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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181883
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/521 20060101AFI20231218BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20231218BHJP
【FI】
G01S7/521 B
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095259
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正義
(72)【発明者】
【氏名】小山 優
(72)【発明者】
【氏名】中俣 景太
(72)【発明者】
【氏名】上月 康平
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA01
5J083AB12
5J083AB13
5J083AC40
5J083AE10
5J083AF09
5J083CA32
5J083CA39
5J083CB03
(57)【要約】
【課題】センサ取付面としての壁部の一方面の状態が或る程度ばらつくことを許容しつつ、超音波センサの所望の音性能を確保する。
【解決手段】超音波センサ10において、調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの少なくとも何れかによって表される振動子状態を調整可能に構成されている。そして、固定部12は調整機構20を介して、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける。従って、壁部94の一方面94aの状態に或る程度のバラツキがあっても、調整機構20によって振動子14の姿勢を個々の一方面94aの状態に応じて調整して、その振動子14を壁部94の一方面94aに押し付けることができる。そのため、壁部94の一方面94aの状態が或る程度ばらつくことを許容しつつ、超音波センサ10の所望の音性能を確保することが可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部(94)に取り付けられる振動装置(10)であって、
前記壁部の一方面(94a)に固定される固定部(12)と、
前記一方面に対して連結し、前記一方面に振動を印加する振動子(14)と、
前記振動子を前記固定部に連結し、前記固定部に対する前記振動子の相対的な位置と傾きとの少なくとも何れかによって表される振動子状態を調整可能に構成された調整部(20)とを備え、
前記固定部は前記調整部を介して、前記振動子を前記一方面に押し付ける、振動装置。
【請求項2】
接着層(22)を備え、
前記振動子は、前記一方面に印加される振動を発生する駆動素子(15)と、該駆動素子に対し前記壁部側に配置され前記駆動素子に連結し前記駆動素子と前記壁部との間で振動を伝達する振動伝達部(16)とを含み、
前記接着層は、前記振動伝達部と前記一方面との間に配置され、該振動伝達部を該一方面に対して接着する、請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記調整部は、前記固定部に対する前記振動子の相対位置を前記一方向へ調整可能な調整構造を有する、請求項1または2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記調整構造は、前記固定部に対する前記振動子の相対的な傾きも調整可能な構成となっている、請求項3に記載の振動装置。
【請求項5】
前記調整構造は、雌ネジが形成された雌ネジ形成部(124c、201a、202a、205a、208)と、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成された雄ネジ形成部(51、201b、202b、205b、206)とを有し、
前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部との一方は前記固定部に対し相対移動不能に連結し、
前記固定部に対する前記振動子の相対位置は、前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部とが相対回転させられることにより調整される、請求項3に記載の振動装置。
【請求項6】
前記調整構造は、前記一方向の前記一方側とは反対側の他方側へ前記振動子を押す押圧部(122、203)と、該押圧部に連結した押圧側構成部(211a、212a、213a)と前記一方面に前記固定部を介して固定される固定側構成部(211b、212b、213b)とを含むラチェット機構(211、212、213)とを有し、
該ラチェット機構は、前記押圧側構成部が前記固定側構成部に対し前記一方向の前記一方側へ相対的に移動することを阻止し、前記押圧側構成部が前記固定側構成部に対し前記一方向の前記他方側へ相対的に移動することを許容する、請求項3に記載の振動装置。
【請求項7】
前記調整部は、弾性変形可能な弾性体(204)を有し、
前記固定部は前記調整部の前記弾性体を介して、前記振動子を前記一方面に押し付ける、請求項1または2に記載の振動装置。
【請求項8】
前記調整部は、前記振動子が前記一方面に押し付けられた状態を調整することにより、前記壁部から前記振動子側とは反対側へ発せられる振動の指向性を調整する、請求項1または2に記載の振動装置。
【請求項9】
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記調整部は、前記固定部に対する前記振動子の相対的な傾きを調整可能な調整構造を有し、
前記振動子は、該振動子のうち前記一方向の前記一方側とは反対側の他方側に設けられ前記一方面に対向し該一方面に対し接着層(22)を介して接着される振動子対向面(162)を有し、
前記振動子は、前記一方向に垂直な一垂直方向(D2)の一方側ほど前記振動子対向面と前記一方面との間の距離(DS)が小さくなる姿勢で、前記壁部に対して固定される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項10】
前記調整構造は、雌ネジが形成された雌ネジ形成部(124c、201a、202a、205a)と、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成された雄ネジ形成部(51、201b、202b、205b)とを有し、
前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部との一方は前記固定部に対し相対移動不能に連結し、
前記固定部に対する前記振動子の相対的な傾きは、前記調整構造において前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部とが相対回転させられることにより調整される、請求項9に記載の振動装置。
【請求項11】
前記振動子を囲むカバー部(40)を備え、
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記一方向に沿った方向視では前記振動子と前記カバー部との相対位置が拘束されるように、前記振動子と前記カバー部は互いに連結され、
前記固定部は、前記振動子と前記カバー部とを囲むように形成され、
前記固定部の内側には、前記カバー部が前記固定部に対し前記一方向へ相対移動可能なように嵌め入れられ、
前記振動子と前記カバー部は前記調整部へ連結し、
前記固定部は前記調整部を介して、前記カバー部と前記振動子とを共に前記一方面に押し付ける、請求項1または2に記載の振動装置。
【請求項12】
カバー部(40)と、
前記カバー部と前記一方面との間に配置され、該カバー部を該一方面に対して接着する接着層(22)とを備え、
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記カバー部は、前記一方向に沿った方向視で前記振動子の周りに設けられ該振動子を収容するカバー内空間(401a)を内側に形成するカバー周囲部(401)と、前記カバー内空間を該カバー内空間に対する前記一方向の前記一方側とは反対側の他方側で塞ぎ前記カバー周囲部に連結し前記一方面に前記接着層を介して接着されるカバー底部(402)とを有し、
前記振動子と前記カバー周囲部は前記調整部へ連結し、
前記固定部は前記調整部を介して、前記カバー部と前記振動子とを共に前記一方面に押し付け、
前記振動子は、該振動子と前記一方面との間に前記カバー底部と前記接着層とを挟んだ状態で前記一方面に押し付けられる、請求項1に記載の振動装置。
【請求項13】
前記固定部は、前記一方向の前記他方側に形成された固定部他端面(12a)を有し、前記一方向に沿った方向視で前記カバー周囲部を囲むように形成され、
前記固定部の内側には、前記カバー部が前記固定部に対し前記一方向へ相対移動可能なように嵌め入れられ、
前記カバー部は、前記一方向の前記他方側に形成され前記接着層により前記一方面に接着されるカバー部他端面(40a)を有し、
前記固定部他端面は、前記一方向に沿った方向視で前記カバー部他端面を囲むように環状に連続して前記一方面に接合される、請求項12に記載の振動装置。
【請求項14】
前記カバー周囲部の外周面(401b)と、該外周面に対向する前記固定部の内周面(124d)との間にはカバー部周囲隙間(401c)が形成され、
該カバー部周囲隙間は外部へ開放され、且つ前記接着層にまで到達する、請求項13に記載の振動装置。
【請求項15】
圧縮変形可能な変形部(42)を備え、
前記調整部は、前記振動子と前記カバー部とに対し前記一方向の前記一方側に配置され前記振動子が固定された一方側部材(50)を有し、
前記カバー部は、該カバー部と前記一方側部材との間に前記変形部を挟んだ状態で前記一方側部材に連結され、
前記固定部は前記調整部の前記一方側部材を介して、前記カバー部と前記振動子とを共に前記一方面に押し付け、
前記カバー部と前記振動子とが前記一方面に押し付けられることに伴って、前記変形部は前記一方向に圧縮変形する、請求項11に記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁部に取り付けられる振動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の振動装置として、例えば特許文献1に記載された超音波センサが従来から知られている。この特許文献1に記載された超音波センサは、複数の圧電マイクと制振材とを備えている。そして、その複数の圧電マイクはドアパネル裏面に並んで貼り付けられ、その複数の圧電マイクの周囲には制振材が配置される。
【0003】
このような構成により、特許文献1の超音波センサは、ドアパネル表面の意匠に影響を与えずに、ドアから物体までの距離を検知することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0059697号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の超音波センサが貼り付けられる車両のドアパネル裏面など、物品の意匠性を損なわない壁面は、個体差が大きいのが通常である。例えば、ドアパネル表面が塗装される際に塗装粒がドアパネル裏面にまで飛散し、ドアパネル裏面には、塗装粒が不均一に付着していることが想定される。
【0006】
このように、振動装置(例えば、特許文献1の超音波センサなど)が取り付けられるドアパネル裏面などの取付面の状態にバラツキがあると、その振動装置の取付面へ振動を印加する振動子とその取付面との間の微小な間隔がばらついてしまう。言い換えると、その振動子と振動装置の取付面との密着状態がばらついてしまう。そうなると、音響インピーダンスが増減するなどして、振動装置の取付面を有する板状の壁部から発せられる音波の特性が変動し、規定の音波性能を保証することが難しい。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、例えば上記振動装置の取付面として設けられる壁部の一方面の状態が或る程度ばらつくことを許容しつつ、所望の音性能を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の振動装置は、
壁部(94)に取り付けられる振動装置(10)であって、
壁部の一方面(94a)に固定される固定部(12)と、
一方面に対して連結し、一方面に振動を印加する振動子(14)と、
振動子を固定部に連結し、固定部に対する振動子の相対的な位置と傾きとの少なくとも何れかによって表される振動子状態を調整可能に構成された調整部(20)とを備え、
固定部は調整部を介して、振動子を一方面に押し付ける。
【0009】
このようにすれば、壁部の一方面の状態に或る程度のバラツキがあっても、調整部によって振動子の姿勢を個々の一方面の状態に応じて調整して、その振動子を壁部の一方面に押し付けることができる。従って、壁部の一方面の状態が或る程度ばらつくことを許容しつつ、所望の音性能を確保することが可能である。
【0010】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものであるにすぎない。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態において、超音波センサを搭載した車両の外観を示した斜視図である。
図2】第1実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図である。
図3図2と同様の超音波センサの断面において、超音波センサが有する調整機構と、超音波センサが取り付けられる壁部とを、図2よりも詳しく示した模式図である。
図4】第2実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図5】第3実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図6】第3実施形態において図5のVI-VI断面を示した断面図である。
図7】第4実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図8】第4実施形態でのコンピュータによるシミュレーション例において、壁部から伝達される超音波振動の拡がりを示した図である。
図9】第5実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図10】第6実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図11】第7実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図12】第8実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図13】第9実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図14】第10実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図15】第11実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図16】第12実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図3に相当する図である。
図17図16におけるXVII方向の矢視図であって、回路基板、背面カバー、および壁部の図示が省略された図である。
図18A図16と同様の断面位置で示された断面図であって、第12実施形態の超音波センサが壁部へ取り付けられる取付工程について説明するための第1の図である。
図18B】第12実施形態の超音波センサの取付工程について説明するための第2の図であって、図18Aに示された工程に続く工程を表す断面図である。
図18C】第12実施形態の超音波センサの取付工程について説明するための第3の図であって、図18Bに示された工程に続く工程を表す断面図である。
図18D】第12実施形態の超音波センサの取付工程について説明するための第4の図であって、図18Cに示された工程に続く工程を表す断面図である。
図18E】第12実施形態の超音波センサの取付工程について説明するための第5の図であって、図18Dに示された工程に続く工程を表す断面図である。
図19】第13実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図16に相当する図である。
図20】他の実施形態において、図16の連結ネジ部材が置き換えられる第1の構成例を示した断面図である。
図21】他の実施形態において、図16の連結ネジ部材が置き換えられる第2の構成例を示した断面図であって、図20の相当する図である。
図22図21におけるXXII方向の矢視図である。
図23】他の実施形態において、図16の連結ネジ部材が置き換えられる第3の構成例を示した断面図であって、図20の相当する図である。
図24】他の実施形態において、超音波センサの概略構成を模式的に示した断面図であって、図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0013】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の超音波センサ10は、例えば、移動体としての車両90に搭載される。そして、その超音波センサ10は、車両90に搭載されることで、その車両90の周囲の外部空間SGに存在する物体(例えば障害物)の存在状態に対応する検知信号を生成および出力するように構成されている。すなわち、超音波センサ10は、車両90を取付対象とする車載型のクリアランスソナーとしての構成を有している。この超音波センサ10は、本開示の振動装置に対応する。
【0014】
車両90は、典型的には、いわゆる四輪自動車であって、箱状の車体91を備えている。車体91は、外板を構成する板状のボディ部品である、車体パネル92およびバンパー93を備えている。バンパー93は、車体91の前端部および後端部のそれぞれに設けられている。本実施形態においては、超音波センサ10は、バンパー93に取り付けられるように構成されている。超音波センサ10がバンパー93に取り付けられることで車両90に搭載された状態を、以下「搭載状態」と称する。
【0015】
具体的に、複数(例えば4つ)の超音波センサ10が、搭載状態にて、フロントバンパーすなわち車体91における前面側のバンパー93に取り付けられている。そのフロントバンパーに取り付けられた複数の超音波センサ10は、それぞれ、少なくとも車幅方向について異なる位置に配置されている。これと同様に、複数(例えば4つ)の超音波センサ10が、搭載状態にて、リアバンパーすなわち車体91における後面側のバンパー93にも取り付けられている。
【0016】
なお、図1にて超音波センサ10が、隠れ線である破線で示されていることから判るように、超音波センサ10はバンパー93の外観に表れずにバンパー93の内側に取り付けられている。
【0017】
図2図3は、バンパー93に取り付けられた複数の超音波センサ10のうちの1つを、搭載状態にて示している。また、図2は、バンパー93のうち超音波センサ10の取付け箇所を構成する壁部94と、超音波センサ10が有する調整機構20とを、図3に比して単純化して図示したものである。また、図3と、その図3に相当する幾つかの後述の図では、明細書内の説明を理解しやすくするために、例えば壁部94の一方面94aの凹凸が強調されて表示されており、図示された複数の構成要素の一部が敢えて断面表示されていない。
【0018】
図2図3に示す超音波センサ10は、超音波を送受信可能に構成されている。例えば、超音波センサ10は、超音波である送信波を送信する場合には、壁部94の厚み方向である第1方向D1に壁部94を超音波振動させることにより、その送信波を送信する。また、超音波センサ10は、車両90の周囲に存在する物体による送信波の反射波を含む受信波を外部空間SGから受信して、受信波の受信結果に応じた検知信号を生成および出力するように構成されている。なお、第1方向D1は本開示の一方向に対応する。
【0019】
図2図3に示すように、超音波センサ10が取り付けられる壁部94は、第1方向D1に厚みを有する平板状に形成されている。また、壁部94は、第1方向D1の一方側に形成された一方面94aと、第1方向D1の一方側とは反対側である他方側に形成された他方面94bとを有している。壁部94はバンパー93のうちの一部分であるので、壁部94の他方面94bは、バンパー93の表面(言い換えれば、意匠面)の一部を構成し、図2図3のバンパー93がフロントバンパーであれば、車両前方を向いた面になる。従って、壁部94の一方面94aは、車両90の外観に表れないバンパー93の内面になる。なお、バンパー93は、例えばポリプロピレンなどの樹脂で構成されている。
【0020】
超音波センサ10は、固定部12と固定接着部13と振動子14と調整機構20と介在接着層22とを備えている。超音波センサ10は壁部94の一方面94aに取り付けられる。すなわち、その壁部94の一方面94aは、超音波センサ10が取り付けられる取付面である。そのため、固定部12、固定接着部13、振動子14、調整機構20、および介在接着層22など、超音波センサ10の構成要素は全て、壁部94に対し第1方向D1の一方側に配置される。
【0021】
固定部12は、振動子14と調整機構20とを壁部94に対して支持する支持体である。そのため、固定部12は、例えば高剛性の金属材料または樹脂材料で構成されている。固定部12は、その固定部12のうち第1方向D1の他方側に設けられた基部121を有している。
【0022】
固定接着部13は接着剤で構成されており、固定部12の基部121と壁部94の一方面94aとの間に配置されている。固定部12の基部121は、この固定接着部13の接着剤が固化することにより、壁部94の一方面94aに対して固定される。
【0023】
例えば、固定部12と固定接着部13は、第1方向D1に沿った方向視において、振動子14をその振動子14の全周にわたって囲むように形成されている。
【0024】
振動子14は、壁部94の一方面94aに対し連結するように配置される。そして、超音波センサ10が送信波を送信する場合に、振動子14は、壁部94の一方面94aに超音波振動を印加する。
【0025】
具体的には、振動子14は、駆動素子15と整合層16とを有している。駆動素子15は、所定の振動方向Dv(図3参照)の超音波振動と電気信号との一方から他方への変換機能を奏する、電気-機械エネルギー変換素子によって構成されている。例えば、駆動素子15は、積層された複数の圧電素子(言い換えれば、ピエゾ素子)によって構成されている。駆動素子15の振動方向Dvは、第1方向D1に一致または略一致する。例えば、振動子14が取り付けられる壁部94の一方面94aの凹凸などの状態によっては、駆動素子15の振動方向Dvは第1方向D1と完全には一致せず、略一致したものになる。
【0026】
このような構成から、駆動素子15は、電気信号が与えられることにより、振動方向Dvに伸縮する超音波振動を発生する。そして、駆動素子15は、振動方向Dvの超音波振動を受けることにより、その超音波振動に応じた電気信号を発生する。
【0027】
また、駆動素子15は、第1方向D1の一方側に設けられた一端部151と、第1方向D1の他方側に設けられた他端部152とを有している。
【0028】
整合層16は、その整合層16のうち第1方向D1の一方側に形成された一端面161と、整合層16のうち第1方向D1の他方側に形成された他端面162とを有している。この整合層16の他端面162は、振動子14のうち第1方向D1の他方側に設けられた端面(すなわち、振動子14の他端面)でもある。
【0029】
整合層16は、駆動素子15に対し壁部94側に配置され、駆動素子15に連結している。例えば、整合層16は、接着剤などによって駆動素子15に対し一体に固定されている。要するに、整合層16は、その整合層16の一端面161にて、駆動素子15の他端部152に対し振動伝達可能に接続されている。この配置により、整合層16は、駆動素子15と壁部94との間で超音波振動を伝達する振動伝達部として機能する。
【0030】
なお、整合層16と駆動素子15とを接合する接着剤層の厚みは、送受信波の波長に対して充分小さい厚さ(例えば、100μm以下あるいは波長の8分の1未満となるような厚さ)に形成されている。そして、本実施形態の説明において、超音波振動の伝達に関与し且つ厚みについての説明が省略された他の接着剤層があれば、その接着剤層も、これと同様に、送受信波の波長に対して充分小さい厚さに形成されているものとする。
【0031】
整合層16は、駆動素子15と壁部94との間で超音波振動を伝達するために設けられているので、その駆動素子15と壁部94との間の振動伝達効率を高めるように構成されている。具体的に、整合層16は、その構成材料の選定などにより、整合層16の音響インピーダンスが駆動素子15の音響インピーダンスと壁部94の音響インピーダンスとの間の大きさになるように構成されている。
【0032】
例えば、整合層16は、アルミニウムやアルミニウム合金やマグネシウム合金等の金属材料、PBTやガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂材料、CFRP等の複合材料、等によって構成され得る。PBTはpolybutylene terephthalateの略である。
【0033】
介在接着層22は、振動子14と壁部94との間に介在する接着層である。具体的に、介在接着層22は、整合層16と壁部94の一方面94aとの間に配置され、その整合層16を壁部94の一方面94aに対して接着する。従って、その整合層16を含む振動子14は、壁部94の一方面94aに対向しその一方面94aに対し介在接着層22を介して接着される振動子対向面として、整合層16の他端面162を有する。
【0034】
介在接着層22は、例えば、エポキシ系樹脂などの合成樹脂材料で構成されている。この介在接着層22の厚みも、送受信波の波長に対して充分小さい厚さ(例えば、100μm以下あるいは波長の8分の1未満となるような厚さ)に形成されている。また、介在接着層22は、その構成材料の選定などにより、介在接着層22の音響インピーダンスが整合層16の音響インピーダンスと壁部94の音響インピーダンスとの間の大きさになるように構成されている。
【0035】
また、介在接着層22は、その介在接着層22を構成する接着剤が固化することにより整合層16と壁部94の一方面94aとを接合するものである。そのため、介在接着層22は、その介在接着層22を構成する接着剤の固化後には固体になるが、その接着剤の固化前においては、高粘度の液状になっている。なお、本実施形態の説明において、介在接着層22を構成する接着剤の固化とは、略して、介在接着層22の固化と称されることもある。
【0036】
調整機構20は、振動子14から固定部12に至る連結関係において振動子14と固定部12との間に介在し、その振動子14を固定部12に連結している。そして、調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの少なくとも何れかによって表される振動子状態を調整可能に構成されている。調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの一方だけを調整するものであってもよいが、本実施形態の調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの両方を調整することができる。すなわち、本実施形態の調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と姿勢とを調整可能な調整部として設けられている。
【0037】
具体的には図3に示すように、調整機構20は、ネジによって振動子状態を調整する調整構造を備え、その調整構造は、第1ネジ機構201と第2ネジ機構202と連結体203とを含んで構成されている。その第1ネジ機構201は、振動子14に対し、第1方向D1に垂直な第2方向D2の一方側に配置され、第2ネジ機構202は、振動子14に対し第2方向D2の他方側に配置されている。なお、第2方向D2は、本開示の一方向に垂直な一垂直方向に対応する。
【0038】
第1ネジ機構201は、雌ネジが形成された第1雌ネジ形成部としての第1ナット201aと、その第1ナット201aの雌ネジに螺合する雄ネジが形成された第1雄ネジ形成部としての第1ネジ軸部201bとを有している。そして、第2ネジ機構202は、雌ネジが形成された第2雌ネジ形成部としての第2ナット202aと、その第2ナット202aの雌ネジに螺合する雄ネジが形成された第2雄ネジ形成部としての第2ネジ軸部202bとを有している。
【0039】
第1、第2ネジ軸部201b、202bはそれぞれ、固定部12に対し相対移動不能に連結している。詳細には、第1、第2ネジ軸部201b、202bはそれぞれ、固定部12に対し一体に固定され、その固定部12から第1方向D1の一方側へ延伸している。そして、第1ネジ軸部201bは第1ナット201aの雌ネジに螺合されながら第1ナット201aを貫通し、第2ネジ軸部202bは第2ナット202aの雌ネジに螺合されながら第2ナット202aを貫通している。
【0040】
第1、第2ナット201a、202aはそれぞれ、連結体203に対し第1方向D1の一方側に配置され、第1方向D1の一方側から連結体203に接触している。
【0041】
連結体203は振動子14に対し第1方向D1の一方側に配置され、その振動子14に固定されている。詳細には、連結体203は駆動素子15の一端部151に固定されている。
【0042】
そして、連結体203には、連結体203を貫通する第1挿通孔203aと第2挿通孔203bとが形成されている。その第1挿通孔203aは振動子14に対し第2方向D2の一方側に配置され、第1挿通孔203aには第1ネジ軸部201bが挿通されている。これに対し、第2挿通孔203bは振動子14に対し第2方向D2の他方側に配置され、第2挿通孔203bには第2ネジ軸部202bが挿通されている。
【0043】
このような構成から、介在接着層22の固化前に、調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対位置を第1方向D1に微調整することができる。具体的に、その固定部12に対する振動子14の相対位置は、第1ナット201aと第1ネジ軸部201bとの相対回転と、第2ナット202aと第2ネジ軸部202bとの相対回転との一方または両方により微調整される。このとき、固定部12に対する振動子14の相対位置の微調整に伴って、固化前の介在接着層22が潰された状態も変化する。
【0044】
また、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きも、介在接着層22の固化前に、第1ナット201aと第1ネジ軸部201bとの相対回転と、第2ナット202aと第2ネジ軸部202bとの相対回転との一方または両方により微調整される。詳細には、第1ネジ軸部201bに対する第1ナット201aの相対的な回転に伴う移動量と、第2ネジ軸部202bに対する第2ナット202aの相対的な回転に伴う移動量とを違えることにより、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きが微調整される。このとき、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きの微調整に伴って、固化前の介在接着層22が潰された状態も変化する。
【0045】
このように、調整機構20の調整構造は、固定部12に対する振動子14の相対位置を第1方向D1へ調整可能なものであり、且つ、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きも調整可能な構成となっている。
【0046】
そして、第1、第2ナット201a、202aは何れも第1方向D1の一方側から連結体203に接触しているので、その連結体203を第1方向D1の他方側へ押すことになる。そして、その連結体203は、第1方向D1の他方側へ振動子14を押す押圧部として機能する。そのため、壁部94に固定された固定部12は、振動子14を第1方向D1の他方側へ押す押圧力を調整機構20を介して振動子14へ作用させる。すなわち、固定部12は調整機構20を介して、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける。
【0047】
以上のように構成された超音波センサ10をバンパー93の壁部94へ取り付ける取付工程について説明する。先ず、固定部12が、固定接着部13の固化によって壁部94の一方面94aに接着固定される。そして、介在接着層22を構成する液状の接着剤が、壁部94の一方面94aのうち振動子14が接合される部位に塗布される。
【0048】
その上で、振動子14が固定された連結体203が第1、第2ネジ軸部201b、202bに組み合わされ、それと共に、振動子14の整合層16が壁部94の一方面94a上の接着剤に押し付けられる。
【0049】
そして、第1ナット201aと第1ネジ軸部201bとの相対回転と、第2ナット202aと第2ネジ軸部202bとの相対回転との一方または両方により、振動子14が壁部94の一方面94aに押し付けられる。このとき、同時に、振動子14の姿勢が、壁部94の一方面94aに対し密着しやすい姿勢に調整される。また、振動子14が壁部94の一方面94aに押し付けられることに伴って、介在接着層22を構成する液状の接着剤は潰されながら一方面94aに沿って押し拡げられる。
【0050】
この振動子14の姿勢の調整と、壁部94の一方面94aに対する振動子14の押し付けとが完了した後に、介在接着層22を構成する接着剤は固化される。このようにして、バンパー93の壁部94に対する超音波センサ10の取付けは完了する。
【0051】
上述したように、本実施形態によれば、図3に示すように、調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの少なくとも何れかによって表される振動子状態を調整可能に構成されている。そして、固定部12は調整機構20を介して、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける。従って、壁部94の一方面94aの状態に或る程度のバラツキがあっても、調整機構20によって振動子14の姿勢を個々の一方面94aの状態に応じて調整して、その振動子14を壁部94の一方面94aに押し付けることができる。そのため、壁部94の一方面94aの状態が或る程度ばらつくことを許容しつつ、所望の音性能を確保することが可能である。
【0052】
具体的に、振動板としての壁部94のヤング率に対し、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける圧着力が弱すぎると、駆動素子15の振動エネルギーは壁部94側ではなく調整機構20側に多く逃げてしまい、超音波センサ10の駆動効率が落ちる。そのため、圧着力は壁部94のヤング率に応じて設定することが重要である。例えば、振動板が50MPa程度のヤング率を持つ場合には、その振動板に対して振動子14が50MPaの圧着力で押し付けられることで、駆動素子15の振動エネルギーがおよそ50%程度の駆動効率で活用可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、バンパー93の一部である壁部94の一方面94aに対し振動子14が接合され、その振動子14は、印加される電気信号に応じて壁部94の一方面94aに振動を印加する。そして、振動子14は、壁部94の一方面94aに振動を印加することで、外部空間SGへ超音波を放出する。また、その超音波が周囲の構造物で反射して生じた反射音波を振動子14が壁部94を介して受け、振動子14の駆動素子15は、その反射音波振動を電圧に変換し検知する。
【0054】
この超音波センサ10の構造では、壁部94の他方面94bを含むバンパー93の表面(言い換えれば、意匠面)には何ら構造物を設ける必要がないため、意匠性に優れた音波検知システム(例えば、自動車用ソナーシステム)を構築することができる。
【0055】
(1)また、本実施形態によれば、振動子14は、超音波振動を発生する駆動素子15と、その駆動素子15に対し壁部94側に配置され駆動素子15に連結し超音波振動を駆動素子15と壁部94との間で伝達する整合層16とを含む。そして、介在接着層22は、整合層16と壁部94の一方面94aとの間に配置され、その整合層16を一方面94aに対して接着する。
【0056】
従って、一方面94aの形状などに合わせて整合層16と介在接着層22とを設けることにより、駆動素子15の形状に関する制約を軽減しつつ、駆動素子15が発する超音波振動を壁部94へ伝達することが可能である。
【0057】
(2)また、本実施形態によれば、調整機構20は、振動子状態を調整する調整構造を備え、その調整構造は、固定部12に対する振動子14の相対位置を第1方向D1へ調整可能なものである。従って、壁部94の一方面94aの凹凸などその一方面94aの形状に合わせて、一方面94aに対する振動子14の相対位置を第1方向D1へ調整した上で振動子14を一方面94aに対し固定することが可能である。その結果、上記した振動子14の相対位置を調整する機能を調整機構20の調整構造が備えない場合に比して、所望の音性能を確保しやすくなる。
【0058】
(3)また、本実施形態によれば、調整機構20の調整構造は、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きも調整可能な構成となっている。従って、壁部94の一方面94aの傾きに合わせて、振動子14の姿勢を調整した上で振動子14を一方面94aに対し固定することが可能である。その結果、上記した振動子14の傾きを調整する機能を調整機構20の調整構造が備えない場合に比して、所望の音性能を確保しやすくなる。
【0059】
(4)また、本実施形態によれば、固定部12に対する振動子14の相対位置は、第1ナット201aと第1ネジ軸部201bとの相対回転と、第2ナット202aと第2ネジ軸部202bとの相対回転との一方または両方により調整される。従って、雌ネジと雄ネジとが螺合された簡素なネジ機構201、202により、一方面94aに対する振動子14の相対位置を調整することが可能である。それと共に、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける押付け力(別言すると、押圧力)を発生させることが可能である。
【0060】
また、本実施形態によれば、第1ナット201aと第1ネジ軸部201bとの相対回転と、第2ナット202aと第2ネジ軸部202bとの相対回転との一方または両方により、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける押付け力が調整される。従って、その押付け力を、第1、第2ネジ機構201、202の作動に応じて精度よく調整することが可能である。
【0061】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0062】
図4に示すように本実施形態では、調整機構20は、振動子状態を調整する調整構造を備えているが、その調整構造は、第1ネジ機構201と第2ネジ機構202と連結体203(図3参照)とを有していない。その替わりに、本実施形態における調整機構20の調整構造は、弾性変形可能な弾性体である押付バネ204を含んで構成されている。
【0063】
この押付バネ204は第1方向D1へ弾性変形可能なコイルバネであり、第1方向D1の一方側に設けられた一端204aと、第1方向D1の他方側に設けられた他端204bとを有している。また、超音波センサ10が壁部94に取り付けられた取付状態では、押付バネ204は、第1方向D1に圧縮された状態で保持される。すなわち、押付バネ204は圧縮コイルバネである。
【0064】
押付バネ204の一端204aは、固定部12が有するバネ保持部122に連結し、第1方向D1の他方側からバネ保持部122を押している。その固定部12のバネ保持部122は、押付バネ204に対し第1方向D1の一方側に配置されている。また、バネ保持部122は基部121と一体構成になっているので、基部121が壁部94に固定されることで、バネ保持部122も壁部94に対して固定される。
【0065】
押付バネ204の他端204bは、駆動素子15の一端部151に連結し、第1方向D1の一方側から駆動素子15の一端部151を押している。
【0066】
このように、押付バネ204は、固定部12のバネ保持部122と駆動素子15との間に挟まれた状態で圧縮変形させられている。すなわち、そのバネ保持部122は、第1方向D1の他方側へ振動子14を押す押圧部として機能する。そのため、固定部12は、調整機構20の押付バネ204を介して、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける。そして、押付バネ204の圧縮変形に伴う付勢力は、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける押圧力として振動子14に作用する。
【0067】
このような構成から、介在接着層22の固化前に、本実施形態の調整機構20は、振動子状態を調整することができる。具体的に、本実施形態の押付バネ204は駆動素子15の一端部151に連結しているので、固定部12に対する振動子14の相対的な揺動と、固定部12に対する振動子14の相対変位とを許容する。従って、その押付バネ204を含む調整機構20の調整構造は、固定部12に対する振動子14の相対位置を第1方向D1へ調整可能なものであり、且つ、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きも調整可能な構成となっている。
【0068】
(1)上述したように、本実施形態によれば、固定部12は、調整機構20の押付バネ204を介して、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける。従って、壁部94の一方面94aに接着されるときの振動子14の位置および姿勢に応じて押付バネ204が受動的に弾性変形する。そのため、調整機構20を調整する調整作業を軽減することが可能である。
【0069】
また、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける押付バネ204の付勢力は、押付バネ204の弾性変形により一定の範囲内に収まるので、整合層16の他端面162と一方面94aとの間の距離が規定範囲内になって振動子14は壁部94に固定される。
【0070】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
【0072】
図5に示すように、本実施形態の固定部12は、第1固定構成部25と第2固定構成部26と第3固定構成部27とから構成されている。
【0073】
第1固定構成部25は、振動子14に対し第2方向D2の一方側に配置されている。また、第1固定構成部25は、この第1固定構成部25のうち第1方向D1の他方側に設けられた基部としての第1固定基部251を有している。この第1固定基部251と壁部94の一方面94aとの間には固定接着部13が配置されており、第1固定基部251は、この固定接着部13の接着剤が固化することにより、壁部94の一方面94aに対して固定される。
【0074】
図5図6に示すように、第2固定構成部26は、第2固定基部261とバネ保持部122と中間部262とを有している。第2固定基部261と中間部262は、振動子14に対し第2方向D2の他方側に配置されている。
【0075】
第2固定基部261は、第3固定構成部27を介して壁部94に固定される部位であり、例えば壁部94の一方面94aに沿った板状に形成されている。
【0076】
中間部262は、第2固定基部261とバネ保持部122との間に設けられ、第1方向D1に延伸している。中間部262は、そのバネ保持部122を第2固定基部261に固定している。例えば、第2固定基部261とバネ保持部122と中間部262は一体構成になっている。
【0077】
バネ保持部122は、振動子14および押付バネ204に対する第2方向D2の他方側では、中間部262に固定されている。これに対し、バネ保持部122は、振動子14および押付バネ204に対する第2方向D2の一方側では、第1固定構成部25に固定されていない。バネ保持部122には、振動子14および押付バネ204に対する第2方向D2の一方側に配置された挿通孔122aが形成され、その挿通孔122aはバネ保持部122を第1方向D1に貫通している。なお、本実施形態のバネ保持部122は、第2実施形態と同様に、第1方向D1の他方側へ振動子14を押す押圧部として機能する。
【0078】
第3固定構成部27はクリップ形状を成し、そのクリップ形状によって第2固定基部261を挟むことにより、第2固定構成部26を壁部94に対して保持する。具体的に、第3固定構成部27は、第1方向D1に積層され一対を成す一方側板部271と他方側板部272とを有している。一方側板部271と他方側板部272はそれぞれ壁部94の一方面94aに沿って拡がる板状を成し、一方側板部271は他方側板部272に対し第1方向D1の一方側に配置されている。そして、その一方側板部271と他方側板部272は、第1方向D1と第2方向D2とに垂直な第3方向D3の一方側の端縁にて互いに連結されている。
【0079】
また、一方側板部271と他方側板部272との間には第2固定基部261が挟み込まれ、一方側板部271と他方側板部272は、それらの連結部分の弾性変形により第2固定基部261に対しそれぞれ押し当てられている。言い換えると、一方側板部271と他方側板部272は、それらの連結部分の弾性変形により、第2固定基部261を第1方向D1に圧縮する圧縮力を第2固定基部261に対して作用させている。
【0080】
そして、他方側板部272は、その他方側板部272と壁部94の一方面94aとの間に配置された固定接着部13の接着剤が固化することにより、壁部94の一方面94aに対して固定される。
【0081】
このようにして、第2固定構成部26は、第3固定構成部27と固定接着部13とを介して壁部94に固定される。なお、本実施形態の固定部12は、図4に示された基部121を有していないが、本実施形態の第1固定基部251、第2固定基部261、および第3固定構成部27は、その図4の基部121に相当する。
【0082】
本実施形態の調整機構20は、押付バネ204に加えて、ネジ機構205を有している。そのネジ機構205は、振動子14に対し第2方向D2の一方側に配置されている。
【0083】
本実施形態のネジ機構205は、第1実施形態の第1ネジ機構201と同様の構成になっている。従って、ネジ機構205は、雌ネジ形成部としてのナット205aを有し、そのナット205aは、第1実施形態の第1ナット201a(図3参照)と同様の構成を備えている。そして、ネジ機構205は、雄ネジ形成部としてのネジ軸部205bも有し、そのネジ軸部205bは、第1実施形態の第1ネジ軸部201b(図3参照)と同様の構成を備えている。
【0084】
具体的に、ネジ軸部205bは、固定部12のうち第1固定構成部25に対し相対移動不能に連結している。また、ネジ軸部205bはバネ保持部122の挿通孔122aに挿通され、ナット205aの雌ネジに螺合されながらナット205aを貫通している。これらのことを除き、本実施形態のネジ軸部205bは第1実施形態の第1ネジ軸部201bと同様である。
【0085】
ナット205aはバネ保持部122に対し第1方向D1の一方側に配置され、第1方向D1の一方側からバネ保持部122に接触している。このことを除き、本実施形態のナット205aは第1実施形態の第1ナット201aと同様である。
【0086】
このような構成から、本実施形態でも第2実施形態と同様に、調整機構20は振動子状態を微調整することができる。例えば、振動子状態は、押付バネ204によって第2実施形態と同様に微調整される。
【0087】
また、ナット205aとネジ軸部205bとの相対回転により、第2固定構成部26の撓み量変化と共に押付バネ204の圧縮変形量と、第2方向D2に対するバネ保持部122の傾きも変化する。これらの変化に伴って、振動子14が壁部94の一方面94aに押し付けられた押付け状態も変化する。従って、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きは、ネジ機構205によっても微調整される。
【0088】
上記のように本実施形態のバネ保持部122は、ネジ機構205と協働して、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの微調整に寄与する。そのため、バネ保持部122は固定部12の一部であるが、振動子状態を調整可能に構成された調整機構20の一部でもある。
【0089】
なお、本実施形態では介在接着層22(図4参照)は設けられていないので、振動子14は、壁部94の一方面94aに対し接着されずに押し付けられる。
【0090】
上述したように、本実施形態によれば、第2固定構成部26は壁部94に対し直接には接着されずに、壁部94に接着された第3固定構成部27に挟み込まれることにより壁部94に対し固定される。従って、壁部94に対する超音波センサ10の取付工程では、壁部94の一方面94aに対する第1、第3固定構成部25、27の接着を完了させた後に、第2固定構成部26と押付バネ204とを取り付けることが可能である。すなわち、押付バネ204と固定部12とを同時に取り付ける必要がない。そのため、超音波センサ10の取付工程において作業性を向上させることが可能である。
【0091】
そして、本実施形態の構造では、押付バネ204が不要な力を吸収するので、超音波センサ10の取付中にナット205aがたとえ締め過ぎられたとしても、オーバー荷重に起因した駆動素子15の破損を防ぐことが可能である。
【0092】
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
【0093】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0094】
図7に示すように、本実施形態において固定部12、固定接着部13、振動子14、および調整機構20はそれぞれ、第1実施形態のものと同様である。
【0095】
但し、本実施形態では、調整機構20によって振動子状態が調整された結果、振動子14は、第2方向D2の一方側ほど整合層16の他端面162と壁部94の一方面94aとの間の距離DSが小さくなる姿勢で、壁部94に対して固定される。これに伴って、介在接着層22の厚みも第2方向D2の一方側ほど小さくなる。
【0096】
本実施形態では、振動子14がこのような姿勢で壁部94に対して固定された結果、振動子14が発する超音波振動は、矢印A1、A2で示されるように、壁部94に対し、第2方向D2の一方側ほど強く伝達される。従って本実施形態では、図8に示すように、壁部94から第1方向D1の他方側へ発せられる超音波振動の指向性は、第2方向D2の一方側へ傾く。
【0097】
なお、図8は、コンピュータによるシミュレーション例において壁部94から伝達される超音波振動の拡がりを示しており、このシミュレーション例では本実施形態の振動子14は第1方向D1に対し例えば5度程度傾いている。図8における座標原点P0は、壁部94のうち振動子14が固定された箇所の中心位置に対応する。そして、図8の実線Laは本実施形態における超音波振動の拡がりを示し、図8の破線Lbは、本実施形態と比較される比較例における超音波振動の拡がりを示している。その比較例では、壁部94から第1方向D1の他方側へ発せられる超音波振動の指向性が第1方向D1に対し傾かないように振動子14が壁部94に固定されている。
【0098】
この図7図8から判るように、本実施形態において調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きを調整できるので、振動子14が壁部94の一方面94aに押し付けられた押付け状態を調整することができる。そして、調整機構20は、その押付け状態を調整することにより、壁部94から第1方向D1の他方側(言い換えると、振動子14側とは反対側)へ発せられる超音波振動の指向性を調整する。
【0099】
(1)上述したように、本実施形態によれば、調整機構20は、振動子14が壁部94の一方面94aに押し付けられた押付け状態を調整することにより、壁部94から第1方向D1の他方側へ発せられる超音波振動の指向性を調整する。従って、壁部94からの超音波振動の指向性を調整する機能も調整機構20に備えさせることができる。
【0100】
(2)また、本実施形態によれば、振動子14は、第2方向D2の一方側ほど整合層16の他端面162と壁部94の一方面94aとの間の距離DSが小さくなる姿勢で、壁部94に対して固定される。これにより、壁部94から第1方向D1の他方側へ発せられる超音波振動の指向性を第2方向D2の一方側へ傾けることが可能である。
【0101】
(3)また、本実施形態によれば、固定部12に対する振動子14の相対的な傾きが、第1ナット201aと第1ネジ軸部201bとの相対回転と、第2ナット202aと第2ネジ軸部202bとの相対回転との一方または両方により調整される。従って、雌ネジと雄ネジとが螺合された簡素なネジ機構201、202により、壁部94から第1方向D1の他方側へ発せられる超音波振動の指向性を調整することが可能である。
【0102】
例えば本実施形態のように調整機構20が有するナット201a、202aとネジ軸部201b、202bとの組み合わせが2組であれば、一軸の指向性の調整が可能である。また、その調整機構20が有するナットとネジ軸部との組み合わせが4組であれば、二軸の指向性の調整が可能である。
【0103】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0104】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第3実施形態と異なる点を主として説明する。
【0105】
図9に示すように、本実施形態のネジ機構205は、ナット205aとネジ軸部205bとに加えて、バネワッシャ205cを有している。そのバネワッシャ205cは第1方向D1に弾性変形可能なバネで構成されている。なお、図9におけるVI-VI断面を示した断面図は、第3実施形態と同様に図6である。
【0106】
バネワッシャ205cは、ナット205aとバネ保持部122との間に配置され、バネワッシャ205cの内側にはネジ軸部205bが挿通されている。従って、ネジ軸部205bは、ナット205a、バネワッシャ205c、バネ保持部122の順で直列に、それらのナット205a、バネワッシャ205c、およびバネ保持部122を貫通している。
【0107】
このような配置において、ナット205aは、バネワッシャ205cを弾性圧縮された状態に保持するようにネジ軸部205bに締め込まれている。例えば、このバネワッシャ205cは、押付バネ204と協働して、ナット205aの締め過ぎに起因した駆動素子15の破損を防止する作用を奏する。
【0108】
本実施形態では、超音波センサ10は回路基板ユニット30を備えている。その回路基板ユニット30は、電気回路基板およびその電気回路基板に実装された電気部品などを含んでいる。この電気回路基板には、回路基板ユニット30と駆動素子15との間に設けられた電線301が接続されている。
【0109】
例えば、回路基板ユニット30は、電気回路基板などにより構成され駆動素子15を作動させるための駆動回路や、駆動素子15と外部の電子制御装置との間で電気信号を送受信する通信機能を備えている。また、回路基板ユニット30はバネ保持部122に固定されている。
【0110】
以上説明したことを除き、本実施形態は第3実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第3実施形態と共通の構成から奏される効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
【0111】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第5実施形態と異なる点を主として説明する。
【0112】
図10に示すように、本実施形態のネジ機構205は、バネワッシャ205c(図9参照)を有していないので、第3実施形態のネジ機構205と同様である。なお、図10におけるVI-VI断面を示した断面図は、第3実施形態と同様に図6である。
【0113】
本実施形態でも第5実施形態と同様に超音波センサ10は回路基板ユニット30を備えている。但し、本実施形態ではその回路基板ユニット30の配置が第5実施形態と異なっている。
【0114】
具体的に、本実施形態の回路基板ユニット30は、駆動素子15に対し第1方向D1の一方側に配置され、バネ保持部122にではなく駆動素子15に固定されている。そのため、回路基板ユニット30は駆動素子15と押付バネ204との間に配置されている。そして、押付バネ204の他端204bは、回路基板ユニット30を介して駆動素子15の一端部151に連結し、第1方向D1の一方側から駆動素子15の一端部151を回路基板ユニット30を介して押す。
【0115】
以上説明したことを除き、本実施形態は第5実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第5実施形態と共通の構成から奏される効果を第5実施形態と同様に得ることができる。
【0116】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
【0117】
図11に示すように、本実施形態の調整機構20は、押付バネ204に加えて、雄ネジ形成部206と、ネジ機構によって固定部12に対し第1方向D1に移動可能に構成された可動部207とを有している。
【0118】
その雄ネジ形成部206は、振動子14を囲むように形成され第1方向D1の軸心を有する円筒形状を成している。雄ネジ形成部206は固定部12に固定されている。例えば、その雄ネジ形成部206と固定部12は一体構成になっている。雄ネジ形成部206は、固定部12から第1方向D1の一方側へ延伸している。そして、雄ネジ形成部206の外周には雄ネジ206aが形成されている。
【0119】
可動部207は雌ネジ形成部208とバネ保持部209とを有している。この雌ネジ形成部208とバネ保持部209は、例えば一体構成になっている。雌ネジ形成部208は、雄ネジ形成部206と同軸の円筒形状を成し、雄ネジ形成部206の外周側に設けられ、その雄ネジ形成部206を囲むように形成されている。すなわち、雌ネジ形成部208は、押付バネ204と振動子14とを囲んでいる。
【0120】
そして、雌ネジ形成部208の内周には、雄ネジ形成部206の雄ネジ206aに螺合する雌ネジ208aが形成されている。従って、雌ネジ形成部208と雄ネジ形成部206は、それらが相対回転することにより第1方向D1へ相対移動するネジ機構を構成する。
【0121】
本実施形態のバネ保持部209は、第2実施形態のバネ保持部122に置き換わるものであるので、本実施形態では固定部12はバネ保持部122を有していない。本実施形態のバネ保持部209は、雌ネジ形成部208が第1方向D1の一方側に有する端部に連結され、その雌ネジ形成部208の端部で雌ネジ形成部208内側の孔を塞ぐように形成されている。
【0122】
また、バネ保持部209は、押付バネ204に対し第1方向D1の一方側に配置されている。そして、押付バネ204の一端204aはバネ保持部209に連結し、第1方向D1の他方側からそのバネ保持部209を押している。
【0123】
このように本実施形態では、押付バネ204は、可動部207のバネ保持部209と駆動素子15との間に挟まれた状態で圧縮変形させられている。そのため、固定部12は、調整機構20の押付バネ204を介して、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける。そして、押付バネ204の圧縮変形に伴う付勢力は、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける押圧力として振動子14に作用する。更に、その押付バネ204の圧縮変形に伴う付勢力は、調整機構20の可動部207が第1方向D1の他方側へ移動させられるほど強くなる。従って、本実施形態では、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付ける押圧力を調整可能で振動子14を壁部94に容易に取り付けできる構造を実現することが可能である。
【0124】
このような構成から、本実施形態でも第2実施形態と同様に、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きは、押付バネ204によって微調整される。
【0125】
また、雄ネジ形成部206に対する可動部207の回転により、押付バネ204の圧縮変形量が変化する。この圧縮変形量の変化に伴って、振動子14が壁部94の一方面94aに押し付けられた押付け状態も変化する。従って、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きは、雄ネジ形成部206に対する可動部207の回転によっても微調整される。
【0126】
なお、本実施形態では介在接着層22(図4参照)は設けられていないので、振動子14は、壁部94の一方面94aに対し接着されずに押し付けられる。
【0127】
また、本実施形態では、超音波センサ10は、第5実施形態と同様の回路基板ユニット30と電線301とを備えている。その回路基板ユニット30はバネ保持部209に対し第1方向D1の一方側に配置され、そのバネ保持部209に連結されている。但し、本実施形態の回路基板ユニット30は、固定部12に対し可動部207が回転しても電線301が捩れないように構成されている。
【0128】
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
【0129】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0130】
図12に示すように、本実施形態では、超音波センサ10は、第5実施形態と同様の回路基板ユニット30と電線301とを備えている。その回路基板ユニット30は調整機構20の連結体203に対し第1方向D1の一方側に配置され、その連結体203に固定されている。
【0131】
また、本実施形態では介在接着層22(図3参照)は設けられていないので、振動子14は、壁部94の一方面94aに対し接着されずに押し付けられる。
【0132】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0133】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第8実施形態と異なる点を主として説明する。
【0134】
図13に示すように、本実施形態の調整機構20の調整構造は、第8実施形態と同様に連結体203を有している。但し、本実施形態の調整機構20の調整構造は、第8実施形態の第1、第2ネジ機構201、202(図12参照)に替えて、第1ラチェット機構211と第2ラチェット機構212と有している。
【0135】
本実施形態の第1ラチェット機構211は第8実施形態の第1ネジ機構201に置き換わるものであり、振動子14に対し第2方向D2の一方側に配置されている。また、第2ラチェット機構212は第8実施形態の第2ネジ機構202に置き換わるものであり、振動子14に対し第2方向D2の他方側に配置されている。
【0136】
第1ラチェット機構211は、押圧部である連結体203に連結した第1押圧側構成部としての第1ラチェット爪211aと、壁部94の一方面94aに固定部12を介して固定される第1固定側構成部としての第1ラック211bとを有している。また、第2ラチェット機構212は、連結体203に連結した第2押圧側構成部としての第2ラチェット爪212aと、壁部94の一方面94aに固定部12を介して固定される第2固定側構成部としての第2ラック212bとを有している。
【0137】
第1ラチェット爪211aと第2ラチェット爪212aはそれぞれ、連結体203に対し第1方向D1の一方側に配置されている。第1ラチェット爪211aは、その第1ラチェット爪211aの基端にて連結体203に連結し、第2ラチェット爪212aは、その第2ラチェット爪212aの基端にて連結体203に連結している。
【0138】
第1ラック211bは第1方向D1に延伸し、連結体203の第1挿通孔203aに挿通されている。その第1ラック211bは第1方向D1の他方側に固定端部を有し、その固定端部は固定部12に固定されている。
【0139】
そして、第1ラック211bは複数の第1ラチェット歯211cを有し、その複数の第1ラチェット歯211cは、第1方向D1に直線的に並んで配置されている。この複数の第1ラチェット歯211cと第1ラチェット爪211aは、それらの形状により、第1ラチェット爪211aが第1ラック211bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動する場合には互いに係合する。その一方で、複数の第1ラチェット歯211cと第1ラチェット爪211aは、第1ラチェット爪211aが第1ラック211bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動する場合には係合しない。
【0140】
従って、第1ラチェット機構211は、第1ラチェット爪211aが第1ラック211bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止し、第1ラチェット爪211aが第1ラック211bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。別言すると、第1ラチェット機構211は、連結体203が第1ラック211bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止し、連結体203が第1ラック211bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。
【0141】
第2ラック212bは第1方向D1に延伸し、連結体203の第2挿通孔203bに挿通されている。その第2ラック212bは第1方向D1の他方側に固定端部を有し、その固定端部は固定部12に固定されている。
【0142】
そして、第2ラック212bは複数の第2ラチェット歯212cを有し、その複数の第2ラチェット歯212cは、第1方向D1に直線的に並んで配置されている。この複数の第2ラチェット歯212cと第2ラチェット爪212aは、それらの形状により、第2ラチェット爪212aが第2ラック212bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動する場合には互いに係合する。その一方で、複数の第2ラチェット歯212cと第2ラチェット爪212aは、第2ラチェット爪212aが第2ラック212bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動する場合には係合しない。
【0143】
従って、第2ラチェット機構212は、第2ラチェット爪212aが第2ラック212bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止し、第2ラチェット爪212aが第2ラック212bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。別言すると、第2ラチェット機構212は、連結体203が第2ラック212bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止し、連結体203が第2ラック212bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。
【0144】
このように、連結体203が固定部12に対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを第1、第2ラチェット機構211、212が阻止するので、固定部12は、振動子14を壁部94の一方面94aに押し付けることができる。
【0145】
そして、振動子14が壁部94に固定される際に、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きは、第1ラック211bに対する第1ラチェット爪211aの位置と第2ラック212bに対する第2ラチェット爪212aの位置とに応じて微調整される。
【0146】
(1)上述したように、本実施形態によれば、第1ラチェット機構211は、第1ラチェット爪211aが第1ラック211bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止する。その一方で、第1ラチェット機構211は、第1ラチェット爪211aが第1ラック211bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。また、第2ラチェット機構212は、第2ラチェット爪212aが第2ラック212bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止する。その一方で、第2ラチェット機構212は、第2ラチェット爪212aが第2ラック212bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。第1、第2ラチェット爪211a、212aは連結体203に連結している。そして、第1、第2ラック211b、212bは壁部94の一方面94aに固定部12を介して固定される。
【0147】
従って、第1、第2ラチェット機構211、212の逆止構造によって、壁部94の一方面94aに対し振動子14を容易に固定することが可能である。
【0148】
また、本実施形態によれば、第1ラック211bに対する第1ラチェット爪211aの相対位置と、第2ラック212bに対する第2ラチェット爪212aの相対位置との一方または両方に応じて、振動子14を一方面94aに押し付ける押付け力が調整される。従って、その押付け力を、第1、第2ラチェット機構211、212の作動に応じて簡単に調整することが可能である。
【0149】
以上説明したことを除き、本実施形態は第8実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第8実施形態と共通の構成から奏される効果を第8実施形態と同様に得ることができる。
【0150】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第3実施形態と異なる点を主として説明する。
【0151】
図14に示すように、本実施形態の調整機構20は、第3実施形態と同様に押付バネ204を有している。但し、第3実施形態とは異なり、本実施形態の調整機構20はラチェット機構213を有している。このラチェット機構213は、第3実施形態のネジ機構205(図5参照)に置き換わるものである。なお、図14におけるVI-VI断面を示した断面図は、第3実施形態と同様に図6である。
【0152】
本実施形態のラチェット機構213は、第9実施形態の第1ラチェット機構211と同様の構成になっている。従って、ラチェット機構213は、押圧側構成部としてのラチェット爪213aを有し、そのラチェット爪213aは、第9実施形態の第1ラチェット爪211a(図13参照)と同様の構成を備えている。そして、ラチェット機構213は、固定側構成部としてのラック213bも有し、そのラック213bは、第9実施形態の第1ラック211b(図13参照)と同様の構成を備えている。
【0153】
具体的に、ラチェット爪213aは、バネ保持部122に対し第1方向D1の一方側に配置されている。そして、ラチェット爪213aは、そのラチェット爪213aの基端にてバネ保持部122に連結している。これらのことを除き、本実施形態のラチェット爪213aは第9実施形態の第1ラチェット爪211aと同様である。
【0154】
ラック213bは第1方向D1に延伸し、バネ保持部122の挿通孔122aに挿通されている。そのラック213bは第1方向D1の他方側に固定端部を有し、その固定端部は固定部12のうち第1固定構成部25に固定されている。
【0155】
そして、ラック213bは複数のラチェット歯213cを有している。この複数のラチェット歯213cは、第9実施形態の第1ラチェット歯211c(図13参照)と同様の構成であるので、第1方向D1に直線的に並んで配置されている。以上説明したことを除き、本実施形態のラック213bは第9実施形態の第1ラック211bと同様である。
【0156】
従って、本実施形態のラチェット歯213cとラチェット爪213aとが互いに係合する場合と、係合しない場合はそれぞれ、第9実施形態における第1ラチェット歯211cと第1ラチェット爪211aとの関係と同じである。
【0157】
そのため、本実施形態のラチェット機構213は第9実施形態の第1ラチェット機構211と同様に作動する。すなわち、ラチェット機構213は、ラチェット爪213aがラック213bに対し第1方向D1の一方側へ相対的に移動することを阻止し、ラチェット爪213aがラック213bに対し第1方向D1の他方側へ相対的に移動することを許容する。
【0158】
このような構成から、本実施形態でも第3実施形態と同様に、調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとを微調整することができる。
【0159】
本実施形態では、超音波センサ10は、第5実施形態と同様の回路基板ユニット30と電線301とを備えている。その回路基板ユニット30はバネ保持部122に対し第1方向D1の一方側に配置され、そのバネ保持部122に固定されている。
【0160】
以上説明したことを除き、本実施形態は第3実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第3実施形態と共通の構成から奏される効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
【0161】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第10実施形態と異なる点を主として説明する。
【0162】
図15に示すように、本実施形態でも第10実施形態と同様に超音波センサ10は回路基板ユニット30を備えている。但し、本実施形態ではその回路基板ユニット30の配置が第10実施形態と異なっている。具体的に本実施形態において、回路基板ユニット30は、第6実施形態と同様に駆動素子15と押付バネ204との間に配置されている。なお、図15におけるVI-VI断面を示した断面図は、第3実施形態と同様に図6である。
【0163】
以上説明したことを除き、本実施形態は第10実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第10実施形態と共通の構成から奏される効果を第10実施形態と同様に得ることができる。
【0164】
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0165】
図16図17に示すように、本実施形態では、超音波センサ10は、固定部12と固定接着部13と振動子14と調整機構20と介在接着層22とを備えている。それに加え、超音波センサ10は、回路基板31とカバー部40と弾性シール42と連結部材44と背面カバー46と複数の連結ネジ部材52とを備えている。また、固定部12と固定接着部13と調整機構20と介在接着層22との具体的な構成や形状が、第1実施形態に対し異なっている。
【0166】
なお、図16は、図17のXVI-XVI断面を示している。また、図17では、回路基板31、背面カバー46、および壁部94の図示が省略されている。また、図16図17は、壁部94に対し超音波センサ10の取り付けが完了した状態を表している。
【0167】
本実施形態の固定部12は、振動子14、調整機構20、回路基板31、カバー部40、弾性シール42、連結部材44、および背面カバー46を壁部94に対して支持する支持体である。固定部12は、固定本体部124と固定端外周部125とを有している。
【0168】
固定本体部124は第1方向D1に延伸した筒形状を成し、固定本体部124の内側には、第1方向D1に固定本体部124を貫通した本体内周孔124aが形成されている。その本体内周孔124aは、例えば横断面が円形になっている円形孔である。
【0169】
また、固定本体部124には、雌ネジを有する複数(例えば、4つ)のネジ穴124bが形成されている。すなわち、固定本体部124は、そのネジ穴124bが形成された雌ネジ形成部124cを複数有している。固定本体部124の複数のネジ穴124bはそれぞれ第1方向D1の一方側に開口し、第1方向D1に沿った方向視(例えば矢印XVIIで示される方向視)で振動子14まわりに等ピッチで配置されている。例えば、そのネジ穴124bはそれぞれ、第1方向D1の他方側に底を有する止め穴として形成されている。
【0170】
固定端外周部125は、第1方向D1に厚みを有する薄板状に形成され、可撓性を備えている。固定端外周部125は、固定本体部124のうち第1方向D1の他方側の端部から固定本体部124の外周側へ拡がるように延伸している。また、固定端外周部125は固定本体部124の全周にわたって設けられ、固定端外周部125には複数のスリット125aが形成されている。その複数のスリット125aは、固定本体部124まわりに相互間隔をあけて配置されている。
【0171】
また、固定部12は、その固定部12のうち第1方向D1の他方側の端に設けられ第1方向D1の他方側へ向いた固定部他端面12aを有している。この固定部他端面12aは、固定本体部124と固定端外周部125との両方に及ぶように拡がっている。固定部他端面12aは、第1方向D1に沿った方向視において、本体内周孔124aに対する外周側で本体内周孔124aの全周にわたって形成されている。
【0172】
また、固定部他端面12aは、壁部94の一方面94aに対し固定接着部13を挟んで対向し、固定接着部13を介して一方面94aに接着固定される。例えば、本実施形態の固定接着部13は、接着剤が含浸された接着テープで構成されている。これにより、固定接着部13は、接着剤の固化前からその固定接着部13の形状を保持できる。この固定接着部13を構成する接着テープは、例えば防水性を備えている。
【0173】
本実施形態の固定接着部13は、固定部他端面12aの略全面にわたって設けられている。すなわち、固定接着部13は、第1方向D1に沿った方向視において、本体内周孔124aに対する外周側で本体内周孔124aの全周にわたって設けられている。そして、第1方向D1に沿った方向視において固定接着部13がカバー部40に対して重ならないように、固定接着部13の中央には貫通孔13aが形成されている。例えば、固定接着部13は、その固定接着部13の接着剤が固化することにより、固定部他端面12aと一方面94aとを接着固定する。
【0174】
本実施形態の振動子14は第1実施形態と同様であり、駆動素子15と整合層16とを有している。振動子14は調整機構20に対し連結部材44を介して連結されている。この連結部材44は、第1方向D1において振動子14と調整機構20の一方側部材50との間に配置されている。例えば、振動子14は連結部材44に接着固定され、その連結部材44は調整機構20の一方側部材50に接着固定されている。要するに、振動子14は一方側部材50に固定されている。
【0175】
カバー部40は振動子14を囲むように設けられ、固定部12に対し第1方向D1へ相対移動可能なように固定部12の内側に嵌め入れられている。言い換えると、カバー部40は、固定部12に対し相対移動可能な状態で固定部12の本体内周孔124aに嵌め入れられている。従って、固定部12は、カバー部40とその内側に配置された振動子14とを囲むように形成されている。例えば、カバー部40は、樹脂材料または金属材料で構成されている。
【0176】
具体的に、カバー部40はカバー周囲部401とカバー底部402とを有している。そのカバー周囲部401とカバー底部402は一体構成になっている。
【0177】
カバー周囲部401は、第1方向D1に沿った方向視で振動子14の周りに設けられ、その振動子14を収容するカバー内空間401aをカバー周囲部401の内側に形成している。
【0178】
上記したようにカバー部40は固定部12の本体内周孔124aに嵌め入れられているが、詳しくは、このカバー周囲部401が本体内周孔124aに嵌め入れられている。そのため、固定部12は、第1方向D1に沿った方向視でカバー周囲部401を全周にわたって囲むように形成されている。詳細に言えば、固定本体部124、固定端外周部125、および固定部他端面12aはそれぞれ、第1方向D1に沿った方向視でカバー周囲部401を全周にわたって囲むように形成されている。
【0179】
このカバー周囲部401は、第1方向D1に延伸した円筒形状を成している。そして、カバー周囲部401は、固定本体部124が有する内周面124dに対向する外周面401bを有している。その固定本体部124の内周面124dは本体内周孔124aに面し、固定本体部124の内周側を向いて形成されている。
【0180】
上記したように本体内周孔124aの横断面が円形であるので、固定本体部124の内周面124dの横断面もカバー周囲部401の外周面401bの横断面もそれぞれ円形である。そして、カバー周囲部401の外周面401bと固定本体部124の内周面124dとの間には、僅かな径方向隙間であるカバー部周囲隙間401cが形成されている。このカバー部周囲隙間401cは、例えばカバー周囲部401周りの全周にわたって形成される。
【0181】
また、カバー周囲部401のうち第1方向D1の一方側の端面である一端面401dには、雌ネジを有する複数(例えば、4つ)のネジ穴401eが形成されている。このネジ穴401eはそれぞれ第1方向D1の一方側に開口し、第1方向D1に沿った方向視で振動子14まわりに等ピッチで配置されている。例えば、そのネジ穴401eはそれぞれ、第1方向D1の他方側に底を有する止め穴として形成されている。カバー周囲部401の一端面401dは、カバー部40において第1方向D1の一方側に形成された端面であるので、カバー部40の一端面でもある。
【0182】
カバー底部402は、カバー内空間401aに対する第1方向D1の他方側でそのカバー内空間401aを塞いでいる。カバー底部402は、そのカバー底部402の全周でカバー周囲部401に連結している。従って、カバー底部402はカバー内空間401aの底部として設けられ、第1方向D1におけるカバー内空間401aの他方側はカバー底部402によって完全に塞がれている。そのため、介在接着層22の固化前であっても、介在接着層22の接着剤がカバー底部402に対する第1方向D1の他方側からカバー内空間401aに流れ込むことはない。
【0183】
また、カバー底部402は、第1方向D1に厚みを有する薄板状に形成され、可撓性を備えている。カバー底部402には、第1方向D1の一方側から整合層16が密着する。その整合層16は、カバー底部402に対し接着等により接合され固定されている。
【0184】
そのため、第1方向D1に沿った方向視では振動子14とカバー部40との相対位置が拘束されるように、振動子14とカバー部40は互いに連結されることになる。言い換えると、振動子14は、第1方向D1に沿った方向視で振動子14の位置がカバー部40に対し相対的に拘束されるようにカバー部40に連結されている。例えば、振動子14とカバー部40との相対的な位置関係が第2方向D2にも第3方向D3にも規制されるということである。その第3方向D3は、第3実施形態と同様に第1方向D1と第2方向D2とに垂直な方向である。
【0185】
カバー部40は、そのカバー部40において第1方向D1の他方側に形成された他端面であるカバー部他端面40aを有している。このカバー部他端面40aは、介在接着層22を介して壁部94の一方面94aに対向し、介在接着層22によってその一方面94aに接着される。また、カバー部他端面40aは、カバー周囲部401とカバー底部402との両方に及ぶように拡がっている。
【0186】
カバー部他端面40aは、第1方向D1に沿った方向視で、そのカバー部他端面40aの全周にわたって固定部他端面12aに囲まれている。そして、その固定部他端面12aは、第1方向D1に沿った方向視において、固定接着部13により、カバー部他端面40aまわりで環状に連続して壁部94の一方面94aに接合される。言い換えると、固定部他端面12aと一方面94aとを接着する固定接着部13は、第1方向D1に沿った方向視において、カバー部他端面40aまわりで環状に連続して形成されている。
【0187】
本実施形態の調整機構20も、第1実施形態の調整機構20と同様に、振動子14を固定部12に連結している。本実施形態の調整機構20は、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と姿勢とを調整可能な調整部として設けられている。そして、本実施形態の調整機構20は、ネジによって振動子状態を調整する調整構造を備えている。
【0188】
具体的に、本実施形態の調整機構20が備える調整構造は、一方側部材50と複数(例えば、4本)の調整ネジ部材51とを含んで構成されている。その調整ネジ部材51の本数は、固定部12のネジ穴124bの数と同じである。
【0189】
一方側部材50は例えば高剛性の樹脂材料で構成され、第1方向D1に厚みを有する板状に形成されている。一方側部材50は、振動子14とカバー部40と固定部12とに対し第1方向D1の一方側に配置されている。一方側部材50には、振動子14が連結部材44を介して固定されている。
【0190】
また、一方側部材50には、第1方向D1の一方側から他方側へ窪んだ形状を成す基板配置空間50aが形成されている。その基板配置空間50aには、電気部品などが実装された回路基板31が配置されている。その回路基板31は、電線などを介して駆動素子15に電気的に接続されている。例えば回路基板31は、駆動素子15を作動させるための駆動回路や、駆動素子15と外部の電子制御装置との間で電気信号を送受信する通信機能などを備えている。
【0191】
また、基板配置空間50aは、第1方向D1の一方側に開口した空間であり、その基板配置空間50aにおける第1方向D1の一方側は、背面カバー46によって塞がれている。その背面カバー46は、一方側部材50に固定されている。
【0192】
複数の調整ネジ部材51はそれぞれ、雄ネジが形成された雄ネジ形成部であり、第1方向D1に延伸している。その複数の調整ネジ部材51としては、例えば、ボルト、プラスネジ、またはマイナスネジなどを採用することができる。すなわち、複数の調整ネジ部材51はそれぞれ、雄ネジを有するネジ軸と、そのネジ軸に対し第1方向D1の一方側に設けられたネジ頭部とから構成され、そのネジ頭部は、ネジ軸およびそのネジ軸が挿通される一方側部材50の貫通孔50bに対し拡径している。
【0193】
また、その複数の調整ネジ部材51の雄ネジは、固定本体部124のネジ穴124bの雌ネジにそれぞれ螺合されている。詳細には、複数の調整ネジ部材51はそれぞれ、第1方向D1の一方側から一方側部材50の貫通孔50bに挿通された上で、第1方向D1の一方側から固定本体部124のネジ穴124bに螺合されている。従って、複数の調整ネジ部材51は、第1方向D1に沿った方向視では固定本体部124のネジ穴124bと同じ位置に配置される。
【0194】
また、複数の調整ネジ部材51はそれぞれ、第1方向D1に沿った方向視において、カバー部40および弾性シール42に対し外周側に配置されている。
【0195】
また、調整ネジ部材51と、その調整ネジ部材51が螺合するネジ穴124bが形成された雌ネジ形成部124cとの組み合わせはそれぞれ、ネジ機構を構成する。すなわち、本実施形態の調整機構20は複数のネジ機構を有している。そして、雌ネジ形成部124cは固定本体部124の一部であるが、振動子状態の調整に関わる部分であるので、調整機構20の調整構造の一部でもある。
【0196】
具体的に、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きは、介在接着層22の固化前に、複数のネジ機構のそれぞれにおいて雌ネジ形成部124cと調整ネジ部材51とが相対回転させられることにより調整される。このとき、固定部12に対する振動子14の相対的な位置と傾きとの調整に伴って、固化前の介在接着層22の接着剤AD(図18D参照)が潰された状態も変化する。
【0197】
また、調整ネジ部材51がネジ穴124bに螺合されながら締め付けられるほど、一方側部材50は、振動子14とカバー部40とを一方面94aに対して強く押し付けるように作用する。そのため、調整ネジ部材51の締め付けに伴い、振動子14は、その振動子14と壁部94の一方面94aとの間にカバー底部402と介在接着層22とを挟んだ状態で一方面94aに押し付けられる。そして、カバー部40は、カバー周囲部401およびカバー底部402のそれぞれと一方面94aとの間に介在接着層22を挟んだ状態で一方面94aに押し付けられる。
【0198】
弾性シール42は、圧縮変形可能な変形部であり、カバー周囲部401と一方側部材50との間をシールする。また、弾性シール42は、防水機能のほかに、制振機能、吸音機能、およびバネ機能などを有し、例えばシリコーンゴムまたは発泡ウレタン等で構成されている。
【0199】
具体的に、弾性シール42は、第1方向D1において一方側部材50とカバー周囲部401との間に配置されている。言い換えると、カバー周囲部401は、そのカバー周囲部401と一方側部材50との間に弾性シール42を挟んだ状態で一方側部材50に連結されている。そのため、弾性シール42は、一方側部材50とカバー周囲部401とに挟まれ圧縮されることで弾性変形させられ、それより一方側部材50とカバー周囲部401とのそれぞれに密着すると共に、その一方側部材50とカバー周囲部401との間をシールする。
【0200】
また、弾性シール42は、連結部材44の周りを全周にわたって囲むように環状に形成されている。すなわち、弾性シール42の内側には、連結部材44が挿通された貫通孔が形成されている。
【0201】
複数の連結ネジ部材52は、一方側部材50と弾性シール42とカバー部40との相互連結を保持する役割を果たす。複数の連結ネジ部材52はそれぞれ、第1方向D1に延伸しており、その連結ネジ部材52にはそれぞれ、雄ネジが形成されている。その複数の連結ネジ部材52としては、例えば、ボルト、プラスネジ、またはマイナスネジなどを採用することができる。すなわち、複数の連結ネジ部材52はそれぞれ、雄ネジを有するネジ軸と、そのネジ軸に対し第1方向D1の一方側に設けられたネジ頭部とから構成され、そのネジ頭部は、ネジ軸およびそのネジ軸が挿通される一方側部材50の貫通孔50cに対し拡径している。
【0202】
また、その複数の連結ネジ部材52の雄ネジは、カバー周囲部401のネジ穴401eの雌ネジにそれぞれ螺合されている。詳細には、複数の連結ネジ部材52はそれぞれ、第1方向D1の一方側から一方側部材50の貫通孔50cと弾性シール42の貫通孔42aとに挿通された上で、第1方向D1の一方側からカバー周囲部401のネジ穴401eに螺合されている。
【0203】
従って、複数の連結ネジ部材52は、第1方向D1に沿った方向視ではカバー周囲部401のネジ穴401eと同じ位置に配置される。なお、カバー周囲部401のネジ穴401eに対する連結ネジ部材52の螺合では、連結ネジ部材52は、ネジ穴401eから外れない程度に締め込まれていればよく、弾性シール42を連結ネジ部材52の締込みによって圧縮変形させる必要はない。
【0204】
介在接着層22は、カバー部40と壁部94の一方面94aとの間に配置された接着層であり、そのカバー部40を一方面94aに対して接着する。詳細には、その介在接着層22は、カバー周囲部401およびカバー底部402のそれぞれと壁部94の一方面94aとの間に配置されている。そして、介在接着層22は、そのカバー周囲部401およびカバー底部402のそれぞれを一方面94aに対して接着する。
【0205】
なお、本実施形態の介在接着層22は第1実施形態の介在接着層22と同様の接着剤で構成されている。従って、本実施形態では、カバー部40は、介在接着層22の接着剤が固化することにより壁部94の一方面94aに接合される。
【0206】
以上のように構成された超音波センサ10をバンパー93の壁部94へ取り付ける取付工程について説明する。先ず、図18Aに示すように、固定部他端面12aに固定接着部13が貼り付けられた固定部12が用意される。そして、その固定部12が、矢印B1で示すように、固定部12と壁部94との間に固定接着部13を挟んだ状態で壁部94の一方面94aに接着固定される。このとき、固定接着部13が十分な接着力を発揮できるように、固定部12は壁部94の一方面94aに対して押し付けられ、接着テープである固定接着部13が第1方向D1に圧縮され潰される。
【0207】
次に、図18Bに示すように、介在接着層22を構成する液状の接着剤ADが、壁部94の一方面94aのうち固定本体部124の内側に位置する部位(すなわち、カバー部40が接合される部位)に塗布される。その接着剤ADとしては、例えば二液タイプのエポキシ系接着剤を採用することができる。
【0208】
このとき、その接着剤ADが塗布された部位が、固定本体部124と固定接着部13とにより全周にわたって囲まれているので、その接着剤ADは、固定本体部124の外側にまで濡れ拡がることはない。要するに、作業者が意図しない範囲にその接着剤ADが塗布されることが防止されている。
【0209】
次に、図18Cに示すように、振動子14と回路基板31とカバー部40と弾性シール42と連結部材44と背面カバー46と一方側部材50と複数の連結ネジ部材52とを構成部品として含む振動子組立品54が用意される。その振動子組立品54は、複数の連結ネジ部材52がカバー周囲部401の複数のネジ穴401eにそれぞれ螺合されることにより振動子組立品54の複数の構成部品が互いに連結し組み立てられたものである。
【0210】
そして、カバー部40が、矢印B2で示すように第1方向D1の一方側から固定部12の本体内周孔124a内へ挿入されるようにして、振動子組立品54が固定部12に対して組み合わされる。このとき、カバー周囲部401が固定本体部124の内周面124dにガイドされながらカバー部40は本体内周孔124a内へ挿入される。そのため、振動子14とカバー部40とが壁部94の一方面94aに対し正対した姿勢でカバー部40はその一方面94aに貼り付けられる。
【0211】
次に、図18Dに示すように、複数の調整ネジ部材51が、一方側部材50の貫通孔50bに挿通されると共に固定部12のネジ穴124bへそれぞれ螺合され、締め付けられる。これにより、一方側部材50が第1方向D1の他方側(すなわち、固定部12側)へ、矢印B3で示すように押し付けられる。そして、液状の接着剤ADが壁部94の一方面94aとカバー部40との間で潰されながら、一方面94aに沿って矢印B4のように押し拡げられる。
【0212】
このとき、同時に、振動子14が壁部94の一方面94aに対しカバー底部402と介在接着層22とを挟んで密着するように、壁部94の一方面94aに対する振動子14およびカバー部40の位置と姿勢とが調整される。この振動子14およびカバー部40の位置と姿勢の調整は、複数の調整ネジ部材51それぞれの締め付け程度の加減によって行われる。本実施形態では調整ネジ部材51が4本設けられているので、振動子14の二軸の姿勢調整(言い換えると、二軸の傾き調整)が可能である。
【0213】
また、この状態において、カバー部周囲隙間401cは超音波センサ10の外部へ開放され、且つ、接着剤ADにより構成される介在接着層22にまで到達している。そのため、接着剤ADの内部に気泡などの空気が含まれていたとしても、その接着剤AD内の空気は、カバー部40が壁部94の一方面94aに押し付けられることに伴って、矢印B5のようにカバー部周囲隙間401cを通じて超音波センサ10の外部へ排出される。
【0214】
また、カバー部40と振動子14とが壁部94の一方面94aに押し付けられることに伴って、弾性シール42は、カバー周囲部401と一方側部材50とに挟まれながら第1方向D1に圧縮変形する。この圧縮変形可能な弾性シール42によって、カバー部40に対する振動子14の相対的な位置および姿勢のバラツキが或る程度吸収される。なお、弾性シール42が第1方向D1に圧縮変形させられると、それに応じて、連結ネジ部材52のネジ頭部は、一方側部材50に形成された座面から浮き上がることになる。
【0215】
また、複数の調整ネジ部材51がネジ穴124bへそれぞれ螺合され強く締め付けられるほど、壁部94に固定された固定部12はその複数の調整ネジ部材51を介して、振動子14とカバー部40とを壁部94の一方面94aへ強く押圧するように作用する。すなわち、複数の調整ネジ部材51の締付け力に応じて、固定部12は、一方側部材50と複数の調整ネジ部材51とを介して、カバー部40と振動子14とを共に壁部94の一方面94aに押し付ける。
【0216】
ここで、振動子14の姿勢調整と、壁部94の一方面94aに対する振動子14の押し付けとが完了した状態において、液状の接着剤ADがカバー部40と一方面94aとの間に収まりきらず余剰を生じる場合が想定される。そのような場合には、図18EのXA部分、XB部分に示すように、接着剤ADの余剰分は固定接着部13と固定本体部124とに塞き止められ、カバー部周囲隙間401cに入り込むことになる。すなわち、カバー部周囲隙間401cは接着剤ADの余剰分の逃がしとして機能する。そして、固定接着部13と固定本体部124は、液状の接着剤ADが所望の範囲内にのみ塗布されるように接着剤ADの拡がりを制限する役割を果たす。
【0217】
そして、図18Eに示すように、振動子14の姿勢調整と、壁部94の一方面94aに対する振動子14の押し付けとが完了した後に、介在接着層22を構成する接着剤ADは固化される。例えば、その接着剤ADは、所定の硬化時間、放置されることによって固化される。このようにして、バンパー93の壁部94に対する超音波センサ10の取付けは完了する。
【0218】
(1)上述したように、本実施形態によれば、第1方向D1に沿った方向視では振動子14とカバー部40との相対位置が拘束されるように、振動子14とカバー部40は互いに連結されている。カバー部40は、固定部12に対し第1方向D1へ相対移動可能なように固定部12の内側に嵌め入れられ、振動子14とカバー部40は調整機構20へ連結している。そして、固定部12は調整機構20を介して、カバー部40と振動子14とを共に壁部94の一方面94aに押し付ける。
【0219】
従って、壁部94に対する超音波センサ10の取付工程では、固定本体部124の内周面124dにカバー周囲部401の外周面401bを沿わせながら、図18Cの矢印B2で示すようにカバー部40を固定部12の本体内周孔124aに挿入することができる。これにより、振動子14とカバー部40とが壁部94の一方面94aに対し正対した姿勢で、その振動子14とカバー部40とを含む振動子組立品54を固定部12に装着することができる。例えば、壁部94の一方面94aに対し振動子14が不必要に傾くことを防止することができ、第1方向D1に沿った方向視で本体内周孔124aの中心に振動子14を精度良く設置することができる。
【0220】
(2)また、本実施形態によれば、カバー周囲部401は、第1方向D1に沿った方向視で振動子14の周りに設けられている。カバー底部402は、カバー周囲部401の内側のカバー内空間401aをそのカバー内空間401aに対する第1方向D1の他方側で塞ぎ、カバー周囲部401に連結している。そして、振動子14は、その振動子14と壁部94の一方面94aとの間にカバー底部402と介在接着層22とを挟んだ状態で一方面94aに押し付けられる。
【0221】
従って、超音波センサ10の取付工程において、カバー部他端面40aで介在接着層22を構成する接着剤ADを固化前に押し拡げることができる。そのため、その接着剤ADの内部に含まれた気泡を追い出し、例えば薄く均一な厚みの介在接着層22を形成することが可能である。
【0222】
(3)また、本実施形態によれば、カバー部40は、第1方向D1の他方側に形成され介在接着層22により壁部94の一方面94aに接着されるカバー部他端面40aを有する。そして、固定部12は、第1方向D1の他方側に形成された固定部他端面12aを有する。その固定部他端面12aは、第1方向D1に沿った方向視でカバー部他端面40aを囲むように環状に連続して壁部94の一方面94aに接合される。
【0223】
従って、図18Bに示すように、超音波センサ10の取付工程において、介在接着層22を構成する液状の接着剤ADの塗布時に、その接着剤ADが固定本体部124の外側へ誤って流れ拡がることを防止することが可能である。また、液状の接着剤ADが壁部94の一方面94aとカバー部他端面40aとの間で図18Dの矢印B4のように押し拡げられたときに、その接着剤ADが固定本体部124の内側から溢れて拡がり過ぎることを防止することが可能である。
【0224】
(4)また、本実施形態によれば、図18Eに示すように、カバー周囲部401の外周面401bと、その外周面401bに対向する固定部12の内周面124dとの間にはカバー部周囲隙間401cが形成される。そして、そのカバー部周囲隙間401cは外部へ開放され、且つ介在接着層22にまで到達する。
【0225】
従って、超音波センサ10の取付工程において、液状の接着剤ADが壁部94の一方面94aとカバー部他端面40aとの間で押し拡げられたときに、XA部分、XB部分に示すように、接着剤ADの余剰分をカバー部周囲隙間401cに逃がすことができる。そして、その接着剤ADによって構成される介在接着層22の厚みを安定して薄くすることができる。
【0226】
(5)また、本実施形態によれば、カバー部40は、そのカバー部40と一方側部材50との間に弾性シール42を挟んだ状態で一方側部材50に連結されている。固定部12は一方側部材50を介して、カバー部40部と振動子14とを共に壁部94の一方面94aに押し付ける。そして、カバー部40と振動子14とが壁部94の一方面94aに押し付けられることに伴って、弾性シール42は第1方向D1に圧縮変形する。
【0227】
従って、超音波センサ10の取付工程において、壁部94の一方面94aに押し付けられたカバー部40および振動子14の姿勢とカバー部他端面40aの面形状とが一方面94aの形状に追従しやすい。そのため、固化前の液状の接着剤ADを薄く均一な厚みで押し拡げることが可能である。
【0228】
また、壁部94の一方面94aへの押付けに伴い、カバー底部402が第1方向D1の他方側へ僅かながら膨らむように変形されやすくなる。そのため、固化前の接着剤ADをその接着剤ADの中心部から周縁部分へ押し出す作用も得られ、接着剤ADの内部に含まれる気泡を安定して排出することが可能である。
【0229】
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0230】
(第13実施形態)
次に、第13実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第12実施形態と異なる点を主として説明する。
【0231】
図19に示すように、本実施形態の超音波センサ10は第12実施形態と同様のものであるが、その超音波センサ10が取り付けられる壁部94の形状が第12実施形態とは異なる。
【0232】
具体的に、第12実施形態の壁部94は平板状であるが、本実施形態の壁部94は第1方向D1の他方側へ張り出すように湾曲している。従って、本実施形態の超音波センサ10が固定される壁部94の一方面94aは、凹状に湾曲した湾曲面になっている。
【0233】
そのため、壁部94に対する超音波センサ10の取付工程において、その湾曲した壁部94の一方面94aの形状に追従して固定端外周部125とカバー底部402とがそれぞれ変形する。
【0234】
具体的には、固定部12が壁部94の一方面94aに接着固定される際にその一方面94aに対して押し付けられるので、それに伴い、固定端外周部125は、壁部94の一方面94aに沿うように湾曲する。これにより、固定端外周部125は、固定本体部124から外側へ離れるほど第1方向D1の一方側に位置するように湾曲した形状で固定される。
【0235】
また、介在接着層22を構成する接着剤ADの固化前においては、カバー周囲部401と振動子14との第1方向D1への位置ズレが弾性シール42の圧縮変形により僅かに許容される。そのため、複数の調整ネジ部材51がそれぞれ締め付けられることに伴い、振動子14とカバー部40とが壁部94の一方面94aに押し付けられる際に、カバー底部402がその一方面94aの形状に従って変形する。詳細には、その場合、カバー底部402は、壁部94の一方面94aの形状に応じて、カバー周囲部401に対し第1方向D1の他方側へ膨らむ。
【0236】
また、本実施形態では第12実施形態と異なり、固定接着部13が二分割されている。すなわち、本実施形態の固定接着部13は、固定本体部124と壁部94の一方面94aとの間に配置される内側接着部131と、固定端外周部125と壁部94の一方面94aとの間に配置される外側接着部132とから構成されている。そして、その外側接着部132は、内側接着部131よりも外周側に設けられている。
【0237】
以上説明したことを除き、本実施形態は第12実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第12実施形態と共通の構成から奏される効果を第12実施形態と同様に得ることができる。
【0238】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、図1に示すように、超音波センサ10は樹脂製のバンパー93の一部に取り付けられるが、これは一例である。例えば、超音波センサ10は、車体パネル92など金属板の一部に取り付けられても差し支えない。
【0239】
(2)上述の第1実施形態では、図3に示すように、第1、第2ネジ軸部201b、202bはそれぞれ、固定部12に対し相対移動不能に連結しているが、これは一例である。逆に、第1、第2ネジ軸部201b、202bは固定部12に対し相対移動可能に設けられ、第1、第2ナット201a、202aがそれぞれ、固定部12に対し相対移動不能に連結していても差し支えない。その場合には、例えば、第1、第2ナット201a、202aはそれぞれ、固定部12に対し相対移動不能に連結しているが、固定部12に対し相対回転可能とされる。そして、第1、第2ネジ軸部201b、202bはそれぞれ連結体203に固定される。
【0240】
(3)上述の第4実施形態では、図7に示すように、振動子14は、第2方向D2の一方側ほど整合層16の他端面162と壁部94の一方面94aとの間の距離DSが小さくなる姿勢で、壁部94に対して固定されるが、これは一例である。
【0241】
例えば、整合層16の他端面162と壁部94の一方面94aとの間の距離DSが第2方向D2の位置によらず均一にされ、壁部94から第1方向D1の他方側へ発せられる超音波振動の指向性が第2方向D2の一方側へ傾けられることも想定できる。その場合には例えば、調整機構20は、振動子14の押付け状態を、第2方向D2の一方側ほど振動子14が壁部94の一方面94aに強く押し付けられた状態にする。
【0242】
(4)上述の各実施形態では、例えば図2の駆動素子15が送受信する振動は超音波振動であるが、超音波振動よりも周波数が低い振動であっても差し支えない。
【0243】
(5)上述の各実施形態では、超音波センサ10は、超音波を送受信可能に構成されているが、超音波を受信してその受信結果に応じた検知信号を生成する受信機能を備えていなくても差し支えない。
【0244】
(6)上述の第2実施形態では、図4に示すように、調整機構20に含まれる弾性体は、コイルバネである押付バネ204であるが、これは一例である。例えば、調整機構20に含まれる弾性体はコイルバネに限らず、板バネまたは無硫黄加硫のゴムであっても差し支えない。また、その調整機構20に含まれる弾性体としてのバネは金属製であっても樹脂製であってもよい。このことは、第2実施形態以外の実施形態において押付バネ204が設けられていれば、その実施形態でも同様である。
【0245】
(7)上述の第9実施形態では、図13に示すように、第1、第2ラチェット爪211a、212aはそれぞれ連結体203に連結し、第1、第2ラック211b、212bはそれぞれ固定部12に連結しているが、これらの連結関係は逆であってもよい。すなわち、第1、第2ラチェット爪211a、212aがそれぞれ固定部12に連結し、第1、第2ラック211b、212bがそれぞれ連結体203に連結していてもよい。
【0246】
(8)上述の各実施形態では、例えば図3に示す固定接着部13は、その固定接着部13の接着剤が固化することにより、固定部12を壁部94の一方面94aに対して接着固定するが、その接着剤の固化は必須ではない。例えば、固定接着部13が十分な接着力を発揮するのであれば、固定接着部13は、固化しない接着剤を含んだ接着テープなどで構成されていても差し支えない。このことは、超音波センサ10に含まれる他の接着部分(例えば、介在接着層22など)に関しても同様である。
【0247】
(9)上述の第12、第13実施形態では、図16に示すように、一方側部材50と弾性シール42とカバー部40との相互連結を保持するために、複数の連結ネジ部材52が設けられているが、その相互連結を保持するための構成は種々変形されてもよい。
【0248】
例えば図20に示すように、連結ネジ部材52のネジ頭部と、一方側部材50の座ぐり穴に形成された座面との間に、第1方向D1へ弾性変形可能なバネ座金52aが設けられてもよい。
【0249】
また、図16の連結ネジ部材52が、図21図22に示す突起軸部材56に置き換わってもよい。その突起軸部材56は、第1方向D1の一方側に設けられた先端突起部561と、第1方向D1の他方側に設けられた基端部562と、第1方向D1に延伸し先端突起部561と基端部562との間に設けられた中間軸部563とを有している。この図21の例では、図16のカバー部40のネジ穴401eは、雌ネジの無い止め穴である軸固定穴401fに置き換えられる。突起軸部材56の基端部562はこの軸固定穴401fへ嵌め入れられ、その軸固定穴401fへの圧入または接着などによりカバー周囲部401に対して固定される。
【0250】
そして、中間軸部563が一方側部材50の貫通孔50cと弾性シール42の貫通孔42aとに挿通され、先端突起部561は、中間軸部563と一方側部材50の貫通孔50cとに対し拡径している。また、先端突起部561は、第1方向D1の一方側ほど直径が小さくなるテーパ面561aを有している。突起軸部材56の先端突起部561にはスリットが形成され、これにより先端突起部561は、弾性変形して縮径することが可能な構成になっている。そのため、例えば突起軸部材56を一方側部材50の貫通孔50cに挿通する作業工程では、先端突起部561が貫通孔50cを通るときには縮径し、その貫通孔50cを通過した後には元の大きさに戻って突起軸部材56が貫通孔50cから抜けなくなる。
【0251】
また、図16の連結ネジ部材52が、図23に示す突起軸部材57に置き換わってもよい。その突起軸部材57は、第1方向D1の一方側に設けられた先端突起部571と、第1方向D1の他方側に設けられた基端部572と、第1方向D1に延伸し先端突起部571と基端部572との間に設けられた中間軸部573とを有している。この図23の例でも、図16のカバー部40のネジ穴401eは、図21の例と同様の軸固定穴401fに置き換えられる。
【0252】
図23の例では、突起軸部材57の基端部572は図21の突起軸部材56の基端部562と同様であり、突起軸部材57の中間軸部573は図21の突起軸部材56の中間軸部563と同様である。但し、突起軸部材57の先端突起部571は、図21の突起軸部材56の先端突起部561に対し異なっている。
【0253】
具体的に、図23の先端突起部571は、図21の先端突起部561と同様に中間軸部573と一方側部材50の貫通孔50cとに対し拡径し、図21の先端突起部561のテーパ面561aと同様の第1テーパ面571aを有している。更に、図23の先端突起部571は、第1方向D1の他方側ほど直径が小さくなる第2テーパ面571bを、第1テーパ面571aよりも第1方向D1の他方側に有している。
【0254】
例えば、突起軸部材57は、その先端突起部571の第2テーパ面571bを一方側部材50の座ぐり穴の座面内側に接触させた状態で、一方側部材50と弾性シール42とカバー部40との相互連結を保持する。これにより、突起軸部材57は、カバー部40を一方側部材50に対し第1方向D1に近づけるように付勢することができる。なお、図23におけるXXIIa方向の矢視図は図22になる。
【0255】
(10)上述の各実施形態では、例えば図2に示すように、振動子14は駆動素子15と整合層16とを有しているが、例えば図24に示すように、振動子14は、駆動素子15を有するが整合層16を有していない構成であっても差し支えない。なお、図24の例では、介在接着層22(図2参照)は設けられていないので、振動子14は、壁部94の一方面94aに対し接着されずに押し付けられる。また、図24の例では、固定接着部13(図2参照)も設けられていないので、接着以外の接合方法、例えば溶着などによって、固定部12は壁部94に固定されている。
【0256】
(11)上述の各実施形態では、駆動素子15は、例えば積層された複数の圧電素子によって構成されているが、1つの圧電素子によって構成されていても差し支えない。更に言えば、駆動素子15は、振動を発生させるものであれば圧電素子以外の構成要素で構成されていても差し支えない。
【0257】
(12)上述の第12、第13実施形態では、図16に示すように、カバー部40はカバー底部402を有しているが、そのカバー底部402が設けられていないことも想定される。その場合、整合層16が介在接着層22に接触し、その介在接着層22によって壁部94の一方面94aに接着されることになる。
【0258】
(13)上述の第12、第13実施形態では、図16に示すように、整合層16は、カバー底部402に対し密着し接合されているが、カバー底部402に対し密着していればよく接合されていなくてもよい。このようにした場合にも、複数の連結ネジ部材52と一方側部材50の貫通孔50cとの嵌合を利用すれば、第1方向D1に沿った方向視で振動子14の位置がカバー部40に対し相対的に拘束されるようにすることができる。
【0259】
(14)上述の第13実施形態では、図19に示すように、超音波センサ10が固定される壁部94の一方面94aは、凹状に湾曲した湾曲面になっているが、これは一例である。例えば逆に、その一方面94aは、凸状に湾曲した湾曲面になっていても差し支えない。
【0260】
(15)例えば上述の第1実施形態の図3では、整合層16の他端面162が全面にわたって壁部94の一方面94aに押し付けられているが、これは一例である。その整合層16の他端面162の全面ではなく一部分が、壁部94の一方面94aに押し付けられることも想定される。
【0261】
(16)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【0262】
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0263】
(本発明の特徴)
[請求項1]
壁部(94)に取り付けられる振動装置(10)であって、
前記壁部の一方面(94a)に固定される固定部(12)と、
前記一方面に対して連結し、前記一方面に振動を印加する振動子(14)と、
前記振動子を前記固定部に連結し、前記固定部に対する前記振動子の相対的な位置と傾きとの少なくとも何れかによって表される振動子状態を調整可能に構成された調整部(20)とを備え、
前記固定部は前記調整部を介して、前記振動子を前記一方面に押し付ける、振動装置。
[請求項2]
接着層(22)を備え、
前記振動子は、前記一方面に印加される振動を発生する駆動素子(15)と、該駆動素子に対し前記壁部側に配置され前記駆動素子に連結し前記駆動素子と前記壁部との間で振動を伝達する振動伝達部(16)とを含み、
前記接着層は、前記振動伝達部と前記一方面との間に配置され、該振動伝達部を該一方面に対して接着する、請求項1に記載の振動装置。
[請求項3]
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記調整部は、前記固定部に対する前記振動子の相対位置を前記一方向へ調整可能な調整構造を有する、請求項1または2に記載の振動装置。
[請求項4]
前記調整構造は、前記固定部に対する前記振動子の相対的な傾きも調整可能な構成となっている、請求項3に記載の振動装置。
[請求項5]
前記調整構造は、雌ネジが形成された雌ネジ形成部(124c、201a、202a、205a、208)と、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成された雄ネジ形成部(51、201b、202b、205b、206)とを有し、
前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部との一方は前記固定部に対し相対移動不能に連結し、
前記固定部に対する前記振動子の相対位置は、前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部とが相対回転させられることにより調整される、請求項3または4に記載の振動装置。
[請求項6]
前記調整構造は、前記一方向の前記一方側とは反対側の他方側へ前記振動子を押す押圧部(122、203)と、該押圧部に連結した押圧側構成部(211a、212a、213a)と前記一方面に前記固定部を介して固定される固定側構成部(211b、212b、213b)とを含むラチェット機構(211、212、213)とを有し、
該ラチェット機構は、前記押圧側構成部が前記固定側構成部に対し前記一方向の前記一方側へ相対的に移動することを阻止し、前記押圧側構成部が前記固定側構成部に対し前記一方向の前記他方側へ相対的に移動することを許容する、請求項3または4に記載の振動装置。
[請求項7]
前記調整部は、弾性変形可能な弾性体(204)を有し、
前記固定部は前記調整部の前記弾性体を介して、前記振動子を前記一方面に押し付ける、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の振動装置。
[請求項8]
前記調整部は、前記振動子が前記一方面に押し付けられた状態を調整することにより、前記壁部から前記振動子側とは反対側へ発せられる振動の指向性を調整する、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の振動装置。
[請求項9]
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記調整部は、前記固定部に対する前記振動子の相対的な傾きを調整可能な調整構造を有し、
前記振動子は、該振動子のうち前記一方向の前記一方側とは反対側の他方側に設けられ前記一方面に対向し該一方面に対し接着層(22)を介して接着される振動子対向面(162)を有し、
前記振動子は、前記一方向に垂直な一垂直方向(D2)の一方側ほど前記振動子対向面と前記一方面との間の距離(DS)が小さくなる姿勢で、前記壁部に対して固定される、請求項1に記載の振動装置。
[請求項10]
前記調整構造は、雌ネジが形成された雌ネジ形成部(124c、201a、202a、205a)と、前記雌ネジに螺合する雄ネジが形成された雄ネジ形成部(51、201b、202b、205b)とを有し、
前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部との一方は前記固定部に対し相対移動不能に連結し、
前記固定部に対する前記振動子の相対的な傾きは、前記調整構造において前記雌ネジ形成部と前記雄ネジ形成部とが相対回転させられることにより調整される、請求項9に記載の振動装置。
[請求項11]
前記振動子を囲むカバー部(40)を備え、
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記一方向に沿った方向視では前記振動子と前記カバー部との相対位置が拘束されるように、前記振動子と前記カバー部は互いに連結され、
前記固定部は、前記振動子と前記カバー部とを囲むように形成され、
前記固定部の内側には、前記カバー部が前記固定部に対し前記一方向へ相対移動可能なように嵌め入れられ、
前記振動子と前記カバー部は前記調整部へ連結し、
前記固定部は前記調整部を介して、前記カバー部と前記振動子とを共に前記一方面に押し付ける、請求項1または2に記載の振動装置。
[請求項12]
カバー部(40)と、
前記カバー部と前記一方面との間に配置され、該カバー部を該一方面に対して接着する接着層(22)とを備え、
前記壁部は、一方向(D1)に厚みを有し、
前記一方面は、前記壁部において前記一方向の一方側に形成され、
前記カバー部は、前記一方向に沿った方向視で前記振動子の周りに設けられ該振動子を収容するカバー内空間(401a)を内側に形成するカバー周囲部(401)と、前記カバー内空間を該カバー内空間に対する前記一方向の前記一方側とは反対側の他方側で塞ぎ前記カバー周囲部に連結し前記一方面に前記接着層を介して接着されるカバー底部(402)とを有し、
前記振動子と前記カバー周囲部は前記調整部へ連結し、
前記固定部は前記調整部を介して、前記カバー部と前記振動子とを共に前記一方面に押し付け、
前記振動子は、該振動子と前記一方面との間に前記カバー底部と前記接着層とを挟んだ状態で前記一方面に押し付けられる、請求項1に記載の振動装置。
[請求項13]
前記固定部は、前記一方向の前記他方側に形成された固定部他端面(12a)を有し、前記一方向に沿った方向視で前記カバー周囲部を囲むように形成され、
前記固定部の内側には、前記カバー部が前記固定部に対し前記一方向へ相対移動可能なように嵌め入れられ、
前記カバー部は、前記一方向の前記他方側に形成され前記接着層により前記一方面に接着されるカバー部他端面(40a)を有し、
前記固定部他端面は、前記一方向に沿った方向視で前記カバー部他端面を囲むように環状に連続して前記一方面に接合される、請求項12に記載の振動装置。
[請求項14]
前記カバー周囲部の外周面(401b)と、該外周面に対向する前記固定部の内周面(124d)との間にはカバー部周囲隙間(401c)が形成され、
該カバー部周囲隙間は外部へ開放され、且つ前記接着層にまで到達する、請求項13に記載の振動装置。
[請求項15]
圧縮変形可能な変形部(42)を備え、
前記調整部は、前記振動子と前記カバー部とに対し前記一方向の前記一方側に配置され前記振動子が固定された一方側部材(50)を有し、
前記カバー部は、該カバー部と前記一方側部材との間に前記変形部を挟んだ状態で前記一方側部材に連結され、
前記固定部は前記調整部の前記一方側部材を介して、前記カバー部と前記振動子とを共に前記一方面に押し付け、
前記カバー部と前記振動子とが前記一方面に押し付けられることに伴って、前記変形部は前記一方向に圧縮変形する、請求項11ないし14のいずれか1つに記載の振動装置。
【符号の説明】
【0264】
10 超音波センサ
12 固定部
14 振動子
20 調整機構(調整部)
94 壁部
94a 一方面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19
図20
図21
図22
図23
図24