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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018201
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/06 20060101AFI20230201BHJP
   C08G 64/20 20060101ALI20230201BHJP
   C08G 64/22 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C08G64/06
C08G64/20
C08G64/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122117
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】小川 典慶
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA09
4J029AD01
4J029AE01
4J029AE11
4J029BB10A
4J029BB12A
4J029BB12B
4J029BB13A
4J029BB13B
4J029BB18
4J029BD09A
4J029BD09B
4J029BD10
4J029BE04
4J029BF13
4J029BG06Y
4J029BH02
4J029BH04
4J029DB07
4J029DB11
4J029DB13
4J029FA06
4J029FA07
4J029HC01
4J029HC02
4J029HC04A
4J029HC04C
4J029HC05A
4J029HC05B
4J029JA061
4J029JA091
4J029JA121
4J029JB131
4J029JB171
4J029JC231
4J029JE222
4J029JF031
4J029JF041
4J029JF051
4J029JF181
4J029JF321
4J029JF331
4J029JF371
4J029JF381
4J029KB13
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4J029KE11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安定して色相の良いポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度が30質量%であるメタノール溶液と、前記メタノール溶液に対し9質量倍の純水とを混合してなるスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下である原料物質を用いて、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を重合する工程を含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法によって達成することができる。

(R及びRは、独立に、H、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は、炭素数6以上30以下のアリール基を表し、m及びnは、0~4の整数を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、
前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度が30質量%であるメタノール溶液と、前記メタノール溶液に対し9質量倍の純水とを混合してなるスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下である原料物質を用いて、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を重合する工程を含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【化1】
(一般式(1)において、
及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよく、分岐していてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基、又は、置換されていてもよい炭素数6以上30以下のアリール基を表し、
m及びnは、各々独立に、0~4の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(1-1)で表される、請求項1に記載の製造方法。
【化2】
(一般式(1-1)において、
、R、m及びnは、一般式(1)とそれぞれ同じである。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が、ビス(4―ヒドロキシフェニル)エーテルである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ポリカーボネート樹脂4gが25mlのメチレンクロライドに溶解してなる溶液のハーゼン単位色数(APHA)が、30以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記重合工程において、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンからなる群より選択される少なくとも一つを原料モノマーとして更に用いる、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、透明性や機械的強度に優れており、様々な用途に使用されている。一般的には、ビスフェノールAを原料モノマーとして用いたポリカーボネート樹脂が流通しているが、インキや複写機部材等の特殊な用途においては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル(以下、「DHDE」と略称)を原料モノマーとして用いたポリカーボネート樹脂が知られている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
ポリカーボネート樹脂は高い透明性を有することが特徴であり、特にインキ用途においては、着色に対して非常に厳しい品質安定性が求められていた。しかしながら、DHDEは、ビスフェノールAほど工業的に高品質のものが大量生産されておらず、同等の純度でもロットが異なったり(液体クロマトグラフィーなどの一般的な分析により定量される濃度だけではDHDEの品質を見極めることが難しい)、製造メーカー(製造装置)が異なると、製造されたポリカーボネート樹脂の品質が、想定外に変動してしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-51544号公報
【特許文献2】特開2016-160291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような変動をもたらす原因は解明されておらず、DHDEを原料とするポリカーボネート樹脂の品質安定性、特に着色を抑制できる新たな製造方法の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記従来における課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の本発明によって上記課題を解決することができることを見出した。即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、
前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度が30質量%であるメタノール溶液と、前記メタノール溶液に対し9質量倍の純水とを混合してなるスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下である原料物質を用いて、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を重合する工程を含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法である。
【化1】
(一般式(1)において、
及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよく、分岐していてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基、又は、置換されていてもよい炭素数6以上30以下のアリール基を表し、
m及びnは、各々独立に、0~4の整数を表す。)
<2> 前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が、下記一般式(1-1)で表される、上記<1>に記載の製造方法である。
【化2】
(一般式(1-1)において、
、R、m及びnは、一般式(1)とそれぞれ同じである。)
<3> 前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が、ビス(4―ヒドロキシフェニル)エーテルである、上記<1>又は<2>に記載の製造方法である。
<4> 前記ポリカーボネート樹脂4gが25mlのメチレンクロライドに溶解してなる溶液のハーゼン単位色数(APHA)が、30以下である、上記<1>~<3>のいずれかに記載の製造方法である。
<5> 前記重合工程において、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンからなる群より選択される少なくとも一つを原料モノマーとして更に用いる、上記<1>~<4>のいずれかに記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法により、安定して色相の良いDHDE型ポリカーボネート樹脂を確実に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の効果を有する範囲において任意に変更して実施することができる。
【0009】
一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物は、公知の方法で合成できる他、複数の会社から市販品を入手することもできるが、液体クロマトグラフィーなどの一般的な分析により定量される純度が同等であっても、該芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて重合して得られたポリカーボネート樹脂は、APHAなどに於いてしばしば変動が見られた。
本願発明者らの検討によれば、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物中には、ハロゲン化物イオン、アルカリ金属イオン、遷移金属塩イオン、有機化合物イオン等複数の不純物が検出されるものの、APHAに直接影響ある原因物質が特定できなかった。
【0010】
しかしながら本願発明者らの試行錯誤の結果、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度が30質量%であるメタノール溶液と、前記メタノール溶液に対し9質量倍の純水とを混合してなるスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下である原料モノマーを用いる、即ち、一般式(1)で表される芳香族時ヒドロキシ化合物を30質量%溶解したメタノール溶液に、9質量倍の純水を加えて一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させたスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下、好ましくは、4.6μS/cm以下、より好ましくは3.8μS/cm以下の原料モノマーを用いることにより、良好な色相を有するポリカーボネート樹脂を安定的に製造できることを見出した。
ここで、該スラリー溶液の導電率が5.0μS/cmであり、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を用いないブランクの導電率が1.0μS/cmである場合、ブランクとの差であるΔ4.0μS/cmが、水溶性不純物による導電率上昇分と推定される。
該導電率の下限は特にないが、芳香族ジヒドロキ化合物を含まない場合(ブランク)と同等である。例えば、誘電率の下限は1.0μS/cmである。
【0011】
さらに、上述の誘電率が、5.0μS/cmを超える一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に関しては、後述の導電率試験後のスラリー液から分離(濾過)した一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を乾燥したものについて再度同様に導電率試験を行い5.0μS/cm以下になったものを用いれば、良好な色相のポリカーボネート樹脂が得られる。
【0012】
(a)原料モノマー
ポリカーボネート樹脂の製造には、ポリカーボネート樹脂のポリマー鎖の構成単位を形成するための原料モノマーが用いられる。本発明で使用される原料モノマーは、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度が30質量%であるメタノール溶液と、前記メタノール溶液に対し9質量倍の純水とを混合してなるスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下である芳香族ジヒドロキシ化合物を含む。
【化3】
一般式(1)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよく、分岐していてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基、又は、置換されていてもよい炭素数6以上30以下のアリール基を表す。
及びRは、
好ましくは、水素原子、置換されていてもよく、分岐していてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基、又は、置換されていてもよい炭素数6以上16以下のアリール基であり、
より好ましくは、水素原子、置換されていてもよく、分岐していてもよい炭素数1以上6以下のアルキル基、又は、置換されていてもよい炭素数6以上12以下のアリール基であり、
特に好ましくは、水素原子、置換されていてもよく、分岐していてもよい炭素数1以上3以下のアルキル基、又は、置換されていてもよい炭素数6以上8以下のアリール基である。
及びRの好ましい具体例として、水素原子、メチル基、イソプロピル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
なお、アルキル基またはアリール基に置換されていてもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
【0013】
一般式(1)において、m及びnは、各々独立に、0~4の整数を表す。m及びnは、好ましくは、0~2の整数であり、より好ましくは各々独立に0または1であり、最も好ましくは0である。
【0014】
一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の好ましい形態の例として、下記一般式(1-1)で表されるものが挙げられる。
【化4】
一般式(1-1)において、R及びR、m及びnは、一般式(1)とそれぞれ同じである。
【0015】
上記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル[=DHDE]、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-クミルフェニル)エーテルなどが例示される。
これらの中でも、特に、下記式(1-a)で示される、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルが好ましい。
【化5】
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は、2種以上を混合して使用することができる。
上記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物中、上記式(1-a)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上100mol%以下であることが更に好ましい。
【0016】
(b)その他の原料モノマー(その他の芳香族ジヒドロキシ化合物)
その他の原料モノマー(その他の芳香族ジヒドロキシ化合物)として、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と併用して、下記一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。
【化6】
(式中、R及びRは、各々独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、それぞれ置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数2~12のアルケニル基、炭素数1~5のアルコキシ基、又は炭素数7~17のアラルキル基である。p及びqは、各々独立に、0~2の整数を表す。p及びqは、好ましくは、各々独立に0または1であり、より好ましくは0である。Xは、
【0017】
【化7】
のいずれかを表し、ここで、R及びRは、各々独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、各々置換基を有してもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、又は炭素数6~12アリール基を表すか、RとRが結合して、炭素数5~20の炭素環または元素数5~12の複素環を形成する基を表す。R及びRは、各々独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、各々置換基を有してもよい、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~12のアルケニル基、又は炭素数6~12アリール基を表す。Rは、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキレン基である。bは0~20の整数を表し、cは1~500の整数を表す。)
【0018】
一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の具体的としては、4,4’-ビフェニルジオール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロウンデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニル)プロパン、3,3,5-トリメチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルジフェニルランダム共重合シロキサン、α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。また、これらの中でも、特に1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンが好ましい。
【0019】
本発明のポリカーボネート樹脂は、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。例えば、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の使用量は、全芳香族ジヒドロキシ化合物中、10~100mol%であることが好ましく、より好ましくは20~80mol%、さらに好ましくは30~70mol%である。
【0020】
一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の使用量は、全芳香族ジヒドロキシ化合物中、0~90mol%であることが好ましく、より好ましくは20~80mol%、さらに好ましくは30~70mol%である。
【0021】
(c)その他の原料モノマー(芳香族ジヒドロキシ化合物以外)
ポリカーボネート樹脂を界面重縮合法により製造する場合、前述の芳香族ジヒドロキシ化合物以外の原料モノマーとして、炭酸エステル形成化合物、末端停止剤も用いられる。
【0022】
炭酸エステル形成化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来の構成単位を結合させるために用いられ、ポリカーボネート樹脂のポリマー鎖にカルボニル基(-C(=O)-)を形成する。炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲン、トリホスゲンが用いられ、好ましくはホスゲンが用いられる。
【0023】
末端停止剤は、原料モノマーの重合反応を停止させるために用いられ、ポリカーボネート樹脂のポリマー鎖の末端基を形成する。末端停止剤としては、1価フェノールが好適に用いられる。
末端停止剤としては、フェノール、p-クレゾール、o-クレゾール、2,4-キシレノール、p-t-ブチルフェノール、o-アリルフェノール、p-アリルフェノール、p-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、p-プロピルフェノール、p-クミルフェノール、p-フェニルフェノール、o-フェニルフェノール、p-トリフルオロメチルフェノール、p-ノニルフェノール、p-ドデシルフェノール、オイゲノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ドデシルフェノール、ミリスチルフェノール、パルミチルフェノール、ステアリルフェノール、ベヘニルフェノール等のアルキルフェノール及びパラヒドロキシ安息香酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アミルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル等のパラヒドロキシ安息香酸アルキルエステルが挙げられる。また、上記1価フェノールのいずれかを2種類以上併用して使用することも可能である。
【0024】
末端停止剤の使用量は、ポリカーボネート樹脂の目的とされる分子量等に応じて適宜定められるが、芳香族ジヒドロキシ化合物と末端停止剤との使用量のモル比の好ましい範囲は、100:1~10:1であり、さらに好ましくは50:1~15:1であり、より好ましくは40:1~20:1、例えば25:1である。
【0025】
また、ポリカーボネート樹脂をエステル交換法により製造することも可能である。エステル交換法においては、芳香族ジヒドロキシ化合物以外の成分として、炭酸ジエステル、エステル交換触媒等も用いられる。
【0026】
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが反応性と純度の観点から好ましい。炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し0.70~1.20モルの比率で用いられ、特に好ましくは、1.00~1.20モルの比率で用いられる。このモル比率を調整することにより、ポリカーボネート樹脂の分子量が好ましい範囲に制御される。
【0027】
エステル交換触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、および含窒素化合物等が挙げられる。
アルカリ金属化合物としては、例えばアルカリ金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。触媒効果、価格、流通量、樹脂の色相への影響などの観点から、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムが好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、例えばアルカリ土類金属化合物の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物又はアルコキシド等が挙げられる。
含窒素化合物としては、例えば4級アンモニウムヒドロキシドおよびそれらの塩、アミン類等が挙げられる。
【0028】
エステル交換触媒としては、亜鉛、スズ、ジルコニウム、鉛の塩が好ましく用いられ、これらは単独もしくは組み合わせて用いることができる。また、上述したアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物と組み合わせて用いてもよい。
エステル交換触媒として、具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、酢酸スズ(II)、酢酸スズ(IV)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムテトラブトキシド、酢酸鉛(II)、酢酸鉛(IV)、酢酸ジルコニウム、チタンテトラブトキサイド等が用いられる。なかでも、チタンテトラブトキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸セシウムが好ましく、炭酸水素ナトリウム及び炭酸セシウムがより好ましい。
【0029】
エステル交換触媒の合計使用量は、全ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、1×10-9~1×10-3モルの比率で、好ましくは1×10-7~1×10-4モルの比率で用いられる。
【0030】
(d)ポリカーボネート樹脂の製造方法
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、上述の一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を重合させる重合工程を含んでおり、製造されるポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含む。
本発明の重合工程においては、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度が30質量%であるメタノール溶液と、前記メタノール溶液に対し9質量倍の純水とを混合してなるスラリー溶液の導電率が、5.0μS/cm以下である原料物質を用いる。
【0031】
本発明のポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸エステル形成化合物を含む原料モノマーを反応させることによって、製造することができるものであり、ビスフェノールAから誘導されるポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられている公知の方法、例えば芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいは芳香族ジヒドロキシ化合物とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法を採用することができる。
【0032】
ホスゲン法においては、通常、酸結合剤および溶媒の存在下において、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物、或いは前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物及び前記一般式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたはベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p-t-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチルなどのアルキルエステル置換フェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物を分子量調節剤として加えることが好ましい。また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノールなど分岐化剤を小量添加してもよい。反応は通常0~150℃、好ましくは5~40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分~10時間、好ましくは1分~2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
【0033】
一方、エステル交換法においては、前記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物とビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。ビスアリールカーボネートの例としては、ジフェニルカーボネート、ジ-p-トリルカーボネート、フェニル-p-トリルカーボネート、ジ-p-クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどが挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。反応は通常150~350℃、好ましくは200~300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した、該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1~24時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
【0034】
本発明のポリカーボネート樹脂においては、JIS K7367-1に沿って後述する方法で測定される極限粘度の値が、0.2~2.0dl/gであることが好ましく、より好ましくは、0.3~1.5dl/gであり、さらに好ましくは、0.4~1.0dl/gである。
【0035】
本発明のポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂4gが25mlのメチレンクロライドに溶解してなる溶液のハーゼン単位色数(APHA)が、30以下であることが好ましく、5~27であることがより好ましく、10~25であることが特に好ましい。APHAの測定方法は、後述する実施例に記載の通り、JIS K0071-1に沿って行うことができる。
【実施例0036】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示し、発明の内容を詳細に示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
<APHA>
4gのポリカ-ボネート樹脂に25mlのメチレンクロライドを加え溶解し、溶液のハーゼン単位色数(APHA)をJIS K0071-1の目視による測定で求めた。
【0038】
<DHDE導電率>
3gのDHDEを7gの市販特級メタノールに溶解し、マグネットスターラーで撹拌しながら90gの純水を加え、DHDEを析出させたスラリー液の導電率を導電率計(ハンナインスツルメンツジャパン株式会社製HI8733N)で測定した。DHDEを用いないブランクの導電率は1.0μS/cmであった。
【0039】
<極限粘度>
得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度[η]デシリットル/グラムは以下のように求めた。JIS K7367-1に沿って、0.5グラム/デシリットルのポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液について、ウベローデ毛管粘度計によって25℃の温度で落液時間を測定し、ハギンズ定数0.45を用いて、極限粘度を求めた。
【0040】
<DHDE純度>
溶離液(メタノール/超純水=75%/25%)、ODSカラム(直径6mm×150mm)、検出器UV280nm、DHDE試料濃度100ppm(溶離液と同じ組成で注入量20μL)、カラム温度30℃、流速1ml/分の条件で、約3.5分のピークをメインピークとし、液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ株式会社製AllianceHPLC)を用いた定量値より純度を算出した。
【0041】
<実施例と比較例に用いたDHDEの種類>
市販されている各種DHDEを入手し、DHDE純度および導電率の測定を行った。結果を表1に示す。
【表1】
なお、D-3は、36gのD-7を84gのメタノールに溶解し、撹拌しながら1080gの純水を滴下して、スラリー液を得た後、吸引濾過して固形分を回収し、真空乾燥したものである。
【0042】
実施例1
D-1を31.5g(0.156mol)と1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、「BPZ」と略称:本州化学工業株式会社製)42.0g(0.157mol)とハイドロサルファイト0.3gを5w/w%の水酸化ナトリウム水溶液800mlに溶解した。
これにメチレンクロライド450mlを加えて撹拌しつつ、15~20℃に保ちながら、ついでホスゲン43gを40分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル(以下、「POBB」と略称:株式会社エーピーアイコーポレーション製)1.55gと9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液100mlを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、0.6mlのトリエチルアミンを加え、19~25℃にて約40分撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、先液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、60℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、120℃、18時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の20℃における極限粘度は0.63dl/gであった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm-1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂(以下「PC-1」と略称)であることが確認された。
得られたPC-1を用いて、APHA測定を実施した。
【0043】
実施例2
D-1の代わりにD-2(DHDE導電率2.7μS/cm)に変更した以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.64dl/g、以下「PC-2」と略称)を得た。得られたPC-2を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0044】
実施例3
D-1の代わりに、D-3(DHDE導電率1.5μS/cm)に変更した以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.64dl/g、以下「PC-3」と略称)を得た。得られたPC-3を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0045】
実施例4
D-1の代わりにD-4(DHDE導電率4.6μS/cm)に変更し、POBBを0.693gに変更した以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:1.00dl/g、以下「PC-4」と略称)を得た。得られたPC-4を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0046】
実施例5
D-1を18.2g(0.090mol)、BPZを36.4g(0.136mol)に変更し、さらに2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン(以下、「MIBK」と略称、本州化学工業株式会社製)6.2g(0.023mol)とハイドロサルファイト0.3gを3.9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液840mlに溶解した。
これにメチレンクロライド540mlを加えて撹拌しつつ、15~20℃に保ちながら、ついでホスゲン35gを約30分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp-t-ブチルフェノール(以下、「PTBP」と略称:DIC株式会社製)0.42gと9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液140mlを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、0.6mlのトリエチルアミンを加え、19~25℃にて約40分撹拌し、重合させた。
以下、実施例1と同様に精製、固形化、乾燥を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.98dl/g、以下「PC-5」と略称)を得た。得られたPC-5を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0047】
実施例6
D-1を27g(0.134mol)、BPZの代わりに2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と略称、本州化学工業株式会社製)63.0g(0.246mol)に変更し、さらにトリエチルベンジルアンモニウムクロリド0.10gとハイドロサルファイト0.3gを6.6w/w%の水酸化ナトリウム水溶液750mlに溶解した。
これにメチレンクロライド360mlを加えて撹拌しつつ、15~20℃に保ちながら、ついでホスゲン54gを約40分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp-t-ブチルフェノール(以下、「PTBP」と略称:DIC株式会社製)0.76gと9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液100mlを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、0.6mlのトリエチルアミンを加え、17~27℃にて約40分撹拌し、重合させた。
以下、実施例1と同様に精製、固形化、乾燥を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:1.00dl/g、以下「PC-6」と略称)を得た。得られたPC-6を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0048】
比較例1
D-1の代わりD-5を用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.63dl/g、以下「PC-7」と略称)を得た。得られたPC-7を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0049】
比較例2
D-1の代わりにD-6を用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.64dl/g、以下「PC-8」と略称)を得た。得られたPC-8を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0050】
比較例3
D-1の代わりにD-7を用いた以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.63dl/g、以下「PC-9」と略称)を得た。得られたPC-9を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0051】
比較例4
D-4の代わりにD-5を用いた以外は実施例4と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.99dl/g、以下「PC-10」と略称)を得た。得られたPC-10を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0052】
比較例5
D-1の代わりにD-8を用いた以外は実施例5と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:0.99dl/g、以下「PC-11」と略称)を得た。得られたPC-11を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0053】
比較例6
D-1の代わりにD-5を用いた以外は実施例6と同様に重合を行い、ポリカーボネート樹脂(極限粘度:1.00dl/g、以下「PC-12」と略称)を得た。得られたPC-12を用いて、実施例1と同様にAPHA測定を実施した。
【0054】
実施例および比較例で得られたポリカーボネート樹脂の極限粘度及びAPHAの測定結果を表2に示した。
【0055】
【表2】
【0056】
本発明の製造方法を用いると、得られたポリカーボネート樹脂は、色合わせが重要な印刷インキ用バインダー樹脂や光学レンズなどの用途に応用することが可能である。