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特開2023-18200エンコーダおよびエンコーダ付きモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018200
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】エンコーダおよびエンコーダ付きモータ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20230201BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230201BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20230201BHJP
【FI】
G01D5/245 110X
G01D5/245 110L
G01D5/245 B
H02K5/22
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122116
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】中山 裕次
【テーマコード(参考)】
2F077
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
2F077JJ01
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077UU26
2F077VV08
2F077VV23
2F077VV31
2F077WW03
2F077WW07
5H605AA01
5H605AA07
5H605BB05
5H605BB14
5H605CC06
5H605EC20
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB04
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】エンコーダの性能を低下させることなく部品コストを抑制するとともに、モータの発熱の影響を抑制する。
【解決手段】エンコーダ付きモータ1は、エンコーダ10と、回転軸2を備えるモータ3と、を有する。エンコーダ10は、回転軸2と一体に回転する磁石14と、磁石14と対向する感磁素子17が配置される基板13と、を備える。また、エンコーダ10は、磁石14とは反対側から基板13を覆うカバー12と、磁石14および基板13を収容し、内側面にカバー12が固定されるエンコーダケース11と、を有する。エンコーダケース11は、カバー12が固定される座面50と、カバー12の開口部61からカバー12の内側に突出する基板固定部52を備え、基板固定部52に基板13が固定される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と一体に回転する磁石と、
前記磁石と対向する感磁素子が配置される基板と、
前記磁石とは反対側から前記基板を覆うカバーと、
前記磁石および前記基板を収容し、内側面に前記カバーが固定されるエンコーダケースと、を有し、
前記エンコーダケースは、前記カバーの内側に配置される基板固定部を備え、
前記基板固定部に前記基板が固定されることを特徴とするエンコーダ。
【請求項2】
前記エンコーダケースは、前記カバーが当接する座面が設けられたケース端板部と、前記ケース端板部の外周縁から前記磁石の側へ延びるケース側板部と、を備え、
前記座面には、前記カバーとは反対側へ凹む凹部が設けられ、
前記基板固定部は前記凹部の内側に設けられ、前記基板固定部の先端は、前記座面よりも前記磁石側に位置し、
前記カバーは、前記基板固定部が配置される開口部を備え、前記開口部は、前記凹部の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記カバーは、導電性を有する磁性部材からなり、
前記カバーは、前記座面に当接するカバー端板部と、前記カバー端板部の外周縁から前記磁石の側へ延びて前記基板の外周側を囲むカバー側板部と、を備え、
前記カバー端板部は、前記基板から突出する導電性の固定部材が嵌まる固定孔を備えることを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記エンコーダケースには、前記回転軸の中心軸線を基準として周方向に離間した複数位置に前記基板固定部が設けられ、
複数の前記基板固定部のそれぞれは、前記基板の外周部分に当接することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のエンコーダ。
【請求項5】
複数の前記基板固定部のうちの少なくとも1箇所には、位置決め凸部が設けられ、
前記基板は、前記位置決め凸部が嵌まる位置決め穴を備えることを特徴とする請求項4に記載のエンコーダ。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のエンコーダと、
前記回転軸を備えるモータと、を有することを特徴とするエンコーダ付きモータ。
【請求項7】
前記モータは、
前記エンコーダケースが固定されるモータケースと、
前記エンコーダケースと前記モータケースとの間に介在するシール材と、を備えることを特徴とする請求項6に記載のエンコーダ付きモータ。
【請求項8】
回転軸を備えるモータと、前記回転軸の回転を検出するエンコーダと、を有し、
前記エンコーダは、
前記回転軸と一体に回転する磁石と、
前記磁石と対向する感磁素子が配置される基板と、
前記磁石および前記基板を収容するエンコーダケースと、を備え、
前記基板は、前記エンコーダケースの内面に設けられた基板固定部に固定され、
前記モータは、
前記エンコーダケースが固定されるモータケースと、
前記エンコーダケースと前記モータケースとの間に介在するシール材と、を備えること
を特徴とするエンコーダ付きモータ。
【請求項9】
前記エンコーダケースと前記モータケースの一方は、前記シール材が配置されるシール材配置面と、前記シール材配置面よりも前記エンコーダケースと前記モータケースの他方側に突出して前記他方に当接する突き当て部と、を備えることを特徴とする請求項7または8に記載のエンコーダ付きモータ。
【請求項10】
前記エンコーダケースは、前記シール材が配置されるシール材配置面を備え、前記シール材配置面を除く部分は、前記モータケースから離間していることを特徴とする請求項7または8に記載のエンコーダ付きモータ。
【請求項11】
前記基板に配置されるコネクタに接続されるエンコーダケーブルを有し、
前記エンコーダケーブルは、前記基板に設けられた配線パターンに接続される信号線と、前記信号線から絶縁されたフレームグランド線と、を備え、
前記フレームグランド線は、導電性のねじを介して前記モータケースに固定されることを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載のエンコーダ付きモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダおよびエンコーダ付きモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータの端部にエンコーダが配置されるエンコーダ付きモータが開示される。特許文献1のエンコーダは、モータケースの端部に配置される軸受ホルダから突出する回転軸と一体に回転する磁石と、磁石と対向する基板を備える。基板には、磁石の回転を検出するための感磁素子が配置される。磁石および基板は、モータケースの端部に固定されるエンコーダケースに収容される。エンコーダケースの内側には、磁石の周囲を囲むエンコーダホルダが配置されており、基板は、エンコーダホルダに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-15593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、エンコーダ性能を確保するために、磁石に対する基板の位置精度を高めることが要求されている。特許文献1のように、基板がエンコーダホルダに固定される構成では、基板の位置精度を高めるために、エンコーダホルダに高い寸法精度が要求される。また、エンコーダホルダの位置精度を高めるために、エンコーダホルダが固定されるモータ側部品(特許文献1では、軸受ホルダ)にも高い寸法精度が要求される。そのため、コスト抑制が難しいという問題がある。
【0005】
また、エンコーダホルダに基板を固定する構造では、モータの発熱がエンコーダホルダを介して基板に伝達される。そのため、モータの発熱の影響を受けやすいという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、エンコーダの性能を低下させることなく部品コストを抑制するとともに、モータの発熱の影響を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のエンコーダは、回転軸と一体に回転する磁石と、前記磁石と対向する感磁素子が配置される基板と、前記磁石とは反対側から前記基板を覆うカバーと、前記磁石および前記基板を収容し、内側面に前記カバーが固定されるエンコーダケースと、を有し、前記エンコーダケースは、前記カバーの内側に配置される基板固定部を備え、前記基板固定部に前記基板が固定されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、エンコーダの基板がエンコーダケースに設けられた基板固定部に固定される。従って、モータ側の部品に固定されるエンコーダホルダを必要としないので、部品点数を削減できる。また、エンコーダ精度を確保するためには、基板と磁石との位置精度を高める代わりに、エンコーダの組立後にエンコーダの出力を測定して、要求するエンコーダ精度が得られるように出力を補正すればよい。従って、エンコーダホルダを必要とせず、他の部品の寸法精度を高める必要もないので、エンコーダの性能を低下させることなく部品コストを抑制できる。さらに、基板とモータとの間に熱伝達経路となるエンコーダホルダが介在しておらず、基板が固定されるエンコーダケースは外気に接しているためにモータから伝わる熱を放熱しやすい。従って、エンコーダに対するモータの発熱の影響
を抑制できる。
【0009】
本発明において、前記エンコーダケースは、前記カバーが当接する座面が設けられたケース端板部と、前記ケース端板部の外周縁から前記磁石の側へ延びるケース側板部と、を備え、前記座面には、前記カバーとは反対側へ凹む凹部が設けられ、前記基板固定部は前記凹部の内側に設けられ、前記基板固定部の先端は、前記座面よりも前記磁石側に位置し、前記カバーは、前記基板固定部が配置される開口部を備え、前記開口部は、前記凹部の内側に位置することが好ましい。このようにすると、エンコーダを組み立てるとき、カバーと基板を同一方向からエンコーダケースに組み付けることができるので、組立作業が容易である。また、カバーの開口部の縁が座面に当接しないので、カバーの製造時に開口部の縁にできたバリが座面に当たってカバーの位置精度が低下することを回避できる。
【0010】
本発明において、前記カバーは、導電性を有する磁性部材からなり、前記カバーは、前記座面に当接するカバー端板部と、前記カバー端板部の外周縁から前記磁石の側へ延びて前記基板の外周側を囲むカバー側板部と、を備え、前記カバー端板部は、前記基板から突出する導電性の固定部材が嵌まる固定孔を備えることが好ましい。このようにすると、カバーを外乱磁界などの磁気ノイズや電気的ノイズに対するシールドとして機能させることができる。また、導電性の固定部材によって基板とカバーとが導通するので、基板上のエンコーダ回路のシグナルグランドとカバーとを電気的に導通させることができる。従って、カバーがシグナルグランド電位のシールドとして機能するので、基板に対するフレームグランドノイズや電源ノイズの影響を低減させることができる。
【0011】
本発明において、前記エンコーダケースには、前記回転軸の中心軸線を基準として周方向に離間した複数位置に前記基板固定部が設けられ、複数の前記基板固定部のそれぞれは、前記基板の外周部分に当接することが好ましい。このようにすると、基板の外周部分を複数位置で支持できるので、基板の傾きを抑制できる。
【0012】
本発明において、複数の前記基板固定部のうちの少なくとも1箇所には、位置決め凸部が設けられ、前記基板は、前記位置決め凸部が嵌まる位置決め穴を備えることが好ましい。このようにすると、エンコーダケースに対して基板を直接位置決めできるので、基板の位置精度を高めることができる。
【0013】
次に、本発明のエンコーダ付きモータは、上記のエンコーダと、前記回転軸を備えるモータと、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記モータは、エンコーダケースが固定されるモータケースと、前記エンコーダケースと前記モータケースとの間に介在するシール材と、を備えることが好ましい。このように、エンコーダケースとモータケースとの間にシール材を介在させて組み立てることにより、エンコーダケースにモータの熱が伝わりにくくなる。従って、エンコーダに対するモータの発熱の影響を低減させることができる。
【0015】
あるいは、本発明のエンコーダ付きモータは、回転軸を備えるモータと、前記回転軸の回転を検出するエンコーダと、を有し、前記エンコーダは、前記回転軸と一体に回転する磁石と、前記磁石と対向する感磁素子が配置される基板と、前記磁石および前記基板を収容するエンコーダケースと、を備え、前記基板は、前記エンコーダケースの内面に設けられた基板固定部に固定され、前記モータは、前記エンコーダケースが固定されるモータケースと、前記エンコーダケースと前記モータケースとの間に介在するシール材と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明において、前記エンコーダケースと前記モータケースの一方は、前記シール材が
配置されるシール材配置面と、前記シール材配置面よりも前記エンコーダケースと前記モータケースの他方側に突出して前記他方に当接する突き当て部と、を備えることが好ましい。このようにすると、例えば基板固定部との間で中心軸線方向の高さ寸法を管理した突き当て部によってエンコーダケースを高さ方向(中心軸線方向)に位置決めできる。従って、エンコーダケースに固定される基板の高さ方向(中心軸線方向)の位置精度を高めることができる。また、エンコーダケースとモータケースが当接するのは突き当て部のみであり、他の部分にはシール材が介在するので、エンコーダケースにモータの熱が伝わりにくい。
【0017】
本発明において、前記エンコーダケースは、前記シール材が配置されるシール材配置面を備え、前記シール材配置面を除く部分は、前記モータケースから離間していることが好ましい。このようにすると、エンコーダケースとモータケースが直接接触していないので、エンコーダケースにモータの熱が伝わりにくい。
【0018】
本発明において、前記基板に配置されるコネクタに接続されるエンコーダケーブルを有し、前記エンコーダケーブルは、前記基板に設けられた配線パターンに接続される信号線と、前記信号線から絶縁されたフレームグランド線と、を備え、前記フレームグランド線は、導電性のねじを介して前記モータケースに固定されることが好ましい。このようにすると、エンコーダケーブルをフレームグランド電位のモータケースに接続できるので、エンコーダケーブルから発生する電気的ノイズを低減させることができる。従って、エンコーダケーブルから発生する電気的ノイズの基板に対する影響を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エンコーダの基板がエンコーダケースに設けられた基板固定部に固定される。従って、モータ側の部品に固定されるエンコーダホルダを必要としないので、部品点数を削減できる。また、エンコーダ精度を確保するためには、基板と磁石との位置精度を高める代わりに、エンコーダの組立後にエンコーダの出力を測定して、要求するエンコーダ精度が得られるように出力を補正すればよい。従って、エンコーダホルダを必要とせず、他の部品の寸法精度を高める必要もないので、エンコーダの性能を低下させることなく部品コストを抑制できる。さらに、基板とモータとの間に熱伝達経路となるエンコーダホルダが介在しておらず、基板が固定されるエンコーダケースは外気に接しているためにモータから伝わる熱を放熱しやすい。従って、エンコーダに対するモータの発熱の影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明を適用したエンコーダを備えたエンコーダ付きモータの外観斜視図である。
図2図1のエンコーダ付きモータの断面図である。
図3】L2側から見たエンコーダの分解斜視図である。
図4】L1側から見たエンコーダケース、カバー、および基板の分解斜視図である。
図5】エンコーダケースを内側(L1側)から見た平面図である。
図6】エンコーダケースとカバーを組み立てた状態をL1側から見た平面図である。
図7】エンコーダケース、カバー、基板を組み立てた状態をL1側から見た平面図である。
図8】エンコーダケース、カバー、および基板を基板固定部および座面の位置で切断した断面図(図5のA-A位置で切断した断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したエンコーダおよびエンコーダ付きモータの実施形態を説明する。図1は、本発明を適用したエンコーダ10を備えたエンコーダ付き
モータ1の外観斜視図である。図2は、図1のエンコーダ付きモータ1の断面図である。図3は、L2側から見たエンコーダ10の分解斜視図である。図4は、L1側から見たエンコーダケース11、カバー12、および基板13の分解斜視図である。図5は、エンコーダケース11を内側(L1側)から見た平面図である。図6図7は、エンコーダケース11、カバー12、および基板13の組立方法を示す説明図である。図6は、エンコーダケース11とカバー12を組み立てた状態をL1側から見た平面図であり、図7は、エンコーダケース11、カバー12、基板13を組み立てた状態をL1側から見た平面図である。図8は、エンコーダケース11、カバー12、および基板13を基板固定部52および座面50の位置で切断した断面図(図5のA-A位置で切断した断面図)である。
【0022】
エンコーダ付きモータ1は、回転軸2を備えるモータ3と、回転軸2の回転を検出するエンコーダ10を備える。本明細書において、XYZの3方向は互いに直交する方向であり、これら3方向の一方側をそれぞれX1、Y1、Z1とし、他方側をそれぞれX2、Y2、Z2とする。Z方向は回転軸2の中心軸線Lと平行であり、X方向およびY方向は中心軸線Lと直交する。
【0023】
(モータ)
モータ3は、ロータおよびステータ(図示省略)を収容するモータケース4を備える。ロータは回転軸2と一体に回転し、ステータはモータケース4に固定される。モータケース4から外部へ突出する回転軸2の端部には、被駆動部材が連結される。本明細書において、モータケース4から回転軸2が突出する方向を出力側L1とし、出力側L1の反対側を反出力側L2とする。エンコーダ10は、モータ3の反出力側L2の端部に固定される。
【0024】
図1に示すように、モータケース4は、中心軸線L方向に延びる筒状ケース41と、筒状ケース41の反出力側L2の端部に固定される軸受ホルダ42を備える。エンコーダ10は、軸受ホルダ42に対して反出力側L2から固定される。図2図3に示すように、軸受ホルダ42は、出力側L1に凹む円形凹部44と、円形凹部44の外周側に拡がるフランジ45と、円形凹部44の縁に沿って反出力側L2に突出する環状壁46を備える。図3に示すように、フランジ45には、環状壁46の外周側に複数の固定穴451が設けられている。
【0025】
図2に示すように、円形凹部44の底部中央には軸受43が保持される。軸受43は、回転軸2の反出力側L2の端部を回転可能に支持する。また、円形凹部44の底部には、軸受43の外周部分を反出力側L2から押さえるように環状のプレート47が取り付けられる。回転軸2は、プレート47の中心に設けられた貫通孔に通され、軸受43に支持される。図3に示すように、プレート47の外周縁には、等角度間隔の3箇所に、外周側へ突出する突出部471が形成されている。突出部471は、軸受ホルダ42の環状壁46に設けられた切欠き部461に配置される。プレート47は、各突出部471が図示しないねじによって軸受ホルダ42に固定される。
【0026】
(エンコーダ)
図2図3に示すように、エンコーダ10は、軸受ホルダ42に固定されるエンコーダケース11と、エンコーダケース11の内側に配置されるカバー12と、カバー12の内側に配置される基板13を備える。また、エンコーダ10は、基板13と対向する磁石14と、磁石14を保持する磁石ホルダ15を備える。
【0027】
磁石ホルダ15は、回転軸2の反出力側L2の先端に固定される。磁石ホルダ15は磁性材からなる。図2に示すように、磁石ホルダ15は、略円板状の磁石保持部151と、磁石保持部151の中心から出力側L1に突出する筒状の軸部152を備える。軸部15
2には、回転軸2の先端が圧入、接着剤、および止めネジの何れか、あるいは、これらを併用して固定される。本形態では、軸部152を径方向に貫通するねじ孔に止めネジ154が締め込まれている。
【0028】
磁石14は、磁石保持部151の反出力側L2の面に固定され、磁石保持部151の外周縁から反出力側L2へ突出するシールド部153に囲まれる。磁石14は、周方向にN極とS極が1極ずつ着磁されており、回転軸2と一体に回転する。基板13は、磁石14と対向する感磁素子17を備える。感磁素子17の信号は、基板13上のエンコーダ回路に入力される。感磁素子17としては、例えば、MR素子が用いられる。
【0029】
(エンコーダケース)
図1図3に示すように、エンコーダケース11は、中心軸線L方向に見た場合に略矩形のケース端板部111と、ケース端板部111の外周縁から出力側L1へ延びる筒状のケース側板部112を備える。ケース側板部112のX1側を向く側面には、エンコーダケーブル5を通すための配線取り出し部113が設けられている。
【0030】
エンコーダケース11と軸受ホルダ42は、図2に示すように、ケース側板部112の出力側L1の端面と軸受ホルダ42のフランジ45の外周縁との間にシール材48を介在させて、4箇所の角部に固定ねじ(図示せず)を締め込むことによって固定される。エンコーダケース11およびモータケース4は、樹脂成形部材、もしくは、アルミなどの非磁性材からなる。
【0031】
本形態では、エンコーダケース11は、シール材48の外周側においてモータケース4に当接する突き当て部114を備える。図4に示すように、ケース側板部112の出力側L1の端面は、エンコーダケース11の内部空間を全周で囲む平坦なシール材配置面115と、シール材配置面115よりも出力側L1に突出する突き当て部114を備える。突き当て部114は、シール材配置面115の外周側に設けられ、エンコーダケース11の角部近傍の4箇所に配置される。また、シール材配置面115には、出力側L1に突出する位置決め凸部116が設けられている。位置決め凸部116は、周方向に離間する2箇所に配置される。
【0032】
図3に示すように、エンコーダケース11と対向する軸受ホルダ42のフランジ45は、環状壁46よりも外周側の領域の全範囲が凹凸のない平坦面452になっている。シール材48は、エンコーダケース11のシール材配置面115とモータケース4の平坦面452との間に介在する。また、シール材48の外周側において、エンコーダケース11の突き当て部114が平坦面452に当接する。これにより、エンコーダケース11がモータケース4に対して中心軸線L方向に位置決めされる。このとき、エンコーダケース11に設けられた位置決め凸部116をモータケース4の平坦面452に設けられた位置決め凹部453に嵌合させると、各突き当て部114に開口する固定穴117がモータケース4の平坦面452に設けられたねじ穴454と重なる。従って、固定ねじ(図示せず)によるねじ止めが可能になる。
【0033】
(カバー)
図2図3に示すように、カバー12は、基板13に対して磁石14とは反対側(反出力側L2)から対向するカバー端板部121と、カバー端板部121の外周縁から出力側L1へ延びるカバー側板部122を備える。カバー端板部121は、磁石14とは反対側(反出力側L2)から基板13を覆う。カバー側板部122は基板13の外周側を囲んでいる。カバー側板部122は、基板13の出力側L1の表面に配置された感磁素子17よりも出力側L1まで延びている。カバー12は、エンコーダケース11に固定されることにより、中心軸線L方向に位置決めされる。
【0034】
カバー12は、配線取り出し部113とは反対側(X2側)を向く開口部123を備える。開口部123は、カバー端板部121およびカバー側板部122の周方向の一部を径方向と直交する平面で直線状に切り欠いた切り欠き部である。図2に示すように、基板13のX2側の端部は、開口部123の外側に配置される。基板13のX2側の端縁と開口部123との間には、開口部123に沿ってY方向に直線状に延びるコネクタ18が配置される。コネクタ18は、開口部123の外側に配置される。
【0035】
エンコーダケーブル5は、配線取り出し部113とは反対側からコネクタ18に接続される。図2に示すように、エンコーダケーブル5は、コネクタ18に嵌合するケーブル側コネクタ6からX2側へ引き出され、X1側へ折り返す形状に屈曲させられ、カバー端板部121とエンコーダケース11との隙間を通って配線取り出し部113へ引き回される。
【0036】
エンコーダケーブル5は、エンコーダ回路に接続される信号線と、信号線から絶縁されたフレームグランド線を備える。エンコーダケーブル5の端部に設けられたケーブル側コネクタ6(図2参照)には、信号線に接続される端子が設けられる。また、エンコーダケーブル5は、ケーブル側コネクタ6から分岐した分岐線(図示省略)を備える。分岐線の端部に取り付けられた丸端子は、エンコーダケーブル5のフレームグランド線に接続される。丸端子は、軸受ホルダ42のフランジ45に設けられた複数の固定穴451のうちの1箇所に導電性のねじによってねじ止めされる。これにより、フレームグランド線は、モータケース4に電気的に接続される。
【0037】
カバー12は、導電性の固定部材16により、基板13に固定される。図3図4に示すように、カバー12には、カバー端板部121を貫通する固定孔124が周方向に離間した2箇所に設けられている。また、基板13には、カバー12の固定孔124と対向する2箇所に、固定孔131が設けられている。2本の固定部材16の一端を固定孔131に嵌め込み、他端をカバー12の固定孔124に嵌め込むことにより、カバー12が基板13に対して固定される。
【0038】
図3に示すように、2箇所の固定孔124のうちの一方は、円形の基準穴であり、他方は、周方向に長い長孔125である。固定部材16はスプリングピンであり、固定部材16の端部は、固定孔124、131に圧入される。固定部材16としてスプリングピンを用いることにより、カバー12の周方向のがたつきが防止される。従って、固定部材16により、カバー12の周方向の位置決めを行うことができる。なお、固定部材16を半田接合により固定孔131に固定してもよい。
【0039】
固定部材16は導電性の金属(例えば、SUS)からなる。基板13に設けられた2箇所の固定孔131のうちの1箇所は、基板13上のエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続されるランドが設けられたグランドスルーホール132である。従って、カバー12は、2本の固定部材16のうちの1本を介して、基板13に設けられたエンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続される。
【0040】
カバー12は、導電性を有する磁性材からなる。例えば、カバー12は鉄、パーマロイなどの磁性金属からなる。従って、カバー12は、外乱磁界などの磁気ノイズおよび電磁波ノイズを吸収し、感磁素子17およびエンコーダ回路を磁気ノイズおよび電磁波ノイズから遮蔽する。また、カバー12は、上記のように、エンコーダ回路のシグナルグランドと電気的に接続される。従って、シグナルグランド電位の部材によって基板13が覆われるので、感磁素子17およびエンコーダ回路をモータケース4からのフレームグランドノイズなどの電気的ノイズから遮蔽することができる。
【0041】
(防塵部材)
図2に示すように、カバー12と基板13との間には、防塵部材19が配置される。防塵部材19は、カバー12の開口部123の縁に沿う直線状の配置領域20(図3参照)に配置される。防塵部材19は絶縁性の多孔体であり、例えば、ゴムやウレタン等の絶縁材料からなる発泡体である。基板13に対してカバー12を固定した状態では、防塵部材19は、カバー端板部121と基板13との間で圧縮されて開口部123を塞いでいる。従って、導電性の異物が基板13上へ侵入することを抑制することができる。
【0042】
(基板)
基板13は、中心軸線L方向に見て略円形であり、X2側の縁が直線状に切り欠かれている。基板13は、反出力側L2を向く基板面に、エンコーダ回路を構成する回路素子(図示省略)およびコネクタ18が配置される。また、出力側L1を向く基板面には、感磁素子17および2個のホール素子(図示省略)が配置される。2個のホール素子は、感磁素子17の位置を基準として90度離れた角度位置に配置される。
【0043】
基板13は、カバー12とともにエンコーダケース11に固定される。基板13およびカバー12を固定したエンコーダケース11をモータケース4に固定すると、図2に示すように、感磁素子17と磁石14が対向する。エンコーダ10は、感磁素子17の出力側L1の表面と磁石14との間に所定のギャップが形成されるように組み立てられている。エンコーダ10は、磁石14の1回転で得られる感磁素子17の出力の周期を2個のホール素子により判別する。
【0044】
(カバーおよび基板の固定構造)
図8に示すように、エンコーダケース11の内面には、カバー12が出力側L1から当接する座面50が設けられている。図4図5に示すように、座面50は、ケース端板部111とケース側板部112とが繋がる角部に沿って円弧状に延びている。座面50は、ケース端板部111から出力側L1に突出する段部の先端面であり、中心軸線Lに対して径方向で反対側の2箇所に設けられている。2箇所の座面50には、それぞれ、反出力側L2に凹む凹部51が設けられている。凹部51は座面50の内周側の縁まで拡がっており、座面50は、凹部51の周方向の両側および外周側を囲む。
【0045】
エンコーダケース11は、凹部51の内側に配置される基板固定部52を備える。基板固定部52は、凹部51の底面から出力側L1に突出する凸部である。凹部51は、基板固定部52の周方向の両側および外周側を囲む。基板固定部52の先端面は、座面50よりも出力側L1に位置する。基板固定部52は、各凹部51に1か所ずつ設けられている。従って、エンコーダケース11は、中心軸線Lに対して径方向で反対側に配置される2箇所の基板固定部52を備える。各基板固定部52には、それぞれ、基板13をねじ止めするための固定穴53が設けられている。また、2箇所の基板固定部52のうちの一方には、基板固定部52の先端面から突出する位置決め凸部54が設けられている。また、凹部51の底面には、基板固定部52と周方向で隣り合う位置に、反出力側L2に凹む逃げ部55が設けられている。
【0046】
図3図4に示すように、カバー12は、カバー端板部121を貫通する開口部61を備える。開口部61は、基板固定部52が嵌まる形状をしており、中心軸線Lを基準として径方向で反対側の2箇所に設けられている。各開口部61に周方向で隣り合う位置には、上述した固定部材16を取り付けるための固定孔124が設けられている。
【0047】
基板13は、エンコーダケース11に対する固定用の固定孔62を備える。固定孔62は、感磁素子17を挟んで反対側の2箇所に設けられている。一方の固定孔62に対して
周方向で隣り合う位置には、位置決め穴64が設けられている。
【0048】
(エンコーダの組立)
エンコーダケース11、カバー12、および基板13を組み立てるときは、以下の手順により行う。まず、エンコーダケース11の座面50に接着剤を塗布し、2箇所の座面50の間のスペースにエンコーダケーブル5をX方向に延ばして配置する。そして、座面50に対して出力側L1からカバー12を当接させて接着材により固定する。その際、2箇所の開口部61にそれぞれ基板固定部52を挿入して、基板固定部52をカバー12の内側に突出させる。このとき、基板固定部52に対して周方向で隣り合う位置では、カバー12に設けられた固定孔124と、凹部51の底面に設けられた逃げ部55とが対向する。
【0049】
次に、2本の固定部材16を取り付けた基板13のコネクタ18に、エンコーダケース11とカバー12とのX2方向の隙間から引き出したエンコーダケーブル5のケーブル側コネクタ6を嵌合させる。そして、開口部61からカバー12の内側に突出した基板固定部52に対して、出力側L1から基板13を当接させることにより、基板13を中心軸線L方向に位置決めする。また、このとき、基板13の位置決め穴64に位置決め凸部54を嵌めるとともに、2本の固定部材16の端部をカバー12の固定孔124に嵌めることにより、基板13を周方向に位置決めする。これにより、基板13の固定孔62と、エンコーダケース11の固定穴53とが重なる。よって、基板固定用の固定ねじ63を固定孔62に通し、固定ねじ63の先端を固定穴53にねじ止めすることにより、基板13をエンコーダケース11に固定する。このとき、基板13側からカバー12の固定穴24に嵌め込まれた固定部材16の先端は、エンコーダケース11に設けられた逃げ部55と対向するため、固定部材16の先端が固定穴24から突出した場合でも、エンコーダケース11と干渉することを回避できる。
【0050】
続いて、基板13およびカバー12が固定されたエンコーダケース11を、回転軸2に磁石ホルダ15および磁石14が固定されたモータ3の軸受ホルダ42に対してねじ止めする。これにより、磁石14と感磁素子17とが所定のギャップで対向する。組立後のエンコーダ付きモータ1に対しては、回転軸2の回転位置とエンコーダ10から出力される位置情報とを一致させるようにエンコーダ10の出力補正を行う。
【0051】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態のエンコーダ付きモータ1は、エンコーダ10と、回転軸2を備えるモータ3と、を有する。エンコーダ10は、回転軸2と一体に回転する磁石14と、磁石14と対向する感磁素子17が配置される基板13と、を備える。また、エンコーダ10は、磁石14とは反対側(反出力側L2)から基板13を覆うカバー12と、磁石14および基板13を収容し、内側面にカバー12が固定されるエンコーダケース11と、を有する。エンコーダケース11は、カバー12の内側に配置される基板固定部52を備え、基板固定部52に基板13が固定される。
【0052】
本形態では、エンコーダ10の基板13がエンコーダケース11に設けられた基板固定部52に固定される。従って、モータ3側の部品に固定されるエンコーダホルダを必要としないので、部品点数を削減できる。また、エンコーダ精度を確保するためには、基板13と磁石14との位置精度を高める代わりに、エンコーダ10の組立後にエンコーダの出力を測定して、要求するエンコーダ精度が得られるように出力を補正すればよい。従って、エンコーダホルダを必要とせず、他の部品の寸法精度を高める必要もないので、エンコーダの性能を低下させることなく部品コストを抑制できる。さらに、基板13とモータ3との間に熱伝達経路となるエンコーダホルダが介在しておらず、基板13が固定されるエンコーダケース11は外気に接しているためにモータ3から伝わる熱を放熱しやすい。従
って、エンコーダ10に対するモータ3の発熱の影響を抑制できる。
【0053】
本形態では、エンコーダケース11は、カバー12が当接する座面50が設けられたケース端板部111と、ケース端板部111の外周縁から磁石14の側(出力側L1)へ延びるケース側板部112と、を備え、座面50には、カバー12とは反対側へ凹む凹部51が設けられている。基板固定部52は凹部51の内側に設けられ、基板固定部52の先端は、座面50よりも磁石14側(出力側L1)に位置する。カバー12は、基板固定部52が配置される開口部61を備え、開口部61は、凹部51の内側に位置する。従って、エンコーダ10を組み立てるとき、エンコーダケース11の座面50にカバー12を当接させて固定し、続いて、カバー12の開口部61からカバー12の内側に突出した基板固定部52に基板13を固定すればよいので、カバー12と基板13を同一方向からエンコーダケース11に組み付けることができる。従って、組立作業が容易である。また、カバー12の製造時に開口部61の縁にできたバリが座面50に当たってカバー12の位置精度が低下することを回避できる。
【0054】
本形態では、カバー12は、導電性を有する磁性部材からなり、座面50に当接するカバー端板部121と、カバー端板部121の外周縁から磁石14の側(出力側L1)へ延びて基板13の外周側を囲むカバー側板部122と、を備える。従って、導電性の磁性部材によって基板13の外周側および磁石14とは反対側を囲むことができるので、外乱磁界などの磁気ノイズや電気的ノイズから基板13上の感磁素子17およびエンコーダ回路を遮蔽することができる。また、カバー端板部121は、基板13から突出する導電性の固定部材16が嵌まる固定孔124を備えており、導電性の固定部材16によって、基板13上のエンコーダ回路のシグナルグランドとカバー12とが電気的に導通している。従って、カバー12がシグナルグランド電位のシールドとして機能するので、基板13の感磁素子17およびエンコーダ回路に対するモータ3側からのフレームグランドノイズや電源ノイズの影響を低減させることができる。
【0055】
本形態では、エンコーダケース11には、回転軸2の中心軸線Lを基準として径方向で反対側の2か所に基板固定部52が設けられている。従って、基板13の外周部分を2か所で支持できるので、基板13の傾きを抑制できる。なお、基板固定部52は、周方向に離間した複数位置に設けられていればよく、3箇所以上としてもよい。
【0056】
本形態では、2か所の基板固定部52のうちの1箇所に位置決め凸部が設けられ、基板13は、位置決め凸部が嵌まる位置決め穴を備えている。従って、エンコーダケース11に対して基板13を直接位置決めできるため、基板13の位置精度を高めることができる。
【0057】
本形態のエンコーダ付きモータ1において、モータ3は、エンコーダケース11が固定されるモータケース4と、エンコーダケース11とモータケース4との間に介在するシール材48と、を備える。このように、エンコーダケース11とモータケース4との間にシール材48を介在させて組み立てることにより、エンコーダケース11にモータ3の熱が伝わりにくい。従って、エンコーダケース11に支持される基板13に対してモータの熱が伝わりにくいので、エンコーダ10に対するモータ3の発熱の影響を低減させることができる。
【0058】
本形態のエンコーダ付きモータ1は、エンコーダ10の基板13に配置されるコネクタ18に接続されるエンコーダケーブル5を有する。エンコーダケーブル5は、基板13に設けられた配線パターンに接続される信号線と、信号線から絶縁されたフレームグランド線と、を備え、フレームグランド線は、導電性のねじを介してモータケース4に固定される。従って、エンコーダケーブル5をフレームグランド電位のモータケース4に接続でき
るので、エンコーダケーブル5から発生する電気的ノイズを低減させることができる。
【0059】
(変形例)
(1)上記形態は、エンコーダケース11の端面にモータケース4に当接する突き当て部114と、シール材48が配置されるシール材配置面115が設けられており、エンコーダケース11とモータケース4とが突き当て部114において直接当接する構成であったが、エンコーダケース11とモータケース4とが直接当接しない構成を採用してもよい。すなわち、エンコーダケース11は、シール材配置面115を除く部分がモータケース4から離間している構成を採用してもよい。
【0060】
(2)上記形態は、エンコーダケース11の端面にシール材配置面115よりもモータケース4側に突出する突き当て部114が設けられているが、エンコーダケース11の出力側L1の端面全面を平坦面とし、モータケース4の端面(平坦面452)にシール材48が配置されるシール材配置面と、シール材配置面よりもエンコーダケース11側に突出する突き当て部と、を設ける構成を採用してもよい。
【0061】
(他の実施形態)
(1)上記形態では、カバー12は基板13の反出力側L2および外周側を覆う形状であり、基板13の出力側L1は覆われていないが、基板13を出力側L1から覆うシールド部材を備えた構造を採用してもよい。例えば、カバー12の出力側L1の端部を塞ぐようにカバー12と同一素材からなる円板状のカバープレートを取り付けておき、カバープレートの中央に感磁素子17と対向するプレート開口部を設け、プレート開口部を導電性の金属(例えば、アルミ)からなる膜状のシールド部材で覆う構造とする。このようにすると、磁石14側から侵入する磁気ノイズや電気的ノイズから感磁素子17およびエンコーダ回路を遮蔽することができる。また、カバープレートおよびシールド部材は、カバー12を介してエンコーダ回路のシグナルグランドと接続されるため、磁石14側から侵入するフレームグランドノイズや電源ノイズの影響を低減させることができる。
【0062】
(2)上記形態では、エンコーダケース11の内側に導電性の磁性材からなるカバー12を配置して基板13を磁気ノイズおよび電磁波ノイズを遮蔽する構成であったが、エンコーダケース11を導電性の磁性材(例えば、鉄、パーマロイなど)で構成すれば、カバー12を省略することができる。これにより、部品点数を減らすことができ、コスト削減を図ることができる。また、エンコーダの小型化にも有利である。すなわち、本発明は、回転軸2を備えるモータ3と、回転軸2の回転を検出するエンコーダと、を有し、エンコーダは、回転軸2と一体に回転する磁石14と、磁石14と対向する感磁素子17が配置される基板13と、磁石14および基板13を収容するエンコーダケース11と、を備え、基板13は、導電性の磁性材からなるエンコーダケース11の内面に設けられた基板固定部52に固定され、モータ3は、エンコーダケース11が固定されるモータケース4と、エンコーダケース11とモータケース4との間に介在するシール材48と、を備える構成に適用することができる。
【0063】
(3)上記各形態において、エンコーダケース11にフィンなどの放熱構造を設けてもよい。これにより、エンコーダケース11から基板13に伝達される熱をさらに減らすことができる。従って、モータ3の発熱の影響をさらに少なくすることができる。
【符号の説明】
【0064】
1…エンコーダ付きモータ、2…回転軸、3…モータ、4…モータケース、5…エンコーダケーブル、6…ケーブル側コネクタ、10…エンコーダ、11…エンコーダケース、12…カバー、13…基板、14…磁石、15…磁石ホルダ、16…固定部材、17…感磁素子、18…コネクタ、19…防塵部材、20…配置領域、41…筒状ケース、42…軸
受ホルダ、43…軸受、44…円形凹部、45…フランジ、46…環状壁、47…プレート、48…シール材、50…座面、51…凹部、52…基板固定部、53…固定穴、54…位置決め凸部、55…逃げ部、61…開口部、62…固定孔、64…位置決め穴、111…ケース端板部、112…ケース側板部、113…配線取り出し部、114…突き当て部、115…シール材配置面、116…位置決め凸部、117…固定穴、121…カバー端板部、122…カバー側板部、123…開口部、124…固定孔、125…長孔、131…固定孔、132…グランドスルーホール、151…磁石保持部、152…軸部、153…シールド部、154…止めネジ、451…固定穴、452…平坦面、453…位置決め凹部、454…ねじ穴、461…切欠き部、471…突出部、L…中心軸線、L1…出力側、L2…反出力側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8