(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181857
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】発光装置、表示装置、光電変換装置、および、電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231218BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231218BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231218BHJP
H05B 45/60 20220101ALI20231218BHJP
G09G 3/3225 20160101ALI20231218BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231218BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G09F9/00 366G
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B45/60
G09G3/3225
G09G3/20 641P
G09F9/00 304Z
G09F9/30 365
G09G3/20 670L
G09G3/20 680V
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095221
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宿利 裕貴
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C094
5C380
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107BB04
3K107BB08
3K107CC43
3K107EE03
3K107EE61
3K107EE63
3K107EE67
3K107EE68
3K107FF15
3K107HH05
5C080AA06
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD20
5C080FF11
5C080HH09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ06
5C080KK20
5C080KK42
5C094AA34
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA12
5C094FA01
5C094FA02
5C094HA05
5C094HA08
5C094JA01
5C380AA01
5C380AB06
5C380AB28
5C380AB32
5C380AC07
5C380AC09
5C380AC11
5C380AC12
5C380AC13
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5C380BA42
5C380CA31
5C380CF67
5C380EA02
5C380FA04
5G435AA12
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE49
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL14
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】温度の検知に有利な技術を提供する。
【解決手段】複数の発光素子が配された発光領域を備える第1基板と、前記第1基板の温度を検知するための温度検知部が配された第2基板と、が積層された発光装置であって、前記第1基板のうち前記発光領域が配された主面に対する正射影において、前記温度検知部が、前記第2基板のうち前記発光領域に重なる重なり領域に配されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が配された発光領域を備える第1基板と、前記第1基板の温度を検知するための温度検知部が配された第2基板と、が積層された発光装置であって、
前記第1基板のうち前記発光領域が配された主面に対する正射影において、前記温度検知部が、前記第2基板のうち前記発光領域に重なる重なり領域に配されていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光装置に入力される映像信号から前記複数の発光素子を駆動する駆動信号を生成する駆動回路と、前記温度検知部によって検知された温度データに応じた補正信号を生成する制御回路と、をさらに含み、
前記駆動回路は、前記制御回路から入力する前記補正信号に応じて、前記駆動信号を補正することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記温度検知部が、前記重なり領域の中央に配されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記温度検知部を含む複数の温度検知部が、前記重なり領域に配されることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記温度検知部を含む複数の温度検知部が、前記重なり領域に配され、
前記制御回路は、前記複数の温度検知部によって検知された複数の温度データに応じて前記補正信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記複数の温度検知部によって検知された複数の温度データの平均値に基づいて前記補正信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記複数の温度検知部によって検知された複数の温度データのうち前記駆動回路が前記駆動信号を生成する発光素子の位置に応じた温度データに基づいて前記補正信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数の発光素子は、行および列を構成するように前記発光領域に配され、
前記複数の温度検知部のうち行方向に沿った1つの仮想線の上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項9】
前記複数の温度検知部のうち列方向に沿った1つの仮想線の上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、行および列を構成するように前記発光領域に配され、
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域を2等分する行方向に延びる仮想線に対して、線対称の位置に配される2つの温度検知部を含むことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項11】
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域を2等分する列方向に延びる仮想線に対して、線対称の位置に配される2つの温度検知部をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域の中央に配される温度検知部をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項13】
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域の中央および四隅のそれぞれに配された5つの温度検知部を含むことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項14】
前記複数の発光素子は、行および列を構成するように前記発光領域に配され、
前記発光領域には、行方向にm個の発光素子が配され、
前記駆動回路は、前記複数の発光素子のうち前記行方向にn個の発光素子に同時に前記駆動信号を供給し、
前記複数の温度検知部のうち前記行方向に沿った1つの仮想線の上に並ぶ温度検知部は、前記重なり領域を前記行方向に(m/n)等分したそれぞれの領域に1つずつ配されることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項15】
前記複数の温度検知部のうち前記行方向に沿った1つの仮想線上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記発光領域には、列方向にp個の発光素子が配され、
前記駆動回路は、前記複数の発光素子のうち前記列方向にq個の発光素子に同時に前記駆動信号を供給し、
前記複数の温度検知部のうち前記列方向に沿った1つの仮想線上に並ぶ温度検知部は、前記重なり領域を前記列方向に(p/q)等分したそれぞれの領域に1つずつ配されることを特徴とする請求項14に記載の発光装置。
【請求項17】
前記複数の温度検知部のうち前記列方向に沿った1つの仮想線上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の発光装置と、前記発光装置に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項19】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、かつ、請求項1乃至17の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項20】
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、請求項1乃至17の何れか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、表示装置、光電変換装置、および、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの自発光素子は発光特性に温度依存性があるため、特許文献1には、EL素子が配された表示領域内に、温度を測定するためのセンサ素子を配することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示領域内にセンサ素子を配する場合、表示領域内にセンサ素子自体だけでなく、センサ素子を動作させるための配線パターンを配する必要があり、表示領域の高解像度化や小型化が難しくなる。
【0005】
本発明は、温度の検知に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る発光装置は、複数の発光素子が配された発光領域を備える第1基板と、前記第1基板の温度を検知するための温度検知部が配された第2基板と、が積層された発光装置であって、前記第1基板のうち前記発光領域が配された主面に対する正射影において、前記温度検知部が、前記第2基板のうち前記発光領域に重なる重なり領域に配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温度の検知に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態にかかる発光装置の構成例を示す図。
【
図5】
図4の発光装置の制御回路の構成例を示す図。
【
図7】本実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。
【
図8】本実施形態の発光装置を用いた光電変換装置の一例を示す図。
【
図9】本実施形態の発光装置を用いた電子機器の一例を示す図。
【
図10】本実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。
【
図11】本実施形態の発光装置を用いた照明装置の一例を示す図。
【
図12】本実施形態の発光装置を用いた移動体の一例を示す図。
【
図13】本実施形態の発光装置を用いたウェアラブルデバイスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1~
図6(a)、6(b)を参照して、本開示の実施形態による発光装置について説明する。
図1は、本実施形態における発光装置10の構成例を示す図である。発光装置10は、複数の発光素子121が配された発光領域120を備える基板100と、基板100の温度を検知するための温度検知部231が配された基板200と、が積層されている。発光装置10のうち基板100の発光領域120を備える主面をユーザの側に向けて、ユーザは発光装置10を使用しうる。発光装置10の外部には外部システム20が存在しうり、発光装置10は、外部システム20に接続されている。
【0011】
基板100には、複数の発光素子121が行および列を構成するように配されている。複数の発光素子121が2次元アレイ状に配された領域は、発光領域120と呼ばれうる。また、基板100には、発光領域120に配された複数の発光素子121を所定の輝度で発光させるための動作回路110が配されている。動作回路110は、垂直走査回路111および信号出力回路112を含む。垂直走査回路111および信号出力回路112の動作については後述する。
【0012】
基板200には、上述のように温度検知部231が配されている。温度検知部231は、基板100のうち発光領域120が配された主面に対する正射影において、基板200のうち発光領域120に重なる重なり領域230に配されている。
図1に示される構成において、温度検知部231は、重なり領域230の中央に配されている。ここで、重なり領域230の中央とは、基板200のうち温度検知部231が配された主面に対する正射影において、重なり領域230の幾何学的重心位置を中心として、行方向および列方向にそれぞれ、行方向および列方向の長さの20%以内の領域でありうる。また、例えば、重なり領域230の中央とは、基板200のうち温度検知部231が配された主面に対する正射影において、重なり領域230の幾何学的重心位置を中心として、行方向および列方向にそれぞれ、行方向および列方向の長さの10%以内の領域でありうる。
図1に示される構成において、1つの温度検知部231が重なり領域230の中央に配されるのは、1つの温度検知部231によって近接可能な発光素子121の数を多くし、できる限り広域の温度変化を計測するためである。
【0013】
基板200には、温度検知部231に加えて駆動回路210および制御回路220を含みうる。しかしながら、これに限られることはなく、駆動回路210および制御回路220の機能のうち少なくとも一部が、基板100に搭載されていてもよい。また、例えば、基板100に配される垂直走査回路111および信号出力回路112の機能うち少なくとも一部が、基板200に搭載されていてもよい。以降、発光装置10のデータ処理の流れに沿って、基板200から説明する。
【0014】
温度検知部231は、ダイオードなどを用いた温度センサ(不図示)を備える。温度検知部231は、温度センサの出力をA/D変換することで、基準温度からの温度変化を定量化した温度データ232を制御回路220に出力する。
【0015】
制御回路220は、温度検知部231によって検知された温度データ232に応じた補正信号221を生成する。制御回路220は、例えば、内蔵LUT(LookUpTable)に発光装置10の入出力特性をリニアに補正するためのガンマ補正係数を保持してもよい。制御回路220は、LUTから読み出したガンマ補正係数を、温度データ232に応じて補正した温度補正済係数を補正信号として出力する機能を有する。例えば、温度補正済係数は、発光素子121の温度特性を近似した2次方程式を温度データ232について解くことで得られる。こうして得られた温度補正済係数を、補正信号221として駆動回路210に出力する。本実施形態では、ガンマ補正係数に対する処理を示したが、本ブロックの処理を適用できる補正係数の種類はこの限りではない。
【0016】
駆動回路210は、外部システム20から発光装置10に入力される映像信号21から複数の発光素子121を駆動する駆動信号を生成する。このとき、制御回路220から入力する補正信号221に応じて、駆動信号を補正する。例えば、駆動回路210は、外部システム20から順次送られてくる映像信号21に対して補正信号221を用いてガンマ補正し、得られた映像信号を駆動信号211として垂直走査回路111に出力する。本実施形態において、1つの映像信号21および1つの駆動信号211には、行方向に2つの発光素子121、列方向に2つの発光素子121の計4つの発光素子121の輝度値が含まれているとして説明する。後述する動作回路110の処理と併せて、これら4つの発光素子121は同時に駆動される。
【0017】
垂直走査回路111には、行方向に伸びる複数の垂直走査線113が接続されている。垂直走査回路111は、外部システム20から入力された垂直走査制御信号の制御に従い、垂直走査線113に対して書込み制御信号を出力する。本実施形態において、2つの垂直走査線113に対して書込み制御信号を同時に出力する。
【0018】
信号出力回路112には、列方向に伸びる複数の信号出力線114が接続されている。信号出力回路112は、外部システム20から入力された信号出力制御信号の制御に従い、順次、駆動回路210から送られてくる駆動信号211を列ごとにバッファする。次いで、列ごとの駆動信号211をD/A変換することによって、駆動信号211の値に応じた輝度信号となる電圧Vsigを生成し、列方向に伸びる信号出力線114に出力する。本実施形態において、2つの信号出力線114に対して電圧Vsigを同時出力する。
【0019】
垂直走査線113と信号出力線114との交点には、発光素子121が配され、垂直走査線113と信号出力線114とは、それぞれ発光素子121に接続されている。発光素子121は、電圧Vsigが供給されることで所定の輝度で発光する。
図1に示される構成において、行方向に8列、列方向に6行の発光素子121を有する発光領域120が例示されているが、発光素子121の数はこの限りではない。例えば、より多くの発光素子121が、発光領域120には配されうる。また、本明細書において、上述のように、垂直走査線113が延びる方向(
図1において横方向)を行方向、信号出力線114が延びる方向(
図1において縦方向)を列方向としているが、これに限られることはない。垂直走査線113が延びる方向を列方向、信号出力線114が延びる方向を行方向としてもよい。
【0020】
本実施形態において、温度検知部231は、発光素子121が配された基板100ではなく、基板100と積層する基板200に配される。そのため、基板100に温度検知部231を配する場合と比較して、基板100において発光素子121を配するピッチを増大させない効果がある。つまり、発光領域120の高解像度化が可能になる。さらに、温度検知部231を重なり領域230に配することで、温度検知部231と、発光特性に温度依存性があるだけでなく熱源でもある発光素子121と、の距離を近づけられる。結果として、温度計測精度が向上する。このとき、基板100と基板200との間に、他の基板が配されていなくてもよい。また、温度検知部231を重なり領域230に配することで、発光装置10を小型化できるようになる。このように、発光領域120の高解像度化や小型化を可能にしながら、発光領域120の温度を精度よく検知可能な発光装置10を得られ、それによって発光装置10の表示品質の向上が実現する。
【0021】
図2は、
図1に示される発光装置10の変形例を示す図である。本実施形態における発光装置11は、重なり領域230に配される温度検知部231の数、制御回路220に温度検知部231から入力される温度データ232の数、制御回路220での補正信号221の生成方法が、上述の発光装置10とは異なる。これ以外の発光装置11の構成は、上述の発光装置10と同様であってもよいため、異なる点を中心に説明し、同様であってもよい点については、適宜説明を省略する。
【0022】
図2に示されるように、発光装置11において、複数の温度検知部231が、重なり領域230に配されている。例えば、
図2に示されるように、重なり領域230を行方向に均等に、また列方向に均等にそれぞれ分割した複数の領域233に1つずつ温度検知部231が配されていてもよい。換言すると、複数の温度検知部231のうち行方向に沿った1つの仮想線251の上に並ぶ温度検知部231は、一定のピッチで配されていてもよい。同様に、複数の温度検知部231のうち列方向に沿った1つの仮想線252の上に並ぶ温度検知部231は、一定のピッチで配されていてもよい。
【0023】
複数の温度検知部231のそれぞれは、検知した温度データ232を制御回路220に出力する。制御回路220は、複数の温度検知部231によって検知された複数の温度データ232に応じて補正信号221を生成する。例えば、制御回路220は、複数の温度データ232の平均値に基づいて、上述した温度補正済係数を算出し、補正信号221として駆動回路210へ出力してもよい。駆動回路210は、外部システム20から入力される映像信号21に応じた駆動信号を、制御回路220から入力される補正信号221に応じて補正し、駆動信号211として垂直走査回路111に出力する。
【0024】
図2に示される発光装置11は、
図1に示される発光装置10と比較して、重なり領域230に複数の温度検知部231を備える。それによって、温度検知部231に近接する熱源でもある発光素子121の数が増え、温度計測精度が向上する。また、複数の温度データ232から補正信号221が生成される。例えば、制御回路220は、複数の温度検知部231によって検知された複数の温度データ232の平均値に基づいて補正信号221を生成する。そのため、温度検知部231ごとの誤差などの影響を軽減できる。結果として、発光装置11は、発光装置10よりも温度の計測精度を向上させることができる。
【0025】
図3は、
図2に示される発光装置10の変形例を示す図である。本実施形態における発光装置12は、重なり領域230に配される温度検知部231の数、制御回路220に温度検知部231から入力される温度データ232の数が、上述の発光装置11とは異なる。これ以外の発光装置12の構成は、上述の発光装置11と同様であってもよいため、異なる点を中心に説明し、同様であってもよい点については、適宜説明を省略する。
【0026】
発光装置11において、重なり領域230を行方向に均等に、また列方向に均等にそれぞれ分割した複数の領域233に1つずつ温度検知部231が配されている。一方、発光装置12では、温度検知部231を配さない領域233を有する構成になっている。より具体的には、複数の温度検知部231は、重なり領域230の中央および四隅のそれぞれに配された5つの温度検知部231を含む。このとき、
図3に示されるように、複数の温度検知部231は、重なり領域230を2等分する行方向に延びる仮想線261に対して、線対称の位置に配される2つの温度検知部231(温度検知部231a、231bの組合せ、温度検知部231c、231dの組合せ)を含んでいてもよい。同様に、複数の温度検知部231は、重なり領域230を2等分する列方向に延びる仮想線262に対して、線対称の位置に配される2つの温度検知部231(温度検知部231a、231cの組合せ、温度検知部231b、231dの組合せ)を含んでいてもよい。また、
図3に示される構成では、複数の温度検知部231は、重なり領域230の中央に配される温度検知部231eをさらに含む。
【0027】
図3に示される発光装置12において、
図2に示される発光装置11と比較して、重なり領域230に配される温度検知部231が適度に間引かれている。しかしながら、複数の温度検知部231を配することによって、発光装置11と同様に、温度計測精度を向上させることができる。また、基板200に配される温度検知部231の数が発光装置11よりも少なくなることによって、重なり領域230に温度検知部231以外の処理ブロックを配置できる。そのため、発光装置12の小型化に効果がある。
【0028】
また、
図3に示される構成において、重なり領域230を9つの領域233に分割し、そのうち中央および四隅の5つの領域233に温度検知部231を配する例を示したが、これに限られることはない。重なり領域230をより多くの領域233に分割し、適宜、温度検知部231を配すればよい。このとき、上述したように、仮想線261、262に対して線対称になる位置に温度検知部231を配することによって、重なり領域230において、より均等に温度を検知することができる。また、例えば、2つの温度検知部231が、重なり領域230の中心に対して点対称になる位置に配されていてもよい。
【0029】
図4は、
図2に示される発光装置10の変形例を示す図である。本実施形態における発光装置13は、重なり領域230に配される温度検知部231の数、制御回路220に温度検知部231から入力される温度データ232の数、制御回路220での補正信号221の生成方法が、上述の発光装置11とは異なる。これ以外の発光装置13の構成は、上述の発光装置11と同様であってもよいため、異なる点を中心に説明し、同様であってもよい点については、適宜説明を省略する。
【0030】
発光装置12において、制御回路220が複数の温度検知部231によって検知された複数の温度データ232の平均値に基づいて補正信号221を生成することを説明した。一方、発光装置13では、制御回路220は、複数の温度検知部231によって検知された複数の温度データ232のうち駆動回路210が駆動信号211を生成する発光素子121の位置に応じた温度データに基づいて補正信号221を生成する。以下、発光装置13の構成および動作について詳細に説明する。
【0031】
発光装置13において、発光領域120には、行方向にm個の発光素子121が配され、駆動回路210は、複数の発光素子121のうち行方向にn個の発光素子121に同時に駆動信号211を供給するとする。このとき、複数の温度検知部231のうち行方向に沿った1つの仮想線271の上に並ぶ温度検知部231は、重なり領域230を行方向に(m/n)等分したそれぞれの領域に1つずつ配される。同様に、発光領域120には、列方向にp個の発光素子121が配され、駆動回路210は、複数の発光素子121のうち列方向にq個の発光素子121に同時に駆動信号211を供給するとする。このとき、複数の温度検知部231のうち列方向に沿った1つの仮想線272の上に並ぶ温度検知部231は、重なり領域230を列方向に(p/q)等分したそれぞれの領域に1つずつ配される。
【0032】
上述のように、行方向に2つの発光素子121、列方向に2つの発光素子121の計4つの発光素子121が、同時に駆動される。また、
図4に示される構成では、発光領域120に行方向に8つの発光素子121が配され、列方向に6つの発光素子121が配されている。そこで、行方向には8を2で除した4領域に、列方向には6を2で除した3領域に、それぞれ重なり領域230を均等に分割したそれぞれの領域233に温度検知部231を1つずつ配している。それぞれの領域233に配された温度検知部231から温度データ232が、制御回路220に送られる。
図4に示されるように、複数の温度検知部231のうち行方向に沿った1つの仮想線271の上に並ぶ温度検知部231は、一定のピッチで配されていてもよい。また、複数の温度検知部231のうち列方向に沿った1つの仮想線272の上に並ぶ温度検知部231は、一定のピッチで配されていてもよい。
【0033】
次いで、制御回路220は、複数の温度データ232から領域230の温度分布に応じた温度補正済係数を算出する。具体的に、複数の温度データ232の中から、次に、動作回路110を介して駆動回路210によって駆動される発光素子121に近い領域233に配された温度検知部231の温度データ232を1つ選択し、選択された温度データ232から温度補正済係数を算出し、補正信号221として駆動回路210へ出力する。本実施形態の要点は、上述の温度検知部231の配置、換言すると領域233の設定の方法である。本実施形態のように温度検知部231を配置しない場合、発光領域120の温度分布に応じた処理の適用が困難になりうる。この点について、以下に詳細を説明する。
【0034】
図5は、発光装置13の制御回路220の構成例を示す図である。カウント回路222は、外部システム20から信号出力回路112に信号出力制御信号が送られた回数をカウントし、駆動素子位置情報225として温度データ制御回路223へ出力する。温度データ制御回路223は、駆動素子位置情報225が選択信号端子に入力され、複数の温度データ232がそれぞれ入力信号端子にそれぞれ入力されるマルチプレクサを有し、マルチプレクサの出力信号を選択温度データ226として補正信号生成回路224へ出力する。補正信号生成回路224は、選択温度データ226から上述の温度補正済係数を算出し、補正信号221として駆動回路210へ出力する。以上の処理によって、制御回路220は、複数の温度検知部231からそれぞれ出力される複数の温度データ232の中から、次に駆動される発光素子121に近い領域233に配された温度検知部231の温度データ232を1つ選択する。例えば、制御回路220は、複数の温度検知部231からそれぞれ出力される複数の温度データ232の中から、次に駆動される発光素子121に最も近い領域233に配された温度検知部231の温度データ232を選択しうる。
【0035】
図6(a)、6(b)は、発光装置13において、ある時点で駆動される発光素子121と温度検知部231が1ずつ配される領域233との位置関係を示している。発光領域120には、次に駆動される4つの発光素子121を含む発光素子群122がある。
図6(a)は、上述のように、温度検知部231(領域233)を配した場合を示している。つまり、複数の温度検知部231のうち行方向に沿った1つの仮想線271の上に並ぶ温度検知部231は、重なり領域230を行方向に(m/n(8/2))等分したそれぞれの領域に1つずつ配される。同様に、複数の温度検知部231のうち列方向に沿った1つの仮想線272の上に並ぶ温度検知部231は、重なり領域230を列方向に(p/q(6/2))等分したそれぞれの領域に1つずつ配される。このとき、重なり領域230には、基板100のうち発光領域120が配された主面に対する正射影において、次に駆動される発光素子群122と重なる温度検知部231が配された領域234が存在する。このように温度検知部231(領域233)を配することによって、次に駆動される発光素子群122と重なる温度検知部231が配された領域234が一意に定まる。
【0036】
一方、
図6(b)は、
図6(a)の反例であり、重なり領域230を行方向に3等分、列方向に2等分した場合を示している。このように、温度検知部231(領域233)を配置した場合、次に駆動される発光素子群122に重なる領域に複数の領域233が含まれ、次に駆動する発光素子121の位置と、その発光素子121に最も近い領域233の位置が一意に定まらない。
【0037】
つまり、上述したように、温度検知部231(領域233)の数を適切に設定する。それによって、外部システム20から信号出力回路112に送られる行方向への駆動回数を示す信号出力制御信号の入力回数をカウントするだけで、制御回路220は、次に駆動する発光素子群122の位置に近接する温度検知部231から出力される温度データ232を選択温度データ226として選択できる。
【0038】
このように、制御回路220は、基板100の発光領域120に生じる温度分布に応じて補正信号221を生成することが可能である。従って、発光装置13における表示品質を向上させることができる。また、上述のように、複数の温度検知部231から出力される温度データ232のうち適当な位置に配された温度検知部231から出力される温度データ232を簡易な回路構成で得ることができる。つまり、補正信号221を生成する(温度補正済係数を算出する)コストを抑制できる。結果として、発光領域120の温度を検知し、発光領域120に配されたそれぞれの発光素子121に対する駆動信号の補正が、低コストで実現できる。
【0039】
図4を用いた説明では、行方向に2つ、列方向に2つの4つの発光素子121を同時に駆動し、4つの発光素子121によって構成される発光素子群122のそれぞれに対応するように温度検知部231(領域233)を配することを説明した。しかしながら、これに限られることはない。例えば、同様に、行方向に2つ、列方向に2つの4つの発光素子121によって発光素子群122が構成される場合を考える。このとき、例えば、行方向に2つ、列方向に2つの4つの発光素子群122にそれぞれ対応するように、1つずつ温度検知部231(領域233)を配してもよい。次に駆動される発光素子群122と温度検知部231とが、一意に定まるように配されていればよい。
【0040】
ここで、本実施形態の発光装置10~13を表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体、および、ウェアラブルデバイスに適用した応用例について
図7~
図13(a)、16(b)を用いて説明する。以下では、発光素子121として有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が用いられるとして説明する。また、発光素子121を「画素」と表現する場合や、発光領域120を「表示領域」と表現する場合がある。まず、上述の発光装置10~13の各構成の詳細や変形例を示した後に、応用例を説明する。
【0041】
有機発光素子の構成
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
【0042】
基板
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0043】
電極
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0044】
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
【0045】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0046】
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0047】
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
【0048】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
【0049】
画素分離層
画素分離層は、化学気相堆積法(CVD法)を用いて形成されたシリコン窒化物(SiN)膜やシリコン酸窒化物(SiON)膜やシリコン酸化物(SiO)膜で形成される。有機化合物層の面内方向の抵抗を上げるために、有機化合物層の膜厚、特に正孔輸送層、は、画素分離層の側壁において薄く成膜されることが好ましい。具体的には、画素分離層の側壁のテーパー角や画素分離層の膜厚を大きくし、蒸着時のケラレを増加させることにより、側壁の膜厚を薄く成膜することができる。
【0050】
一方で、画素分離層は、その上に形成される保護層に空隙が形成されない程度に、画素分離層の側壁テーパー角や画素分離層の膜厚を調整することが好ましい。保護層に空隙が形成されないため、保護層に欠陥が発生することを低減できる。保護層に欠陥の発生を低減するので、ダークスポットの発生や、第二電極の導通不良の発生などの信頼性低下を低減することができる。
【0051】
本実施形態によれば、画素分離層の側壁のテーパー角が急峻でなくとも、隣接画素への電荷漏れを効果的に抑制することが可能になる。本検討の結果、テーパー角が60度以上90度以下の範囲であれば十分低減できることが分かった。画素分離層の膜厚は10nm以上から150nm以下であることが望ましい。また、画素分離層を有さない画素電極のみで構成されていても同様の効果が得られる。ただし、この場合画素電極の膜厚は有機層の半分以下するか、画素電極端部を60°未満の順テーパーにすることが有機発光素子の短絡が低減できるので好ましい。
【0052】
また、第一電極を陰極、第二電極を陽極とした場合についても条件式(1)、式(2)を満たす電子輸送性材料および電荷輸送層、および電荷輸送層上に発光層を形成することで高色域と低電圧駆動が可能となる。
【0053】
有機化合物層
有機化合物層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
【0054】
保護層
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
【0055】
カラーフィルタ
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
【0056】
平坦化層
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
【0057】
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
【0058】
マイクロレンズ
有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
【0059】
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
【0060】
マイクロレンズは凸部を有する第一面と、第一面と反対の第二面を有する。第二面が第一面よりも機能層側に配されていることが好ましい。このような構成を取るためには、発光装置上にマイクロレンズを形成する必要がある。機能層が有機層の場合には、製造工程において高温になるプロセスは避ける方が好ましい。また、第二面が第一面よりも機能層側に配されている構成を取る場合には、有機層を構成する有機化合物のガラス転移温度がすべて100℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。
【0061】
対向基板
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
【0062】
有機層
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
【0063】
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0064】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダ樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0065】
上記バインダ樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
また、これらバインダ樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0067】
画素回路
発光装置は、発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
【0068】
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。
【0069】
画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。
【0070】
画素回路を構成するトランジスタは、第一の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
【0071】
画素
有機発光装置は、複数の画素を有する。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
【0072】
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が、発光する。この領域は第一領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。
【0073】
副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
【0074】
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えば、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
【0075】
本発明の一実施形態に係る有機発光素子の用途
本発明の一実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
【0076】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
【0077】
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0078】
以下、
図7~
図13(a)、13(b)を用いて、発光装置10~13の応用例について詳細に説明する。
【0079】
図7は、本実施形態の発光装置10~13を用いた表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008を有していてもよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタなどの能動素子が配される。バッテリー1008は、表示装置1000が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、この位置に設ける必要はない。表示パネル1005に、発光装置10~13が適用できる。表示パネル1005として機能する発光装置10~13の発光領域120は、回路基板1007に配されたトランジスタなどの能動素子と接続され動作する。
【0080】
図7に示される表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光し電気信号に光電変換する撮像素子とを有する光電変換装置(撮像装置)の表示部に用いられてもよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してもよい。また、表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってもよい。
【0081】
図8は、本実施形態の発光装置10~13を用いた光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。光電変換装置1100は、撮像装置とも呼ばれうる。表示部であるビューファインダ1101や背面ディスプレイ1102に、本実施形態の発光装置10~13が適用できる。この場合、発光装置10~13の発光領域120は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示などを表示してもよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性などであってよい。
【0082】
撮像に適するタイミングはわずかな時間である場合が多いため、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、有機EL素子などの有機発光材料を用いた発光素子121が発光領域120に配される発光装置10~13が、ビューファインダ1101や背面ディスプレイ1102に用いられてもよい。有機発光材料は応答速度が速いためである。有機発光材料を用いた発光装置10~13は、表示速度が求められる、これらの装置に、液晶表示装置よりも適している。
【0083】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、光学部を通過した光を受光する筐体1104内に収容されている光電変換素子(不図示)に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0084】
発光装置10~13は、電子機器の表示部に適用されてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【0085】
図9は、本実施形態の発光装置10~13を用いた電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する携帯機器は通信機器ということもできる。表示部1201に、本実施形態の発光装置10~13が適用できる。
【0086】
図10(a)、10(b)は、本実施形態の発光装置10~13を用いた表示装置の一例を表す模式図である。
図10(a)は、テレビモニタやPCモニタなどの表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302に、本実施形態の発光装置10~13が適用できる。表示装置1300は、額縁1301と表示部1302とを支える土台1303を有していてもよい。土台1303は、
図10(a)の形態に限られない。例えば、額縁1301の下辺が土台1303を兼ねていてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0087】
図10(b)は、本実施形態の発光装置10~13を用いた表示装置の他の一例を表す模式図である。
図10(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第1表示部1311、第2表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第1表示部1311と第2表示部1312とに、本実施形態の発光装置10~13が適用できる。第1表示部1311と第2表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第1表示部1311と第2表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第1表示部1311と第2表示部1312とは、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第1表示部と第2表示部とで1つの画像を表示してもよい。
【0088】
図11は、本実施形態の発光装置10~13を用いた照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有していてもよい。光源1402に、本実施形態の発光装置10~13が適用できる。光学フィルム1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップなど、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。照明装置1400は、光学フィルム1404と光拡散部1405との両方を有していてもよいし、何れか一方のみを有していてもよい。
【0089】
照明装置1400は例えば室内を照明する装置である。照明装置1400は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1400は、光源1402として機能する発光装置10~13の発光領域120に接続される電源回路を有していてもよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。また、照明装置1400は、カラーフィルタを有してもよい。また、照明装置1400は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコンなどが挙げられる。
【0090】
図12は、本実施形態の発光装置10~13を用いた車両用の灯具の一例であるテールランプを有する自動車の模式図である。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作などを行った際に、テールランプ1501を点灯する形態であってもよい。本実施形態の発光装置10~13は、車両用の灯具としてヘッドランプに用いられてもよい。自動車は移動体の一例であり、移動体は船舶やドローン、航空機、鉄道車両、産業用ロボットなどであってもよい。移動体は、機体とそれに設けられた灯具を有してよい。灯具は機体の現在位置を知らせるものであってもよい。
【0091】
テールランプ1501に、本実施形態の発光装置10~13が適用できる。テールランプ1501は、テールランプ1501として機能する発光装置10~13の発光領域120を保護する保護部材を有してよい。保護部材は、ある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネートなどで構成されてもよい。また、保護部材は、ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体などを混ぜてよい。
【0092】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してもよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓であってもよいし、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイに、本実施形態の発光装置10~13が用いられてもよい。この場合、発光装置10~13が有する電極などの構成材料は透明な部材で構成される。
【0093】
図13(a)、13(b)を参照して、本実施形態の発光装置10~13のさらなる適用例について説明する。発光装置10~13は、例えば、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な発光装置とを有する。
【0094】
図13(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、本実施形態の発光装置10~13が設けられている。
【0095】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る発光装置10~13に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と発光装置10~13の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0096】
図13(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、発光装置10~13が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、発光装置10~13からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および発光装置10~13に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および発光装置10~13の動作を制御する。制御装置1612は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0097】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0098】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザの視線が検出される。
【0099】
本発明の一実施形態に係る発光装置10~13は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザの視線情報に基づいて表示画像を制御してよい。
【0100】
具体的には、発光装置10~13は、視線情報に基づいて、ユーザが注視する第1視界領域と、第1視界領域以外の第2視界領域とを決定する。第1視界領域、第2視界領域は、発光装置10~13の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。発光装置10~13の発光領域において、第1視界領域の表示解像度を第2視界領域の表示解像度よりも高く制御してもよい。つまり、第2視界領域の解像度を第1視界領域よりも低くしてよい。
【0101】
また、表示領域は、第1表示領域、第1表示領域とは異なる第2表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第1表示領域および第2表示領域から優先度が高い領域が決定される。第1表示領域、第2表示領域は、発光装置10~13の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0102】
なお、第1視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、発光装置10~13が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、発光装置10~13に伝えられる。
【0103】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0104】
本明細書の開示は、以下の発光装置、表示装置、光電変換装置、および、電子機器を含む。
【0105】
(項目1)
複数の発光素子が配された発光領域を備える第1基板と、前記第1基板の温度を検知するための温度検知部が配された第2基板と、が積層された発光装置であって、
前記第1基板のうち前記発光領域が配された主面に対する正射影において、前記温度検知部が、前記第2基板のうち前記発光領域に重なる重なり領域に配されていることを特徴とする発光装置。
【0106】
(項目2)
前記発光装置に入力される映像信号から前記複数の発光素子を駆動する駆動信号を生成する駆動回路と、前記温度検知部によって検知された温度データに応じた補正信号を生成する制御回路と、をさらに含み、
前記駆動回路は、前記制御回路から入力する前記補正信号に応じて、前記駆動信号を補正することを特徴とする項目1に記載の発光装置。
【0107】
(項目3)
前記温度検知部が、前記重なり領域の中央に配されることを特徴とする項目1または2に記載の発光装置。
【0108】
(項目4)
前記温度検知部を含む複数の温度検知部が、前記重なり領域に配されることを特徴とする項目1乃至3の何れか1項目に記載の発光装置。
【0109】
(項目5)
前記温度検知部を含む複数の温度検知部が、前記重なり領域に配され、
前記制御回路は、前記複数の温度検知部によって検知された複数の温度データに応じて前記補正信号を生成することを特徴とする項目2に記載の発光装置。
【0110】
(項目6)
前記制御回路は、前記複数の温度検知部によって検知された複数の温度データの平均値に基づいて前記補正信号を生成することを特徴とする項目5に記載の発光装置。
【0111】
(項目7)
前記制御回路は、前記複数の温度検知部によって検知された複数の温度データのうち前記駆動回路が前記駆動信号を生成する発光素子の位置に応じた温度データに基づいて前記補正信号を生成することを特徴とする項目5に記載の発光装置。
【0112】
(項目8)
前記複数の発光素子は、行および列を構成するように前記発光領域に配され、
前記複数の温度検知部のうち行方向に沿った1つの仮想線の上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする項目4乃至7の何れか1項目に記載の発光装置。
【0113】
(項目9)
前記複数の温度検知部のうち列方向に沿った1つの仮想線の上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする項目8に記載の発光装置。
【0114】
(項目10)
前記複数の発光素子は、行および列を構成するように前記発光領域に配され、
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域を2等分する行方向に延びる仮想線に対して、線対称の位置に配される2つの温度検知部を含むことを特徴とする項目4乃至9の何れか1項目に記載の発光装置。
【0115】
(項目11)
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域を2等分する列方向に延びる仮想線に対して、線対称の位置に配される2つの温度検知部をさらに含むことを特徴とする項目10に記載の発光装置。
【0116】
(項目12)
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域の中央に配される温度検知部をさらに含むことを特徴とする項目11または12に記載の発光装置。
【0117】
(項目13)
前記複数の温度検知部は、前記重なり領域の中央および四隅のそれぞれに配された5つの温度検知部を含むことを特徴とする項目4乃至7の何れか1項目に記載の発光装置。
【0118】
(項目14)
前記複数の発光素子は、行および列を構成するように前記発光領域に配され、
前記発光領域には、行方向にm個の発光素子が配され、
前記駆動回路は、前記複数の発光素子のうち前記行方向にn個の発光素子に同時に前記駆動信号を供給し、
前記複数の温度検知部のうち前記行方向に沿った1つの仮想線の上に並ぶ温度検知部は、前記重なり領域を前記行方向に(m/n)等分したそれぞれの領域に1つずつ配されることを特徴とする項目7に記載の発光装置。
【0119】
(項目15)
前記複数の温度検知部のうち前記行方向に沿った1つの仮想線上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする項目14に記載の発光装置。
【0120】
(項目16)
前記発光領域には、列方向にp個の発光素子が配され、
前記駆動回路は、前記複数の発光素子のうち前記列方向にq個の発光素子に同時に前記駆動信号を供給し、
前記複数の温度検知部のうち前記列方向に沿った1つの仮想線上に並ぶ温度検知部は、前記重なり領域を前記列方向に(p/q)等分したそれぞれの領域に1つずつ配されることを特徴とする項目14または15に記載の発光装置。
【0121】
(項目17)
前記複数の温度検知部のうち前記列方向に沿った1つの仮想線上に並ぶ温度検知部は、一定のピッチで配されていることを特徴とする項目16に記載の発光装置。
【0122】
(項目18)
項目1乃至17の何れか1項目に記載の発光装置と、前記発光装置に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
【0123】
(項目19)
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、かつ、項目1乃至17の何れか1項目に記載の発光装置を有することを特徴とする光電変換装置。
【0124】
(項目20)
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、項目1乃至17の何れか1項目に記載の発光装置を有することを特徴とする電子機器。
【0125】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神および範囲から離脱することなく、様々な変更および変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0126】
10~13:発光装置、100,200:基板、120:発光領域、121:発光素子、230:重なり領域、231:温度検知部