(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181946
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置
(51)【国際特許分類】
B60K 28/10 20060101AFI20231218BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20231218BHJP
G05G 1/54 20080401ALI20231218BHJP
G05G 1/36 20080401ALI20231218BHJP
B60T 7/04 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
B60K28/10 Z
G05G1/30 E
G05G1/54
G05G1/36
B60T7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022105124
(22)【出願日】2022-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】599082528
【氏名又は名称】河田 善徳
(72)【発明者】
【氏名】河田 善徳
【テーマコード(参考)】
3D037
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
3D037FA20
3D124AA33
3D124BB01
3D124CC43
3D124DD62
3J070AA32
3J070BA41
3J070CA42
3J070CB01
3J070CC02
3J070DA02
(57)【要約】
【課題】 ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いを防止すると共に、俊敏で疲労度を軽減した踏み間違い防止装置を提供する。
【解決手段】 アクセル操作を軽くするため、既存のアクセルペダル後端より後方を押さえるように、該アクセルペダルに9アクセルアームを装着し、その先端に設けた14コロAの上側に、直交する19コロBを配置すると共に、アクセルとブレーキの踏み間違いを防止するため、アクセルとブレーキの操作方向が異なるように、踵を中心に、つま先を右横に開きながら2ローラーアームAに設けた1ローラーを操作すれば、7軸部Cを中心に4ローラーアームBが一体的に動き、該4ローラーアームBに設けた19コロBが14コロAを押さえる構成にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存のアクセルペダルとブレーキペダルは、そのまま利用する装置であって、既存のアクセルペダルに9アクセルアームを装着し、該9アクセルアームの先端に14コロAを設け、その上側に直交する19コロBを配置する事により、踵を中心に足の、つま先右側面で2ローラーアームAに設けた1ローラーを右横に操作すると、7軸部Cを中心に4ローラーアームBが一体的に動き、該4ローラーアームBの先端に設けた19コロBが14コロAを押さえ、既存のアクセルペダルを操作するように構成したことを特徴とするアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置。
【請求項2】
踵を中心に、つま先を右横に開きながら、つま先右側面と接触している1ローラーを操作すると、つま先の右側面と1ローラーの移動距離は同じであるが、つま先の回転半径より1ローラーの回転半径の方が構造的に短くなることで、つま先を右横に開く角度より大きくなる1ローラーの角度にリンクして、1ローラーの回転半径に対する19コロBの回転半径の比率を相応にすることで、適度な操作力が得られることを特徴とする請求項1記載のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置。
【請求項3】
操作力を軽くするため既存のアクセルペダル後端より後方に配設した14コロAの上側に直交する19コロBを配置し、該19コロBが14コロAを上手く押さえるように19コロBの位置に合わせるため、14コロAの前後の位置と高さの調整手段を備えることを特徴とする請求項1記載のアクセルとブレーキの踏み間違い防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い防止には、ブレーキペダルとアクセルペダルの操作を異なる方向にして間違わないようにした装置がある。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の公知の技術においては、既存のブレーキペダルに補助ペダルを連接しアクセル機構を備えたもので、該補助ペダルに、つま先で右横方向に作用させるアクセルパッドを設けている。
アクセルは足を補助ペダル上に載置し、踵を中心にして、つま先を右に開くようにアクセルパッドを操作するが、従来の踏み込み式のアクセルペダルだと縦方向なので強い力を付与できるが、横方向だと強い力を付与できない。それに加え、走行を維持したり操作を繰り返したりする疲労度も縦方向より横方向の方が大きいので問題になる。
【0005】
これを克服するには、適度の操作力が求められる。それには、アクセルを元の不作用位置に戻すため付勢されているコイルスプリングも少なからず影響を及ぼしているので、この影響を軽減させることも課題になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する手段として、従来の踏み込み式のアクセルペダルでは、ペダル縦幅の中心付近を足のつま先で踏み込んでいたが、この時の操作力より軽くするには、既存のアクセルペダルに9アクセルアームを装着して、アクセルペダルの後端より後方を押さえるように、前記9アクセルアーム先端に14コロAを設けて、該14コロAを押さえると、その押さえる位置から支点までの距離が長くなるため、アクセルを作用させるモーメントが大きくなり、それだけ軽い力で操作できるようになる。このため、つま先の操作幅が大きくなるが、許容する形になる。
【0007】
上記に述べた軽い操作ができるように、床に接触した踵を中心に、つま先の右側面でアームに設けた1ローラーを右横へ動かすと、軸を中心に一体的に動く他方のアーム先端に設けた19コロBを14コロAの上側に直交するように配置して、14コロAを押さえる構成にする。この場合、つま先と1ローラーは接触しているので移動距離は同じでも、つま先の回転半径より1ローラーを設けたアームの回転半径の方が構造上短くなるので、つま先を右横に開く角度より1ローラーが動く角度の方が大きくなることについては、それだけ19コロBを設けたアームの方を短くすればよい。
【0008】
補足すると、つま先右側面で1ローラーを右横へ動かす場合、つま先の操作力が1ローラーを設けたアームにモーメントとして伝える側と、この力が伝わる他方のアーム側のモーメメントは吊り合うので、長さの比率を変えることにより、14コロAを押さえる幅と操作力が変わってくる。つま先を右横に開く角度より大きくなった1ローラーが動く角度に対して前記の比率を相応にすることにより、適度な操作力が得られる。
【発明の効果】
【0009】
つま先を右横に操作し易くすることで疲労度が軽減されるほか、俊敏な操作ができるようになると共に、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いもなく事故防止に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の踏み間違い防止装置の全体構成を示し、
図2は既存のアクセルペダルに部品を装着する部分の拡大分解斜視図を示すもので、
図1と
図2を参照して説明する。既存のアクセルペダル、ブレーキペダルは、そのまま利用するもので、以下ただ単にアクセルペダル、ブレーキペダルと称す。アクセルペダルに9アクセルアームを装着するものでアクセルペダル部分の上部と下部、2箇所で9アクセルアームを支持している。上部は同じ部品で2点ある10側板の穴を上に、曲がり側を内向きに左右配置して、その間にアクセルペダルの横幅より少し狭くなっている12取付板の側面の穴を上にして、穴にボルト、座金を通しナットで取り付けるが、予め12取付板の中央の穴にボルト頭を下向きにして12取付板をナットで挟むように付けておく。右側は左側と違い11間座をはめ込み9アクセルアームの上部の穴を合わせて取り付けている。
次に下部も同じようにして取り付けるが、両側面を挟む2点ある13横押えはフラットになっており、両側面を挟むのみになっていて上下の高さを調整する時、高さが変わっても挟むことができるようになっている。この13横押えの間に配置する12取付板は上部と同じ部品で向きが逆になっていて、予め上部と同じようにボルトを付けておき、右側も上部と同じようにして9アクセルアームの下部の穴を合わせて取り付けている。
【0012】
前記9アクセルアーム先端の14コロAは回動状態にしてボルト、ナットで固定している。この14コロAの上側に直交する19コロBを配設するが、車両に設けてある付属品の穴を利用した20ステーを設置して、予め16ベースに設けてある8取付プレートに2ローラーアームA、4ローラーアームB、7軸部C等各部品を組み付けて置く。前記16ベースを20ステーに設置すれば、14コロAの上側に直交する19コロBを配置することになる。この19コロBが14コロAを上手く押さえるようにするには、14コロAを19コロBに合わせて前後の位置と高さを調整しなければならない。
その調整方法を述べると、9アクセルアームを支持している上部の前後位置を合わせ12取付板の中央のボルトをアクセルペダルに当てると高さと前後位置が設定される。次に9アクセルアームの高さ調整は下部の12取付板の中央のボルト頭がアクセルペダルに接する高さが任意の高さになる。この高さによって9アクセルアームの傾きが変わり先端の14コロAの高さが決まる。このように調整手段を備えていることが特徴である。
【0013】
図3は、つま先で操作するローラーアーム部分の部分的な拡大分解斜視図を示すもので
図1と
図3を参照して説明する。ブレーキペダル後端の右横に一定間隔を空けた所に1ローラーが来るように配設する。予め2ローラーアームAの下部上側に4ローラーアームBを一定角度に合わせ2本の17ロールピンで一体化して軸穴を設け、その軸穴には回転を滑らかにするため18ブッシュを挿入し、他方それぞれに3軸部Aと5軸部Bを設けている。3軸部Aには1ローラーを座金とダブルナットで回動状態にして固定し、5軸部Bには19コロBを座金とダブルナットで回動状態にして固定している。
【0014】
前記2ローラーアームAと4ローラーアームBは6アーム受けの7軸部Cに座金とダブルナットで回動状態にして固定している。この6アーム受けをボルト、座金、ナットで8取付プレートに予め取り付けておいて、アクセルペダルの後端が描く軌跡のアイドリング位置と全開を結んだ線に対して、4ローラーアームBが平行に動くように合わせて固定する。この傾きが動かないように15ストッパーを6アーム受けの左側面に接する位置で固定している。この15ストッパーは2ローラーアームAが左側へ必要以上に動かないように止めるストッパーも兼ねている。このように固定した19コロBに合うように上述した調整方法で14コロAの前後と高さの位置を仮止め状態で調整し、最終的には各部品を本締め固定する。
【0015】
図4は踵を中心に、つま先を右横へ開いて1ローラーを操作する時、つま先の開きと2ローラーアームAの関係を示すもので
図1と
図4を参照して説明する。車両のブレーキペダルとアクセルペダルの間に配設する1ローラーをつま先の右側面で右へ動かす場合、つま先と1ローラーは接触しているので移動距離は同じであるが、床部分に踵を接触させた所から1ローラーと、つま先との接触部位までの距離をつま先の回転半径、6アーム受けの7軸部Cから1ローラーと、つま先との接触部位までの距離を1ローラーの回転半径とすると、つま先の回転半径より1ローラーの回転半径が比較的短くなっている。
これを、つま先を開く角度をαに1ローラーの動く角度をβとして比較すると、αよりβの方が比較的大きくなる。つまり、つま先の回転半径より1ローラーの回転半径の方が短くなると、つま先を開く角度より1ローラーが動く角度の方が大きくなる。これは違いの度合いによっても変わってくるが、つま先の開きを大きくしなくても2ローラーアームAと一体になって動く4ローラーアームBの先端に設けた19コロBが、14コロAを押さえる幅が大きくなり、アクセルを押さえる幅が増す。これが構成上の特徴である。
【0016】
上記の特徴は捉え方によっては欠点にもなるし長所にもなる。アクセルペダルの操作を軽くするため、アクセルペダルを押さえる位置をアクセルペダル後端より後方に配置した14コロAを押さえると押さえ幅が大きくなるが、つま先の開きは大きく増えない程度にすることも出来る。然し操作は重くなるので欠点とも言える。つま先の開きを大きくしてでも軽くするのであれば、19コロBの回転半径である7軸部Cから19コロBまでの長さを短くできコンパクトになるので長所とも言える。これは上記の欠点と長所を活用することによりユーザーが求める操作性に応える特徴も併せ持つ。これは、つま先を開く角度より大きくなった1ローラーの角度にリンクして、1ローラーの回転半径に対する19コロBの回転半径の比率を相応にすることにより得られるものである。ここで言う相応とは人によって要求する操作感覚に合わせることを指す。例えば、アクセル全開は全く使わないので一層軽くして欲しいと言うことであれば、つま先の操作幅をより大きくすることにして、全開に近い範囲は使わないようにすれば、それほど操作幅は大きくならない事になる。
【0017】
つま先の操作力と1ローラーの回転半径を掛けた値がモーメントとして伝わるので、1ローラーの回転半径をなるべく大きくする。このため2ローラーアームAをブレーキペダルの方に傾け、斜めにすることによって、できるだけ1ローラーの回転半径を長くしている。このようにして1ローラーの回転半径を確保した上でアクセルペダル後端より後方どの辺りを押さえると、踏み込み式アクセルペダルの縦幅中心を操作する時と比較して操作幅がどの位大きくなるか、どのくらい軽くなるかが分かってくるので、これを目標として当てはめる。先に述べた1ローラーの回転半径とつま先の回転半径の関係から、つま先を開く角度より1ローラーが動く角度の方がどの位、大きくなるか分かってくるので、1ローラーの回転半径に対する19コロBの回転半径の長さを決めることになる。この場合、19コロBの回転半径の方を短くすれば操作が一段と軽くなり操作幅は増える。19コロBの回転半径を長くすれば操作が重くなり操作幅は減る。
具体的に上記の比率をどのようにして決めるかは、目標である軽くするため大きくなった操作幅を、つま先の操作幅にすると同時に、つま先の操作幅に合わせて19コロBが14コロAを押さえる操作幅にすることで得られる。色々と惑わされるようだが間接的に1ローラーに対する19コロBの回転半径が介入しているだけである。
【0018】
次に本発明の操作方法、並びに操作に与える特徴を
図1参考にオートマチック車として説明する。先ず足の置き方であるが、つま先をブレーキペダルの上に載置して、踵は床の上に置く。エンジンを始動する場合は、ブレーキペダルをつま先で踏み込みシフトレバーを必ずPレンジにして始動する。このままブレーキを踏み込んだ状態でシフトレバーをPレンジからDレンジかRレンジに入れ、つま先をブレーキペダルから徐々に離すとクリープ現象で車は徐々に動き出す。
このようにアクセル操作は、ブレーキペダルからつま先を元に戻して行うが、つま先はブレーキペダルが完全に戻る位置より少し余計に戻すと同時に踵を床に着け、つま先をブレーキペダルから少し浮かしながら、踵を中心に、つま先の右側面で1ローラーを右横に操作すれば2ローラーアームAと一体に動く4ローラーアームBの先端に配する19コロBが14コロAを押さえるので、アクセルを押さえ加速するようになる。アクセル自体には圧縮スプリングが内蔵され、戻る方向に付勢されているので、つま先の開きを戻せば減速する。
【0019】
上記のアクセル操作のように、つま先をブレーキペダルから少し浮かして1ローラーを右横に操作するのが普通だが、大きく浮かすと7軸部Cから1ローラーと、つま先との接触部位までの距離が長くなり、モーメントが大きくなるので軽くなる特徴がある。
また、1ローラーは7軸部Cを中心に弧を描いて動き、弧の頂点に達するまでは、つま先の右側面と1ローラーと接触している部位は浮き上がるように誘引されるが、頂点を過ぎるに従って、つま先を開く方向と弧を描く方向が、どちらも斜め下方向になり力を伝えやすくなる。
【0020】
ブレーキ操作は、つま先の開きを元に戻して、つま先でブレーキペダルペダルを踏み込むが、つま先を元に戻す際、素早くブレーキペダルを踏み込むことが出来るのが特徴になる。具体的には、つま先の開きを平行に戻してからブレーキペダル踏み込むのではなく斜め下に戻せば、ブレーキペダルペダルに、つま先が着地し易く操作が速くなる。
この時、1ローラーは左側に傾き、下側は逃げているので、つま先が1ローラーに触れることなく斜め左下に動かせる。このように一連の動作で、つま先がブレーキペダルに着地するや否やブレーキペダルペダルを素早く踏み込むことが出来る。従来のアクセルペダルとブレーキペダルのようにアクセルを戻しながら踏み替えて、ブレーキペダルを踏み込む動作より遥かに速くなる。
【0021】
つま先を斜め左下に戻す際、アクセルペダルで戻される2ローラーアームAと4ローラーアームBには戻り方向に付勢するコイルスプリングは不要になっている。なぜ不要になっているかというと
図1を参考に説明する。
図1を見ると斜視図なので横に向け手前に起こした図になっている。それで6アーム受けの面は上に向いているように見えるが、実際はアクセルペダルと直角になるように前方に傾いている。6アーム受けと同様に2ローラーアームAと4ローラーアームBも前方に傾いている。そのため左右のバランスが影響するので、力を加えなければ重い方に動くことになる。2ローラーアームAと4ローラーアームBを比較すると2ローラーアームAの方が重くなっているので、左側に傾き15ストッパーに当たり止まっている。このことから、左側には何の抵抗もなく戻されるので戻り方向に付勢するコイルスプリングは不要になっている。これはアクセル操作を軽くするのに貢献している。
上記の他には、1ローラーを右に動かした状態からだとアクセルペダルに装着した9アクセルアームの先端に設けた14コロAが、4ローラーアームBの先端に設ける19コロBを戻すようにアクセルペダルで戻されるが、14コロAと19コロBは共に回動するので接触抵抗は極力抑えられている。
【符号の説明】
【0022】
1 ローラー
2 ローラーアームA
3 軸部A
4 ローラーアームB
5 軸部B
6 アーム受け
7 軸部C
8 取付プレート
9 アクセルアーム
10 側板
11 間座
12 取付板
13 横押え
14 コロA
15 ストッパー
16 ベース
17 ロールピン
18 ブッシュ
19 コロB
20 ステー