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特開2023-181984圧力段階的な化学反応ならびに関連する方法、システム、装置および物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181984
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】圧力段階的な化学反応ならびに関連する方法、システム、装置および物品
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/03 20060101AFI20231218BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20231218BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231218BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20231218BHJP
   G01N 1/44 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B01J3/03 A
B01J3/04 D
G01N35/02 B
G01N1/10 F
G01N1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】38
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092908
(22)【出願日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】17/838,711
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508047875
【氏名又は名称】シーイーエム コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー アダム ザワツキー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン フランシス ギルメット
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エドワード ジェニングス
(72)【発明者】
【氏名】イアン スチュアート ゴールドスタイン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AD26
2G052AD46
2G052DA02
2G052DA12
2G052DA15
2G052DA25
2G052DA26
2G052EB11
2G052HC04
2G052HC17
2G052HC22
2G052HC25
2G052HC41
2G052JA16
2G058CC19
2G058GB10
(57)【要約】
【課題】圧力段階的な化学反応ならびに関連する方法、システム、装置および物品の提供。
【解決手段】容器内で行われる酸分解反応において、弾性蓋または隔壁は、フランジ付きバンドによって容器の口に取り付けられることができる。容器内で所定の圧力に達したとの決定に応答して、容器からの通気を開始するために、蓋または隔壁に加えられている閉塞力を減少させることができる。閉塞力を含む1つ以上のパラメータは、通気中に監視されることができ、閉塞力は、通気を最適化するように応答的に調整されることができる。閉塞力は、油圧システムを含んでも含まなくてもよいクランプ装置によって提供されることができる。クランプ装置は、油圧システム内の油圧の増大に応答して閉鎖力を増大させるように構成されることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器の口によって画定された開口部を塞ぐために、該口に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップアセンブリであって、該キャップアセンブリは、
バンドであって、
穴の周りに少なくとも部分的に延び該穴を画定する本体と、
該本体から下向きに延びる複数のラッチであって、弾性変形して反応容器の所定の部分に取り外し可能に係合することによって該バンドを該反応容器の口に取り外し可能に取り付けるように構成されている、複数のラッチと
を備える、バンドと、
該本体における該穴および該反応容器の該口の開口部の両方を同時に塞ぐように構成されている蓋と
を備え、
該複数のラッチは、少なくとも部分的に該反応容器の周りに、集合的に延びるように構成されている、キャップアセンブリ。
【請求項2】
前記蓋は、前記複数のラッチが集合的に前記蓋の周りに少なくとも部分的に延びるように、該複数のラッチの対向するラッチ間に画定されるギャップより小さい横方向寸法を有する、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項3】
前記蓋の前記横方向寸法は、該蓋の直径である、請求項2に記載のキャップアセンブリ。
【請求項4】
前記ギャップは、前記対向するラッチ間の第1のギャップであり、
前記蓋の前記横方向寸法は、該対向するラッチ間に画定される第2のギャップよりも大きい、請求項2に記載のキャップアセンブリ。
【請求項5】
前記第2のギャップは、前記対向するラッチの内方に延びるタブの間に画定されている、請求項4に記載のキャップアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のラッチのうちの少なくともいくつかのラッチのそれぞれについて、該ラッチは、前記反応容器の前記口の縁の下に解放可能に係合するように構成されている、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項7】
前記複数のラッチのうちの少なくともいくつかのラッチのそれぞれに対し、該ラッチは、前記バンドから間隔を置かれた、前記蓋の下に延びるタブを含み、
該蓋の縁部は、該タブに対して係合され、該タブによって支持されている、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項8】
前記複数の隣接するラッチのうちの隣接するラッチ間に開口が画定されている、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の隣接するラッチのうちの隣接するラッチ間にギャップが画定されている、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項10】
前記複数の隣接するラッチのうちの隣接するラッチ間に複数のギャップがそれぞれ画定されている、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項11】
前記蓋は隔壁を備えており、該隔壁は鉱酸に対して不活性なフルオロポリマーで少なくとも部分的に形成されたシートである、請求項1に記載のキャップアセンブリ。
【請求項12】
周囲温度を超える温度および周囲圧力を超える圧力で少なくとも部分的に実行される酸分解反応において圧力を制御し分析物を保存する方法であって、該方法は、
反応容器が酸およびサンプルを含む反応物を収容している間、該反応容器の密封された閉鎖構成を提供することであって、該密封された閉鎖構成の提供は、該反応容器の口に対して閉塞物を保持する閉鎖力を増大させることと、該閉鎖力が所定の閉鎖力に達したことを少なくとも1つの信号から決定することに応答して、該閉鎖力の増大を停止することとから構成されている、ことと、
該反応容器内の圧力が増大するように、密封された閉鎖構成中に該反応容器内の該反応物を加熱することと、
該反応容器内で所定の圧力に達したということを少なくとも1つの信号から決定することに応答して、該開口部から外側に通気することであって、該外側への通気は閉鎖力を減少させることから構成されている、ことと
を含む、方法。
【請求項13】
前記通気中に、少なくとも1つの信号から、前記反応容器内の圧力を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記通気中に、少なくとも1つの信号から、前記反応容器内の圧力の変化を決定することと、
所定の圧力変化から変動している該反応容器内の該決定された圧力変化に応答して前記閉鎖力を調整することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記閉塞物が弾性隔壁を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記反応容器内の前記所定の圧力は、該反応容器のヘッドスペース内のガス圧力である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記反応物の加熱は、マイクロ波エネルギーを前記反応物に向けることと、該マイクロ波エネルギーが前記反応容器の少なくとも1つの側壁を通過することとから構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記反応容器内で前記所定の圧力に達したとの決定に応答して前記加熱を停止することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記閉鎖力の増大はモータの動作に応答して油圧を増大させることから構成されており、
該閉鎖力の増大は該油圧の増大に応答している、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記通気は、本質的に、前記反応容器内のヘッドスペースからガスを外側に通気することからなる、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記閉鎖力の減少に応答して少なくとも1つの通気路が画定され、
該通気路の少なくとも一部は、前記閉塞物と前記反応容器の前記口との間に位置付けられたギャップによって画定される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記閉塞物は、少なくとも複数のラッチを介して前記反応容器の前記口に取り外し可能に取り付けられた可撓性隔壁を備えており、
前記通気路の一部は、該複数のラッチのラッチ間に延びている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記所定の閉鎖力は第1の閉鎖力であり、前記所定の圧力は第1の圧力であり、
前記方法は、前記通気の後、かつ該方法が実行される器具から前記反応容器を除去する前に、
該第1の閉鎖力よりも大きい第2の閉鎖力で該反応容器を密閉することと、
次いで、該第1の圧力よりも大きい前記反応容器内の第2の圧力に応答して、前記開口部から外側に通気することと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記密封された閉鎖構成は第1の密封された閉鎖構成であり、前記所定の閉鎖力は第1の所定の閉鎖力であり、前記所定の圧力は第1の所定の圧力であり、前記方法は、
前記反応容器が前記反応物の少なくとも一部を含有している間に、該反応容器の第2の密封された閉鎖構成を提供することであって、該第2の密封された閉鎖構成を提供することは、第2の所定の閉鎖力に達することを少なくとも1つの信号から決定するまで前記閉鎖力を増大させることから構成されており、該第2の所定の閉鎖力は該第1の所定の閉鎖力よりも大きい、ことと、
該反応容器内の圧力がさらに増大するように、該第2の密封された閉鎖構成中に該反応容器内の該反応物の少なくとも一部をさらに加熱することと、
該反応容器内で第2の所定の圧力に達したことを少なくとも1つの信号から決定することに応答して前記開口部から外側に通気することであって、該第2の所定の圧力は第1の所定の圧力よりも大きい、ことと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
分解反応を実行するためのシステムであって、該システムは、
反応容器を支持するように構成された支持体と、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に該反応容器の口に向かって閉鎖力を加えるように構成されているクランプ装置と、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に該反応容器の内容物を加熱するように構成されている加熱装置と、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に該反応容器のヘッドスペース内のガス圧力を示す信号を提供するように構成されている第1のセンサと、
該閉鎖力を示す信号を提供するように構成されている第2のセンサと、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に、入力に応答して、該クランプ装置を介して、該閉鎖力および該反応容器の開口部からの外側への通気を制御するように構成されているコンピュータであって、該入力は、該第1のセンサからの信号と該第2のセンサからの信号とを含む、コンピュータと
を備える、システム。
【請求項26】
前記クランプ装置は、前記支持体に向かって、および該支持体から遠ざかるように往復運動するように構成された係合部を備えており、前記システムは、
前記反応容器と、
該反応容器の口と該係合部との間にクランプされるように構成された弾性隔壁と
を備えている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
バンドを備えており、該バンドは、
穴の周りに少なくとも部分的に延び該穴を画定する本体と、
該本体から下向きに延びる複数のラッチであって、弾性変形して前記反応容器の所定の部分に取り外し可能に係合することによって該バンドおよび前記隔壁を該反応容器の前記口に取り外し可能に取り付けるように構成されている、複数のラッチと
を備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記クランプ装置は、油圧システムと、該油圧システム内の油圧を増大させるように動作されるように構成されたモータとを備えており、
該クランプ装置は、該油圧システム内の該油圧の増大に応答して前記閉鎖力を増大させるように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記支持体はレセプタクルを備えており、
該レセプタクルは、前記反応容器と向かい合って対面接触するように構成された円錐台状内面を備えており、
該円錐台状内面は、変動する直径を有しており、
該円錐台状内面の該直径は直立方向に増大する、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
分解反応を実行するシステムであって、該システムは、
反応容器を支持するように構成された支持体と、
エンゲージャを備えたクランプ装置であって、
該クランプ装置は、該反応容器が該支持体によって支持されている間に、該エンゲージャの下側と該反応容器の口との間のクロージャの少なくとも一部をクランプするように構成されており、
該エンゲージャの下側は、該エンゲージャの下向き突出部分の周りに少なくとも部分的に延びる上向き延在凹部を備えている、クランプ装置と、
力センサであって、該力センサは、該エンゲージャの下向き突出部分と協同的に関連付けられることによって、該クロージャの少なくとも一部分が該エンゲージャの下側と該反応容器の該口との間にクランプされている間に該反応容器内の圧力を示す信号を提供する、力センサと、
を備えており、
該上向き延在凹部は、該力センサからの信号の精度を向上させるように該クロージャの一部分の上向きの動きに適応するように構成されている、システム。
【請求項31】
前記上向き延在凹部は、前記力センサからの信号の精度を向上させるように前記クロージャの上向きの膨張に部分的に適応するように構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記エンゲージャは、係合装置の一部である柔軟な係合ウェブであり、
該係合装置は、前記反応容器が前記支持体によって支持されている間に該係合ウェブを該反応容器の前記口に向かって押し付けるように構成された裏当て構造をさらに備えており、
該裏当て構造は、該係合ウェブよりも剛性が高く、貫通穴を画定し、該貫通穴を通して、前記力センサは該係合ウェブの下向き突出部分と協同的に関連付けられることによって、該クロージャの前記部分が該係合ウェブの下側と該反応容器の該口との間にクランプされている間に該反応容器内の圧力を示す信号を提供する、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記クランプ装置は、油圧システムと、該油圧システム内の油圧を増大させるように動作されるように構成されたモータとを備えており、
該クランプ装置は、該油圧システム内の該油圧の増大に応答して前記閉鎖力を増大させるように構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記支持体はレセプタクルを備えており、
該レセプタクルは、前記反応容器と向かい合って対面接触するように構成された円錐台状内面を備えており、
該円錐台状内面は変動する直径を有しており、
該円錐台状内面の該直径は直立方向に増大する、請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
少なくとも部分的に化学反応を包含するように構成された反応容器であって、該反応容器は、
マイクロ波エネルギーを透過し、該反応容器の内部空間の周りに延びる少なくとも1つの側壁と、
該内部空間への上部開口部を画定する口と
を備えており、
該少なくとも1つの側壁の上部は、該反応容器の円錐台状外面を備えており、
該円錐台状外面は、変動する直径を有しており、
該円錐台状外面の該直径は、該反応容器の下端から該反応容器の該上部開口部に向かって延びる該反応容器の高さに沿った方向に増大する、反応容器。
【請求項36】
前記少なくとも1つの側壁の前記上部は、該少なくとも1つの側壁の下部よりも厚い、請求項35に記載の反応容器。
【請求項37】
前記少なくとも1つの側壁の下部は、前記反応容器の内面の下部から該反応容器の外面の下部まで延びる厚さを画定し、
該少なくとも1つの側壁の前記上部は、該反応容器の該内面の上部から該反応容器の前記円錐台状外面まで延びる、変動する厚さを有しており、
該少なくとも1つの側壁の該上部の厚さは、該少なくとも1つの側壁の該下部の厚さよりも大きく、
該少なくとも1つの側壁の該上部の厚さは、該反応容器の前記下端から該反応容器の前記上部開口部に向かって延びる該反応容器の高さに沿った方向に増大する、請求項35に記載の反応容器。
【請求項38】
前記少なくとも1つの側壁の前記上部は、前記円錐台状外面よりもさらに外側に延び、かつ該円錐台状外面の上に位置付けられる環状フランジを画定し、
前記口は、前記上部開口部の周りから前記内部空間に延びる環状の平らな上面を備えており、
前記反応容器は全体としてマイクロ波エネルギー透過性である、請求項35に記載の反応容器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
実験室装置を用いて促進される分解反応は、典型的には高温および高圧で行われる。このような分解反応は、高温高圧下でのサンプルと強力な酸との反応である場合がある。高温と強酸の組み合わせにより、サンプル内の化学結合の大部分、多くの場合はすべてが破壊され、サンプルの構成種、通常は元素を含む液体が生成される傾向がある。その後、液体を分析して、これらの元素の存在と量を調べることができる。
【0002】
マイクロ波システムは、分解反応プロセスを加速するためによく使用される。マイクロ波は通常、分解酸およびサンプル組成と直接相互作用するため、従来の熱源を使用した分解よりも迅速に分解を実行できる。
【0003】
分解はいくつかの異なる酸(例えば、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸、フッ化水素酸、過塩素酸など)を使用して行うことができるが、状況によっては硝酸が有利である。特に、硝酸は通常、多くの無機サンプルとの不溶性化合物の形成を回避する。他の酸(例えば硫酸や塩酸)は、分解反応中にそのような不溶性化合物を形成する可能性が高くなる。したがって、硝酸は、分析試験用に高品質のサンプルを生成するため、分解によく使用される。
【0004】
硝酸中で分解を行うためには、一部のサンプルは酸の大気圧沸点以上に加熱する必要がある。典型的な大気圧では、硝酸(例えば、典型的な硝酸溶液)は約120℃で沸騰するが、多くのサンプルは少なくとも約200℃に加熱しないと完全に分解せず、一部のサンプルは270~300℃の温度を必要とする。したがって、より高い温度に達するために、硝酸分解は加圧環境で実行されることが多く、通常は平方インチあたり数百ポンドの圧力に耐えることができる反応容器を使用する。
【0005】
このような圧力での壊滅的な故障を防ぐために、分解容器は、圧力解放機構を含むか、圧力解放機構と関連付けられることができる。このような圧力解放機構が、分解中に容器のヘッドスペースを通気することによって定期的に圧力を解放することが知られている。圧力を解放するときは、通常、分析物を一切排出しないように容器のヘッドスペース内のガスのみを通気することが望ましい。しかしながら、通気中の容器内の急激な圧力降下により、分析物の一部が容器から不都合に吐き出される可能性があり、および/または、他の不都合が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、反応容器の口によって画定された開口部を塞ぐために、該口に取り外し可能に取り付けられるように構成されたクロージャ(例えば、蓋、キャップ、キャップアセンブリ、隔壁など)を提供することであり、ここで、クロージャは、容器の閉鎖構成および通気構成の両方の提供において使用されることができ、クロージャは、以下でさらに説明されるように、通気構成中(例えば、典型的には容器から分析物を排出しない構成)に容器のヘッドスペースからガスのみが排出されることを確実にしようとして構成および動作されることができる。クロージャは、蓋(例えば、弾性隔壁)であるか、または該蓋を含むことができる。
【0007】
クロージャは、任意選択で、蓋を容器に取り外し可能に取り付けるように構成されたバンドまたは他の適切な構造をさらに含んでもよい。バンドは、穴の周りに少なくとも部分的に延びて該穴を画定する本体と、本体から下向きに延び、弾性変形して容器の所定の部分(例えば、フランジ)に解放可能に係合することによってバンドと蓋とを容器に取り外し可能に取り付けるように構成された複数のラッチ(例えば、少なくとも2つのラッチ)とを含むことができる。複数のラッチは、容器の周りに少なくとも部分的に、集合的に延びるように構成されることができる。一例において(例えば、任意選択で)、容器から外側に通気されるガスは、隣接するラッチ間にそれぞれ画定された1つ以上の開口部を通過することができる。
【0008】
本開示の別の態様は、高温および高圧で行われる酸分解反応において圧力を制御し、分析物を保存するための方法を提供することである。該方法は、反応容器が酸およびサンプルを含む反応物を収容している間に、反応容器の密封された閉鎖構成を提供することを含むことができる。密封された閉鎖構成を提供することは、反応容器の口に対して閉塞物(例えば、蓋または弾性隔壁)を保持する閉鎖(例えば、クランプ)力を増大させることと、閉鎖力が所定の閉鎖力に達したことを少なくとも1つの信号から決定することに応答して、該閉鎖力の増大を停止することを含むことができる。反応容器内の反応物は、密封された閉鎖構成中に(例えばマイクロ波によって)加熱されることができ、それによって反応容器内の圧力が増大する。反応容器内で所定の圧力に達したとの決定に応答して、閉鎖力を減少させて、反応容器からの外側への通気を開始することができる。通気中、反応容器内の圧力は監視されることができ、(例えば、典型的には反応容器からのいかなる分析物をも排出せずに)反応容器のヘッドスペースからのガスのみが通気されることを確実にしようとして、閉鎖力が調整されることができる。
【0009】
本開示のさらなる態様は、分解反応を実行するためのシステムを提供することである。該システムは、反応容器を支持するように構成された支持体と、反応容器が支持体によって支持されている間に反応容器の口に向かって閉鎖力を加えるように構成されている、クランプ装置と、反応容器が支持体によって支持されている間に反応容器の内容物を(例えば、マイクロ波によって)加熱するように構成されている加熱装置と、反応容器が支持体によって支持されている間に反応容器のヘッドスペース内のガス圧力を示す信号を提供するように構成されている第1のセンサと、閉鎖力を示す信号を提供するように構成されている第2のセンサと、反応容器が支持体によって支持されている間に、入力に応答して、クランプ装置を介して、閉鎖力および反応容器の開口部からの外側への通気を制御するように構成されているコンピュータとを含むことができる。入力は、該第1のセンサからの信号および該第2のセンサからの信号のうちの1つ以上を含むことができる。
【0010】
一例として、クランプ装置は、油圧システムと、油圧システム内の油圧を増大させるように動作されるように構成されたアクチュエータ(例えば、モータ)とを含むことができる。クランプ装置は、油圧システム内の油圧の増大に応答して閉鎖力を増大させるように構成されることができる。あるいは、油圧機構はクランプ装置から省略されてもよい。
【0011】
クランプ装置はエンゲージャを含むことができ、クランプ装置はエンゲージャの下側と反応容器の口との間のクロージャ(例えば弾性隔壁)の少なくとも一部分をクランプするように構成されることができる。エンゲージャの下側は、エンゲージャの下向き突出部分の周りに少なくとも部分的に延びる上向き延在凹部を含むことができる。上向き延在凹部は、第1のセンサからの信号の精度を向上させようとしてクロージャの一部分の上向きの動きに適応するように構成されることができる。
【0012】
本開示の別の態様によれば、反応容器を支持するように構成された支持体は、反応容器の対応する円錐台状外面と係合するように構成された円錐台状表面を含むことができる。
【0013】
上記の概要は、いくつかの簡単な例を提供するものであり、網羅的なものではなく、本発明は上記の例に限定されない。前述の例および他の例については、添付図面を参照して以下の詳細な説明でさらに説明される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
反応容器の口によって画定された開口部を塞ぐために、該口に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップアセンブリであって、該キャップアセンブリは、
バンドであって、
穴の周りに少なくとも部分的に延び該穴を画定する本体と、
該本体から下向きに延びる複数のラッチであって、弾性変形して反応容器の所定の部分に取り外し可能に係合することによって該バンドを該反応容器の口に取り外し可能に取り付けるように構成されている、複数のラッチと
を備える、バンドと、
該本体における該穴および該反応容器の該口の開口部の両方を同時に塞ぐように構成されている蓋と
を備え、
該複数のラッチは、少なくとも部分的に該反応容器の周りに、集合的に延びるように構成されている、キャップアセンブリ。
(項目2)
上記蓋は、上記複数のラッチが集合的に上記蓋の周りに少なくとも部分的に延びるように、該複数のラッチの対向するラッチ間に画定されるギャップより小さい横方向寸法を有する、上記項目に記載のキャップアセンブリ。
(項目3)
上記蓋の上記横方向寸法は、該蓋の直径である、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目4)
上記ギャップは、上記対向するラッチ間の第1のギャップであり、
上記蓋の上記横方向寸法は、該対向するラッチ間に画定される第2のギャップよりも大きい、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目5)
上記第2のギャップは、上記対向するラッチの内方に延びるタブの間に画定されている、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目6)
上記複数のラッチのうちの少なくともいくつかのラッチのそれぞれについて、該ラッチは、上記反応容器の上記口の縁の下に解放可能に係合するように構成されている、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目7)
上記複数のラッチのうちの少なくともいくつかのラッチのそれぞれに対し、該ラッチは、上記バンドから間隔を置かれた、上記蓋の下に延びるタブを含み、
該蓋の縁部は、該タブに対して係合され、該タブによって支持されている、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目8)
上記複数の隣接するラッチのうちの隣接するラッチ間に開口が画定されている、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目9)
上記複数の隣接するラッチのうちの隣接するラッチ間にギャップが画定されている、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目10)
上記複数の隣接するラッチのうちの隣接するラッチ間に複数のギャップがそれぞれ画定されている、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目11)
上記蓋は隔壁を備えており、該隔壁は鉱酸に対して不活性なフルオロポリマーで少なくとも部分的に形成されたシートである、上記項目のいずれか1項に記載のキャップアセンブリ。
(項目12)
周囲温度を超える温度および周囲圧力を超える圧力で少なくとも部分的に実行される酸分解反応において圧力を制御し分析物を保存する方法であって、該方法は、
反応容器が酸およびサンプルを含む反応物を収容している間、該反応容器の密封された閉鎖構成を提供することであって、該密封された閉鎖構成の提供は、該反応容器の口に対して閉塞物を保持する閉鎖力を増大させることと、該閉鎖力が所定の閉鎖力に達したことを少なくとも1つの信号から決定することに応答して、該閉鎖力の増大を停止することとから構成されている、ことと、
該反応容器内の圧力が増大するように、密封された閉鎖構成中に該反応容器内の該反応物を加熱することと、
該反応容器内で所定の圧力に達したということを少なくとも1つの信号から決定することに応答して、該開口部から外側に通気することであって、該外側への通気は閉鎖力を減少させることから構成されている、ことと
を含む、方法。
(項目13)
上記通気中に、少なくとも1つの信号から、上記反応容器内の圧力を決定することを含む、上記項目に記載の方法。
(項目14)
上記通気中に、少なくとも1つの信号から、上記反応容器内の圧力の変化を決定することと、
所定の圧力変化から変動している該反応容器内の該決定された圧力変化に応答して上記閉鎖力を調整することと
を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
上記閉塞物が弾性隔壁を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
上記反応容器内の上記所定の圧力は、該反応容器のヘッドスペース内のガス圧力である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
上記反応物の加熱は、マイクロ波エネルギーを上記反応物に向けることと、該マイクロ波エネルギーが上記反応容器の少なくとも1つの側壁を通過することとから構成される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
上記反応容器内で上記所定の圧力に達したとの決定に応答して上記加熱を停止することを含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
上記閉鎖力の増大はモータの動作に応答して油圧を増大させることから構成されており、
該閉鎖力の増大は該油圧の増大に応答している、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
上記通気は、本質的に、上記反応容器内のヘッドスペースからガスを外側に通気することからなる、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
上記閉鎖力の減少に応答して少なくとも1つの通気路が画定され、
該通気路の少なくとも一部は、上記閉塞物と上記反応容器の上記口との間に位置付けられたギャップによって画定される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
上記閉塞物は、少なくとも複数のラッチを介して上記反応容器の上記口に取り外し可能に取り付けられた可撓性隔壁を備えており、
上記通気路の一部は、該複数のラッチのラッチ間に延びている、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
上記所定の閉鎖力は第1の閉鎖力であり、上記所定の圧力は第1の圧力であり、
上記方法は、上記通気の後、かつ該方法が実行される器具から上記反応容器を除去する前に、
該第1の閉鎖力よりも大きい第2の閉鎖力で該反応容器を密閉することと、
次いで、該第1の圧力よりも大きい上記反応容器内の第2の圧力に応答して、上記開口部から外側に通気することと
をさらに含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
上記密封された閉鎖構成は第1の密封された閉鎖構成であり、上記所定の閉鎖力は第1の所定の閉鎖力であり、上記所定の圧力は第1の所定の圧力であり、上記方法は、
上記反応容器が上記反応物の少なくとも一部を含有している間に、該反応容器の第2の密封された閉鎖構成を提供することであって、該第2の密封された閉鎖構成を提供することは、第2の所定の閉鎖力に達することを少なくとも1つの信号から決定するまで上記閉鎖力を増大させることから構成されており、該第2の所定の閉鎖力は該第1の所定の閉鎖力よりも大きい、ことと、
該反応容器内の圧力がさらに増大するように、該第2の密封された閉鎖構成中に該反応容器内の該反応物の少なくとも一部をさらに加熱することと、
該反応容器内で第2の所定の圧力に達したことを少なくとも1つの信号から決定することに応答して上記開口部から外側に通気することであって、該第2の所定の圧力は第1の所定の圧力よりも大きい、ことと
をさらに含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
分解反応を実行するためのシステムであって、該システムは、
反応容器を支持するように構成された支持体と、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に該反応容器の口に向かって閉鎖力を加えるように構成されているクランプ装置と、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に該反応容器の内容物を加熱するように構成されている加熱装置と、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に該反応容器のヘッドスペース内のガス圧力を示す信号を提供するように構成されている第1のセンサと、
該閉鎖力を示す信号を提供するように構成されている第2のセンサと、
該反応容器が該支持体によって支持されている間に、入力に応答して、該クランプ装置を介して、該閉鎖力および該反応容器の開口部からの外側への通気を制御するように構成されているコンピュータであって、該入力は、該第1のセンサからの信号と該第2のセンサからの信号とを含む、コンピュータと
を備える、システム。
(項目26)
上記クランプ装置は、上記支持体に向かって、および該支持体から遠ざかるように往復運動するように構成された係合部を備えており、上記システムは、
上記反応容器と、
該反応容器の口と該係合部との間にクランプされるように構成された弾性隔壁と
を備えている、上記項目に記載のシステム。
(項目27)
バンドを備えており、該バンドは、
穴の周りに少なくとも部分的に延び該穴を画定する本体と、
該本体から下向きに延びる複数のラッチであって、弾性変形して上記反応容器の所定の部分に取り外し可能に係合することによって該バンドおよび上記隔壁を該反応容器の上記口に取り外し可能に取り付けるように構成されている、複数のラッチと
を備える、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
(項目28)
上記クランプ装置は、油圧システムと、該油圧システム内の油圧を増大させるように動作されるように構成されたモータとを備えており、
該クランプ装置は、該油圧システム内の該油圧の増大に応答して上記閉鎖力を増大させるように構成されている、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
(項目29)
上記支持体はレセプタクルを備えており、
該レセプタクルは、上記反応容器と向かい合って対面接触するように構成された円錐台状内面を備えており、
該円錐台状内面は、変動する直径を有しており、
該円錐台状内面の該直径は直立方向に増大する、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
(項目30)
分解反応を実行するシステムであって、該システムは、
反応容器を支持するように構成された支持体と、
エンゲージャを備えたクランプ装置であって、
該クランプ装置は、該反応容器が該支持体によって支持されている間に、該エンゲージャの下側と該反応容器の口との間のクロージャの少なくとも一部をクランプするように構成されており、
該エンゲージャの下側は、該エンゲージャの下向き突出部分の周りに少なくとも部分的に延びる上向き延在凹部を備えている、クランプ装置と、
力センサであって、該力センサは、該エンゲージャの下向き突出部分と協同的に関連付けられることによって、該クロージャの少なくとも一部分が該エンゲージャの下側と該反応容器の該口との間にクランプされている間に該反応容器内の圧力を示す信号を提供する、力センサと、
を備えており、
該上向き延在凹部は、該力センサからの信号の精度を向上させるように該クロージャの一部分の上向きの動きに適応するように構成されている、システム。
(項目31)
上記上向き延在凹部は、上記力センサからの信号の精度を向上させるように上記クロージャの上向きの膨張に部分的に適応するように構成されている、上記項目に記載のシステム。
(項目32)
上記エンゲージャは、係合装置の一部である柔軟な係合ウェブであり、
該係合装置は、上記反応容器が上記支持体によって支持されている間に該係合ウェブを該反応容器の上記口に向かって押し付けるように構成された裏当て構造をさらに備えており、
該裏当て構造は、該係合ウェブよりも剛性が高く、貫通穴を画定し、該貫通穴を通して、上記力センサは該係合ウェブの下向き突出部分と協同的に関連付けられることによって、該クロージャの上記部分が該係合ウェブの下側と該反応容器の該口との間にクランプされている間に該反応容器内の圧力を示す信号を提供する、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
(項目33)
上記クランプ装置は、油圧システムと、該油圧システム内の油圧を増大させるように動作されるように構成されたモータとを備えており、
該クランプ装置は、該油圧システム内の該油圧の増大に応答して上記閉鎖力を増大させるように構成されている、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
(項目34)
上記支持体はレセプタクルを備えており、
該レセプタクルは、上記反応容器と向かい合って対面接触するように構成された円錐台状内面を備えており、
該円錐台状内面は変動する直径を有しており、
該円錐台状内面の該直径は直立方向に増大する、上記項目のいずれか1項に記載のシステム。
(項目35)
少なくとも部分的に化学反応を包含するように構成された反応容器であって、該反応容器は、
マイクロ波エネルギーを透過し、該反応容器の内部空間の周りに延びる少なくとも1つの側壁と、
該内部空間への上部開口部を画定する口と
を備えており、
該少なくとも1つの側壁の上部は、該反応容器の円錐台状外面を備えており、
該円錐台状外面は、変動する直径を有しており、
該円錐台状外面の該直径は、該反応容器の下端から該反応容器の該上部開口部に向かって延びる該反応容器の高さに沿った方向に増大する、反応容器。
(項目36)
上記少なくとも1つの側壁の上記上部は、該少なくとも1つの側壁の下部よりも厚い、上記項目に記載の反応容器。
(項目37)
上記少なくとも1つの側壁の下部は、上記反応容器の内面の下部から該反応容器の外面の下部まで延びる厚さを画定し、
該少なくとも1つの側壁の上記上部は、該反応容器の該内面の上部から該反応容器の上記円錐台状外面まで延びる、変動する厚さを有しており、
該少なくとも1つの側壁の該上部の厚さは、該少なくとも1つの側壁の該下部の厚さよりも大きく、
該少なくとも1つの側壁の該上部の厚さは、該反応容器の上記下端から該反応容器の上記上部開口部に向かって延びる該反応容器の高さに沿った方向に増大する、上記項目のいずれか1項に記載の反応容器。
(項目38)
上記少なくとも1つの側壁の上記上部は、上記円錐台状外面よりもさらに外側に延び、かつ該円錐台状外面の上に位置付けられる環状フランジを画定し、
上記口は、上記上部開口部の周りから上記内部空間に延びる環状の平らな上面を備えており、
上記反応容器は全体としてマイクロ波エネルギー透過性である、上記項目のいずれか1項に記載の反応容器。
(摘要)
容器内で行われる酸分解反応において、弾性蓋または隔壁は、フランジ付きバンドによって容器の口に取り付けられることができる。容器内で所定の圧力に達したとの決定に応答して、容器からの通気を開始するために、蓋または隔壁に加えられている閉塞力を減少させることができる。閉塞力を含む1つ以上のパラメータは、通気中に監視されることができ、閉塞力は、通気を最適化するように応答的に調整されることができる。閉塞力は、油圧システムを含んでも含まなくてもよいクランプ装置によって提供されることができる。クランプ装置は、油圧システム内の油圧の増大に応答して閉鎖力を増大させるように構成されることができる。クランプ装置は、エンゲージャの下向きに突出した部分の周りに少なくとも部分的に延びる上向きに延びる凹部を有するエンゲージャを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は例として提供される。本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、図面に示された例に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0015】
図1図1は、本開示の一実施形態による、圧力段階的な分解反応を促進するために用いられるシステムの高レベル図である。
【0016】
図2図2は、図1のシステムの反応容器の上面絵画図である。
【0017】
図3図3は、図2の容器の底面絵画図である。
【0018】
図4図4は、図2の容器の上部の正面、背面、右側、および左側の立面図をそれぞれ表す。
【0019】
図5図5は、本開示の一実施形態による、図2の容器の上端に取り付けられるように構成されたクロージャまたはキャップアセンブリのバンドの上面絵画図である。
【0020】
図6図6は、図5のバンドの底面絵画図である。
【0021】
図7図7は、直立した、取り付けられていない構成にあるキャップアセンブリの正面、背面、右側、および左側の立面図のそれぞれを表す。
【0022】
図8図8は、逆さにされ、取り付けられていない構成にあるキャップアセンブリの正面、背面、右側、および左側の立面図のそれぞれを表す。
【0023】
図9図9は、容器の上部に取り付けられたキャップアセンブリの上面絵画図である。
【0024】
図10図10は、容器の上部に取り付けられたキャップアセンブリの底面絵画図である。
【0025】
図11図11は、本開示の一実施形態による、図1のシステムを含む器具の一部の概略上面図である。
【0026】
図12図12は、図11の器具の一部の絵画的断面図であり、該断面は図11の線12-12に実質的に沿って取られている。
【0027】
図13図13は、本開示の一実施形態による、プランジャ装置が低い位置にあることを除いて、図12と同様である。
【0028】
図14図14は、図11の線14-14に実質的に沿って取られた、図11の器具の一部の断面図である。
【0029】
図15図15は、図14と同様の絵画図である。
【0030】
図16図16は、図11の線16-16に実質的に沿って取られた、図11の器具の一部の概略断面図である。
【0031】
図17図17は、図13の線17-17に実質的に沿って取られた、図11の器具の一部の断面図である。
【0032】
図18図18は、図13と同様である。
【0033】
図19図19は、図13と同様であり、容器内の圧力によってキャップアセンブリの一部分が外側に膨らみ、上向きの力が加えられることを概略的に示す。
【0034】
図20図20は、図13と同様であり、通気構成にあるプランジャ装置/キャップアセンブリ、および容器から外側への通気(例えば、通気用ギャップは説明のために誇張されている)を概略的に示す。
【0035】
図21図21は、プランジャ、係合装置、および器具の関連するハウジングの一部の部品の分解図である。
【0036】
図22図22は、本開示の一実施形態による、定期的な通気を伴う例示的な圧力段階的な化学反応の動作パラメータを示すチャートである。
【0037】
図23図23は、本開示の一実施形態による、図11の器具のコントローラによって少なくとも部分的に実行されることができる方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施形態の例を以下に開示する。図面は実施形態の一例を示す。換言すれば、図面を参照して実施形態の一例が記載される。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、1つの実施形態または例の一部として開示された特徴は、別の実施形態または例の文脈で使用されることにより、さらなる実施形態または例を生み出すことができる。本開示の広さの別の例として、以下でより詳細に説明されるように、「実質的に」、「約」、「およそ」などの1つ以上の用語が、本開示の詳細な説明セクションの形容詞および副詞のそれぞれを修飾することは、本開示の範囲内である。
【0039】
図1は、本開示の一実施形態による、例えば圧力段階的な化学反応(例えば分解反応)を促進するように構成されたシステム10を概略的に示す。システム10は、最初に高レベルで以下に説明され、より詳細な説明が最初の概要に続いて行われる。
【0040】
図1に示される例において、システム10は、化学反応を収容するように構成された反応容器12と、反応容器の上部開口部を塞ぐ圧力応答性閉塞物またはクロージャ14(例えば、キャップアセンブリ)とを含む。クロージャ14は、反応容器12に取り外し可能に取り付けられることができ、例えば、以下でさらに説明されるように、反応容器を完全に閉じたり(例えば、クランプまたは閉鎖構成)、および反応容器を部分的に開いたり(例えば、通気構成)と、その両方に動作されることができる。閉鎖構成と通気構成との間で移行するためのクロージャ14の動作は、クロージャ14と反応容器12との間に様々な力(例えば、閉鎖力、クランプ力、または密封力)を提供するように構成された閉鎖装置またはクランプ装置によって制御されることができる。図示の実施形態において、システム10は、(i)閉鎖(例えば、クランプ)力および1つ以上の他の要因(例えば、容器12の内容物の加熱)が所定の方法で制御されることにより、少なくとも部分的に圧力段階的な化学反応(例えば、分解反応)を容器12内に提供できるように、(ii)圧力段階的な化学反応が、一連の閉鎖(例えば、気密封止された)構成と通気構成とを交互に含み、フィードバック(例えば、「閉鎖力フィードバック」)が、通気構成中に(例えば、典型的には反応容器から分析物を全く排出せずに)容器のヘッドスペースからガスのみが排出されることを確実にしようとして利用されるように、構成され、これは、以下でさらに説明される。
【0041】
容器12の内容物は、図1において水平の破線によって概略的に表されている。容器12内の内容物または組成物が分解反応用である場合、組成物は、少なくとも1つの分析物含有サンプルおよび少なくとも1つの濃縮鉱酸を含むことができる。状況によっては、ロバストな抽出が目標であり、組成物はサンプルと有機溶媒を含み得る。容器12内の分解反応を強化または促進するために、容器の内容物(例えば、硝酸などの攻撃的な酸を含むサンプル)は、任意の適切な方法で(例えば、容器壁を通る熱伝導、容器壁を通過して容器の内容物に吸収される放射線、および/または誘電加熱によって)加熱されることができる。図示の実施形態において、容器12はマイクロ波透過性であり、容器内の内容物は、少なくとも1つのマイクロ波放射源15(例えば、マグネトロン)からのマイクロ波を吸収することによって加熱される。
【0042】
クランプ装置は、少なくとも1つのアクチュエータ16(例えば、電気モータ)と、アクチュエータ16とクロージャ14との間に配置された1つ以上のリンケージ18、20、22とを含むことができる。システム10は、1つ以上のセンサ24、26、28と、例えばアクチュエータ16および/またはリンケージ18、20、22と協同的に構成された少なくとも1つのコントローラ30(例えばコンピュータ)とを含むことによって、閉鎖(例えばクランプ)力のフィードバックを提供することができ、これは、以下でさらに説明される。コントローラ30、マイクロ波源15、アクチュエータ16、およびセンサ24、26、28の間の通信経路は、以下でさらに説明されるように、図1に破線で概略的に示されている。
【0043】
コントローラ30は、容器内容物の加熱中および容器からの通気前に、クランプ装置がクロージャ14に対して十分な下向きの閉鎖力を提供することができて容器が閉鎖構成で気密封止されるように、クランプ装置を応答的に動作させるように構成されている。対照的に、通気プロセス中(たとえば、通気プロセス全体を通して)、クランプ装置によってクロージャ14に対して加えられる閉鎖力またはクランプ力は、(例えば、典型的には反応容器から分析物を全く排出せずに)容器のヘッドスペース内のガスのみが排出されることを確実にしようとして容器12内の圧力によってクロージャに対して加えられる上向きの開放力に、より厳密に一致する(例えば、わずかに小さい)ことができ、これは、以下でさらに説明される。コントローラ30は、各通気プロセスまたはサイクルを通じて、クランプ装置によって加えられる閉鎖力が、(例えば、典型的には反応容器から分析物を全く排出せずに)容器のヘッドスペース内のガスが単独で排出されることを確実にしようとして容器12内の圧力によってクロージャに加えられる減少する上向きの開放力に対して比例して減少するように調整されることができるように、構成されることができ、これは、以下でさらに説明される。
【0044】
以下にさらに説明されるように、クロージャ14の少なくとも一部分に閉鎖力またはクランプ力を提供するように構成された様々な異なるタイプのクランプ装置が本開示の範囲内である。図1に示される実施形態において、中間リンケージ20は、機械-油圧コンバータ32(例えば、油圧駆動装置)および油圧-機械コンバータ34(例えば、油圧アクチュエータ)のそれぞれの少なくとも1つの間で流体連通する少なくとも1つの油圧通路31を含む油圧システムまたは回路である。コンバータ32、34は、それぞれマスタシリンダ32およびスレーブシリンダ34として構成され得、および/またはマスタシリンダ32およびスレーブシリンダ34と呼ばれ得る。とは言え、コンバータ32、34はマスタシリンダおよびスレーブシリンダに限定されない。例えば、本開示の代替実施形態において、機械-油圧コンバータ32は油圧ポンプであり得ると考えられる。
【0045】
マスタシリンダ32などは、油圧通路31と流体連通するマスタチャンバ38(例えば、シリンダまたは環状スリーブ)内で往復運動するように取り付けられたマスタ変位部材36(例えば、ピストンまたは他の適切な構造)によって少なくとも部分的に画定される可変油圧容積を画定することができる。同様に、スレーブシリンダ32(例えば、応答シリンダ)などは、油圧通路31と流体連通するスレーブチャンバ40(例えば、シリンダまたは環状スリーブ)内で往復運動するように取り付けられたスレーブ変位部材40(例えば、ピストンまたは他の適切な構造)によって少なくとも部分的に画定される可変油圧容積を画定することができる。
【0046】
油圧回路20の油圧流体は、図1において点描により模式的に表されている。当業者は、マスタ変位部材36によって油圧流体に対して加えられる圧力が、油圧回路20内のどこにでも同様に加えられることを理解するであろう。油圧流体の圧力(したがって、間接的に閉鎖力)を示す信号を提供するように構成された油圧センサ24(例えば、ロードセル)は、油圧通路の内部への開口部を閉じるように取り付けられることができ、または、油圧センサを任意の他の適切な方法で油圧回路20に関連付けさせることができる。圧力センサ24によって提供される油圧の測定値は、クロージャ14に加えられている有効な密封力または閉鎖力を(例えば、コントローラ30によって)計算するために使用されることができる。この閉鎖力データは、以下でさらに説明されるように、反応容器12内の圧力に基づいて容器12を動的に密封/通気するのを助けるために(例えば、コントローラ30によって)使用される力フィードバックデータと呼ぶことができる。あるいは、閉鎖力を示す信号は、下流リンケージ22のそれぞれの機械部品に関連付けられた力センサー(例えば、ロードセル)によって提供されることもできる。
【0047】
下流リンケージ22は、スレーブ変位部材40から反応容器12上のクロージャ14に線形の下向き力を伝達するように構成された機械的リンケージであり得る。力センサ26は、下流リンケージ22と関連付けられ(例えば、担持され)、クロージャ14の可動(例えば、可撓性)部分と動作可能に関連付けられることによって、以下にさらに説明されるように、反応容器12内の圧力を示す信号を提供することができる。以下にさらに説明されるように、温度センサ28は、反応容器12と関連付けられることにより、反応容器12内の温度を示す信号を提供することができる(例えば、反応容器は赤外線温度センサの視野内にあることができる)。
【0048】
図示された実施形態において、油圧センサ24は、油圧流体の圧力を示す信号を提供することができ、これらの信号は、以下でさらに説明されるように、閉鎖力フィードバックの提供の一部としてコントローラ30に供給(例えば、フィードバック)されることができる。非油圧式の実施形態において、他の構造および方法が閉鎖力フィードバックの提供に関連付けられ得る。例えば、閉鎖力は親ねじを含む純粋に機械的な構造によって提供され得、ここで、閉鎖力を示す信号は、以下でさらに説明されるように、それぞれの機械コンポーネントに関連付けられたひずみセンサによって提供されることができると考えられる。
【0049】
図2~4は、例示的な容器12を示す。容器12は、容器の上向きに開いた内部空間の周りに延びる少なくとも1つの側壁44を含むことができる。容器側壁44の下部は円筒形であり、逆さの球形キャップのような形状の容器12の閉じた下端から上向きに延びることができる。容器側壁44の内面部分46は、容器上部開口部48から下向きに延びることができる。容器内面部分46は、上部開口部48から容器下端の上向きに凹状の内面まで円筒形とすることができる。
【0050】
容器側壁44の上部分の環状外表面は、反応容器12の高さに沿った方向に先細りになることによって、容器12の円錐台状外面50を画定することができる。円錐台面50と容器下端との間に延びる容器側壁44の外面は円筒形とすることができる。したがって、円錐台面50を画定する容器側壁44の上部分は、容器側壁44の下部分の厚さよりも大きい厚さを画定する。円錐台状外面50の横方向の寸法または直径は、容器12の高さに沿って直立方向に増大する。
【0051】
容器側壁44の上端は、外側に突出する環状フランジ52を画定することができ、および/または、容器12の上端は、環状フランジ52を含むことができる。図4を参照すると、容器フランジ52は、環状の面取りされた上部外面54と下部外面55との間に環状(例えば、円筒形)の中間外面53を含むことができる。容器の上端は、フランジ上面54の内縁から内方に延在し、容器開口部48と同軸である、環状の平坦な頂部座面56の形態とすることができる。開口部48は、フランジ52および座面56とともに、容器の口と呼ばれ得る。容器12は、典型的には、マイクロ波エネルギーを透過する耐久性のある材料(例えば、石英、ガラス、および/または適切な高性能ポリマー材料)で構成される。一例として、円錐台面50の下の容器12の部分は、従来の試験管の下部分のようなもの、および/または他の任意の適切な形状とすることができる。
【0052】
図5および6は、容器の口48、52、56(図2~4)にスナップ嵌めされるように構成されたクロージャ14(図7および8)の例示的なバンド57を示す。図7および図8を参照すると、クロージャ14は、容器開口部48(図2)を塞ぐために使用される蓋58(例えば、隔壁または他の適切な障害物)を含むキャップアセンブリであり得る。バンド57は、以下でさらに説明されるように、蓋58を容器開口部48の上に解放可能に保持するように構成されることができる。
【0053】
図5および図6を参照すると、バンド57は、バンドの環状(例えば円筒形)スリーブ60の上端から内方に延びる環状フランジ59と、スリーブの下端から下向きに延びる一連の可撓性ラッチ61とを含むことができる。バンドフランジ59の内縁は、バンドの頂部の上部貫通孔62の周りに延び、該上部貫通孔62を画定する。一連の可撓性ラッチ61は、複数のラッチ(例えば、2つのラッチ、3つのラッチ、4つのラッチ、および/または4つを超えるラッチ)と呼ばれ得る。
【0054】
バンドスリーブ60およびバンドラッチ61の上部分63は、バンドフランジ59から、および/またはバンドフランジ59に対して垂直に延びることができる。バンドラッチ61の自由下端部分は、内向き/斜めに延びるタブ64の形態とすることができる。隣接するバンドラッチ61間の開口部、スペース、またはギャップは、バンドスロット65と呼ばれ得る。バンドスロット65のうちの1つ以上、あるいはおそらくはそれぞれが省略され得、および/または他の特徴で置き換えられ得る。別の例として、バンドスロット65のうちの1つ以上、あるいはおそらくはそれぞれが、バンドフランジ59まで延び得、および/または異なる形状(例えば、長方形ではないスリットおよび/または開口部として)であり得る。一連のバンド開口部またはスロット65は、複数の開口部またはスロット(例えば、2つの開口部またはスロット、3つの開口部またはスロット、4つの開口部またはスロット、および/または4つを超える開口部またはスロット)と呼ばれ得る。図5~7に示される配向において、バンド開口部またはスロット65の1つ以上、またはそれぞれ(例えば、2つの開口部またはスロット、3つの開口部またはスロット、4つの開口部またはスロット、および/または4つを超える開口部またはスロット)は、下向きに開くことができ、従って、バンドスリーブ60の下端まで延びることができる。
【0055】
図7を参照すると、蓋58は、ディスク形状の単層シートまたは多層シートであり得る。蓋58は、バンドスリーブ60の横方向寸法または内径よりわずかに小さく、かつ、対向するラッチタブ64の間に画定される横方向寸法よりも大きい横方向寸法または直径を有することができ、その結果、蓋の周縁部または外側縁部が、キャップアセンブリ14が直立しているとき、ラッチタブ64の内面の上部分に係合して支持される。図8を参照すると、バンド穴62は、蓋58の横方向寸法または直径よりも小さい横方向寸法または直径を有することができ、そのため、キャップアセンブリ14が逆さまになったときに、蓋がバンドフランジ59に係合してバンドフランジ59上に載置される。図8は、蓋58が見えず、破線で概略的に描かれているため、概略的である。
【0056】
蓋58は、繰り返し膨張するための十分な構成と弾性モジュールを有する耐久性のある(例えば、酸および高温に耐性のある)材料で形成され、それによって(容器12内の圧力を示す)力を力センサ26に向けて合理的に正確に加える、隔壁と呼ばれることができる(図1)。蓋58は、弾性(例えば、可撓性)材料、例えば高分子材料、より具体的には、限定されることなく、フルオロカーボン固体(例えば、ポリテトラフルオロエチレンまたはPTFE、一般にテフロン(登録商標)として知られる)などの熱可塑性高分子材料のディスク状シートの形態とすることができる。蓋58は、約0.030インチの厚さを有するポリテトラフルオロエチレンのシート(例えば、押出成形またはその他の適切に形成されたシート)から切断(例えば、ダイカットまたはレーザーカット)されることができ、その結果、蓋の厚さが約0.030インチになると考えられ、ポリテトラフルオロエチレンは、1つ以上の適切なフィラーを含む場合もあり、含まない場合もある。ポリテトラフルオロエチレンを含む(例えば、少なくとも部分的に形成される、または完全に形成される)蓋58は、約0.1インチ未満、約0.075インチ未満、約0.050インチ未満、約0.1インチから約0.010インチの範囲内、約0.075インチから約0.020インチの範囲内、約0.050インチから約0.025インチの範囲内、および/またはそれらの間の任意の値もしくは部分範囲、の厚さを有することができると考えられる。
【0057】
同様に、バンド57は、容器12の口48、52、56にスナップ嵌めするのに十分な構成および弾性モジュールを有する耐久性のある材料で形成されることができる。バンド57は、例えばポリマー材料、より具体的には、限定はされないがポリプロピレンなどの熱可塑性ポリマー材料から、例えば射出成形によって形成されることができる。
【0058】
図9および図10を参照すると、容器開口部48(図2)は、(例えば、図7に示されるような)容器12とキャップアセンブリ14との間の相対移動によって塞さがれ、より具体的には閉ざされることができ、よって、バンドラッチ61は、容器フランジ52に係合し、嵌合することに応答して、外側に曲がる。ラッチタブ64が容器フランジ中間外面53に摺動的に係合し、それを越えて移動した後、ラッチタブは弾性的に元の形状に戻ることができ、よってキャップアセンブリ14が容器12の上端部分に確実かつ取り外し可能に取り付けられる。キャップアセンブリ14が容器12の上端部分に確実かつ取り外し可能に取り付けられると、蓋58の上面の比較的狭い環状の縁部分は、バンドフランジ59の下面と向かい合って対面接触することができ;蓋58の下面の比較的幅広の環状縁部分は、容器上部座面56と向かい合って対面接触することができ(図2);上部ラッチ部分63の内面は、容器フランジ中間外面53と向かい合って対面関係にあるか向かい合って対面接触することができ;ラッチタブ64の内面は、容器フランジ下面55と向かい合って対面関係にあるか向かい合って対面接触することができる。
【0059】
キャップアセンブリ14は、容器12とキャップアセンブリ14とを互いに分離する容器12とキャップアセンブリ14との間の相対移動に応答して、容器12から取り外される(例えば、容器12の上端部分に確実かつ取り外し可能に取り付けられた状態から取り外される)ことができる。このような相対的な分離運動に応答して、バンドラッチ61は、容器フランジ52に係合し、該容器フランジ52から滑り落ちることに応答して外側に曲がる。ラッチタブ64が容器フランジ中間外面53に摺動的に係合して通過した後、ラッチタブは、例えば図7に示され上述された構成において、蓋58がバンド14によって保持される(例えば、ラッチタブ64によって捕捉および支持される)ように、元の形状に弾性的に戻ることができる。
【0060】
バンド57は、蓋58の配置または位置決めを都合よく促進するように機能することができる。とは言え、任意選択で、蓋58は、バンド57なしで使用され得ると考えられる。したがって、本開示のいくつかの実施形態、実装、および/または方法において、キャップまたはクロージャ14は蓋58のみから構成され得る。
【0061】
図11は、システム10(図1)を含む器具66の上面絵画図であり、特定の構成要素の位置を特定するための基準枠を提供する。図11は、上部ハウジング部分67および中央ハウジング部分68を示す。上部ハウジング部分67は、中央ハウジング部分68に対して移動することにより、器具66を開いて、例えば、さらに説明されるように、中央ハウジング部分に支持されている反応容器12(図1~4)へのアクセスを可能にすることができる。上部ハウジング部分67およびそれに接続されたアイテムは、ラックアンドピニオンドライブまたは他の適切な駆動装置によって、中央ハウジング部分68に対して水平方向に一緒に往復運動されることができる。図11において、ラックアンドピニオンドライブは図から隠れて破線で表されており、全体的に参照番号70で識別される。
【0062】
図11は、マグネトロン15(図1)用のハウジング71も示す。マグネトロン15は、マイクロ波キャビティ72に供給されるマイクロ波エネルギーを生成する。マイクロ波キャビティ72は、マグネトロン15と導波路連絡するシングルモードキャビティとすることができる。
【0063】
図12は、図11の線12-12にほぼ沿って取られた断面図である。図12は、上部ハウジング部分67および中央ハウジング部分68、ならびにその中の構成要素のいくつかを示す。図12の向きにおいて、マスタ変位部材36(例えば、ピストン)およびマスタチャンバ38(例えば、シリンダまたは環状スリーブ)が、それらの長さ方向軸に垂直に取られた断面として少なくとも部分的に示されている。マスタチャンバ38は、器具66の上部本体74内に水平に開けられた円筒形の通路とすることができる。図示の実施形態において、マスタ変位部材36とマスタチャンバ38の少なくとも1つの壁とは、マスタ変位部材と同軸であり油圧流体の一部を含む細長い環状空間を画定する。油圧流体は図1にのみ示されており、点描によって概略的に示されている。
【0064】
スレーブチャンバ42は、上部本体74に垂直に開けられた円筒状の通路とすることができる。スレーブ変位部材40(例えば、ピストン)は、いくぶんH字形の断面を有することができ、その上部は、油圧流体が中に延びるキャビティ75を画定する。いくつかの実装において、スレーブ変位部材40の上端にある上向きに開いたキャビティ75は省略され得る。油圧スレーブチャンバ42(例えば、シリンダまたは環状スリーブ)は、以下にさらに説明されるように、油圧回路の油圧通路31(図1)を介して油圧マスタチャンバ38と油圧連通している。油圧回路20(図1)は、図12のプラグ78によって閉じられている充填穴76を通して油圧流体で充填されることができる。
【0065】
スレーブ変位部材40は、取り付けおよび/または密封部品80の少なくとも1つまたはアセンブリによって、上部本体74内で往復運動するように移動可能に取り付けられることができる。延長部材82は、延長部材とスレーブ変位部材とが一緒に往復運動するように、スレーブ変位部材40の下端に(例えば、雌ねじ付きボア内に延びる雄ねじ付きシャフトによって)固定的に取り付けられることができる。スレーブ変位部材40および延長部材82は、合わせてプランジャ40、82と呼ばれ得、該プランジャは、上部本体74、下部本体84、および貫通穴を有するプレート86を含む、下向きに開いた本体またはアセンブリの内部空間内で直立往復運動するように取り付けられる。必要に応じて、スレーブ変位部材40および延長部材82は単一の部品として形成されることができ得ると考えられる。しかし、実際問題として、別個の部品を使用することにより、スレーブ変位部材40を比較的近い公差で形成することが容易になり、したがって潜在的により安価になる一方、延長部材82は、より広い公差で形成され得る。器具66の他の多くの部分と同様に、変位部材36、40、本体部分74、84、およびプレート86は、金属材料で形成されることができる。
【0066】
上部本体74、下部本体84、およびプレート86は、合わせて、上部ハウジング部分が中央ハウジング部分68に対して水平に往復運動するときに上部ハウジング部分67によって運搬される内部ハウジングまたは本体74、84、86と呼ばれ得る。内側本体74、84、86は、より少ないまたはより多くの部品から形成され得ると考えられる。図12において、プランジャ40、82は、下向きに開いた内側本体74、84、86の内部空間内の上部位置、または、後退位置にある。
【0067】
スレーブ変位部材40、より具体的にはプランジャ40、82は、延長部材82の周りに延びる少なくとも1つの螺旋圧縮バネ88によって後退位置に向かって付勢されることができる。ばね88は、スレーブ変位部材40の外側に突き出た下部環状フランジと、取り付けスリーブ90の内側に突き出た下部環状フランジにそれぞれ係合される両端を有することができる。取り付けスリーブ90の外側に突き出た上部環状フランジは、締結具および/または任意の他の適切なデバイスによって上部本体74に固定して取り付けられることができる。延長部材82の外向きに延びる環状の下側フランジの上面は、取付スリーブ90の下側フランジの下面と係合して、プランジャ40、82の上向きの移動を制限または阻止することができる。
【0068】
引き続き図12を参照すると、容器12の支持体またはホルダは、容器12を取り外し可能に受け入れてしっかりと支持するために、中央ハウジング部分68に固定して取り付けられた上向きに開いたレセプタクル92を含むことができる。レセプタクル92の形態の支持体は、レセプタクルの上向きに開いた内部空間の周囲に延びる少なくとも1つの側壁94を含むことができる。レセプタクル側壁94の内面の下部分は円筒形とすることができ、かつ、容器12の円筒部分の外側の横方向の寸法または直径よりわずかに大きい横方向の寸法または直径を有することができる。レセプタクル側壁94の上部分の環状内面は、レセプタクル92の高さに沿った方向に先細りにして、レセプタクルの円錐台状内面96を画定することができる。円錐台状内面96は、レセプタクル92への上部開口部を画定することができる。円錐台状内面96の横方向の寸法または直径は、レセプタクル92の高さに沿って直立方向に増大する。円錐台面50、96は、互いに同じまたはほぼ同じ傾斜を有し、一般的なフランジベースの係合と比較して互いの間の接触に基づく力を広い表面積にわたって分散させて単位面積当たりの力(応力)を減少させるように、互いに向かい合って対面接触している。
【0069】
図12において、図9および図10を参照して上述したように、キャップアセンブリ14が容器12の上端に取り付けられており、プランジャ40、82の下端は、キャップアセンブリの上方にキャップアセンブリから離間して配置されている。上から繰り返すと、図12において、プランジャ40、82はその上部位置または後退位置にある。図示の実施形態において、プランジャ40、82、またはより具体的には延長部材82には、ホルダまたはレセプタクル92によって支持されている容器12上のキャップアセンブリ14に対して係合および/または協同的に関連付けられるためのいくつかの機構が取り付けられている。あるいは、いくつかの実施形態において、スレーブ変位部材40または延長部材82は、キャップアセンブリ14とより直接的に関連付けられるように構成され得る(例えば、直接係合し得る)と考えられる。
【0070】
図12に示される例において、エンゲージャ100(例えば、係合装置)は、プランジャ40、82とともに往復運動し、キャップアセンブリ14と係合するために、延長部材82に固定的に接続される。エンゲージャ100は、単一の部品または複数の部品から形成されることができる。図面に示される例において、エンゲージャまたは係合装置100の内側部分は、環状バックプレート102の形態の裏当て構造を含む。係合装置の内側部分は、バックプレート102の周縁から上向きに延びる環状スリーブ104と、環状スリーブ104および/またはバックプレート102から下向きに延びる環状フランジ106とをさらに含むことができる。バックプレート102は、例えば適切な機械的締結具を用いて延長部材82のフランジに固定的に接続されることができる。バックプレート102の下面は、以下でさらに説明されるように、波状の形状を有することができる。器具66の他の多くの部分と同様に、係合装置100の延長部82および内部部分は金属材料で形成されることができる。
【0071】
係合装置100の内側部分は、係合装置の外側部分に固定的にしっかりと繋がれることができる。係合装置100の外側部分は、係合ディスク110、環状U字形チャネル112、および環状スリーブ114を含むことができる。チャネル112の環状内壁は、係合ディスク110の周縁から下向きに延びることができる。スリーブ114は、チャネル112の環状外壁から上向きに延在し、下部本体64の同軸の円筒形内面(例えば、案内路)と対向する対面で摺動的に接触して係合されることができる。係合装置100の内側部分のフランジ106は、チャネル112によって画定される環状開口部に嵌合(例えば、締り嵌め)することができる。係合装置100の外側部分は、弾性(例えば、可撓性)材料、例えばポリマー材料で作られることができる。一例として、係合装置100の外側部分は、限定されないが、合成ゴム(例えば、ネオプレンまたはポリクロロプレン)などの熱硬化性ポリマー材料で作られ得ることが考えられる。より具体的な例として、係合装置100の外側部分は、限定されないが、フルオロカーボン固体(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン)などの熱可塑性ポリマー材料で作られることができる。係合装置100の外側部分および/またはその複数部分は、膜もしくは可撓性膜の形態をとることができ、および/または膜もしくは可撓性膜と呼ばれることができる。したがって、ディスク110は、可撓性係合ウェブまたは可撓性係合膜と呼ばれることができ、以下にさらに説明されるように、波状の形状を有することができる。
【0072】
引き続き図12を参照すると、力センサ26は、以下にさらに説明されるように、延長部材82の内部キャビティ内に位置付けられ、ディスク110の中央部分(例えば、係合膜)とのリンクを介して動作可能に関連付けられ得る。図12において、プランジャ40、82は、係合装置100とともに、油圧システム内の比較的低い油圧に応答して伸張状態にあるばね88に応答して、上部構成にある。対照的に、図13~15において、油圧システム内の比較的高い油圧に応答して、プランジャ40、82は、係合装置100とともにその下部構成にあり、ばね88は圧縮されている。
【0073】
図14および図15を参照すると、アクチュエータ16は、モータギア120を回転駆動する電気モータの形態とすることができる。図16を参照すると、モータギア120は、リードギア122と噛合して往復駆動することができる。リードギア122は、親ネジ124を回転させるために、親ネジ124のシャフトと同軸であり、該シャフトに固定的に取り付けられることができる。親ネジ124の雄ねじ(複数可)は、案内路に沿って往復運動するように支持される駆動ナット126の雌ねじ(複数可)と噛合することができる。マスタ変位部材36は、アクチュエータまたはモータ16の動作に応答してドライブナットとともに往復運動するために、ドライブナット126に接続されるか、またはその他の方法で関連付けられることができる。1つ以上のばね座金は、ドライブナット126のキャビティ内に位置付けられ、マスタ変位部材36の外端に係合させることができる。あるいは、駆動ナット126は、回転運動を直線運動に変換するためのボールねじまたは他の適切なデバイスと置き換えられることができる。
【0074】
マスタ変位部材36は、取り付け部品130および/または密封部品130の少なくとも1つまたはアセンブリによって、上部本体74内で往復運動するように移動可能に取り付けられることができる。油圧回路20(図1)は、油圧回路の充填および/または通気に使用するために構成された少なくとも1つの他の穴132を含むことができ、穴132は、典型的には、プラグ(例えば、プラグ78を参照)によって閉じられる。
【0075】
図17を参照すると、マスタチャンバ38およびスレーブチャンバ42は、上部本体74に開けられた細長い穴とすることができ、これらのチャンバの軸は、互いに横方向(例えば、垂直)に延びることができる。同様に、チャンバ38、42を接続する油圧通路31は、上部本体74に開けられた細長い穴とすることができる。圧力センサ24は、油圧通路31の外端部に取り付けられることができる。
【0076】
図18は、例えば、容器内の圧力が周囲圧力に等しい間に蓋58が下向きにクランプされて容器12を閉じているような(例えば、蓋が上向きに膨張しないような)、下部構成にあるプランジャ40、82および係合装置100を示す断面図である。
【0077】
図18に示される例において、係合膜またはディスク110は、環状の下向きに突出する中央部分(例えば、内側突出部140)と、中央部分の周りに延び、中央部分から間隔を置いている、環状の下向きに突出する外側部分(例えば、外側突出部142)とを含む。その結果、係合ディスク110(例えば、膜)は、内側突出部140と外側突出部142との間に位置付けられる、上向きに延びる環状の凹んだキャビティ144を画定する。
【0078】
バックプレート102は、貫通穴150と、ほぼ穴150の周囲に延び、穴150から間隔を置いて下向きに突出する部分(例えば、突出部152)とを含むことができる。係合ディスクの外側突出部142は、係合膜またはディスク110のウェブ材料における環状の起伏によって画定することができ、その起伏の上側は、バックプレートの突出部152が延びる環状チャネルを画定することができる。バックプレート突出部152は、係合リング154が受け入れられる(例えば、圧入)下向きに開いた環状チャネルを画定することができる。係合リング154は、バックプレート102よりも柔らかく、より弾性のある材料で作られることができる。例えば、係合リング154は、コンプライアンスを提供し、密封効率を向上させるようにして構成されたポリマー製の可撓性のあるエラストマー製のOリングとすることができる(例えば、係合リング154の下部は、バックプレート102またはパックプレート突出部152から下向き外側に突出することができる)。
【0079】
延長部材82は、バックプレート穴132を通って延びる下部環状フランジ156を含むことができる。延長フランジ156は、円筒形キャビティ158への開口を画定することができる。力センサ26は、延長キャビティ158内に配置され、係合ディスクの内側突出部140の内側と直接的または間接的に係合することができる。図18において、力センサ26と内側突出部140との間の延長キャビティ158内に位置付けられたリンケージは、ディスク160と1つ以上のスリーブ162、164との直列配置を含む。ディスク160およびスリーブ162、164は、力を力センサ26に伝達するために、延長キャビティ158内で滑動可能かつ往復運動可能である。
【0080】
図19に示すように、容器12が密閉されて圧力下で内容物を収容している例において、曲がった(例えば、膨張した)蓋58によって及ぼされ、容器12内の圧力を示す上向きの力(図19において直立矢印によって概略的に示される)は、ディスク160およびスリーブ162、164を介して力センサ26に伝達される。あるいは、対象の力は、比較的多かれ少なかれ直接的な方法で力センサ26によって受け取られることができる。
【0081】
図19に示す例において、曲がった(例えば、膨張した)蓋58の一部分は、係合ディスクまたは膜110の凹んだキャビティ144内に部分的に延びる。一般的に説明すると、凹んだキャビティ144は、例えば蓋58の部分(例えば、移動した材料)を収容することによって、容器12内の圧力のより正確な測定値を生み出すのに役立つ幾何学的特徴である。クランププロセスは、例えば、クランプ突出部142に隣接する蓋58の部分を押しつぶして、力センサ26による不正確な測定を回避しようとして、関連する蓋の変位部分がキャビティ144内に移動するようにすることができる。別の例として、蓋58は、加熱されると拡大することができ、凹んだ空洞は、力センサ26による不正確な測定を回避しようとしてそのような拡張に適応することができる。幾何学的特徴、より具体的にはキャビティ144は、異なって構成されてもよい。
【0082】
図20に示される例において、容器12は、加圧下で内容物を収容するようにわずかに開いているが、圧力は、蓋58の下面と容器12の口(例えば座面56(図2))との間に画定された少なくとも1つのギャップを通って容器から外側に通気することによって低減されている。図20において、図解しやすくするためにギャップのサイズが誇張されている。図20の下側の矢印によって概略的に表される1つまたは複数の通気路は、1つまたは複数のバンドスロット65(図5~10)または他の適切な開口部またはギャップを通って延びることができる。
【0083】
図20において、通気中、容器12は、蓋58によって部分的に閉じられたままである(例えば、蓋が容器開口部48を十分に塞いでいる)ため、蓋58に対して上向きの力が加えられ続け、容器12内の圧力を示す力がディスク160およびスリーブ162、164を介して力センサ26に伝達される。
【0084】
図21は、器具66(図11~15)の多数の部品の分解図である。例えば、各部品を相互に接続するメカニカルファスナの幾つかは、図21において符号170で示されている。
【0085】
図22は、器具66を用いて実行され、関連する容器12のヘッドスペースからの定期的な通気を含む、例示的な圧力段階的な分解化学反応の動作パラメータを示すチャートである。図22において、チャートのキーまたは凡例は、容器12内の内容物の温度、容器内の圧力、および油圧回路20内の流体の圧力をそれぞれ表す線を特定する。左側の縦軸は、容器12内の内容物の温度の目盛りを含む。右の縦軸は、油圧回路20内の流体の圧力の目盛を含む。容器12内の圧力を表す比較的細い線は、容器内の圧力と油圧回路20内の油圧との間の関係を示すために、図22に示されるグラフに重ねられた。
【0086】
図22に示す例を参照して、様々な例を以下に説明する。図22において、容器12からの通気の7つの期間のそれぞれは、容器内圧力を示す線の部分によって特定されることができ、これらの部分は、ピークから低い点まで右に「実質的に」下向きに傾斜しており、かつ、(i)油圧を示す線のピークから低い点に向かって「実質的に」右下がりに傾いている部分と、(ii)容器内温度を示す線のうち、ピークから低い点に向かって「実質的に」右下がりに傾斜している部分との両方のそれぞれに垂直方向に一致している。7回より少ない、または7回を超える通気期間があってもよい(例えば、容器12からの通気期間が1つ以上存在する)。
【0087】
上述した「ピークからより低い点に向かって『実質的に』右下がりに傾斜している」と説明した線部分のそれぞれは、参照を容易にするためにバックスラッシュ部分(例えば「\」)と呼ばれることができる。対照的に、より低い点からピークに向かって右上がりに傾いている線部分は、参照を容易にするためにスラッシュ部分(例えば「/」)と呼ばれることができる。図22において、容器内圧力を示す線の少なくとも一部または各バックスラッシュ部分(例えば、「\」)のピークは、容器内圧通気点と呼ばれることができる。図22において、油圧を示す線のスラッシュ部分(例えば、「/」)のピークの少なくとも一部またはそれぞれは、油圧設定値と呼ばれることができ、および/または、油圧を示す線のバックスラッシュ部分(例えば、「\」)に先行する、油圧を示す線のほぼ水平な部分の少なくとも一部またはそれぞれは、油圧設定値と呼ばれることができる。
【0088】
図23は、図1に概略的に描かれたシステムに関連して、例えば、図22のチャートによって表される例示的な圧力段階的な分解化学反応に関連する方法(図23のブロック500~530によって概略的に表される)の例のフロー図を示す。主に図23を参照し、時折図1を参照すると、ブロック500において、コントローラまたはコンピュータ30のプロセッサは、コンピュータのグラフィカルユーザインターフェースに信号を提供し、そこから信号を受信して、ユーザが器具66(図11~15)の操作の事前にプログラムされた方法を選択したり、またはカスタム操作方法を生み出したりすることを促進し得る。例えば、ブロック500において、プロセッサは、ユーザ入力に応答して、少なくとも以下のパラメータのプログラミングを促進することができる:サンプル温度-容器12内の所望のサンプルピーク温度を設定する;ランプ時間-容器内の周囲温度から容器内の所望のサンプルピーク温度になるまでの時間を設定する;保持時間-容器内の所望のサンプルピーク温度を保持する時間量を設定する;制御圧力-容器内の最大所望の圧力を設定する;通気点-容器内圧通気点の所望の数(例えば、通気の周期の数)を設定する。
【0089】
処理制御は、ブロック500からブロック505に移される。ブロック505から530は、一般に、容器12からの通気期間のそれぞれに連続的な方法で関連して遂行または実行されるdoループまたはforループを表すことができる。例えば、ブロック505から530は第1の通気期間で実行されることができ、続いてブロック505から530は第2の通気期間で実行され、以下同様である。
【0090】
ブロック505において、油圧設定点は、対応する容器内圧通気点に対してプロセッサによって計算される。上から繰り返して、図22において、油圧を示す線のスラッシュ部分(例えば、「/」)のピークは、油圧設定点と呼ばれることができ、容器内圧力を示す線のバックスラッシュ部分(例えば、「\」)のピークは、容器内圧通気点と呼ばれることができる。油圧設定値は、勾配、オフセット及びクッションの各パラメータに基づくことができる。傾きパラメータは、クランプ装置、容器12、およびキャップアセンブリ14(例えば、バンド57および蓋58(例えば、隔壁))を使用して所与の容器内圧力を保持するのに必要な油圧の経験的に決定された曲線からであることができる。オフセットパラメータは、表面仕上げおよび公差などの物理的パラメータに起因するが、これに限定されない、容器12と蓋58との間のあらゆる密封非効率を考慮するために使用される値であり得る。クッションパラメータは、蓋58と容器12との間のロバストな密封を確保しようとする追加の安全因子として追加され得るオフセットであり得る。処理制御は、ブロック505からブロック510に移される。
【0091】
ブロック510において、プロセッサは、油圧回路20内の流体の圧力を油圧設定点に到達させるような方法で信号(複数可)を送信させる。本反復では、油圧設定点は、容器12からのあらゆる早期の通気を制限しようとして十分に高い。ブロック510における1つ以上の信号に応答して、モータ16は(例えば、順回転方向に)動作し、マスタ変位部材36は、油圧センサ24によって示されるように、油圧設定点に達するまで応答的に移動する。モータ16の動作は、油圧設定点に達したという表示に応答して停止される。油圧回路20内の結果として生じる圧力に応答して、容器12は、例えば上述したように、蓋58によって密封閉鎖される。処理制御は、ブロック510からブロック515に移行する。
【0092】
ブロック515において、プロセッサは、例えば、上述したように、マイクロ波源15からのマイクロ波によって、容器12の内容物を加熱させるような方法で信号(複数可)を送信させる。加熱に応答して、容器12内の温度および圧力が増大する。より具体的には、マイクロ波によって容器12内の試料の温度が増大し、容器内の圧力の増大は、試料の温度増大の副産物である。
【0093】
ブロック515と同時に、ブロック520において、プロセッサは、容器12内の圧力および/または温度を示す信号を受信する。例えば、プロセッサは、温度センサ28および力センサ26の両方から信号を受信することができる。上記から繰り返すが、温度センサからの信号は、容器12内の温度を示し、力センサ26からの信号は、容器12内の圧力を示す。ブロック520において、容器12からの外向きの通気が開始されるかどうかの決定がなされる。例えば、マイクロ波(例えば、ブロック515を参照)は、(i)温度設定点に到達するか(その後、システムは設定された保持時間の間サンプル温度を維持し得る)、または(ii)容器内圧力が所望の通気圧力(例えば、容器内圧力通気点)に到達するまで、容器12内のサンプルの温度を増大させるために容器12の内容物に適用され続けられることができる。プロセッサは、温度センサ28からの信号に基づいて、温度設定点に達したかどうかを決定することができる。プロセッサは、力センサ26からの信号に基づいて、容器内圧力通気点(例えば、設定点)に達したかどうかを決定することができる。図22を参照して上から繰り返すが、容器内圧を示す線のバックスラッシュ部分(例えば、「\」)のピークは、容器内圧通気点と呼ばれることができる。ブロック520での肯定的な決定に応答して、処理制御はブロック525に移される。
【0094】
ブロック525において、プロセッサからの信号および/又は信号の停止は、容器内容物の加熱を中止するためにマイクロ波源15の動作の停止を引き起こし、容器12からの通気が開始される。容器12からの通気を開始し制御するために、ブロック525における1つ以上の信号に応答して、モータ16が逆回転方向に動作し、マスタ変位部材36が応答的に移動して、油圧回路20内の圧力を低下させる。プロセッサによって受信されたフィードバック信号およびプロセッサからモータ16への信号に応答して、油圧回路20内の圧力は、容器12内の圧力が適切な勾配(例えば、速度)で低下し、上述した方法で通気を制限するように(例えば、容器のヘッドスペースからのガスのみが通気されることを確実にしようとして(例えば、典型的には容器から分析物を全く排出せずに))低減される。例えば、システムは、圧力デルタ及び圧力勾配パラメータに基づいて、容器内圧力を低減することができる。圧力デルタパラメータは、総容器内圧力降下を決定または定義する。圧力勾配パラメータは、システムが容器内圧力降下を達成する速度を決定または定義する。例えば、モータ16は、圧力勾配パラメータによって決定または定義されるモータ速度で、蓋58のクランプ力を低減するために、逆に操作されることができ、一方、容器内圧力は、力センサ26によって監視され、制御動作(例えば、モータ速度を調整する)のためにプロセッサにフィードバックされ、プロセッサによって利用される。
【0095】
ブロック525と同時に、ブロック530において、プロセッサは、力センサ26からの信号に基づいて、容器内圧の所定の減少が生じたかどうか(例えば、図22を参照して、容器内圧を示す線のそれぞれのバックスラッシュ部分(例えば、「\」)の底部に到達したかどうか)を決定することができる。プロセッサが、力センサ26からの信号に基づいて、所望の容器内圧力差が満たされた(例えば、圧力デルタパラメータによって決定または定義された)と決定すると、ブロック505~530を通した次の反復を開始するために処理制御はブロック505に移される。とは言え、ブロック505~530を通るシーケンスは、異なるように配置されることができる。例えば、ブロック505の計算は、ブロック510に進む前に各反復(例えば通気点)に対して実行され、その結果、ブロック505の後、プロセッサは一般にブロック510~530を数回ループする。他の変形例も本開示の範囲内にある。
【0096】
上記を少なくとも部分的に繰り返すと、本開示の一態様において、容器12内部の圧力および閉鎖力は、両方とも少なくとも間接的に測定され、通気プロセスの間、閉鎖力は、容器内部の内容物の圧力に実質的に一致する(例えば、それよりわずかに小さい)ように調整されることができる。閉鎖力は、例えば、容器12内部の圧力の約50ポンド/平方インチ以内に一致させることができ、いくつかの場合、容器内部の圧力の約10ポンド/平方インチ以内またはそれ以下に一致させることができる。
【0097】
圧力が実質的に一致されている間に、通気目的で容器12を部分的に開くことは、さもなければ発生する可能性のある種類のスプレー、エアロゾル、または完全な液体の噴出を回避するのに役立つ。したがって、例示的な方法において、それぞれの圧力を約50ポンド/平方インチ以内で合わさせ、約10ポンド/平方インチ以内で一致させ、または10ポンド/平方インチ未満で一致させながら、反応容器12を通気のために開かれる。
【0098】
対象となる反応は分解反応であることが多いため、容器12内の温度は通常、水の沸点よりも高く、時には300~350℃程度に維持される。同様に、容器12内の圧力は、典型的には少なくとも約250ポンド/平方インチ、多くの場合500ポンド/平方インチを超え、時には約700~750ポンド/平方インチ程度の高さになる。いくつかの実装において、容器内の圧力は1平方インチ当たり750ポンドを超えることは許されない。
【0099】
上記を少なくとも部分的に繰り返すと、システム10、したがって器具66は、典型的には、例えば、システムの多数の電気部品(例えば、マイクロ波源、センサ、モータ(複数可)、および/または他の適切な部品)と動作可能に関連付けられた少なくとも1つのコントローラ30を含む。少なくとも1つのコントローラ30は、1つ以上のコンピュータ、コンピュータデータ記憶装置、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。適切なコンピュータは、中央処理装置(CPU)またはプロセッサ、集積回路またはメモリ、ユーザインタフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)、システムの他の電気部品とインタフェースするための周辺機器または装置インタフェース、および/または他の任意の適切な特徴のそれぞれの1つ以上を含むことができる。コントローラ(複数可)はそれぞれ、適切な信号通信経路によってシステムの電気部品と通信することができる。本開示のプロセスは、少なくとも1つのコントローラ30と動作可能に関連付けられたコンピュータベースのアルゴリズムの実行に応じて制御(例えば、少なくとも部分的に制御)されることができる。コントローラ30は、図1において数字30で識別される長方形として概略的に表され、この段落で言及される他の構成要素または特徴は、図1において数字30によって識別される長方形内に位置する長方形によって概略的に表される。
【0100】
上記を少なくとも部分的に繰り返すと、様々な異なる構成のクランプ装置が本開示の範囲内に含まれる。例えば、代替の実施形態において、油圧回路20(図1)、および任意に、ばね88(図12)もなくすことができ、親ネジ124(図16)が直立軸を中心に回転し、駆動ナット126(図16)が直立軸に沿って往復するように、上流リンケージ18(図1)の向きを変え、延長部材82(図12)を駆動ナット126の下端に固定して取り付け、延長部材と駆動ナットが一緒に往復するようにできるものと考えられる。このような代替実施形態において、圧力センサ24(図1)は、代替クランプ装置によって与えられる閉鎖力を測定するように構成された、適切に取り付けられた力センサに置き換えられ得る。このような力センサは、代替のクランプ装置のそれぞれの構成要素と直列に配置されたロードセルであり得る。したがって、この代替実施形態において、前述の全体を通して、油圧の調整は他の適切な(例えば、純粋に機械的な)調整に置き換えられることができる。
【0101】
本開示を補足するために、本出願は以下の特許、米国特許第9,237,608号;9,943,823号;および10,527,530号を参照により完全に組み込むものとする。
【0102】
上記を繰り返すと、広範な開示を提供する目的で、「実質的に」、「約」、「およそ」などの1つ以上の用語が、前述の開示の形容詞および副詞のそれぞれを修飾することは、本開示の範囲内である。一例として、当業者であれば、本開示の特徴の異なる実装において、合理的に異なる工学的公差、正確さ、および/または精度が、所望の結果を得るために適用可能かつ適切であり得ることを容易に理解できると考えられる。したがって、当業者は、「実質的に」、「約」、「およそ」などの用語の本明細書における用法を容易に理解することができると考えられる。
【0103】
本明細書および図面において、実施形態の例が開示されている。本発明は、このような例示的な実施形態に限定されるものではない。用語「および/または」の使用は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意のおよびすべての組み合わせを含む。特に断りのない限り、特定の用語は、一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定を目的としたものではない。
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