(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181950
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】MRIシステムおよび受信コイル装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20231218BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20231218BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61B5/055 350
G01T1/161 A
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105956
(22)【出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2208591.4
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521191414
【氏名又は名称】テスラ ダイナミック コイルズ ベーフェー
(71)【出願人】
【識別番号】521191425
【氏名又は名称】フーツラ コンポジッツ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥニ ヴィルへルムス ヨハンネス クロンプ
(72)【発明者】
【氏名】カタリナ ソフィア アルテアガ デ カストロ
(72)【発明者】
【氏名】マルティーノ ボルゴ
(72)【発明者】
【氏名】ティイス ファン ホーレン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォート シュース
【テーマコード(参考)】
4C082
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C082AJ14
4C096AA18
4C096AB36
4C096CC12
4C096CC40
4C188EE02
4C188FF07
(57)【要約】
【課題】他のシステムと互換性を保ちながら製造および設定が容易なMRIシステム受信コイル装置の提供
【解決手段】主MRIスキャナ装置と共に使用するためのMRIシステム受信コイル装置であって、受信コイル装置は、支持構造体と、支持構造体上に積載された少なくとも1つの受信コイルとを含む。支持構造体は、少なくとも1つの受信コイルの少なくとも一部を収容するチャネル部分を画定する受信コイル収容部分を含む。チャネルは、口部を通して少なくとも1つの受信コイルの少なくとも一部をチャネルに導入できるようにするための、口部を有し、閉鎖部分は、チャネル部分の口部が少なくとも1つの受信コイルの少なくとも一部をチャネル部分に導入できるようにするためにチャネル部分の口部が開いている第1の位置と、チャネルの口部が閉鎖部分によって塞がれる第2の閉鎖位置との間を移動可能である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主MRIスキャナ装置と共に使用するためのMRIシステム受信コイル装置であって、前記受信コイル装置は、
支持構造体と、
前記支持構造体上に積載された少なくとも1つの受信コイルと
を備え、前記支持構造体は、
前記少なくとも1つの受信コイルの少なくとも一部を収容するチャネル部分を画定する受信コイル収容部分であって、前記チャネルは、口部であって、該口部を通して前記少なくとも1つの受信コイルの前記少なくとも一部を前記チャネルに導入できるようにするための口部を有する、前記受信コイル収容部分と、
閉鎖部分であって、前記チャネル部分の前記口部が前記少なくとも1つの受信コイルの前記少なくとも一部を前記チャネル部分に導入できるようにするために前記チャネル部分の前記口部が開いている第1の位置と、前記チャネルの前記口部が前記閉鎖部分によって塞がれる第2の閉鎖位置との間を移動可能になっている、前記閉鎖部分と
を備える、MRIシステム受信コイル装置。
【請求項2】
前記閉鎖部分は、前記第1の位置から前記第2の閉鎖位置に押嵌めることができる押嵌め式の閉鎖部分である、請求項1に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項3】
前記支持構造体は、前記閉鎖部分が前記第2の位置に移動すると、前記第1の位置に向かって戻る動きに対してロックされるように構成される、請求項1または2に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項4】
前記支持構造体は、前記閉鎖部分が前記第2の位置に移動すると、前記第1の位置に向かって戻る動きに対して解除可能にロックされるように構成される、請求項3に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項5】
前記閉鎖部分は、前記閉鎖部分を前記閉鎖位置に移動させる際に、前記閉鎖部分が前記収容部分の所定の位置に押嵌められ、前記チャネル部分の前記口部を塞ぐように、前記収容部分との押嵌めとなるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項6】
前記閉鎖部分は、前記チャネル部分の前記口部との押嵌めである、請求項5に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項7】
前記閉鎖部分は、前記口部内に押嵌めできるように構成される、請求項5または6に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項8】
前記閉鎖部分および前記収容部分は、前記閉鎖部分が前記収容部分の所定の位置に押嵌められると、前記第1の位置に向かって移動して戻らないようにロックされるように構成される、請求項5~7のいずれか一項に記載のMRIシステムの受信コイル装置。
【請求項9】
前記チャネル部分の前記口部は、断面が凹んだ形状を有する受容領域を有し、前記閉鎖部分は、前記閉鎖部分が前記口部内に押嵌められたとき、前記受容領域内で嵌合する相応した形状の挿入部分を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項10】
前記閉鎖部分は、互いに対して押嵌めとなる第1および第2の係合部分を含み、前記閉鎖部分を前記閉鎖位置に移動させる際に、前記第1および第2の係合部分が、前記チャネル部分の前記口部を塞ぐように共に押嵌められる、請求項1~4のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項11】
前記閉鎖部分の前記第1および第2の係合部分は、
i)前記閉鎖部分は、前記第1および第2の係合部分が共に押嵌められると、前記第1の位置に向かって移動して戻らないようにロックされる、
ii)前記閉鎖部分は、前記第1および第2の係合部分が互いに押嵌められると、前記第1の位置に向かって移動して戻らないように解除可能にロックされる、および、
iii)前記第1および第2の係合部分は、それらが共に押嵌められたときに共にラッチする
のうちの少なくとも1つとなるように構成される、請求項10に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項12】
前記閉鎖部分は、前記収容部分とは別の構成要素である、請求項1~11のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項13】
前記収容部分は、所定の身体部位に倣うように成形される、請求項1~12のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項14】
前記支持構造体は、ベース部分およびカバー部分を含み、前記ベース部分は、前記カバー部分よりも剛性が大きく、前記カバー部分は前記受信コイル収容部分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項15】
前記支持構造体上に積載された複数の受信コイルを備え、前記受信コイル収容部分は複数の前記受信コイルを収容する、請求項1~14のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項16】
前記収容部分は、複数のチャネル部分を画定し、前記チャネル部分の各々は、前記複数の受信コイルからのそれぞれの受信コイルの少なくとも一部を収容する、請求項1~15のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項17】
前記複数のチャネル部分は、前記収容部分の一体部分に画定される、請求項16に記載のMRIシステムの受信コイル装置。
【請求項18】
前記収容部分は、チャネル画定部分のウェブを含む、請求項16または17に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項19】
前記支持構造体は複数の閉鎖部分を含み、各々の閉鎖部分は、それぞれのチャネル部分の前記口部を塞ぐためのものである、請求項1~18のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項20】
前記複数の閉鎖部分は、前記支持構造体の一体部分に設けられる、請求項19に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項21】
前記支持構造体は閉鎖部分のウェブを含む、請求項19または20に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項22】
前記チャネル画定部分のウェブおよび前記閉鎖部分のウェブは、前記閉鎖部分のウェブのそれぞれの閉鎖部分が、前記チャネル画定部分のウェブのそれぞれのチャネルと整列するか整列可能となるように、互いに位置合わせするように寸法設定および配置される、請求項18を間接的に引用する請求項21に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項23】
前記収容部分は、積層造形されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項24】
前記閉鎖部分は積層造形されている、請求項1~23のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの受信コイルは、ループ状に構成されたある長さの同軸ケーブルを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置の製造方法であって、前記受信コイル装置は、複数の受信コイルと、それぞれの複数の閉鎖部分とを備え、前記方法は、
収容部分を作製するステップと、
前記複数の受信コイルのコイル部分を前記収容部分のそれぞれのチャネル部分に導入するステップと、
前記複数の閉鎖部分を第2の位置に移動させるステップと、
前記受信コイル装置の受信動作をチェックするステップと
を含み、
前記チェックするステップは、第1の所定の基準の受信動作が達成されていないことを示し、
a)前記閉鎖部分のうちの少なくとも1つを前記第2の位置から移動して戻すステップと、
b)前記受信コイルのうちの少なくとも1つの位置決めを調整して、前記閉鎖部分の前記少なくとも1つを第2の位置に戻すステップと、
c)前記受信コイル装置の前記受信動作を再チェックするステップと、
d)第2の所定の基準の受信動作が達成されるまで、ステップa)~c)を順番に実行するステップとをさらに実行する、方法。
【請求項27】
主MRIスキャナ装置と、
患者支持体と、
前記患者支持体上に設けられ、前記主MRIスキャナ装置に電気的に接続された、請求項1~25のいずれか一項に記載のMRIシステム受信コイル装置と
を備える、MRIシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のMRIシステムと、
医療用線形加速器システムと
を備える、MR-Linacシステム。
【請求項29】
請求項27に記載のMRIシステムと、
陽電子放出断層撮影システムと
を備える、PET-MRシステム。
【請求項30】
請求項27に記載のMRIシステムと、
MR誘導治療に使用できる定位マスクと
を備える、治療計画のための定位マスク-MRシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信コイル装置を含むMRIシステム、およびMRIシステムで使用するための受信コイル装置に関するものであり、いくつかの実施形態では、放射線源に依存する別のシステムと組み合わせて使用されるMRIシステムが存在するMR-LinacおよびPET-MRシステムなどの複合システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
MRIシステムは典型的には、主MRIスキャナ装置と、スキャン中に患者が横たわる患者支持台またはベッドと、少なくともいくつかの場合においては、スキャンしたい特定の身体部位の領域の位置に配置された別個の局所的な受信コイル装置(または身体部位固有の受信コイル)とを含む。
【0003】
主MRIスキャナ装置は、通常、主磁石、傾斜磁場コイル、RF送信コイル、および受信コイルを含み、すべてはスキャン中に患者が内部に配置される穴部を備えた主ユニットに配置される。存在する場合、身体部位固有の受信コイルも通常、スキャン中に穴部内に配置される。
【0004】
よく知られているように、MRI(磁気共鳴画像)システムは、被検者の画像化に広く使用されており、MR-LinacおよびPET-MRシステムなどのシステムと組み合わせて使用することもできる。これらは、例えば、MR-Linacなどによる治療、またはPET-MRなどの機能的画像を提供するために、放射線を利用する他の技術と磁気共鳴画像法を組み合わせている。MRI操作では、磁石は大きな静磁場B0を生成し、RF送信コイルは交番磁場B1を生成し、受信コイルは、主ユニットまたは身体部位固有受信コイルに提供されるかどうかにかかわらず、磁気共鳴信号を収集するために(つまり、磁気共鳴データの取得などのために)配置される。傾斜磁場コイルは、B0場における空間エンコードを可能にするために使用され、断層撮影を可能にする。
【0005】
スキャン装置の主ユニット内に設けられた受信コイルだけを使用してMRIシステムを動作させると、場合によっては、結果の分解能および精度が制限される可能性がある。これは、選択された位置/身体部位の画像化を改善することを目的とする、上述の身体部位固有のコイルなどの、別個の、局所的とも言える、受信コイルの使用につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存の身体部位固有の受信コイルの配置には制限がある。これらには、受信コイル装置を特定の身体部位または位置の周りに配置することは面倒な操作である場合があること、または装置および/または受信コイル装置内に特定の身体部位は、関心領域に対して不適切な撮像結果を与える場合があること、および/または、受信コイル装置は、放射線源を使用するシステム、例えば、線形加速器または陽電子放出断層撮影システムなどの他のシステムの使用と互換性がない場合があることが含まれる。
【0007】
さらなる問題は、例えば、形状、操作上の受信性能、または高周波透過性などの所望の特性を備えた装置の製造を容易にしながら、そのような受信コイル装置の製造および/または設定の容易さである。
【0008】
したがって、これらの問題の少なくとも1つに対処することを目的とするMRIシステム受信コイル装置、ならびにそのようなMRIシステム受信コイル装置を含むMRIシステムおよび併用療法および/または撮像システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、主MRIスキャナ装置と共に使用するためのMRIシステム受信コイル装置であって、受信コイル装置は、支持構造体と、支持構造体上に積載された少なくとも1つの受信コイルとを備え、支持構造体は、
少なくとも1つの受信コイルの少なくとも一部を収容するチャネル部分を画定する受信コイル収容部分であって、前記チャネルは、口部を通して少なくとも1つの受信コイルの前記少なくとも一部をチャネルに導入できるようにするための口部を有する、受信コイル収容部分と、
閉鎖部分であって、チャネル部分の口部が少なくとも1つの受信コイルの少なくとも一部をチャネル部分に導入できるようにするためにチャネル部分の口部が開いている第1の位置と、チャネルの口部が閉鎖部分によって塞がれる第2の閉鎖位置との間を移動可能である、閉鎖部分とを含む、MRIシステム受信コイル装置が提供される。
【0010】
これは、適切な形状および寸法の支持構造体を製造し、続いて所望の受信コイル(複数可)の導入および保持を可能にする便利な方法を提供する。それはまた、所望の受信コイルを固定する際に支持構造体の材料を処理する必要を回避するのにも役立つ可能性があり、例えば、熱の使用、接着剤の使用、または支持構造体のベース材料への第2の材料の塗布を回避することができ、例えば、ベース材料とコイル部分を発泡体材料で覆う必要性を回避することができる。次いで、これは、支持構造体の材料選択の柔軟性を高める、つまり、加熱、接着剤などとの互換性を考慮する必要がなく、むしろ、受信コイル(複数可)を支持するための適合性と、MRIおよびMRIと共に使用できる随伴プロセス/治療で使用するための適合性に基づいて材料を選択できるため、有用であり得る。
【0011】
さらに、この構成は、閉鎖部分が閉鎖位置に移動するときにユーザによる収容部分の変形が可能であり、閉鎖部分の閉鎖位置への移動が収容部分を前記変形した位置に保持するのに役立つことができる収容部分の製造を容易にする。次いで、これは、受信コイルの応答を微調整するために使用され得る、収容部分に積載された少なくとも1つの受信コイルの相対位置の微妙な調整を可能にする。
【0012】
このような構成では、チャネル部分および閉鎖部分は、協働して少なくとも1つの受信コイルを保持することができる。チャネル部分は、少なくとも1つの受信コイルを所望の位置に保持することができる。閉鎖部分は、少なくとも1つの受信コイルを所望の位置に保持するのを助けることができる。チャネル部分と閉鎖部分との間の相互作用は、少なくとも1つの受信コイルを所望の位置に保持するのを助けることができる。
【0013】
閉鎖部分は、第1の位置から第2の閉鎖位置に押嵌めることができる押嵌め式の閉鎖部分であり得る。
【0014】
これは、閉鎖部分を閉鎖位置に固定する簡単な方法を提供することにより、利便性をさらに向上させるのに役立つ。
【0015】
支持構造体は、閉鎖部分が第2の位置に移動する、例えば押嵌められると、第1の位置に向かって戻る動きに対してロックされるように構成され得る。
【0016】
ロックは解除可能である。したがって、言い換えると、支持構造体は、閉鎖部分が第2の位置に移動する、例えば押嵌められると、第1の位置に向かって戻る動きに対して解除可能にロックされるように構成される。
【0017】
支持構造体は、閉鎖部分が第2の位置にラッチするように構成することができる。
【0018】
とりわけ、これらの構成は、受信コイル装置が組み立てられるときに積載された受信コイルの位置決めの調整を容易にするハウジングの提供を強化するのに役立つことができる。
【0019】
一組の実施形態では、閉鎖部分は、閉鎖部分を閉鎖位置に移動させる際に、閉鎖部分が収容部分の所定の位置に押嵌められ、チャネル部分の口部を塞ぐように、収容部分との押嵌めとなるように構成され得る。
【0020】
閉鎖部分は、チャネル部分の口部との押嵌めとなるように構成することができる。閉鎖部分は、口部内に押嵌めできるように構成することができる。
【0021】
別の一組の実施形態では、閉鎖部分は、閉鎖部分を閉鎖位置に移動させる際に、第1および第2の係合部分が共に押嵌められ、チャネル部分の口部を塞ぐように、互いに押嵌めとなる第1および第2の係合部分を含むことができる。
【0022】
上記の一連の実施形態のいずれかまたは両方において、支持構造体は、
i)閉鎖部分が、第2の位置に押嵌められると、第1の位置に向かって移動して戻らないようにロックされる、
ii)閉鎖部分が、第2の位置に押嵌められると、第1の位置に向かって移動して戻らないように解除可能にロックされる、および、
iii)閉鎖部分が第2の位置にラッチする、のうちの少なくとも1つとなるように構成され得る。
【0023】
閉鎖部分と収容部分は、
i)閉鎖部分が、収容部分の所定の位置に押嵌められると、第1の位置に向かって移動して戻らないようにロックされる、
ii)閉鎖部分が、収容部分の所定の位置に押嵌められると、第1の位置に向かって移動して戻らないように解除可能にロックされる、
iii)閉鎖部分が、収容部分上の所定の位置にラッチする、うちの少なくとも1つとなるように構成され得る。
【0024】
閉鎖部分の第1および第2の係合部分は、
i)閉鎖部分が、第1および第2の係合部分が共に押嵌められると、第1の位置に向かって移動して戻らないようにロックされる、
ii)閉鎖部分が、第1および第2の係合部分が互いに押嵌められると、第1の位置に向かって移動して戻らないように解除可能にロックされる、および、
iii)第1および第2の係合部分は、それらが共に押嵌められたときに共にラッチする、のうちの少なくとも1つとなるように配置され得る。
【0025】
チャネル部分の口部は、断面が凹んだ形状を有する受容領域を有することができ、閉鎖部分は、閉鎖部分が口部内に押嵌められたとき、受容領域内で嵌合する相応した形状の挿入部分を含むことができる。
【0026】
誤解を避けるために、以下の構成は、上述の2組の実施形態の各々に等しく適用可能であり、一般的に適用可能である。
【0027】
閉鎖部分は、収容部分と一体であってもよい。
【0028】
閉鎖部分は、収容部分とは別個の構成要素とすることができる。
【0029】
閉鎖部分は、第1の位置にあるとき、収容部分に接続することができる。
【0030】
閉鎖部分は、第1の位置にあるとき、収容部分から離れていてもよい。
【0031】
収容部分は、所定の身体部位に倣うように成形することができる。例えば、受信コイル装置が患者の頭部および/または首のスキャンに使用するように設計されている場合、収容部分は、患者の頭部および/または首の少なくとも一部の上および周囲に適合するように成形することができる。
【0032】
場合によっては、支持構造体は、ベース部分およびカバー部分を含むことができる。ベース部分は、カバー部分よりも高剛性とすることができる。カバー部分は、前記受信コイル収容部分を含むことができる。
【0033】
好ましくは、受信コイル装置は、支持構造体上に積載された複数の受信コイルを含む。
【0034】
好ましくは、受信コイル収容部分は、複数の受信コイルを収容する。
【0035】
収容部分は、複数のチャネル部分を画定することができ、チャネル部分の各々は、複数の受信コイルからのそれぞれの受信コイルの少なくとも一部を収容する。
【0036】
支持構造体は、複数の閉鎖部分を含むことができ、各々の閉鎖部分は、それぞれのチャネル部分の口部を塞ぐためのものである。
【0037】
複数のチャネル部分は、収容部分の一体部分に画定することができる。
【0038】
複数の閉鎖部分は、支持構造体の一体部分に設けることができる。
【0039】
場合によっては、収容部分全体、またはコイル受容チャネルを画定する収容部分の少なくとも一部全体が、一体構造を有してもよい。他の場合では、収容部分は複数の部品でできていてもよいが、さらに複数のチャネル部分が収容部分の一体部分に画定されてもよい。そのような場合、複数の組のチャネル部分が存在することができ、各々の組は、収容部分のそれぞれの一体部分に画定される。
【0040】
場合によっては、支持構造体の一体部分がすべての閉鎖部分を含んでもよい。他の場合においては、複数の組の閉鎖部分が存在し、各々の組の閉鎖部分が支持構造体のそれぞれの一体部分に設けられてもよい。
【0041】
収容部分は、チャネル画定部分のウェブを含むことができる。収容部分を貫通する開口部は、チャネル画定部分の間に設けることができる。
【0042】
支持構造体は、閉鎖部分のウェブを含むことができる。閉鎖部分のウェブを構成する材料を貫通する開口部は、閉鎖部分の間に設けることができる。
【0043】
チャネル画定部分のウェブおよび閉鎖部分のウェブは、閉鎖部分のウェブのそれぞれの閉鎖部分が、チャネル画定部分のウェブのそれぞれのチャネルと整列されるか、または整列可能となるように、互いに位置合わせするように寸法設定および配置することができる。
【0044】
支持構造体にウェブを設けることは、積載された受信コイルの位置決めの調整を容易にするハウジングの提供を強化するのに役立つことができる。
【0045】
収容部分、または収容部分の少なくとも一部は、弾性材料でできていてもよい。チャネルまたは各々のチャネルの領域における収容部分の一部は、弾性材料でできていてもよい。閉鎖部分または各々の閉鎖部分は、弾性材料でできていてもよい。
【0046】
チャネル画定部分のウェブは、弾性材料でできていてもよい。閉鎖部分のウェブは、弾性材料でできていてもよい。
【0047】
収容部分および/または閉鎖部分における弾性材料の使用は、閉鎖部分の閉鎖位置への押嵌めを容易にすることができる。収容部分および/または閉鎖部分における弾性材料の使用はまた、受信コイル装置が使用されるように設計された身体部位に倣うように、カバー部分などの支持構造体の少なくとも一部の成形を容易にすることができる。
【0048】
収容部分および/または閉鎖部分における弾性材料の使用は、積載された受信コイルの位置決めの調整を容易にするハウジングの提供を強化するのに役立ち得る。場合によっては、構成要素の形状および構成、ならびに構成要素を構成する材料によって、弾力性が提供または強化され得ることに留意されたい。
【0049】
収容部分は、積層造形することができる。
【0050】
閉鎖部分は、積層造形することができる。
【0051】
カバー部分は、積層造形することができる。
【0052】
積層造形の使用は、チャネル画定部分のウェブおよび/または閉鎖部分のウェブが提供される場合に特に有利であり得る。さらに、積層造形は、特定の身体部位に倣うように、またはさらには特定のサイズの患者に倣うように成形および寸法設定された支持構造体を提供するのに便利であり得る。
【0053】
収容部分は、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン)などのプラスチック材料でできていてもよい。
【0054】
閉鎖部分は、熱可塑性材料(例えば、熱可塑性ポリウレタン)などのプラスチック材料でできていてもよい。
【0055】
カバー部分は、プラスチック材料、例えば熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性材料でできていてもよい。
【0056】
少なくとも1つの受信コイルは、ループ状に構成することができるある長さの同軸ケーブルを含むことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、受信コイル装置は、少なくとも2つの受信コイル(ベース部分に取り付けられた第1の主受信コイルと、受信コイル収容部分内に設けられた少なくとも1つの受信コイルの前記少なくとも一部を含む第2の補助受信コイル)を含み、収容部分はカバー部を含む。
【0058】
ベース部分に設けられた主受信コイルは、受信コイル収容部分内に設けられた補助受信コイルより高剛性とすることができる。
【0059】
補助受信コイルは、ループ状に構成することができるある長さの同軸ケーブルを含むことができる。
【0060】
主受信コイルは、ある長さのシールドされていない導体を含むことができる。
【0061】
受信コイル装置は、複数の補助受信コイルを含むことが好ましい。
【0062】
本発明の別の一態様によれば、上記のようなMRIシステムの受信コイル装置の製造方法であって、
収容部分を作製するステップと、
少なくとも1つの受信コイルのコイル部分を収容部分のチャネル部分に導入するステップと、
閉鎖部分を第2の位置に移動するステップとを含む、方法が提供される。
【0063】
本発明の別の一態様によれば、上記のようなMRIシステム受信コイル装置の製造方法であって、受信コイル装置は、複数の受信コイルと、それぞれの複数の閉鎖部分とを含み、方法は、
収容部分を作製するステップと、
複数の受信コイルのコイル部分を収容部分のそれぞれのチャネル部分に導入するステップと、
複数の閉鎖部分を第2の位置に移動させるステップと、
受信コイル装置の受信動作をチェックするステップとを含み、
前記チェックするステップは、第1の所定の基準の受信動作が達成されていないことを示し、
a)閉鎖部分のうちの少なくとも1つを第2の位置から移動して戻すステップと、
b)受信コイルのうちの少なくとも1つの位置決めを調整して、閉鎖部分の少なくとも1つを第2の位置に戻すステップと、
c)受信コイル装置の受信動作を再チェックする。と
d)第2の所定の基準の受信動作が達成されるまで、ステップa)~c)を順番に実行するステップとをさらに実行する、方法が提供される。
【0064】
第1および第2の所定の基準の受信動作は、互いに同じであっても異なっていてもよく、それらが異なっている場合、異なる実施形態において、どちらか一方が他方よりも高く設定されてもよい。
【0065】
この方法は、積層造形プロセスを使用して収容部分を作製するステップを含むことができる。
【0066】
この方法は、積層造形プロセスを使用して閉鎖部分を作製するステップを含むことができる。
【0067】
本発明の別の一態様によれば、カバー部分の構成が、受信コイル装置の複数の受信コイルと、受信コイルの各々を積載および支持するカバー部分とを含む、上記のような受信コイル装置で使用するためのカバー部分の構成が提供される。
【0068】
本発明の別の一態様によれば、主MRIスキャナ装置と、患者支持体と、患者支持体上に設けられ、主MRIスキャナ装置に電気的に接続された、上記のようなMRIシステム受信コイル装置とを含む、MRIシステムが提供される。
【0069】
本発明の別の一態様によれば、上記のようなMRIシステムと医療用線形加速器システムとを含むMR-Linacシステムが提供される。
【0070】
本発明の別の一態様によれば、上記のようなMRIシステムと陽電子放出断層撮影システムとを含むPET-MRシステムが提供される。
【0071】
本発明の別の一態様によれば、上記のようなMRIシステムと、被験者の位置が明確に定義され、同じマスクを使用して定位治療に転送可能であり、それによってMRIデータによって誘導されることを保証する定位マスクとを含む治療計画のための定位マスク装置が提供される。
【0072】
一般的に、文言に必要な変更を加えた上で、上記の本発明の任意の態様に従って上記で定義されたすべてのさらなる構成は、上記の本発明のすべての他の態様のさらなる構成として適用可能であることに留意されたい。これらのさらなる構成は、単に簡潔にするために、本発明の各々の態様の後に再度記述されない。
【0073】
ここで、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】受信コイル装置を含むMRIシステムを概略的に示す。
【
図2】被検体上の位置にある
図1のMRIシステムに含まれるタイプの受信コイル装置を非常に概略的な形態で概略的に示す。
【
図3】
図2に示す受信コイル装置のベースプレートを概略的に示す。
【
図4】
図2に示す受信コイル装置のカバー部分の構成を概略的に示す。
【
図5】
図3に示したベースプレートの部分をより詳細に示しており、この部分は、一次受信コイルを受け入れるように構成されている。
【
図6】ベースプレート内の一次受信コイルを示しているが、ベースプレートの一部が取り外されている。
【
図7】
図2に示す受信コイル装置に含まれる補助受信コイルの接続構成を概略的に示す。
【
図8】
図2に示されるカバー部分の構成を通る断面を示す。
【
図9】補助受信コイルのコイル部分がカバー部分の構成のチャネル部分に位置する、
図8に示される部分の詳細IXを示す。
【
図10】カバー部分の構成の閉鎖部分がカバー部分の構成の収容部分に部分的に挿入された、
図4、
図8、および
図9のカバー部分の構成の詳細を示す。
【
図11A】被験者の周りに配置されたときの、
図2に示されるタイプの受信コイル装置の一次コイルおよび補助コイルの正面図を示す。
【
図11B】被験者の周りに配置されたときの、
図2に示されるタイプの受信コイル装置の一次コイルおよび補助コイルの側面図を示す。
【
図12】
図2に示す受信コイル装置の様々な構成要素間の接続を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、主スキャナ装置1と、スキャナ装置1内にあるときに患者を支持するように配置された患者支持体2と、主スキャナ装置とは別であり、この実施形態は、身体部位に固有の受信コイル装置であるMRIシステム受信コイル装置3とを含むMRIシステムを示している。より一般的には、そのような受信コイル装置3は、局所受信コイル装置と呼ばれる場合がある。
【0076】
上で示唆したように、いくつかの例では、MRIシステムは他のシステムと組み合わせて使用され、例えば、MRIシステムおよび医療用線形加速器システムを含むMR-Linacシステムを提供し、または別の一例では、MRIシステムおよび陽電子放出断層撮影システムを含むPET-MRシステムを提供する。このような場合、
図1に示されているMRIシステムは、
図1では非常に概略的な形でのみ点線で示されている線形加速器システムまたは陽電子放出断層撮影システムSによって補完されてもよい。別の代替例では、本システムは、定位治療/計画のために、(これもまた
図1において非常に概略的な形でのみ点線で示されている)定位マスクSと組み合わせて使用することができる。定位マスクは、被験者の位置が明確に定義され、同じマスクならびに本明細書に記載の本受信コイル装置3を使用して定位治療に転送可能であることを保証するように構成されるため、それによって定位治療がMRIデータによって誘導され得る。
【0077】
主MRIスキャナ装置1は、典型的には超伝導電磁石である主磁石11、RF送信コイル12、傾斜磁場コイル13、および主ユニット受信コイル14を含む、完全に従来の主MRIスキャナ装置とすることができる。これらの構成要素は、患者支持体2が内部に設けられる主穴部Bを有するMRIスキャナ装置1の本体に設けられるか、より典型的には、患者支持体2が、動作位置に到達するまで、患者を積載して内部へ移動することができる。
【0078】
少なくとも使用時には、身体部位固有の受信コイル装置3もまた、この主穴部Bに設けられる。医療用線形加速器システムまたは陽電子放出断層撮影システムSの少なくとも一部は、存在する場合、動作中にこの主穴部B内に配置することもできる。
【0079】
受信コイル装置3は、動作中に主MRIスキャナ1の主穴部B内に配置されるだけでなく、受信コイル装置3によって拾い上げられた磁気共鳴信号が処理のために主スキャナ装置1内に供給され得るように、主スキャナ装置1に電気的に接続される。
【0080】
受信コイル装置3によって拾い上げられた信号は、単独で、または画像の処理および生成において主ユニット受信コイル14によって拾い上げられた信号と組み合わせて使用することができる。場合によっては、それ自身の主ユニット受信コイル14のない主MRIスキャナ装置1を、本タイプの受信コイル装置3と共に使用することができる。
【0081】
MRIスキャナ装置の構造および動作は、十分に開発および理解されており、本発明のアイデアは、そのようなMRIスキャナ装置で使用するための受信コイル装置3に関するものである。したがって、MRIスキャナ装置1の構造および動作のさらなる説明は必要なく、この説明の残りは受信コイル装置3に関するものである。
【0082】
図2は、身体部位固有の受信コイル装置3をより詳細にではあるが、概略的形態で概略的に示している。身体部位固有の受信コイル装置3は、カバー部分4とベース部分5とを含む。ベース部分5は、患者支持体2の上に置かれるように配置されるか、またはいくつかの実施形態では、患者支持体2の一体部分になるように作られてもよい。一方、カバー部分4は、ベース部分5に着脱自在に取り付けられるため、被検体に被せてベース部分5上の適所に固定され得る。
【0083】
図3~
図10を検討することによって分かるように、身体固有の受信コイル装置3は、一次受信コイル6(
図5および
図6を参照)および複数の補助受信コイル7(
図4および
図8~
図10を参照)を含む。ベース部分5は、一次受信コイル6を支持するために構成され、カバー部分4は、補助受信コイル7を支持するために構成される。
【0084】
この実施形態では、カバー部分4およびベース部分5は、共に受信コイル装置の支持構造体を構成すると考えることができる。カバー部分4と補助受信コイル7との組み合わせは、カバー部分の構成と考えることができる。ベース部分5と主受信コイル6との組み合わせは、ベース部分の構成と考えることができる。
【0085】
本実施形態では、受信コイル装置はベース部分とカバー部分を含むが、他の実施形態ではこれは必要ないことに留意されたい。したがって、例えば、受信コイル装置は、例えば、本実施形態におけるカバー部分4と同じように構成することができる1つの支持部分を含むことができる。同様に、他の実施形態では、本実施形態の補助コイル7に対応するコイルを含むことができる受信コイルの組が1組のみであってもよい。
【0086】
したがって、別の一実施形態では、身体固有の受信コイル装置3は、本明細書に記載のベース部分構成なしで、本明細書に記載のようなカバー部分の構成4、7を含むことができる。
【0087】
ベース部分5は、プレート部分51と、2つの直立部分52とを含む。直立部分52は、例えば
図3および
図5に見ることができる。プレート部分51は、2つの層51aおよび51bを有する。直立部分52は、
図3および
図5に見られるように、上層51a上に積載される。
図6では、下層51bを示し、一次受信コイル6をよりよく示すために、上層51aが持ち上げられている。
【0088】
ベース部分5には、一次受信コイル6を支持し、それを所定の位置に保持するための複数のチャネル52a、52bが設けられている。一次受信コイル6のそれぞれの部分を直立部分52内の所定の位置に保持するために、直立部分52の各々にそれぞれのチャネル52a(図面、すなわち
図5ではそのうちの1つのみを見ることができる)が設けられる。
【0089】
例えば、
図2、
図3、
図4、および
図5を共に検討することによって理解されるように、使用中、一次受信コイル6のこの部分は、被験者、特に図示の特定の実施形態における被験者の頭部に近接している。コイル6の特定の形状および経路は、所望の受信特性を与えるように選択され、例えば、貫入深さを最大化し、被験者の組織へのエネルギーの比較的一定の電磁結合を保証する。
【0090】
プレート部分51の下層51bは、一次受信コイル6の他の部分を適所に保持するためのそれぞれのチャネル52bを含む。
【0091】
一次受信コイル6は、シールドされていない長さの導体を含む。本実施形態では、シールドされていない導体61の2つの部分が設けられる。その第1のものは、第1の直立部52のチャネル52a内を走り、そのうちの第2のものは、他の直立部52のチャネル52a内を走る。これらの導体部分61の第1の端部は、デチューンボード62に接続され、一方、2つの導体部分61の他のそれぞれの端部は、整合ボード63に接続される。デチューンボード62および整合ボード63はそれぞれ、整合ボード63の場合の少なくとも1つの同調コンデンサなど、少なくとも1つの電子部品を含む。
【0092】
図6に見られるように、デチューンボード62および整合ボード63は、コイル6の中央領域の外にある、すなわち、それらは、直立部分52の位置、および被験者の関心のある部分に最も近いコイル6の部分から離れている。これにより、被験者の関心領域に電子部品のないゾーンが作り出される。これは、組み合わせシステムで放射線が使用される上述のタイプの組み合わせシステムで身体固有の受信コイル装置3が使用される場合に特に興味深い。放射線は、電気部品の存在によって悪影響を受けることなく、および/またはそのような電気部品に損傷を与えるリスクなしに、この中央領域、すなわち被験者の関心領域を通過することができる。したがって、一次受信コイル6のこの配置は、PET-MRおよびMR-Linacシステムなどのシステムにおける本受信コイル装置の使用を助ける。
【0093】
ベース部分5、すなわちプレート部分51および直立部分52は、一次受信コイル6を所定の位置に保持するために比較的高剛性のプラスチック材料でできている。
【0094】
上で示唆したように、一次受信コイル6の形状の変更は、一次受信コイル6の感度に悪影響を及ぼす同調および整合に影響を与える傾向があるため、これは重要である。これらの影響を最小限に抑えるために、剛性の高い構造とコイル6の形状と配置が選択されている。
【0095】
補助受信コイル7の各々は、一次受信コイル6とは異なる構造を有する。一次受信コイル6はシールドされていない導体で作製され、比較的低いインピーダンスを有するが、補助受信コイル7は高インピーダンスコイルとして構成される。特に、これらのコイル7は、一次受信コイル6のインピーダンスよりも高いインピーダンスを有する(明らかなように、ここで言及されるのは、インピーダンスの抵抗要素とリアクタンス要素の両方を含むインピーダンスの大きさである)。さらに、補助受信コイル7のサイズは、一次受信コイル6のサイズよりも小さく、特に、補助受信コイル7が結合する領域は、一次受信コイル6が結合する領域よりも小さい。これは、一次受信コイル6が被験者の内部深くから発する信号を受信するのにより適しているのに対し、補助受信コイル7は、補助受信コイル7自体に近い被験者の領域から発する信号を拾うのにより適していることを意味する。
【0096】
さらに、補助受信コイル7に使用される高インピーダンスコイルの性質により、それらはそれらの環境との結合がはるかに少なく、したがって正確な位置決めはそれほど重要ではない。これにより、これらの補助受信コイル7を被験者に対してより正確に配置することができ、これらの受信コイル7を被験者の関連する関心領域と密接に接触させるのに必要な形状に倣わせることが可能になる。
【0097】
図7は、補助受信コイル7の各々の接続構成を概略的に示している。各々の補助受信コイル7は、中心導体71と外側シールド導体72とを含むある長さの同軸ケーブルから作製される。受信コイルでは、中心導体71はコイルの周りで連続しており、中心導体71の端部はそれぞれの整合ボード73に接続されている(
図4参照)。一方、シールド導体72は、内側導体71の端部から離れた位置にギャップを設け、同時に内側導体71の端部に近いシールド72の2つの端部を接続している。整合ボード73はそれぞれ、少なくとも1つの同調コンデンサなどの少なくとも1つの電子部品を含む。
【0098】
高インピーダンスコイルの性質により、コイルを画定する各々の同軸ケーブルの全長は、半波長に近接するように制限され、それによって補助受信コイル7の全体のサイズが制限される。
【0099】
本実施形態では、カバー部分4の構成は、支持部材41の格子構造またはウェブ40を含むコイル収容部分43を含む。開いた開口部42は、支持部材41の間に画定される。したがって、全体として、カバー部分4は非常に開いており、最小限の量の支持材料を含む。これは、材料を節約するのに役立ち、カバー部分を患者にとってより受け入れやすく/快適にすることができ、良好な高周波透過特性を達成するのに役立ち得る。
【0100】
コイル収容部分43、特に支持部材41のウェブ40は、補助受信コイル7の各々をそれぞれの所望の位置に支持する。本実施形態における支持部材41は2種類である。受信コイル7の部分を収容する第1の支持部材41a(
図9参照)と、コイル部分を収容しないが、支持部材41のウェブ40全体において第1の支持部材41aを支持するのに役立つ第2の支持部材41bとがある。
【0101】
カバー部分4は、少なくとも1つの端子収容部分44(本実施形態では、2つの端子収容部分44がある)をさらに含み(
図4を参照)、補助コイル7の端部がそこにつながり、それぞれの整合ボード73を収容する。
【0102】
受信コイル収容部分43は、複数のチャネル部分43aを含み、その各々は、補助コイル7のうちの少なくとも1つのそれぞれの部分を保持する。チャネル部分43a内の補助コイル7の配置は、それぞれの補助コイル7を所定の位置に保持するのに役立つ。
【0103】
各々のチャネル部分43aは、それぞれの口部43bを含み、それを通して補助コイル7をチャネル43aに導入することができる。
【0104】
カバー部分4は、閉鎖部分45aのウェブ45をさらに含む。各々の閉鎖部分45aは、それぞれのチャネル部分43aの口部43bに押嵌められて、口部43bを塞ぎ、したがって、それぞれのチャネル部分43aに位置する補助コイル7を覆い、保持するのを助けるように構成される。
【0105】
図10は、受信コイル収容部分43のそれぞれの口部43bに部分的に押嵌められたときの閉鎖部分45aのウェブ45の一部を示す。
【0106】
本実施形態では、閉鎖部分45aは、すべてのチャネル部分43aのそれぞれの口部43bを完全に埋めるように配置される。本実施形態では、コイル収容部分43のチャネル43aと閉鎖部分45aとが一体となって、補助コイル7を取り囲んで収容している。端子収容部分44の組み合わせにおいて、本実施形態のコイル収容部分43および閉鎖部分45aは、補助コイル7および連結された整合ボード73を完全に収容する。本実施形態では、補助コイル7のどの部分も、組み立てられたカバー部分において露出されておらず、実際に見えない。
【0107】
これは、コイル7が所定の位置に設けられた後に支持構造体を処理する必要なく、接着剤またはコーティング材料(例えば、発泡体)を使用する必要もなく達成される。
【0108】
閉鎖部分45aおよび口部43bは、
図10に部分的に示されるような第1の開放位置から
図9に示されるような閉鎖位置に押嵌められると、互いに係合するように配置される。この係合は、閉鎖部分45aが閉鎖位置から戻る動きに抵抗するが、それを妨げない。したがって、閉鎖部分45aは、第2の閉鎖位置に解除可能にロックまたはラッチされる。
【0109】
各々の口部43bは、
図9に見られるように断面が凹んだ形状を有し、各々の閉鎖部分45aは、閉鎖部分45aが口部43bの中に押し込められるとき、凹んだ形状の口部と係合する、それに対応した形状の挿入部分を有する。
【0110】
閉鎖部分45aおよび/または収容部分43の材料は、構成要素を共にラッチすることを可能にするのに十分な弾性を有するように選択される。
【0111】
本実施形態では、支持部材のウェブ40および閉鎖部分のウェブ45は、熱可塑性ポリウレタンでできている。これにより、上記の口部閉鎖システムに適切な弾性を提供することができる。
【0112】
補助受信コイル7の相対的な柔軟性と同様に、支持部材のウェブ40および閉鎖部分のウェブ45の相対的な柔軟性は、利点を提供することができる。カバー部分の構成4、7は、ベース部分の構成5、6よりもかなり柔軟である。
【0113】
ウェブ40、45は柔軟であり、補助コイル7は柔軟であり、補助コイル7は、所望の位置をとるときに効果的に動作することができるので、これは、カバー部分4が興味のある被検者の領域にぴったりと嵌まるように設計できることを意味する。さらに、カバー部分の構成4、7は、個々の患者に使用するときにある程度曲げることができ、これは補助コイル7を患者にとって最適な位置に配置できるようにするのに役立つ可能性がある。
【0114】
配置の柔軟性に加えて、支持構造体の解除可能にロック可能な性質は、、別の可能性を与える。
【0115】
カバー部分の構成4、7を組み立てるとき、適切な受信コイル7がそれぞれのチャネル部分43aに導入され、次いで閉鎖部分45aが適所に押嵌められる。収容部分43、閉鎖部分45a、およびそれらのインターロックの相互作用は、カバー部分4をある程度硬くするのに役立つ。構成には柔軟性があるので、閉鎖部分45aを所定の位置に押嵌めする正確な方法は、この堅固なインターロックされた状態でカバー部分4に支持される受信コイル7の相対的な位置決めに微妙に影響する。これは次いで、受信コイル装置全体の受信特性に影響を与える可能性がある。
【0116】
したがって、閉鎖部分45aがそれらの閉鎖位置に置かれると、(すなわち、受信コイル装置をMRI機械と組み合わせて使用して試験の被験者または「ファントム」を走査することによって)受信特性をチェックすることができる。これらが期待されるものと異なる場合、および/または性能を最適化することを望む場合は、閉鎖部分45aの少なくとも1つを第2の閉鎖位置から移動して戻し、次に再閉鎖して、補助コイル7のうちの1つまたは複数を他のものに対してわずかに移動させてもよい。この後、受信特性を再度チェックすることができる。その後このプロセスは、所望のレベルの受信性能が得られるまで停止または継続できる。
【0117】
支持部材のウェブ40および閉鎖部分のウェブ45は、本実施形態では積層造形(例えば、「3D印刷」)される。これにより、選択された身体部位に倣うように成形および寸法設定され得る支持構造体の製造が容易になる。
【0118】
代替として、異なるタイプの閉鎖部分を設けることができる。第1に、閉鎖部分は、第1の開放位置にあるときでも、収容部分と一体に作られるか、または少なくとも収容部分に接続することができる。第2に、上記に関係なく、閉鎖部分が、収容された受信コイル部分を覆うおよび/または保持するために、収容部分の口部の上方にまたは口部を横切って共に押嵌めすることができる2つの部分を有する、異なるタイプの閉鎖のアプローチを代替として採用することができる。
【0119】
本実施形態では、閉鎖部分45aのウェブ45は一体であり、受信コイル収容部分43内の各々のチャネル部分43aのためのそれぞれの閉鎖部分45aを含む。しかしながら、代替として、個々の閉鎖部分45a、または閉鎖部分45aの複数のウェブ45が提供されてもよい。同様に、代替として、支持部材41の複数のウェブ40を設けることができる。
【0120】
本実施形態では、カバー部分4は、患者の頭部、顔、および首に位置するように配置される。それに対応して、それは、所定の位置にあるときに被験者の頭部、顔、および首を覆うためのカバーの部分を含む。
【0121】
図8~
図10に示されるのと同じ一般的な種類のベース部分5およびカバー部分4上に被験者が位置しているときの被験者に対する一次コイル6および補助コイル7の位置は、適所にあり、
図11Aおよび
図11Bに最もよく見ることができる。
図11Aおよび
図11Bに示される補助コイル7の実際の組は、
図8~
図10に示されるカバー部分の構成4、7に含まれるものとは数および/または配置が異なるが、全体的な効果は類似していることに留意されたい。種々の異なる形態のカバー部分の構成4、7および受信コイル装置が本発明を具体化できることに留意されたい。
【0122】
この例では、一次コイル6が患者の頭部の領域に配置されているのを見ることができる。一次コイル6は、被験者内のより深いところからデータを取得するためのより優れた機能を有する。この受信コイル6は、患者の頭部および首内の任意の領域から生成された信号を有効に拾い上げることができる。
【0123】
他方、補助コイル7(
図4および
図8~
図10に示される構成および
図11Aおよび
図11Bに示される構成内の両方)は、患者の顔および首上の異なる位置に配置される。各々の補助コイル7の間には部分的な重なりがあるが、大部分は各々の補助コイル7が被験者の顔と首の異なる領域から信号を拾おうとしている。
【0124】
図11Aおよび
図11Bに示される構成では、7つの補助コイル7があり、そのうちの3つが被験者の顔の上に位置するように配置され、そのうちの4つが被験者の首および肩の上に位置するように配置される。これに対応して、例えば
図2に示されるようなカバー部分4について考える場合、4つの補助コイル7がカバーの首を覆う部分に設けられ、3つの補助コイル7がカバー4の顔を覆う部分に設けられる。
【0125】
補助コイル7は、
図4および
図8~
図10に示す構成と、
図11Aおよび
図11Bに示す構成内の両方で、10~15%の領域で互いに重なり合うように配置され、残留誘導結合をさらに低減する。
【0126】
再び、両方の場合において、補助コイル7用の整合ボード73は、中央領域、すなわち被検体の関心領域の外にあるので、上記の利点を与える電子部品のないゾーンが存在する。
【0127】
カバー4の柔軟な設計、ならびに補助コイル7が異なる位置に設けられ、わずかに異なる形状に曲げられても許容されるという事実は、複合システムで使用する必要があるマスクまたはその他のジグの上で使用され得るカバー部分の構成4、7の提供を容易にすることに留意されたい。例えば、MR-Linacシステムによって送出される放射線療法で使用される放射線を適切に方向付けるために、患者固有の固定マスクまたはジグが提供されるMR-Linacシステムでは、その既存のマスクまたはジグと組み合わせて、それを修正する必要なしに、本種のカバー部分4を使用することができる。さらにもちろん、積層造形(例えば、3D印刷)を使用すると、ほぼすべての形状構成での生産が可能になる。受信コイル装置または少なくともカバー部分の構成は、典型的には柔軟である、すなわち、使用中または操作者による調整中に変形可能である。さらに、受信コイル装置は、軽量にすることができる、および/または装着可能にすることができる。
【0128】
上述の従来のMRI、MR-Linac、およびPET MRと同様に、本タイプの受信コイル装置はまた、MR Sim(シミュレーション)システムでの使用にも適しており、比較的少量の材料を支持構造体、または少なくともカバー部分に使用することができ、使用する材料の選択に自由がある、したがって例えば、良好な高周波半透過特性または高周波透過特性を得ることができるため、一般的に異なる場/放射線/粒子を使用するほとんどすべてのMR/MRIシステムと共に使用するために設計され得る。
【0129】
図12は、
図2~
図10に示した受信コイル装置の全体的な接続構成を示す概略図である。低インピーダンスの一次コイル6および高インピーダンスの補助コイル7は、適切なケーブルトラップ8を介してプリアンプボード9に接続され、その出力はドライバ故障ボード10に供給され、この出力は、全体として主MRIスキャナ装置1に供給するための受信コイル装置3の出力になる。
【外国語明細書】