(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181930
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】耐熱ブロック、耐熱構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
F27D 1/04 20060101AFI20231218BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20231218BHJP
E04B 2/02 20060101ALI20231218BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F27D1/04 A
E04B1/76 500B
E04B2/02 100
F27D1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095332
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 佳介
(72)【発明者】
【氏名】香月 和夫
(72)【発明者】
【氏名】根本 昌和
(72)【発明者】
【氏名】小林 宣仁
(72)【発明者】
【氏名】山田 敦久
【テーマコード(参考)】
2E001
4K051
【Fターム(参考)】
2E001DD05
2E001FA06
2E001GA01
2E001HA31
4K051AB03
4K051BA04
4K051BB04
4K051BB08
4K051BC04
4K051FA03
(57)【要約】
【課題】施工性が向上した耐熱ブロック、耐熱構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】耐熱ブロックは、壁面から張り出したコーナー部を覆うように施工されるL字形状の耐熱ブロックであって、前記コーナー部の縦面を覆うように施工されるL字縦部と、前記コーナー部の下面を覆うように施工されるL字底部と、を有し、前記L字縦部の前面には、前記コーナー部の前記縦面に設けられた縦面取付部に固定される前面取付部が設けられ、前記L字底部の上面には、前記コーナー部の前記下面に設けられた下面取付部と係合することによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に対向する位置に位置決めするとともに、前記下面取付部と係合した状態で直線的にスライドすることによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に固定可能な位置まで直線的に移動させる上面取付部が設けられている。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面から張り出したコーナー部を覆うように施工されるL字形状の耐熱ブロックであって、
前記コーナー部の縦面を覆うように施工されるL字縦部と、
前記コーナー部の下面を覆うように施工されるL字底部と、
を有し、
前記L字縦部の前面には、前記コーナー部の前記縦面に設けられた縦面取付部に固定される前面取付部が設けられ、
前記L字底部の上面には、前記コーナー部の前記下面に設けられた下面取付部と係合することによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に対向する位置に位置決めするとともに、前記下面取付部と係合した状態で直線的にスライドすることによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に固定可能な位置まで直線的に移動させる上面取付部が設けられている、
耐熱ブロック。
【請求項2】
前記上面取付部は、
前記耐熱ブロックの下方への移動及び幅方向への移動を阻止するよう、前記コーナー部の前記下面取付部と係合する、
請求項1に記載の耐熱ブロック。
【請求項3】
前記上面取付部は、
前記コーナー部の前記下面取付部の一部に上方から当接する第一表面と、
前記耐熱ブロックの幅方向において前記下面取付部の他の一部を挟持し又は前記他の一部に挟持される第二表面と、
を有する、
請求項1又は2に記載の耐熱ブロック。
【請求項4】
前記上面取付部は、
基部と、
前記基部から上方に立設され、前記耐熱ブロックの幅方向に離間した一対の支持部と、
前記一対の支持部から前記幅方向に延設された一対のフランジ部と、
を有する、
請求項1又は2に記載の耐熱ブロック。
【請求項5】
前記上面取付部は、
前記基部又は前記フランジ部の表面で、前記コーナー部の前記下面取付部の一部に上方から当接し、
前記基部、前記支持部又は前記フランジ部の表面で、前記耐熱ブロックの幅方向において前記下面取付部の他の一部を挟持し又は前記他の一部に挟持されるよう構成されている、
請求項4に記載の耐熱ブロック。
【請求項6】
前記上面取付部は、前記L字底部の前方端部まで延びている、
請求項1又は2に記載の耐熱ブロック。
【請求項7】
前記前面取付部には、前記コーナー部の前記縦面取付部の一部が挿通可能な間隙が形成されており、
前記前面取付部は、前記縦面取付部の前記一部が前記間隙を挿通方向に通過することを許容する一方で、前記一部が前記間隙を通過した後に前記縦面取付部の他の一部に係合して、前記縦面取付部の前記挿通方向と逆方向への移動を阻止するよう構成されている、
請求項1又は2に記載の耐熱ブロック。
【請求項8】
前記前面取付部は、前記隙間を形成する弾性部材を有し、
前記前面取付部は、前記弾性部材が弾性変形して前記隙間を拡大することにより、拡大前の前記間隙より大きい前記縦面取付部の前記一部が前記間隙を挿通方向に通過することを許容する一方で、前記一部が前記間隙を通過した後に、弾性復元した前記弾性部材によって前記縦面取付部の前記一部より小さい他の一部に係合して、前記縦面取付部の前記挿通方向と逆方向への移動を阻止するよう構成されている、
請求項7に記載の耐熱ブロック。
【請求項9】
無機繊維体である、
請求項1又は2に記載の耐熱ブロック。
【請求項10】
前記壁面は、工業炉の内壁面である、
請求項1又は2に記載の耐熱ブロック。
【請求項11】
壁面から張り出したコーナー部と、
前記コーナー部を覆う請求項1又は2に記載の耐熱ブロックと、
を含む、
耐熱構造。
【請求項12】
壁面から張り出したコーナー部と、
前記コーナー部を覆う請求項1又は2に記載の耐熱ブロックと、
を含む耐熱構造の製造方法であって、
前記耐熱ブロックの前記上面取付部を前記コーナー部の下面に設けられた下面取付部と係合することによって、前記耐熱ブロックの前記前面取付部を前記コーナー部の縦面に設けられた縦面取付部に対向する位置に位置決めすることと、
前記上面取付部を前記下面取付部と係合した状態で直線的にスライドすることによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に固定可能な位置まで直線的に移動させることと、
前記前面取付部と前記縦面取付部とを固定することと、
を含む施工工程を含む、
耐熱構造の製造方法。
【請求項13】
前記コーナー部は、金属壁と、前記金属壁の前記耐熱ブロック側の表面を覆う耐熱層とを有し、
前記施工工程に先立って、
前記耐熱層が未だ積層されていない前記金属壁に前記縦面取付部の一部及び/又は前記下面取付部の一部を固定することと、
前記縦面取付部の一部及び/又は前記下面取付部の一部が固定された前記金属壁の前記表面に前記耐熱層を積層することと、
前記耐熱層の積層後、前記金属壁に固定された前記縦面取付部の一部及び/又は前記下面取付部の一部に、前記縦面取付部の残りの部分及び/又は前記下面取付部の残りの部分を接続することと、
を含む準備工程をさらに含む、
請求項12に記載の耐熱構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱ブロック、耐熱構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐熱繊維の板状体を積層して形成した繊維ブロックであって、積層面に平行に切断した断面が略L字形を為している繊維ブロックと、該繊維ブロックのL字形の内面の少なくとも一つに取り付けられた取付金具とを有する耐熱ブロックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、工業炉の内壁面への耐熱ブロックの施工は、作業員が手作業で行っている。しかしながら、10kgを超える重いL字形状の耐熱ブロックを手作業で複数施工する場合には、当該L字形状に対応して耐熱ブロックに設けられた複数の取付部材のそれぞれについて、壁面に設けられた対応する取付部材との位置決め及び固定作業を行う必要があり、多大な労力と時間を要していた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、施工性が向上した耐熱ブロック、耐熱構造及びその製造方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る耐熱ブロックは、壁面から張り出したコーナー部を覆うように施工されるL字形状の耐熱ブロックであって、前記コーナー部の縦面を覆うように施工されるL字縦部と、前記コーナー部の下面を覆うように施工されるL字底部と、を有し、前記L字縦部の前面には、前記コーナー部の前記縦面に設けられた縦面取付部に固定される前面取付部が設けられ、前記L字底部の上面には、前記コーナー部の前記下面に設けられた下面取付部と係合することによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に対向する位置に位置決めするとともに、前記下面取付部と係合した状態で直線的にスライドすることによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に固定可能な位置まで直線的に移動させる上面取付部が設けられている。本発明によれば、施工性が向上した耐熱ブロックが提供される。
【0007】
[2]前記[1]において、前記上面取付部は、前記耐熱ブロックの下方への移動及び幅方向への移動を阻止するよう、前記コーナー部の前記下面取付部と係合することとしてもよい。[3]前記[1]又は[2]において、前記上面取付部は、前記コーナー部の前記下面取付部の一部に上方から当接する第一表面と、前記耐熱ブロックの幅方向において前記下面取付部の他の一部を挟持し又は前記他の一部に挟持される第二表面と、を有することとしてもよい。
【0008】
[4]前記[1]乃至[3]のいずれかにおいて、前記上面取付部は、基部と、前記基部から上方に立設され、前記耐熱ブロックの幅方向に離間した一対の支持部と、前記一対の支持部から前記幅方向に延設された一対のフランジ部と、を有することとしてもよい。[5]前記[4]の場合、前記上面取付部は、前記基部又は前記フランジ部の表面で、前記コーナー部の前記下面取付部の一部に上方から当接し、前記基部、前記支持部又は前記フランジ部の表面で、前記耐熱ブロックの幅方向において前記下面取付部の他の一部を挟持し又は前記他の一部に挟持されるよう構成されていることとしてもよい。[6]前記[1]乃至[5]のいずれかにおいて、前記上面取付部は、前記L字底部の前方端部まで延びていることとしてもよい。
【0009】
[7]前記[1]乃至[6]のいずれかにおいて、前記前面取付部には、前記コーナー部の前記縦面取付部の一部が挿通可能な間隙が形成されており、前記前面取付部は、前記縦面取付部の前記一部が前記間隙を挿通方向に通過することを許容する一方で、前記一部が前記間隙を通過した後に前記縦面取付部の他の一部に係合して、前記縦面取付部の前記挿通方向と逆方向への移動を阻止するよう構成されていることとしてもよい。[8]前記[7]の場合、前記前面取付部は、前記隙間を形成する弾性部材32を有し、前記前面取付部は、前記弾性部材が弾性変形して前記隙間を拡大することにより、拡大前の前記間隙より大きい前記縦面取付部の前記一部が前記間隙を挿通方向に通過することを許容する一方で、前記一部が前記間隙を通過した後に、弾性復元した前記弾性部材によって前記縦面取付部の前記一部より小さい他の一部に係合して、前記縦面取付部の前記挿通方向と逆方向への移動を阻止するよう構成されていることとしてもよい。
【0010】
[9]前記[1]乃至[8]のいずれかにおいて、前記耐熱ブロックは、無機繊維体であることとしてもよい。[10]前記[1]乃至[9]のいずれかにおいて、前記壁面は、工業炉の内壁面であることとしてもよい。
【0011】
[11]上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る耐熱構造は、壁面から張り出したコーナー部と、前記コーナー部を覆う前記[1]乃至[10]のいずれかの耐熱ブロックと、を含む。本発明によれば、施工性が向上した耐熱構造が提供される。
【0012】
[12]上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る耐熱構造の製造方法は、壁面から張り出したコーナー部と、前記コーナー部を覆う前記[1]乃至[10]のいずれかの耐熱ブロックと、を含む耐熱構造の製造方法であって、前記耐熱ブロックの前記上面取付部を前記コーナー部の下面に設けられた下面取付部と係合することによって、前記耐熱ブロックの前記前面取付部を前記コーナー部の縦面に設けられた縦面取付部に対向する位置に位置決めすることと、前記上面取付部を前記下面取付部と係合した状態で直線的にスライドすることによって、前記前面取付部を前記縦面取付部に固定可能な位置まで直線的に移動させることと、前記前面取付部と前記縦面取付部とを固定することと、を含む施工工程を含む。本発明によれば、施工性が向上した耐熱構造の製造方法が提供される。
【0013】
[13]前記[12]の耐熱構造の製造方法において、前記コーナー部は、金属壁と、前記金属壁の前記耐熱ブロック側の表面を覆う耐熱層とを有し、前記製造方法は、前記施工工程に先立って、前記耐熱層が未だ積層されていない前記金属壁に前記縦面取付部の一部及び/又は前記下面取付部の一部を固定することと、前記縦面取付部の一部及び/又は前記下面取付部の一部が固定された前記金属壁の前記表面に前記耐熱層を積層することと、前記耐熱層の積層後、前記金属壁に固定された前記縦面取付部の一部及び/又は前記下面取付部の一部に、前記縦面取付部の残りの部分及び/又は前記下面取付部の残りの部分を接続することと、を含む準備工程をさらに含むこととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、施工性が向上した耐熱ブロック、耐熱構造及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る耐熱ブロックの一例、及び、当該耐熱ブロックを施工するコーナー部の一例を断面視で模式的に示す説明図である。
【
図1B】耐熱ブロック及びコーナー部を含む、本発明の一実施形態に係る耐熱構造2の一例を断面視で模式的に示す説明図である。
【
図1C】耐熱ブロック及びコーナー部を含む、本発明の一実施形態に係る耐熱構造2の他の例を断面視で模式的に示す説明図である。
【
図1D】耐熱ブロック及びコーナー部を含む、本発明の一実施形態に係る耐熱構造2のさらに他の例を断面視で模式的に示す説明図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る耐熱ブロックの具体的態様の一例を前方且つ上方からの斜視にて示す説明図である。
【
図2B】
図2Aに示す耐熱ブロックを前方且つ下方からの斜視にて示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコーナー部の具体的態様の一例について、その一部を仮想的に切り出して後方且つ下方からの斜視にて示す説明図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係るコーナー部の下面取付部の具体的態様の一例を前方且つ下方からの斜視にて示す説明図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る耐熱ブロックの上面取付部の具体的態様の一例を前方且つ上方からの斜視にて示す説明図である。
【
図4C】
図4Aに示す下面取付部と、
図4Bに示す上面取付部とが係合した状態の一例を前方且つ上方からの斜視にて示す説明図である。
【
図4D】
図4Cに示す下面取付部と上面取付部との係合状態を前方からの正面視にて示す説明図である。
【
図5A】
図2A及び
図2Bに示す耐熱ブロックを、
図3に示すコーナー部に施工する前の状態を前方からの斜視にて示す説明図である。
【
図5B】
図5Aに示すコーナー部及び耐熱ブロックを前方且つ下方からの斜視にて示す説明図である。
【
図5C】
図5Aに示すコーナー部及び耐熱ブロックを幅方向からの側面視にて示す説明図である。
【
図5D】
図2A及び
図2Bに示す耐熱ブロックの上面取付部の前方の端部が、
図3に示すコーナー部の下面取付部に係合した状態について、当該耐熱ブロックの当該上面取付部以外の部分を省略して、後方且つ下方からの斜視にて示す説明図である。
【
図5E】
図2A及び
図2Bに示す耐熱ブロックを
図3に示すコーナー部に施工して得られた耐熱構造を後方且つ下方からの斜視にて示す説明図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係るコーナー部の下面取付部の具体的態様の他の例を前方からの断面視にて示す説明図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る耐熱ブロックの上面取付部の具体的態様の他の例を前方からの断面視にて示す説明図である。
【
図6C】
図6Aに示す下面取付部と、
図6Bに示す上面取付部との係合状態を前方からの断面視にて示す説明図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係るコーナー部の縦面取付部の具体的態様の一例を斜視及び側面視にて示す説明図である。
【
図7B】本発明の一実施形態に係る耐熱ブロックの前面取付部の具体的態様の一例を斜視及び側面視にて示す説明図である。
【
図7C】
図7Aに示す縦面取付部と、
図7Bに示す前面取付部とが係合した状態を幅方向からの側面視にて示す説明図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係る耐熱構造の準備工程に含まれる工程の一部を示す説明図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係る耐熱構造の準備工程に含まれる工程の他の一部を示す説明図である。
【
図8C】本発明の一実施形態に係る耐熱構造の準備工程に含まれる工程のさらに他の一部を示す説明図である。
【
図8D】本発明の一実施形態に係る耐熱構造の準備工程に含まれる工程のさらに他の一部を示す説明図である。
【
図8E】本発明の一実施形態に係る耐熱構造の準備工程に含まれる工程のさらに他の一部を示す説明図である。
【
図8F】本発明の一実施形態に係る耐熱構造の準備工程に含まれる工程のさらに他の一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0017】
図1Aには、本実施形態に係る耐熱ブロック1の一例、及び、当該耐熱ブロック1を施工するコーナー部100の一例を断面視で模式的に示す。
図1Bには、耐熱ブロック1及びコーナー部100を含む、本実施形態に係る耐熱構造2の一例を断面視で模式的に示す。
【0018】
なお、本実施形態では、図中の矢印Zが延びる方向を「上下方向Z」といい、矢頭Z1が指す方向を「上方Z1」といい、矢頭Z2が指す方向を「下方Z2」という。また、図中の矢印Xが延びる方向を「前後方向X」といい、矢頭X1が指す方向を「前方X1」といい、その逆方向である矢頭X2が指す方向を「後方X2」という。なお、
図1A及び
図1Bに示す例において、上下方向Zは略鉛直方向であり、前後方向Xは略水平方向である。
【0019】
耐熱ブロック1の施工対象であるコーナー部100は、壁面200から張り出して形成されている。すなわち、
図1A及び
図1Bに示す例において、コーナー部100は、略水平方向に延びる天井面である壁面200から下方Z2に張り出して形成されている。
【0020】
ただし、コーナー部100は、本発明の効果が得られれば特に限られない。すなわち、
図1Cには、本実施形態に係る耐熱構造2の他の例を断面視で模式的に示す。
図1Cに示す例においては、前後方向Xが略鉛直方向であり、上下方向Zが略水平方向である。そして、コーナー部100は、
図1Cに示すように、略鉛直方向に延びる壁面200から略水平方向に張り出して形成されてもよい。また、
図1Dには、本実施形態に係る耐熱構造2のさらに他の例を断面視で模式的に示す。
図1Dに示す例においては、矢印Vが延びる方向が略鉛直方向であり、矢印Hが延びる方向が略水平方向である。そして、コーナー部100は、
図1Dに示すように、略水平方向に延びる壁面200から下方に傾斜するように張り出して形成されてもよい。なお、本実施形態では、主に
図1A及び
図1Bに示す例に沿って説明する。
【0021】
コーナー部100は、その断面視においてL字形状を有する。すなわち、コーナー部100は、上下方向Zに延びる縦壁部110と、当該縦壁部の下方Z2の端部から前方X1に延びる下壁部120とを有している。
【0022】
そして、コーナー部100は、上下方向Zに延びる縦面111と、当該縦面111の下方Z2の端部に連なって前方X1に延びる下面121とを有している。コーナー部100の縦面111は、耐熱ブロック1の一部によって覆われる縦壁部110の表面であり、下面121は、当該耐熱ブロック1の他の一部によって覆われる下壁部120の表面である。
【0023】
コーナー部100は、
図1A~
図1Dに示すように、室内の内壁面である壁面200から室内空間210に張り出して形成されていることとしてもよい。この場合、コーナー部100は、室内空間210と室外空間220とを隔てる隔壁を構成する。そして、耐熱ブロック1は、室内空間210においてコーナー部100を覆うように施工される。
【0024】
壁面200は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、工業炉(例えば、加熱炉(例えば、熱延加熱炉)、熱処理炉、焼却炉、溶融炉、均熱炉、鍛造炉又は分解炉)、炉蓋、保温カバー又は輸送台車の内壁面であることとしてもよい。すなわち、耐熱ブロック1は、例えば、工業炉の内壁を保護する耐熱ライニング材である。
【0025】
耐熱ブロック1は、コーナー部100を覆うように施工される耐熱部材である。耐熱ブロック1は、コーナー部100の縦面111及び下面121が形成する表面形状に対応するL字形状を有している。すなわち、耐熱ブロック1は、上下方向Zに延びるL字縦部10と、当該L字縦部10の下方Z2の端部から前方X1に延びるL字底部20とを有している。
【0026】
耐熱ブロック1のL字縦部10は、コーナー部100の縦面111を覆うように施工され、当該耐熱ブロック1のL字底部20は、当該コーナー部100の下面121を覆うように施工される。
【0027】
耐熱ブロック1のL字縦部10は、上下方向Zに延びる前面11を有し、当該耐熱ブロック1のL字底部20は、当該前面11の下方Z2の端部から前方X1に延びる上面21を有している。
【0028】
耐熱ブロック1のコーナー部100への施工において、当該耐熱ブロック1のL字縦部10の前面11は、当該コーナー部100の縦面111に対向して配置され、当該耐熱ブロック1のL字底部20の上面21は、当該コーナー部100の下面121に対向して配置される。
【0029】
本実施形態において、L字底部20の上面21は、L字縦部10の前面11に対して略直角に延びている。L字縦部10の前面11と、L字底部20の上面21との成す角度θ(
図1A参照)は、コーナー部100の縦面111と下面121との成す角度に対応して調整されればよいが、例えば、60°以上、120°以下であってもよく、70°以上、110°以下であってもよく、80°以上、100°以下であってもよく、85°以上、95°以下であってもよい。
【0030】
本実施形態に係る耐熱構造2は、コーナー部100と、当該コーナー部100を覆う耐熱ブロック1とを有する。この耐熱構造2において、耐熱ブロック1は、そのL字縦部10(特に前面11)によってコーナー部100の縦面111を覆うとともに、そのL字底部20(特に上面21)によって当該コーナー部100の下面121を覆う。
【0031】
耐熱構造2において、耐熱ブロック1のL字縦部10の上方Z1の端面12は、
図1B~
図1Dに示すように、コーナー部100が張り出している壁面200を覆わないこととしてもよいが、これに限られず、当該壁面200を覆う(すなわち、例えば、当該端面12が当該壁面200に当接する)こととしてもよい。
【0032】
なお、コーナー部100が上下方向Zに延びる壁面から前後方向に張り出して形成されている場合、耐熱ブロック1のL字底部20の前方X1の端面22は、当該壁面を覆わないこととしてもよいし、当該壁面を覆う(すなわち、例えば、当該端面22が当該壁面に当接する)こととしてもよい。
【0033】
図2Aには、耐熱ブロック1の具体的態様の一例を前方且つ上方からの斜視にて示す。
図2Bには、
図2Aに示す耐熱ブロック1を前方且つ下方からの斜視にて示す。
図3には、コーナー部100の具体的態様の一例について、その一部を仮想的に切り出して後方且つ下方からの斜視にて示す。なお、本実施形態では、図中の矢印Yが延びる方向(上下方向Z及び前後方向Xと直交する方向)を「幅方向Y」という。
【0034】
耐熱ブロック1は、幅方向Yから見て、すなわち側面視において、L字形状の側面1aを有する。耐熱ブロック1を構成する材料は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、当該耐熱ブロック1は、例えば、無機繊維体であることが好ましい。
【0035】
無機繊維体を構成する無機繊維は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、ケイ酸アルカリ土類金属塩繊維(生体溶解性無機繊維)、ロックウール及びバサルト繊維からなる群より選択される1以上であることが好ましく、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維及びケイ酸アルカリ土類金属塩繊維からなる群より選択される1以上であることが特に好ましい。
【0036】
無機繊維体の重量に対する、当該無機繊維体に含まれる無機繊維の重量の割合は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、30重量%以上であることが好ましく、35重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがさらに好ましく、45重量%以上であることがさらに好ましく、50重量%以上であることさらにが好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、75重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることが特に好ましい。また、無機繊維体の重量に対する、当該無機繊維体に含まれる無機繊維の重量の割合は、例えば、95重量%以下であってもよい。
【0037】
無機繊維体は、例えば、無機繊維ブランケットの積層体であることが好ましい。すなわち、この場合、耐熱ブロック1は、例えば、L字形状の無機繊維ブランケットを複数積層して構成されてもよいし、又は、当該耐熱ブロック1のL字縦部10及びL字底部20の各々が、複数の無機繊維ブランケットを積層して形成されてもよい。
【0038】
なお、無機繊維ブランケットの積層は、互いに分離可能な複数の無機繊維ブランケットの積層(例えば、互いに分離可能な複数のL字形状の無機繊維ブランケットの積層)であってもよいし、又は、1つの無機繊維ブランケットを複数回折り返すことによる積層(例えば、長尺の無機繊維ブランケットにおいて山折り及び谷折りを繰り返すことによる積層)であってもよい。
【0039】
耐熱ブロック1の重量は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、0.5kg以上であってもよく、1kg以上であってもよく、3kg以上であってもよく、5kg以上であってもよく、10kg以上であってもよく、15kg以上であってもよく、20kg以上であってもよい。また、耐熱ブロック1の重量は、例えば、30kg以下であってもよい。
【0040】
耐熱ブロック1のL字縦部10の前面11には、コーナー部100の縦面111に設けられた縦面取付部130に固定される前面取付部30が設けられている。すなわち、コーナー部100の縦面111には予め縦面取付部130が設けられており、当該縦面111を覆うように施工される耐熱ブロック1のL字縦部10の前面11には、当該縦面取付部130に固定可能な前面取付部30が設けられている。
【0041】
耐熱ブロック1のL字底部20の上面21には、コーナー部100の下面121に設けられた下面取付部140と係合する上面取付部40が設けられている。すなわち、コーナー部100の下面121には予め下面取付部140が設けられており、当該下面121を覆うように施工される耐熱ブロック1のL字底部20の上面21には、当該下面取付部140に係合可能な上面取付部40が設けられている。
【0042】
図4Aには、コーナー部100の下面取付部140の具体的態様の一例を前方からの斜視にて示す。
図4Bには、耐熱ブロック1の上面取付部40の具体的態様の一例を前方且つ上方からの斜視にて示す。
図4Cには、
図4Aに示す下面取付部140と、
図4Bに示す上面取付部40とが係合した状態の一例を前方且つ上方からの斜視にて示す。
図4Dには、
図4Cに示す下面取付部140と上面取付部40との係合状態を前方からの正面視にて示す。
【0043】
図5Aには、
図2A及び
図2Bに示す耐熱ブロック1を、
図3に示すコーナー部100に施工する前の状態を前方からの斜視にて示す。
図5Bには、
図5Aに示すコーナー部100及び耐熱ブロック1を前方且つ下方からの斜視にて示す。
図5Cには、
図5Aに示すコーナー部100及び耐熱ブロック1を幅方向からの側面視にて示す。
図5Dには、
図2A及び
図2Bに示す耐熱ブロック1の上面取付部40の前方X1の端部が、
図3に示すコーナー部100の下面取付部140に係合した状態について、当該耐熱ブロック1の当該上面取付部40以外の部分を省略して、後方且つ下方からの斜視にて示す。
図5Eには、
図2A及び
図2Bに示す耐熱ブロック1を
図3に示すコーナー部100に施工して得られた耐熱構造2を後方且つ下方からの斜視にて示す。
【0044】
図6Aには、コーナー部100の下面取付部140の具体的態様の他の例を前方からの断面視にて示す。
図6Bには、耐熱ブロック1の上面取付部40の具体的態様の他の例を前方からの断面視にて示す。
図6Cには、
図6Aに示す下面取付部140と、
図6Bに示す上面取付部40との係合状態を前方からの断面視にて示す。
【0045】
耐熱ブロック1の上面取付部40は、コーナー部100の下面取付部140と係合することによって、当該耐熱ブロック1の前面取付部30を当該コーナー部100の縦面取付部130に対向する位置に位置決めするとともに、当該下面取付部140と係合した状態で直線的にスライドすることによって、当該前面取付部30を当該縦面取付部130に固定可能な位置まで直線的に移動させるよう構成されている。
【0046】
具体的に、コーナー部100への耐熱ブロック1の施工(すなわち、耐熱構造2の製造)においては、まず当該耐熱ブロック1の上面取付部40の前方X1の端部を当該コーナー部100の下面取付部140に係合させる(
図5D参照)。
【0047】
ここで、耐熱ブロック1の上面取付部40は、当該耐熱ブロック1のL字底部20の前方端部まで延びていることが好ましい。具体的に、耐熱ブロック1の上面取付部40は、例えば、
図2B及び
図5Bに示すように、当該耐熱ブロック1のL字底部20の前方X1の端面22及び下方Z2の端面23が見える位置から当該上面取付部40の前方X1の端部が視認可能となるように、当該L字底部20の前方X1の端部まで延びていることが好ましい。
【0048】
このように耐熱ブロック1の上面取付部40がL字底部20の前方端部まで延びていることにより、例えば、当該耐熱ブロックを下から持ち上げた状態で施工作業を行う作業者にとって、当該上面取付部40の位置を当該耐熱ブロック1の下から容易に確認することができるため、当該上面取付部40と、コーナー部100の下面取付部140との位置合わせ及び係合を効率よく行うことができる。
【0049】
なお、上面取付部40は、その前方端部がL字底部20の前方端部よりさらに前方X1に延び出ていてもよいが、
図2A、
図2B、
図5B及び
図5Cに示されるように、当該L字底部20の上面21の範囲内に設けられていることが好ましい。
【0050】
また、耐熱ブロック1の上面取付部40は、当該耐熱ブロック1の下方Z2への移動及び幅方向Yへの移動を阻止するよう、コーナー部100の下面取付部140と係合する。すなわち、耐熱ブロック1の上面取付部40と、コーナー部100の下面取付部140との係合は、当該耐熱ブロック1の下方Z2への移動を阻止する係合と、当該耐熱ブロック1の幅方向Yへの移動を阻止する係合とを含む。
【0051】
このため、耐熱ブロック1の上面取付部40と、コーナー部100の下面取付部140との係合によって、上下方向Z及び幅方向Yにおける当該耐熱ブロック1の前面取付部30と当該コーナー部100の縦面取付部130との相対的な位置関係を確定することができる。
【0052】
具体的に、まず耐熱ブロック1の前面取付部30は予め、当該耐熱ブロック1の上面取付部40がコーナー部100の下面取付部140に係合した状態において、当該コーナー部100の縦面取付部130に対向する位置に配置されるよう、当該耐熱ブロック1のL字縦部10の前面11に設けられている。
【0053】
一方、耐熱ブロック1の上面取付部40は、コーナー部100の下面取付部140に係合することにより、当該耐熱ブロック1の下方Z2への移動及び幅方向Yへの移動が阻止されるよう構成されている。
【0054】
耐熱ブロック1の下方Z2及び幅方向Yへの移動を阻止する係合を実現するための上面取付部40の構造は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、
図4A~
図4Dに示す例において、上面取付部40は、コーナー部100の下面取付部140の一部に上方から(下方Z2に向けて)当接する第一表面40aと、幅方向Yにおいて当該下面取付部140の他の一部に挟持される第二表面40bとを有している。
【0055】
また、この例において、コーナー部100の下面取付部140は、耐熱ブロック1の上面取付部40の第一表面40aを下方から(上方Z1に向けて)支持する第一表面140aと、幅方向Yにおいて当該上面取付部40の第二表面40bを挟持する第二表面140bとを有している。
【0056】
そして、耐熱ブロック1の上面取付部40の第一表面40aが、コーナー部100の下面取付部140の第一表面140aに上方から当接するよう、当該上面取付部40と当該下面取付部140とが係合することにより、当該耐熱ブロック1は、当該上面取付部140を介して、当該コーナー部100に吊り下げられる。この結果、耐熱ブロック1の下方向Zへの移動は阻止される。
【0057】
また、耐熱ブロック1の上面取付部40の一対の第二表面40bが、コーナー部100の下面取付部140の一対の第二表面140bによって幅方向Yにおいて挟持されるよう、当該上面取付部40と当該下面取付部140とが係合することにより、当該耐熱ブロック1の幅方向Yにおける移動は阻止される。
【0058】
また、
図6A~
図6Cに示す例において、耐熱ブロック1の上面取付部40は、コーナー部100の下面取付部140の一部に上方から(下方Z2に向けて)当接する第一表面40aと、幅方向Yにおいて当該下面取付部140の他の一部を挟持する第二表面40bとを有している。
【0059】
また、この例において、コーナー部100の下面取付部140は、耐熱ブロック1の上面取付部40の第一表面40aを下方から(上方Z1に向けて)支持する第一表面140aと、幅方向Yにおいて当該上面取付部40の第二表面40bに挟持される第二表面140bとを有している。
【0060】
そして、耐熱ブロック1の上面取付部40の第一表面40aが、コーナー部100の下面取付部140の第一表面140aに上方から当接するよう、当該上面取付部40と当該下面取付部140とが係合することにより、当該耐熱ブロック1は、当該上面取付部140を介して、当該コーナー部100に吊り下げられ、当該耐熱ブロック1の下方Z2への移動は阻止される。
【0061】
また、耐熱ブロック1の上面取付部40の一対の第二表面40bが、幅方向Yにおいてコーナー部100の下面取付部140の一対の第二表面140bを挟持するよう、当該上面取付部40と当該下面取付部140とが係合することにより、当該耐熱ブロック1の幅方向Yにおける移動は阻止される。
【0062】
こうして、耐熱ブロック1の上面取付部40が、コーナー部100の下面取付部140と係合することによって、当該耐熱ブロック1の前面取付部30を当該コーナー部100の縦面取付部130に対向する位置に位置決めし、且つ、当該前面取付部30の下方向Z及び幅方向Yへの移動を阻止して、上下方向Z及び幅方向Yにおける当該前面取付部30の当該縦面取付部130に対する相対的な位置を保持することができる。
【0063】
上述のような係合を実現するための上面取付部40及び下面取付部140の具体的な形状は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、
図4A~
図4Dに示す例において、当該上面取付部40は、基部41と、当該基部41から上方Z1に立設され、幅方向Yに離間した一対の支持部42と、当該一対の支持部42から幅方向Y(具体的には幅方向Yにおいて互いに離れていく外方向)に延設された一対のフランジ部43とを有している。
【0064】
また、コーナー部100の下面取付部140は、基部141と、当該基部141から下方Z2に立設され、幅方向Yに離間した一対の支持部142と、当該一対の支持部142から幅方向Y(具体的には幅方向Yにおいて互いに近づく内方向)に延設された一対のフランジ部143とを有している。
【0065】
そして、この例において、上面取付部40は、そのフランジ部43の表面(具体的には、フランジ部43の下面)である第一表面40aによって、下面取付部140のフランジ部143の表面(具体的には、フランジ部143の上面)である第一表面140aに上方から当接するよう構成されている。
【0066】
また、上面取付部40は、幅方向Yにおいて、そのフランジ部43の表面(具体的には、フランジ部43の幅方向Yにおける端面)である第二表面40bが、下面取付部140の支持部142の表面(具体的には、幅方向Yにおける支持部142の内面)である第二表面140bによって挟持されるよう構成されている。
【0067】
また、
図6A~
図6Cに示す例において、耐熱ブロック1の上面取付部40は、基部41と、当該基部41から上方Z1に立設され、幅方向Yに離間した一対の支持部42と、当該一対の支持部42から幅方向Y(具体的には幅方向Yにおいて互いに近づく内方向)に延設された一対のフランジ部43とを有している。
【0068】
また、
図6A~
図6Cに示す例において、コーナー部100の下面取付部140は、基部141と、当該基部141から下方Z2に立設され、幅方向Yに離間した一対の支持部142と、当該一対の支持部142から幅方向Y(具体的には幅方向Yにおいて互いに離れていく外方向)に延設された一対のフランジ部143とを有している。
【0069】
そして、この例において、上面取付部40は、そのフランジ部43の表面(具体的には、フランジ部43の下面)である第一表面40aによって、下面取付部140のフランジ部143の表面(具体的には、フランジ部143の上面)である第一表面140aに上方から当接するよう構成されている。
【0070】
また、上面取付部40は、幅方向Yにおいて、そのフランジ部43の表面(具体的には、幅方向Yにおけるフランジ部43の端面)である第二表面40bによって、下面取付部140の支持部142の表面(具体的には、幅方向Yにおける支持部142の外面)である第二表面140bを挟持するよう構成されている。
【0071】
さらに、上面取付部40は、幅方向Yにおいて、その支持部42の表面(具体的には、幅方向Yにおける支持部42の内面)である第二表面40bが、下面取付部140のフランジ部143の表面(具体的には、幅方向Yにおけるフランジ部143の端面)である第二表面140bを挟持するよう構成されている。
【0072】
なお、耐熱ブロック1の上面取付部40の第一表面40a及び第二表面40bと、コーナー部100の下面取付部140の第一表面40a及び第二表面40bとの組み合わせは、上述の例に限られない。
【0073】
すなわち、耐熱ブロック1の上面取付部40の第一の表面40aは、基部41及びフランジ部43からなる群より選択される1以上の表面であってもよく、当該上面取付部40の第二の表面40bは、基部41、支持部42及びフランジ部43からなる群より選択される1以上の表面であってもよい。
【0074】
また、コーナー部100の下面取付部140の第一の表面140aは、基部141及びフランジ部143からなる群より選択される1以上の表面であってもよく、当該下面取付部140の第二の表面140bは、基部141、支持部142及びフランジ部143からなる群より選択される1以上の表面であってもよい。
【0075】
図4A~
図4D及び
図6A~
図6Cに示す例において、耐熱ブロック1の上面取付部40は、基部41から下方Z2に延びて、当該耐熱ブロック1のL字底部20に埋設され固定される脚部44を有している。
【0076】
脚部44は、幅方向Yに延びて、L字底部20に埋設され固定される補強部材(不図示)を有してもよい。
図4Bに示す例では、この補強部材を脚部44に固定するために挿通する穴44aが当該脚部44に形成されている。
【0077】
また、
図4A~
図4D及び
図6A~
図6Cに示す例において、コーナー部100の下面取付部140は、基部141から上方Z1に延びて、当該コーナー部100に固定される軸部144を有している。
【0078】
コーナー部100への耐熱ブロック1の施工(すなわち、耐熱構造2の製造)においては、次に、耐熱ブロック1の上面取付部40を、コーナー部100の下面取付部140と係合した状態で直線的にスライドさせることによって、当該耐熱ブロック1の前面取付部30を当該コーナー部100の縦面取付部130に固定可能な位置まで直線的に移動させる。
【0079】
すなわち、上述したとおり、まず
図5Dに示すように、耐熱ブロック1の上面取付部40の前方端部を、コーナー部100の下面取付部140の後方端部と係合することによって、当該耐熱ブロック1の前面取付部30は、当該コーナー部100の縦面取付部130に対向する位置に位置決めされる。
【0080】
そこで、次に、上面取付部40と下面取付部140との係合状態を維持したまま、すなわち、耐熱ブロック1の前面取付部30を、当該コーナー部100の縦面取付部130に対向する位置に位置決めしたまま、当該上面取付部40をさらに前方X1に、直線的にスライドさせる。
【0081】
すなわち、
図4A~
図4D及び
図6A~
図6Cに示す例において、上面取付部40及び下面取付部140は、当該上面取付部40が当該下面取付部140に係合したまま前方X1に直線的にスライドできるよう、前後方向Xにおいて直線的に延びる形状で構成されている。
【0082】
具体的に、耐熱ブロック1の上面取付部40は、前後方向Xにおいて直線的に延びる第一表面40a及び第二表面40bを有している。より具体的に、上面取付部40の基部41、支持部42及びフランジ部43は、それらの第一表面40a及び第二表面40bになり得る表面が前後方向Xにおいて直線的に延びる形状で構成されている。
【0083】
また、コーナー部100の下面取付部140も、前後方向Xにおいて直線的に延びる第一表面140a及び第二表面140bを有している。より具体的に、下面取付部140の基部141、支持部142及びフランジ部143は、それらの第一表面140a及び第二表面140bになり得る表面が前後方向Xにおいて直線的に延びる形状で構成されている。
【0084】
したがって、耐熱ブロック1をコーナー部100に施工する作業者は、耐熱ブロック1の上面取付部40の前方端部を、コーナー部100の下面取付部140の後方端部と係合させた後は、当該係合状態を維持したまま当該上面取付部40がさらに前方X1に向けて直線的にスライドするよう、当該耐熱ブロック1を前方X1に移動させるだけで、当該耐熱ブロック1の前面取付部30を当該コーナー部100の縦面取付部130に固定可能な位置まで到達させることができる。
【0085】
すなわち、耐熱ブロック1が上述したような上面取付部40を有することにより、コーナー部100の縦面取付部130に対する、当該耐熱ブロック1の前面取付部30の位置合わせ及び固定を効率的に行うことができる。
【0086】
なお、耐熱ブロック1に設けられる上面取付部40の数は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、当該耐熱ブロック1は、本実施形態のように、1つの上面取付部40を有することが好ましい。
【0087】
また、コーナー部100は、1つの耐熱ブロック1に対して、当該1つの耐熱ブロックが有する上面取付部40の数に対応する数(同数)及び配置で下面取付部140を有することが好ましい。この点、本実施形態において、コーナー部100は、1つの耐熱ブロック1に対して1つの下面取付部140を有している。
【0088】
また、耐熱ブロック1のコーナー部100への施工によって製造された耐熱構造2において、当該耐熱ブロック1の上面取付部40と、当該コーナー部100の下面取付部140との係合は、当該耐熱ブロック1のL字底部20の上面21の範囲外で行われてもよいが、上述した例のように、当該上面21の範囲内で行われることが好ましい。
【0089】
すなわち、耐熱ブロック1の上面取付部40は、当該耐熱ブロック1のL字底部20の上面21の範囲内に設けられることが好ましく、コーナー部100の下面取付部140は、当該コーナー部100の下面121のうち、当該耐熱ブロック1の当該上面21に覆われる範囲内に設けられることが好ましい。
【0090】
また、この耐熱構造2において、耐熱ブロック1の前面取付部30と、コーナー部100の縦面取付部130との係合は、当該耐熱ブロック1のL字縦部10の前面11の範囲外で行われてもよいが、上述した例のように、当該前面11の範囲内で行われることが好ましい。
【0091】
すなわち、耐熱ブロック1の前面取付部30は、当該耐熱ブロック1のL字縦部10の前面11の範囲内に設けられることが好ましく、コーナー部100の縦面取付部130は、当該コーナー部100の縦面111のうち、当該耐熱ブロック1の当該前面11に覆われる範囲内に設けられることが好ましい。
【0092】
耐熱ブロック1の前面取付部30は、コーナー部100の縦面取付部130に固定可能な部材であれば特に限られない。すなわち、例えば、耐熱ブロック1の前面取付部30は、コーナー部100の縦面取付部130に対して、ボルト及びナット等のネジ構造を利用した締結により固定されることとしてもよい。
【0093】
具体的に、例えば、耐熱ブロック1の前面取付部30は、雌ネジ構造を有する部材(例えば、高ナット)を含み、コーナー部100の縦面取付部130には、雄ネジ構造を有する部材(例えば、ボルト)が挿通される挿通穴が形成されていることとしてもよい。
【0094】
この場合、上述のように耐熱ブロック1の上面取付部40をコーナー部100の下面取付部140と係合した状態でスライドさせることによって、当該耐熱ブロック1の前面取付部30が当該コーナー部100の縦面取付部130に固定可能な位置に到達した後に、当該縦面取付部130の挿通穴を介して、当該前面取付部30の雌ネジ構造に、雄ネジ構造を有する部材を挿入して締結することにより、当該前面取付部30と当該縦面取付部130とを固定する。
【0095】
ただし、このようなネジ構造を有する締結部材を採用する場合、耐熱ブロック1の前面取付部30と、コーナー部100の縦面取付部130との位置合わせを室内空間210(
図1A~
図1D参照)で行う一方で、当該前面取付部30と当該縦面取付部130との最終的な固定作業(例えば、ボルトを挿通して固定する作業)は、室外空間220から行う必要がある。
【0096】
これに対し、耐熱ブロック1の前面取付部30と、コーナー部100の縦面取付部130との位置合わせのみならず、これらの固定作業も室内空間210で完了することができれば、施工に要する時間及び労力をさらに効果的に低減することができる。
【0097】
この点、
図7Aには、コーナー部100の縦面取付部130の具体的態様の一例を斜視及び側面視にて示す。すなわち、
図7Aの(i)には後方からの斜視にて、及び、
図7Aの(ii)には幅方向からの側面視にて、縦面取付部130の一例を示す。
図7Bには、耐熱ブロック1の前面取付部30の具体的態様の一例を斜視及び側面視にて示す。すなわち、
図7Bの(i)には後方からの斜視にて、
図7Bの(ii)には幅方向からの側面視にて、及び、
図7Bの(iii)には前方からの斜視にて、縦面取付部130の一例を示す。
図7Cには、
図7Aに示す縦面取付部130と、
図7Bに示す前面取付部30とが係合した状態を幅方向からの側面視にて示す。
【0098】
図7A~
図7Cに示す例において、前面取付部30には、縦面取付部130の一部が挿通可能な間隙31が形成されている。そして、この前面取付部30は、縦面取付部130の一部が間隙31を挿通方向(図中では後方X2)に通過することを許容する一方で、当該縦面取付部130の一部が当該間隙31を通過した後に当該縦面取付部130の他の一部に係合して、当該縦面取付部130の当該挿通方向と逆方向(図中では前方X1)への移動を阻止するよう構成されている。
【0099】
耐熱ブロック1の前面取付部30をこのように構成することにより、当該耐熱ブロック1の上面取付部40をコーナー部100の下面取付部140と係合した状態で直線的にスライドさせて、当該前面取付部30を当該縦面取付部130に近づけるだけで、当該前面取付部30の間隙31に当該縦面取付部130の一部を挿通させるとともに、当該前面取付部30と当該縦面取付部130の他の一部とを係合させることができる。すなわち、耐熱ブロック1の前面取付部30と、コーナー部100の縦面取付部130との位置合わせのみならず、これらの固定作業も室内空間210で完了することができる。
【0100】
このような係合を実現する前面取付部30の具体的な構造は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、
図7A~
図7Cに示す例において、前面取付部30は、縦面取付部130の一部が挿通可能な隙間31を形成する弾性部材32を有している。
【0101】
そして、この前面取付部30は、弾性部材32が弾性変形して隙間31を拡大することにより、拡大前の隙間31より大きい縦面取付部130の一部が当該間隙31を挿通方向に通過することを許容する一方で、当該縦面取付部130の一部が当該間隙31を通過した後に、弾性復元した当該弾性部材32によって当該縦面取付部130の一部より小さい他の一部に係合して、当該縦面取付部130の当該挿通方向と逆方向への移動を阻止するよう構成されている。
【0102】
前面取付部30の弾性部材32は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、
図7B及び
図7Cに示すように、板バネが好ましく用いられる。すなわち、
図7B及び
図7Cに示す例において、前面取付部30は、基部33と、当該基部33に離間して設けられ、挿通方向(図中の後方X2)に向けて互いに近づくよう傾斜しながら延びる一対の板バネから構成される弾性部材32とを有している。なお、
図7B及び
図7Cに示す例において、板バネから構成される一対の弾性部材32は、上下方向Zに離間して設けられている。
【0103】
そして、弾性部材32の離間した一対の自由端部の間に、隙間31が形成されている。また、基部33には、隙間31の挿通方向と逆方向(図中の前方X1)において当該隙間31に対向する位置に、縦面取付部130の一部を挿通するための穴33aが形成されている。
【0104】
なお、耐熱ブロック1の前面取付部30は、基部33から挿通方向(図中の後方X2)に延びて、当該耐熱ブロック1のL字縦部10に埋設され固定される脚部34を有している。脚部34は、幅方向Yに延びて、L字縦部10に埋設され固定される補強部材(不図示)を有してもよい。
図7Bに示す例では、この補強部材を脚部34に固定するために挿通する穴34aが当該脚部34に形成されている。
【0105】
一方、縦面取付部130は、前面取付部30の隙間31より大きい第一部分131と、当該第一部分131より小さい第二部分132とを有している。具体的に、
図7A及び
図7Cに示す例において、縦面取付部130は、第一部分131と第二部分132とを有する柱状部材として構成されている。
【0106】
そして、縦面取付部130の第一部分131は、前面取付部30の隙間31より大きい径を有する柱状部分であり、第二部分132は、当該第一部分131より小さい径を有する柱状部分である。具体的に、縦面取付部140は、第一部分131と第二部分132とが長手方向に繰り返し形成されている。
【0107】
すなわち、縦面取付部140は、ネジ構造を有し、その山部である第一部分131と、谷部である第二部分132との組み合わせを長手方向に繰り返し有している。より具体的に、第一部分131は、挿通方向と逆方向(図中の前方X1)に向けて径が拡大するテーパー形状を有しており、当該テーパー形状の少なくとも一部の径が、耐熱ブロック1の前面取付部30の隙間31より大きくなっている。なお、
図7Aに示す例において、縦面取付部140は、複数の第一部分131及び第二部分132を含むネジ部133をコーナー部100に固定するための軸部134有している。
【0108】
そして、耐熱ブロック1の前面取付部30を、コーナー部100の縦面取付部130に固定する際には、まず当該縦面取付部130の第一部分131を、当該前面取付部30の隙間31に押し込む。
【0109】
すなわち、縦面取付部130の第一部分131は、前面取付部30の隙間31より大きいが、当該隙間31を形成している弾性部材32は弾性を有するため、当該弾性部材32は、当該第一部分131によって挿通方向に押圧されることにより弾性変形して、当該間隙31を拡大する。
【0110】
したがって、縦面取付部130の第一部分131は、拡大された間隙31を通過することができる。なお、縦面取付部130の第一部分131が隙間31を通過する間、弾性部材32は、その弾性反発力によって当該第一部分32を挟持する。
【0111】
次いで、縦面取付部130の第一部分131が隙間31を通過した後は、当該第一部分131の挿通方向と逆方向(図中の前方X1)に形成された第二部分132が当該隙間31を通過することになるが、当該第二部分132は、当該第一部分131より小さいため、前面取付部30の弾性部材32は、弾性復元して、
図7Cに示すように、当該第二部分132に係合する。
【0112】
そして、前面取付部30の弾性部材32と、縦面取付部130の第二部分132との係合により、当該前面取付部30の隙間31を既に通過した当該第二部分132より大きい当該第一部分131の挿通方向と逆方向(図中の前方X1)への移動は阻止される。
【0113】
すなわち、前面取付部30の弾性部材32と、縦面取付部130の第二部分132との係合により、当該縦面取付部130の挿通方向と逆方向(図中の前方X1)への移動は阻止される。
【0114】
また、
図7A~
図7Cに示す例において、縦面取付部130は、前面取付部30の隙間31を通過する前に、当該前面取付部30の基部33の穴33aを通過する。このため、
図7Cに示す例において、前面取付部30と係合した縦面取付部130は、弾性部材32と係合するとともに、当該前面取付部30の基部33にも支持されている。
【0115】
このように挿通方向(図中の前後方向X)において離間した前面取付部30の弾性部材32と基部33とによって縦面取付部130を支持することにより、当該前面取付部30と当該縦面取付部130との係合を効果的に安定させ、耐熱ブロック1のコーナー部100への施工状態を効果的に保持することができる。
【0116】
なお、前面取付部30が、縦面取付部130の一部が間隙31を挿通方向に通過することを許容する態様は、上述の例に限られない。すなわち、例えば、縦面取付部130の一部が弾性部材により構成されており、当該縦面取付部130の一部が、前面取付部30の隙間31を構成する部材による押圧によって、その径を縮小するよう弾性変形することで、当該一部が当該隙間31を通過し、当該通過後は弾性復元により当該一部の径が回復し、縦面取付部130の他の一部と、前面取付部30の隙間31を構成する部材とが係合することとしてもよい(例えば、特許第3592583号参照)。
【0117】
また、耐熱ブロック1は、複数の前面取付部30を有することが好ましい。この点、本実施形態において、耐熱ブロック1は、2つの前面取付部30を有している。複数の前面取付部30の配置は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、耐熱ブロック1は、上下方向Zに離間した複数の前面取付部30を有することが好ましい。この点、本実施形態において、耐熱ブロック1は、上下方向Zに離間した2つの前面取付部30を有している。
【0118】
また、耐熱ブロック1が複数の前面取付部30を有する場合、コーナー部100は、1つの耐熱ブロック1に対して、当該複数の前面取付部30に対応する数(同数)及び配置の縦面取付部130を有することが好ましい。
【0119】
耐熱ブロック1の前面取付部30が、上述のように構成されることにより、室外空間220における作業が不要となり又は低減されるため、耐火ブロック1のコーナー部100への施工に要する時間及び労力を効果的に低減することができる。
【0120】
本実施形態に係る耐熱構造2(
図1B~
図1D及び
図5E参照)は、上述のように、耐熱ブロック1をコーナー部100に施工することにより製造される。すなわち、耐熱構造2の製造方法は、耐熱ブロック1の上面取付部40をコーナー部100の下面取付部140と係合することによって、当該耐熱ブロック1の前面取付部30を当該コーナー部100の縦面取付部130に対向する位置に位置決めすることと、当該上面取付部40を当該下面取付部140と係合した状態で直線的にスライドすることによって、当該前面取付部30を当該縦面取付部130に固定可能な位置まで直線的に移動させることと、当該前面取付部30と当該縦面取付部130とを固定することと、を含む施工工程を含む。
【0121】
耐熱構造2は、コーナー部100と、当該コーナー部100を覆う複数の耐熱ブロック1と、を含むこととしてもよい。すなわち、この場合、耐熱構造2は、幅方向Yに隣接して配置された複数の耐熱ブロック1を含む。
【0122】
また、複数の耐熱ブロック1は、幅方向Yにおいて、互いに接して配置される。すなわち、耐熱ブロック1が無機繊維体である場合、複数の耐熱ブロック1の各々は、幅方向Yにおいて圧縮された状態で互いに接して配置される。この場合、複数の耐熱ブロック1は、無機繊維体が幅方向Yに膨張しようとする反発力によって、互いに安定して保持される。
【0123】
耐熱構造2が複数の耐熱ブロック1を含む場合、当該耐熱構造2の製造方法は、当該複数の耐熱ブロック1の各々について実施される複数の施工工程を含む。この場合、複数の施工工程は、順次実施してもよいし、その一部又は全部を並行して実施してもよい。
【0124】
また、複数の耐熱ブロック1を施工する場合、各耐熱ブロック1は、そのL字形状の側面1aを覆う滑り板(不図示)を有することが好ましい。すなわち、特に耐熱ブロック1が無機繊維体である場合、当該耐熱ブロック1が滑り板を有することにより、隣接して施工される複数の耐熱ブロック1間の摩擦を効果的に低減して、これらの施工性を向上させることができる。
【0125】
滑り板は、隣接する耐熱ブロック1間の摩擦を低減できれば特に限られず、例えば、段ボールやベニヤ板が好ましく用いられるが、表面が樹脂コーティングされた滑り板(例えば、ポリベニヤ板)を用いることが特に好ましい。なお、滑り板は、隣接する耐熱ブロック1の施工後に除去されてもよい。
【0126】
また、コーナー部100が、
図3に示すように、金属壁300と、当該金属壁300の耐熱ブロック1側の表面を覆う耐熱層400とを有する場合、耐熱構造2の製造方法は、上述の施工工程に先立って、次の準備工程を含むこととしてもよい。
【0127】
すなわち、この準備工程は、耐熱層400が未だ積層されていない金属壁300に縦面取付部130の一部及び/又は下面取付部140の一部を固定することと、当該縦面取付部130の一部及び/又は当該下面取付部140の一部が固定された当該金属壁300の表面に耐熱層400を積層することと、当該耐熱層400の積層後、当該金属壁300に固定された当該縦面取付部130の一部及び/又は当該下面取付部140の一部に、当該縦面取付部130の残りの部分及び/又は当該下面取付部140の残りの部分を接続することと、を含む。
【0128】
具体的に、
図8Aには、耐熱層400を積層する前の金属壁300を断面視で示す。金属壁300の上下方向Zに延びる金属縦面310には、縦面取付部130を固定するための縦面穴310aが形成されている。また、金属壁300の金属縦面310の下方Z2の端部から前方X1に延びる金属下面320には、下面取付部130を固定するための下面穴320aが形成されている。
【0129】
そこで、まず
図8Bに示すように、金属壁300の縦面穴310aに縦面取付部130の一部(具体的には、軸部134(
図7A参照))を挿通して当該金属壁300に固定する(例えば、高ナットから構成される軸部134を室内空間210側から縦面穴310aに挿通し、室外空間220側から当該高ナットをワッシャ及びナットで固定する)とともに、当該金属壁300の下面穴320aに下面取付部140の一部(具体的には、軸部144(
図4A参照))を挿通して当該金属壁300に固定する(例えば、高ナットから構成される軸部144を室内空間210側から下面穴320aに挿通し、室外空間220側から当該高ナットをワッシャ及びナットで固定する)。
【0130】
なお、
図8Bの(i)には、室内空間210側からの斜視にて、及び、
図8Bの(ii)には室外空間220側からの斜視にて、縦面取付部130の一部及び下面取付部140の一部が固定された金属壁300を示す。縦面取付部130の一部及び下面取付部140の一部は、少なくとも室内空間210側に突出するよう金属壁300に固定される。
【0131】
次に、
図8Cに示すように、縦面取付部130の一部及び下面取付部140の一部が固定された金属壁300の表面(具体的には、室内空間210側の表面311(
図8A及び
図8B参照))に、耐熱層400を積層する。耐熱層400は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、流動性を有する不定形の耐熱性組成物を塗布し、硬化させることにより形成する。
【0132】
その結果、
図8Cに示すように、予め金属壁300に固定されていた縦面取付部130の一部(軸部134)及び下面取付部140の一部(軸部144)は、その室内空間210側の端部(図中では後方X2の端部)が露出した状態で、耐熱層400に包埋される。
【0133】
その後、
図8Dに示すように、金属壁300に固定され耐熱層400に包埋された縦面取付部130の一部に、当該縦面取付部130の残りの部分を接続し、当該縦面取付部130を完成させる。
【0134】
このように、コーナー部100の耐熱層400を形成する前に、縦面取付部130の一部及び/又は下面取付部140の一部を金属壁300に固定しておくことで、当該耐熱層400の形成後に当該縦面取付部130及び/又は下面取付部140を固定するために当該耐熱層400を加工する必要性が低減され、耐熱構造2の製造における労力及び時間をより効果的に低減することができる。
【0135】
なお、コーナー部100が、
図3に示すように、耐熱層400の室内区間210側の表面を覆う耐熱表皮層500をさらに有する場合、上記準備工程は、
図8Eに示すように、当該耐熱層400の表面に当該耐熱表皮層500を積層することをさらに含んでもよい。耐熱表皮層500は、本発明の効果が得られれば特に限られないが、例えば、無機繊維体(例えば無機繊維ブランケット)であることが好ましい。
【0136】
その後、
図8Fに示すように、金属壁300に固定され耐熱層400に包埋された下面取付部140の一部に、当該下面取付部140の残りの部分を接続し、当該下面取付部140を完成させる。具体的に、まず下面取付部140の一部の下方端に対応する耐熱表皮層500の一部に穴を形成して当該下方端を露出させ、次いで、当該露出した当該下方端に当該下面取付部140の残りの部分を接続する。
【0137】
なお、
図8D~
図8Fに示す例では、縦面取付部130及び下面取付部140のうち、まず当該縦面取付部130を完成させ、次いで、当該下面取付部140を完成させる態様について説明したが、準備工程が、耐熱層400が未だ積層されていない金属壁300に縦面取付部130の一部及び/又は下面取付部140の一部を固定することと、当該縦面取付部130の一部及び/又は当該下面取付部140の一部が固定された当該金属壁300の表面に耐熱層400を積層することと、当該耐熱層400の積層後、当該金属壁300に固定された当該縦面取付部130の一部及び/又は当該下面取付部140の一部に、当該縦面取付部130の残りの部分及び/又は当該下面取付部140の残りの部分を接続することと、を含む態様であれば、これに限られない。