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特開2023-181963統合熱交換器の空調装置及び空調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181963
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】統合熱交換器の空調装置及び空調システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20231218BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/22 611C
B60H1/00 102J
B60H1/00 103P
B60H1/00 102M
B60H1/22 651C
B60H1/22 611D
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185289
(22)【出願日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0071607
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】511156450
【氏名又は名称】株式会社斗源空調
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,クァン オク
(72)【発明者】
【氏名】シン,ギ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ス ヨン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ドン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ,デ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チャ,ジェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウォン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ビョン グク
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA03
3L211BA08
3L211BA51
3L211CA18
3L211CA19
3L211DA05
3L211DA06
3L211DA26
3L211DA50
3L211GA05
3L211GA06
3L211GA10
3L211GA26
3L211GA49
(57)【要約】
【課題】統合熱交換器の空調装置及びシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、暖房空気又は冷房空気を生成するための一体型熱交換器で冷却水を活用して空調空気を生成して冷暖房効率が確保され、モード別に空調空気の温度を調節するためのドアの個数が減少し、全体パッケージが縮小する。また、室内の前方空間と後方空間の個別的な温度管理が可能であるため、搭乗席ごとに快適さを提供することができる、統合熱交換機の空調装置及びシステムを紹介する
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流通する空気流入口と複数の空気吐出口を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられ、冷却媒体の循環を介して冷却媒体と空気とが熱交換されるようにする第1熱交換部と第2熱交換部で構成され、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部は、上下側にそれぞれ配置され、空気の温度が同じ温度又は互いに異なる温度に調節可能であるように構成された室内熱交換器と、
前記ハウジングの内部で前記室内熱交換器から離隔して配置され、動作に応じて、流通する空気の温度を加熱させるヒーターと、を含むことを特徴とする、統合熱交換機の空調装置。
【請求項2】
前記ハウジングの前記空気吐出口は、前記ハウジングの上側に少なくとも1つのデフロストベントホール及びフロントベントホールが構成され、下側に少なくとも1つのリアベントホールが構成され、それぞれのベントホールにはデフロストドア、フロントドア、リアドアが備えられたことを特徴とする、請求項1に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項3】
前記フロントベントホールは、室内上部ベントホールと室内下部ベントホールに区分され、
前記ハウジングにおいて前記デフロストベントホールと前記室内上部ベントホールが隣接して配置されることにより、前記デフロストドアが前記デフロストベントホールと前記室内上部ベントホールとの間で空気の流動を断続し、前記フロントドアが前記室内上部ベントホールと前記室内下部ベントホールとの間で空気の流動を断続することを特徴とする、請求項2に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項4】
前記フロントドアは、両側端が一部切開されるように形成されることにより、前記室内上部ベントホール側を閉鎖するように位置するとき、切開された部分を介して一部の空気が流動可能であることを特徴とする、請求項3に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項5】
前記デフロストドアは、両側端の一部が切開されるように形成されることにより、前記フロントベントホール側を閉鎖するように位置するとき、切開された部分を介して一部の空気が流動可能であることを特徴とする、請求項2に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項6】
前記リアドアは、前記ヒーターの後方に配置され、前記リアベントホール側を開放するように位置するとき、前記ヒーターを通過した一部の空気が前記リアベントホール側にガイドされるように形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項7】
前記ハウジングには前記ヒーターの上側にバイパス流路が形成されることにより、前記室内熱交換器を通過した一部の空気が前記バイパス流路を介して前記ヒーターを通過しないことを特徴とする、請求項2に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記バイパス流路にバイパスドアが設置され、前記バイパスドアの開閉に応じて、前記バイパス流路を介した空気の流動が選択的に許容されることを特徴とする、請求項7に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項9】
前記バイパスドアは、前記室内熱交換器を介して暖房空気を形成するときに閉鎖動作し、前記室内熱交換器を介して冷房空気を形成するときに開放動作し、前記デフロストベントホール及び前記フロントベントホールが閉鎖され且つ前記リアベントホールが開放された場合に閉鎖動作することを特徴とする、請求項8に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項10】
前記ヒーターは、個別に動作する第1ヒーティング部と第2ヒーティング部で構成され、前記第1ヒーティング部が前記第1熱交換部にマッチングされ、前記第2ヒーティング部は前記第2熱交換部にマッチングされるように位置したことを特徴とする、請求項1に記載の統合熱交換機の空調装置。
【請求項11】
冷媒が循環し、圧縮機、凝縮器、膨張機及び蒸発器を含む冷媒回路と、
前記冷媒回路の前記凝縮器と熱交換される暖房用冷却水が循環する第1冷却水回路と、
前記冷媒回路の前記蒸発器と熱交換される冷房用冷却水が循環する第2冷却水回路と、
ハウジングの内部に設けられ、前記第1冷却水回路と前記第2冷却水回路が連結されて暖房用冷却水又は冷却用冷却水が選択的に循環する第1熱交換部と第2熱交換部で構成され、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部は、上下側にそれぞれ配置され、同じ冷却水又は互いに異なる冷却水が流通して前記第1熱交換部と前記第2熱交換部別に空気の温度を調節する室内熱交換器と、
前記第1冷却水回路と前記第2冷却水回路が連結され、前記室内熱交換器に流通する暖房用冷却水又は冷房用冷却水を選択的に断続するバルブモジュールと、を含むことを特徴とする、統合熱交換機の空調システム。
【請求項12】
前記第1冷却水回路には第1ウォーターポンプ、室外熱交換器が含まれ、前記第2冷却水回路には第2ウォーターポンプが含まれたことを特徴とする、請求項11に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項13】
前記第1冷却水回路と前記第2冷却水回路は、複数の共有バルブを介して各冷却水が選択的に共有されることを特徴とする、請求項11に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項14】
前記ハウジングの空気吐出口は、前記ハウジングの上側に少なくとも1つのデフロストベントホール及びフロントベントホールが構成され、下側に少なくとも1つのリアベントホールが構成され、それぞれのベントホールにはデフロストドア、フロントドア、リアドアが備えられたことを特徴とする、請求項11に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項15】
前記ハウジングにはヒーターの上側にバイパス流路が形成され、前記バイパス流路にはバイパスドアが設置されたことを特徴とする、請求項14に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項16】
室内空間で要求される温度条件に応じて前記バルブモジュール、各ドアを制御する制御器をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項17】
前記制御器は、室内前方空間と室内後方空間の冷房時に、前記第2冷却水回路に循環する冷房用冷却水が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部に流通するようにし、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが開放されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする、請求項16に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項18】
前記制御器は、室内前方空間を冷房し且つ室内後方空間を暖房するとき、前記第1冷却水回路の暖房用冷却水が前記第2熱交換部に流通し、前記第2冷却水回路の冷房用冷却水が前記第1熱交換器に流通し、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが開放されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする、請求項16に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項19】
前記制御器は、室内前方空間を暖房し且つ室内後方空間を冷房するとき、前記第1冷却水回路の暖房用冷却水が前記第1熱交換部に流通し、前記第2冷却水回路の冷房用冷却水が前記第2熱交換器に流通し、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが開放されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする、請求項16に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項20】
前記制御器は、室内前方空間と室内後方空間の暖房時に、前記第1冷却水回路に循環する暖房用冷却水が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部に流通するようにし、前記ヒーターが選択的に動作するようにし、前記フロントドアと前記リアドアが開放され、前記バイパスドアが閉鎖されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする、請求項16に記載の統合熱交換機の空調システム。
【請求項21】
前記制御器は、デフロスト時に、前記第1冷却水回路に循環する暖房用冷却水が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部に流通するようにし、前記ヒーターが選択的に動作し、デフロストドアが開放され、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが閉鎖されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする、請求項16に記載の統合熱交換機の空調システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合熱交換器の空調装置及びシステムに係り、特に、一体型熱交換器を適用して冷却水を利用した冷暖房効率が確保され、モード別に空調空気の温度を調節するためのドアの個数が減少し、全体パッケージが縮小する統合熱交換器の空調装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境にやさしい技術の具現やエネルギー枯渇などの問題を解決するために社会的イシューとして台頭しているのが電気自動車である。電気自動車は、バッテリーから電気の供給を受けて動力を出力するモーターを用いて作動する。よって、二酸化炭素の排出がなく、騒音が非常に小さく、モーターのエネルギー効率がエンジンのエネルギー効率よりも高いという利点があるため、環境にやさしい自動車として脚光を浴びている。
【0003】
このような電気自動車を実現する上での核心技術は、バッテリーモジュールに関する技術であり、最近、バッテリーの軽量化、小型化、短い充電時間などに関する研究が盛んに行われている。バッテリーモジュールは、最適な温度環境で使用すれば最適な性能と長い寿命を維持することができる。しかし、駆動中に発生する熱と外部の温度変化によって最適な温度環境で使用し難い実情である。
【0004】
また、電気自動車は、内燃機関のように別途のエンジンで燃焼時に発生する廃熱源がないため、電気式暖房装置で冬季の車室内暖房を行い、また、酷寒期にはバッテリー充放電性能を向上させるためにウォームアップが必要であるので、別途の冷却水加熱式電気ヒーターをそれぞれ構成して使用する。すなわち、バッテリーモジュールの最適な温度環境を維持するために、バッテリーモジュール温度調節のための冷暖房システムを、車室内空調のための冷暖房システムとは別に運用する技術が用いられている。
【0005】
ここで、車室内空調のための空調システムは、走行距離増大のために暖房エネルギー消費を最小化するためのヒートポンプ技術が適用されることにより、エネルギー消費量を最小限に抑える。空調システムは、冷房空気と暖房空気の提供を選択的に調節するための温度調節ドアが備えられ、蒸発器及びヒーターによる各構成がそれぞれ離隔して配置されることにより、全体サイズが増加する。また、冷媒の循環のみで空調するとき、冷媒循環のための各構成の容量が大きくなって全体パッケージが増大する。
【0006】
上記の背景技術として説明した事項は、本発明の背景に対する理解を増進するためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならないだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開第10-2008-0092527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、一体型熱交換器を適用して冷却水を利用した冷暖房効率が確保され、モード別に空調空気の温度を調節するためのドアの個数が減少し、全体パッケージが縮小する統合熱交換器の空調装置及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明による統合熱交換器の空調装置は、空気が流通する空気流入口と複数の空気吐出口を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられ、冷却媒体の循環を介して冷却媒体と空気とが熱交換されるようにする第1熱交換部と第2熱交換部で構成され、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部は、上下側にそれぞれ配置され、空気の温度が同じ温度又は異なる温度に調節可能であるように構成された室内熱交換器と、前記ハウジングの内部で前記室内熱交換器から離隔して配置され、動作に応じて、流通する空気の温度を加熱させるヒーターと、を含む。
【0010】
前記ハウジングの前記空気吐出口は、前記ハウジングの上側に少なくとも1つのデフロストベントホール及びフロントベントホールが構成され、下側に少なくとも1つのリアベントホールが構成され、それぞれのベントホールにはデフロストドア、フロントドア、リアドアが備えられたことを特徴とする。
【0011】
前記フロントベントホールは、室内上部ベントホールと室内下部ベントホールに区分され、前記ハウジングにおいて前記デフロストベントホールと前記室内上部ベントホールが隣接して配置されることにより、前記デフロストドアが前記デフロストベントホールと前記室内上部ベントホールとの間で空気の流動を断続し、前記フロントドアが前記室内上部ベントホールと前記室内下部ベントホールとの間で空気の流動を断続することを特徴とする。
【0012】
前記フロントドアは、両側端が一部切開されるように形成され、前記室内上部ベントホール側を閉鎖するように位置するとき、切開された部分を介して一部の空気が流動可能であることを特徴とする。
【0013】
前記デフロストドアは、両側端の一部が切開されるように形成され、前記フロントベントホール側を閉鎖するように位置するとき、切開された部分を介して一部の空気が流動可能であることを特徴とする。
【0014】
前記リアドアは、前記ヒーターの後方に配置され、前記リアベントホール側を開放するように位置するとき、前記ヒーターを通過した一部の空気が前記リアベントホール側にガイドされるように形成されたことを特徴とする。
【0015】
前記ハウジングには前記ヒーターの上側にバイパス流路が形成されることにより、前記室内熱交換器を通過した一部の空気が前記バイパス流路を介して前記ヒーターを通過しないことを特徴とする。
【0016】
前記ハウジングには、前記バイパス流路にバイパスドアが設置され、前記バイパスドアの開閉に応じて、前記バイパス流路を介した空気の流動が選択的に許容されることを特徴とする。
【0017】
前記バイパスドアは、前記室内熱交換器を介して暖房空気を形成するときに閉鎖動作し、前記室内熱交換器を介して冷房空気を形成するときに開放動作するが、前記デフロストベントホール及び前記フロントベントホールが閉鎖され、前記リアベントホールが開放された場合に閉鎖動作することを特徴とする。
【0018】
前記ヒーターは、個別に動作する第1ヒーティング部と第2ヒーティング部で構成され、前記第1ヒーティング部が前記第1熱交換部にマッチングされ、前記第2ヒーティング部は前記第2熱交換部にマッチングされるように位置したことを特徴とする。
【0019】
一方、本発明による統合熱交換器の空調システムは、冷媒が循環し、圧縮機、凝縮器、膨張機及び蒸発器を含む冷媒回路と、前記冷媒回路の前記凝縮器と熱交換される暖房用冷却水が循環する第1冷却水回路と、前記冷媒回路の前記蒸発器と熱交換される冷房用冷却水が循環する第2冷却水回路と、ハウジングの内部に設けられ、前記第1冷却水回路と前記第2冷却水回路が連結されて暖房用冷却水又は冷却用冷却水が選択的に循環する第1熱交換部と第2熱交換部で構成され、前記第1熱交換部と前記第2熱交換部は、上下側にそれぞれ配置され、同じ冷却水又は互いに異なる冷却水が流通して前記第1熱交換部と前記第2熱交換部別に空気の温度を調節する室内熱交換器と、前記第1冷却水回路と前記第2冷却水回路が連結され、前記室内熱交換器に流通する暖房用冷却水又は冷房用冷却水を選択的に断続するバルブモジュールと、を含む。
【0020】
前記第1冷却水回路には第1ウォーターポンプ、室外熱交換器が含まれ、前記第2冷却水回路には第2ウォーターポンプが含まれたことを特徴とする。
【0021】
前記第1冷却水回路と前記第2冷却水回路は、複数の共有バルブを介して各冷却水が選択的に共有されることを特徴とする。
【0022】
前記ハウジングの空気吐出口は、前記ハウジングの上側に少なくとも1つのデフロストベントホール及びフロントベントホールが構成され、下側に少なくとも1つのリアベントホールが構成され、それぞれのベントホールにはデフロストドア、フロントドア、リアドアが備えられたことを特徴とする。
【0023】
前記ハウジングにはヒーターの上側にバイパス流路が形成され、前記バイパス流路にはバイパスドアが設置されたことを特徴とする。
【0024】
室内空間で要求される温度条件に応じて前記バルブモジュール、各ドアを制御する制御器をさらに含むことを特徴とする。
【0025】
前記制御器は、室内前方空間と室内後方空間の冷房時に、前記第2冷却水回路に循環する冷房用冷却水が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部に流通するようにし、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが開放されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする。
【0026】
前記制御器は、室内前方空間を冷房し且つ室内後方空間を暖房するとき、前記第1冷却水回路の暖房用冷却水が前記第2熱交換部に流通し、前記第2冷却水回路の冷房用冷却水が前記第1熱交換器に流通し、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが開放されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする。
【0027】
前記制御器は、室内前方空間を暖房し且つ室内後方空間を冷房するとき、前記第1冷却水回路の暖房用冷却水が前記第1熱交換部に流通し、前記第2冷却水回路の冷房用冷却水が前記第2熱交換器に流通し、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが開放されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする。
【0028】
前記制御器は、室内前方空間と室内後方空間の暖房時に、前記第1冷却水回路に循環する暖房用冷却水が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部に流通するようにし、前記ヒーターが選択的に動作するようにし、前記フロントドアと前記リアドアが開放され、前記バイパスドアが閉鎖されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする。
【0029】
前記制御器は、デフロスト時に、前記第1冷却水回路に循環する暖房用冷却水が前記第1熱交換部と前記第2熱交換部に流通するようにし、前記ヒーターが選択的に動作し、デフロストドアが開放され、前記フロントドア、前記リアドア、前記バイパスドアが閉鎖されるように前記バルブモジュールと各ドアを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
上述した構造を持つ統合熱交換器の空調装置及びシステムは、暖房空気又は冷房空気を生成するための一体型熱交換器で冷却水を活用して空調空気を生成して冷暖房効率が確保され、モード別に空調空気の温度を調節するためのドアの個数が減少し、全体パッケージが縮小する。また、室内の前方空間と後方空間の個別的な温度管理が可能であるため、搭乗席ごとに快適さを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による一体型熱交換器の空調装置を示す図である。
図2】本発明によるハウジング及びフロントドアを示す図である。
図3】本発明によるフロントドアを示す図である。
図4】本発明による統合熱交換器の空調装置におけるデフロストドア及びフロントドアの位置による空気流れを説明するための図である。
図5】本発明による統合熱交換器の空調装置におけるデフロストドア及びフロントドアの位置による空気流れを説明するための図である。
図6】本発明によるハウジング及びデフロストドアを示す図である。
図7】本発明によるデフロストドアを示す図である。
図8】本発明による統合熱交換器の空調装置におけるデフロストドア及びフロントドアの位置による空気流れを説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態による熱交換器の空調システムを示す構成図である。
図10】本発明による室内前方空間と室内後方空間の冷房を説明するための図である。
図11】本発明による室内前方空間を冷房し且つ室内後方空間を暖房することを説明するための図である。
図12】本発明による室内前方空間を暖房し且つ室内後方空間を冷房することを説明するための図である。
図13】本発明による室内前方空間と室内後方空間の暖房を説明するための図である。
図14】本発明によるデフロストを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本明細書に開示された実施形態を詳細に説明する。図面符号に関係なく、同一又は類似の構成要素は、同一の参照番号を付与し、これについての重複説明は省略する。
以下の説明で使用する構成要素に対する接尾の文言「モジュール」及び「部」は、明細書作成の容易さのみが考慮されて付与又は混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味又は役割を有するものではない。
【0033】
本明細書に開示した実施例を説明するにあたり、関連する公知の技術について具体的な説明が、本明細書に開示した実施形態の要旨を不明確にするおそれがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付図面は、本明細書に開示した実施形態を容易に理解し得るようにするためのものに過ぎず、添付図面によって、本明細書に開示した技術思想が限定されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0034】
「第1」、「第2」等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いると言及された場合には、該他の構成要素に直接連結又は接続されていることもあるが、それらの間に別の構成要素が介在することもあると理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いると言及された場合には、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。
【0035】
単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0036】
制御器(Controller)は、担当する機能の制御のために他の制御器又はセンサーと通信する通信装置、運営体制やロジック命令語、入出力情報などを記憶するメモリ、及び担当機能の制御に必要な判断、演算、決定などを行う一つ以上のプロセッサを含むことができる。
【0037】
本発明による図面は、次の通りである。
図1は、本発明による統合熱交換器の空調装置を示す図である。
また、図2は、本発明によるハウジング及びフロントドアを示す図であり、図3は、本発明によるフロントドアを示す図であり、図4は、本発明による統合熱交換器の空調装置におけるデフロストドア及びフロントドアの位置による空気流れを説明するための図であり、図5は本発明による統合熱交換器の空調装置におけるデフロストドア及びフロントドアの位置による空気流れを説明するための図である。
【0038】
また、図6は、本発明によるハウジング及びデフロストドアを示す図であり、図7は、本発明によるデフロストドアを示す図であり、図8は、本発明による統合熱交換器の空調装置におけるデフロストドア及びフロントドアの位置による空気流れを説明するための図である。
【0039】
一方、図9は、本発明の一実施形態による熱交換器の空調システムを示す構成図であり、図10は、本発明による室内前方空間と室内後方空間の冷房を説明するための図であり、図11は、本発明による室内前方空間を冷房し且つ室内後方空間をは暖房することを説明するための図であり、図12は、本発明による室内前方空間を暖房し且つ室内後方空間を冷房することを説明するための図であり、図13は、本発明による室内前方空間と室内後方空間の暖房を説明するための図であり、図14は、本発明によるデフロストを説明するための図である。
【0040】
本発明による統合熱交換器の空調装置は、図1に示すように、空気が流通する空気流入口110と複数の空気吐出口120とを有するハウジング100と、ハウジング100の内部に設けられ、冷却媒体の循環を介して冷却媒体と空気とが熱交換されるようにする第1熱交換部210と第2熱交換部220で構成され、第1熱交換部210と第2熱交換部220は、上下側にそれぞれ配置され、空気の温度が同一温度又は互いに異なる温度に調節可能であるように構成された室内熱交換器200と、ハウジング100の内部で室内熱交換器200から離隔して配置され、動作に応じて、流通する空気の温度を加熱させるヒーター300と、を含む。
【0041】
このように、ハウジング100には、室内熱交換器200とヒーター300を介して、内部に流通する空気が室内熱交換器200を介して冷却されるか、或いは室内熱交換器200及びヒーター300を介して加熱されることにより、室内空調のための冷房空気又は暖房空気が形成される。
【0042】
ここで、室内熱交換器200は、第1熱交換部210と第2熱交換部220で構成され、第1熱交換部210と第2熱交換部220に循環する冷却媒体に応じて、ハウジング100の内部に流通する空気の温度が調節される。冷却媒体は、冷却水になることができる。一例として、第1熱交換部210に熱い冷却水が循環する場合、第1熱交換部210を通過する空気が加熱されて暖房空気となり、第1熱交換部210に冷たい冷却水が循環する場合、第1熱交換部210を通過する空気が冷却されて冷房空気となる。第2熱交換部220も、第1熱交換部210と同様に循環する冷却媒体の温度に応じて空調空気の温度を調節する。特に、第1熱交換部210と第2熱交換部220は、上下側にそれぞれ配置されることにより、ハウジング100内に流通する空気の温度を第1熱交換部210と第2熱交換部220による区域ごとに温度を調節することができる。これにより、第1熱交換部210を通過した空気の場合は、室内の特定空間に流通するようにし、第2熱交換部220を通過した空気の場合は、室内の他の空間に流通するようにすることにより、室内空間の各区域別に異なる温度管理を行うことができる。
【0043】
一方、ヒーター300は、室内暖房時に、室内熱交換器200のみで足りない暖房熱を補充するためのPTCヒーターで構成されることができる。
【0044】
また、ヒーター300は、個別に動作する第1ヒーティング部310と第2ヒーティング部320で構成され、第1ヒーティング部310が第1熱交換部210にマッチングされ、第2ヒーティング部320は第2熱交換部220にマッチングされるように位置することができる。
【0045】
このように、ヒーター300は、第1ヒーティング部310と第2ヒーティング部320で構成され、第1ヒーティング部310と第2ヒーティング部320が上下側に配置されることにより、第1ヒーティング部310が第1熱交換部210にマッチングされ、第2ヒーティング部320は第2熱交換部220にマッチングされる。これにより、ハウジング100の内部に流通する空気の温度を、第1ヒーティング部310と第2ヒーティング部320による区域ごとに温度を調節することができる。これにより、第1熱交換部210及び第2熱交換部220と共に、第1ヒーティング部310と第2ヒーティング部320の選択的な稼働によって、室内暖房の際に、室内で要求する暖房温度条件を満たすことができる。
【0046】
一方、ハウジング100の空気吐出口120は、ハウジング100の上側に少なくとも1つのデフロストベントホール121及びフロントベントホール122が構成され、下側に少なくとも1つのリアベントホール123が構成され、それぞれのベントホールにはデフロストドア130、フロントドア140、リアドア150が備えられる。
【0047】
このように、ハウジング100には、空気流入口110を介して流入した空気が空気吐出口120を介して室内空間へ流動する。特に、空気吐出口120の場合、室内空間の様々な位置に空調空気が提供されるようにデフロストベントホール121、フロントベントホール122、リアベントホール123が備えられ、それぞれのベントホールは、追加構成されるか或いは各ベントホールが分岐して、室内空間に様々な位置へ空気が流れるようにすることができる。
【0048】
ここで、デフロストベントホール121とフロントベントホール122の場合は、ハウジング100の上側に構成されることにより、第1熱交換部210及び第1ヒーティング部310を通過した空気がほとんど流通し、リアベントホール123の場合は、ハウジング100の下側に構成されることにより、第2熱交換部220及び第2ヒーティング部320を通過した空気がほとんど流通する。また、フロントドア140及びリアドア150の位置に応じて、室内熱交換器200とヒーター300を通過した空気がそれぞれのベントホールを介して選択的に流れることができる。
【0049】
このようなデフロストベントホール121は、モビリティのフロントガラス側に空気が吐出されるように構成でき、フロントベントホール122は、モビリティの室内前方に空気を吐出するように構成され、リアベントホール123は、モビリティの室内後方に空気が吐出されるように構成される。
【0050】
このように、ハウジング100の内部に流れる空気は、デフロストドア130、フロントドア140、リアドア150の開閉に応じてデフロストベントホール121、フロントベントホール122、リアベントホール123に選択的に流れて、室内空間で要求される位置に空調空気を提供することができる。
【0051】
ここで、フロントベントホール122は、室内上部ベントホール122aと室内下部ベントホール122bに分けられ、ハウジング100においてデフロストベントホール121と室内上部ベントホール122aとが隣接して配置されることにより、デフロストドア130がデフロストベントホール121と室内上部ベントホール122aとの間の空気の流動を断続し、フロントドア140が室内上部ベントホール122aと室内下部ベントホール122bとの間で空気の流動を断続することができる。
【0052】
すなわち、室内上部ベントホール122aは、室内前方空間から前席搭乗者の顔側に空気が吐出されるように構成でき、室内下部ベントホール122bは、室内前方空間から前席搭乗者の足側に空気が吐出されるように構成できる。
【0053】
また、デフロストドア130は、デフロストベントホール121と室内上部ベントホール122aとの間に設けられ、デフロストベントホール121とフロントベントホール122側への空気の流動を選択的に断続し、フロントドア140は、室内上部ベントホール122aと室内下部ベントホール122bとの間に設けられ、室内上部ベントホールと室内下部ベントホール122b側への空気の流動を選択的に断続する。このようなデフロストドア130とフロントドア140は、開度量が調節されることにより、空気流通量を調節することができる。
【0054】
特に、図2図4に示すように、フロントドア140は、両側端が一部切開されるように形成されることにより、室内上部ベントホール122a側を閉鎖するように位置するとき、切開された部分を介して一部の空気が流動可能である。
【0055】
図3に示すように、フロントドア140は、両側端の一部が切開されることにより、切開された部分に空気が流通可能に形成される。フロントドア140の切開形状は、様々な形態で適用でき、フロントドア140を複数構成し、中央のフロントドア140に比べて両端のフロントドア140の長さを短く形成することもできる。
【0056】
これにより、図4に示すように、フロントドア140が室内上部ベントホール122aを閉鎖するように位置しても、少量の空気が、切開された部分に流通することにより、室内前方空間に対する温度調節が容易であり、空調効率が確保される。また、図5に示すように、フロントドア140が室内下部ベントホール122bを閉鎖するように位置するとき、ハウジング100の内部で空気流動の自然な流れによってほとんどの空気が室内上部ベントホール122aへ流動することにより、室内前方搭乗者に提供される空気流量を確保することができる。
【0057】
一方、図6及び図7に示すように、デフロストドア130は、両端の一部が切開されるように形成されることにより、フロントベントホール122側を閉鎖するように位置するときに、切開された部分を介して一部の空気が流動可能である。
【0058】
このように、デフロストドア130は、両側端の一部が切開されることにより、切開された部分に空気が流動し得るように形成される。このようなデフロストドア130は、切開形状が様々な形態で適用されることができ、デフロストドア130の特性上、過剰な空気が流通しないようにその大きさが決定されることができる。
【0059】
これにより、図8に示すように、デフロストドア130がデフロストベントホール121を開放することにより、フロントベントホール122側を閉鎖するように位置しても、少量の空気が、切開された部分に通過することにより、室内前方空間に対する温度調節が容易であり、空調効率が確保される。また、図5に示すように、デフロストドア130がデフロストベントホール121を閉鎖するように位置するとき、ハウジング100の内部で空気流動の自然な流れによって大部分の空気がフロントベントホール122へ流動することにより、室内前方搭乗者に提供される空気の流量を確保することができる。
【0060】
一方、リアドア150は、ヒーター300の後方に配置され、リアベントホール123側を開放するように位置するとき、ヒーター300を通過した一部の空気がリアベントホール123側へガイドされるように形成される。
【0061】
図1に示すように、リアドア150は、ヒーター300の後方に配置され、室内熱交換器200及びヒーター300を通過した空気がリアベントホール123側へ流通するようにするか或いは流動遮断されるようにする。特に、リアドア150は、「>」状に形成されることにより、第1フラップ151と第2フラップ152を有するように構成される。これにより、リアドア150は、リアベントホール123側に空気が流動するように位置するとき、第1フラップ151がヒーター300の後方に傾くように配置され、室内熱交換器200及びヒーター300を通過した一部の空気がリアベントホール123側へ流動するようにガイドする。また、リアドア150がリアベントホール123を閉鎖するように位置するとき、第2フラップ152がリアベントホール123を遮断することにより、室内熱交換器200及びヒーター300を通過した空気がリアベントホール123に流動しない。
【0062】
一方、ハウジング100にはヒーター300の上側にバイパス流路160が形成されることにより、室内熱交換器200を通過した一部の空気がバイパス流路160を介してヒーター300を通過しない。
【0063】
このように、ハウジング100の内部にはヒーター300の上側にバイパス流路160が形成されることにより、ヒーター300がハウジング100の内部に配置されることによる流動抵抗が解消される。すなわち、ハウジング100の内部で室内熱交換器200を通過した空気のうちの一部がバイパス流路160を介してヒーター300を通過せずに流動することにより、ハウジング100内部の圧力が減少し、流動の流れを改善することができる。
【0064】
また、ハウジング100にはバイパス流路160にバイパスドア170が設置され、バイパスドア170の開閉に応じてバイパス流路160を介した空気の流動が選択的に許容される。このように、バイパスドア170がバイパス流路160に設置されることにより、室内冷暖房条件に応じて空気流量を確保し且つ空調効率を確保することができる。
【0065】
すなわち、バイパスドア170は、室内熱交換器200を介して暖房空気を形成するときに閉鎖動作し、室内熱交換器200を介して冷房空気を形成するときに開放動作することができる。
【0066】
このように、室内に暖房空気を提供するときにバイパスドア170が閉鎖動作することにより、室内熱交換器200を通過した暖房空気が全てヒーター300を通過するので、ヒーター300と空気の熱交換面積が増大して暖房空気を効率よく形成することができる。また、室内に冷房空気を提供するときにバイパスドア170が開放動作することにより、室内熱交換器200を通過した冷房空気がバイパス流路160を介してヒーター300を通過しないので、空気流れの流動性が向上してハウジング100内部の圧力が減少し、冷房空気の流量が増大する。
【0067】
このように、本発明は、室内で要求する各種モードに応じて各ドアの開度量を調節してベントモード、バイレベルモード、フロアモード、ミックスモード、デフロストモードなどを行うことにより、室内空間における所望の位置及び所望の温度で空調空気を提供することができる。
【0068】
一方、本発明による統合熱交換器の空調システムは、図9に示すように、冷媒が循環し、圧縮機11、凝縮器12、膨張機13及び蒸発器14を含む冷媒回路10と、冷媒回路10の凝縮器12と熱交換される暖房用冷却水が循環する第1冷却水回路20と、冷媒回路10の蒸発器14と熱交換される冷房用冷却水が循環する第2冷却水回路30と、ハウジング100の内部に設けられ、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30とが連結されて暖房用冷却水又は冷却用冷却水が選択的に循環する第1熱交換部210と第2熱交換部220で構成され、第1熱交換部210と第2熱交換部220は、上下側にそれぞれ配置され、同一の冷却水又は互いに異なる冷却水が流通して第1熱交換部210と第2熱交換部220別に空気の温度を調節する室内熱交換器200と、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30とが連結され、室内熱交換器200に流通する暖房用冷却水又は冷房用冷却水を選択的に断続するバルブモジュール40と、を含む。
【0069】
ここで、第1冷却水回路20には第1ウォーターポンプ21、室外熱交換器22が含まれ、第2冷却水回路30には第2ウォーターポンプ31が含まれることができる。室外熱交換器22は、ラジエータで構成されることができ、第1ウォーターポンプ21、第2ウォーターポンプ31、圧縮機11、膨張機13、各種バルブは、制御器50によって制御されることができる。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、冷媒回路10には圧縮機11、凝縮器12、膨張機13、蒸発器14が含まれ、冷媒が圧縮機11、凝縮器12、膨張機13、蒸発器14を順次循環する。
【0071】
ここで、冷媒回路10には、圧縮機11で圧縮された高温高圧の冷媒が凝縮器12に流入することにより、凝縮器12の発熱を介して、凝縮器12に連結された第1冷却水回路20に循環する冷却水が加熱される。これにより、第1冷却水回路20は、凝縮器12を共に含み、冷却水が凝縮器12を介して冷媒と熱交換されて暖房のための暖房用冷却水として循環する。
【0072】
また、冷媒回路10には、蒸発器14を介した吸熱作用によって、蒸発器14に連結された第2冷却水回路30に循環する冷却水が冷却される。これにより、第2冷却水回路30は、蒸発器14を共に含み、冷却水が蒸発器14を介して冷媒と熱交換されて冷房のための冷房用冷却水として循環する。
【0073】
このように、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30で流通するそれぞれの冷却水は、凝縮器12と蒸発器14を介して熱交換され、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30は、空調機の内部に設けられた室内熱交換器200に冷却水が流通するように連結されることにより、冷却水が室内熱交換器200を介して空調空気と熱交換される。このような第1冷却水回路20には第1ウォーターポンプ21が設けられることにより、第1冷却水回路20内で冷却水が循環することができ、第2冷却水回路30には第2ウォーターポンプ31が設けられることにより、第2冷却水回路内で冷却水が循環することができる。
【0074】
特に、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30にはバルブモジュール40が連結されることにより、室内熱交換器200に流通する暖房用冷却水又は冷房用冷却水が選択的に断続されて室内熱交換器200の第1熱交換部210と第2熱交換部220に流通することができる。すなわち、バルブモジュール40によって第1冷却水回路20に流通する暖房用冷却水が第1熱交換部210又は第2熱交換部220に流通するか、或いは第2冷却水回路30に流通する冷却用冷却水が第1熱交換部210又は第2熱交換部220に流通することができる。ここで、バルブモジュール40は、マルチウェイバルブであって、多数の4ウェイバルブがモジュール化されるように構成されることができる。
【0075】
これにより、本発明は、冷媒回路10内での冷媒の循環を介して、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30に循環する冷却水の温度が調節され、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30を介して流通する冷却水がバルブモジュール40によって室内熱交換器200の第1熱交換部210と第2熱交換部220に流通することにより、室内熱交換器200を介して室内の要求温度による空調空気を提供することができる。また、冷媒の循環を介して冷却水の温度を調節し、冷却水を用いて空調機内で暖房空気又は冷房空気を形成することにより、冷媒回路10の各構成を簡素化して冷媒循環によるパッケージを縮小することができる。しかも、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30に循環する、互いに異なる温度の冷却水が1つの室内熱交換器200に流入して空調空気の温度を調節することにより、バルブモジュール40による選択的な冷却水の流通を介して、温度調節ドアなしに空調空気の温度を調節することができる。
【0076】
このように、本発明は、第1冷却水回路20内で第1ウォーターポンプ21の動作によって冷却水が循環しながら凝縮器12によって加熱され、室外熱交換器22を介して冷却されて冷却水の温度が管理されることができる。また、第2冷却水回路30内で第2ウォーターポンプ31の動作によって冷却水が循環しながら蒸発器14によって冷却されることができる。
【0077】
また、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30とは、複数の共有バルブVを介して各冷却水が選択的に共有されることができる。このような共有バルブVは、第1冷却水回路20における凝縮器12の前段と後段、第2冷却水回路30における蒸発器14の前段と後段にそれぞれ設けられることができ、第1冷却水回路20に設けられた共有バルブVと第2冷却水回路30に設けられた共有バルブVとは、共有ラインLを介して連結されることができる。これにより、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30とは、共有バルブVの動作に応じて、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30内で冷却水が個別に循環するか、或いは第1冷却水回路20と第2冷却水回路30に循環する冷却水が共有されることができる。これにより、室内空調に要求される温度を満たすための冷却水の温度調節が容易であり、走行状況、周辺環境に応じて冷却水を効率よく運用することができる。
【0078】
これによる従来と本発明の違いは、次のとおりである。従来の場合は、空調機内で暖房空気を形成するための凝縮器と冷房空気を形成するための蒸発器がそれぞれ離隔して配置されなければならず、凝縮器が相対的に小型化されなければならないことにより暖房空気を形成することが難しい。これに対して、本発明による一実施形態では、空調機内に室内熱交換器200が単一に配置されることにより、空調機の全体パッケージが縮小し、温度調節ドアが削除されて部品数及び重量が減少する。また、室内熱交換器200が暖房空気又は冷房空気の形成に関係なく全体面積で空調空気と熱交換を行うことにより、冷暖房性能が全て確保される。
【0079】
一方、ハウジング100の空気吐出口120は、ハウジング100の上側に少なくとも1つのデフロストベントホール121及びフロントベントホール122が構成され、下側に少なくとも1つのリアベントホール123が構成され、それぞれのベントホールにはデフロストドア130、フロントドア140、リアドア150が備えられる。
【0080】
また、ハウジング100にはヒーター300の上側にバイパス流路160が形成され、バイパス流路160にはバイパスドア170が設置される。
【0081】
これにより、空調機は、冷暖房条件及び各空調モードに最適化されて空気流量を確保し且つ空調効率を増大させることができる。
【0082】
一方、室内空間で要求される温度条件に応じてバルブモジュール40、各ドアを制御する制御器50をさらに含む。このような制御器50は、温度条件だけでなく、各種モードによってもバルブモジュール40、各ドアを制御して室内空間における空調空気の所望の位置及び空調空気の温度を満足することができる。
【0083】
詳細には、制御器50は、室内前方空間と室内後方空間の冷房時に、第2冷却水回路30に循環する冷房用冷却水が第1熱交換部210と第2熱交換部220に流通するようにし、フロントドア140、リアドア150、バイパスドアが開放されるようにバルブモジュール40と各ドアを制御することができる。
【0084】
図10に示すように、室内前方空間と室内後方空間の冷房時に、第2冷却水回路30の冷房用冷却水が室内熱交換器200の第1熱交換部210と第2熱交換部220に全て循環し、ヒーター300が動作しないことによりハウジング100の内部に冷房空気が形成されてフロントベントホール122とリアベントホール123を介して室内空間の前方と後方に冷房空気が提供されることができる。また、ハウジング100の内部でバイパスドア170が開放されることによりバイパス流路160を介して一部の空気が流動して空気流量が確保され、空調機内部の圧力が減少する。
【0085】
一方、制御器50は、室内前方空間を冷房し且つ室内後方空間を暖房するとき、第1冷却水回路20の暖房用冷却水が第2熱交換部220に流通し、第2冷却水回路30の冷房用冷却水が第1熱交換器に流通し、フロントドア140、リアドア150、バイパスドアが開放されるようにバルブモジュール40と各ドアを制御する。
【0086】
すなわち、図11に示すように、室内前方空間の冷房のために、第2冷却水回路30の冷房用冷却水が第1熱交換部210に循環してハウジング100の内部で第1熱交換部210を通過する空気が冷却されて冷房空気が形成される。このような冷房空気は、フロントベントホール122を介して室内前方空間に提供される。また、バイパスドア170が開放されることにより、第1熱交換部210を通過した空気の一部がバイパス流路160に流通することにより、室内前方空間へ流通する冷房空気の流量が増大する。
【0087】
また、室内後方空間の暖房のために、第1冷却水回路20の暖房用冷却水が第2熱交換部220に循環してハウジング100の内部で第2熱交換部220を通過する空気が加熱されて暖房空気が形成される。このような暖房空気は、リアベントホール123を介して室内後方空間に提供される。
【0088】
ここで、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30に流通するそれぞれの冷却水は、バルブモジュール40によって第2熱交換部220と第1熱交換部210に流通することができ、各ドアの開度量の調節によって各モード別に室内空間に空調空気を提供することができる。
【0089】
これとともに、本発明による一実施形態において、ヒーター300は、第1熱交換部210と第2熱交換部220で構成されることにより、第2熱交換部220にマッチングされる第2ヒーティング部320が動作するようにして、暖房熱を補充することができる。
【0090】
一方、制御器50は、室内前方空間を暖房し且つ室内後方空間を冷房するとき、第1冷却水回路20の暖房用冷却水が第1熱交換部210に流通し、第2冷却水回路30の冷房用冷却水が第2熱交換器に流通し、フロントドア140、リアドア150、バイパスドアが開放されるようにバルブモジュール40と各ドアを制御することができる。
【0091】
すなわち、図12に示すように、室内前方空間の暖房のために、第1冷却水回路20の暖房用冷却水が第1熱交換部210に循環してハウジング100の内部で第1熱交換部210を通過する空気が加熱されて暖房空気が形成される。このような暖房空気は、フロントベントホール122を介して室内前方空間に提供される。また、バイパスドア170が開放されることにより、第1熱交換部210を通過した空気の一部がバイパス流路160に流通することにより、室内前方空間に流通する暖房空気の流量が増大する。
【0092】
また、室内後方空間の冷房のために、第2冷却水回路30の冷房用冷却水が第2熱交換部220に循環してハウジング100の内部で第2熱交換部220を通過する空気が冷却されて冷房空気が形成される。このような冷房空気は、リアベントホール123を介して室内後方空間に提供される。
【0093】
ここで、第1冷却水回路20と第2冷却水回路30に流通するそれぞれの冷却水は、バルブモジュール40によって第1熱交換部210と第2熱交換部220に流通することができ、各ドアの開度量の調節によって各モード別に室内空間に空調空気を提供することができる。
【0094】
さらに、本発明による一実施形態において、ヒーター300は、第1熱交換部210と第2熱交換部220で構成されることにより、第1熱交換部210にマッチングされる第1ヒーティング部310が動作するようにして、暖房熱を補充することができる。
【0095】
一方、制御器50は、室内前方空間と室内後方空間の暖房時に、第1冷却水回路20に循環する暖房用冷却水が第1熱交換部210と第2熱交換部220に流通するようにし、ヒーター300が選択的に動作するようにし、フロントドア140とリアドア150が開放され、バイパスドアが閉鎖されるようにバルブモジュール40と各ドアを制御する。
【0096】
図13に示すように、室内前方空間と室内後方空間の暖房時に、第1冷却水回路20の暖房用冷却水が室内熱交換器200の第1熱交換部210と第2熱交換部220の両方に循環することにより暖房空気が形成され、これによりフロントベントホール122とリアベントホール123を介して室内空間の前方及び後方に暖房空気が提供されることができる。この場合、ヒーター300は、暖房空気の温度を調節するために選択的に動作することができる。しかも、ハウジング100の内部でバイパスドア170が閉鎖されることにより、室内熱交換器200を通過した空気が全てヒーター300を通過するので、暖房効率が確保される。
【0097】
一方、制御器50は、デフロスト時に、第1冷却水回路20に循環する暖房用冷却水が第1熱交換部210と第2熱交換部220に流通するようにし、ヒーター300が選択的に動作し、デフロストドア130が開放され、フロントドア140、リアドア、バイパスドア170が閉鎖されるようにバルブモジュール40及び各ドアを制御することができる。
【0098】
すなわち、図14に示すように、デフロスト時に、第1冷却水回路20の暖房用冷却水が室内熱交換器200の第1熱交換部210と第2熱交換部220の両方に循環することにより暖房空気が形成され、デフロストドア130が開放されることにより暖房空気がデフロストベントホール121に流通する。また、フロントドア140とリアドア150が閉鎖動作することにより、室内熱交換器200及びヒーター300を通過した空気は、デフロストベントホール121に流通して空気流量が確保されることにより、霜除去を迅速に行うことができる。また、ハウジング100の内部でバイパスドア170が閉鎖されることにより、室内熱交換器200を通過した空気が全てヒーター300を通過するので、デフロストのための暖房空気の提供効率が向上する。
【0099】
上述した構造を持つ統合熱交換器の空調装置及びシステムは、暖房空気又は冷房空気を生成するための一体型熱交換器で冷却水を活用して空調空気を生成して冷暖房効率が確保され、モード別に空調空気の温度を調節するためのドアの個数が減少し、全体パッケージが縮小する。また、室内の前方空間と後方空間の個別的な温度管理が可能であるため、搭乗席ごとに快適さを提供することができる。
【0100】
本発明は、特定の実施形態に関連して図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想から逸脱することなく、本発明に様々な改良及び変更を加え得ることは、当業分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0101】
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 凝縮器
13 膨張機
14 蒸発器
20 第1冷却水回路
21 第1ウォーターポンプ
22 室外熱交換器
30 第2冷却水回路
31 第2ウォーターポンプ
40 バルブモジュール
50 制御器
100 ハウジング
110 空気流入口
120 空気吐出口
121 デフロストベントホール
122 フロントベントホール
122a 室内上部ベントホール
122b 室内下部ベントホール
123 リアベントホール
130 デフロストドア
140 フロントドア
150 リアドア
151 第1フラップ
152 第2フラップ
160 バイパス流路
170 バイパスドア
200 室内熱交換器
210 第1熱交換部
220 第2熱交換部
300 ヒーター
310 第1ヒーティング部
320 第2ヒーティング部
L 共有ライン
V 共有バルブ

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