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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181927
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/238 20160101AFI20231218BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231218BHJP
【FI】
F21K9/238
F21V23/00 160
F21V23/00 190
F21V23/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095326
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 俊明
(72)【発明者】
【氏名】城戸 大志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 暁良
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆行
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、高周波ノイズの低減を図ることである。
【解決手段】照明装置A1は、LED10と、LED10を点灯させる点灯回路20と、LED10及び点灯回路20を収容する筐体3と、を備える。点灯回路20は、外部から給電するための入力側の電線21と、電線21に流れる高周波ノイズを抑制するフェライトコア22と、を有する。フェライトコア22は、筐体3に収容される。しかして、照明装置A1は、電線21に流れる高周波ノイズをフェライトコア22において熱に変化させ、渦電流損として消費することで高周波ノイズの低減を図ることができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯させる点灯回路と、
前記光源及び前記点灯回路を収容する筐体と、
を備え、
前記点灯回路は、
外部から給電するための入力側の電路と、
前記電路に流れる高周波ノイズを抑制するフェライトコアと、
を有し、
前記フェライトコアは、前記筐体に収容される、
照明装置。
【請求項2】
前記筐体は、
筒状のベース部と、
前記ベース部の軸方向の第1端に設けられる口金部と、
前記ベース部の軸方向の第2端を覆う透光部と、
を有し、
前記光源は、前記ベース部の前記第2端に設けられ、
前記点灯回路は、前記ベース部内に収容され、
前記電路は、前記口金部と電気的に接続され、
前記フェライトコアは、前記口金部内に収容される、
請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記電路は、2本の電線を含み、
前記フェライトコアは、中央に穴を有する環状に形成されており、
前記2本の電線は、前記穴に挿通される、
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
電気絶縁性を有する材料で形成されて前記フェライトコアを包む絶縁体を更に備える、
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項5】
前記点灯回路は、前記フェライトコアを複数有し、
複数の前記フェライトコアのそれぞれの前記穴に前記2本の電線が挿通される、
請求項3記載の照明装置。
【請求項6】
前記点灯回路は、前記フェライトコアを複数有し、
複数の前記フェライトコアはそれぞれ、中央に穴を有する環状に形成されており、
前記複数のフェライトコアは、それぞれの前記穴をつなぐように一列に並べられた状態で前記口金部の軸方向に沿って収容される、
請求項2記載の照明装置。
【請求項7】
少なくとも1本の前記電線の途中にヒューズ抵抗器が挿入され、
前記ヒューズ抵抗器の少なくとも一部が前記穴に挿入される、
請求項3記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関し、より詳細には、光源と点灯回路を一つの筐体に収容した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明装置を例示する。特許文献1記載の照明装置(以下、従来例という。)は、電球型をなすLED電球である。従来例は、外部のソケットに嵌めて商用電源に電気的に接続するための口金と、放熱部と、口金と放熱部を連結する連結体と、中空の略半球殻の透光部と、LEDモジュールと、LEDモジュールへ所要の電力を供給する制御部(点灯回路)と、を備えている。
【0003】
制御部は、収容部に収容される。収容部は、筒状の放熱部に収容される。放熱部の一方の端部に口金が取り付けられる。放熱部の他方の端部に透光部が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2011/129309号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例の制御部(点灯回路)は、DC/DCコンバータ(スイッチング電源回路)を有しており、DC/DCコンバータから発生するスイッチングノイズ(高周波ノイズ)の低減が望まれている。
【0006】
本開示の目的は、高周波ノイズの低減を図ることができる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明装置は、光源と、前記光源を点灯させる点灯回路と、前記光源及び前記点灯回路を収容する筐体と、を備える。前記点灯回路は、外部から給電するための入力側の電路と、前記電路に流れる高周波ノイズを抑制するフェライトコアと、を有する。前記フェライトコアは、前記筐体に収容される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明装置は、高周波ノイズの低減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明装置の正面図である。
図2図2は、同上の照明装置の分解斜視図である。
図3図3は、同上の照明装置の断面図である。
図4図4は、同上の照明装置の口金部を省略した下面図である。
図5図5は、同上の照明装置の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る照明装置A1について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)概要
実施形態に係る照明装置A1は、光源と、光源を点灯させる点灯回路20と、光源及び点灯回路20を収容する筐体3と、を備える。光源は、照明用白色LED(Light Emitting Diode)である。ただし、光源はLED以外の発光素子、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、半導体レーザなどでも構わない。
【0012】
点灯回路20は、外部から給電するための入力側の電路と、電路に流れる高周波ノイズを抑制するフェライトコア22と、を有する。フェライトコア22は、筐体3に収容される。
【0013】
電路は、例えば、線状の導体からなる電線21である。電路(電線21)に流れる電流は、外部から供給される交流電圧の周波数(50Hz又は60Hz)よりも十分に高い周波数のノイズ(高周波ノイズ)を含む場合がある。
【0014】
電路(電線21)に高周波ノイズが流れた場合、電路(電線21)の周囲に生じる磁束がフェライトコア22を通過することでフェライトコア22に渦電流が流れる。つまり、実施形態に係る照明装置A1は、電路(電線21)に流れる高周波ノイズをフェライトコア22において熱に変化させ、渦電流損として消費することで高周波ノイズの低減を図ることができる。
【0015】
ここで、ノイズの低減を目的としたフェライトコアは、一般的に、電気機器の筐体から引き出された電源ケーブルに設けられることが多い。これに対して実施形態に係る照明装置A1は、フェライトコア22を筐体3に収容している。そのため、実施形態に係る照明装置A1は、例えば、LED電球のように口金(口金部)を介して外部から給電される場合においても、口金(口金部)を通して外部に漏れる高周波ノイズの低減を図ることができる。
【0016】
(2)詳細
実施形態に係る照明装置A1(以下、照明装置A1と略す。)は、一般照明用電球形LEDランプである(図1参照)。照明装置A1は、LEDユニット1と、点灯ユニット2と、筐体3と、を備える。ただし、照明装置A1は電球形LEDランプに限定されず、例えば、直管形のLEDランプでも構わない。
【0017】
(2-1)LEDユニット
LEDユニット1は、LED10、ホルダ11、ねじ12、口出し線13、及び導光体14を有する(図2参照)。
【0018】
LED10は、COB(Chip on board)形の照明用の発光ダイオードである。LED10は、正方形状の実装基板100と、実装基板100の表面における中央に設けられた円形の発光部101と、実装基板100の表面における発光部101の周辺に設けられた一対の電極部102と、を備える。発光部101は、例えば、青色光を放射する1つ以上のLEDチップと、LEDチップを封止する封止樹脂と、を有する。封止樹脂は、LEDチップから放射される青色光を黄色光に波長変換する蛍光体を含んでいる。したがって、発光部101から放射される光(照明光)は、青色光と黄色光が混色された白色光となる。
【0019】
片方の電極部102は発光部101の正極(アノード)と電気的に接続される。もう片方の電極部102は発光部101の負極(カソード)と電気的に接続される。なお、各電極部102は、口出し線13と1本ずつ電気的に接続されている(図2参照)。つまり、LED10は、2本の口出し線13を通して直流電流が流れることによって発光(点灯)する。
【0020】
ホルダ11は、電気絶縁性を有する合成樹脂によって正方形の枠状に形成される。ホルダ11は、LED10の実装基板100の周縁を支持する。ホルダ11は、LED10を支持した状態で2本のねじ12によって筐体3にねじ止めされる(図2参照)。
【0021】
導光体14は、有底円筒形状のキャップ部140と、ラッパ形に形成されてキャップ部140の底面中央から突出する配光制御部141と、を有する。なお、キャップ部140と配光制御部141は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって一体に形成されることが好ましい。
【0022】
導光体14は、キャップ部140でLED10を覆うように配置される(図3参照)。そして、導光体14は、LED10から放射される光(照明光)を、キャップ部140から配光制御部141に導光し、配光制御部141の表面から出射させることで広範囲に配光することができる。
【0023】
(2-2)点灯ユニット
点灯ユニット2は、点灯回路20を有する。点灯回路20は、図5に示すように、整流器200、平滑コンデンサ201、フィルタ202、スイッチング電源回路203、などを備える。整流器200は、ダイオードブリッジであり、交流電源P1から供給される正弦波の交流電圧を全波整流する。平滑コンデンサ201は、電解コンデンサであって、整流器200で全波整流された脈流電圧を平滑する。フィルタ202は、コモンモードチョーク(チョークコイル)を含む。
【0024】
スイッチング電源回路203は、例えば、フライバックコンバータなどの絶縁型DC-DCコンバータを有する。スイッチング電源回路203は、フィルタ202を介して入力される直流電圧を降圧し、かつ、安定化して出力する。なお、スイッチング電源回路203のスイッチング素子が高周波でスイッチングされることによってスイッチングノイズ(高周波ノイズ)が発生する。
【0025】
スイッチング電源回路203は、一対の口出し線13を介して、LED10に直流電流を供給する。なお、スイッチング電源回路203は、LED10に流す直流電流を目標値に一致させるように動作する。
【0026】
点灯回路20は、長方形状のプリント配線板204を有する(図2及び図3参照)。プリント配線板204の両面に種々の電子部品が実装されている。すなわち、点灯回路20は、プリント配線板204とこれらの電子部品からなるプリント回路で構成されている。
【0027】
点灯回路20は、一対の電線21と、複数(本実施形態では4つ)のフェライトコア22と、を有している(図2及び図3参照)。一対の電線21は、例えば、銅線、アルミニウム線又はアルミニウム合金線の単線である。ただし、各電線21の少なくとも一部が絶縁体で被覆されても構わない。各電線21の一端は、プリント配線板204の端部にはんだ付けされている。なお、電線21の途中に、過電流から点灯回路20を保護するためのヒューズ抵抗器が挿入されてもよい。この場合、いずれか一方の電線21の途中にヒューズ抵抗器が挿入されてもよいし、両方の電線21の途中にヒューズ抵抗器が挿入されてもよい。
【0028】
複数のフェライトコア22はそれぞれ、中央に穴220を有する円環状に形成されている。これら4つのフェライトコア22は、それぞれの穴220をつなぐように一列に並べられた状態で絶縁体23に支持される(図2及び図3参照)。絶縁体23は、いわゆる熱収縮チューブである。複数のフェライトコア22のそれぞれの穴220に一対の電線21が挿通される(図4参照)。ただし、フェライトコア22の数は4つに限定されず、1つ以上4つ未満、あるいは5つ以上でも構わない。また、フェライトコア22の穴220に挿通される電線21の本数は2本に限定されず、1本でも構わない。なお、各電線21が別々のフェライトコア22の穴220に挿通されても構わない。さらに、各電線21がフェライトコア22に巻き付けられても構わない。また、電線21の途中にヒューズ抵抗器が挿入される場合、フェライトコア22の穴220にヒューズ抵抗器が挿入されてもよい。
【0029】
(2-3)筐体
筐体3は、筒状のベース部4と、ベース部4の軸方向の第1端4Aに設けられる口金部5と、ベース部4の軸方向の第2端4Bを覆うグローブ6と、を有する(図2及び図3参照)。筐体3は、放熱部材7を更に有する。
【0030】
ベース部4は、円筒状の本体部40と、断面形状がL字状であって、本体部40の外周面の全周から径方向に突出する受け部41と、を有する。なお、本体部40と受け部41は、合成樹脂の成形体として一体に形成されている。また、本体部40の第1端(ベース部4の第1端4A)の外周面に雄ねじ部400が設けられている。
【0031】
口金部5は、シェル部50と、絶縁部51と、アイレット部52と、を有する。シェル部50は、金属材料によって有底筒状に形成されており、片方の電線21と電気的に接続される。ただし、シェル部50の外周面及び内周面にねじ山が形成されている。絶縁部51は、電気絶縁性を有する材料によって円すい台状に形成される。絶縁部51は、シェル部50の下端に取り付けられる。アイレット部52は、電気導電性を有する材料(例えば、金属)によって円盤状に形成されており、もう片方の電線21と電気的に接続される。アイレット部52は、絶縁部51の先端(下端)に固定される。つまり、アイレット部52は、絶縁部51を介してシェル部50と結合され、かつ、絶縁部51によってシェル部50と電気的に絶縁される。口金部5は、シェル部50の内周面に形成されたねじ山に本体部40の雄ねじ部400がねじ込まれることによってベース部4と結合される(図3参照)。
【0032】
放熱部材7は、熱の良導体、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金のダイカストによって有底円筒形状に形成されている。放熱部材7の底部70の外表面(図2における上面)に、ホルダ11に保持されたLED10が取り付けられる。このとき、LED10の実装基板100の裏面(下面)が放熱部材7の底部70の外表面と接触することによって、点灯時のLED10で発する熱が放熱部材7に伝導される。なお、LEDユニット1の一対の口出し線13は、それぞれ底部70に設けられた貫通穴を通して放熱部材7の内部に引き込まれる。放熱部材7は、本体部40を内部に収めるようにしてベース部4に装着される(図3参照)。放熱部材7は、本体部40に設けられた一対の爪401を、周壁に設けられた一対の引掛穴71の縁に引っ掛けることでベース部4に固定される(図2及び図3参照)。
【0033】
グローブ6は、球殻状のグローブ本体60と、グローブ本体60から突出する円すい台状のネック部61と、を有する。ただし、ネック部61の先端は開口している。グローブ6とネック部61は、透光性を有する合成樹脂材料(アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂など)又はガラスによって一体に形成されている(図2参照)。グローブ6は、ネック部61の先端を受け部41内に収容し、受け部41内に充電される接着剤8によってベース部4に固定される(図3参照)。
【0034】
(2-4)照明装置の組立て手順
次に、照明装置A1の組立て手順を説明する。ただし、以下に説明する組立て手順は一例であり、一部の手順の順序を入れ替えてもよいし、別の手順を追加しても構わない。
【0035】
まず、組立て作業を行う作業者は、ベース部4の第2端4Bの開口から、複数のフェライトコア22と平滑コンデンサ201を下にして点灯ユニット2を本体部40内に挿入する。なお、複数(4つ)のフェライトコア22が絶縁体23(熱収縮チューブ)に包まれているため、複数のフェライトコア22がばらばらにならず、組立て作業の作業性の向上を図ることができる。さらに、複数のフェライトコア22の表面が絶縁体23で覆わされることにより、複数のフェライトコア22と充電部(口金部5)との絶縁距離を確保することができる。
【0036】
ここで、作業者は、プリント配線板204の上端に設けられた一対の突部205を、本体部40の開口端に設けられた一対の溝402に嵌めることにより、点灯ユニット2を本体部40(ベース部4)に取り付ける(図2及び図3参照)。なお、プリント配線板204の上部に、一対の口出し線13の一端がはんだ付けされている。
【0037】
それから、作業者は、本体部40の下端(ベース部4の第1端4A)の開口から突出する一対の電線21のうち、片方の電線21を口金部5のシェル部50にはんだ付けし、もう片方の電線21を口金部5のアイレット部52にはんだ付けする。その後、作業者は、雄ねじ部400をシェル部50にねじ込むことで口金部5をベース部4と結合する。ただし、作業者は、口金部5をベース部4と結合した後、一対の電線21をシェル部50とアイレット部52に一つずつはんだ付けしても構わない。
【0038】
続いて、作業者は、LED10を保持させたホルダ11を、2本のねじ12で放熱部材7の底部70にねじ止めする。それから、作業者は、一対の口出し線13を底部70の穴から放熱部材7の外に引き出しつつ、本体部40に放熱部材7を被せる。そして、作業者は、放熱部材7の一対の引掛穴71の縁に、本体部40の一対の爪401を一つずつ引っ掛けることで放熱部材7をベース部4に固定する。さらに、作業者は、一方の口出し線13をLED10の片方の電極部102にはんだ付けし、他方の口出し線13をLED10のもう片方の電極部102にはんだ付けする。
【0039】
次に、作業者は、放熱部材7の先端に導光体14を取り付ける。作業者は、キャップ部140の開口端に設けられた一対の爪142を、放熱部材7の周壁に設けられた一対の引掛穴72の縁に引っ掛けることで導光体14を放熱部材7に取り付ける(図3参照)。
【0040】
最後に、作業者は、導光体14及び放熱部材7をネック部61の開口からグローブ本体60内に挿入し、ネック部61の開口端をベース部4の受け部41に収容した後、受け部41に接着剤を充填して固化させる。その結果、グローブ6と筐体3と放熱部材7は、固化した接着剤8によって結合される(図3参照)。
【0041】
以上の組立て手順によって照明装置A1の組立て作業が完了する。
【0042】
(2-5)実施形態に係る照明装置の利点
上述のように照明装置A1は、外部から点灯回路20に給電するための入力側の電線21をフェライトコア22(の穴220)に挿通させている。そのため、照明装置A1は、点灯回路20で発生する高周波ノイズ(主にスイッチング電源回路203で発生するスイッチングノイズ)をフェライトコア22に吸収させ、交流電源P1に漏れ出す高周波ノイズの低減を図ることができる。なお、照明装置A1は、高周波ノイズを低減させるという目的に鑑みて、フェライトコア22のフェライト材質をNi-Zn系又はMn-Zn系とすることが好ましい。また、照明装置A1は、一対の電線21をフェライトコア22の穴220に挿通させているので、主に点灯回路20から外部に漏れるコモンモードノイズの低減を図ることができる。ただし、照明装置A1は、片方の電線21をフェライトコア22の穴220に挿通させることにより、主に点灯回路20から外部に漏れるノーマルノードノイズの低減を図っても構わない。
【0043】
さらに、照明装置A1は、複数のフェライトコア22の穴220に電線21を挿通しているので、1つのフェライトコア22の穴220に電線21を挿通する場合に比べて、高周波ノイズの更なる低減を図ることができる。
【0044】
ところで、複数のランプソケットを有する照明器具の場合、複数のランプソケットに電球形LEDランプが1つずつ装着されて使用される。このとき、複数の電球形LEDランプが同一の電源線と電気的に接続されることになる。そのため、一つの電源線に複数の電球形LEDランプの高周波ノイズが漏れ出すことにより、照明器具として許容されるノイズのレベルを超えてしまうおそれがある。
【0045】
これに対して、複数の照明装置A1を使用する照明器具では、個々の照明装置A1で高周波ノイズの低減が図られているので、照明器具から外部に漏れ出す高周波ノイズを規格の上限値未満に抑えることは容易である。
【0046】
また、照明装置A1は、フェライトコア22を口金部5内(本体部40において口金部5に囲まれている空間)に収容している。そのため、照明装置A1は、本体部40において口金部5から離れた空間にフェライトコア22を収容する場合と比較して、電路(電線21)の長さを短くすることができる。その結果、照明装置A1は、高周波ノイズの更なる低減を図ることができる。
【0047】
さらに、照明装置A1は、それぞれの穴220をつなぐように4つのフェライトコア22を一列に並べた状態で口金部5の軸方向に沿って収容している(図3及び図4参照)。そのため、照明装置A1は、複数のフェライトコア22を口金部5内に収容することで筐体3内のデッドスペースを有効活用しつつ、複数のフェライトコア22と充電部(口金部5)の間に十分な絶縁距離を確保することができる。
【0048】
(3)まとめ
本開示の第1の態様に係る照明装置(A1)は、光源(LED10)と、光源を点灯させる点灯回路(20)と、光源及び点灯回路(20)を収容する筐体(3)と、を備える。点灯回路(20)は、外部から給電するための入力側の電路(電線21)と、電路に流れる高周波ノイズを抑制するフェライトコア(22)と、を有する。フェライトコア(22)は、筐体(3)に収容される。
【0049】
第1の態様に係る照明装置(A1)は、電路(電線21)に流れる高周波ノイズをフェライトコア(22)において熱に変化させ、渦電流損として消費することで高周波ノイズの低減を図ることができる。
【0050】
本開示の第2の態様に係る照明装置(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明装置(A1)において、筐体(3)は、筒状のベース部(4)と、ベース部(4)の軸方向の第1端(4A)に設けられる口金部(5)と、ベース部(4)の軸方向の第2端(4B)を覆う透光部(グローブ6)と、を有することが好ましい。光源は、ベース部(4)の第2端(4B)に設けられることが好ましい。点灯回路(20)は、ベース部(4)内に収容されることが好ましい。電路は、口金部(5)と電気的に接続されることが好ましい。フェライトコア(22)は、口金部(5)内に収容されることが好ましい。
【0051】
第2の態様に係る照明装置(A1)は、電路の長さを短くすることで高周波ノイズの更なる低減を図ることができる。
【0052】
本開示の第3の態様に係る照明装置(A1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明装置(A1)において、電路は、2本の電線(21)を含むことが好ましい。フェライトコア(22)は、中央に穴(220)を有する環状に形成されていることが好ましい。2本の電線(21)は、穴(220)に挿通されることが好ましい。
【0053】
第3の態様に係る照明装置(A1)は、2本の電線(21)を通して外部に漏れる高周波ノイズ(コモンモードノイズ)の低減を図ることができる。
【0054】
本開示の第4の態様に係る照明装置(A1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明装置(A1)は、電気絶縁性を有する材料で形成されてフェライトコア(22)を包む絶縁体(23)を更に備えることが好ましい。
【0055】
第4の態様に係る照明装置(A1)は、絶縁体(23)によってフェライトコア(22)と口金部(5)との絶縁距離を確保することができる。
【0056】
本開示の第5の態様に係る照明装置(A1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明装置(A1)において、点灯回路(20)は、フェライトコア(22)を複数有することが好ましい。複数のフェライトコア(22)のそれぞれの穴(220)に2本の電線(21)が挿通されることが好ましい。
【0057】
第5の態様に係る照明装置(A1)は、2本の電線(21)を複数のフェライトコア(22)の穴(220)に通すことで外部に漏れる高周波ノイズ(コモンモードノイズ)の更なる低減を図ることができる。
【0058】
本開示の第6の態様に係る照明装置(A1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る照明装置(A1)において、点灯回路(20)は、フェライトコア(22)を複数有することが好ましい。複数のフェライトコア(22)はそれぞれ、中央に穴(220)を有する環状に形成されていることが好ましい。複数のフェライトコア(22)は、それぞれの穴(220)をつなぐように一列に並べられた状態で口金部(5)の軸方向に沿って収容されることが好ましい。
【0059】
第6の態様に係る照明装置(A1)は、複数のフェライトコア(22)を口金部(5)内に収容することで筐体(3)内のデッドスペースを有効活用しつつ、複数のフェライトコア(22)と口金部(5)の間に十分な絶縁距離を確保することができる。
【0060】
本開示の第7の態様に係る照明装置(A1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明装置(A1)において、少なくとも1本の電線(21)の途中にヒューズ抵抗器が挿入されることが好ましい。ヒューズ抵抗器の少なくとも一部が穴(220)に挿入されることが好ましい。
【0061】
第7の態様に係る照明装置(A1)は、ヒューズ抵抗器によって点灯回路(20)を過電流から保護することができる。
【符号の説明】
【0062】
A1 照明装置
3 筐体
4 ベース部
4A ベース部の第1端
4B ベース部の第2端
5 口金部
6 グローブ
10 LED(光源)
20 点灯回路
21 電線(電路)
22 フェライトコア
23 絶縁体
220 穴
図1
図2
図3
図4
図5