(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181856
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】通信装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20231218BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H04N5/232 300
H04L25/02 K
H04L25/02 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095220
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 智博
【テーマコード(参考)】
5C122
5K029
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122EA54
5C122GA34
5C122GC52
5C122GC58
5C122GC86
5C122GF04
5C122HA75
5C122HA86
5K029AA02
5K029CC02
5K029DD12
5K029KK28
5K029LL10
(57)【要約】
【課題】負荷変動による通信エラーを低減する。
【解決手段】通信装置は、同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、同軸ケーブルに電源を重畳して外部装置に給電を行う給電手段と、外部装置における電源を用いた駆動制御の実行を検出する検出手段と、検出手段による駆動制御の検出に応じて通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
前記外部装置における前記電源を用いた駆動制御の実行を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記駆動制御の検出に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記駆動制御の種別に関連付けられた周波数を規定する周波数リストを格納する格納手段を更に備え、
前記検出手段は、前記駆動制御の種別を検出し、
前記変更手段は、前記検出手段により検出された前記駆動制御の種別に基づいて前記周波数リストに規定された周波数を選択し、前記通信周波数を前記選択された周波数に変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記周波数リストは、前記駆動制御の種別と温度との複数の組み合わせに関連付けられた複数の周波数を規定し、
前記検出手段は、前記外部装置における環境温度の情報を更に検出し、
前記変更手段は、前記検出手段により検出された前記駆動制御の種別と環境温度との組み合わせに基づいて前記周波数リストに規定された周波数を選択する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記通信手段における通信エラーを検出することにより、前記駆動制御の実行を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信手段は、前記検出手段により通信エラーが検出された場合に、前記変更手段により前記通信周波数の変更を行った後、前記通信エラーが発生したデータに対する再送信要求を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記駆動制御の実行が完了した後、変更前の周波数に戻す
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
前記外部装置における電源ラインのノイズに関するノイズ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたノイズ情報に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
前記ノイズ情報は、前記ノイズの電圧レベルおよび周波数を含み、
前記変更手段は、電圧レベルが所定レベル以上である前記ノイズの周波数を除外した周波数に前記通信周波数を変更する
ことを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記変更手段は、前記ノイズ情報が電源ラインのノイズが無いことを示す場合、変更前の周波数に戻す
ことを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記変更手段は、前記通信周波数の基準クロックを生成する発振器の周波数を制御することにより、通信周波数を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
通信装置の制御方法であって、
前記通信装置は、
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
を備え、
前記制御方法は、
前記外部装置における前記電源を用いた駆動制御の実行を検出する検出工程と、
前記検出工程による前記駆動制御の検出に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
通信装置の制御方法であって、
前記通信装置は、
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
を備え、
前記制御方法は、
前記外部装置における電源ラインのノイズに関するノイズ情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得されたノイズ情報に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信におけるエラーを低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防犯や記録等の目的で監視を行う監視カメラは様々な環境において設置され運用されている。また、監視をしているという事を明示するために監視カメラを監視対象から見える位置に設置する場合がある一方で、監視カメラを見えにくいように設置する場合もある。例えば、監視カメラを壁の中に隠し目立たないように設置することがある。このような監視カメラでは小型のサイズであることが望まれており、例えばセンサユニット(レンズ、センサ部)とメインユニットに分割されたモジュールタイプの監視カメラが実現されている。
【0003】
モジュールタイプの監視カメラでは、センサユニットとメインユニットは例えば同軸ケーブルを介して接続される構成を有する。特許文献1では、ヘッドとコントローラを接続する同軸ケーブルにおいて、アップリンク/ダウンリンク信号に電源を重畳する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ヘッド(センサユニット)側において負荷変動が発生すると、負荷変動に起因するノイズが発生し、ノイズが同軸ケーブルに重畳される場合がある。その結果として、センサユニット-メインユニット間のデータ通信が正しく行えなくなってしまう場合がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、負荷変動による通信エラーを低減可能とする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するため、本発明に係る通信装置は以下の構成を備える。すなわち、通信装置は、
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
前記外部装置における前記電源を用いた駆動制御の実行を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記駆動制御の検出に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、
を備える。
【0008】
または、通信装置は、
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
前記外部装置における電源ラインのノイズに関するノイズ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたノイズ情報に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、負荷変動による通信エラーを低減する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態におけるシステム構成を説明する図である。
【
図2】駆動ノイズおよび周波数変更を説明する図である。
【
図4】変形例1におけるシステム構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
(第1実施形態)
本発明に係る通信装置の第1実施形態として、同軸ケーブルを介して接続されるセンサユニットとメインユニットを有する撮像システムを例に挙げて以下に説明する。
【0013】
<撮像システムの概略構成>
図1は、第1実施形態におけるシステム構成を説明する図である。撮像システムは、センサユニット100、同軸ケーブル110、メインユニット120を含んでいる。詳細は後述するが、センサユニット100は撮像を行い、撮像データを同軸ケーブル110を介してメインユニット120に送信する装置である。メインユニット120は、センサユニット100から受信した撮像データに対し各種画像処理を施し、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク網130を介して画像(映像)を配信する装置である。
【0014】
また、メインユニット120は、IPネットワーク網130を介して、クライアント端末装置140と相互通信可能な状態で接続されている。メインユニット120は、クライアント端末装置140から受信した各種制御コマンドに基づいて、メインユニット120およびセンサユニット100の動作を制御する。制御コマンドには、撮像パラメータの設定や、撮像ストリーミングの開始/停止命令等が含まれる。クライアント端末装置140としては、パソコンやサーバ、携帯端末等の情報処理端末を想定するが、それらに限定されるものではない。クライアント端末装置140は、撮像システムの各種制御の他、撮像システムで撮影された映像信号の表示や録画を行ってもよい。
【0015】
同軸ケーブル110は、1芯の同軸ケーブルであり、内部導体と外部導体から構成される。内部導体は1本の導線であり、外部導体は内部導体を中心に円筒状に配置されたシールド線である。詳細は後述するが、同軸ケーブル110には、双方向のデータ信号に加え電源が重畳されている。データ信号としては、例えば、センサユニット100からメインユニット120へ送信される画像信号、メインユニット120からセンサユニット100へ送信される各種制御信号(後述のフィルタ挿抜制御など)が含まれる。
【0016】
IPネットワーク網130は、例えばEthernet(登録商標)等の通信規格を満足する複数のルータ、スイッチ、ケーブル等から構成される。ただし、メインユニット120とクライアント端末装置140との間の通信を行うことができる通信ネットワークであれば、その通信規格や規模、構成は問わない。例えば、IPネットワーク網130は有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、WAN(Wide Area Network)等により構成されても良い。
【0017】
商用電源装置150は、メインユニット120に対して商用電源を供給する装置である。一般的には商用電源は交流(AC)100Vをメインユニット120に提供し、メインユニット120の電源回路124内のAC-DCコンバータ(不図示)を介して必要な直流(DC)電源が生成される。ただし、メインユニット120に電源供給されるものであれば、その構成は問わない。例えば有線LANケーブルを通して電力を供給するPoE(Power over Ethernet)を用いる形態でもよい。
【0018】
<センサユニットの構成>
センサユニット100は、光学系であるレンズ群101、撮像素子102、増幅器103、シリアライザ104を含む。また、センサユニット100は、レンズ群101と撮像素子102との間の光路に赤外(IR)カットフィルタ107を挿抜可能に構成されている。さらに、センサユニット100は、フィルタ105、電源回路106、モータドライバ109、モータ108を含む。
【0019】
レンズ群101は、被写体の光学像を撮像素子102の撮像面に結像するための光学レンズで構成される。撮像素子102は、レンズ群101を介して撮像面に結像された光学像を電気信号に変換する。増幅器103は、撮像素子102から出力された電気信号を所定レベルに増幅し、所定フォーマットの撮像データとして出力する。撮像データは、一般的にはMIPI(Mobile Industry Processor Interface)やLVDS(Low Voltage Differential Signaling)といった信号で出力される。
【0020】
シリアライザ104は、入力された撮像データを直列変換(シリアライズ)する。すなわち、撮像データは、CLK信号とDATA信号といった複数のパラレル信号として入力されるが、それらを直列変換することで1つのシリアル信号に変換する。このシリアル信号は同軸ケーブル110を介して出力される。
【0021】
フィルタ105は、同軸ケーブル110から電源(電源電圧)を分離して取り出す。詳細は後述するが、メインユニット120により同軸ケーブル110には電源が重畳されている。電源回路106は、センサユニット100の各部で必要な電源を生成する。図示していないが、撮像素子102やシリアライザ104へも電源が供給される。
【0022】
IRカットフィルタ107は、撮影モード(デイ/ナイト)に応じて光路に挿入されるフィルタである。具体的には、デイモードではIRカットフィルタが光路に挿入され、ナイトモードではIRカットフィルタが光路から抜去される。その結果、撮像素子102は、デイモードでは可視光域の光のみに基づく撮像データを生成し、ナイトモードでは可視光域~赤外域の光に基づく撮像データを生成する。これにより、ナイトモードでは、夜間等の暗所での撮影において感度の高い撮影が可能となる。なお、ナイトモードにおいては、撮影方向に対してIR照明を投射するよう構成してもよい。なお、IRカットフィルタ107の光路への挿抜制御は、モータドライバ109を介してモータ108を駆動することにより実現される。
【0023】
<メインユニットの構成>
メインユニット120は、デシリアライザ121、画像処理部122、通信制御部123、電源回路124、フィルタ125、発振器126を含む。
【0024】
デシリアライザ121は、シリアライザ104から同軸ケーブル110を介して送信されたシリアル信号(画像信号)を元の撮像データであるCLK信号、DATA信号といった複数のパラレル信号へ変換(復元)する。発振器126は、シリアライザ-デシリアライザ間でのシリアル通信に用いられる基準クロック(CLK)を生成する。例えば、デシリアライザ121は、基準CLKをシリアライザ104に供給し、シリアライザ104は、基準CLKの逓倍のCLKでシリアル信号を生成する。また、デシリアライザ121は、センサユニット100に対する各種制御信号(後述のフィルタ挿抜制御など)を送信する。
【0025】
画像処理部122は、デシリアライザ121で復元された撮像データに対する各種画像処理(現像処理など)を行い、所定の撮像データを生成する。
【0026】
通信制御部123は、画像処理部122で生成された撮像データをIPネットワーク網130を介して配信する。このとき、通信制御部123は、撮像データを所定の通信プロトコルに準拠したデータへ変換を行った上で配信してもよい。また、通信制御部123は、上述したクライアント端末装置140からの各種制御コマンドを受信するように構成されている。
【0027】
電源回路124は、外部の商用電源装置150から供給された電源から、メインユニット120の各部で必要な電源、および、同軸ケーブル110を介してセンサユニット100に給電する電源を生成する。フィルタ125は、センサユニット100に給電する電源を、デシリアライザ121からの通信信号に重畳する。
【0028】
<システムの動作>
上述したように、撮像システムは、センサユニット100とメインユニット120とを有し、センサユニット100とメインユニット120は同軸ケーブル110を介して接続されている。そして、同軸ケーブル110においては、映像情報だけでなく、電源も重畳されている。
【0029】
ところで、IRカットフィルタ107の挿抜動作を行うために、モータ108を駆動すると駆動ノイズ201が発生する。駆動ノイズ201は、モータ108を高速にスイッチング制御することでモータ108における負荷変動が生じることにより発生する。この駆動ノイズはモータ制御ライン(モータドライバ109とモータ108の間)だけでなく、電源供給する電源ラインにも発生する。電源ライン上での駆動ノイズは同軸ケーブル110でも発生するため映像信号へノイズとして影響することになる。
【0030】
図2は、負荷変動に起因する駆動ノイズ201、および周波数変更を例示的に示す図である。駆動ノイズ201(包絡線として示す)は、駆動スイッチング周波数と同じピーク周波数202および複数の高調波成分ノイズ203から構成される。複数の高調波成分ノイズ203は、ピーク周波数の逓倍となる周波数位置で、一般にはピークよりもレベルが低減した状態で発生する。
【0031】
同軸ケーブル110におけるシリアライザの通信周波数が周波数204である場合、比較的高いレベルの高調波成分ノイズ203の周波数と一致することになる。この場合、高調波成分ノイズ203の影響により、シリアライザ-デシリアライザ間での通信品質が劣化することになる。その結果、通信エラーが発生し、映像におけるノイズの発生、映像の途切れの発生、あるいは撮影動作の停止が発生することになる。
【0032】
そこで、第1実施形態では、シリアライザの通信周波数が所定レベル以上のノイズレベルを有する高調波成分ノイズの周波数と一致する場合に、シリアライザの通信周波数を変更する。ここで、所定レベルとは、シリアライザ-デシリアライザ間での通信に影響を及ぼすノイズレベルを意味する。
図2に示す例では、シリアライザの通信周波数を周波数204から周波数205へ変更する。なお、周波数205の位置にも高調波成分ノイズ203の1つが存在するが、所定レベルより低いノイズレベルであるため、シリアライザ-デシリアライザ間での通信に影響はない。もちろん、複数の高調波成分ノイズ203の何れとも一致しない周波数に変更してもよい。第1実施形態では、変更先の周波数を予めリストとして用意しておき、当該リストを参照することにより変更先の周波数を決定する。
【0033】
図3は、変更周波数リストの例を示す図である。ここでは、負荷変動の状態と温度との組み合わせに関連付けて、それぞれの組み合わせに対応する通信周波数を規定するリストとして格納・保持している。負荷変動の状態は、負荷変動の有無や、負荷変動の原因となる駆動制御の種別を含み得る。温度は、例えばシステム(センサユニット、同軸ケーブル、メインユニット)の環境温度である。
【0034】
負荷変動が無い状態(初期状態)では、シリアライザ-デシリアライザ間での通信周波数として「1.0GHz」を選択し使用する。その後、例えば、「常温」状態において、クライアント端末装置140から「IRカットフィルタ駆動」を行う制御信号が受信された場合、通信周波数として「1.4GHz」を選択し変更する。その後、「IRカットフィルタ駆動」を行う制御信号をセンサユニット100に送信する。これにより、センサユニット100により「IRカットフィルタ駆動」が行われている場合においても、通信エラーの無い通信が可能となる。なお、
図3のリストにおいて温度に依存して変更先の周波数を変えているのは、高調波成分ノイズの通信への影響が温度に依存するからである。なお、負荷変動が無い状態に戻った場合(例えば「IRカットフィルタ駆動」が完了した場合)は、変更前の周波数「1.0GHz」に戻して通信を継続するよう構成してもよい。
【0035】
以上説明したとおり第1実施形態によれば、負荷変動の状態に応じてセンサユニット-メインユニット間の通信周波数を変更する。これにより、負荷変動が生じた際にも通信エラーが低減された通信を継続することが可能となる。
【0036】
なお、上述の説明においては、負荷変動の原因となる駆動制御として「IRカットフィルタ駆動」の実行を挙げて説明したが、他の原因による負荷変動であってもよい。例えば、IR照明の投射(点灯/調光)、パン・チルトの駆動、光学系の駆動(フォーカス/ズーム)、ヒータの使用などの制御の実行による負荷変動であってもよい。また、上述の説明においては、センサユニットとメインユニットが1対1で構成された場合について説明したが、1対N(Nは2以上の整数)で構成された場合であっても適用可能である。
【0037】
さらに、上述の説明においては、クライアント端末装置140から「IRカットフィルタ駆動」を行う制御信号が受信されるとして説明したが、センサユニット100から「IRカットフィルタ駆動」を行う制御信号を受信する形態でもよい。
【0038】
(変形例1)
変形例1として、センサユニット100において電源ノイズを測定し、メインユニット120に電源ノイズに関する情報を提供する形態について説明する。ここで、電源ノイズとは、第1実施形態における駆動ノイズなどを含む、(負荷変動が無い状態では発生しない)電源ラインにおけるノイズを意味する。
【0039】
図4は、変形例1におけるシステム構成を説明する図である。第1実施形態のシステム構成(
図1)に対して、センサユニット100内にノイズ検出回路401がさらに含まれている。なお、第1実施形態と同様の構成要素に関しては説明を省略する。
【0040】
ノイズ検出回路401は、IRカットフィルタ107を駆動しているときの電源ノイズ(電源回路106とモータドライバ109の間のノイズ)を測定する。例えば、電源ノイズに関する情報として電圧レベル及び周波数を測定する。
【0041】
シリアライザ104は、ノイズ検出回路401で測定した電源ノイズに関するノイズ情報をメインユニット120に提供する。メインユニット120は、取得したノイズ情報(電圧レベル及び周波数)に応じて、通信エラーの無い通信が可能な通信周波数(例えば、電源ノイズのうち電圧レベルが所定レベル以上であるノイズの周波数を除外した周波数)を決定する。例えば、予め用意された複数の候補周波数の中から1つを選択する。そして、メインユニット120は、発振器126の周波数を変更することで、シリアライザ-デシリアライザ間の通信周波数を選択した周波数に変更する。なお、ノイズ情報が電源ラインのノイズが無いことを示す場合は、変更前の周波数「1.0GHz」に戻して通信を継続するよう構成してもよい。
【0042】
上述の制御により、センサユニット100の負荷変動により発生している電源ノイズの特性(電圧レベル及び周波数)に応じて、適応的により適切な変更後の周波数を決定することが可能となる。
【0043】
(変形例2)
変形例2として、デシリアライザ121において通信エラーを検出する形態について説明する。なお、システム構成は第1実施形態のシステム構成(
図1)と同様であるため説明は省略する。
【0044】
上述したように、デシリアライザ121は、シリアライザ104から同軸ケーブル110を介して送信されたシリアル信号を元の撮像データであるCLK、DATA信号といった複数のパラレル信号に変換する。デシリアライザ121は、この変換処理と併せて、シリアライザ-デシリアライザ間での通信状態も監視する。具体的には通信データのビット化けやビット落ちといったエラーを検出する。メインユニット120は、エラーを検出した場合、発振器126の発振周波数を変更し、シリアライザ-デシリアライザ間での通信周波数を変更して、再送信要求を行う。
【0045】
上述の制御により、駆動ノイズの影響により通信エラーとなった場合であっても、通信周波数を変更して再送信を行うことで、通信エラーの無い動作が可能となる。
【0046】
本明細書の開示は、以下の通信装置および制御方法を含む。
(項目1)
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
前記外部装置における前記電源を用いた駆動制御の実行を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記駆動制御の検出に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
(項目2)
前記駆動制御の種別に関連付けられた周波数を規定する周波数リストを格納する格納手段を更に備え、
前記検出手段は、前記駆動制御の種別を検出し、
前記変更手段は、前記検出手段により検出された前記駆動制御の種別に基づいて前記周波数リストに規定された周波数を選択し、前記通信周波数を前記選択された周波数に変更する
ことを特徴とする項目1に記載の通信装置。
(項目3)
前記周波数リストは、前記駆動制御の種別と温度との複数の組み合わせに関連付けられた複数の周波数を規定し、
前記検出手段は、前記外部装置における環境温度の情報を更に検出し、
前記変更手段は、前記検出手段により検出された前記駆動制御の種別と環境温度との組み合わせに基づいて前記周波数リストに規定された周波数を選択する
ことを特徴とする項目2に記載の通信装置。
(項目4)
前記検出手段は、前記通信手段における通信エラーを検出することにより、前記駆動制御の実行を検出する
ことを特徴とする項目1に記載の通信装置。
(項目5)
前記通信手段は、前記検出手段により通信エラーが検出された場合に、前記変更手段により前記通信周波数の変更を行った後、前記通信エラーが発生したデータに対する再送信要求を行う
ことを特徴とする項目4に記載の通信装置。
(項目6)
前記変更手段は、前記駆動制御の実行が完了した後、変更前の周波数に戻す
ことを特徴とする項目1から5の何れか1項目に記載の通信装置。
(項目7)
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
前記外部装置における電源ラインのノイズに関するノイズ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたノイズ情報に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
(項目8)
前記ノイズ情報は、前記ノイズの電圧レベルおよび周波数を含み、
前記変更手段は、電圧レベルが所定レベル以上である前記ノイズの周波数を除外した周波数に前記通信周波数を変更する
ことを特徴とする項目7に記載の通信装置。
(項目9)
前記変更手段は、前記ノイズ情報が電源ラインのノイズが無いことを示す場合、変更前の周波数に戻す
ことを特徴とする項目7または8に記載の通信装置。
(項目10)
前記変更手段は、前記通信周波数の基準クロックを生成する発振器の周波数を制御することにより、通信周波数を変更する
ことを特徴とする項目1から9の何れか1項目に記載の通信装置。
(項目11)
通信装置の制御方法であって、
前記通信装置は、
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
を備え、
前記制御方法は、
前記外部装置における前記電源を用いた駆動制御の実行を検出する検出工程と、
前記検出工程による前記駆動制御の検出に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
(項目12)
通信装置の制御方法であって、
前記通信装置は、
同軸ケーブルを介して外部装置との通信を行う通信手段と、
前記同軸ケーブルに電源を重畳して前記外部装置に給電を行う給電手段と、
を備え、
前記制御方法は、
前記外部装置における電源ラインのノイズに関するノイズ情報を取得する取得工程と、
前記取得工程により取得されたノイズ情報に応じて前記通信手段における通信周波数を変更する変更工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【0047】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0048】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0049】
100 センサユニット; 110 同軸ケーブル; 120 メインユニット; 104 シリアライザ; 121 デシリアライザ; 126 発振器