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特開2023-182001電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置
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  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図1
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図2
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図3
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図4A
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図4B
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図5
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図5A
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図5B
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図6A
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図6B
  • 特開-電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置 図6C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182001
(43)【公開日】2023-12-25
(54)【発明の名称】電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに流体不透過性の誘電性絶縁体シート、及びその取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/249 20210101AFI20231218BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20231218BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20231218BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20231218BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231218BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231218BHJP
【FI】
H01M50/249
B32B7/025
B32B27/12
H01M50/242
H01M50/244 Z
B60K1/04 Z
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/293
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097141
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】63/351,616
(32)【優先日】2022-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 和彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 和人
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲明
(72)【発明者】
【氏名】轟木 直人
(72)【発明者】
【氏名】有馬 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕貴子
(72)【発明者】
【氏名】八田 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D235
4F100
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB12
3D235BB20
3D235BB25
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE64
3D235HH52
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100AK42D
4F100AK46A
4F100AT00B
4F100AT00C
4F100AT00D
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB00
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100EC182
4F100GB31
4F100GB41
4F100JD05D
4F100JG05B
4F100JG05D
4F100JJ02
4F100JK10
4F100JK17
4F100JL11
5H040AA14
5H040AA18
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040CC20
5H040CC59
5H040LL06
5H040LL10
5H040NN00
5H043AA04
5H043AA13
5H043CA21
5H043GA23
5H043GA24
5H043JA15F
5H043JA17F
5H043JA21F
5H043KA22F
5H043KA27F
5H043KA28F
5H043KA35F
5H043LA01F
5H043LA32F
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バッテリパックのコネクタに衝突する力が加わったときに電気車両のバッテリパックの短絡を防止するための、耐衝撃性、流体不透過性、及び電気絶縁性を有する多層材料を提供する。
【解決手段】多層、可撓性、耐衝撃性可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに不浸透性の誘電性絶縁体シート及びそれを用いた電気車両バッテリパック取付装置は、略平坦な対向する第1及び第2の側を有するテキスタイル層34と、接着積層体で第1の面に固定された流体不透過性フィルム40とを含む。接着積層体は、接着材料の対向する第1の層と第2の層との間に挟まれたポリマーフィルムを含む。接着材料の第1の層はテキスタイル層に結合され、接着材料の第2の層は流体不透過性フィルムに結合される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シートであって、
略平坦な対向する第1及び第2の側を有するテキスタイル層と、
接着材料の対向する第1の層と第2の層との間に挟まれたポリマーフィルムを含む接着積層体を用いて前記第1の側に固定された流体不透過性フィルムであって、前記接着材料の前記第1の層が前記テキスタイル層に結合され、前記接着材料の前記第2の層が前記流体不透過性フィルムに結合された、流体不透過性フィルムと、
を備える、多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項2】
前記流体不透過性フィルムがポリマーフィルムである、請求項1に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項3】
前記ポリマーフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項2に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項4】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが、200~1000ゲージである、請求項3に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項5】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが、5kV~25kVの誘電抵抗を有する、請求項3に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項6】
前記テキスタイル層が、織物層である、請求項1に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項7】
前記織物層が、緯糸方向マルチフィラメントヤーン及び経糸方向マルチフィラメントヤーンを含む、請求項6に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項8】
前記緯糸方向マルチフィラメントヤーンが、1400~2300のデニールを有し、前記経糸方向マルチフィラメントヤーンが、2400~3400のデニールを有する、請求項7に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項9】
前記緯糸方向マルチフィラメントヤーンが空気織りされており、前記経糸方向マルチフィラメントヤーンが空気織りされて撚られている、請求項8に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項10】
前記織物層が、密に織られた平織りパターンを有するように織られている、請求項7に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項11】
前記緯糸方向マルチフィラメントヤーン及び前記経糸方向マルチフィラメントヤーンが、ポリアミド6である、請求項7に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項12】
前記テキスタイル層とは反対側に面する前記流体不透過性フィルムの側に結合された自己接着層を更に含む、請求項1に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項13】
前記自己接着層が感圧接着層であり、前記感圧接着層に剥離可能に結合された剥離フィルムを更に含む、請求項12に記載の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性の誘電性絶縁体シート。
【請求項14】
電気車両バッテリパック取付装置であって、
車体部材と、
電気車両バッテリパックと、
前記車体部材と前記電気車両バッテリパックとの間に配設された金属製取付ブラケットと、
前記車体部材及び前記金属製取付ブラケットを貫通して配設され、前記電気車両バッテリパックと締結係合する締結具と、
前記金属製取付ブラケットと前記電気車両バッテリパックとの間に配設された多層絶縁体シートであって、
略平坦な対向する第1及び第2の側を有するテキスタイル層と、
接着材料の対向する第1の層と第2の層との間に挟まれたポリマーフィルムを含む接着積層体を用いて前記第1の側に固定された流体不透過性フィルムであって、前記接着材料の前記第1の層が前記テキスタイル層に結合され、前記接着材料の前記第2の層が前記流体不透過性フィルムに結合された、流体不透過性フィルムとを含む、多層絶縁体シートと、
を備える、電気車両バッテリパック取付装置。
【請求項15】
前記流体不透過性フィルムが、ポリマーフィルムである、請求項14に記載の電気車両バッテリパック取付装置。
【請求項16】
前記テキスタイル層が、緯糸方向マルチフィラメントヤーン及び経糸方向マルチフィラメントヤーンを有する織物層である、請求項15に記載の電気車両バッテリパック取付装置。
【請求項17】
前記緯糸方向マルチフィラメントヤーンは、1400~2300のデニールを有し、前記経糸方向マルチフィラメントヤーンは、2400~3400のデニールを有する、請求項16に記載の電気車両バッテリパック取付装置。
【請求項18】
前記緯糸方向マルチフィラメントヤーン及び前記経糸方向マルチフィラメントヤーンが、ポリアミド6である、請求項16に記載の電気車両バッテリパック取付装置。
【請求項19】
前記織物層が、密に織られた平織りパターンを有するように織られている、請求項16に記載の電気車両バッテリパック取付装置。
【請求項20】
前記テキスタイル層とは反対側に面する前記流体不透過性フィルムの側に結合された自己接着層を更に含む、請求項14に記載の電気車両バッテリパック取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年6月13日に出願された米国仮特許出願第63/351,616号の利益を主張するものであり、当該出願の全体を本明細書に組み込む。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に電気車両バッテリパックに関し、より詳細には、バッテリパックのコネクタに衝突する力が加わったときに電気車両のバッテリパックの短絡を防止するための、耐衝撃性、流体不透過性、及び電気絶縁性を有する多層材料に関する。
【背景技術】
【0003】
電気車両用途に使用されるものを含むバッテリパック2のセル1を、ポリマーバッテリケース3内に収容又は遮蔽することが知られている(図6A及び図6B)。更に、バッテリケース3を、少なくとも1つの金属製取付ブラケット4及び締結具5を介して電気車両の車両フレーム又は車体パネル6に固定することが知られている。このような固定機構は、バッテリパック2を車体パネル6に固定するのに有用であるが、更なる開発が望まれている。図6Cに示すように、衝撃力Fによってバッテリパック2が破損してバッテリパック2内で短絡することを防止することが望まれる。図示された例では、衝撃力Fが車体パネル6を変形することが示されており、これにより、金属製取付ブラケット4がポリマーバッテリカバー7を貫通(破壊又は穿孔とも呼ばれる)している。バッテリカバー7を貫通すると、金属製取付ブラケット4は、互いに電気的に連通するセル1を相互接続する導電性バスバー8に接触するか、又は近接するように示されており、その結果、金属製取付ブラケット4とセル1との間に短絡が確立される可能性がある。短絡の発生は、典型的には高湿度環境に存在する水及び/又は水蒸気を含む任意の導電性流体/水分の存在によって更に促進される可能性がある。
【0004】
したがって、バッテリパックを電気又は電気/ハイブリッド車両の車体フレーム/パネルに固定するために使用される取付ブラケットなどへの衝撃力に遭遇したときに短絡に耐性があるバッテリパックアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、少なくとも上述した問題に対処する、電気車両バッテリパックと共に使用するための多層材料を提供することである。
【0006】
本開示の更なる目的は、少なくとも上述の問題に対処する、電気車両バッテリパックの取付装置に使用するための多層材料を提供することである。
【0007】
本開示の更なる目的は、電気車両バッテリパックの取付装置において使用するための多層材料を提供することであり、多層材料は、取付装置とバッテリパックとの間の短絡の発生を抑制するために、多層材料を通る流体の通過に対して不透過性である。
【0008】
本開示の更なる目的は、多種多様なバッテリパック/取付装置構成での使用に適応可能であるように、多機能であり、サイズ及び形状がカスタマイズ可能である、電気車両バッテリパックの取付装置で使用するための多層材料を提供することである。
【0009】
本開示の更なる目的は、電気車両バッテリパックの取付装置において使用するための、強靭で耐破壊性の多層材料を提供することである。
【0010】
本開示の更なる目的は、製造及び組立において経済的である、電気車両バッテリパックの取付装置において使用するための多層材料を提供することである。
【0011】
本発明の一態様は、電気車両バッテリパック用の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに不浸透性の誘電性絶縁体シートを提供する。絶縁体シートは、略平坦な対向する第1及び第2の側を有するテキスタイル層と、第1の側に固定された流体不透過性フィルムとを含む。流体不透過性フィルムは、接着層で第1の側に固定される。
【0012】
本発明の別の態様は、電気車両バッテリパックの取付装置のための多層、可撓性、耐衝撃性、及び不透過性の誘電性絶縁体シートを提供する。絶縁体シートは、略平坦な対向する第1及び第2の側を有するテキスタイル層と、第1の側に固定された流体不透過性フィルムとを含む。流体不透過性フィルムは、接着層で第1の側に固定される。
【0013】
本開示の別の態様によれば、接着層は、接着材料の対向する層の間に挟まれたポリマーフィルムを含む接着積層体として提供することができ、接着材料の対向する層の一方はテキスタイル層に結合され、接着材料の対向する層の他方は流体不透過性フィルムに結合される。
【0014】
本開示の別の態様によれば、流体不透過性フィルムは、ポリマーフィルムとして提供することができる。
【0015】
本開示の別の態様によれば、ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムとして提供することができる。
【0016】
本開示の別の態様によれば、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、200~1000のゲージを有する。
【0017】
本開示の別の態様によれば、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、5kV~25kVの誘電抵抗を有する。
【0018】
本開示の別の態様によれば、テキスタイル層は、織物層として形成することができる。
本開示の別の態様によれば、織物層は、緯糸方向マルチフィラメントヤーン及び経糸方向マルチフィラメントヤーンを含んで織られている。
【0019】
本開示の別の態様によれば、緯糸方向マルチフィラメントヤーンは、1400~2300デニールを有し、経糸方向マルチフィラメントヤーンは、2400~3400デニールを有する。
【0020】
本開示の別の態様によれば、緯糸方向マルチフィラメントヤーンは、空気織りされ、経糸方向マルチフィラメントヤーンは、空気織りされて撚られる。
【0021】
本開示の別の態様によれば、織物層は、密に織られた平織りパターンで織られている。
本開示の別の態様によれば、緯糸方向マルチフィラメントヤーン及び経糸方向マルチフィラメントヤーンは、ポリアミド6として提供することができる。
【0022】
本開示の別の態様によれば、不透過性絶縁体シートは、バッテリカバーへの不透過性絶縁体シートの固定を容易にするために、テキスタイル層とは反対側に面する流体不透過性フィルムの側に接合された自己接着層を更に含むことができる。
【0023】
本開示の別の態様によれば、自己接着層は、感圧接着層として提供することができ、剥離フィルムが感圧接着層に剥離可能に結合される。
【0024】
本開示の別の態様によれば、電気車両バッテリパック取付装置は、車体部材と、電気車両バッテリパックと、車体部材と電気車両バッテリパックとの間に配設された金属製取付ブラケットとを含み、締結具が、車体部材及び金属製取付ブラケットを貫通して配設され、電気車両バッテリパックと締結係合する。更に、金属製取付ブラケットと電気自動車両バッテリパックとの間には、多層の耐破壊性絶縁体シートが配設されている。多層の耐破壊性絶縁体シートは、略平坦な対向する第1及び第2の面を有するテキスタイル層と、接着積層体で第1の面に固定された流体不透過性フィルムとを含む。接着積層体は、接着材料の対向する第1の層と第2の層との間に挟まれたポリマーフィルムを含む。接着材料の第1の層はテキスタイル層に結合され、接着材料の第2の層は流体不透過性フィルムに結合される。
【0025】
これら及び他の態様、特徴、及び利点は、現在好ましい実施形態及び最良の形態、添付の特許請求の範囲、並びに添付の図面の以下の詳細な説明を考慮して、当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電気車両バッテリパックをより良く示すために車体が取り外された電気車両の斜視図である。
図2】本開示の一態様に従って構成された多層、可撓性、耐衝撃性、及び不透過性の誘電性絶縁体シートの底面斜視図である。
図3】バッテリパックを電気車両の車体部材に取り付ける取付装置を備えたバッテリパックの断面部分側面図であり、取付装置の取付部材とバッテリパックのバッテリカバーとの間に配設された多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに不透過性の誘電性絶縁体シートを更に示す。
図4A】取付ブラケットと、バッテリカバーと係合するために取付ブラケットの下に配設された一対の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに不浸透性の誘電性絶縁体シートとを含む取付装置の上面図である。
図4B図4Aの取付ブラケット、及び一対の多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに不透過性の誘電性絶縁体シートの底面図である。
図5図4Aの線5-5に沿った概略断面図である。
図5A】多層、可撓性、耐衝撃性、及び不透過性の誘電性絶縁体シートの流体不透過性フィルムにテキスタイル層を結合するために使用される接着層の概略断面図である。
図5B】多層、可撓性、耐衝撃性、及び不透過性の誘電性絶縁体シートのテキスタイル層の概略部分平面図である。
図6A】従来技術による取付装置を有するバッテリパックの概略上面図である。
図6B図6Aの線6B-6Bに概ね沿ったバッテリパック及び取付装置の図3と同様の図であり、取付装置は、従来技術により、電気車両の車体部材にバッテリパックを取り付けて示されている。
図6C図6Bと同様の概略図であり、従来技術により、衝撃力が車体部材を変形させ、取付装置の取付ブラケットをバッテリカバーに貫通させ、内部バスバーに対して短絡させることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面をより詳細に参照すると、図1は、本発明の一態様による多層断熱体10を用いて構成されたリチウムイオンバッテリパックなどのバッテリパック12を有する、電気車両10とも呼ばれる電動自動車として示される自動車を示す。電気車両バッテリパック12は、以下でハウジング14と呼ばれるバッテリパックハウジングを含み、ハウジング14は、複数のセルモジュールハウジング14’を含み、各セルモジュールハウジング14’は、複数のセル18を含む別個のバッテリモジュール16を境界付ける。各バッテリモジュール16内のセル18は、内部バスバー20(図3)を介して互いに電気的に連通され、隣接するバッテリモジュール16内のセル18は、外部バスバー(図示せず)を介して互いに電気的に連通される。バッテリモジュール16は、モジュール蓋22によって閉鎖することができ、ハウジング14全体は、バッテリボックス蓋24とも呼ばれるハウジング蓋によって閉鎖することができる。
【0028】
バッテリパック12は、少なくとも1つ又は複数の締結具28と、以下で取付ブラケット30と呼ばれる金属製取付ブラケットとを含む取付装置を介して、電気車両10のフレーム部材又は車体パネル(以下で車体部材26と呼ばれる)に固定される。取付装置は、本明細書の開示に従って構成され、取付ブラケット30とバッテリパック12との間に配設された、以下でプロテクタシート32(図2図5)と呼ばれる、多層、可撓性、耐衝撃性及び耐破壊性、並びに不浸透性の誘電性絶縁体シートを更に含む。したがって、図6Bに示されるような衝撃力Fなどによって取付ブラケット30が変形又は他の形で変位した場合、モジュール蓋22及び/又はバッテリボックス蓋24が貫通又は他の形で損傷したとしても、プロテクタシート32は、破壊に抵抗し、取付ブラケット30と内部バスバー20との間の接触を防止することによって短絡が生じるのを防止する。したがって、バッテリパック12の動作可能な完全性を、衝突状態においてより高い可能性で維持することができる。
【0029】
プロテクタシート32は、概ね平坦な対向する第1の側36及び第2の側38(図5)を有するテキスタイル層34と、接着層42とも呼ばれる接着積層体などで第1の側36に固定された流体不透過性フィルム40とも呼ばれる流体不透過性層とを含む。接着層42は、接着材料の対向する第1の層46と第2の層48との間に挟まれたポリマーフィルム44を含む接着積層体(図5A)として提供することができ、接着材料の第1の層46として示される上記対向する層の一方は、テキスタイル層34に直接結合され、接着材料の第2の層48として示される対向する層の他方は、流体不透過性フィルム40に直接結合される。したがって、接着層42は、中央の耐破壊性ポリマーフィルム44を含み、第1及び第2の接着層46、48は、中央の耐破壊性ポリマーフィルム44の両側にある。
【0030】
流体不透過性フィルム40はポリマーフィルムであり、ポリマーフィルムはポリエチレンテレフタレートから形成することができる。好ましい実施形態によれば、ポリエチレンテレフタレートフィルムは、200~1000のゲージ及び5kV~25kVの誘電抵抗を有する。流体不透過性フィルム40は、流体及び水分の通過を防止するように機能し、それによって、取付ブラケット30、テキスタイル層34、及び内部バー20、又はセル18を含むバッテリモジュール16の他の内容物の間の短絡を防止する。したがって、テキスタイル層34が高い含水率を有する場合であっても、それぞれのモジュール蓋22が損傷する、及び/又は取付ブラケット30によって貫通される場合、流体不透過性フィルム40による流体/水分移動の防止によって短絡が防止される。
【0031】
この好ましい一態様によれば、テキスタイル層34は、織物層として提供される。図5Bに概略的に示されるように、織物層34は、緯糸方向マルチフィラメント50及び経糸方向マルチフィラメント52を含んで織られている。緯糸方向マルチフィラメントヤーン52は、1400~2300のデニールを有して提供され、経糸方向マルチフィラメントヤーン50は、2400~3400のデニールを有して提供される。緯糸方向マルチフィラメントヤーン52は、空気織りされ、経糸方向マルチフィラメントヤーンは、空気織りされて撚られ、撚りは、織物層34の強度を向上させる。織物層34は、密に織られた平織りパターンで織られ、これは最終的に、視覚的に貫通開口がない布地をもたらし、したがって、破片による引裂き及び貫通に対する布地の耐性を高める一方で、織物層34の耐衝撃性を高め、ひいては、下にある流体不透過性フィルム40を損傷から保護するように機能する。緯糸方向マルチフィラメントヤーン52及び経糸方向マルチフィラメントヤーン50は、限定ではなく例として、ポリアミド6から提供することができる。
【0032】
プロテクタシート32をバッテリボックス蓋24に固定することを容易にするために、自己接着層54を、テキスタイル層54とは反対側に面する流体不透過性フィルム40の側に接合することができる。自己接着層54は、感圧接着層として提供することができ、剥離フィルム(図示せず)は、バッテリボックス蓋24への接着のために感圧接着層54を露出させることが望まれるまで、感圧接着層54に剥離可能に結合することができる。
【0033】
プロテクタシート32は、締結具28との干渉を回避しながら、取付ブラケット30の下側形状及び輪郭に適合するように略U字形であるものとして示されている。選択された取付ブラケット30の形状及び輪郭に適合する必要に応じて、他の形状が本明細書において企図されることが認識されるべきである。
【0034】
明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能である。そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、すべての特許請求の範囲及びすべての実施形態のすべての特徴を互いに組み合わせることができることが企図される。したがって、添付の特許請求の範囲内では、本発明は、具体的に説明されたもの以外に実施され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
【外国語明細書】