノイズ上限基準値(第1回路:0.8V、第2回路:0.02V)を読込む。
【0032】
次に、ノイズ判定部114は、分類された回路情報31を読取る。さらに、ノイズ判定部114は、分類された回路情報31のノイズ値と、回路分類別ノイズ上限基準値24のノイズ上限基準値とを比較する。
【0033】
図5に示すように、ノイズ判定部114は、例えば、第1回路のノイズ値(0.9V)が第1回路に対応したノイズ上限基準値(0.8V)を超えているため、第1回路を解析レポート25に出力する。同様に、ノイズ判定部114は、例えば、第2回路のノイズ値(0.03V)が第2回路に対応したノイズ上限基準値(0.02V)を超えているため、第2回路を解析レポート25に出力する。
【0034】
(回路ノイズ判定方法)
図6に示すように、(A1)まず、ステップS11において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図2)を読込む。
【0035】
(B1)次に、ステップS12において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値を算出する。具体的には、ノイズ算出部112は、例えば、対象回路21Aに含まれる回路構成ごとに各ノードの信号スルー(slew)値、各ノードの配線対地容量値、及び各ノード間のカップリング容量値を解析して、各ノードのノイズ値を算出する。
【0036】
(C1)次に、ステップS13において、回路分類部113は、複数の回路構造が登録された回路ライブラリ22(
図2)を基に、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。具体的には、回路分類部113は、例えば、対象回路21Aに含まれる回路構造と、回路ライブラリに含まれる回路分類情報22Aの回路構造とを照合して検出して分類し、ステップS14に進む。すなわち、対象回路21Aは、回路分類部113によって、ディジタル回路及びアナログ回路に分類される。回路分類部113は、ディジタル回路及びアナログ回路に分類された回路情報をノイズ判定部114に出力する。なお、回路ライブラリ22を基に、回路分類部113が対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類することを回路パターンマッチとも称する。
【0037】
(D1)最後に、ステップS14において、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のためのノイズ上限基準値を基に、ノイズ判定部114(
図2)は、分類された回路情報31に含まれる対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0038】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、第1の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
CPUサーバ1Aは、
図7に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するノイズ判定プログラム11Aを備える。なお、CPUサーバ1Aは、CPUサーバ1の別の一例である。また、ノイズ判定プログラム11Aは、ノイズ判定プログラム11の別の一例である。
【0040】
CPUサーバ1Aは、
図7に示すように、ノイズ判定プログラム11の代わりに、ノイズ判定プログラム11Aを備える。また、記憶媒体2は、第1の情報格納部26の代わりに、第1の情報格納部26Aを備える。なお、第1の情報格納部26Aは、第1の情報格納部26の別の一例である。なお、他の構成は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同じであるため、説明を省略する。
【0041】
ノイズ判定プログラム11Aは、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113Aと、ノイズ判定部114Aとを備える。ノイズ判定プログラム11Aは、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。第1の情報格納部26Aは、ネットリスト21を備える。なお、読込み部111及びノイズ算出部112は、第1の実施形態と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0042】
回路分類部113Aは、静的タイミング解析部121と、ディジタル回路パス検出部122と、パス検出判定部123とを備える。
【0043】
図8A及び
図8Bに示すように、静的タイミング解析部121は、静的タイミング解析(STA:Static Timing Analysis)により、ディジタル回路パス情報を検出し、ディジタル回路パス情報32に出力する。なお、静的タイミング解析部121は、例えば、全回路のノイズ値23を読込んでもよい。
【0044】
ディジタル回路パス検出部122は、ディジタル回路パス情報32を基に、ディジタル回路パスを検出し判定する。なお、ディジタル回路パス検出部122は、ディジタル回路パス検出判定結果をパス検出判定部123に出力してもよい。
【0045】
パス検出判定部123は、ディジタル回路パス検出判定結果を基に、対象回路21Aに含まれる回路構造をディジタル回路またはアナログ回路として分類し、パス判定された回路情報33に出力する。なお、回路種別ごとにパス判定された回路情報は、ノイズ判定部114Aに出力してもよい。回路分類部113Aの詳細は、
図9にて説明する。
【0046】
ノイズ判定部114Aは、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、パス判定された対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、回路分類別ノイズ上限基準値24を超えている対象回路21Aを解析レポート25に出力する。なお、ノイズ判定部114Aは、回路分類別ノイズ上限基準値24を読込んでもよい。ノイズ判定部114Aの詳細は、
図10を用いて説明する。
【0047】
図9に示すように、静的タイミング解析部121は、例えば、対象回路21Aの回路構造を含む全回路のノイズ値23に対して、静的タイミング解析を行う。また、静的タイミング解析部121は、ディジタル回路パス検出部122に静的タイミング解析結果を出力してもよい。以下の説明において、静的タイミング解析結果をディジタル回路パス情報とも称する。
【0048】
ディジタル回路パス検出部122は、例えば、ディジタル回路パス情報に含まれる回路構造を回路種別ごとにディジタル回路パスがあるか否かを判定する。また、ディジタル回路パス検出部122は、ディジタル回路パス判定情報を含むディジタル回路パス情報32をパス検出判定部123に出力する。具体的には、
図9に示すように、ディジタル回路パス検出部122は、例えば、ディジタル回路パス情報32内の論理回路に対し、ディジタル回路パスがあると判定する。
【0049】
パス検出判定部123は、例えば、ディジタル回路パス検出判定結果により、対象回路21Aをディジタル回路またはアナログ回路として分類する。すなわち、パス検出判定部123は、例えば、ディジタル回路パスを有する回路構造を検出した場合、ディジタル回路とし、検出しない場合、アナログ回路として分類する。具体的には、
図9に示すように、パス検出判定部123は、例えば、ディジタル回路パス検出判定結果により、ディジタル回路パスを有すると判定された回路構造をディジタル回路の第1回路として、パス判定された回路情報33に分類する。また、パス検出判定部123は、例えば、ディジタル回路パス検出判定結果により、ディジタル回路パスが有していないと判定された回路構造をアナログ回路の第2回路として、パス判定された回路情報33に分類する。
【0050】
図10に示すように、ノイズ判定部114Aは、例えば、ディジタル回路及びアナログ回路ごとに、ノイズ判定する。具体的には、
図10に示すように、ノイズ判定部114Aは、回路分類別ノイズ上限基準値24を読込む。
【0051】
次に、ノイズ判定部114Aは、例えば、パス判定された回路情報33を読込む。さらに、ノイズ判定部114Aは、パス判定された回路情報33内のディジタル回路の第1回路のノイズ値(
図10では、ノイズ値の数値例を記載省略)と、回路分類別ノイズ上限基準値24内の第1回路に対応するノイズ上限基準値(
図10では、ノイズ値の数値例を記載省略)とを比較する。ノイズ判定部114Aは、ノイズ値の比較結果により、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。
【0052】
(回路ノイズ判定方法)
図11に示すように、(A2)まず、ステップS21において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図7)を読込む。
【0053】
(B2)次に、ステップS22において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値23を算出する。
【0054】
(C2-1)次に、ステップS23において、静的タイミング解析部121は、例えば、全回路のノイズ値23(
図7)を読込む。次に、静的タイミング解析部121は、静的タイミング解析により、ディジタル回路パス情報を検出する。
【0055】
(C2-2)次に、ステップS24においてディジタル回路パス検出部122は、ディジタル回路パス情報32に含まれる回路構造を回路種別ごとにディジタル回路パスがあるか否かを判定する。
【0056】
(C2-3)また、ステップS24において、YESと判定された場合は、ステップS25に進む。NOと判定された場合は、ステップS26に進む。
【0057】
(D2-1)次に、ステップS25において、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、ノイズ判定部114Aは、パス判定された回路情報33内のディジタル回路が発生するノイズ値に対し、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0058】
(D2-2)また、ステップS26において、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、ノイズ判定部114Aは、パス判定された回路情報33内のアナログ回路が発生するノイズ値に対し、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0059】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、第2の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
CPUサーバ1Bは、
図12に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するノイズ判定プログラム11Bを備える。なお、CPUサーバ1Bは、CPUサーバ1の別の一例である。また、ノイズ判定プログラム11Bは、ノイズ判定プログラム11の別の一例である。
【0061】
CPUサーバ1Bは、
図12に示すように、ノイズ判定プログラム11の代わりに、ノイズ判定プログラム11Bを備える。また、記憶媒体2は、第1の情報格納部26の代わりに、第1の情報格納部26Bを備える。なお、第1の情報格納部26Bは、第1の情報格納部26の別の一例である。また、第1の情報格納部26Bは、第1の情報格納部26Aと同じであってもよい。なお、他の構成は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0062】
ノイズ判定プログラム11Bは、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113Bと、ノイズ判定部114Bとを備える。ノイズ判定プログラム11Bは、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。第1の情報格納部26Bは、ネットリスト21を備える。なお、読込み部111及びノイズ算出部112は、第1の実施形態と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0063】
回路分類部113Bは、回路階層検出部124と、論理抽出部125と、論理抽出判定部126とを備える。
【0064】
図13A及び
図13Bに示すように、回路階層検出部124は、対象回路21Aの回路構造に対し、回路の階層を検出し、回路階層情報34に出力する。なお、回路階層検出部124は、例えば、全回路のノイズ値23を読込んでもよい。また、回路階層検出部124は、回路の階層を検出した結果を論理抽出部125に出力してもよい。以下の説明において、回路の階層を検出した結果を回路階層検出情報とも称する。
【0065】
論理抽出部125は、回路階層情報34を基に、階層検出された回路の論理抽出し、論理抽出情報36に出力する。なお、論理抽出部125は、抽出した結果を論理抽出判定部126に出力してもよい。
【0066】
論理抽出判定部126は、抽出した結果を基に、論理抽出部125が論理を抽出できたか判定する。また、論理抽出判定部126は、論理抽出判定の結果により、対象回路21Aをディジタル回路またはアナログ回路として分類し、抽出判定された回路情報35に出力する。なお、回路種別ごとに抽出判定された回路情報は、ノイズ判定部114Bに出力してもよい。回路分類部113Bの詳細は、
図14を用いて説明する。
【0067】
ノイズ判定部114Bは、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、抽出判定された対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、回路分類別ノイズ上限基準値24を超えている対象回路21Aを解析レポート25に出力する。なお、ノイズ判定部114Bは、回路分類別ノイズ上限基準値24を読み込んでもよい。ノイズ判定部114Bの詳細は、
図15を用いて説明する。
【0068】
図14に示すように、回路階層検出部124は、例えば、対象回路21Aの回路構造を含む全回路のノイズ値23に対して、論理回路の階層を抽出する。
図14に示すように、具体的には、回路階層検出部124は、例えば、全回路のノイズ値23から回路階層情報34として2入力NAND回路を抽出する。
【0069】
論理抽出部125は、例えば、階層の抽出結果により、論理抽出する。
図14に示すように、具体的には、論理抽出部125は、例えば、階層の抽出結果の2入力NAND回路から論理抽出情報として/A・B(NANDの論理式)を抽出する。
【0070】
論理抽出判定部126は、例えば、論理抽出情報により、対象回路21Aをディジタル回路またはアナログ回路として分類する。すなわち、論理抽出判定部126は、例えば、論理抽出が可能な場合、ディジタル回路と判断し、論理抽出が可能でない場合、アナログ回路と判断して分類する。具体的には、
図14に示すように、論理抽出判定部126は、例えば、論理抽出情報内の/A・B(NANDの論理式)において、論理抽出が可能と判断し、ディジタル回路の第1回路として分類する。また、論理抽出判定部126は、例えば、図示しないが、論理抽出情報内の論理抽出ができない回路構造において、論理抽出が可能でないと判断し、アナログ回路の第2回路として分類する。
【0071】
図15に示すように、ノイズ判定部114Bは、例えば、ディジタル回路及びアナログ回路ごとに、ノイズ判定する。具体的には、
図15に示すように、ノイズ判定部114Bは、回路分類別ノイズ上限基準値24を読込む。
【0072】
次に、ノイズ判定部114Bは、例えば、抽出判定された回路情報35を読込む。さらに、ノイズ判定部114Bは、抽出判定された回路情報35内のディジタル回路の第1回路のノイズ値(
図15では、ノイズ値の数値例を記載省略)と、回路分類別ノイズ上限基準値24内の第1回路に対応するノイズ上限基準値(
図15では、ノイズ値の数値例を記載省略)とを比較する。ノイズ判定部114Bは、ノイズ値の比較結果により、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。
【0073】
(回路ノイズ判定方法)
図16に示すように、(A3)まず、ステップS31において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図12)を読込む。
【0074】
(B3)次に、ステップS32において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値23を算出する。
【0075】
(C3-1)次に、ステップS33において、回路階層検出部124は、全回路のノイズ値23(
図12)を読込む。次に、回路階層検出部124は、全回路のノイズ値23に含まれる回路構造を基に、回路の階層を検出する。
【0076】
(C3-2)次に、ステップS34において、論理抽出部125は、階層の抽出結果を基に、論理抽出する。
【0077】
(C3-3)次に、ステップS35において、YESと判定された場合は、ステップS36に進む。NOと判定された場合は、ステップS37に進む。
【0078】
(D3-1)次に、ステップS36において、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、ノイズ判定部114Bは、抽出判定された回路情報35内のディジタル回路が発生するノイズ値に対し、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0079】
(D3-2)また、ステップS36において、回路分類別ノイズ上限基準値24を基に、ノイズ判定部114Bは、抽出判定された回路情報35内のアナログ回路が発生するノイズ値に対し、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0080】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、第3の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0081】
(第4の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
CPUサーバ1Cは、
図17に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するノイズ判定プログラム11Cを備える。なお、CPUサーバ1Cは、CPUサーバ1の別の一例である。また、ノイズ判定プログラム11Cは、ノイズ判定プログラム11の別の一例である。
【0082】
CPUサーバ1Cは、
図17に示すように、ノイズ判定プログラム11の代わりに、ノイズ判定プログラム11Cを備える。また、記憶媒体2は、第1の情報格納部26の代わりに、第1の情報格納部26Cを備える。第1の情報格納部26Cは、ネットリスト21と、回路ライブラリ22とを備える。回路ライブラリ22は、
図17に示すように、ラベル付き回路情報22Bを有する。なお、第1の情報格納部26Cは、第1の情報格納部26の別の一例である。なお、他の構成は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0083】
ラベル付き回路情報22Bは、例えば、回路種別に予め用意したディジタル回路、アナログ回路等の回路構造の情報を有する。また、ラベル付き回路情報22Bは、回路情報ごとに、ディジタル回路またはアナログ回路のラベル情報を有する。ここで、ラベル付き回路情報22Bには、ディジタル回路またはアナログ回路のラベル付きでディジタル回路またはアナログ回路の回路種別の回路情報が登録されている。なお、ラベル付き回路情報22Bは、トランジスタベース回路であり、登録する回路構造の最小単位はトランジスタである。
【0084】
ノイズ判定プログラム11Cは、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113Cと、ノイズ判定部114とを備える。ノイズ判定プログラム11Cは、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。なお、読込み部111、ノイズ算出部112、及びノイズ判定部114は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0085】
回路分類部113Cは、第1回路学習部127を備える。
【0086】
図18A及び
図18Bに示すように、第1回路学習部127は、ラベル付き回路情報22Bを有する回路ライブラリ22から回路構造を学習する。また、第1回路学習部127は、学習した回路構造推論モデル情報を回路構造推論モデル情報37に出力する。なお、第1回路学習部127は、学習した回路構造推論モデル情報を回路分類部113Cに出力してもよい。
【0087】
回路分類部113Cは、回路ライブラリ22を基に、回路構造推論モデル情報を用いて、回路推論処理により、対象回路21Aを分類する。すなわち、回路分類部113Cは、対象回路21Aに含まれる回路構造を回路種別ごとに分類し、分類された回路情報を分類された回路情報31Cに出力する。なお、回路分類部113Cは、例えば、ラベル付き回路情報22Bを有する回路ライブラリ22及び全回路のノイズ値23を読込んでもよい。また、回路分類部113Cは、分類された回路情報をノイズ判定部114に出力してもよい。回路分類部113Cの詳細は、
図19を用いて説明する。以下の説明において、回路構造推論モデル情報37を用いて、回路種別ごとに分類することを回路推論処理とも称する。
【0088】
図19に示すように、第1回路学習部127は、ラベル付き回路情報22Bを基に、学習によって回路構造推論モデル情報を生成する。具体的には、第1回路学習部127は、例えば、予め用意したラベル付き回路情報22Bに含まれるディジタル回路及びアナログ回路の回路構造を読込む。
【0089】
次に、第1回路学習部127は、ラベル付き回路情報22Bを基に、ディジタル回路及びアナログ回路の回路構造を学習する。また、第1回路学習部127は、学習結果を回路構造推論モデル情報37に出力する。
【0090】
回路分類部113Cは、全回路のノイズ情報23及び回路構造推論モデル情報37を読込む。回路分類部113Cは、全回路のノイズ情報23に含まれる対象回路21Aの回路構造と、回路構造推論モデル情報37に含まれる回路構造とを照合し、一致する回路構造を検出し、回路種別ごとに対象回路21Aの回路構造を分類する。
【0091】
図19に示すように、回路分類部113Cは、例えば、全回路のノイズ情報23内のディジタル回路と、回路構造推論モデル情報37内のディジタル回路とを照合し、一致する回路構造として検出し、ディジタル回路の第1回路として、分類された回路情報31に分類する。同様に、回路分類部113Cは、例えば、全回路のノイズ情報23内のアナログ回路と、回路構造推論モデル情報37内のアナログ回路とを照合し、一致する回路構造として検出し、アナログ回路の第2回路として、分類された回路情報31に分類する。なお、回路分類部113Cは、例えば、全回路のノイズ情報23内の回路構造が回路構造推論モデル情報37内の回路構造の中に含まれていない場合または全回路のノイズ情報23内の回路構造がノイズに強いアナログ回路の場合等は、その他の回路の第3回路として検出し、分類された回路情報31に分類してもよい。
【0092】
(回路ノイズ判定方法)
図20に示すように、(A4)まず、ステップS41において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図17)を読込む。
【0093】
(B4)次に、ステップS42において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値を算出する。
【0094】
(C4-1)次に、ステップS43において、第1回路学習部127は、ラベル付き回路情報22Bを有する回路ライブラリ22(
図17)を基に、回路構造を学習する。具体的には、第1回路学習部127は、例えば、ラベル付き回路情報22Bから回路構造を学習する。
【0095】
(C4-2)次に、ステップS44において、回路分類部113は、回路推論処理により、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。
【0096】
(D4)次に、ステップS45において、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のためのノイズ上限基準値を基に、ノイズ判定部114は、分類された回路情報31Cに含まれる対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0097】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、第4の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0098】
(第5の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
CPUサーバ1Dは、
図21に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するノイズ判定プログラム11Dを備える。なお、CPUサーバ1Dは、CPUサーバ1の別の一例である。また、ノイズ判定プログラム11Dは、ノイズ判定プログラム11の別の一例である。
【0099】
CPUサーバ1Dは、
図21に示すように、ノイズ判定プログラム11の代わりに、ノイズ判定プログラム11Dを備える。また、記憶媒体2は、第1の情報格納部26の代わりに、第1の情報格納部26Dを備える。第1の情報格納部26Dは、ネットリスト21と、回路ライブラリ22とを備える。回路ライブラリ22は、ラベル付き回路情報22Bを有する。なお、第1の情報格納部26Dは、第1の情報格納部26Cと同じであってもよい。第1の情報格納部26Dは、第1の情報格納部26の別の一例である。他の構成は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0100】
ノイズ判定プログラム11Dは、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113Dと、ノイズ判定部114とを備える。ノイズ判定プログラム11Dは、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。なお、読込み部111、ノイズ算出部112、及びノイズ判定部114は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0101】
回路分類部113Dは、第1回路学習部127Dを備える。また、第1回路学習部127Dは、2分決定グラフ生成部128を備える。
【0102】
図22A及び
図22Bに示すように、2分決定グラフ生成部128は、ラベル付き回路情報22Bを有する回路ライブラリ22から、2分決定グラフ(BDD:Binary Decision Diagram)の回路情報を生成する。また、2分決定グラフ生成部128は、生成結果を第1回路学習部127Dに出力する。
【0103】
第1回路学習部127Dは、2分決定グラフ(BDD)形式により表現された回路構造から回路構造を学習する。また、第1回路学習部127Dは、学習結果を回路構造推論モデル情報37に出力する。なお、第1回路学習部127Dは、学習結果を回路分類部113Dに出力してもよい。
【0104】
回路分類部113Dは、回路構造推論モデル情報37を基に、回路推論処理により、対象回路21Aを分類する。すなわち、回路分類部113Dは、対象回路21Aに含まれる回路構造を回路種別ごとに分類し、分類された回路情報を分類された回路情報31Dに出力する。なお、回路分類部113Dは、例えば、ラベル付き回路情報22Bを有する回路ライブラリ22及び全回路のノイズ値23を読込んでもよい。また、回路分類部113Dは、分類された回路情報をノイズ判定部114に出力してもよい。回路分類部113Dの詳細は、
図23を用いて説明する。
【0105】
図23に示すように、2分決定グラフ生成部128は、ラベル付き回路情報22Bを有する回路ライブラリ22を基に、2分決定グラフ(BDD)の回路構造を生成する。具体的には、2分決定グラフ生成部128は、例えば、ラベル付き回路情報22Bの回路構造を基に、トランジスタの接続情報から2分決定グラフ化した回路構造を生成する。なお、2分決定グラフ生成部128は、生成結果を2分決定グラフ形式で表現された回路情報38に出力してもよい。
【0106】
第1回路学習部127Dは、2分決定グラフ形式で表現された回路情報38を基に、学習する。具体的には、第1回路学習部127Dは、例えば、2分決定グラフ形式で表現された回路情報38を読込み、ディジタル回路及びアナログ回路の回路構造を学習する。また、第1回路学習部127Dは、学習結果を回路構造推論モデル情報37に出力する。
【0107】
回路分類部113Dは、全回路のノイズ情報23及び回路構造推論モデル情報37を読込む。回路分類部113Dは、回路推論処理により回路構造を分類する。
【0108】
(回路ノイズ判定方法)
図24に示すように、(A5)まず、ステップS51において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図21)を読込む。
【0109】
(B5)次に、ステップS52において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値を算出する。
【0110】
(C5-1)次に、ステップS53において、2分決定グラフ生成部128は、回路ライブラリ22(
図17)を基に、2分決定グラフ(BDD)形式で表現された回路情報を生成する。
【0111】
(C5-2)次に、ステップS54において、第1回路学習部127Dは、2分決定グラフ形式で表現された回路情報38を基に、回路構造推論モデル情報を学習する。
【0112】
(C5-3)次に、ステップS55において、回路分類部113Dは、回路推論処理により、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。
【0113】
(D5)次に、ステップS56において、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のためのノイズ上限基準値を基に、ノイズ判定部114は、分類された回路情報31Dに含まれる対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0114】
(第5の実施形態の効果)
以上説明したように、第5の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0115】
(第6の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
CPUサーバ1Eは、
図25に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するノイズ判定プログラム11Eを備える。なお、CPUサーバ1Eは、CPUサーバ1の別の一例である。また、ノイズ判定プログラム11Eは、ノイズ判定プログラム11の別の一例である。
【0116】
CPUサーバ1Eは、
図25に示すように、ノイズ判定プログラム11の代わりに、ノイズ判定プログラム11Eを備える。また、記憶媒体2は、第1の情報格納部26の代わりに、第1の情報格納部26Eを備える。なお、第1の情報格納部26Eは、第1の情報格納部26の別の一例である。また、第1の情報格納部26Eは、第1の情報格納部26と同じであってもよい。なお、他の構成は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0117】
ノイズ判定プログラム11Eは、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113Eと、ノイズ判定部114とを備える。ノイズ判定プログラム11Eは、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。第1の情報格納部26Eは、ネットリスト21を備える。なお、読込み部111、ノイズ算出部112、及びノイズ判定部114は、第1の実施形態と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0118】
図26に示すように、回路分類部113Eは、ネットリストのノード名ネーミングルールを基に、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。また、回路分類部113Eは、対象回路21Aに含まれる回路構造を回路種別ごとに分類し、分類された回路情報を分類された回路情報31に出力する。なお、回路分類部113Eは、例えば、全回路のノイズ値23を読込んでもよい。また、回路分類部113Eは、分類された回路情報をノイズ判定部114に出力してもよい。回路分類部113Eの詳細は、
図27を用いて説明する。
【0119】
図27に示すように、回路分類部113Eは、ネットリスト21のノード名ネーミングルール別に、対象回路21Aに含まれる回路構造を分類する。具体的には、回路分類部113Eは、例えば、対象回路21Aの回路構造及びその回路構造に対応するノイズ値を含む全回路のノイズ情報23を読込む。なお、ネットリスト21のノード名ネーミングルールは、例えば、ネットリストに含まれる対象回路21Aにおいて、
図27に示すように、ディジタル回路の場合、ノード名のままにし、アナログ回路の場合、ノード名にA_*のように_*を付加してもよい。ネットリスト21のノード名ネーミングルールは、ディジタル回路とアナログ回路を識別できればよく、これに限定されない。以下の説明において、「ネットリスト21のノード名ネーミングルール別」を「回路ノード別」とも称する。
【0120】
次に、回路分類部113Eは、読込んだ対象回路21Aのノード名を検出し、回路種別ごとに対象回路21Aの回路構造分類する。
【0121】
図27に示すように、回路分類部113Eは、例えば、全回路のノイズ情報23内のノード名に_*がない場合、ディジタル回路として検出し、ディジタル回路の第1回路として、分類された回路情報31に分類する。同様に、回路分類部113Eは、例えば、全回路のノイズ情報23内のノード名に_*がある場合、アナログ回路として検出し、アナログ回路の第2回路として、分類された回路情報31に分類する。
【0122】
(回路ノイズ判定方法)
図28に示すように、(A6)まず、ステップS61において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図25)を読込む。
【0123】
(B6)次に、ステップS62において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値を算出する。
【0124】
(C6)次に、ステップS63において、回路分類部113Eは、回路ノード名別に、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。
【0125】
(D6)最後に、ステップS64において、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のためのノイズ上限基準値を基に、ノイズ判定部114(
図25)は、分類された回路情報31に含まれる対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0126】
(第6の実施形態の効果)
以上説明したように、第6の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0127】
(第7の実施形態)
(回路ノイズ判定システム)
CPUサーバ1Fは、
図29に示すように、回路ノイズ判定システム100に用いられるコンピュータのプログラムを実行するノイズ判定プログラム11Fを備える。なお、CPUサーバ1Fは、CPUサーバ1の別の一例である。また、ノイズ判定プログラム11Fは、ノイズ判定プログラム11の別の一例である。
【0128】
CPUサーバ1Fは、
図29に示すように、ノイズ判定プログラム11の代わりに、ノイズ判定プログラム11Fを備える。また、記憶媒体2は、第1の情報格納部26及び第2の情報格納部27の代わりに、第1の情報格納部26F及び第2の情報格納部27Fを備える。第1の情報格納部26Fは、ネットリスト21と、回路ライブラリ22とを備える。第2の情報格納部27Fは、全回路のノイズ値23と、解析レポート25とを備える。回路ライブラリ22は、回路構造及びノイズ基準値22Cを有する。なお、第1の情報格納部26Fは、第1の情報格納部26の別の一例である。第2の情報格納部27Fは、第2の情報格納部27の別の一例である。なお、他の構成は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0129】
回路構造及びノイズ基準値22Cは、例えば、回路種別に予め用意したディジタル回路、アナログ回路等の回路構造の情報を有する。また、回路構造及びノイズ基準値22Cは、例えば、回路構造の回路情報ごとに、その回路構造に対応するノイズ基準値を有する。ここで、回路構造及びノイズ基準値22Cには、回路種別ごとの回路構造及びその回路構造に対応するノイズ基準値の回路情報が登録されている。なお、回路構造及びノイズ基準値22Cは、トランジスタベース回路であり、登録する回路構造の最小単位はトランジスタである。
【0130】
ノイズ判定プログラム11Fは、読込み部111と、ノイズ算出部112と、回路分類部113Fと、ノイズ判定部114Fとを備える。ノイズ判定プログラム11Fは、ノイズ判定を実行後にノイズ判定結果情報を解析レポート25に出力する。なお、読込み部111及びノイズ算出部112は、第1の実施形態に係る回路ノイズ判定システム100と同様な機能を有するため、説明を省略する。
【0131】
回路分類部113Fは、第2回路学習部129を備える。
【0132】
図30A及び
図30Bに示すように、第2回路学習部129は、回路構造及びノイズ基準値22Cを有する回路ライブラリ22から回路構造及びノイズ基準値を学習する。また、第2回路学習部129は、学習した回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を回路構造推論モデル情報37に出力する。なお、第2回路学習部129は、学習した回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を回路分類部113Fに出力してもよい。
【0133】
回路分類部113Fは、回路ライブラリ22を基に、回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を用いて、回路推論処理により、対象回路21Aを分類する。すなわち、回路分類部113Fは、対象回路21Aに含まれる回路構造を回路種別ごとに分類し、分類された回路情報を分類された回路情報31Fに出力する。なお、回路分類部113Fは、例えば、回路構造及びノイズ基準値22Cを有する回路ライブラリ22及び全回路のノイズ値23を読込んでもよい。また、回路分類部113Fは、分類された回路情報をノイズ判定部114に出力してもよい。回路分類部113Fの詳細は、
図31を用いて説明する。
【0134】
図31に示すように、第2回路学習部129は、回路ライブラリ22を基に、学習によって回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を生成する。具体的には、第2回路学習部129は、例えば、予め用意した回路構造及びノイズ基準値22Cを有する回路ライブラリの回路構造を読込む。
【0135】
次に、第2回路学習部129は、回路構造及びノイズ基準値22Cを基に、ディジタル回路及びアナログ回路の回路構造及びその回路構造に対応するノイズ基準値を学習する。また、第2回路学習部129は、学習結果を回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報39に出力する。第2回路学習部129の詳細は、
図32を用いて説明する。
【0136】
回路分類部113Fは、全回路のノイズ情報23及び回路構造を読込む。回路分類部113Fは、例えば、回路及びノイズ基準値推論処理により、回路種別ごとに対象回路21Aの回路構造を分類する。以下の説明において、回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報39を用いて、回路種別ごとに分類することを回路及びノイズ基準値推論処理とも称する。
【0137】
回路分類別に用意された複数のノイズ判定のための回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報39のノイズ基準値を基に、ノイズ判定部114Fは、分類された対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報39のノイズ基準値を超えている対象回路21Aを解析レポート25に出力する。なお、回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報39のノイズ基準値は、回路分類別ノイズ上限基準値24の別の一例である。
【0138】
図32に示すように、第2回路学習部129は、例えば、回路構造及びノイズ基準値22Cを基に、回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を生成する。具体的には、第2回路学習部129は、例えば、回路構造及びノイズ基準値22C内の回路A(NAND回路)及びその回路構造に対応するノイズ基準値0.8Vと、回路構造及びノイズ基準値22C内の回路B(3入力NAND回路)及びその回路構造に対応するノイズ基準値0.9Vとの情報から学習し、回路C(2入力NAND回路)及びその回路構造に対応するノイズ基準値0.85Vとして回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報39に出力する。
【0139】
(回路ノイズ判定方法)
図33に示すように、(A7)まず、ステップS71において、読込み部111は、ノイズ解析の対象回路21A及び解析設定21Bを有するネットリスト21(
図29)を読込む。
【0140】
(B7)次に、ステップS72において、ノイズ算出部112は、ネットリスト21に応じて、全回路のノイズ値を算出する。
【0141】
(C7-1)次に、ステップS73において、第2回路学習部129は、回路構造及びノイズ基準値22Cを有する回路ライブラリ22(
図29)を基に、回路構造及びノイズ基準値を学習する。具体的には、第2回路学習部129は、例えば、回路構造及びノイズ基準値22Cから回路構造及びノイズ基準値を学習する。
【0142】
(C7-2)次に、ステップS74において、回路分類部113Fは、回路推論処理により、対象回路21Aに含まれるディジタル回路及びアナログ回路を検出して分類する。
【0143】
(D7)次に、ステップS75において、回路分類別に用意された複数のノイズ判定のための回路構造及びノイズ基準値推論モデル情報を基に、ノイズ判定部114Fは、分類された回路情報31Fに含まれる対象回路21Aの回路構造が発生するノイズ値に対して、ノイズ上限基準値を超えている回路構造を解析レポート25に出力する。そして、出力後には、処理を終了する。
【0144】
(第7の実施形態の効果)
以上説明したように、第7の実施形態によれば、対象回路をディジタル回路及びアナログ回路に分類し、分類した回路構成ごとのノイズ値と回路分類別ノイズ上限基準値とを比較することにより、疑似エラーの発生を抑えつつ、ノイズに弱い回路に発生する微小ノイズを検出可能な回路ノイズ判定システムを提供することができる。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F・・・CPUサーバ
2・・・記憶媒体
3・・・コンピュータ装置
11、11A、11B、11C、11D、11E、11F・・・ノイズ判定プログラム
21・・・ネットリスト
21A・・・対象回路
21B・・解析設定
22・・・回路ライブラリ
22A・・・回路分類情報
22B・・・ラベル付き回路情報
22C・・・回路構造及びノイズ基準値
23・・・全回路のノイズ値
24・・・回路分類別ノイズ上限基準値
25・・・解析レポート
100・・・回路ノイズ判定システム
111・・・読込み部
112・・・ノイズ算出部
113、113A、113B、113C、113D、113E、113F・・・回路分類部
114、114A、114B、114F・・・ノイズ判定部