(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181985
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】魚測定装置および魚測定方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/95 20170101AFI20231218BHJP
【FI】
A01K61/95
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093998
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】22178622
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】23153330
(32)【優先日】2023-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】池上 温史
(72)【発明者】
【氏名】中村 悟史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA01
2B104GA01
(57)【要約】
【課題】撮像画像から魚を精度良く測定することが可能な魚測定装置および魚測定方法を提供する。
【解決手段】魚測定装置1は、水中を泳ぐ魚を撮像する撮像装置30と、撮像装置30の視野に少なくとも一部が配置された背景板60と、撮像装置30と背景板60との間の魚の通路A1を上から照らす第1照明装置40と、魚の通路A1を撮像装置30側から照らす第2照明装置50と、魚の通路A1の撮像装置30側の部分を遮る魚除け装置70と、魚の通路A1を泳ぐ魚の撮像画像に対する処理を行う処理回路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を泳ぐ魚を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の視野に少なくとも一部が配置された背景板と、
前記撮像装置と前記背景板との間の魚の通路を上から照らす第1照明装置と、
前記魚の通路を前記撮像装置側から照らす第2照明装置と、
前記魚の通路の前記撮像装置側の部分を遮る魚除け装置と、
前記魚の通路を泳ぐ前記魚の撮像画像に対する処理を行う処理回路と、を備える、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記魚除け装置は、前記背景板と前記魚除け装置との間の最短距離が、前記背景板と前記撮像装置との間の最短距離より小さくなるように、前記魚の通路に配置されている、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記魚除け装置は、1つ以上の板を備える、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記魚除け装置は、第1の板を備え、
平面視において、前記第1の板と前記撮像装置が向く方向とが第1傾斜角を形成する、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の魚測定装置において、
平面視において、前記第1の板は、前記背景板側の方が前記撮像装置側よりも前記魚の通路の入口に接近している、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の魚測定装置において、
前記第1の板は、水を流通させるための1つ以上の孔が形成されている、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項7】
請求項4ないし6の何れか一項に記載の魚測定装置において、
前記魚除け装置は、前記第1の板とは異なる第2の板をさらに備え、
平面視において、前記第2の板と前記撮像装置が向く方向とが第2傾斜角を形成する、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の魚測定装置において、
平面視において、前記第2の板は、前記背景板側の方が前記撮像装置側よりも前記魚の通路の出口に接近している、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項9】
請求項7に記載の魚測定装置において、
前記第2の板は、水を流通させるための1つ以上の孔が形成されている、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記撮像装置は、実質的に水平方向に向いており、
前記第2照明装置は、少なくとも前記撮像装置が向く前記方向と実質的に同じ方向を照明する、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項11】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記第2照明装置は、第1グループおよび第2グループにグループ化される複数のLEDのアレイを備え、第1グループは水平に照明し、第2グループは、第1グループとは異なる照明方向を照明する、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の魚測定装置において、
前記第2グループの前記照明方向は、鉛直である、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項13】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記撮像装置、前記背景板、前記第1照明装置、前記第2照明装置および前記魚除け装置が装着されたフレームと、
前記フレームを鉛直に移動させるレールと、をさらに備える、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項14】
請求項1に記載の魚測定装置において、
前記処理回路は、前記撮像画像から前記魚の通路を泳ぐ前記魚の大きさを算出する、
ことを特徴とする魚測定装置。
【請求項15】
撮像装置の視野に背景板の少なくとも一部を配置して前記撮像装置と前記背景板との間に魚の通路を形成し、
前記魚の通路の前記撮像装置側の部分を遮って前記通路を泳ぐ魚を前記撮像装置から離間させ、
前記魚の通路を上および前記撮像装置側からそれぞれ照明し、
前記魚の通路を泳ぐ前記魚を前記撮像装置で撮像して撮像画像に対する処理を行う、
ことを特徴とする魚測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中を泳ぐ魚を測定する魚測定装置および魚測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中を泳ぐ魚を撮像して、魚の大きさを測定する装置が知られている。この種の装置では、撮像時に、魚の側面がライトで照らされる。たとえば、カメラの周囲にLEDが配置され、撮像方向に魚が照明される。以下の特許文献1には、この種の装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3465080号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、屋内に生簀が設置される陸上養殖では、海上養殖に比べて、自然光が水面から水中に入り込みにくい。このため、上記のように魚を撮像方向に照明する構成では、魚の体上部の明るさが不足しやすい。これを解消するために照明強度を高めると、魚の体下部の明るさが過剰となって、魚の画像から魚の特徴量を正確に取得することが困難となる。また、陸上養殖では、撮像方向の背景が、暗所であるか、特殊な色や模様となっている場合が多い。このため、撮像画像において魚と背景との境界が不明確となり、魚の特徴量を正確に取得できないことが起こり得る。さらに、生簀内において魚の密度が高い場合は、魚の計測に必要な距離を魚とカメラとの間に確保することが困難である。
【0005】
かかる課題に鑑み、本発明は、撮像画像から魚を精度良く測定することが可能な魚測定装置および魚測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は魚測定装置に関する。この態様に係る魚測定装置は、水中を泳ぐ魚を撮像する撮像装置と、前記撮像装置の視野に少なくとも一部が配置された背景板と、前記撮像装置と前記背景板との間の魚の通路を上から照らす第1照明装置と、前記魚の通路を前記撮像装置側から照らす第2照明装置と、前記魚の通路の前記撮像装置側の部分を遮る魚除け装置と、前記魚の通路を泳ぐ前記魚の撮像画像に対する処理を行う処理回路と、を備える。
【0007】
本態様に係る魚測定装置によれば、第1照明装置により魚の通路が上から照明され、さらに、第2照明装置により魚の通路が撮像装置側から照明される。このため、撮像の際に、第1照明装置と第2照明装置の照明強度および照明比率を魚種に応じて調節することにより、魚の体上部および体下部の両方を良好に照明できる。また、撮像装置の視野に背景板が配置されるため、魚と背景とのコントラストが高められる。さらに、魚の通路の撮像装置側の部分が魚除け装置で遮られるため、魚の密度が高い場合であっても、撮像領域に含まれる魚の数を少なくでき、且つ、魚の計測に必要な距離を魚と撮像装置との間に確保できる。よって、高品質の魚の画像を取得でき、水中を泳ぐ魚を精度良く測定できる。
【0008】
本態様に係る魚測定装置において、前記魚除け装置は、前記背景板と前記魚除け装置との間の最短距離が、前記背景板と前記撮像装置との間の最短距離より小さくなるように、前記魚の通路に配置され得る。
【0009】
この構成によれば、背景板と魚除け装置との間の最短距離と、背景板と撮像装置との間の最短距離との差分だけ、魚を撮像装置から離間させやすくなる。
【0010】
本態様に係る魚測定装置において、前記魚除け装置は、1つ以上の板を備え得る。
【0011】
たとえば、前記魚除け装置は、第1の板を備え、平面視において、前記第1の板と前記撮像装置が向く方向とが第1傾斜角を形成する。
【0012】
この場合、平面視において、前記第1の板は、前記背景板側の方が前記撮像装置側よりも前記魚の通路の入口に接近している。
【0013】
この構成によれば、第1の板と背景板との間の隙間を通って撮像領域に進入する魚を撮像装置から離間させることができる。
【0014】
ここで、前記第1の板は、水を流通させるための1つ以上の孔が形成されていることが好ましい。これにより、第1の板に対する水流の抵抗を減らすことできる。
【0015】
また、前記魚除け装置は、前記第1の板とは異なる第2の板をさらに備え、平面視において、前記第2の板と前記撮像装置が向く方向とが第2傾斜角を形成する。
【0016】
この場合、平面視において、前記第2の板は、前記背景板側の方が前記撮像装置側よりも前記魚の通路の出口に接近している。
【0017】
この構成によれば、撮像領域を通って第2の板と背景板との間の隙間に向かう魚を撮像装置から離間させることができる。
【0018】
ここで、前記第2の板は、水を流通させるための1つ以上の孔が形成されていることが好ましい。これにより、第2の板に対する水流の抵抗を減らすことできる。
【0019】
本態様に係る魚測定装置において、前記撮像装置は、実質的に水平方向に向いており、前記第2照明装置は、少なくとも前記撮像装置が向く前記方向と実質的に同じ方向を照明するよう構成され得る。
【0020】
この構成によれば、通路を泳ぐ魚を第2照明装置によって撮像方向に照明できる。
【0021】
前記第2照明装置は、第1グループおよび第2グループにグループ化される複数のLEDのアレイを備え、第1グループは水平に照明し、第2グループは、第1グループとは異なる照明方向を照明するよう構成され得る。
【0022】
この構成によれば、通路を泳ぐ魚を第2照明装置によって水平に照明できるとともに水平とは異なる方向に照明できる。
【0023】
ここで、前記第2グループの前記照明方向は、鉛直とされ得る。これにより、第1照明装置とともに第2照明装置の第2グループによって、通路を泳ぐ魚を鉛直に照明できる。
【0024】
本態様に係る魚測定装置は、前記撮像装置、前記背景板、前記第1照明装置、前記第2照明装置および前記魚除け装置が装着されたフレームと、前記フレームを鉛直に移動させるレールと、をさらに備え得る。
【0025】
この構成によれば、レールに沿ってフレームを移動させることにより、撮像装置、背景板、第1照明装置、第2照明装置および魚除け装置を、深さ方向に一体的に移動させることができる。よって、測定対象魚種に適する深さ位置に、魚の通路および撮像位置を位置付けることができる。
【0026】
本態様に係る魚測定装置において、前記処理回路は、前記撮像画像から前記魚の通路を泳ぐ前記魚の大きさを算出するよう構成される。
【0027】
この構成によれば、高品質の魚の画像に基づいて高精度に魚の大きさを算出できる。
【0028】
本発明の第2の態様は、魚測定方法に関する。この態様に係る魚測定方法は、撮像装置の視野に背景板の少なくとも一部を配置して前記撮像装置と前記背景板との間に魚の通路を形成し、前記魚の通路の前記撮像装置側の部分を遮って前記通路を泳ぐ魚を前記撮像装置から離間させ、前記魚の通路を上および前記撮像装置側からそれぞれ照明し、前記魚の通路を泳ぐ前記魚を前記撮像装置で撮像して撮像画像に対する処理を行う。
【0029】
本態様に係る魚測定方法によれば、第1の態様に係る魚測定装置と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0030】
以上のとおり、本発明によれば、撮像画像から魚を精度良く測定することが可能な魚測定装置および魚測定方法を提供することができる。
【0031】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、魚測定装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、魚測定装置の構成を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る、魚測定装置の構成を示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る、支持フレームと昇降装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、魚測定装置から昇降装置、背景板および魚除け装置を省略した構造体の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、上フレームに対する背景板の設置状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る、魚測定装置の支持フレーム付近の構成を拡大して示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る、支持フレーム付近の構成を示す平面図である。
【
図9】
図9(a)は、実施形態に係る、魚除け装置の作用を模式的に示す図である。
図9(b)は、比較例に係る、魚除け装置が用いられない場合の状態を模式的に示す図である。
【
図10】
図10(a)は、実施形態に係る、魚除け装置が設置された場合の一方のカメラの撮像画像を模式的に示す図である。
図10(b)は、比較例に係る、魚除け装置が設置されなかった場合の一方のカメラの撮像画像を模式的に示す図である。
【
図11】
図11(a)は、他の比較例に係る、背景板が省略された場合の撮像画像を模式的に示す図である。
図11(b)は、さらに他の比較例に係る、第1照明装置が省略された場合の撮像画像を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る、魚測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13(a)は、実施形態に係る、魚測定の開始指示を受信した場合に処理ユニットの処理回路が行う処理を示すフローチャートである。
図13(b)は、変更例1に係る、魚測定の開始指示を受信した場合に処理ユニットの処理回路が行う処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14(a)は、変更例2に係る、魚除け装置の作用を模式的に示す図である。
図14(b)は、変更例2の他の構成に係る、魚除け装置の作用を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、屋内の生簀に魚測定装置が設置される。便宜上、図面には、互いに直交するXYZ軸が適宜付記されている。X軸方向およびY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。X軸正方向は、魚の移動する方向である。
【0034】
図1は、魚測定装置1の斜視図である。
図2および
図3は、それぞれ、魚測定装置1をX軸正方向およびX軸負方向に見たときの側面図である。
図2には、魚測定装置1の設置状態が示されている。
【0035】
図1~
図3に示すように、魚測定装置1は、支持フレーム10と、昇降装置20と、撮像装置30と、第1照明装置40と、第2照明装置50と、背景板60と、魚除け装置70と、処理ユニット80と、を備える。
【0036】
背景板60が撮像装置30に対向して設置されることにより、撮像装置30と背景板60との間に、魚の通路A1が形成される。第1照明装置40は、魚の通路A1を上から照らす。第2照明装置50は、魚の通路A1を撮像装置30側から照らす。魚除け装置70は、魚の通路A1の撮像装置30側の部分を遮って、撮像装置30と魚との距離を確保する。
【0037】
支持フレーム10は、上フレーム11と下フレーム12とを備える。昇降装置20は、X軸方向に並ぶ一対のレール21と、突出部22、23とを備える。突出部22は、一対のレール21の上端をX軸方向に接続する梁の中央からY軸負方向に突出している。突出部23は、一対のレール21の下端をX軸方向に接続する梁の中央からY軸正方向に突出している。上フレーム11および下フレーム12は、複数のガイドローラ24および複数のガイドローラ25によって、鉛直方向に移動可能に、一対のレール21に支持されている。
【0038】
図2に示すように、魚測定装置1は、突出部22が生簀2の縁に掛けられることにより、生簀2に設置される。突出部22は、所定の固定具で、生簀2の縁に固定される。支持フレーム10は、昇降装置20に案内されながら、水面3から水中に沈められる。この状態で、昇降装置20は、生簀2の網2aから所定距離だけ離れている。使用者は、ロープ26を手繰って、撮像装置30を測定対象の魚が泳ぐ深度に位置づける。その後、使用者は、ロープ26を生簀2の縁に固定する。これにより、魚測定装置1の設置が完了する。
【0039】
生簀2内の水は、水流装置によりX軸負方向に流される。これにより、生簀2内の魚は、X軸正方向に泳ぐ。このとき、生簀2内の魚の一部が通路A1を通る。これにより、魚が撮像装置30によって撮像される。撮像された魚の画像は、図示しない通信ケーブルを介して、処理ユニット80から生簀2上の端末(図示せず)に送信される。こうして、端末において、魚の画像から、魚の大きさが測定される。生簀2内の水が流される方向はX軸負方向に限定されるものではなく、X軸正方向であってもよい。
【0040】
図4は、支持フレーム10と昇降装置20の構成を示す斜視図である。
【0041】
上フレーム11は、2つのアーチ部11aと、アーチ部11bと、ループ部11cとを一体的に備える。平面視において、ループ部11cはY軸方向に長い長方形である。ループ部11cの2つの長辺を跨ぐように、2つのアーチ部11aがY軸方向に並んで形成されている。Y軸方向に見て、アーチ部11aは矩形である。2つのアーチ部11aは、同じ形状である。ループ部11cのY軸負側の短辺の中央にアーチ部11bが形成されている。Y軸方向に見て、アーチ部11bは矩形である。アーチ部11bは、アーチ部11aと同じ高さであり、X軸方向の幅がアーチ部11aより狭い。
【0042】
下フレーム12は、2つの梁部12aと、ループ部12bと、2つの突出部12cと、板部12dとを一体的に備える。Y軸方向に見て、ループ部12bは、X軸方向に長い長方形である。ループ部12bの2つの長辺を接続するように、2つの梁部12aがX軸方向に並んで形成されている。2つの突出部12cは、それぞれ、ループ部12bの上側の2つの角からY軸正方向に突出している。板部12dは、ループ部12bの2つの長辺を接続するように形成されている。板部12dのY軸正側の面は、ループ部12bのY軸正側の面と同じ平面に含まれる。板部12dのY軸負側は、ループ部12bのY軸負側の面から突出している。
【0043】
上フレーム11は、X軸方向に対称且つY軸方向に対称な形状である。下フレーム12は、X軸方向に対称且つZ軸方向に対称な形状である。上フレーム11および下フレーム12は、剛性が高く錆びにくい材料から構成される。上フレーム11および下フレーム12は、たとえば、SUS等の金属材料から構成される。上フレーム11および下フレーム12の断面は、略正方形である。昇降装置20のレール21、突出部22および突出部23も、SUS等の剛性が高く錆びにくい材料から構成される。レール21の断面は、略正方形である。
【0044】
上フレーム11には、アーチ部11bのX軸正側の辺に2つのガイドローラ24が設置され、アーチ部11bのX軸負側の辺に2つのガイドローラ24が設置される。ガイドローラ24は、Y軸方向に並ぶ一対のローラ24aを有する。これら一対のローラ24aは、レール21をY軸方向に挟む。これにより、上フレーム11は、Y軸方向の移動を規制されつつ、上下方向に移動可能にレール21に支持される。
【0045】
また、ループ部11cのY軸負側の辺に2つのガイドローラ25が設置される。ガイドローラ25は1つのローラ25aを備える。ループ部11cに設置された2つのガイドローラ25のうち、X軸正側のガイドローラ25のローラ25aは、X軸正側のレール21のX軸正側の面に当接し、X軸負側のガイドローラ25のローラ25aは、X軸負側のレール21のX軸負側の面に当接する。これにより、上フレーム11は、X軸方向の移動を規制されつつ、上下方向に移動可能にレール21に支持される。
【0046】
下フレーム12には、X軸正側の梁部12aに2つのガイドローラ24が設置され、X軸負側の梁部12aに2つのガイドローラ24が設置される。これらガイドローラ24の一対のローラ24aによって、レール21がY軸方向に挟まれる。これにより、下フレーム12は、Y軸方向の移動を規制されつつ、上下方向に移動可能にレール21に支持される。
【0047】
また、ループ部12bの上辺に2つのガイドローラ25が設置される。これらガイドローラ25のうち、X軸正側のガイドローラ25のローラ25aは、X軸正側のレール21のX軸正側の面に当接し、X軸負側のガイドローラ25のローラ25aは、X軸負側のレール21のX軸負側の面に当接する。これにより、下フレーム12は、X軸方向の移動を規制されつつ、上下方向に移動可能にレール21に支持される。
【0048】
こうして、上フレーム11および下フレーム12は、それぞれ、複数のガイドローラ24および複数のガイドローラ25によって、上下方向に移動可能にレール21に支持される。下フレーム12の下方向の移動は、突出部23によって規制される。すなわち、ループ部12bの下面が突出部23の上面に当接することにより、下フレーム12が昇降装置20から下方向に抜け落ちることが規制される。
【0049】
上フレーム11は、下フレーム12の一対の突出部12cに支えられる。この状態で、ループ部11cのY軸負側の辺とループ部12bの上辺とが、たとえば位置B1で結束される。これにより、上フレーム11と下フレーム12とが一体化される。さらに、アーチ部11bの上辺にロープ26が接続される。これにより、ロープ26を上方に手繰ることで、支持フレーム10を上方に移動させることができる。
【0050】
なお、昇降装置20は、支持フレーム10の上方への移動を規制する構成を備えていない。このため、支持フレーム10は、昇降装置20から容易に取り外すことができる。また、複数のガイドローラ24および複数のガイドローラ25を一対のレール21に上から噛み合わせることで、支持フレーム10を昇降装置20に容易に装着することができる。
【0051】
図5は、
図1に示した魚測定装置1から昇降装置20、背景板60および魚除け装置70を省略した構造体の構成を示す斜視図である。
【0052】
撮像装置30は、X軸方向に並ぶ2つのカメラ31、32を備える。カメラ31、32は、魚の大きさを測定するためのステレオカメラを構成する。カメラ31、32は、支持板13を介して、下フレーム12に取り付けられる。すなわち、支持板13が下フレーム12の板部12dに設置され、支持板13の下面にカメラ31、32が設置される。支持板13は、SUS等の剛性が高く錆びにくい材料から構成される。
【0053】
カメラ31、32の撮像方向は、実質的に水平方向である。カメラ31の撮像方向は、Y軸正方向から所定角度だけX軸正方向に傾いている。カメラ32の撮像方向は、Y軸正方向から所定角度だけX軸負方向に傾いている。Y軸方向に対するカメラ31、32の撮像方向の傾き角は、互いに同じである。
【0054】
第1照明装置40は、X軸方向に並ぶ2つの照明ユニット41、42を備える。照明ユニット41は、Y軸方向に延びる一対のLEDアレイ41aと、これらLEDアレイ41aを支持する平板状のベース板41bとを備える。LEDアレイ41aには、複数のLED(Light Emitting Diode)がY軸方向に並んで配置されている。各LEDは、所定の広がり角で白色光を出射する。ベース板41bは、錆びにくい材料から構成される。ベース板41bが上フレーム11の2つのアーチ部11aの下面に装着されることにより、照明ユニット41が上フレーム11に設置される。
【0055】
照明ユニット42は、照明ユニット41と同様の構成である。照明ユニット42は、Y軸方向に延びる一対のLEDアレイ42aと、これらLEDアレイ42aを支持する平板状のベース板42bとを備える。LEDアレイ42aには、複数のLEDがY軸方向に並んで配置されている。ベース板42bが上フレーム11の2つのアーチ部11aの下面に装着されることにより、照明ユニット42が上フレーム11に設置される。
【0056】
第2照明装置50は、X軸方向に並ぶ2つの照明ユニット51、52を備える。照明ユニット51は、互いに並行に延びる3対のLEDアレイ51a、51b、51cと、これらLEDアレイを支持する平板状のベース板51dと、を備える。LEDアレイ51a、51b、51cには、それぞれ、複数のLEDが、LEDアレイの延びる方向に並んで配置されている。各LEDは、所定の広がり角で白色光を出射する。ベース板51dは、X軸に平行な2つの折り曲げ線により2段に折り曲げられている。ベース板51dは、錆びにくい材料から構成される。
【0057】
一対のLEDアレイ51aは、X-Z平面に平行なベース板51dの部分に配置されている。一対のLEDアレイ51bは、X-Y平面に平行なベース板51dの部分に配置されている。一対のLEDアレイ51cは、X-Z平面およびX-Y平面に対して傾斜したベース板51dの部分に配置されている。したがって、照明ユニット51に配置された複数のLEDは、2つの折り曲げ線によって、一対のLEDアレイ51aに含まれる第1グループと、一対のLEDアレイ51bに含まれる第2グループと、一対のLEDアレイ51cに含まれる第3グループとに区分される。
【0058】
ベース板51dのX-Z平面に平行な部分が、ループ部12bのX軸負側の辺の前面に設置され、ベース板51dのX-Y平面に平行な部分が、X軸負側の突出部12cの下面に設置される。これにより、照明ユニット51が、下フレーム12に設置される。
【0059】
照明ユニット52は、照明ユニット51と同様の構成を備える。照明ユニット52は、互いに並行に延びる3対のLEDアレイ52a、52b、52cと、これらLEDアレイを支持する平板状のベース板52dと、を備える。照明ユニット52の設置方法は、照明ユニット51と同様である。2段に折り曲げられたベース板52dが、下フレーム12のX軸正側のループ部12bのY軸正側の面および突出部12cの下面に設置されることにより、照明ユニット52が下フレーム12のX軸正側の端部に設置される。照明ユニット52に配置された複数のLEDは、一対のLEDアレイ52aに含まれる第1グループと、一対のLEDアレイ52bに含まれる第2グループと、一対のLEDアレイ52cに含まれる第3グループとに区分される。
【0060】
一対のLEDアレイ51a、52a(第1グループのLED)の照射方向は、実質的に水平方向(Y軸正方向)である。一対のLEDアレイ51b、52b(第2グループのLED)の照射方向は、実質的に鉛直下方向(Z軸負方向)である。一対のLEDアレイ51c、52c(第3グループのLED)の照射方向は、水平方向(Y軸正方向)から所定角度(たとえば45°)だけ鉛直下方向に傾いた方向である。
【0061】
支持板13の上面には、処理ユニット80が設置される。処理ユニット80は、防水構造を備えたボックス内に回路基板が収容されて構成される。回路基板には、撮像装置30、第1照明装置40および第2照明装置50を制御するための処理回路と、生簀外の陸上に設置された端末と通信を行うための通信インタフェースとが実装されている。処理ユニット80と端末とは、図示しない通信ケーブルによって接続される。
【0062】
図6は、上フレーム11に対する背景板60の設置状態を示す斜視図である。
【0063】
背景板60は、支持板61を介して上フレーム11に設置される。すなわち、上フレーム11のループ部11cのY軸正側の面に支持板61が設置され、この支持板61のY軸負側の面に背景板60が設置される。支持板61は、剛性が高く錆びにくい金属材料から構成される。背景板60は、均一な厚みの板状の部材である。背景板60は、樹脂等の錆びにくい材料から構成される。背景板60は、Y軸負側の面がY軸方向に垂直となるように上フレーム11に設置される。
【0064】
背景板60は、無地で、且つ、均一な色を有する。背景板60の色として、撮像画像上において魚とのコントラストが高い色が選択される。たとえば、対象魚種がサバの場合、背景板60の色として白が選択される。
【0065】
図7は、魚測定装置1の支持フレーム10付近の構成を拡大して示す斜視図である。
図8は、支持フレーム10付近の構成を示す平面図である。
【0066】
魚除け装置70は、X軸方向に並ぶ第1の板71および第2の板72を備える。第1の板71は、支持板13上面のX軸負側の端部に設置され、第2の板72は、支持板13上面のX軸正側の端部に設置される。
【0067】
第1の板71および第2の板72には、水を流通させるための複数の円形の孔71a、72a(孔72aについては
図3参照)が形成されている。孔71a、72aは、必ずしも複数でなくてもよく、円形でなくてもよい。たとえば、第1の板71および第2の板72の中央付近に、魚が通り抜けできない程度の矩形の大きな孔が1つだけ形成されてもよい。
【0068】
図8に示すように、カメラ31、32の撮像方向は、それぞれ、Y軸方向から同じ角度だけ互いに逆の方向に傾いている。しかし、撮像装置30が向く方向は、Y軸正方向である。すなわち、X軸方向における2つのカメラ31、32の中間位置と、これらカメラ31、32の視野FV1、FV2が重なる範囲のX軸方向の中間位置とを結ぶ方向が、撮像装置30が向く方向となる。したがって、撮像装置30が向く方向は、Y軸正方向である。
【0069】
平面視において、第1の板71と撮像装置30が向く方向とが第1傾斜角θ1を形成し、第2の板72と撮像装置30が向く方向とが第2傾斜角θ2を形成する。第1傾斜角θ1および第2傾斜角θ2は、撮像装置30が向く方向に対して、0度でもなく、90度でもない角度である。ここでは、第1傾斜角θ1と第2傾斜角θ2は同じである。第1傾斜角θ1と第2傾斜角θ2とが、互いに相違していてもよい。
【0070】
また、平面視において、第1の板71は、背景板60側の方が撮像装置30側よりも魚の通路A1の入口A11に接近し、第2の板72は、背景板60側の方が撮像装置30側よりも魚の通路A1の出口A12に接近している。すなわち、第1の板71と第2の板72は、撮像装置30から離れるほど、X軸方向の距離が長くなっており、外側に開いた状態となっている。
【0071】
魚除け装置70は、背景板60と魚除け装置70(第1の板71および第2の板72)との間の最短距離D2が、背景板60と撮像装置30との間の最短距離D1より小さくなるように、魚の通路A1に配置されている。背景板60は、少なくとも一部が撮像装置30の視野FV1、FV2に配置される広さを有する。
【0072】
図9(a)は、魚除け装置70の作用を模式的に示す図である。
図9(b)は、魚除け装置70が用いられない場合(比較例)の状態を模式的に示す図である。
【0073】
図9(a)に示すように、魚除け装置70(第1の板71、第2の板72)が設置されると、魚F1は、通路A1のうち、魚除け装置70と背景板60との間の隙間を通ってX軸正方向に泳ぐ。これにより、魚F1と撮像装置30との距離が確保される。
【0074】
これに対し、
図9(b)に示すように、魚除け装置70(第1の板71、第2の板72)が設置されていない場合、魚F1は、通路A1の全幅の範囲を泳ぐ。このため、魚F1と撮像装置30との距離を確保できず、魚F1が撮像装置30に接近しすぎた状態となる。
【0075】
図10(a)は、魚除け装置70が設置された場合のカメラ31の撮像画像P1を模式的に示す図である。
図10(b)は、魚除け装置70が設置されなかった場合(比較例)のカメラ31の撮像画像P1を模式的に示す図である。
【0076】
図10(a)に示すように、魚除け装置70が設置された場合は、魚F1と撮像装置30との距離が魚の撮像に好ましい距離に確保されるため、撮像画像P1に魚の画像P11の全体が含まれやすくなる。また、魚除け装置70によって、通路A1を泳ぐ魚の数が制限されるため、撮像画像P1において、魚の画像P11が互いに分離しやすくなる。このため、撮像画像P1から、破線で示す魚の領域を円滑に抽出でき、魚の特徴量を円滑に算出できる。
【0077】
これに対し、魚除け装置70が設置されていない場合は、魚F1と撮像装置30との距離が確保されないため、
図10(b)に示すように、撮像画像P1において、撮像装置30に接近した魚の画像P12が大きな領域を占めてしまう。この場合、この魚は、カメラ31に接近しすぎて、カメラ31の視野に収まりにくい。また、この魚は、大半がカメラ31の視野のみに含まれるため、他方のカメラ32では撮像されにくい。このため、ステレオカメラの視差によりこの魚の大きさを測定することは困難である。
【0078】
また、この魚の背後の魚は、この魚に隠れるため、全体が撮像されにくい。さらに、魚除け装置70が無い場合は、通路A1を泳ぐ魚の数が制限されないため、通路A1に魚が密集する。このため、
図10(b)に示すように、撮像画像P1において魚が重なり合ってしまい、他の魚も魚全体の画像を取得することが困難となる。したがって、他の魚の画像からも、魚の大きさを測定することが困難である。
【0079】
このように、本実施形態に係る構成の魚測定装置1によれば、魚除け装置70が設置されることにより、魚の大きさの測定に適する撮像画像をカメラ31、32(撮像装置30)によって取得できる。よって、カメラ31、32の撮像画像から魚の大きさを適正に測定できる。
【0080】
図11(a)は、本実施形態の構成から背景板60が省略された場合(他の比較例)の撮像画像P1を模式的に示す図である。
【0081】
図11(a)に示すように、背景板60が無い場合は、奥行き方向に魚が重なり合い、且つ、背景が暗いため、撮像画像P1から魚の画像P11を抽出しにくい。これに対し、背景板60が設置されると、
図10(a)に示すように、撮像される魚の数が制限され、且つ、撮像される魚の背景と魚との間のコントラストが高くなる。このため、撮像画像P1から魚の画像P11を適正に抽出できる。よって、魚の画像P11から魚の大きさを適正に測定できる。なお、魚の少ない生簀や魚密度の低い生簀では魚の重なりが少なくなるため、魚測定装置1に背景板60を備えなくてもよい。
【0082】
また、魚の通路A1は、撮像装置30と背景板60との間に限定されるものではない。魚の通路A1は、撮像装置30を一方とし、背景板60の代わりに、例えば生簀2の側面、またはオープンウォーターを含む他の何かによって定義されてもよい。
【0083】
図11(b)は、本実施形態の構成から第1照明装置40が省略された場合(さらに他の比較例)の撮像画像P1を模式的に示す図である。
【0084】
図11(b)に示すように、背景板60が無い場合は、屋内の光が撮像装置30の深度まで届きにくいため、撮像画像P1の全体が暗くなり、且つ、魚の画像P11において魚の背中の部分が暗くなる。このため、撮像画像P1から魚の画像P11を適正に抽出できないことが起こり得る。
【0085】
また、第2照明装置50からの光の光量を高めると、上記の問題は解消されるものの、魚の側面や腹の部分が明るくなりすぎて、ハレーションが生じてしまう。このため、ハレーションが生じた部分の特徴量が消失してしまい、魚の測定を適正に行えないことが起こり得る。
【0086】
これに対し、第1照明装置40が設置されると、魚の通路A1を上方から照らすことができる。このため、
図10(a)に示すように、全体が明るい撮像画像P1を取得でき、且つ、魚の背中が明るい魚の画像P11を取得できる。よって、魚の画像P11から魚の大きさを適正に測定できる。
【0087】
なお、本実施形態の構成では、ハレーションを回避しつつ良好な魚の画像P11が得られるように、第1照明装置40および第2照明装置50の光量が調節されればよい。また、この調節が、生簀2に収容される魚、すなわち測定対象の魚の種類に応じて変更されればよい。これにより、魚種に応じて、適切に、撮像画像から魚の測定を行うことができる。
【0088】
図12は、魚測定装置1の構成を示すブロック図である。
【0089】
処理ユニット80は、処理回路101と、通信インタフェース102とを備える。処理回路101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理回路と、ROM(ReadOnly Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを備え、メモリに記憶されたプログラムによって、撮像に関する処理を実行する。処理回路101がFPGA(field-programmable gate array)を備えていてもよい。通信インタフェース102は、通信ケーブルを介して、地上の端末90と通信を行う。
【0090】
端末90は、制御回路201と、表示入力部202と、通信インタフェース203とを備える。端末90は、必ずしも専用機でなくてもよく、タブレット端末であってもよい。制御回路201は、CPU等の演算処理回路と、ROM、RAM等のメモリを備え、メモリに記憶されたプログラムによって、魚の測定に関する処理を実行する。端末90がタブレット端末である場合、魚測定に関するプログラムがダウンロードされてメモリに記憶される。表示入力部202は、たとえば、タッチパネルにより構成され、所定の情報を含む画面を表示するとともに、この画面に対する入力を受け付ける。通信インタフェース203は、通信ケーブルを介して、水中の処理ユニット80と通信を行う。
【0091】
使用者は、端末90の表示入力部202を介して、魚測定の開始指示を入力する。端末90の制御回路201は、通信インタフェース203を介して、処理ユニット80に開始指示を送信する。これにより、処理ユニット80の処理回路101は、撮像装置30(カメラ31、32)に撮像を開始させ、撮像画像を順次、端末90に送信する。端末90の制御回路201は、受信した撮像画像から魚を検出し、個々の魚の大きさを算出する。
【0092】
より詳細には、制御回路201は、カメラ31、32により取得された画像中の魚を検出し、検出した魚の画像に基づいて当該検出された魚の大きさを算出する。制御回路201は、画像中の魚の尾又長(魚の体長)および体高を算出し、さらに、この算出結果から当該魚の体重(推定値)を算出する。尾又長および体高は、画像上の魚の領域と、カメラ31、32の視差により算出される当該魚までの距離とに基づいて算出され得る。体重(推定値)の算出には、当該魚の魚種が加味されてもよい。
【0093】
制御回路201は、魚を含む画像に基づいて、当該画像に含まれる魚の魚種を識別してもよい。この場合、制御回路201は、魚を含む画像が入力されると、当該魚の魚種を出力する学習処理の機能を備える。予め、所定の魚種の魚の画像で学習が行われる。その学習は、AI(Artificial Intelligence)に基づく学習であってよい。
【0094】
制御回路201は、こうして算出した魚の大きさを表示入力部202に表示させる。この場合、魚の大きさ(尾又長、体高、体重、等)は、平均の大きさや、各大きさの度数を示すヒストグラム等によって表示され得る。
【0095】
使用者は、表示入力部202を介して、第1照明装置40および第2照明装置50の光量を調節できてよい。この場合、使用者は、測定に先立ち、表示入力部202を介して、光量調節の指示を入力する。これにより、処理回路101は、デフォルトの光量で第1照明装置40および第2照明装置50を駆動させ、さらに撮像装置30に撮像を実行させる。撮像装置30により取得された撮像画像は、順次、端末90に送信され、表示入力部202に表示される。
【0096】
使用者は、表示入力部202に表示された画像を参照しつつ、表示入力部202を介して、第1照明装置40および第2照明装置50の光量を調節する。使用者は、測定対象の魚の画像がクリアになり、且つ、この魚の画像にハレーションが生じないように、第1照明装置40および第2照明装置50の光量を調節する。
【0097】
こうして、光量調節が完了すると、使用者は、表示入力部202を介して、調節完了の入力を行う。これにより、調節完了の通知が端末90から処理ユニット80に送信される。処理ユニット80の処理回路101は、第1照明装置40および第2照明装置50に対する調節後の光量(光量の階調)を記憶する。測定動作時において、処理回路101は、記憶した光量で、第1照明装置40および第2照明装置50を駆動する。
【0098】
なお、本実施形態のように、屋内の生簀2に魚測定装置1が設置される場合、第1照明装置40の光量は、通常、第2照明装置50の光量より大きく設定される。すなわち、第1照明装置40により撮像領域が明るく照明され、これにより不足する光量が、第2照明装置50により補われる。
【0099】
図13(a)は、魚測定の開始指示を受信した場合に処理ユニット80の処理回路101が行う処理を示すフローチャートである。
【0100】
開始指示を受信すると、処理回路101は、第1照明装置40および第2照明装置50を所定の光量でそれぞれ駆動する(S11)。第1照明装置40および第2照明装置50の光量は、たとえば、上記のように使用者が事前に調節した光量に設定される。これに限らず、第1照明装置40および第2照明装置50の光量は、魚種ごとに予め規定されたデフォルトの光量であってもよい。この場合、処理回路101は、予め、魚種ごとに光量を記憶しており、端末90から開始指示とともに受信した魚種に対応する光量を、第1照明装置40および第2照明装置50に設定する。
【0101】
次に、処理回路101は、撮像装置30(カメラ31、32)に撮像を開始させ(S12)、カメラ31、32でそれぞれ撮像された撮像画像を順次、通信インタフェース102を介して、端末90に出力する(S13)。処理回路101は、端末90から測定終了の指示を受信するまで(S14:NO)、撮像および撮像画像の出力を継続する。その後、端末90から測定終了の指示を受信すると(S14:YES)、処理回路101は、第1照明装置40および第2照明装置50を停止させ(S15)、さらに、撮像装置30を停止させる(S16)。これにより、
図13(a)の処理が終了する。
【0102】
<実施形態の効果>
実施形態の構成によれば、以下の効果が奏され得る。
【0103】
図1~
図9(a)、
図13(a)に示したように、魚測定装置1は、撮像装置30の視野FV1、FV2に背景板60の少なくとも一部を配置して撮像装置30と背景板60との間に魚の通路A1を形成し、魚の通路A1の撮像装置30側の部分を魚除け装置70で遮って通路A1を泳ぐ魚を撮像装置30から離間させ、第1照明装置40および第2照明装置50により魚の通路A1を上および撮像装置30側からそれぞれ照明し、魚の通路A1を泳ぐ魚を撮像装置30で撮像して撮像画像に対する処理(撮像画像の出力:
図13(a)のステップS13)を行う。
【0104】
これにより、撮像の際に、第1照明装置40と第2照明装置50の照明強度(光量)および照明比率を魚種に応じて調節することにより、魚の体上部および体下部の両方を良好に照明できる。また、魚の通路A1の背景に背景板60が配置されるため、どのような生簀環境であっても、魚と背景とのコントラストを高め得る。さらに、魚の通路A1の撮像装置30側の部分が魚除け装置70で遮られるため、生簀2内において魚の密度が高い場合であっても、撮像領域に含まれる魚の数を少なくでき、且つ、魚の計測に必要な距離を魚と撮像装置30との間に確保できる。これにより、
図10(a)に示したように、高品質の魚の画像P11を取得でき、水中を泳ぐ魚を精度良く測定できる。
【0105】
図8に示したように、魚除け装置70は、背景板60と魚除け装置70との間の最短距離D2が、背景板60と撮像装置30との間の最短距離D1より小さくなるように、魚の通路A1に配置される。これにより、背景板60と魚除け装置70との間の最短距離D2と、背景板60と撮像装置30との間の最短距離D1との差分だけ、魚を撮像装置30から離間させやすくなる。よって、
図9(a)および
図10(a)を参照して説明したように、良好な魚の画像P11を取得することができる。
【0106】
図8に示したように、魚除け装置70は、1つ以上の板を備える。より詳細には、魚除け装置70は、第1の板71を備え、平面視において、第1の板71と撮像装置30が向く方向とが第1傾斜角θ1を形成する。また、平面視において、第1の板71は、背景板60側の方が撮像装置30側よりも魚の通路A1の入口A11に接近している。これにより、
図9(a)に示したように、第1の板71と背景板60との間の隙間を通って撮像領域に進入する魚F1を撮像装置30から離間させることができる。
【0107】
また、
図8に示したように、魚除け装置70は、第1の板71とは異なる第2の板72をさらに備え、平面視において、第2の板72と撮像装置30が向く方向とが第2傾斜角θ2を形成する。また、平面視において、第2の板72は、背景板60側の方が撮像装置30側よりも魚の通路A1の出口A12に接近している。これにより、
図9(a)に示したように、撮像領域を通って第2の板72と背景板60との間の隙間に向かう魚F1を撮像装置30から離間させることができる。
【0108】
図1~3、
図7に示したように、第1の板71および第2の板72は、水を流通させるための1つ以上の孔71a、72aが形成されている。これにより、第1の板71および第2の板72に対する水流の抵抗を減らすことができ、第1の板71および第2の板72を安定な状態に維持できる。
【0109】
図5に示したように、撮像装置30(カメラ31、32)は、実質的に水平方向(X-Y平面に平行な方向)に向いており、第2照明装置50は、少なくとも撮像装置30が向く方向(Y軸正方向)と実質的に同じ方向を照明する。これにより、通路A1を泳ぐ魚を第2照明装置50によって撮像方向に照明できる。
【0110】
図5に示したように、第2照明装置50は、第1グループおよび第2グループにグループ化される複数のLEDのアレイ(LEDアレイ51a~51c、52a~52c)を備え、第1グループ(LEDアレイ51a、52a)は水平に照明し、第2グループ(LEDアレイ51b、52bおよび/またはLEDアレイ51c、52c)は、第1グループとは異なる照明方向を照明する。これにより、通路A1を泳ぐ魚を、第2照明装置50によって、水平に照明できるとともに水平とは異なる方向に照明できる。
【0111】
図5に示したように、第2グループ(LEDアレイ51b、52b)の照明方向は、鉛直である。これにより、第1照明装置40とともに第2照明装置50の第2グループによって、通路A1を泳ぐ魚を鉛直に照明できる。
【0112】
図1~3に示したように、魚測定装置1は、撮像装置30、背景板60、第1照明装置40、第2照明装置50および魚除け装置70が装着された支持フレーム10と、支持フレーム10を鉛直に移動させるレール21と、を備える。これにより、レール21に沿って支持フレーム10を移動させることにより、撮像装置30、背景板60、第1照明装置40、第2照明装置50および魚除け装置70を、深さ方向に一体的に移動させることができる。よって、測定対象魚種に適する深さ位置に、魚の通路A1および撮像位置を位置付けることができる。
【0113】
また、作業者は、支持フレーム10を上方に引き上げることにより、支持フレーム10をレール21から容易に取り外すことができる。このため、使用者は、魚測定装置1の設置後に、支持フレーム10を適宜レール21から取り外して、支持フレーム10に装着された部材(たとえば、背景板60)を容易に交換および着脱できる。また、使用者は、各部材が装着された支持フレーム10と昇降装置20とを適宜分離することにより、魚測定装置1を容易に運搬することができる。
【0114】
<変更例1>
上記実施形態では、処理回路101は、撮像画像に対する処理として、端末90に撮像画像を出力する処理(
図13(a)のステップS13)を行ったが、処理回路101が行う処理は、これに限られるものではない。たとえば、処理回路101は、撮像画像から魚の大きさを算出する処理を行い、この算出結果を端末90に出力してもよい。
【0115】
図13(b)は、この場合の処理を示すフローチャートである。
【0116】
図13(b)のフローチャートは、
図13(a)のフローチャートのステップS13が、ステップS21に変更されている。
図13(b)のその他のステップは、
図13(a)の対応するステップと同様である。
【0117】
ステップS21において、処理回路101は、撮像装置30(カメラ31、32)により取得された撮像画像に基づき魚の大きさ(尾又長、体高、体重、等)を算出し、算出結果を順次、端末90に出力する。魚の大きさの算出方法は、上記実施形態において、端末90により行われる算出方法と同様である。
【0118】
この構成によっても、上記実施形態と同様、
図10(a)に示した高品質の魚の画像に基づいて高精度に魚の大きさを算出できる。また、魚の大きさの算出処理が処理ユニット80側で行われるため、端末90の処理負荷を軽減できる。
【0119】
なお、
図13(b)の処理において、処理回路101は、さらに、撮像装置30により取得された撮像画像を端末90に出力してもよい。これにより、端末90は、魚の大きさの算出結果とともに、水中を泳ぐ魚の様子を表示入力部202に表示させることができ、使用者は、魚の大きさとともに生簀2内の魚の様子を把握することができる。
【0120】
<変更例2>
魚除け装置70の構成は、上記実施形態に示した構成に限られるものではなく、種々変更され得る。
【0121】
たとえば、
図14(a)に示すように、第2の板72が省略され、魚除け装置70が第1の板71のみを備えていてもよい。この場合も、上記実施形態と同様、入口A11から撮像領域に進入する魚F1を撮像装置30から離間させることができる。
【0122】
但し、この場合、第2の板72によって出口A12が制限されていないため、第1の板71と背景板60との間を通過した魚F1は、泳ぐ方向を、徐々に撮像装置30に接近する方向に変更しやすい。このため、上記実施形態に比べて、魚F1がやや傾いて撮像されやすく、また、魚F1と撮像装置30との距離が適正な距離からやや短くなりやすい。したがって、高い品質の魚の画像を得るためには、上記実施形態のように、第1の板71とともに、さらに第2の板72が設置されることが好ましい。
【0123】
また、
図14(b)に示すように、第1の板71と第2の板72が、撮像装置30が向く方向(Y軸正方向)に対して傾かずに設置されてもよい。この場合も、上記実施形態と同様、入口A11から撮像領域に進入する魚F1を撮像装置30から離間させることができ、且つ、出口A12に向かって撮像領域を進む魚F1を撮像装置30から離間させることができる。
【0124】
但し、この場合は、入口側の第1の板71に直面した魚F1は、第1の板71によってY軸負方向に案内されにくいため、この魚F1が、第1の板71と背景板60との間の隙間に向かうことが起こり得る。このため、この隙間を通過する魚の密度が高まり、上記実施形態の場合より多くの魚が、撮像画像に含まれやすくなる。
【0125】
また、第1の板71と背景板60との間を通過した魚F1が、偶発的に撮像装置30に接近する方向に向かった場合、出口側の第2の板72が障害となって、
図14(b)の矢印のように、第1の板71と第2の板72との間をこの魚F1が周回することが起こり得る。これにより、魚F1が周回する間は、適正な魚の画像が得られにくくなる。
【0126】
これに対し、上記実施形態では、
図9(a)に示すように、第1の板71が傾いているため、第1の板71に直面した魚F1は、第1の板71によってY軸負方向に案内されやすい。このため、第1の板71と背景板60との間の隙間を通過する魚F1の密度が高まることを抑制でき、撮像画像に含まれる魚の数を少なくできる。よって、撮像画像上において、魚を分離させやすくなる。
【0127】
また、
図9(a)に示すように、第2の板72も傾いているため、偶発的に撮像装置30に接近する方向に魚F1が向かったとしても、この魚F1は、第2の板72によって、第2の板72と背景板60との間の範囲へと案内される。このため、第1の板71と第2の板72との間を魚F1が周回することを抑制でき、適正な魚の画像を安定的に得ることができる。
【0128】
また、魚除け装置70に設けられる板の数は、2つまたは1つに限られるものではなく、3つ以上であってもよい。たとえば、入口側の第1の板71が、Z軸方向に複数に分割されてもよく、出口側の第2の板72が、Z軸方向に複数に分割されてもよい。
【0129】
また、第1の板71および第2の板72の形状は、上記実施形態に示した形状に限られるものではなく、他の形状であってもよい。たとえば、第1の板71のZ軸方向の両端がZ軸方向の中央よりも通路A1の出口A12に近づくように、第1の板71が屈曲していてもよく、あるいは、第1の板71が円弧状に曲がっていてもよい。これにより、通路A1に進入し第1の板71に直面した魚を上下に逃がしやすくなる。
【0130】
また、第2の板72のZ軸方向の両端がZ軸方向の中央よりも通路A1の入口A11から離れるように、第2の板72が屈曲していてもよく、あるいは、第2の板72が円弧状に曲がっていてもよい。これにより、第1の板71と背景板60との隙間から進入した後、偶発的に撮像装置30に接近する方向に進んで第2の板72に直面した魚を上下に逃がしやすくなる。
【0131】
また、第1の板71および第2の板72は、先端に向かうにつれてZ軸方向の幅が広くなる形状であってもよい。また、第1の板71および第2の板72に孔71a、72aが形成されていなくてもよい。また、魚除け装置70は、第1の板71および第2の板72に代えて、フレーム等の他の障害構造を備える構成であってもよい。
【0132】
<その他の変更例>
上記実施形態では、背景板60の色として白が例示されたが、背景板60の色はこれに限られるものではない。たとえば、対象魚種の魚の色が白に近い場合、青等の、対象魚種の魚とのコントラストが高い色が、背景板60の色として選択され得る。使用者は、生簀2に収容された測定対象の魚の種類に応じて、この魚とのコントラストが高い色の背景板60を支持フレーム10に設置すればよい。
【0133】
また、上記実施形態では、第2照明装置50は、水平方向のみならず、鉛直下方向および斜め方向にも光を照射したが、第2照明装置50の構成はこれに限られるものではない。たとえば、第2照明装置50は、水平方向のみに光を照射してもよい。但し、上記実施形態のように、第2照明装置50が、水平方向のみならず、鉛直下方向および斜め方向にも光を照射すると、屋内生簀において暗くなりやすい魚の背中や鰭を、第2照明装置50によって種々の角度から照らすことができる。よって、より高い品質の魚の画像を取得でき、魚の測定を精度良く行うことができる。
【0134】
第2照明装置50の照射方向は、上記実施形態に記載した3方向からさらに増やされてもよい。また、第2照明装置50の照射方向が、段階的ではなく滑らかに変化してもよい。この場合、第2照明装置50のベース板51dは、たとえば、X-Z平面に平行な部分の上端に円弧状に湾曲した部分が繋がる形状に変更され得る。
【0135】
また、第1照明装置40および第2照明装置50の光源は、ランプ等のLED以外の光源であってもよく、LEDと他の種類の光源が混在していてもよい。
【0136】
なお、上記実施形態では、屋内に設置された生簀2に魚測定装置1が適用されたが、上記構成の魚測定装置1は、屋外に設置された生簀2にも適用され得る。この場合、第1照明装置40は魚測定装置1から取り外されてもよく、あるいは、晴天時など、撮像領域に十分な光が届く場合には、第1照明装置40が消灯されてもよい。この場合も、魚除け装置70の作用により、高品質の魚の画像を得ることができ、魚の測定を精度良く行うことができる。あるいは、第1照明装置40を取り外したり消灯したりする代わりに、第2照明装置50が魚測定装置1から取り外されてもよく、あるいは、晴天時など、撮像領域に十分な光が届く場合には、第2照明装置50が消灯されてもよい。さらに別の構成では、第1照明装置40と第2照明装置50の両方が魚測定装置1から取り外されてもよく、あるいは、晴天時など、撮像領域に十分な光が届く場合には、第1照明装置40と第2照明装置50の両方が消灯されてもよい。さらに、撮像装置30の下に代替の照明装置を追加設置してもよいし、この照明装置を単独で使用してもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、支持フレーム10が上フレーム11と下フレーム12とによって構成されたが、支持フレーム10が、1つのフレームで構成されてもよく、あるいは、3つ以上のフレームで構成されてもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、X軸方向に並ぶ2つのカメラ31、32によってステレオカメラが、3つ以上のカメラによってステレオカメラが構成されてもよい。また、複数のカメラが並ぶ方向は、X軸方向でなくてもよく、他の方向であってもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、撮像装置30がカメラ31、32を含む構成であったが、撮像装置30がカメラを1つだけ含む構成であってもよい。この場合、カメラで取得された画像上の魚までの距離は、たとえば、水中超音波装置からのエコーデータによって取得され得る。水中超音波装置は、カメラに並んで配置され、撮像領域を含む範囲に対し、超音波の送受波を行う。撮像画像上の魚の位置に対応する方向において、超音波により最初に検出される魚までの距離が、撮像画像上の当該魚までの距離として取得され得る。
【0140】
また、魚測定装置1は、生簀以外の施設に用いられてもよい。すなわち、魚測定装置1は、水中を泳ぐ魚を測定する他の場面においても用いられ得る。
【0141】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【0142】
なお、
図9(a)、(b)および
図10(a)、(b)を参照して説明したように、魚除け装置70が設けられることにより、魚F1と撮像装置30との間の距離が確保され、魚F1を適正に撮像できる。これにより、魚の特徴量を円滑に算出できる。したがって、上記開示からは魚除け装置70に基づく発明も抽出できる。この発明は、たとえば、以下のように特徴づけられ得る。
水中を泳ぐ魚を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置前方の魚の通路のうち前記撮像装置側の部分を遮る魚除け装置と、
前記魚の通路を泳ぐ前記魚の撮像画像に対する処理を行う処理回路と、を備える、
ことを特徴とする魚測定装置。
この特徴には、さらに、本願出願時の請求項4ないし9の何れか一項に記載の特徴が同様に追加され得る。
【符号の説明】
【0143】
1 魚測定装置
10 支持フレーム(フレーム)
21 レール
30 撮像装置
40 第1照明装置
50 第2照明装置
51a、51b、51c、52a、52b、52c LEDアレイ
60 背景板
70 魚除け装置
71 第1の板
72 第2の板
71a、72a 孔
101 処理回路