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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181893
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】遠心ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/30 20060101AFI20231218BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F04D29/30 A
F04D29/30 F
F04D29/60 H
F04D29/30 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095272
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 純一
(72)【発明者】
【氏名】青木 弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝彦
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC30
3H130BA14C
3H130BA23C
3H130BA62C
3H130CB01
3H130EA08C
3H130EB01C
3H130EC05C
3H130EC12C
3H130EC17C
3H130ED04C
(57)【要約】
【課題】ブレードを金属材で形成することで厚さを薄くした遠心ファンを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の遠心ファン1は、複数のブレード3を備える遠心ファン1であって、ブレード3を金属材により形成し、ブレード3の厚さTを0.15mm以下とすることにより、風量を増加させ、騒音を抑制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の羽根を備える遠心ファンであって、
前記羽根が金属材により形成され、
前記羽根の厚さが0.15mm以下であることを特徴とする遠心ファン。
【請求項2】
前記羽根の枚数が30枚以上であることを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン。
【請求項3】
前記羽根の外側面部又は内側面部の少なくとも一方に整流部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン。
【請求項4】
前記整流部が凸状部又は凹状部であることを特徴とする請求項3に記載の遠心ファン。
【請求項5】
前記複数の羽根に接続される円環板部をさらに備え、
前記円環板部が金属材により形成される場合には、前記羽根と前記円環板部が溶接により接続され、前記円環板部が樹脂材により形成される場合には、前記羽根と前記円環板部がインサート成型により接続されることを特徴とする請求項1に記載の遠心ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種送風装置に組み込まれる遠心ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多翼ファンやシロッコファンと称される遠心ファンが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1に記載の遠心ファン(1000)は、遠心ファンインペラ(100)を備えている。この遠心ファンインペラ(100)は、リング(12)と、背面プレート(14)と、複数のファンブレード(20)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-19758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、遠心ファンのブレードは薄くすることで風量が増し、騒音を抑制することができるが、ブレードを合成樹脂により成型する場合、強度的にブレードの厚さは0.2mm(ミリメートル)程度が限界であるという問題があった。
【0005】
また、合成樹脂製のブレードは、金型により射出成型されることが一般的であるが、金型の強度を確保するため、各ブレードの間には一定程度以上の間隔が必要である。そのため、ブレードの枚数が制限されてしまうという問題があった。
【0006】
さらに、合成樹脂製のブレードを金型により射出成型する場合には、金型の抜き方向が限定されるため、ブレード表面の形状の自由度が少ないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、以上の課題を解決し、ブレードを金属材で形成することで厚さを薄くした遠心ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遠心ファンは、複数の羽根を備える遠心ファンであって、前記羽根が金属材により形成され、前記羽根の厚さが0.15mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、風量を増加させ、騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の遠心ファンと平面図である。
図2】本発明の一実施形態の遠心ファンの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態のブレードの正面図である。
図4】本発明の一実施形態のブレードの背面図である。
図5】本発明の一実施形態のブレードの外面側斜視図である。
図6】本発明の一実施形態のブレードの内面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明における好ましい遠心ファンの実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態の構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態の遠心ファン1は、ファンカップ2と、複数のブレード(羽根)3と、全てのブレードを接続する円環板部4と、ファンカップ2と円環板部4とを接続する接続板部5と、を有している。
【0013】
ファンカップ2はステンレス等の金属材により形成されている。ファンカップ2は有底円筒状に形成されており、内部に駆動用のモータ(図示せず)が収容されている。
【0014】
ブレード3はステンレス等の金属材により形成されており、67枚設けられている。本実施形態においては隣り合うブレード3の間隔Sは全て均一であるが、間隔Sが異なっていてもよい。ブレード3は、遠心ファン1の外側方向に向く面である外側面部6側が凸、遠心ファン1の内側方向に向く面である内側面部7側が凹となるように湾曲している。外側面部6と内側面部7の曲率は、送風量や送風による騒音等を考慮して決定することができる。
【0015】
図3及び図4に示すように、ブレード3は、中板部8と、中板部8よりも遠心ファン1の径方向内側に配置される内板部9と、中板部8よりも遠心ファン1の径方向外側に配置される外板部10と、を一体に有している。ブレード3の厚さTは0.15mm以下となっている。
【0016】
中板部8の長手方向の一辺部11には矩形状の凸板部12が突設されており、中板部8の長手方向の他辺部13には矩形状の凸板部14が突設されている。中板部8の凸板部12、14を除いた部分は矩形状に形成されている。
【0017】
内板部9は矩形状に形成されており、長手方向の長さL1が中板部8の凸板部12、14を除いた部分の長手方向の長さL2と同一に形成されている。
【0018】
外板部10は等脚台形状に形成されており、底辺部15の長さL3が中板部8の凸板部12、14を除いた部分の長手方向の長さL2と同一に形成されている。
【0019】
長さL1~L3を長くすることで風量を増加させることができるため、必要とする風量を考慮し、長さL1~L3を決定することができる。
【0020】
本実施形態のブレード3の枚数と形状は上述のとおりであるが、遠心ファン1の前後の圧力差(下流側の圧力-上流側の圧力)Pと流量Qの関係を示したP-Q特性を考慮し、所望の枚数や形状とすることができる。また、異なる形状を有する複数のブレード3を用いてもよい。ブレード3の枚数は30枚以上とすることで、一定程度望ましいP-Q特性を得ることができ、60枚以上とすることで、より望ましいP-Q特性を得ることができる。
【0021】
本実施形態のブレード3は、外側面部6と内側面部7は凹凸が無く滑らかな表面となっているが、例えば図5及び図6に示すように、外側面部6に遠心ファン1の回転方向Dと平行に凸状部16を係止し、内側面部7に遠心ファン1の回転方向Dと平行に凹状部17を形成し、風量や風向や風切り音(騒音)を調整してもよい。調整部である凸状部16と凹状部17は、ブレード3の短手方向の全長にわたって形成されている。図5及び図6では、凸状部16が2箇所に形成され、凹状部17が2箇所に形成されているが、1箇所や3箇所以上であってもよい。また、外側面部6に凹状部17を形成し、内側面部7に凸状部16を形成してもよい。さらに、外側面部6に凸状部16と凹状部17を形成し、内側面部7に凸状部16と凹状部17を形成してもよい。また、凸状部16と凹状部17は遠心ファン1の回転方向Dと平行でなくてもよい。凸状部16と凹状部17に限らず、外側面部6と内側面部7の何れか一方又は両方に風量や風向や風切り音を調整する何等かの調整部である凹凸形状を形成することができる。
【0022】
円環板部4はステンレス等の金属材により円環板状に形成されている。円環板部4は、全てのブレード3に接続されている。ブレード3の凸板部14が円環板部4の内部に挿入され、中板部8の長手方向の他辺部13が円環板部4の表面部18に当接している。本実施形態では、ブレード3と円環板部4を溶接(レーザー溶接等)により接続しているが、円環板部4を合成樹脂により形成し、インサート成型によりブレード3に接続してもよい。
【0023】
接続板部5はステンレス等の金属材により略矩形状に形成されている。接続板部5は、3箇所でファンカップ2と円環板部4に接続されている。3つの接続板部5は等間隔に設けられている。なお、ファンカップ2と円環板部4を確実に接続するものであれば、接続板部5の数や形状は適宜変更可能である。
【0024】
以上のように、本実施形態の遠心ファン1は、複数のブレード3を備える遠心ファン1であって、ブレード3が金属材により形成され、ブレード3の厚さTが0.15mm以下であることにより、風量を増加させ、騒音を抑制することができる。
【0025】
また、本実施形態の遠心ファン1は、ブレード3の枚数が30枚以上であることにより、静圧を下げることができる。
【0026】
また、本実施形態の遠心ファン1は、ブレード3の外側面部6又は内側面部7の少なくとも一方に整流部を形成したことにより、風量、風向、騒音を調整することができる。
【0027】
また、本実施形態の遠心ファン1は、整流部が凸状部16又は凹状部17であることにより、簡易な形状により風量、風向、騒音を調整することができる。
【0028】
また、本実施形態の遠心ファン1は、複数のブレード3に接続される円環板部4をさらに備え、円環板部4が金属材により形成される場合には、ブレード3と円環板部4が溶接により接続され、円環板部4が樹脂材により形成される場合には、ブレード3と円環板部4がインサート成型により接続される。ブレード3と円環板部4が共に金属材により形成される場合には、溶接により強固に接続することができる。一方、ブレード3が金属材により形成され、円環板部4が樹脂材により形成される場合には、ブレード3と円環板部4をインサート成型により容易に接続することができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。遠心ファン1は、例えば、プロジェクター、パソコン、ゲーム機等に組み込まれる送風装置(図示せず)に用いることを想定しているが、その他の送風装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 遠心ファン
3 ブレード(羽根)
4 円環板部
6 外側面部
7 内側面部
16 凸状部(整流部)
17 凹状部(整流部)
T 厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6