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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181836
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 5/02 20060101AFI20231218BHJP
   B30B 15/16 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B30B5/02 A
B30B15/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095192
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中井 友充
(72)【発明者】
【氏名】前川 明紀
【テーマコード(参考)】
4E089
4E090
【Fターム(参考)】
4E089EB03
4E089EC03
4E089ED07
4E090AB01
4E090BA01
4E090CA07
4E090DA02
4E090DB06
(57)【要約】
【課題】保持行程での圧力容器の内部の圧力の制御を精度良く行う。
【解決手段】ピストン軸力情報検出部53は、ピストン本体21にかかる軸力に関するピストン軸力情報を検出する。摩擦情報記憶部62は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの、ピストンシール23と圧力容器10との摩擦力に関する摩擦情報を記憶する。駆動制御部65は、ピストン軸力情報および摩擦情報に基づいて、駆動装置40を制御する。圧力容器10の内部の圧力を一定に保持するように制御する保持行程において、駆動制御部65は、圧力容器10に対してピストン本体21が往復動作するように駆動装置40を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器と、
前記圧力容器に対して差込側および引出側に移動可能に、前記圧力容器の内部に嵌め込まれたピストン本体と、
前記ピストン本体に設けられ、前記ピストン本体と前記圧力容器との隙間を密封するピストンシールと、
前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動方向における軸力であって前記ピストン本体にかかる軸力に関するピストン軸力情報を検出するピストン軸力情報検出部と、
前記圧力容器に対して前記ピストン本体を移動させる駆動装置と、
前記圧力容器に対して前記ピストン本体が移動するときの、前記ピストンシールと前記圧力容器との摩擦力に関する摩擦情報を記憶する摩擦情報記憶部と、
前記ピストン軸力情報検出部に検出された前記ピストン軸力情報、および、前記摩擦情報記憶部に記憶された前記摩擦情報に基づいて、前記駆動装置を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記圧力容器の内部の圧力を一定に保持するように制御する保持行程において、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が往復動作するように前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記摩擦情報記憶部は、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が差込側に移動するときの前記摩擦情報、および、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が引出側に移動するときの前記摩擦情報を記憶し、
前記駆動制御部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動の向きに対応する前記摩擦情報を選択し、選択した前記摩擦情報に基づいて前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【請求項3】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記摩擦情報記憶部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の複数パターンの移動速さそれぞれの前記摩擦情報を記憶し、
前記駆動制御部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動速さに対応する前記摩擦情報を選択し、選択した前記摩擦情報に基づいて前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【請求項4】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記圧力容器に対する前記ピストン本体の位置情報を検出するピストン位置情報検出部を備える、
加圧装置。
【請求項5】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記ピストン軸力情報検出部は、前記ピストン本体に取り付けられ、前記ピストン本体の歪みを検出する歪みゲージを備える、
加圧装置。
【請求項6】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記駆動装置は、
流体圧により前記ピストン本体を移動させる流体圧シリンダと、
前記流体圧シリンダに供給される流体圧を検出する流体圧検出部と、
前記流体圧検出部に検出された流体圧に基づいて前記流体圧シリンダの作動を制御する流体圧制御部と、
を備え、
前記ピストン軸力情報検出部が検出する前記ピストン軸力情報は、前記流体圧検出部が検出した流体圧を含む、
加圧装置。
【請求項7】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記駆動制御部は、前記保持行程において、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の前記往復動作における往復距離が漸減するように前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【請求項8】
請求項1に記載の加圧装置であって、
前記圧力容器から取り外し可能に設けられ、前記圧力容器の内部の圧力を検出する圧力検出部材を備え、
前記摩擦情報は、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が移動するときの、前記ピストン軸力情報検出部に検出される前記ピストン軸力情報と、前記圧力検出部材に検出される前記圧力容器の内部の圧力と、に基づいて取得される、
加圧装置。
【請求項9】
請求項8に記載の加圧装置であって、
前記圧力検出部材は、前記圧力容器の内部から取出可能に前記圧力容器の内部に配置され、
前記摩擦情報は、前記圧力検出部材が前記圧力容器の内部に配置された状態で取得される、
加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器の内部を加圧する加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、圧力容器の内部をピストンにより加圧する加圧装置が記載されている。同文献に記載の技術では、ピストンの押込時および後退時それぞれの圧力容器の内部の圧力(容器内圧)と、ピストンの歪み量と、の関係が予め測定される。容器内圧とピストンの歪み量との関係から、パッキン抵抗分が求められる。ピストン押込時には(加圧行程では)、ピストンの歪み量からパッキン抵抗分を減算し、ピストンの後退時には(減圧工程では)、ピストンの歪み量からパッキン抵抗分を加算することで、容器内圧が測定される(同文献の請求項1)。また、同文献に記載の技術では、容器内圧が、目標とする圧力(設定圧力)に制御される(同文献の[0016]~[0021])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3254256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献には、容器内圧を保持する保持行程において、容器内圧をどのように制御するかは記載されていない。保持行程での圧力容器の内部の圧力の制御を精度良く行うことが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、保持行程での圧力容器の内部の圧力の制御を精度良く行うことができる加圧装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
加圧装置は、圧力容器と、ピストン本体と、ピストンシールと、ピストン軸力情報検出部と、駆動装置と、摩擦情報記憶部と、駆動制御部と、を備える。前記ピストン本体は、前記圧力容器に対して差込側および引出側に移動可能に、前記圧力容器の内部に嵌め込まれる。前記ピストンシールは、前記ピストン本体に設けられ、前記ピストン本体と前記圧力容器との隙間を密封する。前記ピストン軸力情報検出部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動方向における軸力であって前記ピストン本体にかかる軸力に関するピストン軸力情報を検出する。前記駆動装置は、前記圧力容器に対して前記ピストン本体を移動させる。前記摩擦情報記憶部は、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が移動するときの、前記ピストンシールと前記圧力容器との摩擦力に関する摩擦情報を記憶する。前記駆動制御部は、前記ピストン軸力情報検出部に検出された前記ピストン軸力情報、および、前記摩擦情報記憶部に記憶された前記摩擦情報に基づいて、前記駆動装置を制御する。前記駆動制御部は、前記圧力容器の内部の圧力を一定に保持するように制御する保持行程において、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が往復動作するように前記駆動装置を制御する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、保持行程での圧力容器の内部の圧力の制御を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】加圧装置1の断面図などを示す図である。
図2図1に記載のコントローラ60などを示すブロック図である。
図3図1に記載の加圧装置1での事前測定で得られる情報を示すグラフである。
図4図2に記載の設定圧力設定部63に設定される設定圧力などを示すグラフである。
図5図4に記載の保持行程などでの容器内圧などを示すグラフである。
図6図5に記載の例とは容器内圧が異なる図5相当図である。
図7図5に示す保持行程の開始前に、図1に示すピストン本体21を往復動作させる場合の、図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図7を参照して、加圧装置1について説明する。
【0010】
加圧装置1は、圧力容器10内の加圧対象物Oを加圧する装置である。加圧装置1は、ピストン20の押圧力により加圧を行うピストン式加圧装置である。
【0011】
この加圧装置1は、例えば、等方圧加圧(IP;Isostatic Pressing)装置である。加圧装置1は、圧力容器10内の圧力媒体O1を加圧することで、圧力容器10内の処理品O3を等方的に加圧し、処理品O3を処理する。例えば、加圧装置1は、熱間等方圧加圧(HIP;Hot Isostatic Pressing)装置(例えばピストン式熱間等方圧加圧装置)でもよい。この場合、加圧装置1は、圧力媒体O1の圧力を約1000MPaなどに加圧する超高圧熱間等方圧加圧装置でもよく、圧力媒体O1の圧力をさらに高い圧力に加圧する超々高圧熱間等方圧加圧装置でもよい。例えば、加圧装置1は、温間等方圧加圧(WIP;Warm Isostatic Pressing)装置でもよく、冷間等方圧加圧(CIP;Cold Isostatic Pressing)装置でもよい。圧力媒体O1は、気体(例えば貴ガスなど)でもよい。圧力媒体O1は、液体でもよく、例えば常温では固化する液体(例えば溶融塩など)でもよい。
【0012】
この加圧装置1は、圧力媒体O1を加圧することで、処理品O3を加圧するものでなくてもよい。加圧対象物Oは、圧力媒体O1および処理品O3を含む必要はない。加圧装置1は、加圧対象物Oの状態を測定する装置(測定装置、実験装置など)でもよい。具体的には例えば、加圧装置1は、地中でのマグマの状態を再現する装置などでもよく、圧力容器10内に入れられたマグマと同じ材料を加圧および加熱する装置でもよい。また、加圧装置1は、単結晶成長炉でもよい。例えば、加圧装置1は、GaN(窒化ガリウム)の化合物半導体単結晶を製造するための装置でもよい。具体的には例えば、加圧装置1は、超高圧の窒素ガス雰囲気下でガリウム溶液に窒素ガスを溶解させて過飽和状態の中で結晶成長させる高温高圧合成法を行うための装置でもよい。以下では主に、加圧対象物Oが、圧力媒体O1および処理品O3を含む場合について説明する。
【0013】
(方向の定義)
後述するように、ピストン20は、圧力容器10に対して移動する。圧力容器10に対するピストン20の移動方向を、軸方向Zとする。軸方向Zにおいて、ピストン20が圧力容器10に差し込まれる側(向き)を差込側Z1とし、その逆側(逆向き)を引出側Z2とする。引出側Z2は、ピストン20が圧力容器10から引き出される側である。軸方向Zは、例えば上下方向(鉛直方向)でもよく、水平方向でもよく、上下方向および水平方向に対して傾いた方向でもよい。軸方向Zが上下方向の場合、差込側Z1は、上側でもよく、下側でもよい(引出側Z2も同様)。ピストン20の中心を通る軸であって軸方向Zに延びる軸を、中心軸Aとする。中心軸Aに直交する平面上の仮想円(図示なし)であって中心軸Aを中心とする仮想円の直径方向を「径方向」とする。
【0014】
この加圧装置1は、フレーム5と、圧力容器10と、ピストン20と、圧力容器内部材30と、駆動装置40と、ピストン位置情報検出部51と、ピストン軸力情報検出部53と、コントローラ60と、圧力通知部70と、を備える。後述する事前測定時に、加圧装置1は、圧力検出部材80を備える。
【0015】
フレーム5は、軸方向Zの力を受け止める(支持する)構造物である。フレーム5は、圧力容器10および駆動装置40(さらに詳しくは流体圧シリンダ41(後述))を支持する。フレーム5は、圧力容器10および流体圧シリンダ41を、軸方向Z外側の両側(例えば上下)から支持する。例えば、フレーム5は、オーバル状(図示なし)などである。この場合、フレーム5は、半円形または略半円形の2つのヨーク部と、2つのヨーク部どうしをつなぐ2本の直線状のコラム部と、を備える。この場合、図1に示したフレーム5は、ヨーク部(ヨークフレーム)の一部である。なお、フレーム5は、オーバル状である必要はなく、図1に示したフレーム5はヨークフレームである必要はない。
【0016】
圧力容器10は、加圧対象物Oを収容する容器である。圧力容器10は、圧力容器内部材30を収容する。圧力容器10は、圧力容器10とピストン20とに囲まれた空間を形成するように構成される。例えば、圧力容器10は、圧力容器胴11と、圧力容器蓋13と、を備える。
【0017】
圧力容器胴11は、軸方向Zに延びる筒状(例えば円筒状)の部材である。
【0018】
圧力容器蓋13は、圧力容器胴11の軸方向Zの一方(例えば上側)の開口を塞ぐ(密封する)。圧力容器蓋13が圧力容器10の上側部分に設けられる場合は、圧力容器蓋13は、「上蓋」である。圧力容器蓋13は、圧力媒体O1を導入するための孔(例えば図示しないガス導入口)を有してもよい。
【0019】
ピストン20は、圧力容器10の内部を加圧する部材である。ピストン20は、圧力容器胴11の軸方向Zの他方(圧力容器蓋13が設けられる側とは反対側)の開口を塞ぐ(密封する)。ピストン20が圧力容器10の下側部分に設けられる場合は、ピストン20は、「下蓋」である。ピストン20は、ピストン本体21と、ピストンシール23と、を備える。
【0020】
ピストン本体21は、ピストン20の本体部分である。ピストン本体21は、圧力容器10の内部に嵌め込まれ(差し込まれ)る。ピストン本体21は、ピストンシール23を介して圧力容器10の内部に嵌め込まれる。ピストン本体21は、圧力容器10に対して差込側Z1および引出側Z2に移動可能である。ピストン本体21は、ピストンシール23を介して圧力容器10に対して摺動可能である。例えば、ピストン本体21は、ピストン本体柱状部21aと、ピストン本体基部21bと、を備える。ピストン本体柱状部21aは、ピストン本体21の差込側Z1部分である。ピストン本体柱状部21aの少なくとも一部は、圧力容器10の内部に差し込まれる。ピストン本体柱状部21aは、軸方向Zに延びるように設けられる柱状(例えば円柱状)である。ピストン本体基部21bは、ピストン本体21の引出側Z2部分である。ピストン本体基部21bは、圧力容器10の内部に差し込まれない。ピストン本体基部21bは、ピストン本体柱状部21aから径方向外側に突出する。
【0021】
ピストンシール23は、ピストン本体21と圧力容器10との隙間を密封する部材(パッキン)である。ピストンシール23は、ピストン本体21に設けられ、ピストン本体柱状部21aに設けられる。ピストンシール23は、ピストン本体柱状部21aの差込側Z1部分に設けられる。ピストンシール23は、ピストン本体柱状部21aの径方向外側の面(例えば外周面)に設けられる。例えば、ピストンシール23は、弾性部材(例えば、ゴム、樹脂など)により構成される。ピストンシール23は、環状(例えば円環状)である。ピストンシール23は、ピストン本体21と一体的に軸方向Zに移動する。ピストンシール23は、圧力容器10に対して摺動する。
【0022】
このピストンシール23は、圧力容器10に接触する。さらに詳しくは、ピストンシール23は、圧力容器胴11の内面(例えば内周面)に接触する。ピストンシール23は、加圧対象物O(例えば圧力媒体O1)から圧力を受け、変形し、圧力容器10の内面を径方向外側に押圧する。ピストンシール23と圧力容器10との間の摩擦力を、「ピストンシール摩擦力」という。このピストンシール摩擦力は、圧力容器10の内部の圧力(「容器内圧」という)の制御において無視できない大きさとなる。そのため、容器内圧の制御は、ピストンシール摩擦力に関する情報(摩擦情報)に基づいて行われる(後述)。
【0023】
圧力容器内部材30は、圧力容器10の内部に設けられる部材である。例えば、加圧装置1が熱間等方圧加圧装置の場合、圧力容器内部材30は、サポート31と、断熱層33と、加熱装置35と、を備える。
【0024】
サポート31は、ピストン本体21に対して処理品O3などを支持する。サポート31は、ピストン本体21よりも差込側Z1に処理品O3が配置されるように、処理品O3を支持する。サポート31は、断熱層33および加熱装置35を、処理品O3と同様に支持する。
【0025】
断熱層33は、処理品O3を収納する。断熱層33は、断熱層33内の空間と、圧力容器10内かつ断熱層33外の空間と、の間での断熱を行う。断熱層33は、断熱層33内の空間と、圧力容器10内かつ断熱層33外の空間と、の間で圧力を伝えるように構成される。例えば、断熱層33とサポート31との間などに隙間が設けられてもよい。
【0026】
加熱装置35(ヒータ、ヒータエレメント)は、圧力容器10内を加熱する。例えば、加熱装置35は、断熱層33の内部を加熱し、処理品O3を加熱する。加熱装置35は、断熱層33の内部(径方向内側)に配置される。加熱装置35は、処理品O3の周囲(径方向外側)に配置される。なお、加圧装置1が冷間等方圧加圧装置の場合には、断熱層33および加熱装置35は設けられなくてもよく、例えば、処理品O3を収容する部材(ゴム型など)が設けられてもよい。
【0027】
駆動装置40は、圧力容器10に対してピストン本体21を移動させる(駆動する)装置である。駆動装置40は、ピストン本体21を軸方向Zに移動させる。駆動装置40は、作動流体の圧力(流体圧)によりピストン本体21を移動させる流体圧駆動装置でもよい。例えば、駆動装置40は、油圧によりピストン本体21を移動させる油圧駆動装置でもよい。駆動装置40は、流体圧以外の動力(例えば電力など)によりピストン本体21を移動させる装置でもよい。以下では主に、駆動装置40が流体圧駆動装置である場合について説明する。駆動装置40は、流体圧シリンダ41と、流体圧配管43と、流体圧検出部45と、流体圧制御部47と、を備える。
【0028】
流体圧シリンダ41は、流体圧によりピストン本体21を移動させる。流体圧シリンダ41は、例えば油圧シリンダなどである。流体圧シリンダ41は、シリンダ本体41aと、シリンダシール41bと、ラム41cと、ラムシール41dと、を備える。
【0029】
シリンダ本体41aは、ラム41cの引出側Z2の部分を収容する。シリンダ本体41aは、ヘッド側室41a1と、ラム側室41a2と、を備える。ヘッド側室41a1は、ラム41cが(ピストン本体21が)差込側Z1に移動するときに作動流体が供給される空間(例えば油室)である。ヘッド側室41a1は、シリンダ本体41a内部、かつ、ラム基部41c1(後述)よりも引出側Z2の空間である。ラム側室41a2は、ラム41cが(ピストン本体21が)引出側Z2に移動するときに作動流体が供給される空間(例えば油室)である。ラム側室41a2は、シリンダ本体41aの内部、かつ、ラム基部41c1よりも差込側Z1の空間である。なお、ラム41cの(ピストン本体21の)の引出側Z2への移動は、流体圧により行われなくてもよい。例えば、ラム41cの(ピストン本体21の)の引出側Z2への移動は、図示しないばねの弾性力などにより行われてもよく、ピストン20の自重により行われてもよい。
【0030】
シリンダシール41bは、シリンダ本体41aとラム41cとの隙間を密封する部材(パッキン)である。シリンダシール41bは、ピストン本体21に設けられ、さらに詳しくは、ピストン本体21の差込側Z1部分の径方向内側部分(例えば内周部分)に設けられる。シリンダシール41bは、ラム41cと接触し、さらに詳しくは、ラム柱状部41c2(後述)の径方向外側の面(例えば外周面)に接触する。例えば、シリンダシール41bは、弾性部材(例えば、ゴム、樹脂など)により構成される。シリンダシール41bは、環状(例えば円環状)である。
【0031】
ラム41cは、ピストン本体21を軸方向Zに移動させる。例えば、ラム41cは、ピストン本体21と別体であり、ピストン本体21に固定されてもよい。この場合、ラム41cは、ピストン本体21に軸方向Zに連結される。ラム41cは、ピストン本体21よりも引出側Z2に設けられる。また、例えば、ラム41cは、ピストン本体21と一体的に形成されてもよい。ラム41cは、ピストン本体21と一体的に移動する。例えば、ラム41cは、ラム基部41c1と、ラム柱状部41c2と、を備える。ラム基部41c1は、ラム41cの引出側Z2の部分である。ラム基部41c1は、シリンダ本体41aの内部に配置される。ラム基部41c1は、シリンダ本体41aの内部を、ヘッド側室41a1とラム側室41a2とに分ける(区切る)。ラム柱状部41c2は、ラム基部41c1から差込側Z1に延びるように設けられる。ラム柱状部41c2は、シリンダ本体41aの内部から外部に差込側Z1に突出する。ラム柱状部41c2は、軸方向Zに延びる柱状(例えば円柱状)である。
【0032】
ラムシール41dは、ラム41cとシリンダ本体41aとの隙間を密封する部材(パッキン)である。ラムシール41dは、ヘッド側室41a1とラム側室41a2との間で作動流体が流入および流出しないようにする。ラムシール41dは、ラム41cに設けられ、さらに詳しくは、ラム基部41c1の径方向外側部分(例えば外周面)に設けられる。ラムシール41dは、シリンダ本体41aと接触し、さらに詳しくは、シリンダ本体41aの内部の径方向内側の面(例えば内周面)と接触する。例えば、ラムシール41dは、弾性部材(例えば、ゴム、樹脂など)により構成される。ラムシール41dは、環状(例えば円環状)である。ラムシール41dは、ラム41cと一体的に軸方向Zに移動する。ラムシール41dは、シリンダ本体41aに対して摺動する。
【0033】
流体圧配管43は、作動流体が通る配管である。流体圧配管43は、流体圧制御部47と流体圧シリンダ41(さらに詳しくはヘッド側室41a1)との間での作動流体の供給および排出を行う。なお、流体圧制御部47とラム側室41a2との間での作動流体の供給および排出を行う配管(図示なし)が設けられてもよい。
【0034】
流体圧検出部45は、流体圧シリンダ41に供給される流体圧を検出する。さらに詳しくは、流体圧検出部45は、ピストン本体21が差込側Z1に移動するときに流体圧シリンダ41に供給される作動流体の圧力(流体圧)を検出する。流体圧検出部45は、検出値(例えば電気信号)を、流体圧制御部47に出力(送信)する。流体圧検出部45は、例えば圧力発信機である。流体圧検出部45は、シリンダ本体41aの内部(さらに詳しくはヘッド側室41a1の内部)の流体圧を検出してもよく、この流体圧と同じまたは略同じ流体圧(例えば、流体圧配管43の内部の流体圧)を検出してもよい。
【0035】
流体圧制御部47は、流体圧シリンダ41の作動を制御する。流体圧制御部47は、流体圧シリンダ41の作動を制御することで、ピストン本体21の作動を制御する。流体圧制御部47は、流体圧検出部45に検出された流体圧に基づいて、流体圧シリンダ41の作動を制御する。例えば、流体圧制御部47は、複数の流体機器を備える装置(流体圧ユニット)である。例えば、流体圧制御部47は、ポンプと、バルブ(例えばリリーフ機構など)と、流体圧制御部47に入力される信号に基づいてポンプおよびバルブを制御する制御装置と、を備える。
【0036】
ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対するピストン本体21の位置情報(詳細は後述)を検出する。ピストン位置情報検出部51は、軸方向Zにおけるピストン本体21の位置情報を検出する。後述するように、ピストン本体21は、保持行程において微小な往復動作(往復移動)を行う。ピストン位置情報検出部51は、このピストン本体21の往復動作の微小な動きを把握できるように構成される。例えば、ピストン位置情報検出部51は、非接触により位置情報を検出する。例えば、ピストン位置情報検出部51は、電磁波により位置情報を検出する。例えば、ピストン位置情報検出部51は、光(例えばレーザ光など)により位置情報を検出してもよく、電波により位置情報を検出してもよい。ピストン位置情報検出部51は、ピストン本体21またはラム41cなどに接触することでピストン本体21の位置情報を検出してもよい(接触式センサでもよい)。
【0037】
このピストン位置情報検出部51が電磁波(例えば光)により位置情報を検出する場合、ピストン位置情報検出部51は、センサ本体部51aと、反射部51bと、を備える。
【0038】
センサ本体部51aは、電磁波を放出および受信(例えば受光)する。センサ本体部51aは、軸方向Zに電磁波を放出する。センサ本体部51aは、圧力容器10またはピストン本体21に設けられる。図1に示す例では、センサ本体部51aは、圧力容器10に設けられる(例えば取り付けられる)。例えば、センサ本体部51aは、圧力容器胴11の引出側Z2の部分(例えば端部)に設けられてもよい。例えば、センサ本体部51aは、圧力容器胴11の径方向外側の部分などに設けられてもよい(図示なし)。
【0039】
反射部51bは、センサ本体部51aから放出された電磁波を反射する面(例えば平面)を備える。反射部51bは、センサ本体部51aと軸方向Zに対向する位置に配置される。反射部51bは、圧力容器10およびピストン本体21のうち、センサ本体部51aが設けられた側とは反対側に設けられる。図1に示す例では、反射部51bは、ピストン本体21(例えばピストン本体基部21b)に設けられる。例えば、反射部51bは、ピストン本体21と別体である。例えば、反射部51bは、板状(反射板)でもよく、板状でなくても(例えばブロック状などでも)よい。また、例えば、反射部51bは、ピストン本体21と一体的に設けられてもよい。例えば、反射部51bは、ピストン本体基部21bの一部でもよい。反射部51bは、ラム41cに設けられてもよい(ラム41cを介してピストン本体21に設けられてもよい)。なお、センサ本体部51aがピストン本体21に設けられ、反射部51bが圧力容器10に設けられてもよい。例えば、センサ本体部51aは、センサ本体部51aから反射部51bまでの軸方向Zにおける距離Dzを検出する。
【0040】
ピストン軸力情報検出部53は、ピストン軸力情報を検出する。ピストン軸力情報は、軸方向Zの軸力(軸方向Zにかかる力)であってピストン本体21にかかる軸力(「ピストン軸力」という)に関する情報である。ピストン軸力は、ピストン本体21に加わる容器内圧による力と、ピストンシール摩擦力と、の和である。なお、厳密には、ピストン軸力は、容器内圧およびピストンシール摩擦力以外の力、例えばピストン本体21の自重などの影響を受ける。しかし、容器内圧およびピストンシール摩擦力以外の力がピストン軸力に与える影響は、無視できる程度に小さい。
【0041】
このピストン軸力情報検出部53でピストン軸力情報を検出する理由は、次の通りである。加圧装置1では、容器内圧が設定圧力(目標圧力)にできるだけ近づくように制御することが重要である。しかし、加圧装置1の実運転(後述)時には、容器内圧を直接的に検出することはできない、または困難である。その理由の例は、次の通りである。[容器内圧を容器外で検出する場合]例えば、圧力容器10の内部から外部に高圧(例えば1000MPa級など)の圧力媒体O1を導出するための、圧力導出部材De(例えば配管)が設けられる。そして、圧力検出部材80(後述)が、圧力導出部材Deで導出された圧力(またはこの圧力が減圧された圧力)を、圧力容器10の外部で検出する。この場合、圧力導出部材Deが、短寿命となり、長時間の実運転には耐えられないおそれがある。[容器内圧を容器内で検出する場合]例えば、圧力検出部材80が、圧力容器10の内部に配置され、圧力媒体O1の圧力を検出する。すると、圧力検出部材80が、長時間の実運転には耐えられないおそれがある。そのため、加圧装置1の実運転(後述)時には、容器内圧を直接的に検出することはできない、または困難である。そこで、加圧装置1の実運転時には、ピストン軸力情報検出部53が、容器内圧に換算可能なピストン軸力情報を検出する。そして、容器内圧が、ピストン軸力情報などに基づいて制御される(制御の詳細は後述)。
【0042】
このピストン軸力情報検出部53に検出されるピストン軸力情報は、ピストン軸力の値でもよい。ピストン軸力情報は、ピストン軸力に関する(相関する)情報でもよい。例えば、ピストン軸力情報は、ピストン軸力に換算可能な情報を含んでもよく、ピストン軸力から換算可能な情報を含んでもよい。具体的には例えば、ピストン軸力情報は、ピストン本体21の軸方向Zの歪み量を含んでもよい。なお、ピストン本体21の軸力は、ピストン本体21の軸方向Zの歪み量から材料力学の式により算出可能である。また、例えば、ピストン軸力情報は、駆動装置40がピストン本体21を差込側Z1に押圧する力に関する情報を含んでもよい(後述する変形例を参照)。ピストン軸力情報は、ピストン軸力を、容器内圧に換算した圧力(換算圧力)を含んでもよい。例えば、ピストン軸力情報が、ピストン本体21の軸方向Zの歪み量を含む場合、ピストン軸力情報検出部53は、歪みゲージ53aを備える。
【0043】
歪みゲージ53aは、ピストン本体21の軸方向Zの歪みを検出する。歪みゲージ53aは、ピストン本体21に取り付けられる(例えば貼り付けられる)。さらに詳しくは、歪みゲージ53aは、ピストン本体柱状部21aの径方向外側の面(例えば外周面)に取り付けられる。
【0044】
コントローラ60は、信号の入出力、情報の記憶、演算(算出、判定など)などを行う装置(コンピュータ)である。例えば、コントローラ60は、パーソナルコンピュータでもよく、プログラマブルコントローラでもよい。例えば、コントローラ60の機能は、コントローラ60の記憶部に記憶されたプログラムが演算部で実行されることにより実現される。図2に示すように、コントローラ60は、ピストン位置情報演算部61と、摩擦情報記憶部62と、設定圧力設定部63と、圧力演算部64と、駆動制御部65と、を備える。以下では、加圧装置1のうちコントローラ60以外の構成要素については図1を参照し、コントローラ60およびコントローラ60の構成要素については図2を参照して説明する。
【0045】
ピストン位置情報演算部61は、ピストン位置情報検出部51の検出値から、ピストン本体21の位置情報に関する演算を行う。例えば、位置情報は、後述する摩擦情報の選択などに用いられる。位置情報は、ピストン本体21の位置の情報(値、座標など)を含んでもよい。位置情報は、ピストン本体21の移動(位置の変化)の情報を含んでもよい。位置情報は、ピストン本体21が移動しているか否かを示す情報を含んでもよい。位置情報は、ピストン本体21の移動の向き(差込側Z1か、引出側Z2か)の情報を含んでもよい。位置情報は、ピストン本体21の移動速さ(移動速度の大きさ)の情報を含んでもよい。
【0046】
摩擦情報記憶部62は、摩擦情報を記憶する。摩擦情報は、ピストンシール摩擦力に関する情報である(詳細は後述)。
【0047】
設定圧力設定部63は、圧力容器10内の設定圧力を設定する。設定圧力は、圧力容器10内の目標とする圧力(目標とする容器内圧)である(詳細は後述)。例えば、設定圧力設定部63は、コントローラ60の操作に応じて設定圧力を設定してもよく、コントローラ60の外部からコントローラ60に入力される情報に基づいて設定圧力を設定してもよい。
【0048】
圧力演算部64(圧力演算機)は、容器内圧を演算(推定)する。圧力演算部64は、ピストン軸力情報検出部53に検出されたピストン軸力情報、および、摩擦情報記憶部62に記憶された摩擦情報に基づいて、容器内圧を演算する(詳細は後述)。
【0049】
駆動制御部65は、駆動装置40を制御する。駆動制御部65は、ピストン軸力情報検出部53に検出されたピストン軸力情報、および、摩擦情報記憶部62に記憶された摩擦情報に基づいて、駆動装置40を制御する(詳細は後述)。
【0050】
圧力通知部70(図1参照)は、容器内圧に関する情報を通知する。例えば、圧力通知部70は、圧力演算部64に演算された容器内圧の値などを通知する。圧力通知部70による通知は、表示でもよい(圧力通知部70は、例えば圧力表示器でもよい)。圧力通知部70による通知は、音声による通知などでもよい。
【0051】
圧力検出部材80(圧力測定素子)(図1参照)は、容器内圧を検出する。圧力検出部材80は、後述する事前測定時に、容器内圧を直接的に検出するために用いられる。圧力検出部材80は、圧力容器10から取り外し可能に設けられる。圧力検出部材80は、圧力容器10の内部に配置され、圧力容器10の内部で圧力容器10に取り付けられてもよい(詳細は後述)。圧力検出部材80は、圧力容器10の外部に配置され、圧力導出部材Deを介して圧力容器10に取り付けられてもよい。
【0052】
この圧力検出部材80は、例えば、圧力検出部材80の周囲の圧力と、圧力検出部材80の電気抵抗値と、の関係が予め分かっている部材である。圧力検出部材80は、さらに温度と電気抵抗値との関係が予め分かっているものでもよい。例えば、圧力検出部材80は、圧力検出部材80の周囲の圧力と圧力検出部材80の電気抵抗値とが、比例または略比例する部材である。具体的には例えば、圧力検出部材80は、マンガンを12~18質量%、ニッケルを1.5~4質量%含む銅合金を備えてもよい。圧力検出部材80は、圧力検出部材80の周囲の圧力と圧力検出部材80の電気抵抗値とが、比例または略比例する部材である必要はない。例えば、圧力検出部材80は、ニッケルを45~50質量%、銅を50~55質量%含む合金(コンスタンタン)などでもよい(ニッケルと銅との割合の合計は100質量%以下である)。圧力検出部材80は、加圧装置1の実運転(後述)時には、設けられる必要はない。
【0053】
(作動)
加圧装置1は、以下のように作動するように構成される。加圧装置1では、事前測定と、実運転(通常運転)と、が行われる。加圧装置1のうちコントローラ60以外の構成要素については図1を参照し、コントローラ60およびコントローラ60の構成要素については図2を参照して説明する。
【0054】
(事前測定)
事前測定は、摩擦情報記憶部62に記憶される摩擦情報を取得するための、測定(加圧装置1の運転)である。事前測定がおこなわれるときの加圧装置1は、摩擦情報を取得するための摩擦情報取得装置である。事前測定は、実運転よりも前に(事前に)行われる。事前測定では、圧力検出部材80が、圧力容器10の内部または外部に設けられる。事前測定では、ピストン軸力情報検出部53に検出されるピストン軸力情報と、圧力検出部材80に検出される内圧(「容器内実圧」という)と、の関係(事前測定取得関係R(図3参照))が測定される。
【0055】
(事前測定取得関係Rの取得の範囲)
図3に示す事前測定取得関係Rは、実運転時のピストン軸力情報の範囲(使用軸力範囲)にわたって取得される。事前測定取得関係Rは、使用軸力範囲の全体を含むように取得される。例えば、ピストン軸力情報が、ピストン本体21の軸力から容器内圧に換算された換算圧力(後述)である場合は、事前測定取得関係Rは、実運転時の換算圧力の範囲(使用換算圧力範囲)にわたって取得される。事前測定取得関係Rは、実運転時の容器内実圧の範囲(使用容器内実圧範囲)にわたって取得される。事前測定取得関係Rは、使用容器内実圧範囲の全体を含むように取得される。
【0056】
(事前測定でのピストン本体21の移動の有無、および移動の向き)
事前測定では、圧力容器10に対してピストン本体21が軸方向Zに移動するときの事前測定取得関係Rが取得される。事前測定取得関係Rは、圧力容器10に対するピストン本体21の移動の向きごとに取得されることが好ましい。さらに詳しくは、後述する「差込側Z1の移動での関係Ra」と、後述する「引出側Z2の移動での関係Rc」と、が取得されることが好ましい。事前測定では、圧力容器10に対してピストン本体21が静止しているときの事前測定取得関係Rである「静止時の関係Rb」が、取得されてもよい。
【0057】
(事前測定でのピストン本体21の移動速さ)
事前測定では、ある1パターンのピストン本体21の移動速さでの事前測定取得関係Rが取得されてもよい。この場合、上記「1パターン」の移動速さは、実運転時のピストン本体21の移動速さと同じまたは略同じ移動速さであることが好ましい。事前測定では、複数パターンのピストン本体21の移動速さそれぞれでの事前測定取得関係Rが取得されてもよい。この場合、図3に示すようなグラフが複数パターン取得される。
【0058】
(事前測定取得関係Rの具体例)
事前測定取得関係R(ピストン軸力情報と、容器内実圧との関係)の具体例について説明する。図3に示す例では、ピストン軸力情報は、換算圧力である。換算圧力は、例えば次のように算出される。歪みゲージ53aから得られたピストン本体21の歪み量から、ピストン本体21の軸力が算出される。なお、上記のように、ピストン本体21の軸力は、ピストンシール摩擦力とピストン本体21が受ける圧力による力との和である。そして、ピストン本体21の軸力をピストン本体21の受圧面積で割った値が、換算圧力である。上記「受圧面積」は、ピストン本体21のうち、加圧対象物O(圧力媒体O1)から軸方向Zに圧力を受ける部分の面積である。具体的には例えば、受圧面積は、差込側Z1から見たときのピストン本体柱状部21aの面積である。
【0059】
事前測定取得関係Rには、差込側Z1の移動での関係Raと、静止時の関係Rbと、引出側Z2の移動での関係Rcと、がある。図3に示す例では、事前測定取得関係Rは、差込側Z1の移動での関係Ra、静止時の関係Rb、引出側Z2の移動での関係Rc、の順(プロセス)で得られる。なお、圧力容器10が予め加圧された状態から事前測定が開始され、引出側Z2の移動での関係Rc、差込側Z1の移動での関係Ra、の順で事前測定取得関係Rが取得されてもよい。以下では、主に、ピストン軸力情報が換算圧力の場合について説明する。
【0060】
換算圧力と容器内実圧とには、ズレが生じる。このズレの量を、ズレ量αとする。ズレ量αは、効率100%線Lに対する、換算圧力のズレの量である。効率100%線Lは、容器内実圧と換算圧力とが一致すると仮定した場合の、容器内実圧と換算圧力との関係を示す直線のグラフである。ズレ量αは、ピストンシール摩擦力によって生じる。具体的には、ズレ量αは、ピストンシール摩擦力を、ピストン本体21の受圧面積で割った値である。
【0061】
差込側Z1の移動での関係Raは、圧力容器10に対してピストン本体21が差込側Z1に移動するとき(加圧行程(各工程の詳細は後述))の事前測定取得関係Rである。差込側Z1の移動での関係Raでは、実圧力が大きくなるほど、換算圧力が大きくなる。差込側Z1の移動での関係Raにおけるズレ量αを、ズレ量αaとする。ズレ量αaは、換算圧力が大きくなるほど(実圧力が大きくなるほど)大きくなる。ズレ量αaは、換算圧力から容器内実圧を引いた値である。なお、ピストン本体21の差込側Z1への移動の開始時(加圧行程の開始時)には、ピストン本体21は、ピストンシール摩擦力を超える力で差込側Z1に押されるまでは、差込側Z1に移動せず、容器内実圧は上がらない(グラフの左下部分を参照)。
【0062】
静止時の関係Rbは、圧力容器10に対してピストン本体21が静止しているとき(保持行程)の事前測定取得関係Rである。静止時の関係Rbでは、実圧力は、一定(または略一定)の圧力P2に維持される。なお、静止時の関係Rbは、事前測定において取得されなくてもよい。
【0063】
引出側Z2の移動での関係Rcは、圧力容器10に対してピストン本体21が引出側Z2に移動するとき(減圧工程)の事前測定取得関係Rである。引出側Z2の移動での関係Rcでは、容器内実圧が小さくなるほど、換算圧力が小さくなる。引出側Z2の移動での関係Rcにおけるズレ量αを、ズレ量αcとする。ズレ量αcは、換算圧力が大きくなるほど(実圧力が大きくなるほど)大きくなる。ズレ量αcは、容器内実圧から換算圧力を引いた値である。図3に示す例では、容器内実圧がある圧力P1のときのズレ量αcは、容器内実圧がこの圧力P1のときのズレ量αaよりも大きい。なお、容器内実圧がある圧力P1のとき、ズレ量αcが、ズレ量αaよりも小さくなる場合や、ズレ量αaと等しくなる場合があり得る。
【0064】
差込側Z1の移動での関係Ra、静止時の関係Rb、および引出側Z2の移動での関係Rcのそれぞれのグラフは、図3に示す例では直線状であるが、直線状になるとは限らず、曲線状となる場合もある。例えば、差込側Z1の移動での関係Raおよび引出側Z2の移動での関係Rcの少なくともいずれかのグラフが、保持行程に近い部分で大きく曲がる場合などがある。
【0065】
(事前測定の具体例)
事前測定では、圧力検出部材80が容器内実圧を検出する。圧力検出部材80は、圧力容器10の内部に配置されても、圧力容器10の外部に配置されてもよい。
【0066】
圧力検出部材80が圧力容器10の外部で容器内実圧を検出する場合(圧力検出部材80が圧力容器10の外部に配置された状態で摩擦情報が取得される場合)の具体例は、次の通りである。圧力容器10の内部から外部に高圧(例えば1000MPa級など)の圧力媒体O1を導出するための、圧力導出部材De(例えば配管)が設けられる。例えば、圧力導出部材Deは、圧力容器10(さらに詳しくは圧力容器蓋13)の孔に設けられる。そして、圧力検出部材80が、圧力導出部材Deによって導出された圧力(またはこの圧力が減圧された圧力)を、圧力容器10の外部で検出する。この例では、圧力導出部材Deに高圧(例えば1000MPa級など)が加わる。圧力導出部材Deは、長時間の実運転には耐えられないおそれがある。一方、圧力導出部材Deは、実運転よりも短時間の事前測定(例えば数十回程度の加圧)には十分耐えられる(耐えられるものが用いられる)。圧力導出部材Deは、事前測定で用いられた後、実運転時には圧力容器10から取り外されることが好ましい。
【0067】
圧力検出部材80が圧力容器10の内部で容器内実圧を検出する場合(圧力検出部材80が圧力容器10の内部に配置された状態で摩擦情報が取得される場合)の具体例は、次の通りである。圧力検出部材80は、圧力容器10の内部から取出可能に、圧力容器10の内部に配置される。圧力検出部材80に、配線(図示なし)が接続される。この配線は、例えば圧力検出部材80の電気抵抗を測定するための配線などである。この配線は、圧力検出部材80に接続され、例えばフィードスルーを介して、圧力容器10の外部に導出される。そして、圧力検出部材80が、圧力容器10の内部の圧力を検出する。圧力検出部材80は、事前測定で用いられた後、実運転時には圧力容器10から取り外されることが好ましい。実運転時には、圧力容器10の内部の温度が圧力検出部材80の耐熱性を超えることなどにより、圧力検出部材80による圧力検出の性能に影響が生じ、容器内実圧の検出の精度が悪化する、または検出が不可能になるおそれがある。
【0068】
(事前測定の他の条件)
事前測定と実運転とで、摩擦情報に影響を与える条件をできるだけ同じ条件にすることが好ましい。例えば、ピストンシール23の温度は、事前測定と実運転とで、できるだけ同じであることが好ましい。具体的には例えば、実運転時には、断熱層33の内部が2000℃となる場合は、圧力容器10の内部かつ断熱層33の外部は約100℃などになり、ピストンシール23も約100℃になる場合がある。この場合、事前測定時にも、ピストンシール23の温度を100℃または約100℃とすることが好ましい。摩擦情報に与える影響が小さければ、実運転時にピストンシール23が100℃などになる場合に、事前測定時にピストンシール23が室温(約20℃など)にされてもよい。なお、上記の温度の値は一例にすぎず、上記の温度は様々に値に設定可能である。摩擦情報に与える影響がない、または略ない条件については、事前測定と実運転とで同じ条件にする必要はない。例えば、事前測定時には、圧力容器10の内部に、圧力容器内部材30や処理品O3が設けられる必要はない。
【0069】
(摩擦情報記憶部62が記憶する摩擦情報)
摩擦情報記憶部62が記憶する摩擦情報は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの、ピストンシール摩擦力に関する情報を含む。摩擦情報は、事前測定によって得られた事前測定取得関係Rに基づいて取得(設定)される。摩擦情報は、事前測定取得関係Rでもよく、事前測定取得関係Rから算出(導出)された情報でもよい。
【0070】
例えば、摩擦情報は、ピストン軸力情報と、ピストンシール摩擦力に関する値の大きさと、の関係(例えばグラフ、マップなど)である。摩擦情報は、ピストン軸力情報とズレ量αとの関係でもよい。この場合のズレ量αを「圧力補正値データ」ともいう。摩擦情報は、ピストン軸力情報と、換算圧力からズレ量αを加算または減算した値(容器内圧の推定値)と、の関係でもよい。摩擦情報は、ピストン軸力情報と、ピストンシール摩擦力の大きさと、の関係でもよい。
【0071】
摩擦情報記憶部62は、ピストン本体21の移動の向きごとに摩擦情報を記憶することが好ましい。この場合、摩擦情報記憶部62は、圧力容器10に対してピストン本体21が差込側Z1に移動するときの摩擦情報を記憶する。この摩擦情報は、差込側Z1の移動での関係Raに基づいて設定される。また、摩擦情報記憶部62は、圧力容器10に対してピストン本体21が引出側Z2に移動するときの摩擦情報を記憶する。この摩擦情報は、引出側Z2の移動での関係Rcに基づいて設定される。なお、摩擦情報記憶部62は、静止時の関係Rbに基づく摩擦情報を記憶しなくてもよい(記憶してもよい)。
【0072】
摩擦情報記憶部62は、ピストン本体21の複数パターンの移動速さごとに摩擦情報を記憶することが好ましい。さらに詳しくは、摩擦情報記憶部62は、圧力容器10に対するピストン本体21の複数パターンの移動速さそれぞれの摩擦情報を記憶することが好ましい。
【0073】
(摩擦情報の校正)
摩擦情報は、必要な時に校正(修正、更新)されてもよい。例えば、実運転が行われた後、必要に応じて事前測定が再度行われ、摩擦情報が校正されてもよい。この場合、加圧装置1は、精度の高い容器内圧の制御を維持することができる。
【0074】
(実運転)
実運転は、摩擦情報に基づいて容器内圧を制御する、加圧装置1の運転である。加圧装置1が処理品O3を処理する装置である場合、実運転は、処理品O3を処理するための運転である。加圧装置1が、加圧対象物Oの状態を測定する装置である場合、実運転は、加圧対象物Oの状態を測定するための運転である。
【0075】
(実運転の概要)
実運転の手順の概要は、例えば次の通りである。設定圧力設定部63に、設定圧力(目標圧力)が設定され、例えば設定圧力の設定パターンが設定される(図4参照)。設定パターンは、設定圧力と時間との関係に関する情報である。ピストン20が、圧力容器10内に差し込まれる。加圧対象物O(例えば圧力媒体O1および処理品O3)が、圧力容器10内に入れられる。加熱装置35が、加圧行程の開始前または開始と同時に、圧力容器10内の加熱を開始する(オンにされる)。そして、加圧装置1は、設定パターン(図4参照)に従って、加圧行程、保持行程、および減圧工程を行う。加圧行程は、1段階のみ行われてもよく、複数段階行われてもよい(減圧工程も同様)。図4に示す例では、加圧行程が2段階行われ、減圧工程が1段階行われる。図4に示す例では、加圧装置1は、加圧行程、保持行程、加圧行程、保持行程、減圧工程、の順で各工程を行う。
【0076】
(容器内圧の制御の概要)
駆動制御部65は、加圧行程、保持行程、および減圧行程のそれぞれの行程において、ピストン軸力情報および摩擦情報に基づいて、駆動装置40を制御する。駆動制御部65は、駆動装置40を制御することで、ピストン本体21の軸方向Zの移動を制御し、容器内圧を制御する。ピストン軸力情報および摩擦情報に基づいて容器内圧が制御されるので、容器内圧が直接的に(圧力検出部材80により)検出される必要はない。よって、圧力容器10の内部の圧力を、圧力容器10の外部に導出しなくても、また、圧力容器10の内部に圧力検出部材80を設けなくても、容器内圧を精度良く制御することができる。
【0077】
(加圧行程)
駆動制御部65は、加圧行程において、ピストン本体21が差込側Z1に移動するように、駆動装置40を制御する。加圧行程でのピストン本体21の移動の向きは、差込側Z1に限定される(一方向に限定される)。なお、加圧行程において、ピストン本体21が往復動作する場合があってもよい(後述)(図7参照)。加圧行程において、容器内圧は、時間とともに増加する。加圧行程での容器内圧の変化は、ほぼ、ピストン本体21の移動によるものに限定される(減圧工程も同様)。なお、厳密には、加圧行程において、例えば加熱装置35の熱などによる圧力容器10の内部の温度変化により、容器内圧が変化する。しかし、ピストン本体21の移動によるもの以外の要因による容器内圧の変化は、無視できる程度に小さい(無視しても容器内圧の制御に影響がない、または略ない)(減圧工程も同様)。加圧行程における駆動制御部65による駆動装置40の制御は、後述する保持行程でのピストン本体21の往復動作のうち差込側Z1への移動時の駆動装置40の制御と同様である。
【0078】
(減圧工程)
駆動制御部65は、減圧行程において、ピストン本体21が引出側Z2に移動するように、駆動装置40を制御する。減圧行程でのピストン本体21の移動の向きは、引出側Z2に限定される(一方向に限定される)。なお、減圧行程において、ピストン本体21が往復動作する場合があってもよい。減圧行程において、容器内圧は、時間とともに減少する。減圧行程における駆動制御部65による駆動装置40の制御は、後述する保持行程でのピストン本体21の往復動作のうち引出側Z2への移動時の駆動装置40の制御と同様である。
【0079】
(保持行程)
駆動制御部65は、保持行程において、容器内圧を略一定に保持するように、駆動装置40を制御する。駆動制御部65は、保持行程において、ピストン本体21を略一定の位置で往復動作させる(往復動作の詳細は後述)。
【0080】
例えば、加圧装置1が、処理品O3を処理する等方圧加圧装置である場合、加圧行程、保持行程、および減圧工程の中で最も肝心な工程は、保持行程である。保持行程において、処理品O3を目標温度で保持し、処理品O3を加圧する圧力を設定圧力で保持することが重要である。保持行程では、処理品O3の温度分布が、目標温度(例えば2000℃など)で一様になることが目標とされる。そのために、保持行程では、圧力容器10の内部の温度分布を定常状態(例えば断熱層33の内部から外部に一定の熱が放出し続ける状態など)とすることが目標とされる。しかし、圧力容器10の内部の温度分布は、保持行程の開始後すぐに目標状態になるわけではない。保持行程は、圧力容器10の内部の温度分布が目標状態になるように、長時間(例えば数時間など)行われる。なお、加圧装置1が、処理品O3を処理する装置でない場合でも、圧力容器10の内部を、設定圧力および目標温度で保持することが重要になる場合がある。
【0081】
(ピストン本体21が静止する場合の問題)
圧力容器10に対してピストン本体21が静止しているときには、容器内圧を精度良く制御することは困難である。その理由には、容器内圧の推定が困難であること(下記[問題の例1])、および、容器内圧の変化に対するピストン本体21の追従が困難であること(下記[問題の例2])がある。
【0082】
[問題の例1]図3に示すように、事前測定で取得可能な静止時の関係Rbでは、ピストン本体21は一定位置にとどまり、容器内実圧は一定の圧力P2となっている。しかし、実運転時は、ピストン本体21の位置が一定でも、容器内実圧は一定にならず、変化する(ふらつく)。例えば、圧力容器10の内部の温度は、時間的にも、分布にも、不可避の変化がある。例えば、加熱装置35が、加圧対象物Oなどを加熱すると、圧力容器10の内部の温度分布が変化する。また、このとき、圧力容器10の内部の平均温度は、時間とともに上がっていく。圧力容器10の内部の温度が変化すると、ボイルシャルルの法則に従って、容器内圧も変化する。よって、ピストン本体21の位置が一定でも、容器内実圧は一定とはならない。
【0083】
図3から明らかなように、静止時の関係Rbでは、ある1つの容器内実圧の値(例えば圧力P2)に対して、換算圧力が1つの値に決まらない。具体的には、保持行程では、効率100%線Lに対して、ピストン軸力情報の値(換算圧力)が、どちらに振れているか(高いか、低いか)または同じかが不明である。このことは、換算圧力が1つの値に決まっても、容器内実圧が1つの値に決まらないことと等しい。そのため、換算圧力から、容器内圧を精度良く算出(推定)することは困難である。その結果、圧力容器10に対してピストン本体21が静止しているときには、容器内圧を精度良く制御することは困難である。
【0084】
[問題の例2]一般的に、静摩擦力は、動摩擦力より大きい。そのため、ピストン本体21が圧力容器10に対して静止しているときに、容器内圧が変化しても、ピストン本体21は、圧力容器10に対して静止したままとなりやすい。さらに詳しくは、圧力容器10の内部の温度が上がった場合、ボイルシャルルの法則により、容器内圧は上がろうとする。このとき、ピストン本体21が受ける容器内圧による力よりもピストンシール摩擦力が小さければ、ピストン本体21が引出側Z2に移動し、容器内圧が下がり、容器内圧が設定圧に近づく。しかし、ピストンシール摩擦力が、ピストン本体21が受ける容器内圧による力以上であれば、圧力容器10の内部の温度が上がっても、ピストン本体21は引出側Z2に移動しない。すると、容器内圧が上がり、容器内圧が設定圧からずれる。また、圧力容器10の内部の温度が下がる場合は、容器内圧が下がり、容器内圧が設定圧からずれる。その結果、圧力容器10に対してピストン本体21が静止しているときには、容器内圧を精度良く制御することは困難である。
【0085】
(往復動作の概要)
そこで、本実施形態の加圧装置1は、保持行程において、次のように作動するように構成される。駆動制御部65は、圧力容器10に対してピストン本体21が往復動作(軸方向Zに往復動作)するように、駆動装置40を制御する。駆動装置40は、圧力容器10に対してピストン本体21を往復動作させる。ピストン本体21は、圧力容器10に対して往復動作する。ピストン本体21は、軸方向Zに小刻みに(細かく)往復動作する。
【0086】
保持行程において、圧力容器10に対してピストン本体21が往復動作するので、容器内圧を精度良く制御することができる。その理由は、例えば次の通りである。
【0087】
[理由の例1]圧力容器10に対してピストン本体21が往復動作するので、ピストン本体21が軸方向Zに移動するときの摩擦情報を利用することができる。ピストン本体21が軸方向Zに移動するときの摩擦情報では、ピストン軸力情報の値が1つに決まれば、容器内圧が1つの値に決まる(図3参照)。よって、容器内圧を精度良く算出(推定)することができる。その結果、容器内圧を精度良く制御することができる。
【0088】
[理由の例2]また、圧力容器10に対してピストン本体21が往復動作するので、ピストンシール摩擦力は、静摩擦力よりも小さい動摩擦力になる。よって、圧力容器10内の温度変化による容器内圧の変化に対して、ピストン本体21の位置が容易に追従することができる。例えば圧力容器10の内部の温度が上がり、容器内圧が上がろうとすると、ピストン本体21が(例えばピストン本体21の往復動作の中心位置が)引出側Z2に移動しやすい。また、圧力容器10の内部の温度が下がり、容器内圧が下がろうとすると、ピストン本体21が(例えばピストン本体21の往復動作の中心位置が)差込側Z1に移動しやすい。よって、容器内圧の変化に対して、ピストン本体21の位置が容易に追従するので、容器内圧を設定圧力に近づけることができる。その結果、容器内圧を精度良く制御することができる。
【0089】
(往復動作の詳細)
上記のように、駆動制御部65は、ピストン軸力情報および摩擦情報に基づいて、駆動装置40を制御する。この制御の詳細は次の通りである。
【0090】
(ピストン本体21に関する検出)
ピストン位置情報検出部51が、ピストン軸力情報(例えばピストン本体21の歪みなど)を検出し、検出値をコントローラ60に出力する。例えば、コントローラ60は、ピストン軸力情報検出部53の検出値から、換算圧力(図3参照)(ピストン軸力情報の一例)を算出する。
【0091】
例えば、ピストン位置情報検出部51が、ピストン本体21の位置情報を検出し、検出値をコントローラ60に出力してもよい。ピストン位置情報演算部61は、ピストン位置情報検出部51の検出値から、ピストン本体21が移動しているか否かを判定してもよい。ピストン位置情報検出部51は、ピストン位置情報検出部51の検出値から、ピストン本体21の移動の向きが差込側Z1か引出側Z2かを判定してもよい。ピストン位置情報検出部51は、ピストン位置情報検出部51の検出値から、ピストン本体21の移動速さ(さらに詳しくは移動速度の大きさ)を算出してもよい。
【0092】
(摩擦情報の取得、選択)
駆動制御部65は、摩擦情報記憶部62から摩擦情報を取得する。ここで、事前測定では、加圧装置1が加圧行程を行うことで差込側Z1の移動での関係Ra(図3参照)が得られ、加圧装置1が減圧行程を行うことで引出側Z2の移動での関係Rc(図3参照)が得られる。実運転での保持行程でのピストン本体21の往復動作は、ピストン本体21の差込側Z1の移動と、ピストン本体21の引出側Z2の移動と、の繰り返しである。よって、保持行程の往復動作は、ピストン本体21の差込側Z1および引出側Z2の移動という点では、加圧行程および減圧行程と本質的に変わらない。よって、事前測定での加圧行程および減圧行程から得られた摩擦情報を用いて、実運転の保持行程でのピストン本体21の往復動作を制御することが可能である。なお、保持行程で用いられる摩擦情報は、加圧行程(または減圧工程)で用いられる摩擦情報と全く同じ情報でもよく、また、加圧行程(または減圧工程)で用いられる摩擦情報を補正した情報でもよい。
【0093】
駆動制御部65は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動の向き(差込側Z1または引出側Z2)に対応する摩擦情報を選択することが好ましい。ピストン本体21の移動の向きは、直接的または間接的に取得される。[向き取得の例1]例えば、ピストン本体21の移動の向きは、ピストン位置情報検出部51に直接的に検出されることが好ましい。この場合は、ピストン本体21が軸方向Zに移動していることを確実に検出することができる。[向き取得の例2]ピストン本体21の移動の向きは、間接的に取得されてもよい。[向き取得の例2a]ピストン本体21の移動の向きは、駆動装置40の駆動に関する情報(例えば、作動流体の流れの向き、圧力など)に基づいて取得されてもよい。[向き取得の例2b]ピストン本体21の移動の向きは、コントローラ60から駆動装置40への指令(例えばピストン本体21の駆動の向きを示す信号など)に基づいて取得されてもよい。
【0094】
駆動制御部65は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動速さ(軸方向Zの移動速さ)に対応する摩擦情報を選択することが好ましい。ピストン本体21の移動速さは、直接的または間接的に取得される。[速さ取得の例1]ピストン本体21の移動速さは、ピストン位置情報検出部51に直接的に検出されてもよい。この場合、ピストン本体21の軸方向Zの移動速さを確実に検出することができる。例えば、ピストン位置情報検出部51に検出されたピストン本体21の位置に基づいてピストン本体21の移動速さが算出される。[速さ取得の例2]ピストン本体21の移動速さは、間接的に取得されてもよい。[速さ取得の例2a]ピストン本体21の移動速さは、駆動装置40の駆動に関する情報(例えば、作動流体の流速など)に基づいて取得されてもよい。[速さ取得の例2b]ピストン本体21の移動速さは、コントローラ60から駆動装置40への指令(例えばピストン本体21の駆動の速度を示す信号など)に基づいて取得されてもよい。
【0095】
ピストン本体21の往復動作の移動速さが一定(移動の向きが切り替わる時およびその近傍の時間を除く)である場合は、ピストン本体21の移動速さに対応する摩擦情報が選択される必要は無い。また、事前測定において、ピストン本体21の複数パターンの移動速さごとに摩擦情報が取得される必要が無い。よって、摩擦情報を取得するための事前測定の回数(必要回数)を削減することができる。
【0096】
(駆動装置40への指示)
駆動制御部65は、駆動装置40に出力する指示の内容を設定(算出)する。駆動制御部65は、ピストン軸力情報および摩擦情報に基づいて、容器内圧が、設定圧力になるように、駆動装置40への指示の内容を設定する。駆動装置40への指示の内容は、例えば次の通りである。[指示の例1]駆動装置40への指示は、ピストン本体21の軸方向Zの位置を示す情報でもよい。[指示の例2]駆動装置40への指示は、駆動装置40がピストン本体21を押圧する力に関する情報でもよい。[指示の例2a]駆動装置40への指示は、駆動装置40がピストン本体21を押圧するための、作動流体の圧力の指示(ヘッド側室41a1の圧力の指示)でもよい。[指示の例2b]駆動装置40への指示は、「指示圧力」(図4参照)でもよい。指示圧力は、ピストンシール摩擦力が無いと仮定したときの、容器内圧の目標値である。実際にはピストンシール摩擦力がある。よって、差込側Z1へのピストン本体21の移動時には、指示圧力は、設定圧力よりも大きく設定される。また、引出側Z2へのピストン本体21の移動時には、指示圧力は、設定圧力よりも小さく設定される。具体的には例えば、図5に、指示圧力と、設定圧力と、容器内実圧と、の関係を示す。図5に示す例では、保持行程では、設定圧力よりも大きい指示圧力と、設定圧力よりも小さい指示圧力と、が交互に(設定圧力を挟むように)指示される。すると、ピストン本体21が往復動作し、容器内実圧が、上昇(加圧)と降下(減圧)とを繰り返す。
【0097】
駆動装置40は、駆動制御部65から出力された指示に応じて駆動する。具体的には例えば、駆動装置40の流体圧制御部47は、駆動制御部65から出力された指示に応じて、ポンプおよびリリーフ機構などを制御する。そして、流体圧シリンダ41は、流体圧制御部47の作動に応じて、ピストン本体21を駆動する。その結果、容器内圧が、設定圧力に近づくように制御される。駆動制御部65による駆動装置40の制御(容器内圧の制御)は、様々な方法により行うことができる。
【0098】
(容器内圧の制御の具体例1)
例えば、摩擦情報は、図3に示す換算圧力(ピストン軸力情報の一例)と、圧力補正値データ(ズレ量α)と、の関係を含んでもよい。この場合、コントローラ60が、ピストン軸力情報検出部53の検出値から換算圧力を算出する。また、コントローラ60が、ピストン20の移動の向きに対応する摩擦情報を選択する。コントローラ60が、選択した摩擦情報に基づいて、換算圧力に対応する圧力補正値データ(ズレ量α)を決定する。圧力演算部64が、換算圧力と圧力補正値データ(ズレ量α)とに基づいて、容器内圧を算出(推定)する。具体的には例えば、ピストン本体21が差込側Z1に移動するときは、圧力演算部64は、換算圧力からズレ量αaを引いた値を、容器内圧とする。ピストン本体21が引出側Z2に移動するときは、圧力演算部64は、換算圧力にズレ量αcを足した値を、容器内圧とする。そして、駆動制御部65は、推定された容器内圧が、設定圧力になるように、駆動装置40を制御する。
【0099】
(容器内圧の制御の具体例2)
摩擦情報は、圧力補正値データ(ズレ量α)そのものを含む必要はなく、圧力補正値データに換算可能な情報を含んでもよい。例えば、摩擦情報は、換算圧力と容器内圧との関係を含んでもよい。この場合、圧力演算部64は、摩擦情報に基づいて、換算圧力に対応する容器内圧を算出(推定)する。そして、駆動制御部65は、推定された容器内圧が、設定圧力になるように、駆動装置40を制御する。
【0100】
(容器内圧の制御の具体例3)
摩擦情報は、換算圧力を含む必要はない。例えば、摩擦情報は、ピストン本体21の歪み量(ピストン軸力情報の一例)と、容器内圧との関係を含んでもよい。この場合、圧力演算部64は、摩擦情報に基づいて、歪みゲージ53aに検出された歪み量に対応する容器内圧を算出(推定)する。そして、駆動制御部65は、推定された容器内圧が、設定圧力になるように、駆動装置40を制御する。なお、上記の容器内圧の制御方法は具体例にすぎず、様々に容器内圧を制御することが可能である。
【0101】
(容器内圧の通知)
圧力演算部64が容器内圧を算出(推定)した場合に、圧力通知部70は、算出された容器内圧を通知してもよい(加圧行程および減圧工程も同様)。
【0102】
(往復動作の継続)
駆動制御部65は、ピストン本体21が往復動作を連続的に(複数回)行うように、駆動装置40を制御する。駆動制御部65は、保持行程の全体で(開始時から終了時までにわたって)、往復動作を継続させてもよい(図4参照)。駆動制御部65は、ピストン本体21が移動方向を切り替える瞬間以外は、圧力容器10に対するピストン本体21を移動させ続ける(停止させない)。なお、駆動制御部65は、保持行程において、ピストン本体21の往復動作を一時的に停止させる場合があってもよい。例えば、容器内圧が微小にのみ変化する程度(例えば処理品O3の処理に影響を与えない程度)の短時間のみ、駆動制御部65は、ピストン本体21の往復動作を停止させてもよい。
【0103】
(往復動作の漸減)
駆動制御部65は、ピストン本体21の往復動作における往復距離(振幅)が漸減するように駆動装置40を制御することが好ましい。具体的には例えば、図5に示すように、駆動制御部65は、指示圧力と設定圧力との差を漸減させる(設定圧力の振幅を漸減させる)。すると、ピストン本体21の往復動作の振幅が漸減し、容器内実圧の変化(上昇および降下)の振幅が漸減する。
【0104】
ピストン本体21の往復動作の振幅を漸減させることが好ましい理由は、次の通りである。例えば、保持行程の開始直後は、圧力容器10の内部の状況(具体的には温度分布)の変化が大きい。また、保持行程の開始時または開始直後は、ピストン本体21の一方向の動きが止まる。このとき、ピストンシール摩擦力は、動摩擦力から静摩擦力に変わる。そのため、保持行程の開始直後は、摩擦情報の精度が不十分な場合がある。具体的には例えば、図3に示す換算圧力と容器内実圧との差(実際のズレ量α)が、摩擦情報として設定された圧力補正値データ(ズレ量α)とは異なる可能性がある。例えば、実際のズレ量αが、摩擦情報として設定された圧力補正値データ(ズレ量α)よりも大きい可能性がある。そこで、保持行程の開始直後には、大きくピストン本体21を往復動作させ、加圧行程や減圧工程と同じようなピストン本体21の移動状態とすることで、摩擦情報の精度が高い状態にする。これにより、実際のズレ量αと圧力補正値データ(ズレ量α)との差が小さくなりやすい。その後、ピストン本体21の往復動作の振幅を徐々に小さくしていくことで、容器内圧をスムーズに設定圧力に近づけることができる。なお、駆動制御部65は、保持行程の開始直後とは異なるタイミング(保持行程の途中など)で、ピストン本体21の往復動作の振幅を漸減させてもよい。
【0105】
ピストン本体21の往復動作の振幅の漸減は(例えば指示圧力の振幅の漸減は)、様々な方法(態様)により行うことができる(図5参照)。[振幅の例1]この振幅の漸減は、保持行程の開始時から終了時にわたって行われてもよい。[振幅の例2]この振幅の漸減は、保持行程の開始時から、保持行程の途中まで行われてもよい。例えば、この振幅の漸減は、保持行程の開始時から、振幅が所定の大きさまで小さくなったときまで行われてもよい。その後、ピストン本体21の往復動作の振幅が一定とされてもよい。[振幅の例3]この振幅は、時間に対して比例して減少してもよく、比例とは異なる関係で減少してもよい。[振幅の例4]この振幅は、何らかの条件(例えば容器内圧など)に応じて設定されても(変えられても)よい。この振幅は、フィードバック制御により設定されてもよい。この振幅は、例えばPID(Proportional Integral Differential)制御などにより設定されてもよい。
【0106】
ピストン本体21の往復動作の周期は(例えば指示圧力の周期は)、様々に設定することができる。[周期の例1]この周期は、一定でもよく、略一定でもよい。[周期の例2]この周期は、振幅の大きさに応じて変えられてもよい。例えば、振幅が大きいほど周期が長く設定され、振幅が小さいほど周期が短く設定されてもよい。例えば、振幅の漸減に応じて、周期が漸減してもよい。[周期の例3]この周期は、振幅以外の何らかの条件(例えば容器内圧など)に応じて設定されてもよい。
【0107】
(指示圧力と容器内圧との関係の具体例)
駆動制御部65による容器内圧の制御の一例として、駆動制御部65から駆動装置40への指示圧力に応じて、容器内圧が制御される場合について説明する。上記のように、図5に示す例では、駆動制御部65は、設定圧力よりも大きい指示圧力と、設定圧力よりも小さい指示圧力と、を交互に指示し、指示圧力の振幅を漸減させる。その結果、ピストン本体21の往復動作の振幅が漸減し、容器内圧の振幅が漸減する。
【0108】
図5に示す例では、保持行程の開始時(加圧行程の終了時)には、容器内圧は、設定圧力と一致または略一致する。そして、保持行程では、容器内圧は、加圧と減圧とを繰り返しながら、設定圧力に徐々に近づく。この例では、容器内圧の振動中心は、設定圧力よりも低い値から、設定圧力に徐々に近づく。
【0109】
図6に、駆動制御部65から駆動装置40への指示圧力に応じて、容器内圧が制御される場合の他の例を示す。この例について、図5に示す例との相違点を説明する。図6に示す例では、保持行程の開始時には、容器内圧は、設定圧力よりも高い。そして、保持行程では、駆動制御部65は、設定圧力を挟んで、設定圧力よりも大きい指示圧力と、設定圧力よりも小さい指示圧力と、を交互に指示し、指示圧力の振幅を漸減させる(図5と同様)。この場合、容器内圧の振動中心は、設定圧力と同じまたは略同じである。
【0110】
図7に、駆動制御部65から駆動装置40への指示圧力に応じて、容器内圧が制御される場合の他の例を示す。この例について、図6に示す例との相違点を説明する。図7に示す例では、駆動制御部65は、保持行程の前の行程から、保持行程にわたって、ピストン本体21を往復動作させる。具体的には例えば、駆動制御部65は、保持行程の前の行程から、設定圧力よりも大きい指示圧力と、設定圧力よりも小さい指示圧力と、を交互に指示する。その結果、ピストン本体21は、保持行程の前の行程から保持行程にわたって、往復動作を行う。「保持行程の前の行程」は、加圧行程でも、減圧工程でもよい。駆動制御部65は、保持行程の前の行程でのピストン本体21の往復動作の振幅を、漸減させてもよく、漸減させなくてもよい。
【0111】
(第1の発明の効果)
図1に示す本実施形態の加圧装置1による効果は、次の通りである。加圧装置1は、圧力容器10と、ピストン本体21と、ピストンシール23と、ピストン軸力情報検出部53と、駆動装置40と、摩擦情報記憶部62と、駆動制御部65と、を備える。ピストン本体21は、圧力容器10に対して差込側Z1および引出側Z2に移動可能に、圧力容器10の内部に嵌め込まれる。ピストンシール23は、ピストン本体21に設けられ、ピストン本体21と圧力容器10との隙間を密封する。ピストン軸力情報検出部53は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動方向(軸方向Z)における軸力であってピストン本体21にかかる軸力に関するピストン軸力情報を検出する。駆動装置40は、圧力容器10に対してピストン本体21を移動させる。
【0112】
[構成1-1]摩擦情報記憶部62(図2参照)は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの、ピストンシール23と圧力容器10との摩擦力(ピストンシール摩擦力)に関する摩擦情報を記憶する。駆動制御部65(図2参照)は、ピストン軸力情報検出部53に検出されたピストン軸力情報、および、摩擦情報記憶部62(図2参照)に記憶された摩擦情報に基づいて、駆動装置40を制御する。
【0113】
[構成1-2]駆動制御部65(図2参照)は、圧力容器10の内部の圧力を一定に保持するように制御する保持行程において、圧力容器10に対してピストン本体21が往復動作するように駆動装置40を制御する。
【0114】
上記[構成1-1]では、駆動制御部65(図2参照)は、摩擦情報記憶部62(図2参照)に記憶された摩擦情報に基づいて駆動装置40を制御する。この摩擦情報は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの摩擦情報である。そして、上記[構成1-2]では、駆動制御部65は、保持行程において、圧力容器10に対してピストン本体21を往復動作(すなわち移動)させる(図5参照)。よって、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの摩擦情報を、保持行程での駆動装置40の制御に適用することができる。よって、加圧装置1は、保持行程において圧力容器10に対してピストン本体21を静止させる場合に比べ、保持行程での圧力容器10の内部の圧力(容器内圧)の制御を精度良く行える。
【0115】
上記[構成1-2]では、圧力容器10に対してピストン本体21を往復動作(すなわち移動)させるので、ピストンシール摩擦力は静摩擦力よりも小さい動摩擦力となる(ピストン本体21の移動の向きが切り替わる時を除く)。よって、圧力容器10の内部の温度変化に対して、ピストン本体21が追従して移動しやすい。よって、保持行程において圧力容器10の内部の温度が変化しても、容器内圧が保持されやすい。よって、加圧装置1は、保持行程において圧力容器10に対してピストン本体21を静止させる場合に比べ、保持行程での圧力容器10の内部の圧力(容器内圧)の制御を精度良く行える。
【0116】
(第2の発明の効果)
[構成2]摩擦情報記憶部62(図2参照)は、圧力容器10に対してピストン本体21が差込側Z1に移動するときの摩擦情報、および、圧力容器10に対してピストン本体21が引出側Z2に移動するときの摩擦情報を記憶する。駆動制御部65(図2参照)は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動の向きに対応する摩擦情報を選択し、選択した摩擦情報に基づいて駆動装置40を制御する。
【0117】
上記[構成2]により、次の効果が得られる。ピストンシール摩擦力は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動の向きによって相違する場合がある(図3参照)。上記[構成2]では、ピストン本体21の移動の向きに対応する摩擦情報に基づいて、駆動装置40が制御される。したがって、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0118】
(第3の発明の効果)
[構成3]摩擦情報記憶部62(図2参照)は、圧力容器10に対するピストン本体21の複数パターンの移動速さそれぞれの摩擦情報を記憶する。駆動制御部65は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動速さに対応する摩擦情報を選択し、選択した摩擦情報に基づいて駆動装置40を制御する。
【0119】
上記[構成3]により、次の効果が得られる。ピストンシール摩擦力は、圧力容器10に対するピストン本体21の移動速さによって相違する場合がある。上記[構成2]では、ピストン本体21の移動速さに対応する摩擦情報に基づいて、駆動装置40が制御される。したがって、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0120】
(第4の発明の効果)
[構成4]加圧装置1は、ピストン位置情報検出部51を備える。ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対するピストン本体21の位置情報を検出する。
【0121】
上記[構成4]では、ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対するピストン本体21の位置情報を検出する。よって、ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動していることを確実に(直接的に)検出できる。よって、ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの摩擦情報に基づいて駆動装置40の制御を行える状態であることを検出(確認、担保)できる。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0122】
加圧装置1が上記[構成2]および上記[構成4]を備える場合は、次の効果が得られる。上記[構成2]では、駆動制御部65(図2参照)は、駆動装置40の制御を、圧力容器10に対するピストン本体21の移動の向きに対応する摩擦情報に基づいて行う。上記[構成4]では、ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対するピストン本体21の位置情報を検出することで、圧力容器10に対するピストン本体21の移動の向きを確実に(直接的に)検出できる。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0123】
加圧装置1が上記[構成3]および上記[構成4]を備える場合は、次の効果が得られる。上記[構成3]では、駆動制御部65(図2参照)は、駆動装置40の制御を、圧力容器10に対するピストン本体21の移動速さに対応する摩擦情報に基づいて行う。上記[構成4]では、ピストン位置情報検出部51は、圧力容器10に対するピストン本体21の位置情報を検出することで、圧力容器10に対するピストン本体21の移動速さを確実に(直接的に)検出できる。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0124】
(第5の発明の効果)
[構成5]ピストン軸力情報検出部53は、歪みゲージ53aを備える。歪みゲージ53aは、ピストン本体21に取り付けられ、ピストン本体21の歪みを検出する。
【0125】
上記[構成5]の歪みゲージ53aは、ピストン軸力情報を、直接的に検出できる。よって、ピストン軸力情報の精度を向上させることができる。具体的には例えば、ピストン軸力情報が、ピストン本体21を駆動させる駆動装置40の作動流体の圧力の場合(後述)は、ピストン軸力情報は、ラムシール41dの摩擦力による影響を受ける。一方、上記[構成5]では、歪みゲージ53aから取得されるピストン軸力情報は、ラムシール41dの摩擦力による影響を受けない。歪みゲージ53aによりピストン軸力情報を直接的に検出できるので、駆動制御部65(図2参照)は、ピストン軸力情報および摩擦情報に基づく、駆動装置40の制御(上記[構成1-1])を、より精度良く行える。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0126】
(第7の発明の効果)
[構成7]駆動制御部65(図2参照)は、保持行程において、圧力容器10に対するピストン本体21の往復動作における往復距離が漸減するように駆動装置40を制御する。
【0127】
上記[構成7]により、駆動制御部65(図2参照)は、目標とする容器内圧(例えば上記「設定圧力」)と容器内実圧との差を徐々に小さくすることができる。よって、駆動制御部65(図2参照)は、容器内圧を、目標とする容器内圧に適切に近づけるように制御できる。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0128】
(第8の発明の効果)
[構成8]加圧装置1は、圧力検出部材80を備える。圧力検出部材80は、圧力容器10から取り外し可能に設けられる。圧力検出部材80は、圧力容器10の内部の圧力(容器内圧)を検出する。摩擦情報は、圧力容器10に対してピストン本体21が移動するときの、ピストン軸力情報検出部53に検出されるピストン軸力情報と、圧力検出部材80に検出される圧力容器10の内部の圧力と、に基づいて取得される。
【0129】
上記[構成8]により、圧力検出部材80が検出した容器内圧の実測値(容器内実圧)に基づく摩擦情報が、確実に取得される。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0130】
上記[構成8]では、圧力検出部材80は、圧力容器10から取り外し可能である。よって、例えば、長時間の実運転には圧力検出部材80または圧力導出部材Deが耐えられない場合などでも、摩擦情報が取得された後、実運転の前に、圧力検出部材80または圧力導出部材Deを圧力容器10から取り外しておくことができる。
【0131】
(第9の発明の効果)
[構成9]圧力検出部材80は、圧力容器10の内部から取出可能に圧力容器10の内部に配置される。摩擦情報は、圧力検出部材80が圧力容器10の内部に配置された状態で取得される。
【0132】
上記[構成9]により、圧力検出部材80が、圧力容器10の内部に配置された状態で、より直接的に、容器内実圧を検出することができる。その結果、摩擦情報の精度を向上させることができる。その結果、加圧装置1は、容器内圧の制御をより精度良く行える。
【0133】
上記[構成9]では、圧力検出部材80は、圧力容器10から取出可能である。よって、例えば、長時間の実運転には圧力検出部材80が耐えられない場合などでも、摩擦情報が取得された後、実運転の前に、圧力検出部材80を圧力容器10から取り出しておくことができる。
【0134】
(変形例)
上記実施形態では、ピストン軸力情報検出部53が検出するピストン軸力情報は、ピストン本体21の軸力を直接的に検出した情報、またはこの情報から換算可能な情報を含む。具体的には例えば、ピストン軸力情報は、歪みゲージ53aの検出値に関する情報を含む。一方、ピストン軸力情報検出部53が検出するピストン軸力情報は、駆動装置40がピストン本体21を差込側Z1に押圧する力に関する情報を含んでもよい。例えば、駆動装置40が、流体圧によりピストン本体21を駆動する装置である場合、ピストン軸力情報は、ピストン本体21を差込側Z1に押圧するための作動流体の圧力に関する情報を含んでもよい。
【0135】
以下では、ピストン軸力情報検出部53が検出するピストン軸力情報が、ピストン本体21を差込側Z1に押圧するための作動流体の圧力に関する情報である場合について説明する。例えば、ピストン軸力情報は、ヘッド側室41a1の作動流体の圧力に関する情報でもよい。ピストン軸力情報は、流体圧検出部45が検出した流体圧に関する情報でもよい。ピストン軸力情報を検出するピストン軸力情報検出部53と、駆動装置40を制御するための流体圧検出部45と、が兼用されてもよい。なお、ピストン軸力情報検出部53は、流体圧検出部45と兼用されなくてもよい。さらに詳しくは、ピストン本体21を差込側Z1に押圧するための作動流体の圧力に関する情報をピストン軸力情報として検出するピストン軸力情報検出部53が、流体圧検出部45とは別に設けられてもよい。以下では、主に、ピストン軸力情報検出部53が、流体圧検出部45と兼用される場合について説明する。
【0136】
ピストン軸力情報が、ピストン本体21を差込側Z1に押圧するための流体圧に関する情報である場合、ピストン軸力情報は、ラムシール41dとシリンダ本体41aとの間の摩擦力(ラムシール摩擦力)による影響を含む。さらに詳しくは、ピストン軸力情報は、容器内圧によるピストン本体21の軸力と、ピストンシール摩擦力によるピストン本体21の軸力と、ラムシール摩擦力によるピストン本体21の軸力と、の影響を含む。
【0137】
この変形例では、事前測定において、ラムシール摩擦力を加味した摩擦情報が取得される。さらに詳しくは、事前測定では、ピストン軸力情報検出部53(例えば流体圧検出部45)が検出した流体圧に関する情報が、ラムシール摩擦力の影響を含むピストン軸力情報として取得される。このピストン軸力情報と、容器内実圧と、の関係(事前測定取得関係R(図3参照))が取得される。この事前測定取得関係Rに基づいて、摩擦情報記憶部62(図2参照)に記憶される摩擦情報が取得される。
【0138】
この変形例では、実運転でも、事前測定と同様に、ピストン軸力情報検出部53(例えば流体圧検出部45)が検出した流体圧に関する情報が、ピストン軸力情報として取得される。そして、駆動制御部65(図2参照)は、ラムシール摩擦力の影響を含むピストン軸力情報と、ラムシール摩擦力を加味した摩擦情報と、に基づいて、駆動装置40を制御する。これにより、駆動制御部65は、上記実施形態と同様に、駆動装置40を制御できる。その結果、加圧装置1は、容器内圧を精度良く制御できる。
【0139】
上記実施形態と同様に、事前測定と実運転とで、摩擦情報に影響を与える条件をできるだけ同じにすることが好ましい。例えば、事前測定と実運転とで、駆動装置40の作動流体の温度を同じまたは略同じにしておくことが好ましい。また、例えば、事前測定において、様々な作動流体の温度で摩擦情報が取得されてもよい。そして、実運転時に、駆動制御部65(図2参照)は、検出された作動流体の温度に対応する摩擦情報を選択し、選択した摩擦情報に基づいて駆動装置40を制御してもよい。
【0140】
(第6の発明の効果)
この変形例の加圧装置1による効果は、次の通りである。駆動装置40は、流体圧シリンダ41と、流体圧検出部45と、流体圧制御部47と、を備える。流体圧シリンダ41は、流体圧によりピストン本体21を移動させる。流体圧検出部45は、流体圧シリンダ41に供給される流体圧を検出する。流体圧制御部47は、流体圧検出部45に検出された流体圧に基づいて流体圧シリンダ41の作動を制御する。
【0141】
[構成6]ピストン軸力情報検出部53が検出するピストン軸力情報は、流体圧検出部45が検出した流体圧を含む。
【0142】
上記[構成6]では、ピストン軸力情報は、流体圧シリンダ41の作動を制御するための流体圧検出部45が検出した作動油の流体圧を含む。よって、ピストン軸力情報検出部53と、流体圧検出部45と、を兼用することができる。よって、流体圧シリンダ41の作動を制御するための流体圧検出部45とは別に、ピストン軸力情報を取得するためのセンサ(例えば歪みゲージ53aなど)を設ける必要がない。したがって、加圧装置1を簡易な構成とすることができる。
【0143】
また、流体圧検出部45とは別のピストン軸力情報検出部53(例えば歪みゲージ53a)が設けられる場合は、流体圧検出部45およびピストン軸力情報検出部53のそれぞれのメンテナンスが必要になる。具体的には例えば、歪みゲージ53aは経年劣化があるので、歪みゲージ53aのメンテナンスが必要となる。一方、ピストン軸力情報検出部53と、流体圧検出部45と、が兼用される場合は、メンテナンスの作業の手間や時間を削減することができる。
【0144】
(その他の変形例)
上記実施形態および変形例は、さらに様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態などの構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、図2に示す各構成要素の接続は変更されてもよい。図1に示す各構成要素の配置は、変更されてもよい。例えば、構成要素の包含関係は様々に変更されてもよい。例えば、ある上位の構成要素に含まれる下位の構成要素として説明したものが、この上位の構成要素に含まれなくてもよく、他の構成要素に含まれてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各種パラメータ(具体的には例えばピストン本体21の往復動作の振幅や周期など)は、コントローラ60に予め設定されてもよく、作業者の手動操作により直接的に設定されてもよい。各種パラメータは、センサ(例えばピストン軸力情報検出部53など)に検出された情報に基づいてコントローラ60に算出されてもよい。例えば、各種パラメータは、変えられなくてもよく、手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じてコントローラ60が自動的に変えてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【0145】
(第1の手段)
圧力容器と、
前記圧力容器に対して差込側および引出側に移動可能に、前記圧力容器の内部に嵌め込まれたピストン本体と、
前記ピストン本体に設けられ、前記ピストン本体と前記圧力容器との隙間を密封するピストンシールと、
前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動方向における軸力であって前記ピストン本体にかかる軸力に関するピストン軸力情報を検出するピストン軸力情報検出部と、
前記圧力容器に対して前記ピストン本体を移動させる駆動装置と、
前記圧力容器に対して前記ピストン本体が移動するときの、前記ピストンシールと前記圧力容器との摩擦力に関する摩擦情報を記憶する摩擦情報記憶部と、
前記ピストン軸力情報検出部に検出された前記ピストン軸力情報、および、前記摩擦情報記憶部に記憶された前記摩擦情報に基づいて、前記駆動装置を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記圧力容器の内部の圧力を一定に保持するように制御する保持行程において、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が往復動作するように前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【0146】
(第2の手段)
第1の手段の加圧装置であって、
前記摩擦情報記憶部は、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が差込側に移動するときの前記摩擦情報、および、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が引出側に移動するときの前記摩擦情報を記憶し、
前記駆動制御部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動の向きに対応する前記摩擦情報を選択し、選択した前記摩擦情報に基づいて前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【0147】
(第3の手段)
第1または第2の手段の加圧装置であって、
前記摩擦情報記憶部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の複数パターンの移動速さそれぞれの前記摩擦情報を記憶し、
前記駆動制御部は、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の移動速さに対応する前記摩擦情報を選択し、選択した前記摩擦情報に基づいて前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【0148】
(第4の手段)
第1~第3のいずれか1つの手段の加圧装置であって、
前記圧力容器に対する前記ピストン本体の位置情報を検出するピストン位置情報検出部を備える、
加圧装置。
【0149】
(第5の手段)
第1~第4のいずれか1つの手段の加圧装置であって、
前記ピストン軸力情報検出部は、前記ピストン本体に取り付けられ、前記ピストン本体の歪みを検出する歪みゲージを備える、
加圧装置。
【0150】
(第6の手段)
第1~第5のいずれか1つの手段の加圧装置であって、
前記駆動装置は、
流体圧により前記ピストン本体を移動させる流体圧シリンダと、
前記流体圧シリンダに供給される流体圧を検出する流体圧検出部と、
前記流体圧検出部に検出された流体圧に基づいて前記流体圧シリンダの作動を制御する流体圧制御部と、
を備え、
前記ピストン軸力情報検出部が検出する前記ピストン軸力情報は、前記流体圧検出部が検出した流体圧を含む、
加圧装置。
【0151】
(第7の手段)
第1~第6のいずれか1つの手段の加圧装置であって、
前記駆動制御部は、前記保持行程において、前記圧力容器に対する前記ピストン本体の前記往復動作における往復距離が漸減するように前記駆動装置を制御する、
加圧装置。
【0152】
(第8の手段)
第1~第7のいずれか1つの手段の加圧装置であって、
前記圧力容器から取り外し可能に設けられ、前記圧力容器の内部の圧力を検出する圧力検出部材を備え、
前記摩擦情報は、前記圧力容器に対して前記ピストン本体が移動するときの、前記ピストン軸力情報検出部に検出される前記ピストン軸力情報と、前記圧力検出部材に検出される前記圧力容器の内部の圧力と、に基づいて取得される、
加圧装置。
【0153】
(第9の手段)
第8の手段の加圧装置であって、
前記圧力検出部材は、前記圧力容器の内部から取出可能に前記圧力容器の内部に配置され、
前記摩擦情報は、前記圧力検出部材が前記圧力容器の内部に配置された状態で取得される、
加圧装置。
【符号の説明】
【0154】
1 加圧装置
10 圧力容器
21 ピストン本体
23 ピストンシール
40 駆動装置
41 流体圧シリンダ
45 流体圧検出部
47 流体圧制御部
51 ピストン位置情報検出部
53 ピストン軸力情報検出部
62 摩擦情報記憶部
65 駆動制御部
80 圧力検出部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7