IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グゥイヂォウ・パーティアン・エコタイピック・エンジニアリング・カンパニー・リミテッドの特許一覧 ▶ シェンツェン・パーティアン・エコタイピック・エンジニアリング・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特開2023-181994リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法
<>
  • 特開-リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法 図1
  • 特開-リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法 図2
  • 特開-リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法 図3
  • 特開-リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181994
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 25/37 20060101AFI20231218BHJP
   C05B 11/00 20060101ALI20231218BHJP
   C05D 9/02 20060101ALI20231218BHJP
   C05B 19/00 20060101ALI20231218BHJP
   B01D 19/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C01B25/37 Z
C05B11/00
C05D9/02
C05B19/00
B01D19/04 A
B01D19/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095876
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】202210659019.1
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523222219
【氏名又は名称】グゥイヂォウ・パーティアン・エコタイピック・エンジニアリング・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUIZHOU BATIAN ECOTYPIC ENGINEERING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Industrial park in Weng’an County, Qiannan Buyi and Miao Autonomous Prefecture, Guizhou Province, China (Postcode 550400)
(71)【出願人】
【識別番号】523222220
【氏名又は名称】シェンツェン・パーティアン・エコタイピック・エンジニアリング・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN BATIAN ECOTYPIC ENGINEERING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】30th, 31st Floor, United Headquarters Building, No.63, Xuefu Road, High-tech Park, Nanshan District, Shenzhen City, Guangdong Province, China (Postcode 518057)
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーミン・フアン
(72)【発明者】
【氏名】グオヂュン・ヂァオ
(72)【発明者】
【氏名】ファーアン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ヂィン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】シィーイン・フアン
(72)【発明者】
【氏名】ヂィン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】リンイン・ヂァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュンチアン・フェン
(72)【発明者】
【氏名】ヂィエンチン・フア
【テーマコード(参考)】
4D011
4H061
【Fターム(参考)】
4D011CA01
4D011CB02
4D011CB05
4H061AA02
4H061AA03
4H061BB36
4H061BB43
4H061EE16
4H061EE20
4H061GG15
4H061GG16
4H061GG26
4H061GG28
4H061GG30
4H061GG41
4H061GG52
4H061GG54
4H061GG67
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法を提供する。
【解決手段】本方法に用いる副産物肥料生産用造粒装置は、収容空間を有するハウジングを備え、前記ハウジングの収容空間は、上から下へ造粒室、篩い室および材料貯蔵室に順次仕切られ、前記造粒室と篩い室間にブローアセンブリが設けられ、前記篩い室と材料貯蔵室間に垂直に往復変位可能な振動篩が設けられ、前記材料貯蔵室に材料排出管が接続され、前記ハウジングの上端にトップキャップが着脱可能に設けられ、前記トップキャップに前記ハウジング内に溶融材料を噴霧するための多数の材料噴霧装置が設けられ、前記トップキャップに排気管が接続され、前記ブローアセンブリは千鳥状に配列されて相互に接続された分配管を含み、前記分配管の上端に多数の送風管が接続され、前記分配管の一側に空気導入管が接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得るステップと、
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得るステップと、
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得るステップと、
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得るステップとを含む、ことを特徴とするリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法。
【請求項2】
前記S11中の硝酸溶液の濃度は55~65%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量の比は1.2~1.4:1である、請求項1に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法。
【請求項3】
前記S11中の消泡剤は、ポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを質量比で1:0.5~1.5:0.5~1.5を含む、請求項1に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法。
【請求項4】
前記S12中の硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中のカルシウム理論量の90~96%である、請求項1に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法。
【請求項5】
前記S13中のアンモニアの添加量は、リン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の105~110%であり、反応pHは7~8である、請求項1に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法。
【請求項6】
前記S14では鉄源は鉄粉、酸化鉄、酸化第一鉄または硝酸第二鉄のいずれか1つまたは複数であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の90~95%である、請求項1に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法を用いてリン酸アンモニウムでリン酸第二鉄の副産物から肥料を調製する方法であって、S13中の沈殿物AとS14中の副産物である第3の溶液を混合、濃縮および溶融し、造粒装置を用いて溶融材料を造粒して硝酸リン酸肥料を得るステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記造粒装置は収容空間を有するハウジングを備え、前記ハウジングの収容空間は、上から下へ造粒室、篩い室および材料貯蔵室に順次仕切られ、前記造粒室と篩い室間にブローアセンブリが設けられ、前記篩い室と材料貯蔵室間に垂直に往復変位可能な振動篩が設けられ、前記材料貯蔵室に材料排出管が接続され、前記ハウジングの上端にトップキャップが着脱可能に設けられ、前記トップキャップに前記ハウジング内に溶融材料を噴霧するための多数の材料噴霧装置が設けられ、前記トップキャップに排気管がさらに接続される、請求項7に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄の副産物から肥料を調製する方法。
【請求項9】
前記ブローアセンブリは、千鳥状に配列されて相互に接続された多数の分配管を含み、前記分配管の上端に多数の送風管が接続され、前記分配管の一側に空気導入管がさらに接続される、請求項8に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄の副産物から肥料を調製する方法。
【請求項10】
前記振動篩の下端に振動篩の往復変位を駆動するための振動伸縮ロッドが接続され、前記振動伸縮ロッドの外側に伸縮隔離スリーブが嵌設され、前記伸縮隔離スリーブの両端はそれぞれハウジング底部と振動篩の下端に接続され、前記伸縮隔離スリーブは基準スリーブと摺動可能に接続された摺動スリーブを含み、前記基準スリーブと摺動スリーブ間にスプリングがさらに設けられる、請求項8に記載のリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄の副産物から肥料を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸第二鉄生産の技術分野に関し、特に、リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸塩濃縮物を用いてリン酸第二鉄を調製する過程で、リン酸塩濃縮物を酸分解して酸不溶物を除去する必要があるが、既存の酸分解法では、酸不溶物の除去率が低いという問題があり、残留する酸不溶物はその後のリン酸第二鉄の品質に影響を与えるだけでなく、リン酸第二鉄の副産物調製から生産した硝酸リン酸肥料の品質に影響を与えるので、リン酸塩濃縮物中の酸不溶物の除去率を高める方法の開発が急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術の技術的問題に基づいて、本発明は、リン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法を提案する。
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得るステップと、
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得るステップと、
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得るステップと、
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得るステップとを含む。
【0004】
好ましくは、前記S11中の硝酸溶液の濃度は55~65%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量の比は1.2~1.4:1である。
【0005】
好ましくは、前記S11中の消泡剤は、ポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを質量比で1:0.5~1.5:0.5~1.5を含む。
【0006】
好ましくは、前記S12中の硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中のカルシウム理論量の90~96%である。
【0007】
好ましくは、前記S13中のアンモニアの添加量は、リン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の105~110%であり、反応pHは7~8である。
【0008】
好ましくは、前記S14では鉄源は鉄粉、酸化鉄、酸化第一鉄または硝酸第二鉄のいずれか1つまたは複数であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の90~95%である。
【0009】
本発明が提供する上記方法を用いてリン酸アンモニウムでリン酸第二鉄の副産物調製肥料を調製すr方法は、S13中の沈殿物AとS14中の副産物である第3の溶液を混合、濃縮および溶融し、造粒装置を用いて溶融材料を造粒して硝酸リン酸肥料を得るステップを含む。
【0010】
好ましくは、前記造粒装置は収容空間を有するハウジングを備え、前記ハウジングの収容空間は、上から下へ造粒室、篩い室および材料貯蔵室に順次仕切られ、前記造粒室と篩い室間にブローアセンブリが設けられ、前記篩い室と材料貯蔵室間に垂直に往復変位可能な振動篩が設けられ、前記材料貯蔵室に材料排出管が接続され、前記ハウジングの上端にトップキャップが着脱可能に設けられ、前記トップキャップに前記ハウジング内に溶融材料を噴霧するための多数の材料噴霧装置が設けられ、前記トップキャップに排気管がさらに接続される。
【0011】
好ましくは、前記ブローアセンブリは、千鳥状に配列されて相互に接続された多数の分配管を含み、前記分配管の上端に多数の送風管が接続され、前記分配管の一側に空気導入管がさらに接続される。
【0012】
好ましくは、前記振動篩の下端に振動篩の往復変位を駆動するための振動伸縮ロッドが接続され、前記振動伸縮ロッドの外側に伸縮隔離スリーブが嵌設され、前記伸縮隔離スリーブの両端はそれぞれハウジング底部と振動篩の下端に接続され、前記伸縮隔離スリーブは基準スリーブと摺動可能に接続された摺動スリーブを含み、前記基準スリーブと摺動スリーブ間にスプリングがさらに設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明は、リン酸塩濃縮物を酸分解する過程で消泡剤を添加して泡の発生を抑え、本発明では、ポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルからる消泡剤は、消泡に一定の相乗作用があるだけでなく、酸不溶物の除去率も向上でき、その後調製されたリン酸第二鉄と硝酸リン酸肥料の品質を確保することができる。
【0014】
(2)本発明は、リン酸第二鉄の調製から生じる硝酸アンモニウムとリン酸アンモニウムの混合溶液(第3の溶液)に不純物金属のリン酸塩(沈殿物A)を混合して硝酸リン酸肥料を調製することにより、リン酸第二鉄調製の副産物を十分に再利用することができる。
【0015】
(3)本発明の造粒装置は、ブローアセンブリによって上昇気流を発生させ、落下状態の材料に作用して、材料を落下させながら回転させることにより、調製された肥料粒子がより均一で、表面がより滑らかであり、ハウジング内に設けられた振動篩によって、材料を篩い分けて必要な粒子径の硝酸リン酸肥料を獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄および副産物肥料を調製する方法のフローチャートである。
図2】本発明が提出する造粒装置の構造模式図である。
図3】本発明が提出する造粒装置の部分A-A拡大図である。
図4】本発明が提出するブローアセンブリの構造模式図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ハウジング
2 トップキャップ
3 排気管
4 材料噴霧装置
5 造粒室
6 ブローアセンブリ
7 振動篩
8 伸縮隔離スリーブ
9 振動伸縮ロッド
10 材料排出管
11 材料貯蔵室
12 篩い室
13 空気導入管
14 基準スリーブ
15 スプリング
16 摺動スリーブ
17 分配管
18 送風管
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例で使用されるリン酸塩濃縮物の成分を測定し、結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
実施例1
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は60%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.3:1であり、消泡剤は、質量比1:1:1でポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを含み、消泡剤の添加量はリン酸塩濃縮物質量の1%である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中カルシウム理論量の93%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の108%であり、反応pHは7.5である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は酸化第一鉄であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の92%である。
【0021】
実施例2
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は55%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.2:1であり、消泡剤は、質量比1:0.5:0.5でポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを含み、消泡剤の添加量はリン酸塩濃縮物質量の1%である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中カルシウム理論量の90%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の105%であり、反応pHは7である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は酸化第二鉄であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の90%である。
【0022】
実施例3
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は65%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.4:1であり、消泡剤は、1:1.5:1.5質量比でポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを含み、消泡剤の添加量はリン酸塩濃縮物質量の1%である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中カルシウム理論量の96%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の110%であり、反応pHは8である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は鉄粉、酸化鉄の混合物であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の95%である。
【0023】
実施例4
本発明が提出する上記方法を用いてリン酸アンモニウムでリン酸第二鉄の副産物から肥料を調製する方法は、S13中の沈殿物AとS14中の副産物である第3の溶液を混合、濃縮および溶融し、造粒装置によって溶融後の材料を造粒して硝酸リン酸肥料を得るステップを含む。
【0024】
図2図4を参照すると、本発明の造粒装置は、収容空間を有するハウジング1を備え、前記ハウジング1の収容空間は、上から下へ造粒室5、篩い室12および材料貯蔵室11に順次仕切られ、前記造粒室5と篩い室12間にブローアセンブリ6が設けられ、前記篩い室12と材料貯蔵室11間に垂直に往復変位可能な振動篩7が設けられ、前記材料貯蔵室11に材料排出管10が接続され、前記ハウジング1の上端にトップキャップ2が着脱可能に設けられ、前記トップキャップ2に前記ハウジング1内に溶融材料を噴霧するための多数の材料噴霧装置4が設けられ、材料噴霧装置は、材料の霧化を達成し、従来技術を使用すればよく、前記トップキャップ2に排気管3がさらに接続され、排気管は排気処理装置に接続されて環境汚染を低減することも可能である。
【0025】
具体的に、ブローアセンブリ6は、千鳥状に配列されて相互に接続された多数の分配管17を含み、前記分配管17の上端に多数の送風管18が接続され、前記分配管17の一側に空気導入管13がさらに接続され、空気導入管内のガスは不活性ガスである。
【0026】
さらに、振動篩7の下端に振動篩7の往復変位を駆動するための振動伸縮ロッド9が接続され、前記振動伸縮ロッド9の外側に伸縮隔離スリーブ8が嵌設され、前記伸縮隔離スリーブ8の両端はそれぞれハウジング1の底部と振動篩7の下端に接続され、前記伸縮隔離スリーブ8は基準スリーブ14、および摺動可能に接続された摺動スリーブ16を含み、前記基準スリーブ14と摺動スリーブ16間にスプリング15がさらに設けられる。
【0027】
本発明の造粒装置では、ブローアセンブリ6によって上昇気流を発生させ、落下状態の材料に作用于して、材料を落下させながら回転させ、調製された肥料粒子がより均一で、表面がより滑らかであり、ハウジング1内に設けられた振動篩7は材料の篩い分けを実現して必要な粒子径の硝酸リン酸肥料を獲得することができる。
【0028】
比較例1
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸を用いてリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は60%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.3:1であり、消泡剤は、1:1質量比でポリシロキサン、ポリオキシエチレングリコールを含み、消泡剤の添加量はリン酸塩濃縮物質量の1%である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中のカルシウム理論量の93%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の108%であり、反応pHは7.5である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は酸化第一鉄であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の92%である。
【0029】
比較例2
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は60%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.3:1、消泡剤は、1:1質量比でポリシロキサン、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを含み、消泡剤の添加量はリン酸塩濃縮物質量の1%である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中のカルシウム理論量の93%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の108%であり、反応pHは7.5である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は酸化第一鉄であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の92%である。
【0030】
比較例3
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解する同時に、分解過程中で消泡剤を加えて消泡し、分解後、酸不溶物を濾過して除去し、第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は60%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.3:1であり、消泡剤は、1:1質量比でポリオキシエチレングリコール、ラウリルポリオキシエチレンエーテルを含み、消泡剤の添加量はリン酸塩濃縮物質量の1%である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中のカルシウム理論量の93%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の108%であり、反応pHは7.5である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は酸化第一鉄であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の92%である。
【0031】
比較例4
本発明が提出するリン酸アンモニウムを用いてリン酸第二鉄を調製する方法は、以下のステップを含む。
S11:硝酸でリン酸塩濃縮物を分解し、分解後、酸不溶物を濾過して除去して第1の溶液を得、硝酸溶液の濃度は60%であり、前記硝酸の質量と前記リン酸塩濃縮物の質量比は1.3:1である。
S12:S11中の第1の溶液に硫酸を加えて反応させ、反応後、硫酸カルシウム沈殿を濾過して除去し、リン酸粗溶液を得、硫酸の濃度は98%であり、前記硫酸の量は冷凍母液中のカルシウム理論量の93%である。
S13:アンモニアをS12中のリン酸粗溶液に加えて中和反応を行い、反応後、濾過して沈殿物Aおよび第2の溶液を得、アンモニアの添加量はリン酸粗溶液中のリン酸アンモニウム形成に必要なアンモニアの理論値の108%であり、反応pHは7.5である。
S14:S13中の第2の溶液に鉄源を加えて反応させ、反応後、濾過して沈殿物Bリン酸第二鉄および副産物である第3の溶液を得、鉄源は酸化第一鉄であり、前記鉄源の添加量は第2の溶液中のリン酸と完全に反応する必要な理論量の92%である。
【0032】
実施例1および比較例1~3の試験結果から分かるように、実施例1の消泡剤による消泡効果は、比較例1~3の消泡効果よりも遥かに優れ、これは、本発明の消泡剤が酸分解過程の消泡に一定の相乗作用を有することを示している。
【0033】
また、測定の結果、1000gのリン酸塩濃縮物を実施例1の方法で酸分解した後、酸不溶物の質量が68.71gであるのに対して、比較例4の方法で酸分解した後酸不溶物の質量が87.48gと高いから、本発明により添加した消泡剤は消泡作用を果たすだけでなく、酸不溶物の除去率も向上でき、その後の調製されたリン酸第二鉄および硝酸リン酸肥料の品質を確保することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はここに限定されなく、本発明の精神および原則から逸脱することなく行われた任意の修正、等価置換、改良などは、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4