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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181837
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231218BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231218BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20231218BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/00 551
B65H5/06 J
B65H7/14
G03G15/00 445
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095196
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】明星 敏之
【テーマコード(参考)】
2H072
2H171
2H270
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA29
2H072AB09
2H072CA01
2H072CB08
2H171FA04
2H171FA07
2H171FA22
2H171FA26
2H171GA20
2H171LA03
2H171PA15
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA27
2H171TA15
2H171UA02
2H171UA03
2H270KA55
2H270LA70
2H270LA85
2H270LC12
2H270LD03
2H270LD14
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB35
2H270MC59
2H270MH09
2H270ZC06
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB10
3F048CC13
3F048CC14
3F048DA06
3F048DC13
3F048EB22
3F048EB29
3F049AA10
3F049DA12
3F049EA10
3F049LA01
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】本開示は用紙搬送速度が大きく変化することを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本開示の画像形成装置は、駆動モータにより駆動されるように設けられた駆動ローラーと、前記駆動ローラーが回転することにより回転するように設けられた従動ローラーと、制御部と、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1信号を前記制御部へ出力するように設けられた第1センサと、前記従動ローラーが1回転する毎に第2信号を前記制御部へ出力するように設けられた第2センサとを備え、前記従動ローラーは、樹脂ローラー又は金属ローラーであり、前記制御部は、第1センサからの第1信号の入力タイミングと、第2センサからの第2信号の入力タイミングとの間の第1時間差と、これらの信号が入力された後に第1信号がN回入力され第2信号がN回入力された際の第1信号の入力タイミングと第2信号の入力タイミングとの間の第N時間差との間の変化量及び入力回数Nに基づき前記駆動モータの回転数を制御するように設けられたことを特徴とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータにより駆動されるように設けられた駆動ローラーと、前記駆動ローラーが回転することにより回転するように設けられた従動ローラーと、制御部と、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1信号を前記制御部へ出力するように設けられた第1センサと、前記従動ローラーが1回転する毎に第2信号を前記制御部へ出力するように設けられた第2センサとを備え、
前記従動ローラーは、樹脂ローラー又は金属ローラーであり、
前記制御部は、第1センサからの第1信号の入力タイミングと、第2センサからの第2信号の入力タイミングとの間の第1時間差と、これらの信号が入力された後に第1信号がN回入力され第2信号がN回入力された際の第1信号の入力タイミングと第2信号の入力タイミングとの間の第N時間差との間の変化量及び入力回数Nに基づき前記駆動モータの回転数を制御するように設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動ローラー及び前記従動ローラーは、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとの間に紙を挟持し前記駆動ローラーが回転することにより前記紙を搬送するように設けられた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記紙を搬送せずに前記駆動ローラー及び前記従動ローラーが回転しているときの第1時間差と第N時間差との間の変化量に基づき前記駆動モータの回転数を制御するように設けられた請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動ローラーのローラー径は、製造時において前記従動ローラーのローラー径と実質的に同じ或いは前記従動ローラーのローラー径の整数倍又は整数分の1である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1センサは、第1発光素子と、第1発光素子が発する光を受光するように設けられた第1受光素子とを備えたフォトセンサであり、
第2センサは、第2発光素子と、第2発光素子が発する光を受光するように設けられた第2受光素子とを備えたフォトセンサであり、
前記駆動ローラーは、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1発光素子が発光し第1受光素子が受光する光を遮るように設けられ、
前記従動ローラーは、前記従動ローラーが1回転する毎に第2発光素子が発光し第2受光素子が受光する光を遮るように設けられた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動ローラーは、回転軸に棒状の第1凸部を有し、
第1凸部は、前記駆動ローラーが回転することにより第1発光素子と、第1受光素子との間を通過するように設けられ、
前記従動ローラーは、回転軸に棒状の第2凸部を有し、
第2凸部は、前記従動ローラーが回転することにより第2発光素子と、第2受光素子との間を通過するように設けられた請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、画像形成部又は原稿読取部を有し、
前記駆動ローラー及び前記従動ローラーは、前記画像形成部及び前記原稿読取部のうち少なくとも一方に含まれる請求項1~6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
駆動モータにより駆動されるように設けられた駆動ローラーと、前記駆動ローラーが回転することにより従動的に回転するように設けられた従動ローラーと、制御部と、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1信号を前記制御部へ出力するように設けられた第1センサと、前記従動ローラーが1回転する毎に第2信号を前記制御部へ出力するように設けられた第2センサとを備え、
前記駆動ローラー及び前記従動ローラーは、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとの間に紙を挟持し前記駆動ローラーが回転することにより前記紙を搬送するように設けられ、
前記制御部は、第1センサからの第1信号の入力タイミングと、第1信号のすぐ後にまたは同時に入力する第2センサからの第2信号の入力タイミングとの間の時間差に基づき前記紙が下流側に引っ張られていることを検出するように設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー複合機では、カセットに収容された用紙をローラーを用いて1枚ずつ取り出しレジストローラーまで搬送し、レジストローラーで用紙を一度停止させることにより用紙の傾きの補正を行う。そして、転写部において中間転写ベルト上のトナー像が適切に用紙に転写されるようにタイミングよくレジストローラーによる用紙の搬送を開始する。
【0003】
レジストローラーの用紙搬送速度が転写部の用紙搬送速度よりも速い又は遅い場合、転写位置又は中間転写ベルトの回転速度が変動し、これによって印刷物にスジや色ずれが発生する。これを抑制するために、レジストローラーの径寸法公差を厳格化することが考えられる。しかし、このレジストローラーの駆動ローラーには一般的にゴムローラーを使用するため、ローラー径が摩耗や経時変化による変動が避けられず、マシンのライフ内で常に最適な状態を保つには、何らかの補正システムが必要である。ただし、レジストローラーの最適な速度は0.1%のオーダーで調整する必要があるため、レジストローラーの速度変化を正確に測定し、この測定結果に基づきレジストローラーの速度を調整することは難しい。
例えば、特許文献1において、レジストローラーと転写部との間において用紙のたわみを検知するセンサを設け、このセンサの出力に基づきレジストローラーの用紙搬送速度を調節する機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-316092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、用紙の坪量が200g/m2を超えるような場合、用紙のたわみはほとんど発生しないため、たわみ量に基づきレジストローラーの搬送速度を適切に調節することは難しい。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、用紙搬送速度を適切に調節することができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、駆動モータにより駆動されるように設けられた駆動ローラーと、前記駆動ローラーが回転することにより回転するように設けられた従動ローラーと、制御部と、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1信号を前記制御部へ出力するように設けられた第1センサと、前記従動ローラーが1回転する毎に第2信号を前記制御部へ出力するように設けられた第2センサとを備え、前記従動ローラーは、樹脂ローラー又は金属ローラーであり、前記制御部は、第1センサからの第1信号の入力タイミングと、第2センサからの第2信号の入力タイミングとの間の第1時間差と、これらの信号が入力された後に第1信号がN回入力され第2信号がN回入力された際の第1信号の入力タイミングと第2信号の入力タイミングとの間の第N時間差との間の変化量及び入力回数Nに基づき前記駆動モータの回転数を制御するように設けられたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の画像形成装置では、用紙搬送速度を適切に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態の画像形成装置の概略図である。
図2】本開示の一実施形態の画像形成装置に含まれるレジストローラーの概略図である。
図3】(a)(b)はレジストローラーの用紙搬送速度が転写部の用紙搬送速度よりも速い場合の用紙の動きを示した概略図である。
図4】(a)(b)はレジストローラーの用紙搬送速度が転写部の用紙搬送速度よりも遅い場合の用紙の動きを示した概略図である。
図5】(a)(b)(c)は感光体から中間転写ベルトへのブラックトナーの転写を模式的に示した模式図である。
図6】第1センサからの入力信号と第2センサからの入力信号のタイミングチャートである。
図7】第1センサからの入力信号と第2センサからの入力信号のタイミングチャートである。
図8】(a)(b)は第1センサからの信号の入力タイミングと、第2センサからの信号の入力タイミングとの間の時間差を説明するためのグラフである。
図9】第1センサからの入力信号と第2センサからの入力信号のタイミングチャートである。
図10】(a)(b)は第1センサからの信号の入力タイミングと、第2センサからの信号の入力タイミングとの間の時間差を説明するためのグラフである。
図11】(a)(b)は第1センサからの信号の入力タイミングと、第2センサからの信号の入力タイミングとの間の時間差を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の画像形成装置は、駆動モータにより駆動されるように設けられた駆動ローラーと、前記駆動ローラーが回転することにより回転するように設けられた従動ローラーと、制御部と、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1信号を前記制御部へ出力するように設けられた第1センサと、前記従動ローラーが1回転する毎に第2信号を前記制御部へ出力するように設けられた第2センサとを備え、前記従動ローラーは、樹脂ローラー又は金属ローラーであり、前記制御部は、第1センサからの第1信号の入力タイミングと、第2センサからの第2信号の入力タイミングとの間の第1時間差と、これらの信号が入力された後に第1信号がN回入力され第2信号がN回入力された際の第1信号の入力タイミングと第2信号の入力タイミングとの間の第N時間差との間の変化量及び入力回数Nに基づき前記駆動モータの回転数を制御するように設けられたことを特徴とする。
【0010】
前記駆動ローラー及び前記従動ローラーは、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとの間に紙を挟持し前記駆動ローラーが回転することにより前記紙を搬送するように設けられることが好ましい。
【0011】
前記制御部は、前記紙を搬送せずに前記駆動ローラー及び前記従動ローラーが回転しているときの第1時間差と第N時間差との間の変化量に基づき前記駆動モータの回転数を制御するように設けられることが好ましい。
前記駆動ローラーのローラー径は、製造時において前記従動ローラーのローラー径と実質的に同じ或いは前記従動ローラーのローラー径の整数倍又は整数分の1であることが好ましい。
【0012】
第1センサは、第1発光素子と、第1発光素子が発する光を受光するように設けられた第1受光素子とを備えたフォトセンサであることが好ましい。第2センサは、第2発光素子と、第2発光素子が発する光を受光するように設けられた第2受光素子とを備えたフォトセンサであることが好ましい。前記駆動ローラーは、前記駆動ローラーが1回転する毎に第1発光素子が発光し第1受光素子が受光する光を遮るように設けられることが好ましい。前記従動ローラーは、前記従動ローラーが1回転する毎に第2発光素子が発光し第2受光素子が受光する光を遮るように設けられることが好ましい。
【0013】
前記駆動ローラーは、回転軸に棒状の第1凸部を有し、第1凸部は、前記駆動ローラーが回転することにより第1発光素子と、第1受光素子との間を通過するように設けられることが好ましい。前記従動ローラーは、回転軸に棒状の第2凸部を有し、第2凸部は、前記従動ローラーが回転することにより第2発光素子と、第2受光素子との間を通過するように設けられたことが好ましい。
好ましくは、前記画像形成装置は、画像形成部又は原稿読取部を有し、前記駆動ローラー及び前記従動ローラーは、前記画像形成部及び前記原稿読取部のうち少なくとも一方に含まれる。
【0014】
前記制御部は、第1センサからの第1信号の入力タイミングと、第1信号のすぐ後にまたは同時に入力する第2センサからの第2信号の入力タイミングとの間の時間差に基づき前記紙が下流側に引っ張られていることを検出するように設けられたことが好ましい。
【0015】
以下、図面を用いて本開示の一実施形態を説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本開示の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0016】
図1は、本実施形態の画像形成装置の概略図であり、図2はレジストローラーの概略図である。
本実施形態の画像形成装置50は、駆動モータ1により駆動されるように設けられた駆動ローラー2a、2bと、駆動ローラー2a、2bが回転することにより従動的に回転するように設けられた従動ローラー3a、3bと、制御部4と、駆動ローラー2a、2bが1回転する毎に第1信号を制御部4へ出力するように設けられた第1センサ5と、従動ローラー3a、3bが1回転する毎に第2信号を制御部4へ出力するように設けられた第2センサ6とを備え、従動ローラー3a、3bは、樹脂ローラー又は金属ローラーであり、制御部4は、第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の第1時間差と、これらの信号が入力された後に第1信号がN回入力され第2信号がN回入力された際の第1信号の入力タイミングと第2信号の入力タイミングとの間の第N時間差との間の変化量及び入力回数Nに基づき駆動モータ1の回転数を制御するように設けられたことを特徴とする。
画像形成装置50は、画像形成部15、原稿読取部16などを含むことができる。画像形成部15は、トナー像形成部18a~18d、中間転写ベルト20、用紙搬送装置などを有することができる。
【0017】
画像形成装置50は、電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置50は、モノクロ画像を形成できるモノクロ画像形成装置であってもよく、図1に示したようなカラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置50は、例えば、ブラックトナーのトナー像が形成されるトナー像形成部18a、シアントナーのトナー像が形成されるトナー像形成部18b、マゼンタトナーのトナー像が形成されるトナー像形成部18c、イエロートナーのトナー像が形成されるトナー像形成部18dを所定方向(例えば、水平方向または鉛直方向)に並設した構成を有する所謂タンデム式のフルカラー画像形成装置である。また、画像形成装置50は、他のカラー画像形成装置、複写機、複合機またはファクシミリ装置であってもよい。
【0018】
制御部4は、画像形成装置50を制御する部分である。制御部4は、例えば、演算処理装置(例えば、CPU)、RAM、ストレージデバイス(例えば、HDD)、ネットワークコントローラ、ビデオコントローラ、電源部などを有することができる。また、制御部4は、レジストローラー17の駆動ローラー2a、転写駆動ローラー22および定着駆動ローラー26などを回転させる駆動モータを制御するように設けられる。このことにより、これらのローラーの回転速度、回転方向、回転開始・停止のタイミングなどを制御することができる。また、制御部4は、第1センサ5が出力した信号および第2センサ6が出力した信号を入力するように設けられる。
【0019】
原稿読取部16は、原稿送り装置と、画像読取部35とを有することができる。原稿送り装置は、原稿搬送路34に沿って原稿を搬送する複数のローラーを備える。また、原稿送り装置は、画像読取部35により原稿の画像を読み取る部分(読取部)の直前に駆動ローラー2bと、従動ローラー3bとを備える。駆動ローラー2bは、駆動モータにより駆動されるように設けられたゴムローラー又はエラストマーローラーである。従動ローラー3bは、駆動ローラー2bが回転することにより従動的に回転するように設けられた樹脂ローラー又は金属ローラーである。駆動ローラー2b及び従動ローラー3bは、駆動ローラー2bと従動ローラー3bとの間に原稿を挟持し駆動ローラー2bが回転することにより原稿を搬送するように設けられる。
制御部4は、原稿の画像が画像読取部35により適切に読み取られるように駆動ローラー2bを駆動する駆動モータを制御し、駆動ローラー2bの回転開始タイミング、回転速度などを制御する。また、画像読取部35により読み取られた画像データは、制御部4へ送られる。
【0020】
トナー像形成部18a~18dは、感光体19a~19dと、帯電器と、露光ユニット33と、現像ユニットと、転写手段と、クリーニングユニットとを有する。
感光体19a~19dは、その表面に潜像及びトナー像が形成される部材である。この感光体19a~19dが回転することにより画像データに基づき連続的にブラックトナーのトナー像、シアントナーのトナー像、マゼンタトナーのトナー像又はイエロートナーのトナー像が形成される。感光体19a~19dは、例えば感光体ドラムである。帯電器、露光ユニット33、現像ユニット、転写手段およびクリーニングユニットは、この順序で、感光体19a~19dの外周面に沿って、感光体19a~19dの回転方向の上流側から下流側に向って設けられる。
【0021】
感光体19a~19d上に形成されたブラックトナーのトナー像、シアントナーのトナー像、マゼンタトナーのトナー像及びイエロートナーのトナー像は、転写手段により中間転写ベルト20へと転写され(一次転写)、重ね合わされる。このことにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト20に形成される。中間転写ベルト20のカラーのトナー像は、転写部24において用紙搬送路30を搬送されてきた用紙に転写される(二次転写)。
【0022】
用紙搬送装置は、用紙搬送路30に沿って用紙を搬送する装置である。用紙搬送装置は、レジストローラー17(ペーパーストップローラー、PSローラー)、転写部24、定着部28などを含むことができる。
【0023】
用紙搬送装置は、用紙カセットに収容された用紙の束から用紙を一枚ずつ取り出し、取り出した用紙を用紙搬送路30に沿って搬送するように設けられる。用紙カセットから取り出された用紙はレジストローラー17で一度停止し用紙の傾きが補正される。また、レジストローラー17は、中間転写ベルト20が回転することによりカラーのトナー像が転写部24に到達するタイミングと、トナー像に対応する用紙の位置が転写部24に到達するタイミングとが同期するように用紙の搬送を開始する。このことにより、中間転写ベルト20のカラートナー像を用紙の適切な位置に転写(二次転写)することができ、用紙にカラートナー像を形成することができる。カラートナー像が形成された用紙は、定着部28へと搬送され通過することにより、カラートナー像が用紙に固着し、用紙上に画像が形成される。画像が形成された用紙は、排紙トレイに排出される。
【0024】
レジストローラー17の用紙搬送速度、転写部24の用紙搬送速度及び定着部28の用紙搬送速度は実質的に同じにする必要があり、通紙によるローラーの摩耗に起因するレジストローラー17、転写部24、定着部28におけるローラーの搬送速度の変化は転写位置での画質不良を引き起こす。このため、ローラー径の寸法公差は±0.05mm以下の厳しいレベルとなっている。定着駆動ローラー26は、通常、高硬度ゴムローラーであるため、通紙によるローラーの摩耗は小さいと考えられる。転写駆動ローラー22は、通常ゴムローラーであるが、転写駆動ローラー22は樹脂ベルト(中間転写ベルト20)で覆われているため、通紙によるローラーの摩耗は小さいと考えられる。レジストローラー17の駆動ローラー2aは、通常ゴムローラーであるため、通紙によるローラーの摩耗は大きいと考えられる。
【0025】
用紙がレジストローラー17及び転写部24を通過中においてレジストローラー17の用紙搬送速度が転写部24の用紙搬送速度よりも速い場合、図3(a)に示したように、レジストローラー17と転写部24との間の用紙31のたわみ量が大きくなり、用紙31によって中間転写ベルト20が早回しされる。このため、中間転写ベルト20の回転速度が速くなって色ずれが生じる。
図5(a)~(c)は、感光体19aから中間転写ベルト20へのブラックトナー39の転写を模式的に示した模式図である。中間転写ベルト20が通常の回転速度で回転している場合、ブラックトナー39、シアントナー36、マゼンタトナー37及びイエロートナー38は、図5(a)のように中間転写ベルト20に重なって転写される(図5(a)では説明のためにトナー36~39を並べている)。
用紙31によって中間転写ベルト20が早回しされ回転速度が速くなった場合、図5(b)のようにブラックトナー39の転写のタイミングでシアントナー36、マゼンタトナー37及びイエロートナー38はすでに通り過ぎている。このため、印刷画像に色ずれが発生する。
【0026】
レジストローラー17の用紙搬送速度が転写部24の用紙搬送速度よりも速い場合、レジストローラー17と転写部24との間の用紙31のたわみ量が大きいため、図3(b)に示したように、用紙31の後端がレジストローラー17を抜ける際に用紙31がバタつく。この衝撃で転写位置がずれて印刷画像にスジが発生する。
【0027】
用紙31がレジストローラー17及び転写部24を通過中においてレジストローラー17の用紙搬送速度が転写部24の用紙搬送速度よりも遅い場合、図4(a)に示したように、レジストローラー17に用紙31が挟持された状態で転写部24に用紙31が突入し遅いレジストローラー17に挟まれた用紙31により引っ張られて中間転写ベルト20の回転速度が遅くなって色ずれが生じる。
中間転写ベルト20の回転速度が遅くなった場合、図5(c)のようにブラックトナー39の転写のタイミングでシアントナー36、マゼンタトナー37及びイエロートナー38は、ブラックトナー39の転写位置に到達していない。このため、印刷画像に色ずれが発生する。
【0028】
レジストローラー17の用紙搬送速度が転写部24の用紙搬送速度よりも遅い場合、図4(b)に示したように、用紙31の後端がレジストローラー17を抜ける際に転写駆動ローラー22の負荷が急激に減少する。このため、急に転写部24の用紙搬送速度が変わり転写位置がずれて印刷画像にスジが発生する。
【0029】
レジストローラー17は、駆動モータ1により駆動されるように設けられた駆動ローラー2aと、駆動ローラー2aが回転することにより回転するように設けられた従動ローラー3aとを備える。
【0030】
従動ローラー3aは、駆動ローラー2aと従動ローラー3aとの間の摩擦力を利用して回転するように設けられる。また、従動ローラー3aは、駆動ローラー2aと用紙との間の摩擦力及び従動ローラー3aと前記用紙との間の摩擦力を利用して回転するように設けられる。このため、駆動ローラー2aが1回転すると、従動ローラー3aは、駆動ローラー2aの円周の長さ(=ローラー径×円周率)だけ従動ローラーの円周が移動するように回転する。例えば、駆動ローラー2aの円周の長さと、従動ローラー3aの円周の長さとが同じ場合(駆動ローラー2aのローラー径と、従動ローラー3aのローラー径とが同じ場合)、駆動ローラー2aが1回転すると、従動ローラー3aは1回転する。例えば、駆動ローラー2aの円周の長さが従動ローラー3aの円周の長さの2倍である場合(駆動ローラー2aのローラー径が従動ローラー3aのローラー径の2倍である場合)、駆動ローラー2aが1回転すると、従動ローラー3aは2回転する。このように、駆動ローラー2aのローラー径が変化すると、従動ローラー3aの回転数が変化する。
駆動ローラー2aのローラー径は、製造時において従動ローラー3aのローラー径と実質的に同じにすることができる。また、駆動ローラー2aのローラー径は、製造時において従動ローラー3aのローラー径の整数倍又は整数分の1とすることができる。
【0031】
駆動ローラー2aは、ゴムローラー又はエラストマーローラーであり(例えば、エチレンプロピレンジエンゴムローラー(EPDMローラー))、従動ローラー3aは、樹脂ローラー又は金属ローラーである。駆動ローラー2a及び従動ローラー3aは、駆動ローラー2aと従動ローラー3aとの間に用紙を挟持し駆動ローラー2aが回転することによりこの用紙を搬送するように設けられる。ゴムローラー又はエラストマーローラーは高い摩擦係数を有するため、レジストローラー17の用紙搬送力を大きくすることができる。
【0032】
しかし、ゴムローラー又はエラストマーローラーは、経時変化、摩耗などによりローラー径が変化する場合がある。駆動モータ1の回転数が変わらず駆動ローラー2aのローラー径が変化すると、レジストローラー17の用紙搬送速度が変化し、転写部24の用紙搬送速度との間に違いが生じる。このことが原因で、用紙の印刷画像にスジや色ずれが生じる場合がある。
【0033】
例えば、駆動ローラー2aにEPDMローラー(ローラー径:φ20mm)を用いた場合、EPDMローラーの直径は製造後しばらく安定せず、数か月で0.25%ほど縮小する。この縮小量は、ローラー径φ20mmに対しては0.05mmと大きくないが、レジストローラー17の用紙搬送速度では0.25%の変動となり、この変動は許容できるものではない。また、EPDMローラーのローラー径は通紙による摩耗でさらに縮むため、最悪1%近く縮むこともある。ローラー径が1.0%変化すると、画像形成装置50の生産初期と比べて用紙のたわみ量(レジストローラー17と転写部24との間のたわみ量)がかなり変化するので、用紙の印刷画像にスジや色ずれが発生する。
また、従動ローラー3aは、樹脂ローラー又は金属ローラーであるため、そのローラー径は、摩耗などによりほとんど変化しない。
【0034】
第1センサ5は、駆動ローラー2a、2bが1回転する毎に第1信号を制御部4へ出力するように設けられたセンサであり、第2センサ6は、従動ローラー3a、3bが1回転する毎に第2信号を制御部4へ出力するように設けられたセンサである。ここでは、レジストローラー17に第1センサ5、第2センサ6を設ける例について説明するが、ここでの説明は、矛盾がない限り原稿読取部16の駆動ローラー2a、従動ローラー3bに第1センサ5、第2センサ6を設ける例についてもあてはまる。
【0035】
第1センサ5は、例えば、第1発光素子7と、第1発光素子7が発する光を受光するように設けられた第1受光素子8とを備えたフォトセンサである。また、第2センサ6は、例えば、第2発光素子9と、第2発光素子9が発する光を受光するように設けられた第2受光素子10とを備えたフォトセンサである。フォトセンサは、透過型であってもよく、分離型であってもよく、反射型であってもよく、アクチュエータータイプであってもよく、プリズムタイプであってもよい。
【0036】
駆動ローラー2aは、例えば、駆動ローラー2aが1回転する毎に第1発光素子7が発光し第1受光素子8が受光する光を遮るように設けられる。また、駆動ローラー2aは、例えば、回転軸13aに棒状の第1凸部11を有し、第1凸部11は、駆動ローラー2aが1回転する毎に第1発光素子7と、第1受光素子8との間を通過するように設けられる。また、第1センサ5は、第1発光素子7が発光し第1受光素子8が受光する光が遮られると、第1信号を制御部4へと出力するように設けられる。第1センサ5は、例えば、電圧変化として第1信号を制御部4へ出力することができる。
制御部4は、駆動ローラー2aが1回転する毎に第1センサ5から第1信号を繰り返し入力するため、第1信号の入力回数が駆動ローラーの回転数となり、入力信号の時間間隔が駆動ローラー2aの1回転に要する時間となる。
【0037】
従動ローラー3aは、例えば、従動ローラー3aが1回転する毎に第2発光素子9が発光し第2受光素子10が受光する光を遮るように設けられる。また、従動ローラー3aは、例えば、回転軸13bに棒状の第2凸部12を有し、第2凸部12は、従動ローラー3aが1回転する毎に第2発光素子9と、第2受光素子10との間を通過するように設けられる。また、第2センサ6は、第2発光素子9が発光し第2受光素子10が受光する光が遮られると、第2信号を制御部4へと出力するように設けられる。第2センサ6は、例えば、電圧変化として第2信号を制御部4へ出力することができる。
制御部4は、従動ローラー3aが1回転する毎に第2センサ6から第2信号を繰り返し入力するため、第2信号の入力回数が従動ローラー3aの回転数となり、入力信号の時間間隔が従動ローラー3aの1回転に要する時間となる。
【0038】
駆動ローラー2aは、ゴムローラー又はエラストマーローラーであるため、経時変化、摩耗などによりローラー径が小さくなる場合がある。この場合、従動ローラー3aの回転数も変化する。また、この場合、レジストローラー17の用紙搬送速度も変化する。このため、駆動ローラー2aのローラー径の変化が画質不良の原因となる。
【0039】
制御部4は、第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、第1信号のすぐ後にまたは同時に入力する第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の第1時間差に基づき駆動モータ1の回転数を制御するように設けられる。
また、制御部4は、第1時間差と、第N時間差と間のずれ(変化量)に基づき駆動モータ1の回転数を制御するように設けられ、第N時間差は、第1時間差の算出に用いた第1又は第2信号を入力してから駆動ローラー2a又は従動ローラー3aがN回回転した後の第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の時間差である。
このような駆動モータ1の回転数の制御は、例えば、所定の日数が経過する毎(例えば、30日毎)、駆動ローラー2aが所定の回数を回転する毎(例えば200000回転毎)、又は画像形成装置50のメンテナンスをするときに行うことができる。
【0040】
図6図7は、画像形成装置50の製造時において駆動ローラー2aのローラー径と、従動ローラー3aのローラー径とが実質的に同じであり、画像形成装置50をある期間稼働させた後における第1センサ5からの入力信号(検出電圧)と第2センサ6からの入力信号(検出電圧)のタイミングチャートである。
【0041】
図6のタイミングチャートでは、0秒(第1回転)において第1センサ5から第1信号を入力するタイミングと、第2センサ6から第2信号を入力するタイミングとが一致し、制御部4は第1センサ5からの第1信号及び第2センサ6からの第2信号をそれぞれ26回入力している。駆動ローラー2aのローラー径が摩耗などにより小さくなっている場合、駆動ローラー2aの円周の長さが従動ローラー3aの円周の長さよりも少し短くなっているため、回転数が増えていくと、第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、すぐ後に入力する第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の時間差は少しずつ大きくなっていく(累積する)。図6のタイミングチャートでは、第1回転では第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングは検知部と制御部の分解能の限界の為一致しているが、第26回転では、第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の時間差は明確に表れている。このようにして測定した時間差は、駆動ローラー2aのローラー径の変化に起因するレジストローラー17の用紙搬送速度の変化に対応するため、制御部4は、レジストローラー17の用紙搬送速度の微小な速度変化を検出することができる。また、制御部4は、この時間差に基づき駆動モータ1の回転数を補正することにより、レジストローラー17の用紙搬送速度が大きく変化することを抑制することができる。
このような第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の時間差の測定は、用紙を搬送せずにレジストローラー17を回転させて測定することができる。
【0042】
図7のタイミングチャートでは、第1回転から第8回転まで駆動ローラー2a及び従動ローラー3aが回転し、停止期間を挟んで第9回転から第17回転まで駆動ローラー2a及び従動ローラー3aが回転する。さらに停止期間を挟んで第18回転から第28回転まで駆動ローラー2a及び従動ローラー3aが回転する。このように停止期間があっても、第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、すぐ後に入力する第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の時間差は少しずつ大きくなっていく(累積する)。従って、制御部4は、停止期間があっても、この時間差に基づき駆動モータ1の回転数を補正することにより、レジストローラー17の用紙搬送速度が大きく変化することを抑制することができる。
【0043】
図6図7に示したタイミングチャートでは、第1回転において、第1センサ5から第1信号を入力するタイミングと、第2センサ6から第2信号を入力するタイミングとが一致している場合について説明したが、これらのタイミングは一致していなくてもよい。
まず、例えば、図8(a)のように、測定開始時点における第1センサ5からの信号の入力タイミングT駆動0と、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングT従動0との間の時間差T0を測定する(T0=T従動0-T駆動0)。
ここでは、時間差T0の測定は、1回しか行っていないが、時間差T0の測定を複数回行い、複数回の測定値の平均値をT0として以下の判定や計算に用いてもよい。例えば、最初の10回転について時間差T0の測定を行い、これらの平均値をT0として判定や計算に用いることができる。
【0044】
次に、駆動ローラー2aと従動ローラー3aの回転回数をカウントする。所定の回転回数Nに達したら、図8(b)のように、N回目の回転における第1センサ5からの第1信号の入力タイミングT駆動Nと、第2センサ6からの第2信号の入力タイミングT従動Nとの間の時間差TNを測定する(TN=T従動N-T駆動N)。
ここでは、時間差TNの測定は1回しか行っていないが、時間差TNの測定を複数回行い、複数回の測定値の平均値をTNとして以下の判定や計算に用いてもよい。例えば、最後の10回転について時間差TNの測定を行い、これらの平均値をTNとして判定や計算に用いることができる。
また、駆動ローラー2aと従動ローラー3aは同時に回転するため、T0の測定と、TNの測定は必ずしも連続で実施する必要はない。回転数だけをカウントしておけば途中に中断があってもよい。そのため、印字JOBと並行して実施し、既定の回数分、ローラー回転数がカウントされたらTNを測定してレジストローラー17の用紙搬送速度を補正してもよい。この方式ならダウンタイムは発生しない。
【0045】
次に、T0とTNとを比較し、駆動ローラー2aの回転速度を増速するか又は減速するかを判定する。
NがT0よりも大きい場合(TN>T0)、従動ローラー3aの回転を検出する第2センサ6から第2信号を入力するタイミングが遅れており、従動ローラー3aのローラー径はほとんど変わらないと考えられるため、駆動ローラー2aのローラー径が小さくなり、レジストローラー17の用紙搬送速度が低下したと推測する。このため、制御部4は、駆動モータ1の回転数を上げてレジストローラー17の用紙搬送速度を速くする。
【0046】
NがT0よりも小さい場合(TN<T0)、従動ローラー3aの回転を検出する第2センサ6から第2信号を入力するタイミングが早まっており、従動ローラー3aのローラー径はほとんど変わらないと考えられるため、駆動ローラー2aのローラー径が大きくなり、レジストローラー17の用紙搬送速度が増加したと推測する。このため、制御部4は、駆動モータ1の回転数を下げてレジストローラー17の用紙搬送速度を遅くする。
【0047】
レジストローラー17の用紙搬送速度の補正量は、例えば、次の式から算出することができる。
S=(V実際-V理論)÷V理論
={(V実際-V理論)×T1回転}÷(V理論×T1回転)
=(R駆動-R理論)÷R理論
≒(R駆動-R従動)÷R理論
={(R駆動-R従動)÷V理論}÷(R理論÷V理論)
≒ΔT÷T1回転
ここで、T1回転は直径が理論値のローラーが理論速度で1回転したときの1回転にかかる時間であり、ΔTはローラー1回転あたりの駆動ローラーと従動ローラーの検知時間のずれ量であり、R理論は理論ローラー周長であり、R駆動は駆動ローラー周長であり、R従動は、従動ローラー周長であり、V理論は用紙搬送速度理論値であり、V実際は実際の用紙搬送速度であり、Sは用紙搬送速度の補正量(%)である。
【0048】
上記の回転回数Nを使うと次のよう書ける。
S=(ΔT×N)÷(T1回転×N)
=(TN-T0)÷(T1回転×N)
ここで、TN、T0は、上述のように測定することができ、T1回転、Nは定数であるため、これらから用紙搬送速度の補正量Sを算出することができる。
【0049】
例えば、駆動モータ1に、CLKで回転数制御しているモータを使用している場合、CLK周波数を変更することにより駆動モータ1の回転数を制御することができる。
CLK補正=CLK理論+ΔCLK
ここで、CLK理論は理論CLK周波数であり、ΔCLKはCLK補正量であり、CLK補正は補正後のCLK周波数である。
【0050】
従動ローラー3aのローラー径が20mmであり、駆動ローラー2aのローラー径が約20mmであり、は用紙搬送速度理論値V理論が395mm/sであり、T1回転が0.209秒であり、T0が0.200秒であり、T1が0.252秒であり、Nが100回であり、CLK理論が2653.01Hzである場合、次のように用紙搬送速度の補正量S及び補正後のCLK周波数CLK補正を算出することができる。
S=(TN―T0)÷(T1回転×N)
=(0.252-0.200)÷(0.209×100)
≒2.5×10-3
CLK補正=CLK理論+ΔCLK
=2653.01+2653.01×0.0025
≒2659.64Hz
従って、Sは、0.25%となり、CLK補正は2659.64Hzとなる。
【0051】
図9は、従動ローラー3aのローラー径が駆動ローラー2aのローラー径の1/2である場合における第1センサ5からの入力信号(センサー出力)と第2センサ6からの入力信号(センサー出力)のタイミングチャートである。
駆動ローラー2aがN回回転すると、従動ローラー3aは2N回回転するため、駆動ローラー2aの回転を検出する第1センサ5からのN番目の入力信号と、従動ローラー3aの回転を検出する第2センサ6からの(2N-1)番目の入力信号の時間差を測定することができる。この時間差を用いて、用紙搬送速度の補正量S及び補正後のCLK周波数CLK補正を算出することができる。
【0052】
制御部4は、第1センサ5からの第1信号の入力タイミングと、この第1信号のすぐ後にまたは同時に入力する第2センサ6からの第2信号の入力タイミングとの間の時間差に基づき用紙が下流側に引っ張られていることを検出するように設けられてもよい。
【0053】
レジストローラー17が理論値通りの用紙搬送速度で用紙を搬送したとしても、レジストローラー17の下流側にある転写部24の転写駆動ローラー22のローラー径又は定着部28の定着駆動ローラー26のローラー径が設計値上限に近い場合、レジストローラー17と転写部24との間における用紙に適度なたわみがなくなり、レジストローラー17を通過している用紙が転写部24により引っ張られる場合がある(引っ張り)。このような引っ張りが発生すると、レジストローラー17の従動ローラー3aだけが早回しされる(駆動ローラー2aは早回しされない)。このため、図10(a)(b)のように、用紙がレジストローラー17に到達する前における第1センサ5からの第1信号の入力タイミングT駆動1とこの第1信号のすぐ後にまたは同時に入力する第2センサ6からの第2信号の入力タイミングT従動1との間の時間差T1よりも、この用紙がレジストローラー17及び転写部24を通過した後における第1センサ5からの第1信号の入力タイミングT駆動2とこの第1信号のすぐ後にまたは同時に入力する第2センサ6からの第2信号の入力タイミングT従動2との間の時間差T2のほうが大きくなる。制御部4は、このような時間差T1と時間差T2の間の差を検出することにより、用紙が下流側に引っ張られていることを検出することができる。
制御部4は、用紙の引っ張りを検出した場合、レジストローラー17の駆動ローラー2aを駆動する駆動モータ1の回転数を大きくすることにより用紙の引っ張りを解消することができる。
【0054】
レジストローラー17と転写部24との間における用紙に適度なたわみがある場合、図11(a)(b)のように、時間差T1は時間差T2と同じになる。
【符号の説明】
【0055】
1:駆動モータ 2a、2b:駆動ローラー 3a、3b:従動ローラー 4:制御部 5:第1センサ 6:第2センサ 7:第1発光素子 8:第1受光素子 9:第2発光素子 10:第2受光素子 11:第1凸部 12:第2凸部 13a、13b:回転軸 14a、14b:歯車 15:画像形成部 16:原稿読取部 17:レジストローラー 18a、18b、18c、18d:トナー像形成部 19a、19b、19c、19d:感光体 20:中間転写ベルト 22:転写駆動ローラー 23:転写従動ローラー 24:転写部 26:定着駆動ローラー 27:定着従動ローラー 28:定着部 30:用紙搬送路 31:用紙 32:二次転写ベルト 33:露光ユニット 34:原稿搬送路 35:画像読取部 36:シアントナー 37:マゼンタトナー 38:イエロートナー 39:ブラックトナー 50:画像形成装置
図1
図2
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図10
図11