(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181895
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】巻尺
(51)【国際特許分類】
G01B 3/1094 20200101AFI20231218BHJP
G01B 3/1092 20200101ALI20231218BHJP
【FI】
G01B3/1094
G01B3/1092
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095276
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】舟木 剛
【テーマコード(参考)】
2F011
【Fターム(参考)】
2F011AA04
2F011AC01
2F011AC07
2F011AD02
2F011AD06
(57)【要約】
【課題】テープの引出し角度を精度よくし、傾斜面Gにおける水平距離Xを精確かつ簡単に求めることができる巻尺を提供する。
【解決手段】テープ3を巻回中心回りに巻回してなる巻尺本体2と、巻尺本体2に設けられ、巻尺本体2の水平に対する傾斜角θを計測するスラントルール4と、巻尺本体2に設けられ、テープ3の先端30を視準点として視準する視準手段5と、を備え、テープ3の先端30が置かれた目的位置Bと巻尺本体2が置かれた基準位置Aとの2点間の斜距離Zをテープ3により計測し、視準手段5によりテープ先端30を視準した状態で、テープ3により計測された斜距離Zと、スラントルール4により計測された巻尺本体2の傾斜角θと、をそれぞれ読み取り、目的位置Bと基準位置Aとの斜距離Zと巻尺本体2の傾斜角θとから目的位置Bと基準位置Aとの水平距離Xを求める。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを巻回中心回りに巻回してなる巻尺本体と、
前記巻尺本体に設けられ、前記巻尺本体の水平に対する傾斜角を計測するスラントルールと、
前記巻尺本体に設けられ、前記テープの先端を視準点として視準する視準手段と、を備え、
前記テープの先端が置かれた目的位置と前記巻尺本体が置かれた基準位置との2点間の斜距離を前記テープにより計測し、
前記視準手段により前記テープ先端を視準した状態で、前記テープにより計測された前記斜距離と、前記スラントルールにより計測された前記巻尺本体の傾斜角と、をそれぞれ読み取り、前記目的位置と前記基準位置との前記斜距離と前記巻尺本体の傾斜角とから前記目的位置と前記基準位置との水平距離を求める、
ことを特徴とする巻尺。
【請求項2】
前記視準手段が前記巻尺本体の側面に設けられた2つの突起部であり、前記テープの先端と前記テープが前記巻尺本体から引出された引出し口とを結んだ線の延長上に、前記2つ突起部を結んだ線が一致または平行になるように前記巻尺本体の向きを調整することで、前記スラントルールを読み取り前記巻尺本体の傾斜角を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の巻尺。
【請求項3】
前記視準手段が前記テープの前記引出し口近傍に設けられたレーザポインタであって、前記レーザポインタで前記テープ先端を照射したときに、前記スラントルールを読み取り前記巻尺本体の傾斜角を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の巻尺。
【請求項4】
前記巻尺本体に演算手段を設けた、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の巻尺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、傾斜面における水平距離を精度よくかつ簡単に計測することができる巻尺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄塔を新設する際の現場調査において、建設予定位置周辺に工事の支障となるものが無いかについて確認を行うが、建設予定が山中である場合、傾斜面に建設しなければならない。
【0003】
鉄塔新設確認項目の一つである、「鉄塔脚位置の周辺確認」においては、鉄塔中心位置(基準位置A)から4つの脚方向に水平距離(例えば8m)を測定して、目的位置Bとしてその周辺確認を行っている。
【0004】
ところで、巻尺で距離を計測するとき、斜面である場合には斜距離しか計測することができない。
【0005】
そこで、テープの引出し角度を表示する角度表示部を備えた測量機器がある(特許文献1)。
【0006】
この特許文献1の測量機器は、テープの引出し角度を表示する角度表示部が設けられ、テープが引出されるのを案内するガイドが、巻尺部の巻回中心を同心にして揺動自在に設けられている。
【0007】
この測量機器によれば、基準位置Aにある測量機器の巻尺部からテープを目的場所(目的位置B)へ向けて引出すと、角度表示部によって、テープの引出し角度が表示され、基準位置Aから目的場所(目的位置B)までの斜距離が測定されるとともに、テープの引出し角度が角度表示部に表示されるため、測定された斜距離とテープの引出し角度(傾斜角度)に基づいて三角関数を用いて基準位置Aから目的場所(目的位置B)までの水平距離を計算することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の発明にあっては、テープが引出されるのを案内するガイドを巻尺部の巻回中心を同心にして揺動自在に設け、テープの引出し方向を規制しているが、テープの引出し量が多く(距離が長く)なると、テープの自重で、テープが撓んでガイドの向き(テープの引出し方向)が実際よりも下方を向いてしまい、テープの引出し角度を正しく計測できないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、テープの引出し角度を精度よくし、傾斜面における水平距離を精確かつ簡単に求めることができる巻尺を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、テープを巻回中心回りに巻回してなる巻尺本体と、前記巻尺本体に設けられ、前記巻尺本体の水平に対する傾斜角を計測するスラントルールと、前記巻尺本体に設けられ、前記テープの先端を視準点として視準する視準手段と、を備え、前記テープの先端が置かれた目的位置と前記巻尺本体が置かれた基準位置との2点間の斜距離を前記テープにより計測し、前記視準手段により前記テープ先端を視準した状態で、前記テープにより計測された前記斜距離と、前記スラントルールにより計測された前記巻尺本体の傾斜角と、をそれぞれ読み取り、前記目的位置と前記基準位置との前記斜距離と前記巻尺本体の傾斜角とから前記目的位置と前記基準位置との水平距離を求める、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の巻尺において、前記視準手段が前記巻尺本体の側面に設けられた2つの突起部であり、前記テープの先端と前記テープが前記巻尺本体から引出された引出し口とを結んだ線の延長上に、前記2つ突起部を結んだ線が一致または平行になるように前記巻尺本体の向きを調整することで、前記スラントルールを読み取り前記巻尺本体の傾斜角を計測する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の巻尺において、前記視準手段が前記テープの前記引出し口近傍に設けられたレーザポインタであって、前記レーザポインタで前記テープ先端を照射したときに、前記スラントルールを読み取り前記巻尺本体の傾斜角を計測する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の巻尺において、前記巻尺本体に演算手段を設けた 、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、巻尺本体に設けた視準手段により巻尺先端を視準するようにしたので、テープに撓みが生じていても、視準手段に基づいて巻尺本体の水平に対する傾斜角を精度よく計測することができ、この傾斜角と、同時に計測したテープ先端部(目的位置)と巻尺本体が置かれた基準位置との2点間の斜距離と、から前記視準点(目的位置)と前記基準位置との水平距離を精度よくかつ簡単に求めることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、視準手段として、巻尺本体に設けた2つの突起部で構成し、2つの突起部を結んだ線上にテープの先端が位置するように巻尺本体を傾けることで、簡単に精度よく巻尺本体の傾斜角を計測することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、視準手段として、レーザポインタで構成し、レーザポインタでテープ先端を照射することで、簡単に精度よく巻尺本体の傾斜角を計測することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、前記巻尺本体に演算手段を設けたので、スラントルールにより計測した巻尺本体の傾斜角と、目的位置に位置されたテープ先端と前記巻尺本体が置かれた基準位置との2点間の斜距離と、から前記目的位置と前記基準位置との水平距離を前記演算手段により即座に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図2及び
図3とともに本発明の実施の形態1を示し、本図は巻尺の正面図である。
【
図2】巻尺による計測状況を示しテンションを掛けてない状態を示す斜視図である。
【
図3】巻尺による計測状況を示し、テンションを掛けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の各実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
(実施の形態1)
この実施の形態1にかかる巻尺1は、巻尺本体2と、巻尺本体2に巻回された状態で装着されたテープ3と、巻尺本体2に設けられ巻尺本体2の傾斜角θを計測するスラントルール4と、巻尺本体に設けられ、前記テープ3の先端30を視準点として視準する視準手段5と、を備える。
【0022】
巻尺本体2はテープ3の幅よりやや大きい厚みで前後方向にやや長いケース状を呈し、その前端側の両角部が大きく削り取られ、削り取られて残った部分2aが前方に突き出すような形状をしており、この前端にテープ3が引出される引出し口20が形成されている。
【0023】
巻回され巻尺本体2に装着されたテープ3の巻回中心は、巻尺本体2の前記削り取られて残った部分2aの基部に位置され、これにより、巻回されたテープ3の巻回中心より前側の部分が削り取られた部分からはみ出るように位置され、テープ3の先端30が前記引出し口20から引出されている。これにより、引出し口20から引出されるテープ3は引出し量の多い少ない(巻回量の多い少ない)にかかわらず、常に、突起部50aと突起部50bとを結んだ延長線上に位置する引出し口20から引き出される。
【0024】
巻尺本体2の一方の側面(
図1で見えている側面)には、巻尺本体2の傾斜角θを計測するスラントルール4が設けられている。
【0025】
スラントルール4は、巻尺本体2の表側面に描かれた下方に凸の半円形状の角度目盛り40と、その中心位置に回動自在に設けられた指針41とからなり、前記目盛り40の中心位置と前記テープ3の巻回中心とが一致するようになっている。
【0026】
指針41は、帯状の板材で、一端が前記目盛り40の中心位置に立設されたピンに回動自在に支持され、他端が菱形状で先端が尖端になった指針部41aとなっている。
【0027】
目盛り40は、中心角が180°の角度目盛りで、前端の目盛りが「-90°」、後端の目盛りが「90°」、真中下端の目盛りが「0°」になっている。
【0028】
スラントルート4の指針41は、巻尺本体2を傾けても、自重により常に下方を向くため、指針部41aが指す目盛りが、巻尺本体2の傾斜角θを表示することになる。
【0029】
なお、巻尺本体2の他方の側面(
図1で見えていない側面)には、引出されたテープ3を巻き戻すためのハンドル(図示は省略する)が設けられており、ハンドルの回転中心がテープ3の巻回中心軸になっている。
【0030】
視準手段5は、巻尺本体2の前記目盛り40が描かれた側面と同じ側面に設けられた2つのピン状の突起部50から成り、前側の突起部50aは前記目盛り40の中心位置、すなわち、前記指針41が回動自在に支持された前記ピンであり、後側の突起部50bは、前側の突起部50aから後方へ離間した位置に立設された同一形状のピンである。
【0031】
上記2つの突起部50a、50bはこれらを結んだ延長線上に上記テープ3が引出される引出し口20が位置するように設けられている。
【0032】
また、巻尺本体2の上端面2bを水平にしたときに、突起部50aと突起部50bとを結んだ線も水平になるように、突起部50aと突起部50bとが設けられ、この状態で、後側の突起部50bの後方から前側の突起部50aを覗き込み、突起部50aと突起部50bとが重なって見えるときに、前記スラントルール4の指針41が「0°」を指し、これにより、巻尺本体2が水平であることが認識される。
【0033】
巻尺本体2の前記スラントルール4の後側には演算手段としての電卓6が設けられている。
【0034】
このような巻尺1により、傾斜面Gにおける基準位置Aと目的位置Bとの水平距離Xを求める場合、次のようにして行う。
【0035】
まず、作業員P1が基準位置A(鉄塔中心位置)に巻尺1を持って行き、巻尺本体2を基準位置A(鉄塔中心位置)で持ったままに留まり、作業員P2がテープ先端30を把持して、目的位置(鉄塔脚の建設予定位置)に移動する。
【0036】
巻回されたテープ3は巻尺本体2の引出し口20から引出され、テープ3の先端30が目的位置Bに位置され、このときの巻尺本体2から引出されたテープ3の目盛りを読み取ることで、基準位置Aと目的位置Bとの斜距離Zが計測される。ただし、このとき、引出されたテープ3は自重により中央部が撓んだ状態となってしまうため(
図2参考)、巻尺本体2の前記ハンドル(図示は省略する)でテープ3を巻き戻してテープ3にテンションを掛け(テープ3のたわみを解消し)、これにより、基準位置Aと目的位置Bとの精確な斜距離Zが計測される(
図3参考)。
【0037】
なお、
図2及び
図3は、作業員P1の目Eで突起部50aの後方から突起部50b方向を覗き込んでいる状態を示す。また、作業員P1、P2及び地面Gの縮尺よりも巻尺1を大きく示している。
【0038】
次に、視準手段5の2つの突起部50aと50bとの延長線上にテープ3の先端30が位置するようにする。
【0039】
具体的には、巻尺本体2後方から後側の突起部50bを覗き込み、前側の突起部50aと後側の突起部50bとが重なり合う延長線上にテープ3の先端30が位置するように、巻尺本体2を傾ける。
【0040】
そして、後側の突起部50bと前側の突起部50aとテープ3の先端30とが一線上に並んだときの、スラントルール4の目盛り40を読み取り、スラントルール4で巻尺本体2の傾斜角θを計測する。
【0041】
次に、計測した基準位置Aと目的位置B間の斜距離Zと、巻尺本体2の傾斜角θとに基づいて、前記電卓6により計算することで、基準位置Aと目的位置Bとの間の水平距離Xを求める。
【0042】
具体的には、基準位置Aと目的位置B間の斜距離Zと、基準位置Aと目的位置B間の水平距離Xとの関係は、
水平距離X=斜距離Zcosθ(θ:傾斜角)
であるため、cosθを三角関数表(図示は省略する)の傾斜角θから求め、上記関係式に挿入することで、簡単に水平距離Xを求めることができる。
【0043】
このような基準位置Aと目的位置Bとの間の斜距離Zの計測、巻尺本体2の傾斜角θの計測などの一連の作業は、スラントルール4、視準手段5及び電卓6を巻尺本体2に設けていることで、作業員P1ひとりで迅速に行うことができる。
【0044】
以上のように、実施の形態1にかかる巻尺1にあっては、視準手段5を設け、基準位置Aと目的位置Bとの傾斜角θ、すなわち、巻尺本体2の傾斜角を精度よく簡単に計測することができ、延いては、基準位置Aと目的位置Bとの水平距離Xを精度よく求めることができる。
【0045】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2にかかる巻尺7を示す。
【0046】
この実施の形態2にかかる巻尺7が上記した実施の形態1で示した巻尺1と相違するところは、視準手段をレーザポインタ8にした点であり、他の部分については実施の形態1と同じであるため、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0047】
レーザポインタ8は、巻尺本体2のスラントルール4が設けられた側面と同じ側面であって、前端側の両角部を削り取って残った部分2aに設けられ、レーザポインタ8の光軸が巻尺本体2の上端面2bと平行になるように設けられている。
【0048】
このように構成された巻尺7で、傾斜面Gにおける基準位置Aと目的位置Bとの水平距離Xを求める場合、上記実施の形態1の巻尺1とほぼ同様であるが、テープ3の先端30を視準するときにレーザポインタ8のレーザ光をテープ3の先端30に照射する点で異なる。
【0049】
テープ3の先端30には小片30aが設けられており、この小片30aを引出したテープ3に対してほぼ90°折り曲げることで、レーザポインタ8のレーザ光を視認できるようになっている。
【0050】
これにより、レーザポインタ8のレーザ光が基準位置Aと目的位置Bとを結んだ傾斜面Gと平行になり、このときのスラントルール4の傾斜角θを読み取ることで、巻尺本体2の傾斜角θを計測することができる。
【0051】
この実施の形態にかかる巻尺7にあっても、上記実施の形態1の巻尺1と同様に、基準位置Aと目的位置Bとの水平距離Xを求めるには、基準位置Aと目的位置Bとの間で、巻尺7のテープ3を引出し、テープ3にテンションを掛け(テープ3のたわみを解消し)、基準位置Aと6目的位置Bとの間の距離(斜距離Z)を計測した後、上述のように、レーザポインタ8でテープ先端30の小片30aにレーザ光を照射し、スラントルール4で巻尺本体2の傾斜角θを計測し、これらの結果に基づき、電卓6により計算する。
【0052】
上記実施の形態1及び2では、電卓6を用いて基準位置Aと目的位置Bとの水平距離Xを求めると説明したが、実際には、
図5で示すいわゆる関数電卓60を用いる。
【0053】
例えば、斜距離Z=8.3m、傾斜角θ=23°であり、水平距離Xを求める場合、
図5に示す関数電卓60で、「斜距離」キーを押下し「8.3」を入力後、「角度キー」を押下し「23」を入力し、続いて「変換」キーを押下することで、「水平7.640190279」が表示部61に表示される。
【0054】
なお、これは、関数電卓60内で、「Z×cosθ=8.3×cos23°」という演算がされている。
【0055】
もちろん、数値キー「8.3」を入力後、四則キー「×」を押下、続いてcosキーと角度キーを押下し「23」を入力して、水平距離X=7.640190279を算出することもできる。
【0056】
ただし、前述のように「斜距離」キー、「角度」キー、「変換」キーを用いた方が、はるかに、早くかつ間違い少なく求めることができる。
【0057】
また、斜距離Zを求める場合には、水平距離X=8.3m、傾斜角θ=23°とすると、関数電卓60で、「水平距離」キーを押下し「8.3」を入力後、「角度キー」を押下し「23」を入力し、続いて「変換」キーを押下することで、斜距離Zが演算され、表示部61に「斜9.016791136」が表示される。
【0058】
以上のように、この実施の形態2にかかる巻尺7にあっても、視準手段10を設けたので、基準位置Aと目的位置Bとの傾斜角、すなわち、換言すれば巻尺本体2の傾斜角を精度よく簡単に計測することができ、延いては、基準位置Aと目的位置Bとの水平距離Xを精度よくかつ容易に求めることができる。
【0059】
しかも、この実施の形態2に巻尺7にあっては、視準手段をレーザポインタ8としたので、テープ3の先端30の小片30aに向けて、レーザ光を照射するだけで視準することができ、極めて容易にかつ精度よく基準位置Aと目的位置Bとの傾斜角を計測することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態1及び2においては、巻尺本体2に演算手段である電卓6を備えたものについて説明したが、本発明はこれに限らず、演算手段を備えないものであってもよい。この場合、作業員P1が基準位置Aと目的位置Bとの斜距離Z及び巻尺本体2の傾斜角θをメモしておき、そのメモ書きに基づきその後電卓などにより計算してもよい。
【0061】
また、テープ3のテンションを解消するためにテープ3を巻き戻すためのハンドルを巻尺本体2に設けたが、本発明はこれに限らず、自動でテープを巻き取る自動巻取り機構を設けてもよい。
【0062】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 巻尺
2 巻尺本体
20 引出し口
3 テープ
30 先端
4 スラントルール
40 目盛り
41 指針
5 視準手段
50a 突起部
50b 突起部
6 演算手段
60 演算手段
P1 作業員
P2 作業員
A 基準位置
B 目的位置