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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181846
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20231218BHJP
   H01P 5/02 20060101ALI20231218BHJP
   H01P 5/18 20060101ALI20231218BHJP
   H01P 1/203 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H04B1/40
H01P5/02 603E
H01P5/18 F
H01P1/203
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095210
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤 博之
(72)【発明者】
【氏名】中島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】本多 由宇人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
【テーマコード(参考)】
5J006
5K011
【Fターム(参考)】
5J006HB03
5J006JA01
5J006LA12
5K011AA06
5K011AA16
5K011DA02
5K011DA07
5K011DA12
5K011DA21
5K011DA27
5K011KA12
5K011LA01
(57)【要約】
【課題】無線通信特性の劣化を抑制しつつ、有線接続と無線接続とを簡易な構成で切り替えられるようにする。
【解決手段】無線通信装置は、アンテナへの信号の送信およびアンテナからの信号の受信の少なくとも一方を、マイクロストリップ線路を介して行う通信部を備える。マイクロストリップ線路には、共振特性を有する、通信部側の第1スタブとアンテナ側の第2スタブが形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナへの信号の送信および前記アンテナからの信号の受信の少なくとも一方を、マイクロストリップ線路を介して行う通信部を備え、
前記マイクロストリップ線路には、共振特性を有する、前記通信部側の第1スタブと前記アンテナ側の第2スタブが形成され、
前記第1スタブは、外部装置に接続可能に構成され、
前記共振特性は、前記第1スタブに前記外部装置が接続されていない場合に、前記信号の周波数で共振状態となり、前記第1スタブに前記外部装置が接続されると、前記信号の周波数で前記共振状態がくずれる特性である
無線通信装置。
【請求項2】
前記第1スタブに前記外部装置が接続されていない場合、前記通信部の信号が前記第1スタブおよび前記第2スタブを介して前記アンテナに出力され、
前記第1スタブに前記外部装置が接続される場合、前記通信部の信号が前記第1スタブを介して前記外部装置に出力される請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1スタブと第2スタブはバンドパスフィルタの特性である請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1スタブと第2スタブはオープンスタブである請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1スタブには前記外部装置と接続する接続端子が設けられる請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記接続端子に前記外部装置の接続コードが接続されることで、前記第1スタブの長さが長くなり前記共振特性がくずれる請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記第1スタブと第2スタブは直流成分については電気的に接続されていない請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記通信部および前記通信部から前記アンテナに至る前記マイクロストリップ線路を含む回路部分は遮蔽材で被覆されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置では、無線フロントエンド回路からアンテナに接続されるマイクロストリップ線路上にて、評価または無線認証試験などを実施するための有線接続と、アンテナを介した無線接続とが切り替えられるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-21925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、有線接続と無線接続とを切り替えるための接続作業が実施されると作業工数の増加によるコストアップ、無線通信装置の無線通信特性の劣化が問題となる場合がある。また、有線接続と無線接続とを切り替えるためにRFスイッチに例示される素子が用いられると、部品点数の増加につながる。
【0005】
本開示の側面は、無線通信特性の劣化を抑制しつつ、有線接続と無線接続とを簡易な構成で切り替えられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、無線通信装置によって例示される。本無線通信装置は、アンテナへの信号の送信およびアンテナからの信号の受信の少なくとも一方を、マイクロストリップ線路を介して行う通信部を備える。マイクロストリップ線路には、共振特性を有する、通信部側の第1スタブとアンテナ側の第2スタブが形成される。
【発明の効果】
【0007】
本無線通信装置によれば、無線通信特性の劣化を抑制しつつ、有線接続と無線接続とを簡易な構成で切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較例に係る無線通信装置の構成を例示する図である。
図2図2は、実施形態1に係る無線通信装置の構成を例示する図である。
図3図3は、マイクロストリップ線路とバンドパスフィルタの構成を例示する図である。
図4図4は、実施形態2に係る無線通信装置の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して一実施の形態である無線通信装置を説明する。
<比較例>
図1は、比較例に係る無線通信装置500の構成を例示する図である。無線通信装置500は、無線Integrated Circuit 1(無線IC1)と、同軸ケーブルを接続するための
コネクタ3と、アンテナ4と、無線IC1とコネクタ3との間、または無線IC1とアンテナ4との間を接続するマイクロストリップ線路502とを有している。
【0010】
マイクロストリップ線路502は、無線IC1に接続されるマイクロストリップ線路502-2と、コネクタ3に接続されるマイクロストリップ線路502-3と、アンテナ4に接続されるマイクロストリップ線路502-4に分離されている。
【0011】
図1のように、マイクロストリップ線路502-2の一端は、無線IC1のフロントエンド回路の送受信ポートに接続されている。マイクロストリップ線路502-3の一端はコネクタ3に接続されている。また、マイクロストリップ線路502-4の一端は、アンテナ4に接続されている。一方、マイクロストリップ線路502-2の無線IC1側と反対側の他端は、短絡素子またはRFスイッチによってマイクロストリップ線路502-3または502-4に接続される。すなわち、マイクロストリップ線路502-2は、マイクロストリップ線路502-3のコネクタ3と反対側の他端および502-4のアンテナ4と反対側の他端のいずれかに接続可能である。また、コネクタ3とマイクロストリップ線路502-3との間のインピーダンスの整合が整合回路(図1では省略)により確保される。また、アンテナ4とマイクロストリップ線路502-4との間のインピーダンスの整合が整合回路(図1では省略)により確保される。
【0012】
ここで、マイクロストリップ線路502-2と、マイクロストリップ線路502-3および502-4のいずれかとの間の接続を切り替えるためには、例えば、マイクロストリップ線路上に設けられた短絡素子の半田による付け替えなどが利用される。また、マイクロストリップ線路502-2と、マイクロストリップ線路502-3および502-4との間にRFスイッチの実装をすることで、上記切り替えが実施可能である。
【0013】
このような方法により、無線IC1の送受信ポートは、無線通信時には、マイクロストリップ線路502-2およびマイクロストリップ線路502-4によりアンテナ4と接続される。一方、無線通信装置500の評価または無線認証試験などの際、無線IC1の送受信ポートがマイクロストリップ線路502-3を介して試験装置等の外部装置の同軸ケーブルのコネクタ3に接続されることがある。この接続の際には、上記半田による付け替え、または、RFスイッチ等の手段が利用される。
【0014】
しかし、上記付け替えが短絡素子の半田付けによる場合には、作業工数の増加によるコストアップが問題となる。また、RFスイッチを実装することは、部品点数の増加につながる。また、短絡素子の半田付けおよびRFスイッチの実装のいずれの方法でも、マイクロストリップ線路502-2と、マイクロストリップ線路502-3および502-4との間の伝送路特性への影響が避けられない場合も生じ得る。その結果、無線通信装置500の無線通信特性が劣化することも生じ得る。
【0015】
<実施形態1>
図2から図3を参照し、実施形態1に係る無線通信装置100を説明する。図2は、実施形態1に係る無線通信装置100の構成を例示する図である。無線通信装置100は、無線IC1と、試験装置等の外部装置に接続される同軸ケーブル用のコネクタ3と、アンテナ4と、無線IC1からコネクタ3およびアンテナ4とに至る経路間を接続するマイクロストリップ線路2と、バンドパスフィルタBPFとを有している。
【0016】
無線IC1は通信部の一例ということができる。図2では、無線IC1のうち、フロントエンド回路の部分が例示されている。このフロントエンド回路の部分には、変調回路部分と復調回路部分が含まれる。無線IC1のうち変調回路部分は、フェーズロックループPLLの信号と入力信号(ベースバンド信号)とから高周波の変調信号を生成するミキサMX1と、ミキサMX1からの出力信号を増幅するパワーアンプPAを有している。パワーアンプPAからの出力信号は、スイッチSWを介してマイクロストリップ線路2に送出される。また、無線IC1の復調回路部分は、スイッチSWを介して入力される高周波の
受信信号を増幅する低ノイズアンプLNAと、増幅された受信信号からフェーズロックループPLLの信号を基にベースバンド信号を復調するミキサMX2を有している。なお、フェーズロックループPLLとスイッチSWは、変調回路部分および復調回路部分の両方で動作する。
【0017】
マイクロストリップ線路2は、接続コードである同軸ケーブルのコネクタ3とアンテナ4とに分岐点で分岐して接続される。マイクロストリップ線路2のうち、分岐点から無線IC1に接続される部分をマイクロストリップ線路2-2という。また、マイクロストリップ線路2のうち、分岐点からコネクタ3に接続される部分をマイクロストリップ線路2-3という。また、マイクロストリップ線路2のうち、分岐点からアンテナ4に接続される部分をマイクロストリップ線路2-4という。
【0018】
図2のように、マイクロストリップ線路2のうち、コネクタ3への分岐からアンテナ4に至る部分には、バンドパスフィルタBPFが挿入されている。すなわち、バンドパスフィルタBPFがマイクロストリップ線路2-4の途中に挿入されている。
【0019】
コネクタ3に同軸ケーブルが接続されない状態では、バンドパスフィルタBPFは、無線IC1によって生成される高周波の周波数fにおいて共振する特性を有する。この共振時に、バンドパスフィルタBPFは、周波数fの信号に対してアドミッタンスが最大となり、アンテナ4とマイクロストリップ線路2との間でインピーダンスの整合がとれた状態となる。したがって、コネクタ3に同軸ケーブルが接続されない状態では、無線IC1によって生成される周波数fの高周波信号の電力は、その大半がアンテナ4から無線信号として放射される。
【0020】
一方、コネクタ3に同軸ケーブルが接続されると、同軸ケーブルの影響により、バンドパスフィルタBPFの共振特性が変化し、インピーダンスの整合がとれなくなる。すなわち、共振特性がくずれる。その結果、無線IC1によって生成される周波数fの高周波に対して、バンドパスフィルタBPFのアドミッタンスが低下する。したがって、無線IC1によって生成される周波数fの高周波信号の電力は、その大半がアンテナ4には伝送されない。このように、同軸ケーブルがコネクタ3に接続されると、無線通信装置100は、無線IC1によって生成される周波数fの高周波信号の大半を同軸ケーブルに送出できる。すなわち、無線通信装置100は、コネクタ3への同軸ケーブルの接続の有無によって、無線IC1によって生成される周波数fの高周波信号の電力をコネクタ3とアンテナ4との間で切り替えることが可能である。
【0021】
図3は、マイクロストリップ線路2とバンドパスフィルタBPFの構成を例示する図である。図3のように、マイクロストリップ線路2-2の一端は無線IC1に接続されている。一方、マイクロストリップ線路2-2の無線IC1と反対側である他端には、第1スタブとしてのオープンスタブ5-3が形成されている。ここで、オープンスタブ5-3は、一端がマイクロストリップ線路2-2に接続され、他端が開放された、誘電体基板上の配線パターンということができる。なお、オープンスタブ5-3の他端には同軸ケーブル用のコネクタ3が接続されている。また、マイクロストリップ線路2-4の一端はアンテナ4に接続されている。一方、マイクロストリップ線路2-4のアンテナ4と反対側である他端には第2スタブとしてのオープンスタブ5-4が形成されている。ここで、オープンスタブ5-4は、一端がマイクロストリップ線路2-4に接続され、他端が開放された誘電体基板上の配線パターンということができる。なお、図3では、マイクロストリップ線路2のストリップ導体が例示されているが、誘電体基板および誘電体基板の裏面側(マイクロストリップ線路2が形成された面と反対面側)の接地導体は省略されている。また、マイクロストリップ線路2-2、2-4およびオープンスタブ5-3、5-4は、全てが誘電体基板の表層に配線パターンとして形成されるが、一部が誘電体基板の内層に形成
されてもよい。その場合、表層と内層の配線パターンはビアで接続される。上述のように、同軸ケーブルには、試験装置等の外部装置が接続可能である。したがって、第1スタブと第2スタブとは、第1スタブに外部装置が接続されると、信号の周波数で共振状態がくずれる特性を有するといえる。
【0022】
図3の例では、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4とは、所定距離を挟んで並行して形成され、相互に形成する容量および相互インダクタンスにより、ある種のカプラ(結合器)となっている。すなわち、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4とは直流成分については電気的に接続されていない。オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4のそれぞれの長さ、幅、厚さ、および相互の距離等を調整することにより、マイクロストリップ線路2-2とマイクロストリップ線路2-4との間のアドミッタンス(およびインピーダンス)および周波数特性等が決定できる。本実施形態では、無線IC1が出力する周波数fの高周波信号に対して、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4により共振回路が形成される。したがって、図3に例示するように、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4は、バンドパスフィルタBPFとなる。このバンドパスフィルタBPFは、周波数fでアドミッタンスのピークを有する。
【0023】
<実施形態の効果>
無線通信装置100は、アンテナ4への信号の送信およびアンテナ4からの信号の受信の少なくとも一方を、マイクロストリップ線路2を介して行う通信部としての無線IC1を備える。マイクロストリップ線路2には、共振特性を有する、無線IC1側の第1スタブであるオープンスタブ5-3とアンテナ4側の第2スタブであるオープンスタブ5-4が形成される。オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4とにより、簡易に、かつ伝送路特性の変動を抑制して、無線IC1とアンテナ4との接続を制御できる。例えば、図1の比較例のような、短絡素子の半田付けによる作業工数の増加、RFスイッチを実装することによる部品点数の増加が抑制された上で、無線IC1とアンテナ4との接続が制御できる。
【0024】
このように、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4とによってバンドパスフィルタを構成するので、バンドパスフィルタが簡易に構成される。また、オープンスタブ5-3には同軸ケーブル用の接続端子であるコネクタ3が設けられるので、同軸ケーブルの接続の有無によって、バンドパスフィルタの特性を変更できる。したがって、同軸ケーブルの接続のない状態で、無線信号の周波数fでオープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4を共振状態とし、アンテナ4とマイクロストリップ線路2-4との間のインピーダンスを整合させればよい。より具体的には、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4の寸法、例えば、これら各部の長さ、幅、厚さ、および間隔が調整されればよい。これによって、無線IC1からアンテナ4に望ましい電磁波(周波数fの高周波)の電力が伝達されるように、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4が構成できる。これにより、無線IC1からの信号は、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4を介してアンテナ4に出力される。このような構成で、コネクタ3に同軸ケーブルを接続すると、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4を共振状態から離脱させることができ、無線IC1からアンテナ4への送受信電力(高周波電力)の供給を低減できる。すなわち、コネクタ3に同軸ケーブルを接続すると、同軸ケーブルの長さ分だけオープンスタブ5-3の長さが長くなり、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4の共振特性がくずれ、無線IC1からアンテナ4への送受信電力(高周波電力)の供給を低減できる。一方、上記周波数fで、オープンスタブ5-3、コネクタ3、コネクタ3に接続される同軸ケーブルおよび同軸ケーブルに接続される装置、設備等の間のインピーダンスを整合させることは可能である。このインピーダンスの整合により、同軸ケーブルに接続される装置、設備等からの反射損失は例えば―30dB以下など限りなく小さく(高周波信号の透過率がほぼ
100%に)抑制できる。したがって、例えば、無線通信装置100の評価または無線認
証試験等において、同軸ケーブルに試験装置を接続するという簡易な操作で、無線IC1からの高周波電力の供給先を切り替え、高周波電力をオープンスタブ5-3を介して試験装置に供給できる。
【0025】
また、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4とは、直流成分については電気的に接続されていない。そのため、高周波である通信信号以外の直流信号成分が無線IC1とアンテナ4との間で伝達されないため、伝送品質が向上する。
【0026】
<実施形態2>
図4を参照し、実施形態2に係る無線通信装置101を説明する。図4は、実施形態2に係る無線通信装置101の構成を例示する図である。無線通信装置101は、実施形態1の無線通信装置100にシールド7を追加したものである。したがって、無線通信装置101の構成のうち、無線IC1、マイクロストリップ線路2、コネクタ3、アンテナ4、およびオープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4の構成は実施形態1の無線通信装置100と同様である。
【0027】
図4のように、無線通信装置101において、無線IC1、マイクロストリップ線路2、同軸ケーブルのコネクタ3、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4は、電波遮蔽材で形成されるシールド7に収納される。シールド7は、シールドケースとも呼ばれる。また、シールド7は、電波吸収体と呼ばれるものでもよい。また、マイクロストリップ線路2、同軸ケーブルのコネクタ3、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4は、通信部としての無線IC1からアンテナ4に至るマイクロストリップ線路2を含む回路部分を形成する。実施形態2では、無線IC1と、この回路部分がシールド7の電波遮蔽材で被覆されている。
【0028】
シールド7は、例えば、金属板、金属膜、金属網等で空間を囲むものである。また、電波吸収体は、電波吸収体に入射した電磁波を熱損失または共振により減衰させるものである。電波吸収体は、例えば、誘電体、フェライト等の磁性材料等である。シールド7は、磁気シールド材で形成されてもよい。
【0029】
無線通信装置101がシールド7の内部の空間に収納されることで、使用する周波数帯域で共振を持つオープンスタブ5-3、5-4を含む高周波回路とシールド7の外部との高周波による干渉を抑制できる。また、高周波回路とシールド7の外部との間で、相互の妨害波を抑制することができる。
【0030】
<その他の変形例>
上記実施形態1、2では、バンドパスフィルタBPFとして、オープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4を用いた。しかし、無線通信装置100、101の構成がオープンスタブ5-3とオープンスタブ5-4を用いたものに限定される訳ではない。無線通信装置100、101は、その評価または無線認証試験等において、アンテナ4への無線信号電力を抑制できるバンドパスフィルタBPFが形成できればよい。
【0031】
マイクロストリップ線路2においてバンドパスフィルタBPFを形成できるものとしては、例えば、ショートスタブを用いてもよい。例えば、オープンスタブ5-4のマイクロストリップ線路2-4との接続端に対する反対側の端部を接地したものでもよい。また、マイクロストリップ線路2-2、2-4と離間して設けられるカプラが用いられてもよい。また、マイクロストリップ線路2-2、2-4から分岐するブランチラインカプラと呼ばれるものが用いられてもよい。また、マイクロストリップ線路2-2、2-4に抵抗を設け、抵抗の両端に接続されるウィルキンソンカプラと呼ばれるものが用いられてもよい。また、マイクロストリップ線路2-2、2-4それぞれを分割した導体の列で結合した
パラレルカプルドバンドパスフィルタと呼ばれるものが用いられてもよい。このような様々な高周波部品を用いることにより、無線通信装置100、101においてバンドパスフィルタBPFを形成するときの自由度が向上し、適切なバンドパスフィルタBPFが構成できる。
【符号の説明】
【0032】
1 無線IC
2 マイクロストリップ線路
3 コネクタ
4 アンテナ
5-3、5-4 オープンスタブ
100 無線通信装置
図1
図2
図3
図4