(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181874
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】水硬性組成物、水硬性硬化体、及び水硬性硬化体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20231218BHJP
C04B 16/06 20060101ALI20231218BHJP
C04B 40/02 20060101ALI20231218BHJP
B28B 11/24 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B16/06 A
C04B40/02
B28B11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095248
(22)【出願日】2022-06-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構/カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/コンクリート、セメント、炭酸塩、炭素、炭化物などへのCO2利用技術開発「セメント系廃材を活用したCO2固定プロセス及び副産物の建設分野への利用技術の研究」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】小島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】片村 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】松下 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】池尾 陽作
(72)【発明者】
【氏名】川尻 聡
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴穂
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 邦生
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】杉本 南
(72)【発明者】
【氏名】竹内 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】奈良 知幸
(72)【発明者】
【氏名】景山 勇輝
【テーマコード(参考)】
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
4G055AA02
4G055AA10
4G055BA02
4G112RA02
(57)【要約】
【課題】水硬性硬化体の強度を増進させること。
【解決手段】水硬性組成物は、セメントと水と骨材と繊維とを含有し、水結合材比が30%~65%であり、繊維の平均長が2mm~15mmであり且つ平均直径が3μm~100μmであり、繊維の含有量が0.5kg/m3~5kg/m3である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントと水と骨材と繊維とを含有し、
水結合材比が30%~65%であり、
前記繊維の平均長が2mm~15mmであり且つ平均直径が3μm~100μmであり、
前記繊維の含有量が0.5kg/m3~5kg/m3である、
水硬性組成物。
【請求項2】
前記繊維が有機繊維を含む、請求項1に記載の水硬性組成物。
【請求項3】
前記繊維がポリプロピレン繊維を含む、請求項1に記載の水硬性組成物。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水硬性組成物が硬化した水硬性硬化体。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の水硬性組成物を得ることと、
前記水硬性組成物を成形して成形体を得ることと、
前記成形体を硬化させて水硬性硬化体を得ることと、
前記水硬性硬化体を炭酸化させることと、を含む、
水硬性硬化体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水硬性組成物、水硬性硬化体、及び水硬性硬化体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機繊維を含む水硬性硬化体を炭酸化養生して炭酸化する技術が開示されている。
特許文献2には、アルカリ分解性有機繊維によってコンクリート表層部に空隙を形成しCO2固定を促進する技術が開示されている。
特許文献3には、有機繊維を混ぜたコンクリートが開示されている。
特許文献4には、炭酸ガス養生によって硬化する炭酸化セメントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-003612号公報
【特許文献2】特開2006-265030号公報
【特許文献3】特開2004-224616号公報
【特許文献4】特開2010-235410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、高強度コンクリート(例えば水結合材比30%以下)には、ポリプロピレン繊維などの有機繊維が混入されている。高強度コンクリートは、組織が緻密であるゆえ内部で蒸発した水分が散逸しにくく、火災時に爆裂するおそれがある。その対策として有機繊維を混入し、爆裂の防止を図っている。
一方、水結合材比が30%~65%程度のコンクリートは、火災時に爆裂しにくいことが知られている。水結合材比の値が比較的大きいコンクリートは、その組織がそれほど緻密ではないので蒸発した水分が散逸しやすく、火災時に爆裂しにくい。したがって、当該コンクリートには有機繊維を混入しないことが一般的である。
【0005】
本発明者は、水結合材比が30%~65%の水硬性組成物に繊維を積極的に混入する技術的意義を見出した。水硬性組成物に繊維を混ぜると繊維の周囲がCO2ガスの侵入経路及び炭酸化反応の場となるので、水硬性硬化体に固定されるCO2量が増加し、水硬性硬化体の強度が増す。
【0006】
本開示は、水硬性硬化体の強度を増進させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1>
セメントと水と骨材と繊維とを含有し、
水結合材比が30%~65%であり、
前記繊維の平均長が2mm~15mmであり且つ平均直径が3μm~100μmであり、
前記繊維の含有量が0.5kg/m3~5kg/m3である、
水硬性組成物。
<2>
前記繊維が有機繊維を含む、<1>に記載の水硬性組成物。
<3>
前記繊維がポリプロピレン繊維を含む、<1>に記載の水硬性組成物。
<4>
<1>~<3>のいずれか1項に記載の水硬性組成物が硬化した水硬性硬化体。
<5>
<1>~<3>のいずれか1項に記載の水硬性組成物を得ることと、
前記水硬性組成物を成形して成形体を得ることと、
前記成形体を硬化させて水硬性硬化体を得ることと、
前記水硬性硬化体を炭酸化させることと、を含む、
水硬性硬化体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、水硬性硬化体の強度を増進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】試験体の形状及び寸法と炭酸化の概要とを示す図である。
【
図2B】圧縮強度の強度増進比を示すグラフである。
【
図3A】繊維無しの試験体について炭酸化による質量増加率と強度増進比の関係を示すグラフである。
【
図3B】繊維有りの試験体について炭酸化による質量増加率と強度増進比の関係を示すグラフである。
【
図4】CO
2濃度90%の炭酸化養生によるモルタルの中性化深さを示す写真である。
【
図5A】普通ポルトランドセメント/繊維無しの試験体についてのX線回折のチャートである。
【
図5B】低熱ポルトランドセメント/繊維無しの試験体についてのX線回折のチャートである。
【
図5C】高炉セメントC種/繊維無しの試験体についてのX線回折のチャートである。
【
図6A】普通ポルトランドセメントの試験体における繊維有無の影響を比較したX線回折のチャートである。
【
図6B】低熱ポルトランドセメントの試験体における繊維有無の影響を比較したX線回折のチャートである。
【
図6C】高炉セメントC種の試験体における繊維有無の影響を比較したX線回折のチャートである。
【
図7】繊維無しの試験体についてのCa(OH)
2量とCaCO
3量の比較である。
【
図8A】繊維無しの試験体について深さ方向とCO
2固定量の関係を示すグラフである。
【
図8B】繊維有りの試験体について深さ方向とCO
2固定量の関係を示すグラフである。
【
図9A】普通ポルトランドセメントの試験体について深さ方向とCO
2固定量の関係を示すグラフである。
【
図9B】低熱ポルトランドセメントの試験体について深さ方向とCO
2固定量の関係を示すグラフである。
【
図9C】高炉セメントC種の試験体について深さ方向とCO
2固定量の関係を示すグラフである。
【
図10】表層20mmまでのCO
2固定量を示すグラフである。
【
図11】有機繊維の寸法とCO
2固定量との関係を示すグラフである。
【
図12】有機繊維の含有量とCO
2固定量との関係を示すグラフである。
【
図13】有機繊維の含有量と15打フロー値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
【0011】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0013】
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0014】
<水硬性組成物及び水硬性硬化体>
本開示の水硬性組成物は、フレッシュ状態の水硬性組成物であり、本開示の水硬性組成物が硬化して本開示の水硬性硬化体が得られる。水硬性組成物は、コンクリート組成物でもよく、モルタル組成物でもよい。
【0015】
本開示の水硬性組成物は、セメントと水と骨材と繊維とを含有し、水結合材比が30%~65%である。水硬性組成物の材料及び組成の詳細は下記のとおりである。
【0016】
[水結合材比]
本開示の水硬性組成物は、水結合材比(水と結合材との質量比、水/結合材)が30%~65%である。水結合材比は、例えば、35%以上又は40%以上としてよく、60%以下、55%以下又は50%以下としてよい。
【0017】
[繊維]
水硬性硬化体において繊維の周囲がCO2ガスの侵入経路及び炭酸化反応の場となるので、水硬性硬化体に固定されるCO2量が増加し、水硬性硬化体の強度が増す。
【0018】
繊維には、有機繊維及び無機繊維が含まれる。繊維は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0019】
繊維は、平均長が2mm~15mmであり且つ平均直径が3μm~100μmである。この寸法であると、単位重量当たりの繊維本数が多く、また水硬性組成物に均一性高く分散することができ、CO2ガスの侵入経路及び炭酸化反応の場が多く形成される。加えてこの寸法であると、繊維どうしの絡まりが発生しにくく、水硬性組成物のフレッシュ性状が良好である。
繊維の平均長は、上記の観点から、3mm~12mmが好ましく、5mm~10mmがより好ましい。
繊維の平均直径は、上記の観点から、5μm~100μmが好ましく、5μm~80μmがより好ましく、9μm~80μmが更に好ましく、9μm~50μmが特に好ましい。繊維の直径は、繊維切断面の円相当径である。
【0020】
繊維の周囲にガスの侵入経路が形成されやすい観点から、繊維は親水性素材よりも撥水性素材の方が好ましい。この観点から、無機繊維よりも有機繊維が好ましい。
【0021】
有機繊維としては、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニリデン繊維、ポリアミド繊維、ポリ乳酸繊維、ビニロン繊維が挙げられる。繊維の周囲にガスの侵入経路が形成されやすい観点から、有機繊維は親水性素材よりも撥水性素材の方が好ましい。この観点から、ポリプロピレン繊維が好ましい。
【0022】
有機繊維は、モノフィラメントでもよく、ストランド状でもよい。モノフィラメントは、円柱状線維、中空繊維、異形断面繊維、表面に細孔が存在する繊維、微細な分岐が存在する繊維のいずれでもよい。
【0023】
無機繊維としては、例えば、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維が挙げられる。
【0024】
水硬性組成物に含まれる繊維の含有量は、水硬性組成物の単位量あたり0.5kg/m3~5kg/m3である。5kg/m3より多いと、水硬性組成物のフレッシュ性状が悪化し、0.5kg/m3より少ないと、CO2固定の増進効果が得られにくい。
水硬性組成物が有機繊維を含有する場合、有機繊維の含有量は、0.5kg/m3~5kg/m3であることが好ましい。
【0025】
水硬性組成物がコンクリート組成物である場合、水硬性組成物に含まれる繊維の含有量は、0.5kg/m3~4kg/m3が好ましく、0.5kg/m3~3kg/m3がより好ましい。
水硬性組成物がコンクリート組成物であり、有機繊維を含有する場合、水硬性組成物に含まれる有機繊維の含有量は、0.5kg/m3~4kg/m3が好ましく、0.5kg/m3~3kg/m3がより好ましい。
【0026】
水硬性組成物がモルタル組成物である場合、水硬性組成物に含まれる繊維の含有量は、0.8kg/m3~5kg/m3が好ましく、1kg/m3~5kg/m3がより好ましい。
水硬性組成物がモルタル組成物であり、有機繊維を含有する場合、水硬性組成物に含まれる有機繊維の含有量は、0.8kg/m3~5kg/m3が好ましく、1kg/m3~5kg/m3がより好ましい。
【0027】
[セメント]
セメントは、公知の各種セメント類の中から目的に応じて選択すればよい。セメントは、セメント単独でもよく、微粉末混和材料を混合した混合セメントでもよい。微粉末混和材料としては、高炉スラグ微粉末、シリカフューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、石粉、膨張材等が挙げられる。
【0028】
セメントとしては、具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等のポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の混合セメント;が挙げられる。
【0029】
[骨材]
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂、石灰砕砂、高炉スラグ細骨材、再生細骨材が挙げられる。細骨材の種類と含有量は、水硬性硬化体の目標とする機械的強度に応じて選択すればよい。
【0030】
粗骨材としては、例えば、安山岩、流紋岩、硬質砂岩、石灰石などを破砕した砕石、川砂利、山砂利、陸砂利、高炉スラグ粗骨材、再生粗骨材が挙げられる。粗骨材の岩種と大きさと含有量は、水硬性硬化体の目標とする機械的強度に応じて選択すればよい。
【0031】
[その他の材料]
本開示の水硬性組成物は、目的に応じて、膨張材、化学混和剤などを含有していてもよい。
膨張材としては、例えば、石灰系膨張材、エトリンガイト系膨張材、エトリンガイト石灰複合系膨張材が挙げられる。
化学混和剤としては、例えば、減水剤、AE減水剤、収縮低減剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、増粘剤、粉塵低減剤、防凍・耐寒剤、防腐剤、防水剤、防錆剤が挙げられる。
【0032】
[水硬性組成物の製造方法]
本開示の水硬性組成物は、既述の各材料を混合して得られる。各材料の混合は、例えばミキサーを用いた練り混ぜにより行うことができる。
【0033】
水硬性組成物を調製する際における材料の混合順は、制限されない。例えば、まずセメントと細骨材とを混ぜ、次いで水及び化学混和剤を投入して練り混ぜ、次いで繊維(及び必要に応じて粗骨材)を投入して練り混ぜる。
【0034】
<水硬性硬化体の製造方法>
本開示の水硬性硬化体は、本開示の水硬性組成物を硬化させることで得られる。
本開示の水硬性硬化体の製造方法は、下記の工程(1)、工程(2)、工程(3)及び工程(4)を含む。
【0035】
工程(1):本開示の水硬性組成物を得ること。
工程(2):水硬性組成物を成形して成形体を得ること。
工程(3):成形体を硬化させて水硬性硬化体を得ること。
工程(4):水硬性硬化体を炭酸化させること。
【0036】
以下、本開示の水硬性硬化体の製造方法が含む工程を順に説明する。
【0037】
[工程(1)]
工程(1)は、本開示の水硬性組成物を得る工程である。水硬性組成物及び水硬性組成物の製造方法は先述のとおりである。
【0038】
[工程(2)]
工程(2)は、水硬性組成物を成形する工程である。工程(2)は、例えば、水硬性組成物を型枠内に投入することで実施できる。型枠内に投入された水硬性組成物に対して、常法に従い脱泡などの処理を行ってもよい。
【0039】
[工程(3)]
工程(3)は、成形体の水和反応を進め、成形体を硬化させて、水硬性硬化体を得る工程である。工程(3)の前又は途中に、成形体を型枠から脱型してもよい。
【0040】
工程(3)は、例えば、成形体を養生することによって実施される。養生としては、例えば、温度を20±3℃に維持した、水中、湿砂中又は飽和蒸気中で行う標準養生が挙げられる。標準養生に他の養生を1種類以上組み合わせて実施することも好ましい。他の養生としては、40℃~100℃の温度範囲で2時間~14日間蒸気養生する蒸気養生、100℃~400℃の温度範囲で2時間~72時間加熱する高温養生、オートクレーブ等による高温高圧養生が挙げられる。
【0041】
[工程(4)]
工程(4)は、水硬性硬化体を炭酸化させる工程である。本開示において工程(4)を「炭酸化養生」ともいう。炭酸化養生は、水硬性硬化体を単に大気中に置くことにより実施してもよく、CO2含有ガスにさらすことにより実施してもよい。CO2含有ガスを用いることによって、水硬性硬化体におけるCO2固定が早く且つ多くなり、水硬性硬化体の強度を早く増進させることができる。
【0042】
炭酸化養生に用いるCO2含有ガスとして、例えば、CO2体積濃度1%~20%のCO2含有ガスが挙げられる。CO2含有ガスにさらす時間は、例えば、1日以上、3日以上又は7日間以上としてよく、14日間以下としてよい。
【0043】
炭酸化養生に使用するCO2含有ガスとして、石炭火力発電所、LNG火力発電所、セメント工場、製鉄所、製油所、廃棄物焼却処理場などから発生する排ガスを利用してもよい。CO2含有ガスは、これらの排ガスから煤塵、NOx及びSOxを除去したガスであることが好ましい。
【0044】
水硬性硬化体の炭酸化の過程で、環境中のCO2量を削減することができる、又は、発電所、工場、処理場などから大気中に排出されるCO2量を削減することができる。
【実施例0045】
以下、本開示の水硬性組成物及び水硬性硬化体を、実施例を挙げて具体的に説明する。本開示の水硬性組成物及び水硬性硬化体は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
以下、工程(3)における養生を、炭酸化養生の前に行うことを意味して「前養生」という。
【0047】
≪炭酸化による水硬性硬化体の強度増進の検討≫
<使用材料及び調合>
実験で使用した材料を表1に示す。セメントの種類は、普通ポルトランドセメント(以下N)、低熱ポルトランドセメント(以下L)、セメント中の成分を調整した改良型高炉セメントC種(以下BC)の3種類とした。有機繊維として、繊維長さ5mm、繊維直径9μmのポリプロピレン繊維を使用した。
【0048】
【0049】
モルタルの調合を表2に示す。セメント3種に対しそれぞれ繊維混入の有り無しを設定し、計6調合で実験を行った。すべての調合で水セメント比を50%、セメント砂比を1.5とし、ポリプロピレン繊維の含有量はモルタル1m3あたり3kgとした。空気量は目標範囲内に入るようにAE助剤及び消泡剤で調整した。
【0050】
【0051】
<試験項目>
試験項目を表3に示す。重量変化率は、φ5×10cm試験体の炭酸化前と炭酸化後の重量を測定し、その差を炭酸化前の重量で除して算定した。Ca(OH)2量は、熱重量測定の450℃付近の減量から算出した。CO2固定量は、炭素・硫黄分析装置EMIA-Step(株式会社堀場製作所)による全炭素量分析により算出した。算出方法は、まず測定結果である全炭素量を単位セメントあたりのCO2に換算した。そして単位セメントあたりのCO2換算量を炭酸化養生していない場合と炭酸化養生した場合の差分を取ることで単位セメントあたりのCO2固定量として計算した。
【0052】
【0053】
<試験体の作製及び養生方法>
(1)試験体の作製と前養生
表2に示した調合でモルタルを練り混ぜた後、φ5×10cm鋼製型枠及び4×4×16cm鋼製型枠にモルタルを打込んだ。試験体は材齢2日で脱型し、直ちに温度65℃の蒸気養生を14日間行い、水和を十分に進行させた。
【0054】
(2)炭酸化養生
蒸気養生の終了後、表4及び
図1に示す条件で、試験体に炭酸化養生を行った。CO
2濃度は、0%(大気中)、10%、90%の3水準とし、温度20℃且つ相対湿度60%の環境に試験体を7日間静置した。φ5×10cm試験体は、全面からCO
2ガスを侵入させ炭酸化を行った。4×4×16cm試験体は、小口面以外の4面をアルミニウムテープでシールし、側方2面からCO
2ガスを侵入させ炭酸化を行った。
【0055】
【0056】
(3)測定用試料の作製
炭酸化養生の終了後、φ5×10cm試験体はそのまま重量測定及び圧縮強度試験に供した。4×4×16cm試験体は、各種分析に用いる粉末試料を作製するため、
図1に示すように、深さ方向に20mm角で湿式切断した。切断した試験体にアセトン処理を施し水和を停止させ、温度20℃且つ相対湿度11%の環境に7日間置き十分に乾燥させた。次いで粒径150μm以下になるように粉砕機を用いて粉砕し、粉末試料をXRD・熱重量分析及び全炭素量分析に供した。中性化深さは、
図1に示す部分を湿式で切り出し、JIS A 1152に準じて測定した。
【0057】
<実験結果>
(1)圧縮強度
図2Aは、各試験体の圧縮強度を示したグラフである。
図2Bは、CO
2濃度0%を基準とした強度増進比を示したグラフである。
各セメント種の圧縮強度の平均は、Lで75.7N/mm
2、Nで55.9N/mm
2、BCで39.1N/mm
2である。Lの強度が水セメント比50%であるにもかかわらず大きな値であったが、これは蒸気養生により水和が促進されたためであると推察される。
CO
2濃度の影響を比較すると、CO
2濃度が高いほど圧縮強度が高い傾向であった。
CO
2濃度0%を基準とした強度の増進量が最も大きいセメントはNであり、CO
2濃度90%で約25~30N/mm
2の強度増進が確認された。強度増進比が最も大きいセメントもNであり、LとBCでの強度増進比に大きな差は見られなかった。
【0058】
(2)炭酸化による質量増加率
図3A及び
図3Bは、炭酸化による質量増加率と強度増進比の関係を示したグラフである。
図3A及び
図3Bの炭酸化による質量増加率は、濃度0%の質量変化率と濃度10%及び90%の質量変化率との差から算出した値である。
図3A及び
図3Bから、炭酸化による質量増加率と強度増進比は、セメント種によらず概ね同様の正の相関関係にあることが確認できる。
炭酸化による質量増加率がCO
2固定による純粋な質量の増分に相当すると仮定すると、圧縮強度の増進は、セメント組織の炭酸化によるものであると考えることができる。すなわち、炭酸化が進むにつれて組織が緻密になり、強度も増進すると結果になったと推察される。
繊維を混入した場合、回帰式の傾きが小さくなっており、強度増進比に対して質量増加率が大きく、CO
2固定量が多くなる傾向にあった。
【0059】
(3)中性化深さ
図4にCO
2濃度90%における中性化深さの測定結果を示す。
N及びLではCO
2濃度90%でもフェノールフタレインの非呈色域はほとんど見られず、中性化深さは0mmであり、組織中にCa(OH)
2が残存していると考えられる。
BCでの中性化深さは繊維無しで16.5mm、繊維有りで14.0mmという結果であった。
【0060】
(4)粉末X線回折
図5A、
図5B及び
図5Cは表層20mmまでの試料を用いたXRDの結果を、繊維無しの場合について、セメント種ごとに示したグラフである。図中にカルサイト、バテライト及びアラゴナイトの回折ピークを示している。
N及びLではCO
2濃度90%の炭酸化によりカルサイトが多く生成していることが確認できる。NのCO
2濃度0%において既にカルサイトが多量に見られるのはセメントに含まれる5%少量混合成分の影響である。BCではカルサイトの生成量がL及びNと比較して多く、バテライトとアラゴナイトの生成も確認できる。
図6A、
図6B及び
図6Cは、繊維混入有無の影響を比較したXRDの結果である。N及びLにおいて、繊維無しよりも繊維有りの方がカルサイトのピークが大きい。BCにおいては、繊維有りの方がカルサイト及びバテライトのピークが小さい。
【0061】
(5)Ca(OH)
2量及びCaCO
3量
図7に熱重量分析のTG曲線から算出したCa(OH)
2量とCaCO
3量を示す。
N50は、未水和セメントの熱重量分析結果から使用したセメントに元来含まれる少量混合成分によるCaCO
3量を算出し、差し引いた値を用いた。
CO
2濃度0%におけるCa(OH)
2量は、Nが最も多く、次いでLが多い。BCは、セメントに高炉スラグが多く含まれているので、Ca(OH)
2の生成量が少ない。
すべての調合で、CO
2濃度90%で炭酸化することによって、CO
2濃度0%に対してCa(OH)
2は減少し、CaCO
3が増加している。
NとLとを比較すると、元々のCa(OH)
2生成量が多いNの方が炭酸化によるCaCO
3の生成量が多い。
BCは、元々のCa(OH)
2量が少ないにもかかわらず、CO
2濃度90%で炭酸化することにより、CaCO
3の生成量が最も多い。豊村らは、高炉スラグのような混和材料を高置換したセメントは、C-S-Hの炭酸化が起こりやすいと報告しており(豊村恵理,伊与田武史:異なる二酸化炭素濃度環境下における炭酸化メカニズムに関する検討,コンクリート工学年次論文集,Vol.35,No.1,pp769-774,2013)、原沢らは、高炉スラグ微粉末の置換率の変化に伴い、生成されるCaCO
3の結晶形が変化し、組織の空隙が粗大化してしまう可能性があることを報告している(原沢蓉子,本多和博,伊与田武史:異なる炭酸化寛容が空隙特性及び炭酸化生成物に与える影響,コンクリート工学年次論文集,Vol.36,No.1,pp808-813,2014)。本実験において、BCでCaCO
3の生成量が多くバテライトやアラゴナイトの生成が見られ、また、BCで炭酸化による強度増進が比較的小さいことは、同様の要因によると推察される。
【0062】
(6)CO
2固定量
図8A及び
図8Bは、炭酸化深さとCO
2固定量との関係を示すグラフである。
図9A、
図9B及び
図9Cは、セメントの種類ごとに炭酸化深さとCO
2固定量との関係を示すグラフである。
図8Aに示す繊維無しの試験体においてセメント種の影響を比較すると、いずれのセメントでも0~20mmまでのCO
2固定量が多く、20mm~80mmにおけるCO
2固定量は深さ方向に関係なく同程度の値であった。
図9A及び
図9Bに示すとおり、N及びLはいずれの深度においても、繊維有りの方が繊維無しよりもCO
2固定量が多い。BCは、
図4に示すとおり繊維無しでも表層は十分に炭酸化が進んでいるため、0~20mmにおいては繊維混入の効果がCO
2固定量の差として明確に認められなかったが、深い深度では繊維を混入する効果が確認できた。
図10は、全炭素量分析の結果から表層20mmまでのCO
2固定量を算出し、比較したグラフである。
セメント種で比較すると、CO
2固定量が最も多いセメントはBCであり、最も少ないセメントはLであった。BCは、先にも述べたようにセメントに高炉スラグが高置換されているがゆえにCa(OH)
2量が少なく、C-S-Hの分解が起こりやすい性質を持っている。XRDや熱重量分析の結果からもC-S-Hが分解し炭酸化したことで高いCO
2固定能力を発揮したと考えられる。
Lは、Nと比較して炭酸化養生前のCa(OH)
2量が少なかったことと、蒸気養生による高強度化(緻密化)で炭酸化が進行しにくくなったこととが影響してCO
2固定量が少ないと推察される。
繊維混入有無の影響を比較すると、N及びLで繊維の混入によりCO
2固定量が増加していることが確認でき、これは、
図6A、
図6B及び
図6CのXRDの結果と同じ傾向である。
BCでは繊維混入により固定量が小さくなる傾向が確認されたが、これはBCの表層20mmでは炭酸化が十分に進行しているために、繊維の効果が表れなかったことが原因であると考えられる。
図4の中性化深さの結果から、BCの表層部における中性化が進行していることが確認でき、
図7からも表層20mmに残存するCa(OH)
2は非常に少ないことが推察される。このことから、BCの表層20mmにおける炭酸化はほぼ完了しており、BCの表層におけるCO
2固定量に繊維混入の影響を確認することができなかったと考えられる。
【0063】
(7)まとめ
1)モルタルに炭酸化養生を行うことにより、すべてのセメント種において圧縮強度が増加した。圧縮強度増進比は、Nが最も大きく、BCが最も小さかった。
2)炭酸化養生による圧縮強度増進比と質量増加率は正の相関にあり、質量増加率が大きいほど圧縮強度の増進は大きかった。
3)XRDの分析結果から、すべてのセメント種において炭酸化によるカルサイトの生成が確認された。BCのカルサイト生成量が特に多く、BCではバテライトとアラゴナイトの生成も確認された。
4)BCのCaCO3生成量は、炭酸化前のCa(OH)2量を大幅に上回っており、BCにおいてはC-S-Hの分解が起こったと考えられる。
5)炭酸化によるCO2固定量は、表層部において特に多く、繊維無しの場合は表層40mm以深へのCO2固定はほとんど確認されなかった。すべてのセメント種において、繊維の混入によるCO2固定量の増加が確認された。ただしBCでは表層20mmまでは繊維混入の効果が認められなかったが、表層の中性化がほぼ完了していたので確認できなかったと考えられる。CO2固定量は、Lで最も小さく、BCで最も大きかった。
【0064】
≪繊維の寸法による水硬性硬化体の強度増進の検討≫
<使用材料及び調合>
実験で使用した材料を表5に示す。セメントの種類は、普通ポルトランドセメント(以下N)、低熱ポルトランドセメント(以下L)の2種類とした。有機繊維として、ポリプロピレン繊維を4種類使用した。
【0065】
【0066】
モルタルの調合を表6に示す。Nにはポリプロピレン繊維2種類を設定し、Lにはポリプロピレン繊維4種類を設定し、計6調合で実験を行った。すべての調合で水セメント比を50%、ポリプロピレン繊維の含有量はモルタル1m3あたり3.0kgとした。空気量は目標範囲内に入るように高性能AE減水剤、消泡剤及びAE助剤で調整した。
【0067】
【0068】
<試験体の作製及び養生方法>
(1)試験体の作製と前養生
表6に示した調合でモルタルを練り混ぜた。まず、砂、セメント及びポリプロピレン繊維をモルタルミキサーに投入し、低速で15秒間空練りした。次いで、水及び混和剤を投入し、低速で90秒間練り混ぜた。掻き落とした後、高速で180秒間練り混ぜた。こうして得たモルタルを4×4×16cm鋼製型枠に打込んだ。
【0069】
打ち込み後、材齢24時間まで温度20℃下で、封緘状態で静置した。材齢24時間から温度65℃の蒸気養生を14日間行った。蒸気養生終了後、脱型してビニル袋に入れて封緘とし、炭酸化養生開始まで温度20℃下に静置した。
【0070】
(2)炭酸化養生
蒸気養生の終了後、表7及び
図1に示す条件で、試験体に炭酸化養生を行った。CO
2濃度は、0%(大気中)、90%の2水準とし、温度20℃且つ相対湿度60%の環境に試験体を7日間静置した。4×4×16cm試験体の小口面以外の4面をアルミニウムテープでシールし、側方2面からCO
2ガスを侵入させ炭酸化を行った。
【0071】
【0072】
(3)測定用試料の作製
炭酸化養生の終了後、分析に用いる粉末試料を作製するため、
図1に示すように、4×4×16cm試験体の深さ方向に20mm角で湿式切断した。切断した試験体にアセトン処理を施し水和を停止させ、温度20℃且つ相対湿度11%の環境に7日間置き十分に乾燥させた。次いで粒径150μm以下になるように粉砕機を用いて粉砕し、粉末試料を熱重量分析に供した。
【0073】
<実験結果>
(1)CO
2固定量
熱重量分析のTG曲線の500℃~800℃における質量減少を炭酸カルシウムの分解とみなし、CO
2濃度0%とCO
2濃度90%の炭酸カルシウム量の差分から炭酸化養生によるCO
2固定量を算出した。
図11に、ポリプロピレン繊維の寸法とCO
2固定量との関係を示す。
N-繊維AとN-繊維Bとを比較すると、繊維Aが繊維Bよりも、より深い箇所のCO
2固定量が多かった。L-繊維A、L-繊維B、L-繊維C及びL-繊維Dを比較すると、繊維Aが繊維B、C及びDよりも、より深い箇所のCO
2固定量が多かった。すなわち、繊維が細い方が、より深い箇所のCO
2固定量が多かった。
L-繊維BとL-繊維Cとを比較すると、繊維Bが繊維CよりもCO
2固定量が多かった。すなわち、繊維が短い方が、CO
2固定量が多かった。
繊維が細い及び/又は短いと単位重量当たりの繊維本数が多く、また水硬性組成物に均一性高く分散することができ、CO
2ガスの侵入経路及び炭酸化反応の場が多く形成されると推測される。
【0074】
≪繊維量による水硬性硬化体の強度増進の検討≫
<使用材料及び調合>
実験で使用した材料は表5に示す材料と同じである。ただし、セメントは低熱ポルトランドセメント(以下L)1種類であり、ポリプロピレン繊維はAとDの2種類である。
【0075】
モルタルの調合を表8に示す。ポリプロピレン繊維の種類及び単位量を設定し、計5調合で実験を行った。すべての調合で水セメント比を30%とした。空気量は目標範囲内に入るように高性能AE減水剤、消泡剤及びAE助剤で調整した。
【0076】
【0077】
<試験体の作製及び養生方法>
(1)試験体の作製と前養生
表8に示した調合でモルタルを練り混ぜた。まず、砂、セメント及びポリプロピレン繊維をモルタルミキサーに投入し、低速で15秒間空練りした。次いで、水及び混和剤を投入し、低速で90秒間練り混ぜた。掻き落とした後、高速で300秒間練り混ぜた。こうして得たモルタルを4×4×16cm鋼製型枠に打込んだ。
【0078】
打ち込み後、材齢24時間まで温度20℃下で、封緘状態で静置した。材齢24時間から温度65℃の蒸気養生を3日間行った。蒸気養生終了後、脱型してビニル袋に入れて封緘とし、炭酸化養生開始まで温度20℃下に静置した。
【0079】
(2)炭酸化養生
蒸気養生の終了後、表9及び
図1に示す条件で、試験体に炭酸化養生を行った。CO
2濃度は90%の1水準とし、温度20℃且つ相対湿度60%の環境に試験体を7日間静置した。4×4×16cm試験体の小口面以外の4面をアルミニウムテープでシールし、側方2面からCO
2ガスを侵入させ炭酸化を行った。
【0080】
【0081】
(3)測定用試料の作製
炭酸化養生の終了後、分析に用いる粉末試料を作製するため、
図1に示すように、4×4×16cm試験体の深さ方向に20mm角で湿式切断した。切断した試験体にアセトン処理を施し水和を停止させ、温度20℃且つ相対湿度11%の環境に7日間置き十分に乾燥させた。次いで粒径150μm以下になるように粉砕機を用いて粉砕し、粉末試料を全炭素量分析に供した。
【0082】
<実験結果>
(1)CO
2固定量
CO
2固定量は、炭素・硫黄分析装置EMIA-Step(株式会社堀場製作所)による全炭素量分析により算出した。算出方法は、まず測定結果である全炭素量を単位セメントあたりのCO
2に換算した。そして単位セメントあたりのCO
2換算量を炭酸化養生していない場合と炭酸化養生した場合の差分を取ることで単位セメントあたりのCO
2固定量として計算した。
図12に、ポリプロピレン繊維の含有量とCO
2固定量との関係を示す。
L30-1AとL30-5Aとを比較すると、L30-5Aの方が、CO
2固定量が多かった。L30-1DとL30-2Dとを比較すると、L30-2Dの方が、CO
2固定量が多かった。すなわち、繊維量が多い方が、CO
2固定量が多かった。
【0083】
(2)フレッシュ性状
JIS R 5201:2015に準拠し、モルタルのフロー試験を行った。
図13に、ポリプロピレン繊維の含有量と15打フロー値との関係を示す。
有機繊維の含有量が多いほど、15打フロー値を適切な値に調整するために必要な化学混和剤量が多くなった。また、有機繊維の含有量がある程度以上になると有機繊維がからまったファイバーボールが発生した。有機繊維の含有量は5kg/m
3以下が適切である。