(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181861
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ズームレンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20231218BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095227
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭介
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA16
2H087MA17
2H087PA13
2H087PA14
2H087PA15
2H087PA16
2H087PA19
2H087PB15
2H087PB16
2H087PB19
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA05
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA38
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SB04
2H087SB05
2H087SB12
2H087SB14
2H087SB15
2H087SB16
2H087SB22
2H087SB24
2H087SB34
2H087SB42
2H087SB43
2H087SB44
(57)【要約】
【課題】 小型かつ光学性能の良好なズームレンズを提供する。
【解決手段】 物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群(G1)と、正の屈折力を有する第2レンズ群(G2)と、後続群とを有し、後続群は、最も像側にレンズ群GLを有し、開口絞りは、後続群中に配置し、各群の間隔を変化させることで変倍を行い、合焦時には後続群の少なくとも一部のレンズ群が光軸上を移動することで合焦し、所定の式を満たすズームレンズ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、後続群とを有し、
前記後続群は、開口絞り、及び最も像側にレンズ群GLを有し、
隣り合うレンズ群の間隔が変化することで変倍し、前記後続群の少なくとも一部のレンズ群が光軸上を移動することで合焦し、以下の式を満たすズームレンズ。
-35.00 < β2w < 6.10・・・(1)
0.40 < Ps_w/Lw < 0.95・・・(2)
0.10 < Ps_t/Lt < 0.75・・・(3)
-5.00 < f1/fL < 0.70・・・(4)
1.00 < Lw/fw < 8.50・・・(5)
但し、
β2w:広角端の無限遠合焦時における前記第2レンズ群の横倍率
Ps_w:広角端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離
Ps_t:望遠端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離
Lw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの光学全長
Lt:望遠端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの光学全長
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fL:前記レンズ群GLの焦点距離
fw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離
【請求項2】
前記後続群は、負の屈折力を有するレンズ群Gn1、正の屈折力を有するレンズ群Gp2を有し、
前記レンズ群Gn1と前記レンズ群Gp2は、物体側から像側へこの順で隣り合っている、
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
0.10 < f2/fp2 < 10.00・・・(6)
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fp2:前記レンズ群Gp2の焦点距離
【請求項3】
前記後続群は、負の屈折力を有するレンズ群Gn1、正の屈折力を有するレンズ群Gp2を有し、
前記レンズ群Gn1と前記レンズ群Gp2は、物体側から像側へこの順で隣り合っている、
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
-5.00 < f1/fp2 < -0.10・・・(7)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fp2:前記レンズ群Gp2の焦点距離
【請求項4】
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
1.00 < f2/fw < 10.00・・・(8)
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項5】
前記後続群は、負の屈折力を有するレンズ群Gn1、正の屈折力を有するレンズ群Gp2を有し、
前記レンズ群Gn1と前記レンズ群Gp2は、物体側から像側へこの順で隣り合っている、
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
0.50 < fp2/fw < 8.00・・・(9)
但し、
fp2:前記レンズ群Gp2の焦点距離
【請求項6】
前記後続群は、負の屈折力を有するレンズ群Gn1と、正の屈折力を有するレンズ群Gp2と、負の屈折力を有するレンズ群Gn2とを有し、
前記レンズ群Gn1、前記レンズ群Gp2及び前記レンズ群Gn2は、物体側から像側へこの順で隣り合っている、
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
-8.00 < fn2/fw < -1.00・・・(10)
但し、
fn2:前記レンズ群Gn2の焦点距離
【請求項7】
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
0.80 <|β2t/β2w|< 20.00・・・(11)
但し、
β2t:望遠端の無限遠合焦時における前記第2レンズ群の横倍率
β2w:広角端の無限遠合焦時における前記第2レンズ群の横倍率
【請求項8】
前記後続群は、前記レンズ群GLより物体側に正の屈折力を有するレンズ群Gp2を有し、
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
1.00 <|βp2t/βp2w|< 15.00・・・(12)
但し、
βp2t:望遠端の無限遠合焦時における前記レンズ群Gp2の横倍率
βp2w:広角端の無限遠合焦時における前記レンズ群Gp2の横倍率
【請求項9】
前記後続群は、前記レンズ群GLの物体側に負の屈折力を有するレンズ群Gn2を有し、
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
1.00 <|βn2t/βn2w|< 10.00・・・(13)
但し、
βn2t:望遠端の無限遠合焦時における前記レンズ群Gn2の横倍率
βn2w:広角端の無限遠合焦時における前記レンズ群Gn2の横倍率
【請求項10】
以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
0.50 <|βLt/βLw|< 10.00・・・(14)
但し、
βLt:望遠端の無限遠合焦時における前記レンズ群GLの横倍率
βLw:広角端の無限遠合焦時における前記レンズ群GLの横倍率
【請求項11】
前記レンズ群GLは、最も物体側に正レンズGLpを有する請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項12】
以下の式を満たす請求項11に記載のズームレンズ。
1.80 < ndLp < 2.20・・・(15)
但し、
ndLp:前記正レンズGLpのd線における屈折率
【請求項13】
前記レンズ群GLは、少なくとも1つ以上の負レンズGLnを有し、以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
1.70 < ndLnave < 2.20・・・(16)
但し、
ndLnave:前記負レンズGLnのd線における屈折率の平均値
【請求項14】
前記後続群は、前記レンズ群GLの物体側に負の屈折力を有するレンズ群Gn2を有し、
前記レンズ群Gn2が合焦群である請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記後続群は、前記レンズ群GLの物体側に負の屈折力を有するレンズ群Gn2を有し、
前記レンズ群Gn2は、以下の式を満たす請求項1に記載のズームレンズ。
-15.00 < (1-βn2t2)×βn2rt2 < -1.10・・・(17)
但し、
βn2t :望遠端の無限遠合焦時における前記レンズ群Gn2の横倍率
βn2rt:望遠端の無限遠合焦時における前記レンズ群Gn2より像側のすべてのレンズ群の合成横倍率
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型かつ光学性能が良好な大口径ズームレンズであり、フィルムカメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの撮像ズームレンズとして好適な撮像ズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置において、固体撮像素子は近年高画素化が進んでいることにより、レンズ系は以前に比べ更なる高性能化が求められている。また、カメラの小型化に伴い、ズームレンズにも小型化の要求が高まっている。
【0003】
このような状況下、例えば、特許文献1、2には、ズームレンズの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-149483号公報
【特許文献2】特開2020-10175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、いわゆるミラーレスカメラ用の標準大口径ズームレンズズームレンズに関する発明であり、変倍時の1群と2群の移動量が大きいため、光学全長が長く、変倍時の移動に伴う軸上光束の変化が大きいため、レンズ径も大きくなっており、製品の小型化を求める要求には応えられていない。
【0006】
特許文献2は、いわゆるミラーレスカメラ用の広角ズームレンズズームレンズに関する発明であり、絞り前後の群の横倍率の設定が適切ではなく、レンズと絞りの小型化が不十分である。製品の小型化を求める要求には応えられていない。
【0007】
そこで、本件発明の課題は、小型かつ光学性能の良好なズームレンズ及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、後続群とを有し、
前記後続群は、開口絞り、及び最も像側にレンズ群GLを有し、
各群の間隔を変化させることで変倍を行い、後続群の少なくとも一部の群が光軸上を移動することで合焦し、以下の式を満たすズームレンズ。
-35.00 < β2w < 6.10・・・(1)
0.40 < Ps_w/Lw < 0.95・・・(2)
0.10 < Ps_t/Lt < 0.75・・・(3)
-5.00 < f1/fL < 0.70・・・(4)
1.00 < Lw/fw < 8.50・・・(5)
但し、
β2w:広角端の無限遠合焦時における前記第2レンズ群の横倍率
Ps_w:広角端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離
Ps_t:望遠端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離
Lw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの光学全長
Lt:望遠端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの光学全長
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fL:前記レンズ群GLの焦点距離
fw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離
【0009】
また、上記課題を解決するために本件発明に係る撮像装置は、上記ズームレンズと、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換にする撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本件発明によれば、近年の高画素な撮像素子での撮影にも耐えうる小型かつ光学性能の良好なズームレンズを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本件発明の実施例1のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図2】実施例1のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図3】本件発明の実施例2のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図4】実施例2のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図5】本件発明の実施例3のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図6】実施例3のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図7】本件発明の実施例4のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図8】実施例4のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図9】本件発明の実施例5のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図10】実施例5のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図11】本件発明の実施例6のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図12】実施例6のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図13】本件発明の実施例7のズームレンズのレンズ構成例を示す断面図である。
【
図14】実施例7のズームレンズの無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明するズームレンズ及び撮像装置は、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0013】
1.ズームレンズ
1-1.光学構成
本件発明に係るズームレンズは物体側から像側へ順に、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、後続群とを有し、後続群は、最も像側にレンズ群GLを有し構成される。この構成によって、比較的倍率が高いズームレンズとすることが容易となる。
【0014】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、負の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。第1レンズ群は、小型化をする上で、4枚以下のレンズで構成することが好ましい。また、第1レンズ群は、物体側から像側へ順に、2枚又は3枚の負レンズと1枚の正レンズから構成されることが好ましく、特に負メニスカスレンズと負メニスカスレンズと、負レンズと、正レンズで構成されることが好ましい。また、第1レンズ群は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと、正レンズで構成されることが好ましい。
【0015】
「レンズ群」は、1枚以上のレンズを有する。「レンズ群」とは、広角端及び望遠端間の変倍時に隣り合うレンズ群同士の間隔が変化する1枚のレンズ又は2枚以上のレンズの集合である。レンズ群が複数のレンズを有する場合では、複数のレンズは、広角端及び望遠端間の変倍時に相対的な位置関係を維持する。レンズ群は、光軸上を移動可能に構成されていてもよいし、固定されていてもよい。
【0016】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群は、正の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。第2レンズ群は、収差を補正する上で、最も物体側に正レンズを有することが好ましい。第2レンズ群は、正レンズの像側に両凹レンズを有することが好ましい。
【0017】
(3)後続群
後続群は、第2レンズ群の像側に配置され、複数のレンズ群を有する。後続群の最も像側にレンズ群GLを有する。また、後続群は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するレンズ群Gn1と、正の屈折力を有するレンズ群Gp2と、負の屈折力を有するレンズ群Gn2と、最も像側にレンズ群GLとを有することが好ましい。後続群は、正の屈折力を有する第3レンズ群がレンズ群Gn1の物体側にあってもよい。
【0018】
(4)レンズ群Gn1
レンズ群Gn1は、第2レンズ群よりも像側に配置され負の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。色収差を補正する上で、正レンズと負レンズを有すことが好ましい。また、収差を補正する上で、最も像側に物体側面が凸形状の負メニスカスレンズを有することが好ましい。
【0019】
(5)レンズ群Gp2
レンズ群Gp2は、レンズ群Gn1の像側に配置され正の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。色収差を補正する上で、正レンズと負レンズを有すことが好ましい。
【0020】
(6)レンズ群Gn2
レンズ群Gn2は、レンズ群Gp2の像側に配置され負の屈折力を有するレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0021】
(7)レンズ群GL
レンズ群GLは、ズームレンズの最も像側に配置されるレンズ群である限り、その具体的な構成は特に限定されるものではない。レンズ群GLの最も物体側に、正の屈折力を有するレンズGLpを配置することにより、レンズ群GLを通過するマージナル光線の高さを低くすることができ、変倍時及びフォーカス時の像面湾曲変動を抑制することができる。また色収差を補正する上で、正レンズGLpと負レンズGLnを有することが好ましい。
【0022】
(7)開口絞り
開口絞りは、後続群中に配置し、さらにレンズ群Gp2より物体側に配置することで、第2レンズ群の集束作用により、開口径を小さくすることができ、製品の小型化に効果がある。さらに、開口絞りに隣接してレンズ群Gn1を配置することで、第2レンズ群で発生するアンダーの球面収差をレンズ群Gn1のオーバーの球面収差で補正することができ、大口径化を容易にするため望ましい。
【0023】
1-2.動作
(1)変倍
広角端から望遠端への変倍は、隣り合うレンズ群の間隔を変えることで行う。後続群に含まれる隣り合っていない2つのレンズ群が同一の軌跡で移動することが好ましい。特に、第2レンズ群とレンズ群Gp2が、同一の軌跡で光軸上を移動することが好ましい。独立で移動する場合に比べ、メカ構成を簡素化することができ、鏡筒径の小型化を容易にする。さらに、同一の軌跡のレンズ群の相対偏心を抑制し、組立時の性能の劣化を防ぐことができる。
【0024】
(2)合焦
当該ズームレンズは、前記レンズ群Gp2より像側のレンズ群が、光軸上を移動することで合焦する。この構成によって、レンズ群Gp2の集束作用により合焦群を通過する光束径を小さくでき、製品の小型化に効果がある。また、当該ズームレンズは、レンズ群Gn2を合焦群とすることで、小型かつ合焦時の性能変動を小さくすることができる。
【0025】
1-3.式
当該ズームレンズは、上述した構成を採用すると共に、次に説明する式を少なくとも1つ以上満足することが望ましい。
【0026】
1-3.式
1-3-1.式(1)
-35.00 < β2w < 6.10・・・(1)
但し、
β2w:広角端の無限遠合焦時における第2レンズ群の横倍率
【0027】
式(1)は、広角端の無限遠合焦時における第2レンズ群の横倍率を規定する。式(1)の規定する範囲を満たすことにより、後続群のレンズ径を小型化できる。
【0028】
式(1)の下限値を下回ると、横倍率が負であるものの、第2レンズ群の横倍率が適正値より小さいため、第2レンズ群による収束効果が弱く、後続群のレンズ群の径小化が困難になり望ましくない。一方、式(1)の上限値を超えると、横倍率が正であり、第2レンズ群の横倍率が適正値より大きいため、第2レンズ群による収束効果が弱く、後続群のレンズ群の径小化が困難になり望ましくない。
【0029】
上記効果を得るため、式(1)の下限値は、-30.00、-20.00、-10.00、-7.00、-5.00、-4.00のいずれかであることが好ましい。一方、上限値は、5.00、4.00、3.00、2.00、1.00、0.00のいずれかであることが好ましい。
【0030】
1-3-2.式(2)
0.40 < Ps_w/Lw < 0.95・・・(2)
但し、
Ps_w:広角端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離
Lw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの光学全長
【0031】
式(2)は、広角端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離と広角端の無限遠合焦時における光学全長の比を規定する。式(2)の規定する範囲を満たすことにより、開口絞りを適正な位置に配置し、ズームレンズを小型化し、ズーム全域において良好な光学性能を得ることができる。
【0032】
式(2)の下限値を下回ると、開口絞りの位置が適正な位置より像側にあることを示し、ズームレンズの広角化を図ったときに前玉径が大きくなり、製品の小型化が困難となり望ましくない。一方、式(2)の上限値を超えると、開口絞りの位置が適正な位置より物体側にあることを示し、ズームレンズの大口径化を図ったときに、絞り径が大きくなり、製品の小型化が困難となり望ましくない。
【0033】
上記効果を得るため、式(2)の下限値は、0.41、0.42、0.43、0.44のいずれかであることが好ましい。また、式(2)の上限値は、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65のいずれかであることが好ましい。
【0034】
1-3-3.式(3)
0.10 < Ps_t/Lt < 0.75・・・(3)
但し、
Ps_t:望遠端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離
Lt:望遠端の無限遠合焦時における光学全長
【0035】
式(3)は、望遠端の無限遠合焦時における開口絞りと像面の光軸上の距離と望遠端の無限遠合焦時における光学全長の比を規定する。式(3)の規定する範囲を満たすことにより、開口絞りを適正な位置に配置し、ズームレンズを小型化し、ズーム全域において良好な光学性能を得ることができる。
【0036】
式(3)の下限値を下回ると、開口絞りの位置が適正な位置より像側にあることを示し、ズームレンズの広角化を図ったときに前玉径が大きくなり、製品の小型化が困難となり望ましくない。一方、式(3)の上限値を超えると、開口絞りの位置が適正な位置より物体側にあることを示し、ズームレンズの大口径化を図ったときに、絞り径が大きくなり、製品の小型化が困難となり望ましくない。
【0037】
上記効果を得るため、式(3)の下限値は、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50のいずれかであることが好ましい。また、式(3)の上限値は、0.74、0.73、0.72、0.71、0.70のいずれかであることが好ましい。
【0038】
1-3-4.式(4)
-5.00 < f1/fL < 0.70・・・(4)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fL:レンズ群GLの焦点距離
【0039】
式(4)は、第1レンズ群とレンズ群GLの焦点距離の比を規定する。式(4)の規定する範囲を満たすことにより、ズームレンズの小型化及び像面湾曲や歪曲収差の良好な補正を実現することが出来る。
【0040】
式(4)の下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が適正値より弱い、もしくはレンズ群GLの屈折力が正であり、適正値より強いことを示し、第1レンズ群の径小化が難しく、製品の小型化が困難となり望ましくない。一方、式(4)の上限値を超えると、レンズ群GLの屈折力が負であり適正値より強いことを示し、像面湾曲や歪曲収差の良好な補正が困難となり望ましくない。
【0041】
上記効果を得るため、式(4)の下限値は、-4.00、-3.00、-2.00、-1.00、-0.80、-0.60、-0.50のいずれかであることが好ましい。また、式(4)の上限値は、0.60、0.50、0.40、0.30のいずれかであることが好ましい。
【0042】
1-3-5.式(5)
1.00 < Lw/fw < 8.50・・・(5)
但し、
Lw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの光学全長
fw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離
【0043】
式(5)は、広角端の無限遠合焦時におけるズームレンズの光学全長と焦点距離との比を規定する。光学全長とは、ズームレンズ最も物体側面の光軸中心から像面までの距離を示し、カバーガラスやカットフィルターを含めた値である。式(5)の規定する範囲を満たすことにより、ズームレンズを小型化し、ズーム全域において良好な光学性能を得ることができる。
【0044】
式(5)の下限値を下回ると、広角端の無限遠合焦時における光学全長が適正値より小さいことを示し、各群の屈折力を適正値より強める必要があり、各群で発生する収差が適正値より大きくなり、ズーム全域において良好な光学性能を得ることが困難になるため望ましくない。一方、式(5)の上限値を超えると、広角端の無限遠合焦時における光学全長が適正値より大きいことを示し、製品の小型化が困難となり望ましくない。
【0045】
上記効果を得るため、式(5)の下限値は、2.00、3.00、4.00、5.00のいずれかであることが好ましい。また、式(5)の上限値は、8.30、8.10、7.90のいずれかであることが好ましい。
【0046】
1-3-6.式(6)
0.10 < f2/fp2 < 10.00・・・(6)
但し、
f2:第2レンズ群の焦点距離
fp2:レンズ群Gp2の焦点距離
【0047】
式(6)は、第2レンズ群とレンズ群Gp2の焦点距離の比を規定する。式(6)の規定する範囲を満たすことにより、ズームレンズの小型化を達成することが出来る。
【0048】
式(6)の下限値を下回ると、第2レンズ群の屈折力が適正値より強い、もしくはレンズ群Gp2の屈折力が適正値より弱いことを示し、第2レンズ群で発生するアンダーの球面収差が過剰になり、もしくは第2レンズ群の像側のレンズ群の径小化が困難になり望ましくない。一方、式(6)の上限値を超えると、第2レンズ群の屈折力が適正値より弱い、もしくはレンズ群Gp2の屈折力が適正値より強いことを示し、第2レンズ群の像側のレンズ群の径小化が困難になり、もしくは、レンズ群Gp2で発生するアンダーの球面収差及び像面湾曲が過剰になり、製品の小型化と全系での収差補正の両立が困難になり望ましくない。
【0049】
上記効果を得るため、式(6)の下限値は、0.50、0.75、1.00、1.25、1.50、1.75、2.00のいずれかであることが好ましい。また、式(6)の上限値は、8.00、6.00、5.00、4.00、3.50、3.00、2.70のいずれかであることが好ましい。
【0050】
1-3-7.式(7)
-5.00 < f1/fp2 < -0.10・・・(7)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fp2:レンズ群Gp2の焦点距離
【0051】
式(7)は、第1レンズ群とレンズ群Gp2の焦点距離の比を規定する。式(7)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群Gp2の像側のレンズ群の径小化を可能とし、ズームレンズの小型化を達成することが出来る。
【0052】
式(7)の下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が適正値より弱い、もしくはレンズ群Gp2の屈折力が適正値より強いことを示し、第1レンズ群の径大化、もしくはレンズ群Gp2で発生するアンダーの球面収差及び像面湾曲が過剰になり、製品の小型化と全系での収差補正の両立が困難になり望ましくない。一方、式(7)の上限値を超えると、第1レンズ群の屈折力が適正値より強い、もしくはレンズ群Gp2の屈折力が適正値より弱いことを示し、開放絞りやレンズ群Gp2より像側のレンズ群の径大化を招き、製品の小型化が困難になり望ましくない。
【0053】
上記効果を得るため、式(7)の下限値は、-4.00、-3.50、-3.00、-2.75、-2.50、-2.30、-2.20のいずれかであることが好ましい。また、式(7)の上限値は、-0.50、-0.70、-0.90、-1.10のいずれかであることが好ましい。
【0054】
1-3-8.式(8)
1.00 < f2/fw < 10.00・・・(8)
但し、
f2:第2レンズ群の焦点距離
fw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離
【0055】
式(8)は、第2レンズ群の焦点距離と広角端の無限遠合焦時における全系の焦点距離の比を規定する。式(8)の規定する範囲を満たすことにより、第2レンズ群の像側のレンズ群の径小化を可能とし、ズームレンズの小型化を達成することが出来る。
【0056】
式(8)の下限値を下回ると、第2レンズ群の屈折力が適正値より強いことを示し、第2レンズ群で発生するアンダーの球面収差が過剰になり、全系での収差補正の両立が困難になり望ましくない。一方、式(8)の上限値を超えると、第2レンズ群の屈折力が適正値より弱いことを示し、第2レンズ群より像側のレンズ群の径大化を招き、製品の小型化が困難になり望ましくない。
【0057】
上記効果を得るため、式(8)の下限値は、1.25、1.50、1.70、1.90、2.00のいずれかであることが好ましい。また、式(8)の上限値は、8.00、6.00、5.00、4.00、3.50、3.00のいずれかであることが好ましい。
【0058】
1-3-9.式(9)
0.50 < fp2/fw < 8.00・・・(9)
但し、
fp2:レンズ群Gp2の焦点距離
fw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離
【0059】
式(9)は、レンズ群Gp2の焦点距離と広角端の無限遠合焦時における全系の焦点距離の比を規定する。式(9)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群Gp2の像側のレンズ群の径小化を可能とし、ズームレンズの小型化を達成することが出来る。
【0060】
式(9)の下限値を下回ると、レンズ群Gp2の屈折力が適正値より強いことを示し、レンズ群Gp2で発生するアンダーの球面収差と像面湾曲が過剰になり、全系での収差補正の両立が困難になり望ましくない。一方、式(9)の上限値を超えると、レンズ群Gp2の屈折力が適正値より弱いことを示し、レンズ群Gp2より像側のレンズ群の径大化を招き、製品の小型化が困難になり望ましくない。
【0061】
上記効果を得るため、式(9)の下限値は、0.60、0.70、0.80のいずれかであることが好ましい。また、式(9)の上限値は、5.00、4.00、3.00、2.00、1.70、1.50、1.30のいずれかであることが好ましい。
【0062】
1-3-10.式(10)
-8.00 < fn2/fw < -1.00・・・(10)
但し、
fn2:レンズ群Gn2の焦点距離
fw:広角端の無限遠合焦時における当該ズームレンズの焦点距離
【0063】
式(10)は、レンズ群Gn2の焦点距離と広角端の無限遠合焦時における全系の焦点距離の比を規定する。式(10)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群Gn2の像側のレンズ群の径小化を可能とし、ズームレンズの小型化を達成することが出来る。
【0064】
式(10)の下限値を下回ると、レンズ群Gn2の屈折力が適正値より弱いことを示し、レンズ群Gn2より像側の群の径小化が困難になり、製品の小型化が困難になり望ましくない。一方、式(10)の上限値を超えると、レンズ群Gn2の屈折力が適正値より強いことを示し、レンズ群Gn2で発生するオーバーの像面湾曲と糸巻きの歪曲収差が過剰になり、全系での収差補正が困難になるため望ましくない。
【0065】
上記効果を得るため、式(10)の上限値は、-1.10、-1.20のいずれかであることが好ましい。また、式(10)の下限値は、-6.00、-4.00、-3.50、-3.00、-2.50、-2.30、-2.10のいずれかであることが好ましい。
【0066】
1-3-11.式(11)
0.80 <|β2t/β2w|< 20.00・・・(11)
但し、
β2t:望遠端の無限遠合焦時における第2レンズ群の横倍率
β2w:広角端の無限遠合焦時における第2レンズ群の横倍率
【0067】
式(11)は、広角端から望遠端に変倍した時の第2レンズ群の変倍比を規定する。式(11)の規定する範囲を満たすことにより、第2レンズ群の変倍比を適正化し、製品の小型化と所望のズーム比を実現することができる。
【0068】
式(11)の下限値を下回ると、第2レンズ群の変倍比は減倍になり、他のレンズ群の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。一方、式(11)の上限値を超えると、第2レンズ群の変倍比は適正値より大きくなり、第2レンズ群の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。
【0069】
上記効果を得るため、式(11)の下限値は、1.00、1.20、1.40、1.60のいずれかであることが好ましい。また、式(11)の上限値は、15.00、10.00、8.00、7.00、6.50のいずれかであることが好ましい。
【0070】
1-3-12.式(12)
1.00 <|βp2t/βp2w|< 15.00・・・(12)
但し、
βp2t:望遠端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gp2の横倍率
βp2w:広角端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gp2の横倍率
【0071】
式(12)は、広角端から望遠端に変倍した時のレンズ群Gp2の変倍比を規定する。式(12)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群Gp2の変倍比を適正化し、製品の小型化と所望のズーム比を実現することができる。
【0072】
式(12)の下限値を下回ると、レンズ群Gp2の変倍比は減倍になり、他のレンズ群の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。一方、式(12)の上限値を超えると、レンズ群Gp2の変倍比は適正値より大きくなり、レンズ群Gp2の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。
【0073】
上記効果を得るため、式(12)の下限値は、1.20、1.30のいずれかであることが好ましい。また、式(12)の上限値は、12.00、10.00、8.00、7.00、6.00、5.50のいずれかであることが好ましい。
【0074】
1-3-13.式(13)
1.00 <|βn2t/βn2w|< 10.00・・・(13)
但し、
βn2t:望遠端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gn2の横倍率
βn2w:広角端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gn2の横倍率
【0075】
式(13)は、広角端から望遠端に変倍した時のレンズ群Gn2の変倍比を規定する。式(13)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群Gn2の変倍比を適正化し、製品の小型化と所望のズーム比を実現することができる。
【0076】
式(13)の下限値を下回ると、レンズ群Gn2の変倍比は減倍になり、他のレンズ群の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。一方、式(13)の上限値を超えると、レンズ群Gn2の変倍比は適正値より大きくなり、レンズ群Gn2の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。
【0077】
上記効果を得るため、式(13)の上限値は、8.00、6.00、5.00、4.00、3.00、2.00、1.80のいずれかであることが好ましい。
【0078】
1-3-14.式(14)
0.50 <|βLt/βLw|< 10.00・・・(14)
但し、
βLt:望遠端の無限遠合焦時におけるレンズ群GLの横倍率
βLw:広角端の無限遠合焦時におけるレンズ群GLの横倍率
【0079】
式(14)は、広角端から望遠端に変倍した時のレンズ群GLの変倍比を規定する。式(14)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群GLの変倍比を適正化し、製品の小型化と所望のズーム比を実現することができる。
【0080】
式(14)の下限値を下回ると、レンズ群GLの変倍比は適正値より小さくなり、他のレンズ群の移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。一方、式(14)の上限値を超えると、レンズ群GLの変倍比は適正値より大きくなり、レンズ群GLの移動量が適正値より大きくなり、製品の小型化が困難になるため望ましくない。
【0081】
上記効果を得るため、式(14)の下限値は、0.60、0.70、0.80のいずれかであることが好ましい。また、式(14)の上限値は、8.00、6.00、4.00、3.00、2.00、1.50のいずれかであることが好ましい。
【0082】
1-3-15.式(15)
1.80 < ndLp < 2.20・・・(15)
ndLp:正レンズGLpのd線における屈折率
【0083】
式(15)は、レンズ群GLの最も物体側に配置される正レンズGLpの材料の屈折率を規定する。式(15)の規定する範囲を満たすことにより、式(15)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群GLを通過するマージナル光線の高さを低くすることができ、変倍時及び合焦時の像面湾曲変動を抑制することができる。
【0084】
式(15)の下限値を下回ると、正レンズGLpの屈折力が適正値より弱くなり、像面湾曲や歪曲収差が補正不足になり望ましくない。一方、式(15)の上限値を超えると、正レンズGLpの屈折力が適正値より強くなり、像面湾曲や歪曲収差の過補正になり望ましくない。
【0085】
上記効果を得るため、式(15)の下限値は、1.84、1.85、1.86、1.88、1.90、1.92のいずれかであることが好ましい。また、式(15)の上限値は、2.10、2.05、2.00、1.99、1.98、1.96、1.95、1.94のいずれかであることが好ましい。
【0086】
1-3-16.式(16)
1.70 < ndLnave < 2.20・・・(16)
但し、
ndLnave:前記レンズ群GLに含まれる負レンズGLnのd線における屈折率の平均値
【0087】
式(16)は、レンズ群GLに含まれる負レンズGLnの材料のd線における屈折率の平均値を規定する。式(16)の規定する範囲を満たすことにより、式(16)の規定する範囲を満たすことにより、レンズ群GLを通過するマージナル光線の高さを低くすることができ、変倍時及び合焦時の像面湾曲変動を抑制することができる。
【0088】
式(16)の下限値を下回ると、レンズ群GLに含まれる負レンズGLnの屈折力が適正値より弱くなり、像面湾曲や歪曲収差が補正不足になり望ましくない。一方、式(16)の上限値を超えると、レンズ群GLに含まれる負レンズGLnの屈折力が適正値より強くなり、像面湾曲や歪曲収差の過補正になり望ましくない。
【0089】
上記効果を得るため、式(16)の下限値は、1.72、1.74、1.76のいずれかであることが好ましい。また、式(16)の上限値は、2.10、2.05、2.00、1.98、1.96、1.94のいずれかであることが好ましい。
【0090】
1-3-17.式(17)
-15.00 < (1-βn2t2)×βn2rt2 < -1.10・・・(17)
但し、
βn2t :望遠端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gn2の横倍率
βn2rt:望遠端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gn2より像側のすべてのレンズ群の合成横倍率
【0091】
式(17)は、望遠端の無限遠合焦時におけるレンズ群Gn2のガタ倍率を規定する。式(17)の規定する範囲を満たすことにより、合焦時の移動量が少なく、性能変動が小さい合焦群を構成することができる。
【0092】
式(17)の下限値を下回ると、レンズ群Gn2のガタ倍率が適正値より小さくなり、合焦群及びその後続群の屈折力を適正値より強くしなければならず、合焦時の性能変動を抑制することが困難になるため、好ましくない。一方、式(17)の上限値を超えると、レンズ群Gn2のガタ倍率が適正値より大きくなり、合焦時の移動量が大きくなり、製品の小型化が困難になるため、好ましくない。
【0093】
上記効果を得るため、式(17)の下限値は、-12.00、-11.00、-10.00、-9.00、-7.00、-6.00、-5.00 のいずれかであることが好ましい。また、上限値は、-1.30、-1.50、-1.70、-1.90、-2.00のいずれかであることが好ましい。
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係るズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子等も用いることかでき、本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよく、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0094】
図15は、本実施形態に係る撮像装置の構成の一例を模式的に示す図である。
図15に示されるように、撮像装置1は、カメラ2及びカメラ2に着脱可能なレンズ3を有している。撮像装置1は、撮像装置の一態様である。カメラ2は、撮像素子としてのCCDセンサ21及びカバーガラス22を有している。CCDセンサ21は、カメラ2における、カメラ2に装着されたレンズ3内のズームレンズの光軸が中心軸となる位置に配置されている。カメラ2は、カバーガラス22の代わりに、IRカットフィルター等を有していてもよい。
【0095】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例のズームレンズは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影ズームレンズである。また、レンズ断面図(
図1、
図3、
図5、
図7、
図9、
図11、
図13)において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例0096】
(1)ズームレンズの構成
図1は、本件発明に係る実施例1のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と正の屈折力を有する第2レンズ群と後続群を有し、後続群は、物体側から像側へ順に、負の屈折力を有するレンズ群Gn1、正の屈折力を有するレンズ群Gp2、負の屈折力を有するレンズ群Gn2、正の屈折力を有するレンズ群GLからなる。
【0097】
図1において、ズームレンズ中に示す「S」は開口絞りであり、ズームレンズの像側に示す「I」は像面であり、具体的には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。なお、これらの図面で示すものは他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0098】
広角端から望遠の変倍の際、光軸に沿って、第1レンズ群G1が物体側から像側へ移動し、第2レンズ群が像側から物体側へ移動し、レンズ群Gn1が物体側から像側へ移動し、レンズ群Gp2が像側から物体側へ移動し、レンズ群Gn2が像側から物体側へ移動し、レンズ群GLが像側から物体側へ移動する。また、第2レンズ群とレンズ群Gp2が同軌跡で移動する。
【0099】
無限遠物体から近接物体への合焦の際、レンズ群Gn2が光軸に沿って移動する。
【0100】
第1レンズ群G1は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと、両凹レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0101】
第2レンズ群G2は、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズが接合された接合レンズとから構成されている。
【0102】
レンズ群Gn1は、負メニスカスレンズから構成されている。
【0103】
レンズ群Gp2は、物体側から像側へ順に、負メニスカスレンズと両凸レンズが接合された接合レンズと、両凸レンズとから構成されている。
【0104】
レンズ群Gn2は、両凹レンズから構成されている。
【0105】
レンズ群GLは、物体側から像側へ順に、両凸レンズと、両凹レンズと、負メニスカスレンズとから構成されている。
【0106】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例1について説明する。
表1に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表1において、面No.は物体側から数えたレンズ面の順番、Rはレンズ面の曲率半径、Dはレンズ面の光軸上の間隔、Ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、開口絞りSは、面番号にSを付して示している。さらに、レンズ面が非球面である場合には、面番号に*を示し、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。また、レンズ群GLに含まれるGLpレンズ、GLnレンズを示している。
表2に、当該ズームレンズの各焦点距離におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、可変間隔(D(n))を示す。
【0107】
表3に、非球面の形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。非球面は次式で定義されるものとする。但し、cは曲率(1/R)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A4、A6、A8、A10・・・は各次数の非球面係数を表す。
z=ch2/[1+{1-(1+k)c2h2}1/2]+A4h4+A6h6+A8h8+A10h10・・・
【0108】
なお、これらの数値実施例における事項は他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0109】
図2に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。それぞれの縦収差図は、左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を示す図において、実線はd線(587.6nm)、破線はg線(435.8nm)を表している。非点収差を示す図において、実線はd線のサジタル方向(S)、破線はd線のメリディオナル方向(T)を表している。なお、これらの収差を表示する順序、並び、各図において実線、波線等が示すものは他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0110】
(表1)
面No. R D Nd νd
1 75.315 1.500 1.87070 40.73
2 18.685 4.046
3* 28.684 1.200 1.69350 53.20
4* 15.681 10.357
5 -39.950 0.800 1.59282 68.62
6 106.311 0.200
7 54.017 5.621 1.77047 29.74
8 -60.895 D( 8)
9 31.304 3.538 1.73037 32.23
10 -143.039 7.158
11 68.546 3.181 1.43700 95.10
12 -36.989 0.800 2.00069 25.46
13 438.443 1.095
14S 0.000 D(14)
15 -30.169 0.800 1.91082 35.25
16 -74.267 D(16)
17 17.654 1.000 2.00100 29.13
18 12.807 7.058 1.49700 81.61
19 -41.211 0.200
20* 28.448 4.182 1.59201 67.02
21* -49.212 D(21)
22 -125.116 0.800 1.91082 35.25
23 27.205 D(23)
24 43.396 6.574 1.92286 20.88 GLp
25 -26.648 0.200
26 -48.780 0.800 2.00069 25.46 GLn
27 55.282 3.812
28* -68.449 1.251 1.85135 40.10 GLn
29 1315.390 D(29)
30 0.000 2.500 1.51680 64.20
31 0.000 1.000
【0111】
(表2)
広角端 中間域 望遠端
F 16.483 21.154 27.168
Fno 2.910 2.910 2.910
W 54.102 45.177 37.149
D( 8) 18.750 9.409 1.000
D(14) 1.811 3.620 4.826
D(16) 4.015 2.206 1.000
D(21) 2.001 2.699 3.872
D(23) 3.679 3.976 3.738
D(29) 13.855 17.311 21.540
【0112】
(表3)
面No. k A4 A6 A8 A10
A12
3 -3.51116E+00 3.95184E-05 -1.04764E-07 2.03466E-10 3.86021E-14
-8.90845E-16
4 -2.54287E-01 4.46040E-06 -1.21409E-07 -2.84872E-10 1.81562E-12
-6.56251E-15
20 0.00000E+00 -1.85267E-05 -3.35761E-08 -5.84711E-10 -6.62524E-13
-6.09434E-15
21 0.00000E+00 1.96468E-05 -4.87985E-08 -1.40021E-09 7.26759E-12
-4.33117E-14
28 0.00000E+00 -1.82953E-04 9.32881E-07 -7.67804E-09 3.65908E-11
-1.24204E-13
29 0.00000E+00 -1.40663E-04 9.88945E-07 -5.42555E-09 1.99451E-11
-3.31357E-14
広角端から望遠の変倍の際、光軸に沿って、第1レンズ群G1が物体側から像側へ移動し、第2レンズ群が像側から物体側へ移動し、レンズ群Gn1が物体側から像側へ移動し、レンズ群Gp2が像側から物体側へ移動し、レンズ群Gn2が像側から物体側へ移動し、レンズ群GLが像側から物体側へ移動する。また、第2レンズ群とレンズ群Gp2が同軌跡で移動する。