(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181966
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】コンパクトな拒絶品入れ物
(51)【国際特許分類】
G07D 11/13 20190101AFI20231218BHJP
【FI】
G07D11/13
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211152
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】17/838,371
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391007161
【氏名又は名称】エヌ・シー・アール・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ルーサーフォード
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA05
3E141BA06
3E141DA06
3E141FA02
3E141FC03
(57)【要約】
【課題】現金自動預払機などのセルフサービス端末において、小切手または紙幣などの連続した一連の媒体品目を受け入れるための流入チャネルを提供する。
【解決手段】対向する駆動ローラーは、流入チャネルを介して連続する一連の媒体品目を受け入れ、連続する一連の媒体品目のそれぞれを排出チャネルの中に押し出す。収納容器は、排出チャネルを介して対向する駆動ローラーによって押し出された連続する一連の媒体品目のそれぞれを受け入れる。収納容器は、内側円筒壁および外壁によって形成された環状の貯蔵空洞を有する。外壁は、少なくとも部分的に円筒形であり、その内面上に、収納容器での流入詰まりの防止を助ける複数の傾斜路状の突起を任意選択的に含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体品目を収納するための入れ物であって、
連続する一連の媒体品目を受け入れるための流入チャネルと、
前記流入チャネルを介して前記連続する一連の媒体品目を受け入れるため、および前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを押し出すための対向する駆動ローラーと、
前記対向する駆動ローラーによって押し出された前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを受け入れるための収納容器であって、前記収納容器が内側円筒壁および外壁によって形成された環状の貯蔵空洞を有し、前記外壁が少なくとも部分的に円筒形である、収納容器と、を備える入れ物。
【請求項2】
排出チャネルをさらに備え、前記対向する駆動ローラーが、前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを前記排出チャネルの中に押し出し、前記収納容器が、前記排出チャネルを介して前記対向する駆動ローラーによって押し出された前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを受け入れる、請求項1に記載の入れ物。
【請求項3】
前記収納容器の前記外壁が、その内面上に傾斜路状の突起を備える、請求項1に記載の入れ物。
【請求項4】
前記傾斜路状の突起が、前記外壁の前記内面の下部上に位置付けられている、請求項3に記載の入れ物。
【請求項5】
前記収納容器の前記外壁が、その内面上に複数の傾斜路状の突起を備える、請求項1に記載の入れ物。
【請求項6】
前記複数の傾斜路状の突起のそれぞれが、前記外壁の前記内面の下部上に位置付けられている、請求項5に記載の入れ物。
【請求項7】
前記外壁が、前記環状の貯蔵空洞内に位置付けられた媒体品目にアクセスするための切抜き領域を含む、請求項1に記載の入れ物。
【請求項8】
前記外壁が、前記排出チャネルを前記環状の貯蔵空洞に連結するためのスロットを含む、請求項1に記載の入れ物。
【請求項9】
第一の中央軸および第二の中央軸をさらに備え、前記対向する駆動ローラーが、前記第一の中央軸を介して互いに連結された上部ローラーと、前記第二の中央軸を介して互いに連結された下部ローラーとを含む、請求項1に記載の入れ物。
【請求項10】
前記第一の中央軸に接続された第一のギアと、前記第二の中央軸に接続された第二のギアとをさらに備え、前記第一のギアまたは前記第二のギアのうちの一つが駆動されるとき、前記上部ローラーが第一の方向に回転し、前記下部ローラーが前記第一の方向と反対の第二の方向に回転するように、前記第一のギアが前記第二のギアに連結されている、請求項9に記載の入れ物。
【請求項11】
前記第一のギアまたは前記第二のギアのうちの一つに連結されて、前記上部ローラーおよび前記下部ローラーを駆動するモーターをさらに備える、請求項10に記載の入れ物。
【請求項12】
前記モーターが、ギアおよびベルトアセンブリを介して前記第一のギアまたは前記第二のギアのうちの一つに連結された駆動軸を備える、請求項11に記載の入れ物。
【請求項13】
前記モーターが、前記収納容器の前記内壁によって形成された円筒形領域内に位置付けられている、請求項12に記載の入れ物。
【請求項14】
媒体品目を保存するための入れ物であって、
連続する一連の媒体品目を受け入れるための流入チャネルと、
前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを受け入れるための収納容器であって、前記容器が、内側円筒壁および外壁によって形成された環状の貯蔵空洞を有し、前記外壁が少なくとも部分的に円筒形であり、その内面上に傾斜路状の突起を有する、収納容器と、を備える入れ物。
【請求項15】
前記傾斜路状の突起が、前記外壁の前記内面の下部上に位置付けられている、請求項14に記載の入れ物。
【請求項16】
媒体品目を保存するための方法であって、
流入チャネルを介して連続する一連の媒体品目を受け入れることと、
対向する駆動ローラーを介して前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを押し出すことと、
収納容器で、前記対向する駆動ローラーによって押し出された前記連続する一連の媒体品目のそれぞれを受け入れることであって、前記収納容器が、内側円筒壁および外壁によって形成された環状の貯蔵空洞を有し、前記外壁が少なくとも部分的に円筒形であることと、を含む、方法。
【請求項17】
前記収納容器の前記外壁が、その内面上に傾斜路状の突起を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記傾斜路状の突起が、前記外壁の前記内面の下部上に位置付けられている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記収納容器の前記外壁が、その内面上に複数の傾斜路状の突起を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の傾斜路状の突起のそれぞれが、前記外壁の前記内面の下部上に位置付けられている、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、セルフサービス端末の拒絶品入れ物に関し、より具体的には、現金自動預払機などのセルフサービス端末の改良型短辺方向拒絶品入れ物に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動預払機(ATM)などのセルフサービス端末(SST)は、典型的には、支払いまたは預け入れのための紙幣および小切手を含む様々な媒体品目を受け入れる。一部の場合、SSTは、挿入された媒体品目(典型的には小切手)が拒絶され、ユーザーに返却されるべきであると判定する場合がある。しかしながら、場合によっては、ユーザーは、返却された媒体品目を回収することを怠る可能性があり、その場合、拒絶された媒体品目は、返却スロットから引き戻されて、拒絶された媒体品目を保持するための特化した拒絶品入れ物に転送されうる。他の場合、拒絶された媒体品目はユーザーに返却されず、直接、拒絶品入れ物に送られる。既存の拒絶品入れ物には様々な欠点があり、本願発明は、その技術的解決策を開示する。
【0003】
以下の詳細な説明は、一例として示されており、本開示をそれのみに限定することを意図するものではないが、添付図面と併せて最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、従来の拒絶品入れ物および本開示による拒絶品入れ物を含む、現金自動預払機用の拡張可能な小切手処理モジュールの側面図である。
【
図2】
図2は、本開示による拒絶品入れ物の右側斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示による拒絶品入れ物の左側斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示による拒絶品入れ物の右側面図である。
【
図5】
図5は、本開示による拒絶品入れ物の内部分の側面斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示に従って、その中に挿入された媒体品目を示す、拒絶品入れ物の内部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示では、同様の参照番号は、本開示の様々な例示的な実施形態を示す図面中の同様の要素を指す。
【0006】
本開示は、コンパクトな空間体積内に、最小数の可動部品で、未分類の媒体品目(例えば、小切手または紙幣)を受け入れる、短辺方向拒絶品入れ物に関する。ATMの拒絶品入れ物の一般的構成は、拒絶された媒体品目(例えば、小切手)が区画の中に滑り落ちるのを確実にするため、および装置の必要な高さを減少させるために、水平から45度の角度で配向された、直方体形状の内部区画を有する入れ物である。直方体形状の内部区画のより長い寸法は、225mm(8.86インチ)の予想される最長の媒体品目を収容できなければならない。この構成は、
図1に示されており、従来の拒絶品入れ物110が、ATM用の拡張可能な小切手処理モジュール(SCPM)100中に示されている。従来的な拒絶品入れ物110の一つの欠点は、45度の配向が、SCPM100内のかなりの量の空間(
図1のボックス118によって示される)を必要とすることである。
図1のボックス118によって必要とされる領域は、18,550mm2であると測定された。従来的な拒絶品入れ物110の第二の欠点は、直方体形状の内部空洞114が、その上に、入ってくる媒体品目の一つの短い側が載る、固定された下側内部端112を有することである。これは、拒絶品入れ物110が拒絶された媒体品目で満たされると、入ってくる新たに拒絶された媒体品目の短辺の前縁が、以前に挿入された拒絶された媒体品目の後縁と衝突し、媒体の詰まりを引き起こす可能性があり、これは今度は媒体の詰まりが除去される間にATMを稼働停止にする可能性があることを意味する。これは、拒絶された媒体品目が良好な状態でない場合、例えば、しわまたは折り目がある場合に特に問題となる。この後者の場合、媒体品目は、例えば、折り畳まれることまたはカールすることによって変形する場合があり、これは、媒体の詰まりの可能性をさらに増大させる。
【0007】
ここで
図1を参照すると、比較目的のために、上述の従来の拒絶品入れ物110および本開示による拒絶品入れ物120の両方を含む、ATM用の拡張可能な小切手処理モジュール(SCPM)100が示されている。拒絶品入れ物120は、従来の拒絶品入れ物110と比較して、全体寸法が小さい。拒絶品入れ物120はまた、SCPM100などの媒体取り扱い装置のレイアウトにフィットしやすい外形を有し、それによって将来の強化のために貴重な内部空間を節約する。拒絶品入れ物120の領域は、ボックス125によって示されており、これは10,000mm2であると測定された。各拒絶品入れ物110、120の奥行きはほぼ同じであるため、拒絶品入れ物120に必要な内部体積が従来の拒絶品入れ物110よりも著しく小さいことが明らかである。
【0008】
図2および
図3の斜視図、ならびに
図4の側面図に示すように、本開示の拒絶品入れ物120は、流入チャネル132を介して、受け入れた連続する一連の媒体品目をローラー140、142に供給するための流入スロット130を有する。モーター300は、ギア152を駆動する出力軸158を有する。ギア152は、ギア154およびローラー142を駆動するベルト156に連結され、それらは共通の中央軸を介して互いに、およびギア154に連結される。ギア150は、ギア154とかみ合ってローラー140を駆動し、ローラーは共通の中央軸を介して互いに、およびギア154に連結される。モーター300、ギア152、およびベルト154は、ほとんどの媒体取り扱い装置が、ギア154(またはギア150)を駆動するために直接的または間接的に連結されうるモーターまたは他の駆動要素を含むため、任意である。ローラー140、142は、拒絶品入れ物120の中に供給される媒体品目に高い駆動力を提供するようにサイズ設定され、位置付けられていて、それぞれの拒絶された媒体品目を、排出チャネル134を介して拒絶品入れ物120の収納容器126の中に効果的に詰め込む。収納容器126は、外側の部分的に円筒形の壁160および内側円筒壁170によって形成された環状の貯蔵空洞180を有する。モーター300は、内側円筒壁170内に位置付けられている。環状貯蔵空洞180は、その中の媒体品目にアクセスするための開放側面124を有し、閉鎖側面122に接している。外壁160は、排出チャネル134へのアクセスのためのスロット164がそこにあるため、部分的に円筒形であり、その結果、受け入れられた各媒体品目は、排出チャネルによって環状貯蔵空洞180内に誘導される。外壁160は、環状貯蔵空洞180内の媒体品目へのアクセスおよび除去を容易にする切抜き部分190を随意に含む。外壁160の内面は、
図5および
図6に関して以下で論じるように、環状貯蔵空洞180内の媒体品目の詰まり防止を助ける、一連の(複数の)傾斜路状の突起200を含むことが好ましい。
【0009】
拒絶品入れ物120の貯蔵空洞180の環状形状は、新しい媒体品目がローラー140、142によって貯蔵空洞180の中に押し込まれるたびに、媒体品目が貯蔵空洞180内で自由に回転することを可能にし、致命的な流入詰まり(すなわち、サービスコールを必要とするか、またはそうでなくても拒絶品入れ物120に関連付けられた端末を稼働停止させるもの)の可能性を大幅に低減する。
図5に詳細に示される傾斜路状の突起200は、外壁160の内面162と媒体品目の外面積との間に作り出される摩擦を低減する。
図5は、外壁160の内面162の下部に沿って順次位置付けられた4つの傾斜路状の突起200を示す。こうした要素の数は減少してもよく、それでも媒体詰まりからの適切な保護を提供しうる。傾斜路状の突起200によって促進される摩擦の減少は
図6に示されており、第一の媒体品目410は貯蔵空洞180内にあり、第二の媒体品目420は貯蔵空洞180の中に挿入されている。媒体品目410と外壁160の内面162との間の摩擦は、媒体品目410の外面412(すなわち、外壁160の内面162に面している媒体品目410の表面)が、傾斜状の突起200によって内面162から離れて上に持ち上げられ、一部の場所では、傾斜路状の突起200の先端210にのみ接触するため、低減される。加えて、貯蔵空洞180の環状形状は、重力が、上部414を外壁の内面162から遠ざけた状態に保ち、媒体品目410と外壁の内面162との間の摩擦をさらに低減することを意味する。より多くの媒体品目が貯蔵空洞180に挿入されるにつれて、傾斜路状の突起200は、貯蔵空洞180内の全ての媒体品目の動きを促進して回転させ、それによって流入詰まりの可能性を著しく低減する。さらに、傾斜路状の突起は、挿入された媒体品目の後端(例えば、媒体品目410の端部416)が、外壁160の内面162の近くに落下することを確実にし、それによって、入ってくる媒体品目420の先端424のために道をあけて、流入詰まりからの追加レベルの保護を提供する。
【0010】
本開示は、好ましい実施形態およびその様々な態様を参照して特に示され、説明されてきたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得ることは、当業者によって理解されるであろう。添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載される実施形態、上述の代替案、およびそれら全ての等価物を含むものとして解釈されることが意図される。