(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182012
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】空気制御システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20231219BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20231219BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20231219BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20231219BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20231219BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F7/06 101Z
F24F7/007 B
F24F11/79
F24F11/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095358
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L056BD03
3L056BD04
3L056BF02
3L058BK09
3L260AA01
3L260AA03
3L260AB02
3L260AB16
3L260BA02
3L260BA05
3L260BA06
3L260BA07
3L260BA08
3L260BA13
3L260BA27
3L260BA74
3L260CA11
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA29
3L260CB62
3L260CB63
3L260CB64
3L260CB65
3L260EA07
3L260EA08
3L260FA02
3L260FA03
3L260FA06
3L260FA07
3L260FA08
3L260FA20
3L260FC15
3L260FC16
3L260FC40
(57)【要約】
【課題】入り組んだ屋内空間などでも空気状態のムラを早期に低減する。
【解決手段】吸気した空気を屋外に排気する排気機能13を有し、空気状態を検出する第1センサ11が設けられたレンジフード10と、冷房機能24、暖房機能25、除湿機能26、加湿機能27のうち少なくとも1つの機能を有し、空気状態を検出する第2センサ21が設けられた空調機器20と、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能の動作を制御する制御部30と、を備え、制御部は、第1センサが検出した第1検出値および第2センサが検出した第2検出値を取得し、その第1検出値と該第2検出値の差が所定値以上である場合、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させる空気制御システムが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気した空気を屋外に排気する排気機能を有し、空気状態を検出する第1センサが設けられたレンジフードと、
冷房機能、暖房機能、除湿機能、加湿機能のうち少なくとも1つの機能を有し、空気状態を検出する第2センサが設けられた空調機器と、
前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1センサが検出した第1検出値および前記第2センサが検出した第2検出値を取得し、
該第1検出値と該第2検出値の差が所定値以上である場合、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させる、
空気制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させた後、前記第1センサが検出した第1検出値および前記第2センサが検出した第2検出値を取得し、該第1検出値と該第2検出値の差が所定値未満である場合前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させることを終了することを特徴とする請求項1に記載の空気制御システム。
【請求項3】
吸気した空気を屋外に排気する排気機能を有し、空気状態を検出する第1センサが設けられたレンジフードと、
冷房機能、暖房機能、除湿機能、加湿機能のうち少なくとも1つの機能を有する空調機器と、
前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1センサが検出した第1検出値を取得し、
該第1検出値が所定の範囲外である場合、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させる、
空気制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させた後、前記第1センサが検出した第1検出値を取得し、該第1検出値が所定の範囲外でない場合前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させることを終了することを特徴とする請求項3に記載の空気制御システム。
【請求項5】
前記空調機器は、空気を吹き出す方向を規定するルーバーを有し、
前記制御部は、前記レンジフードと前記空調機器との位置関係に基づいて前記ルーバーの空気を吹き出す方向を調節することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気制御システム。
【請求項6】
前記レンジフードは、吸気した空気を屋内に戻す循環機能と、近傍で調理を行っているか否かを判定する判定部とをさらに有し、
前記制御部は、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させている場合であって、前記判定部が調理を行っていると判定した場合は排気機能を動作させ、前記判定部が調理を行っていないと判定した場合は循環機能を動作させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気制御システム。
【請求項7】
前記レンジフードは、近傍で調理を行っているか否かを判定すると共に調理状態に応じた排気機能の排気風量を判定する判定部をさらに有し、
前記制御部は、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させている場合であって前記判定部が調理を行っていると判定した場合、前記レンジフードの排気機能と前記空調機器が有する機能を連携させている場合の排気機能による排気風量と、前記判定部が決定した調理状態に応じた排気機能の排気風量とを比較し、より大きい風量を示す風量で排気機能を動作させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋が大きい場合や略L型のような入り組んだ間取りの部屋の場合、空調機器からの空気調和が行われた空気が部屋の隅々まで効率的に行き渡ることが難しく、温度ムラが生じてしまうという問題がある。これを解決するために、例えば空調機器とサーキュレータを併用し、部屋の中の空気を撹拌することで温度ムラを低減させることが考案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1は、部屋の温度に依存しない運転開始制御が可能なサーキュレータを開示する。このサーキュレータは、対象空間の空気流れを起こすファンと、ファンの作動を制御する制御部と、を備え、対象空間の温度ムラを減少させるためのサーキュレータにおいて、対象空間の空気の湿度を検知する湿度センサを備え、あらかじめ設定した時間の間にあらかじめ設定した幅の湿度の変化が生じた場合に、サーキュレータの運転が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来技術では、サーキュレータの性能によって温度ムラを低減するのに時間がかかってしまっていた。
そこで、本発明は、かかる事情を鑑みて考案されたものであり、大きな排気能力を備えるレンジフードを併用し、入り組んだ屋内空間などでも空気状態のムラを早期に低減する空気制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、吸気した空気を屋外に排気する排気機能を有し、空気状態を検出する第1センサが設けられたレンジフードと、冷房機能、暖房機能、除湿機能、加湿機能のうち少なくとも1つの機能を有し、空気状態を検出する第2センサが設けられた空調機器と、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能の動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1センサが検出した第1検出値および第2センサが検出した第2検出値を取得し、その第1検出値と該第2検出値の差が所定値以上である場合、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させる空気制御システムが提供される。
これによれば、空調機器周辺の空気状態とレンジフード周辺の空気状態に所定値以上の乖離がある場合レンジフードの大きな排気能力を有する排気機能と空調機器が有する機能を連携させることで、空調機器により空気調和が行われて吹き出された空気をレンジフードが吸引することで引き動かして屋内に行き渡らせることができるため、屋内空間の空気状態のムラを早期に低減し、屋内のどこにいても快適に過ごすことを可能にする空気制御システムを提供することができる。
【0007】
さらに、制御部は、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させた後、第1センサが検出した第1検出値および第2センサが検出した第2検出値を取得し、その第1検出値とその第2検出値の差が所定値未満である場合レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させることを終了する特徴としてもよい。
これによれば、空調機器周辺の空気状態とレンジフード周辺の空気状態に所定値以上の乖離がなくなった場合連携させることを終了することで、必要な場合のみ連携させるため省エネルギーである。
【0008】
上記課題を解決するために、吸気した空気を屋外に排気する排気機能を有し、空気状態を検出する第1センサが設けられたレンジフードと、冷房機能、暖房機能、除湿機能、加湿機能のうち少なくとも1つの機能を有する空調機器と、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能の動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1センサが検出した第1検出値を取得し、その第1検出値が所定の範囲外である場合、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させる空気制御システムが提供される。
これによれば、レンジフード周辺の空気状態が所定の範囲外である場合レンジフードの大きな排気能力を有する排気機能と空調機器が有する機能を連携させることで、空調機器により空気調和が行われて吹き出された空気をレンジフードが吸引することで引き動かして屋内に行き渡らせることができるため、屋内空間の空気状態のムラを早期に低減し、屋内のどこにいても快適に過ごすことを可能にする空気制御システムを提供することができる。
【0009】
さらに、制御部は、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させた後、第1センサが検出した第1検出値を取得し、その第1検出値が所定の範囲外でない場合レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させることを終了することを特徴としてもよい。
これによれば、レンジフード周辺の空気状態が所定の範囲外でなくなった場合連携させることを終了することで、必要な場合のみ連携させるため省エネルギーである。
【0010】
さらに、空調機器は、空気を吹き出す方向を規定するルーバーを有し、制御部は、レンジフードと空調機器との位置関係に基づいてルーバーの空気を吹き出す方向を調節することを特徴としてもよい。
これによれば、空調機器により空気調和が行われて吹き出される空気の方向をルーバーで調節することで、レンジフードがより効率的にその空気を引き動かして屋内に行き渡らせることができる。
【0011】
さらに、レンジフードは、吸気した空気を屋内に戻す循環機能と、近傍で調理を行っているか否かを判定する判定部とをさらに有し、制御部は、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させている場合であって、判定部が調理を行っていると判定した場合は排気機能を動作させ、判定部が調理を行っていないと判定した場合は循環機能を動作させることを特徴としてもよい。
これによれば、両者の機能を連携させている場合、調理を行っている場合は排気機能を動作させ、調理を行っていない場合は循環機能を動作させることで、熱損失を最小限にすることができる。
【0012】
さらに、レンジフードは、近傍で調理を行っているか否かを判定すると共に調理状態に応じた排気機能の排気風量を判定する判定部をさらに有し、制御部は、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させている場合であって判定部が調理を行っていると判定した場合、レンジフードの排気機能と空調機器が有する機能を連携させている場合の排気機能による排気風量と、判定部が決定した調理状態に応じた排気機能の排気風量とを比較し、より大きい風量を示す風量で排気機能を動作させることを特徴としてもよい。
これによれば、両者の機能を連携させながら調理を行っている場合、連携中の排気機能による排気風量と調理状態に応じた排気機能の排気風量を比較し、大きい方の風量で排気機能を動作させることで、空調機器により空気調和が行われて吹き出される空気をレンジフードが吸引して引き動かす効果を維持しつつ、調理に伴う排気も不足なく十分に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、大きな排気能力を備えるレンジフードを併用し、入り組んだ屋内空間でも空気状態のムラを早期に低減する空気制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る第一実施例の空気制御システムの機能ブロック構成図。
【
図2】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおける空調機器の斜視図。
【
図3】本発明に係る第一実施例の空気制御システムを含む屋内空間におけるレンジフードと空調機器の位置関係を示す図、(A)矩形底面を備える屋内空間の場合、(B)L字型底面を備える屋内空間の場合。
【
図4】本発明に係る第一実施例の空気制御システムの制御におけるフローチャート(変形例1)。
【
図5】本発明に係る第一実施例の空気制御システムの制御におけるフローチャート(変形例2)。
【
図6】本発明に係る第一実施例の空気制御システムの制御におけるフローチャート(変形例3)。
【
図7】本発明に係る第一実施例の空気制御システムの制御におけるフローチャート(変形例4)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至
図7を参照し、本実施例における空気制御システム100を説明する。空気制御システム100は、
図1に示すように、レンジフード10と、空調機器20と、レンジフード10と空調機器20を連携させるように制御する制御部30と、を備える。レンジフード10は、調理をするためにキッチンなどに設置されたコンロの近傍に配置され、調理により生ずる油煙などをフード部から屋内の空気と共に吸引し、屋内の空気から油煙など取り除く装置である。レンジフード10は、フード部から吸気した空気を屋外に排気する排気機能13と、油煙などをフィルタなどで取り除いた後吸気した空気を屋内に戻す循環機能14と、を有する。
【0016】
また、レンジフード10は、屋内の空気状態を検出する第1センサ11を有する。なお、第1センサ11は、レンジフード10の近傍に設けられてもよい。ここで、屋内の空気状態とは、コンロの近傍であるがコンロの熱源の影響を受けない場所における空気温度であり、さらに空気の湿度を含んでいてもよいし、空気の湿度だけでもよい。したがって、第1センサ11は、空気の温度や湿度を計測する公知のセンサである。
【0017】
また、レンジフード10は、コンロの近傍で調理を行っているか否かを判定する判定部12を有する。なお、判定部12は、レンジフード10の近傍に設けられてもよい。判定部12は、たとえば、コンロから熱源を使用した状態である旨の信号を受信して調理を行っていると判定してもよいし、赤外線センサ、油煙センサ、コンロ上面を撮像するカメラなどによりコンロで調理を行っていると判定してもよい。さらに、判定部12は、調理状態に応じた排気機能13の排気風量を判定することが好ましい。
【0018】
ここで、調理状態とは、強火で油炒めをしているのか、お湯を沸かしているのか、弱火で煮物をしているのかなど、様々な調理の状態を言う。一般的に、このような様々な調理状態に応じてレンジフード10の排気風量を「強」、「中」、「弱」などと変化させ、調理状態に適した排気風量にすることが知られている。判定部12は、このように、たとえば、赤外線センサなどから強火で油炒めをしている調理状態の時には排気風量を「強」とするように、調理状態に合わせた排気風量を判定し、また判定した排気風量と現状の排気風量が適合しているか否かを判定する。
【0019】
空調機器20は、主に居室などに配置される空気調和の目的に供される機器である。空調機器20は、冷房機能24、暖房機能25、除湿機能26、加湿機能27のうち少なくとも1つの機能を有する。すなわち、空調機器20は、冷房機能24のみを有し、冷房専用の機器であってもよいし、暖房機能25のみを有し、暖房専用の機器であってもよいし、除湿機能26のみを有する除湿器であってもよいし、加湿機能27のみを有する加湿器であってもよい。本実施例では、空調機器20は、これらすべての機能、すなわち冷房機能24、暖房機能25、除湿機能26,および加湿機能27を有する。なお、冷房機能24とは、空気の現在の温度を目標温度に向けて下げるための機能である。暖房機能25とは、空気の現在の温度を目標温度に向けて上げるための機能である。除湿機能26とは、空気の現在の湿度を目標湿度に向けて下げるための機能である。加湿機能27とは、空気の現在の湿度を目標湿度に向けて上げるための機能である。
【0020】
また、空調機器20は、空気状態を検出する第2センサ21を有する。第2センサ21は、上述した第1センサ11と同様、配置された居室などの空気の温度や湿度を計測する公知のセンサである。また、空調機器20は、
図2に示すように、横長の略立方体の形態をなし、上面に室内空気を吸い込む吸込口、正面下部に空気調節した空気を吹き出す吹出口を備える。吹出口には、空気を吹き出す方向を規定するルーバー23を有し、ルーバー23は、空気を吹き出す上下方向を規定するルーバー231と、空気を吹き出す左右方向を規定するルーバー232を有する。
【0021】
制御部30は、レンジフード10の排気機能13または循環機能14と空調機器20が有する機能(冷房機能24、暖房機能25、除湿機能26、加湿機能27)の動作を制御する。制御部30は、レンジフード10内にあってもよいし、空調機器20内にあってもよいし、また、制御部30は、これらの両装置の外に設けられてもよく、レンジフード10および空調機器20と公知の方法で通信可能に接続されている。本実施例では、制御部30は、両装置の外に設けられている。
【0022】
制御部30は、レンジフード10と空調機器20から通信を介して情報を取得すると共に、その情報に基づき処理し、レンジフード10と空調機器20に対して通信を介して制御信号を送出するように構成されている。制御部30は、典型的には、マイクロプロセッサとメモリ、ネットワークインターフェースから構成される。なお、レンジフード10と空調機器20は、制御部30と通信可能な共通のネットワークインターフェースを備えている。
【0023】
図3は、レンジフード10はキッチンKCに、空調機器20はリビングLVに設置されている様子を模式的に示す。本図(A)は、キッチンKCとリビングLVが概ね1つの空間で構成されている場合を表し、本図(B)は、キッチンKCとリビングLVが壁で仕切られ、ドアDRで両空間が接続される場合を表している。本図(A)の場合、レンジフード10と空調機器20の位置関係は、レンジフード10は空調機器20からみて前方斜め右方向(点線矢印方向)に位置すること示す。制御部30は、空調機器20がこの位置関係に基づいてルーバー23の吹き出し方向を調節する場合、ルーバー23をこの方向に向けるように制御する。
【0024】
また、本図(B)の場合、レンジフード10と空調機器20の位置関係は、レンジフード10は空調機器20からみて前方斜め右方向(点線矢印方向)に位置するが、間を壁で仕切られておりドアDRが空気の通り道となるため、レンジフード10は空調機器20からみて仮想的に前方正面方向(一点鎖線矢印方向)に位置すること示す。このような位置関係は、空調機器20を設置する際にルーバー23がレンジフード10に向けて空気を吹き出し方向として設定される。空調機器20が吹き出す空気は、まず前方正面方向(一点鎖線矢印方向)に流れ、ドアDRを通過した後、レンジフード10の排気機能13により二点鎖線矢印方向へ引き動かされてレンジフード10の方へ移動する。
【0025】
図4を参照し、制御部30の処理フロー(変形例1)について説明する。制御部30は、S100において、空調機器20が運転を開始していることを検出する。制御部30は、S102において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)になっているか否かを検査する。なお、レンジフード10と空調機器20の連携が必要な場合と不要な場合を区別できるようにするため、空調機器20においてこのようなモード切り替えが使用者によりできるように構成されている。また、たとえば、このようなモード切り替えが、キッチンKCや、キッチンKCとリビングLVとの間に位置する空間に人検知手段を設けて、人検知手段が人の存在を検知したときに連携が必要と判断しモードの切り替えが行われるように構成されてもよい。
【0026】
空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定になっていない場合、S128に行き、以下に説明する処理は行われない。連携することを行う設定になっている場合、制御部30は、S104において、レンジフード10の第1センサ11により検出を開始する。なお、本実施例では、第1センサ11は温度センサであり、レンジフード10近傍の屋内の温度の検出を行う。ただし、第1センサ11は湿度センサでもよく、その場合はレンジフード10近傍の湿度の検出を行う。なお、変形例1では、空調機器20は、第2センサ21を備えていなくともよい。
【0027】
制御部30は、S106において、第1センサ11が検出した第1検出値すなわちレンジフード10近傍の屋内の温度(または湿度)を取得し、その温度が所定の範囲外か否かを検査する。その温度(または湿度)が所定の範囲外ではない場合、すなわち、快適な空気状態にある場合、S128に行き、以下の処理は行わない。所定の範囲とは、人が快適な温度と湿度の範囲を言い、一般的に、夏であれば温度が25度から28度程度、湿度が45から60パーセント程度であり、冬であれば温度が18度から22度程度、湿度が55から65パーセントであり、適宜好みに合わせて設定できるものとする。また、所定の範囲は、出荷時に予め設定されていてもよい。
【0028】
第1検出値が所定の範囲外である場合、すなわち、レンジフード10が設置された場所において人が不快に感じるような場合、制御部30は、S108において、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させる。レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させるとは、空調機器20により空気調和が行われて吹き出された空気や快適な状態にあると想定されるリビングLV内の空気を、大きな排気能力を備えるレンジフード10と空調機器20の機能を用い、キッチンKCの空間の方へ引き動かす作用を生じさせる制御を言う。たとえば、制御部30は、第1検出値が所定の範囲外である場合、レンジフード10の排気機能13が運転していなければ運転を開始し、排気機能13の排気風量が小さければ大きくするように制御し、空調機器20の機能を増強したり、ルーバー23の向きを調節しキッチン空間の方へ空気が流れやすくしたりするように制御してもよい。なお、増強された空調機器20においては、風量設定が「弱」「中」「強」「最大」とあるときは「中」以上の風量を選択することが好ましく、さらに好ましくは「強」以上である。
【0029】
たとえば、リビングLVで冷房機能24が運転中に第1センサ11が30度を検出し、排気機能13を連携させる場合、制御部30は、排気機能13の風量を「弱」から「中」に変更し、冷房機能24による吹出口から吹き出す空気の温度を下げ風量を大きくするように制御してもよい。また、たとえば、リビングLVで暖房機能25が運転中に第1センサ11が15度を検出し、排気機能13を連携させる場合、制御部30は、排気機能13の風量をゼロから「弱」に変更し、暖房機能25による吹出口から吹き出す空気の温度を上げ風量を大きくするように制御してもよい。なお、連携時に選択される排気機能13の風量は、「弱」「中」「強」の三段階あるときは、好ましくは「中」、より好ましくは「強」であり、「弱」「強」の二段階あるときは、「強」が好ましい。また、排気機能13の風量は、キッチンや、キッチンKCとリビングLVとの間に位置する空間に設ける人検知手段の検知結果に応じて決定してもよい。人を検知した場合第一風量で、人を検知しない場合第一風量よりも大きい風量の第二風量で動作することが好ましい。たとえば、排気機能13の風量に「弱」「中」「強」の設定があったとすると、第一風量を「中」として、第二風量を「強」としてもよい。
【0030】
第1センサ11が湿度センサである場合も同様に、リビングLVで除湿機能26が運転中に第1センサ11が70パーセントを検出し、排気機能13を連携させる場合、制御部30は、排気機能13の風量を「弱」から「中」に変更し、除湿機能26による吹出口から吹き出す空気の湿度を下げ風量を大きくするように制御してもよい。また、たとえば、リビングLVで加湿機能27が運転中に第1センサ11が50パーセントを検出し、排気機能13を連携させる場合、制御部30は、排気機能13の風量をゼロから「弱」に変更し、加湿機能27による吹出口から吹き出す空気の湿度を上げ風量を大きくするように制御してもよい。
【0031】
なお、本実施例においては、先に空調機器20が運転されていることが前提となっているが、これに限られない。たとえば、制御部30は、先にレンジフード10が運転しているところへ後から空調機器20のそれぞれの機能を運転させてもよい。また、制御部30は、レンジフード10と空調機器20が両方とも運転している場合に、または両方とも運転していない場合に運転を開始し、レンジフード10の排気機能13と空調機器20の各機能を連携させるように制御してもよい。また、循環機能14は排気機能13より排気による熱損失が少ないため、排気機能13の代わりに循環機能14を運転させることが好ましい。
【0032】
制御部30は、S110において、空調機器20のルーバー23を制御するルーバー制御部22に対して、予め設定されたレンジフード10と空調機器20との位置関係を取得し、その位置関係に基づいてルーバー23の空気を吹き出す方向を調節するように制御する。これにより、ルーバー23は、S112においてその向きを変更する。このように、空調機器20により空気調和が行われて吹き出される空気の方向をルーバー23で調節することで、レンジフード10がより効率的にその空気を引き動かして屋内に行き渡らせることができる。
【0033】
制御部30は、S114において、判定部12から調理を行っているか否かについて情報を得る。調理を行っている場合、制御部30は、S116とS118において、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させている場合の排気機能13による排気風量と、判定部12が決定した調理状態に応じた排気機能13の排気風量とを比較する。前者が後者より大きい場合、制御部30は、S120において、連携させている場合の排気機能13による排気風量で運転するように制御する。
【0034】
逆に、後者が前者より大きい(または等しい)場合、制御部30は、S130において、判定部12が決定した調理状態に応じた排気機能13の排気風量で運転するように制御する。すなわち、制御部30は、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させている場合であって判定部12が調理を行っていると判定した場合、大きい方の排気風量で運転するように、すなわち、より大きい風量を示す風量で排気機能13を動作させるように制御する。これによれば、両者の機能を連携させながら調理を行っている場合、連携中の排気機能13による排気風量と調理状態に応じた排気機能13の排気風量を比較し、大きい方の風量で排気機能13を動作させることで、空調機器20により空気調和が行われて吹き出される空気をレンジフード10が吸引して引き動かす効果を維持しつつ、調理に伴う排気も不足なく十分に行うことができる。なお、調理を行っていない場合は、S120の処理を行う。また、調理を行っていない場合は、循環機能14を動作させてもよい。
【0035】
制御部30は、S122において第1センサ11により検出し、S124において第1センサ11が検出した第1検出値を取得し、その温度が所定の範囲外か否かを検査する。その温度が所定の範囲外である場合、S114に戻り、所定の範囲外である間はS114~S124の処理を繰り返す。その温度が所定の範囲外でなくなった場合、レンジフード10の周辺の空気状態が改善されたこととなり、制御部30は、S126において、レンジフード10と空調機器20の連携を終了する。制御部30は、S128において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)がOFFになったか否かを検査し、OFFでなければS104に戻り、上記処理を繰り返し、OFFであれば処理を終了する。
【0036】
このように、レンジフード10の周辺の空気状態が所定の範囲外である場合レンジフード10の大きな排気能力を有する排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることで、空調機器20により空気調和が行われて吹き出された空気をレンジフード10が吸引することで引き動かして屋内に行き渡らせることができるため、屋内空間の空気状態のムラを早期に低減し、屋内のどこにいても快適に過ごすことを可能にする空気制御システム100を提供することができる。
【0037】
また、制御部30は、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させた後、第1センサ11が検出した第1検出値を取得し、その第1検出値が所定の範囲外でない場合レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることを終了する。これによれば、必要な場合のみ連携させるため省エネルギーである。
【0038】
図5を参照し、制御部30の処理フロー(変形例2)について説明する。制御部30は、S200において、空調機器20が運転を開始していることを検出する。制御部30は、S202において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)になっているか否かを検査する。
【0039】
空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定になっていない場合、S228に行き、以下に説明する処理は行われない。連携することを行う設定になっている場合、制御部30は、S204において、レンジフード10の第1センサ11および第2センサ21により検出を開始する。なお、本実施例では、第1センサ11および第2センサ21は温度センサであり、レンジフード10近傍の屋内の温度とリビングなどの居室の温度の検出を行う。ただし、第1センサ11と第2センサ21は湿度センサでもよい。
【0040】
制御部30は、S206において、第1センサ11が検出した第1検出値すなわちレンジフード10近傍の屋内(キッチンKC)の温度と、第2センサ21が検出した第2検出値すなわち居室(リビングLV)の温度を取得し、両方の温度の差が所定値以上か否かを検査する。その差が所定値以上ではない場合、すなわち、空間に温度ムラが少なく、快適な空気状態にある場合、S228に行き、以下の処理は行わない。所定値とは、キッチンKCとリビングLVのように、1つの空間またはドアDRなどで接続された空間の中で温度差(湿度差)が許容される最大値を言い、適宜好みに合わせて設定できるものとする。なお、所定値は、出荷時に予め設定されていてもよい。
【0041】
第1検出値と第2検出値の差が所定値以上である場合、すなわち、レンジフード10が設置された場所と空調機器20が設置された場所における温度の差が所定値以上あり、温度ムラが大きいと考えられる場合、制御部30は、S208において、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させる。レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させるとは、空調機器20により空気調和が行われて吹き出された空気や快適な状態にあると想定されるリビングLV内の空気を、大きな排気能力を備えるレンジフード10と空調機器20の機能を用い、キッチンKCの空間の方へ引き動かす作用を生じさせる制御を言う。たとえば、制御部30は、第1検出値と第2検出値が所定値以上である場合、レンジフード10の排気機能13が運転していなければ運転を開始し、排気機能13の排気風量が小さければ大きくするように制御してもよい。さらに、制御部30は、空調機器20の機能を増強したり、ルーバー23の向きを調節しキッチン空間の方へ空気が流れやすくしたりするように制御してもよい。
【0042】
制御部30は、S210において、空調機器20のルーバー23を制御するルーバー制御部22に対して、予め設定されたレンジフード10と空調機器20との位置関係を取得し、その位置関係に基づいてルーバー23の空気を吹き出す方向を調節するように制御する。これにより、ルーバー23は、S212においてその向きを変更する。このように、空調機器20により空気調和が行われて吹き出される空気の方向をルーバー23で調節することで、レンジフード10がより効率的にその空気を引き動かして屋内に行き渡らせることができる。
【0043】
制御部30は、S214において、判定部12から調理を行っているか否かについて情報を得る。調理を行っている場合、制御部30は、S216とS218において、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させている場合の排気機能13による排気風量と、判定部12が決定した調理状態に応じた排気機能13の排気風量とを比較する。前者が後者より大きい場合、制御部30は、S220において、連携させている場合の排気機能13による排気風量で運転するように制御する。
【0044】
逆に、後者が前者より大きい(または等しい)場合、制御部30は、S230において、判定部12が決定した調理状態に応じた排気機能13の排気風量で運転するように制御する。すなわち、制御部30は、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させている場合であって判定部12が調理を行っていると判定した場合、より大きい風量を示す風量で排気機能13を動作させるように制御する。このように、両者の機能を連携させながら調理を行っている場合、連携中の排気機能13による排気風量と調理状態に応じた排気機能13の排気風量を比較し、大きい方の風量で排気機能13を動作させることで、空調機器20により空気調和が行われて吹き出される空気をレンジフード10が吸引して引き動かす効果を維持しつつ、調理に伴う排気も不足なく十分に行うことができる。なお、調理を行っていない場合は、S220の処理を行う。また、調理を行っていない場合は、循環機能14を動作させてもよい。
【0045】
制御部30は、S222において第1センサ11と第2センサ21により検出し、S224において第1センサ11が検出した第1検出値および第2センサ21が検出した第2検出値を取得し、これらの温度の差が所定値以上か否かを検査する。その差が所定値以上である場合、S214に戻り、所定の範囲外である間はS214~S224の処理を繰り返す。その温度が所定の範囲外でなくなった場合、レンジフード10の周辺の空気状態が改善されたこととなり、制御部30は、S226において、レンジフード10と空調機器20の連携を終了する。制御部30は、S228において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)がOFFになったか否かを検査し、OFFでなければS202に戻り、上記処理を繰り返し、OFFであれば処理を終了する。
【0046】
このように、空調機器20の周辺の空気状態とレンジフード10の周辺の空気状態に所定値以上の乖離がある場合レンジフード10の大きな排気能力を有する排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることで、空調機器20により空気調和が行われて吹き出された空気をレンジフード10が吸引することで引き動かして屋内に行き渡らせることができるため、屋内空間の空気状態のムラを早期に低減し、屋内のどこにいても快適に過ごすことを可能にする空気制御システム100を提供することができる。
【0047】
また、制御部30は、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させた後、第1センサ11が検出した第1検出値および第2センサ21が検出した第2検出値を取得し、その第1検出値とその第2検出値の差が所定値未満である場合レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることを終了する。これにより、必要な場合のみ連携させるため省エネルギーである。
【0048】
図6を参照し、制御部30の処理フロー(変形例3)について説明する。制御部30は、S300において、空調機器20が運転を開始していることを検出する。制御部30は、S302において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)になっているか否かを検査する。
【0049】
空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定になっていない場合、S324に行き、以下に説明する処理は行われない。連携することを行う設定になっている場合、制御部30は、S304において、レンジフード10の第1センサ11により検出を開始する。なお、本実施例では、第1センサ11は温度センサであり、レンジフード10近傍の屋内の温度の検出を行う。なお、変形例3では、空調機器20は、第2センサ21を備えていなくともよい。
【0050】
制御部30は、S306において、第1センサ11が検出した第1検出値すなわちレンジフード10近傍の屋内の温度を取得し、その温度が所定の範囲外か否かを検査する。その温度が所定の範囲外ではない場合、すなわち、快適な空気状態にある場合、S324に行き、以下の処理は行わない。
【0051】
第1検出値が所定の範囲外である場合、すなわち、レンジフード10が設置された場所において人が不快に感じるような場合、制御部30は、S308において、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させる。
【0052】
制御部30は、S310において、空調機器20のルーバー23を制御するルーバー制御部22に対して、予め設定されたレンジフード10と空調機器20との位置関係を取得し、その位置関係に基づいてルーバー23の空気を吹き出す方向を調節するように制御する。これにより、ルーバー23は、S312においてその向きを変更する。このように、空調機器20により空気調和が行われて吹き出される空気の方向をルーバー23で調節することで、レンジフード10がより効率的にその空気を引き動かして屋内に行き渡らせることができる。
【0053】
制御部30は、S314において、判定部12から調理を行っているか否かについて情報を得る。調理を行っている場合、制御部30は、S316において、排気機能13を動作させる。一方、調理を行っていない場合、制御部30は、S326において、循環機能14を動作させる。このように、レンジフード10と空調機器20の両者の機能を連携させている場合、調理を行っている場合は排気機能13を動作させ、調理を行っていない場合は循環機能14を動作させることで、熱損失を最小限にすることができる。
【0054】
制御部30は、S318において第1センサ11により検出し、S320において第1センサ11が検出した第1検出値を取得し、その温度が所定の範囲外か否かを検査する。その温度が所定の範囲外である場合、S314に戻り、所定の範囲外である間はS314~S320の処理を繰り返す。その温度が所定の範囲外でなくなった場合、レンジフード10の周辺の空気状態が改善されたこととなり、制御部30は、S322において、レンジフード10と空調機器20の連携を終了する。制御部30は、S324において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)がOFFになったか否かを検査し、OFFでなければS304に戻り、上記処理を繰り返し、OFFであれば処理を終了する。
【0055】
このように、レンジフード10の周辺の空気状態が所定の範囲外である場合レンジフード10の大きな排気能力を有する排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることで、空調機器20により空気調和が行われて吹き出された空気をレンジフード10が吸引することで引き動かして屋内に行き渡らせることができるため、屋内空間の空気状態のムラを早期に低減し、屋内のどこにいても快適に過ごすことを可能にする空気制御システム100を提供することができる。
【0056】
また、制御部30は、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させた後、第1センサ11が検出した第1検出値を取得し、その第1検出値が所定の範囲外でない場合レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることを終了する。これによれば、必要な場合のみ連携させるため省エネルギーである。
【0057】
図7を参照し、制御部30の処理フロー(変形例4)について説明する。制御部30は、S400において、空調機器20が運転を開始していることを検出する。制御部30は、S402において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)になっているか否かを検査する。
【0058】
空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定になっていない場合、S424に行き、以下に説明する処理は行われない。連携することを行う設定になっている場合、制御部30は、S404において、レンジフード10の第1センサ11と空調機器20の第2センサ21により検出を開始する。なお、本実施例では、第1センサ11は温度センサであり、レンジフード10近傍の屋内の温度の検出を行う。
【0059】
制御部30は、S406において、第1センサ11が検出した第1検出値すなわちレンジフード10近傍の屋内の温度と、第2センサ21が検出した第2検出値すなわち居室の温度を取得し、両方の温度の差が所定値以上か否かを検査する。その差が所定値以上ではない場合、すなわち、空間に温度ムラが少なく、快適な空気状態にある場合、S424に行き、以下の処理は行わない。
【0060】
その差が所定値以上ではある場合、すなわち、レンジフード10が設置された場所と空調機器20が設置された場所における温度の差が所定値以上あり、温度ムラが大きいと考えられる場合、制御部30は、S408において、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させる。
【0061】
制御部30は、S410において、空調機器20のルーバー23を制御するルーバー制御部22に対して、予め設定されたレンジフード10と空調機器20との位置関係を取得し、その位置関係に基づいてルーバー23の空気を吹き出す方向を調節するように制御する。これにより、ルーバー23は、S412においてその向きを変更する。このように、空調機器20により空気調和が行われて吹き出される空気の方向をルーバー23で調節することで、レンジフード10がより効率的にその空気を引き動かして屋内に行き渡らせることができる。
【0062】
制御部30は、S414において、判定部12から調理を行っているか否かについて情報を得る。調理を行っている場合、制御部30は、S416において、排気機能13を動作させる。一方、調理を行っていない場合、制御部30は、S426において、循環機能14を動作させる。このように、レンジフード10と空調機器20の両者の機能を連携させている場合、調理を行っている場合は排気機能13を動作させ、調理を行っていない場合は循環機能14動作させることで、熱損失を最小限にすることができる。
【0063】
制御部30は、S418において第1センサ11と第2センサ21により検出し、S420において第1センサ11が検出した第1検出値および第2センサ21が検出した第2検出値を取得し、これらの温度の差が所定値以上か否かを検査する。その差が所定値以上である場合、S414に戻り、所定の範囲外である間はS414~S420の処理を繰り返す。その温度が所定の範囲外でなくなった場合、レンジフード10の周辺の空気状態が改善されたこととなり、制御部30は、S422において、レンジフード10と空調機器20の連携を終了する。制御部30は、S424において、空調機器20がレンジフード10と連携することを行う設定(モード)がOFFになったか否かを検査し、OFFでなければS404に戻り、上記処理を繰り返し、OFFであれば処理を終了する。
【0064】
このように、空調機器20の周辺の空気状態とレンジフード10の周辺の空気状態に所定値以上の乖離がある場合レンジフード10の大きな排気能力を有する排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることで、空調機器20により空気調和が行われて吹き出された空気をレンジフード10が吸引することで引き動かして屋内に行き渡らせることができるため、屋内空間の空気状態のムラを早期に低減し、屋内のどこにいても快適に過ごすことを可能にする空気制御システム100を提供することができる。
【0065】
また、制御部30は、レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させた後、第1センサ11が検出した第1検出値および第2センサ21が検出した第2検出値を取得し、その第1検出値とその第2検出値の差が所定値未満である場合レンジフード10の排気機能13と空調機器20が有する機能を連携させることを終了する。これにより、必要な場合のみ連携させるため省エネルギーである。
【0066】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0067】
100 空気制御システム
10 レンジフード
11 第1センサ
12 判定部
13 排気機能
14 給気機能
20 空調機器
21 第2センサ
22 ルーバー制御部
23 ルーバー
24 冷房機能
25 暖房機能
26 除湿機能
27 加湿機能
30 制御部
KC キッチン
LV リビング
DR ドア