(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182018
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】空気除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095376
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅基
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰大
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH19
4C180LL04
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】 除菌効率を高めることが可能な空気除菌装置を提供する。
【解決手段】 空気が吸い込まれる吸気口23、吸気口23から吸い込まれた空気を除菌するための除菌室25、及び除菌室25で除菌された空気が排出される排気口24が設けられた筐体20と、除菌室25の中に紫外線を照射する光源50とを備え、除菌室25の中に紫外線を反射可能な反射部材28を設け、反射部材28には光源50から照射される紫外線が通過可能な貫通部Nが設けられ、光源50が配設される基板40を反射部材28の外部に設けたものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が吸い込まれる吸気口、前記吸気口から吸い込まれた空気を除菌するための除菌室、及び前記除菌室で除菌された空気が排出される排気口が設けられた筐体と、
前記除菌室の中に紫外線を照射する光源とを備え、
前記除菌室の中に前記紫外線を反射可能な反射部材を設け、
前記反射部材には前記光源から照射される前記紫外線が通過可能な貫通部が設けられ、
前記光源が配設される基板を前記反射部材の外部に設けたことを特徴とする空気除菌装置。
【請求項2】
前記基板は、前記筐体と前記反射部材との間に形成される空所に配置されていることを特徴とする請求項1記載の空気除菌装置。
【請求項3】
前記筐体は、金属筐体であり、
前記反射部材側を向く前記基板の一方の面部に前記光源が配設されるとともに前記一方の面部とは反対側に位置する前記基板の他方の面部は前記筐体と接していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の空気除菌装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記基板の配設位置に対応する箇所に孔部を備えていることを特徴とする請求項1記載の空気除菌装置。
【請求項5】
前記反射部材は、対向するように設けられる一対の対向部を少なくとも備え、
前記一対の対向部のうち一方の対向部には前記貫通部が設けられ、
前記一対の対向部のうち他方の対向部には前記貫通部と向かい合う位置に凸状部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項4記載の空気除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の空気除菌装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の空気除菌装置は、空気が吸い込まれる吸気口、吸気口から吸い込まれた空気を除菌するためのダクト(除菌室)、及びダクトで除菌された空気が排出される排気口が設けられた金属筐体と、紫外線を照射する紫外線ランプとを備える。この場合、紫外線ランプはダクトの内部中心に立った状態で配置され、ダクトの内部に導風板、及び仕切板を設けて、空気を紫外線ランプの周りで移動させて、空気の除菌を行っているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の空気除菌装置ように、紫外線ランプの周りに設けられた上記導風板及び仕切板による空気の案内では、空気を円滑に移動させることができないことが考えられる。また、紫外線ランプの長さ方向に、当該紫外線ランプの周囲を回りながら空気を移動させる構成では、紫外線の照射により除菌できる空気の量は比較的少量であり、除菌効率の低下を招くという問題がある。
本発明は、前述の課題に対して対処するため、除菌効率を高めることが可能な空気除菌装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、空気が吸い込まれる吸気口、前記吸気口から吸い込まれた空気を除菌するための除菌室、及び前記除菌室で除菌された空気が排出される排気口が設けられた筐体と、前記除菌室の中に紫外線を照射する光源とを備え、前記除菌室の中には前記紫外線を反射可能な反射部材が設けられ、前記反射部材には前記光源から照射される前記紫外線が通過可能な貫通部が設けられ、前記光源が配設される基板を前記反射部材の外部に設けたことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記基板は、前記筐体と前記反射部材との間に形成される空所に配置されていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記筐体は、金属筐体であり、前記反射部材側を向く前記基板の一方の面部に前記光源が配設されるとともに前記一方の面部とは反対側に位置する前記基板の他方の面部は前記筐体と接していることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記筐体は、前記基板の配設位置に対応する箇所に孔部を備えていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は前記反射部材は、対向するように設けられる一対の対向部を少なくとも備え、前記一対の対向部のうち一方の対向部には前記貫通部が設けられ、前記一対の対向部のうち他方の対向部には前記貫通部と向かい合う位置に凸状部が設けられていることを特徴とする、。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、除菌効率を高めることが可能な空気除菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による空気除菌装置の正面図。
【
図2】同実施形態による空気除菌装置の分解斜視図。
【
図4】同実施形態による光源と基板と反射部材とを示す断面図。
【
図5】同実施形態の第1変形例による光源と基板と反射部材とを示す断面図。
【
図6】同実施形態の第2変形例による光源と基板と反射部材とを示す断面図。
【
図7】同実施形態の第3変形例による光源と基板と反射部材と筐体とを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
空気除菌装置Sは、
図1、
図2に示すように、外装カバー10と、筐体20と、ファン30と、基板としての光源基板40と、光源50と、第1紫外線漏れ抑制部60と、第2紫外線漏れ抑制部70と、空気誘導部80とを備える。
【0014】
外装カバー10は、筐体20を覆うように筐体20の外側に設けられ、略直方体形状に形成されている。具体的には、外装カバー10は、
図1の上下方向に沿う高さが幅よりも長く、且つ、奥行きが幅よりも短い直方体形状に形成されている。
図1及び
図2に、高さ方向をDh、幅方向をDw、奥行き方向をDdで示した。以下で用いる「高さ方向」、「幅方向」、「奥行き方向」という用語は、
図1及び
図2に示す各方向に対応するものとする。また、空気除菌装置Sを構成する各部の位置を説明する際に用いる「上」、「下」という用語は、
図1における上下に対応する。つまり、前述の高さ方向は、空気除菌装置Sの上下方向に相当する。
【0015】
外装カバー10は、奥行き方向において対をなす表側外装カバー11及び裏側外装カバー12を備える。表側外装カバー11は、筐体20に備えられる後述する第1の筐体に対応して設けられ、筐体20の後述する第1板部を覆う本体部11aと、幅方向において相対するように設けられ、筐体20の後述する第1側板、第2側板を覆う被覆部11b、11cとを有する。表側外装カバー11の下部には筐体20に備えられる後述する吸気口に対応してカバー側吸気口11dが設けられ、表側外装カバー11の上部には筐体20に備えられる後述する排気口に対応してカバー側排気口11eが設けられる(
図3参照)。裏側外装カバー12は、略平板状に形成され、筐体20に備えられる後述する第2の筐体に対応して設けられる。
【0016】
カバー側吸気口11dには、指等がファン30に挿入されることを防止するための網目状のガード部材F1と、粉塵の侵入を防止するためのフィルターF2とが設けられている。フィルターF2はガード部材F1とファン30との間に設けられる。カバー側排気口11eには、排出される空気を整流するためのルーバーF3が設けられている。なお、
図3に示す断面図においては、ガード部材F1、フィルターF2及びルーバーF3の図示は省略してある。
【0017】
以下では、空気除菌装置Sにおける表側外装カバー11の側を表側と言い、その反対であって、空気除菌装置Sにおける裏側外装カバー12の側を裏側と言う。前述の奥行き方向は、空気除菌装置Sの表裏方向に相当する。つまり、ここでの表側外装カバー11は、裏側外装カバー12を表側から覆う。
【0018】
筐体20は、略直方体形状に形成された金属筐体である。筐体20は、
図2の上下方向に沿う高さが幅よりも長く、且つ、奥行きが幅よりも短い直方体形状に形成されている。
【0019】
筐体20は、
図2に示すように第1の筐体21と第2の筐体22との組み合わせにより構成される。第1の筐体21は表側外装カバー11の裏側に位置し、第1の筐体21と対をなすように設けられ第2の筐体22は裏側外装カバー12の表側に位置する。
【0020】
第1の筐体21は、第2の筐体22を表側から覆うように構成され、
図2に示すように、矩形状の第1板部21aと、第1板部21aの外縁から裏側に向かう部分として、第1側板21b、第2側板21c及び天板21dと、を有する。第1側板21b及び第2側板21cは、第1板部21aから連なるように設けられ、幅方向において互いに対向している。また、第1側板21b及び第2側板21cは、第2の筐体22に第1の筐体21が取り付けられた状態では、第2の筐体22の後述する第1側板及び第2側板を覆う。天板21dは、第2の筐体22に第1の筐体21が取り付けられた状態では、第2の筐体22の後述する上板を覆う。
【0021】
第2の筐体22は、その表側が開口した箱状をなす。第2の筐体22は、奥行き方向において第1板部21aと対向するように設けられる矩形状の第2板部22aと、第2板部22aの外縁から表側に向かう部分として、第1側板22b、第2側板22c、上板22d及び下板22eと、を備える。第1側板22b及び第2側板22cは幅方向において互いに対向し、第1側板22bは第1側板21bと対をなすように設けられ、第2側板22cは第2側板21cと対をなすように設けられる。上板22d及び下板22eは上下方向において互いに対向する。
【0022】
図3に示すように、筐体20には、吸気口23、排気口24、除菌室25、第1収容室26及び第2収容室27が設けられる。具体的に、吸気口23及び排気口24は、第1板部21aに設けられている。また、除菌室25、第1収容室26及び第2収容室27は、第1板部21aと第2板部22aとの間に形成されている。
【0023】
吸気口23は、ファン30の動作によって外気(筐体20の外部の空気)が吸い込まれる部分である。吸気口23は、カバー側吸気口11dに対応するように筐体20の下部に設けられ、本実施形態では2つ設けられるファン30に対応して2つ設けられている。具体的に、吸気口23は、第1板部21aに形成された円状の孔である。
【0024】
排気口24は、吸気口23から吸い込まれ、除菌室25で除菌された空気が排出される部分である。排気口24は、カバー側排気口11eに対応するように筐体20の上部に設けられている。具体的に、排気口24は、第1板部21aに形成された矩形状の孔である。
【0025】
除菌室25は、
図3に示すように筐体20の内部に設けられ、吸気口23から吸い込まれた空気が通過し、通過する空気を除菌するための部分である。除菌室25の中であって、後述する反射部材の外部(外側)に光源基板40が設けられる。そして、前記反射部材側を向く光源基板40の一方の面部P1には光源50が実装(配設)され、光源50は除菌室25の中に紫外線を照射する。除菌室25の中に紫外線が照射されることにより除菌室25を通過する空気が除菌される。
【0026】
除菌室25は、反射部材28によって囲まれる部位である。この場合、反射部材28は、分割形成された第1の反射部28a及び第2の反射部28bによって構成される。より具体的に言うと、ここでの除菌室25は、筐体20の内部であって、組み合わされて筒状(四角筒状)になる第1の反射部28a及び第2の反射部28bによって囲まれた部分である。
【0027】
第1収容室26は、
図3に示すように筐体20の内部に設けられ、ファン30、第1紫外線漏れ抑制部60及び空気誘導部80を収容する。第1収容室26は、吸気口23から除菌室25に向かう空気の流路において、吸気口23と除菌室25の間に設けられる。
【0028】
第2収容室27は、
図3に示すように筐体20の内部に設けられ、第2紫外線漏れ抑制部70を収容する。第2収容室27は、除菌室25から排気口24に向かう空気の流路において、除菌室25と排気口24の間に設けられる。
【0029】
反射部材28は、上述したように第1の反射部28aと、第2の反射部28bとを備え、第1の反射部28aに設けられた貫通部Nを通って除菌室25の中に照射される紫外線を反射可能な部位として構成される。例えば除菌室25の中に設けられる第1の反射部28a及び第2の反射部28bは、それぞれ、アルミニウム等の金属材料から形成され、除菌室25(後述する空間部側)に向く面には鏡面加工が施されている。
【0030】
第1の反射部28aは、第2の筐体22に取り付けられた略コの字状の金属板であり、吸気口23から吸い込まれた空気が通過可能な空間部Fを有する(
図4参照)。また、第1の反射部28aは、幅方向(第1の方向)に延在する矩形平板状の基部H1と、基部H1の幅方向における両端側から表側(第1の方向とは異なる第2の方向)に向かって突出した(略直角に折り曲げられた)一対の折曲部H2、H3とを有する。そして、反射部材28における基部H1には光源50から照射される紫外線が通過可能な貫通孔形状からなる貫通部Nが設けられている。
【0031】
第2の反射部28bは、第1の反射部28aの開放部分を覆うような略矩形平板状に形成され、第1の筐体21に取り付けられる。第1の反射部28aのを覆うように設けられる第2の反射部28bは、その外形形状が概ね基部H1の外形形状と略一致している。このように除菌室25の中に紫外線を反射可能な反射部材28を設けることにより、除菌室25の中で紫外線を高い効率で反射させ、除菌室25を通過する空気を良好に除菌することができる。なお、以下の説明では、反射部材28の基部H1と、この基部H1と対向するように設けられる第2の反射部28bとを総称して一対の対向部と称することがある。また、基部H1を前記一対の対向部のうち一方の対向部と称し、第2の反射部28bを前記一対の対向部のうち他方の対向部と称することがある。
【0032】
ファン30は、空気を吸気口23から吸い込んで、除菌室25を経て排気口24から排出するための構成である。ファン30は、吸気口23の裏側に設けられる。ファン30は、例えば遠心ファンを適用することができ、羽根車と、羽根車を筐体20の奥行き方向に沿う軸周りに回転させるモータとを備える。
【0033】
図3に示すように、ファン30は、吸気口23から吸い込んだ空気を、羽根車が回転する遠心力によって側面から放射状に吐き出す。つまり、遠心ファンとして構成されるファン30は、筐体20の奥行き方向に沿って吸い込んだ空気を、上下方向に沿って吐き出す。これにより、ファン30から送り出された空気は、第1収容室26、除菌室25、第2収容室27の順に通過し、排気口24を経てカバー側排気口11eから空気除菌装置Sの外部に排出される。なお、
図3では、見易さを考慮してファン30の断面を示すハッチングを省略し、ファン30を破線で表した。
【0034】
ファン30は、
図2に示すように、2つの吸気口23に対応して2つ設けられる。各吸気口23には、空気を効率よく取り込むためのインレットノズル(図示省略)が取り付けられる。2つのファン30は、筐体20の幅方向に並設されている。2つのファン30の作用は同様であり、それぞれに対応する空気誘導部80の形状も同様である。従って、後述の空気誘導部80の説明では、一方のファン30に対応する構成についてのみ説明する。
【0035】
光源基板40は、導電性材料(例えばアルミニウム等の金属材料)によって形成されたアルミ基板を適用することができる。そして、この場合、上述した一方の面部P1とは反対側に位置する光源基板40の他方の面部P2は、筐体20の第2板部22aと接(当接)している(
図3参照)。つまり、光源基板40は第2板部22aの除菌室25に向く面である他方の面部P2に載置される。ここで、光源50が実装される光源基板40と反射部材28と筐体20との位置関係に着目すると、光源基板40は第2板部22a(筐体20)と基部H1(反射部材28)との間に形成される空所Gに配置されている。
【0036】
なお、光源基板40は、必要に応じて第2板部22aの除菌室25に向く面に、サーマルシート(図示省略)を介して載置されるようにしてもよい。これにより、光源50が作動している際に光源50から発せられる熱をサーマルシートを介して比較的面積の大きい第2板部22aに放熱することができる。つまり、第2板部22aはヒートシンクとしても機能する。
【0037】
光源50は、
図2に示すように紫外線を放射(照射)する紫外線LED(Light Emitting Diode)を適用することができ、除菌室25の中(つまり反射部材28の内部)に紫外線を照射する。この場合、光源50は、反射部材28に設けられた貫通部Nに対応するように光源基板40に複数個、実装(配設)される。つまり、紫外線は貫通部Nを通過して除菌室25の中に照射されることになる。
【0038】
第1紫外線漏れ抑制部60は、
図3に示すように、第1収容室26の中であってファン30と除菌室25との間に設けられ、除菌室25の中に照射された紫外線が吸気口23から漏れ出ることを抑制する。
【0039】
第1紫外線漏れ抑制部60は、金属により形成された複数の壁61を備える。複数の壁61の各々は、筐体20の幅方向に延び、且つ、筐体20の高さ方向に間隔を空けて配列されている。例えば、複数の壁61の各々は、筐体20の奥行き方向と平行に配置されている。この実施形態では、複数の壁61は、4つの壁から構成される。
【0040】
複数の壁61のうち隣り合う2つの壁の一方は、第2板部22aから第1板部21aに向かって設けられ、その先端が第1板部21aと間隔を空けて位置する。この一方の壁には、第2板部22aに固定される部分と、第1側板22b及び第2側板22cの各々に固定される部分とが当該壁と一体に形成されて設けられている。これにより、この一方の壁は、その先端と第1板部21aとの間に生じる隙間以外の部分が筐体20の内周部(詳細には、第1収容室26の内周部)に固定される。
【0041】
複数の壁61のうち隣り合う2つの壁の他方は、第1板部21aから第2板部22aに向かって設けられ、その先端が第2板部22aと間隔を空けて位置する。この他方の壁には、第1板部21aに固定される部分と、第1側板21b及び第2側板21cの各々に固定される部分とが当該壁と一体に形成されて設けられている。これにより、この他方の壁は、その先端と第2板部22aとの間に生じる隙間以外の部分が筐体20の内周部(詳細には、第1収容室26の内周部)に固定される。ファン30から送り出される空気は、複数の壁61の各々と、第1板部21aまたは第2板部22aとの間を通ってから除菌室25に至る。
【0042】
第1紫外線漏れ抑制部60は、上記のように第1板部21a側と第2板部22a側に交互に隙間が生じるように配置された複数の壁61によって、除菌室25の中に照射された紫外線が吸気口23から漏れ出ることを抑制しつつも、ファン30から除菌室25へ流れる空気の流路を形成する。
【0043】
複数の壁61のうち、最もファン30の近くに位置する壁61aは、
図3に示すように、第2板部22aから第1板部21aに向かって設けられ、その先端が第1板部21aと間隔を空けて位置する。そして、壁61aの先端と第1板部21aの間には、ファン30から第1紫外線漏れ抑制部60へ送り出された空気が流入する流入口62が形成される。
【0044】
第2紫外線漏れ抑制部70は、
図3に示すように、第2収容室27の中であって除菌室25と排気口24との間に設けられ、除菌室25の中に照射された紫外線が排気口24から漏れ出ることを抑制する。
【0045】
第2紫外線漏れ抑制部70は、金属により形成された複数の壁71を備える。複数の壁71の各々は、筐体20の幅方向に延び、且つ、筐体20の高さ方向に間隔を空けて配列されている。例えば、複数の壁71の各々は、筐体20の奥行き方向と平行に配置されている。この実施形態では、複数の壁71は、4つの壁から構成される。
【0046】
複数の壁71のうち隣り合う2つの壁の一方は、第2板部22aから第1板部21aに向かって設けられ、その先端が第1板部21aと間隔を空けて位置する。この一方の壁には、第2板部22aに固定される部分と、第1側板22b及び第2側板22cの各々に固定される部分とが当該壁と一体に形成されて設けられている。これにより、この一方の壁は、その先端と第1板部21aとの間に生じる隙間以外の部分が筐体20の内周部(詳細には、第2収容室27の内周部)に固定される。
【0047】
複数の壁71のうち隣り合う2つの壁の他方は、第1板部21aから第2板部22aに向かって設けられ、その先端が第2板部22aと間隔を空けて位置する。この他方の壁には、第1板部21aに固定される部分と、第1側板21b及び第2側板21cの各々に固定される部分とが当該壁と一体に形成されて設けられている。これにより、この他方の壁は、その先端と第2板部22aとの間に生じる隙間以外の部分が筐体20の内周部(詳細には、第2収容室27の内周部)に固定される。除菌室25で除菌された空気は、複数の壁71の各々と、第1板部21aまたは第2板部22aとの間を通ってから排気口24に至る。つまり、ファン30によってカバー側吸気口11d、吸気口23から吸い込まれ、送り出された空気は、第1収容室26、除菌室25、第2収容室27の順に通過し、排気口24を経てカバー側排気口11eから空気除菌装置Sの外部に排出される。
【0048】
第2紫外線漏れ抑制部70は、上記のように第1板部21a側と第2板部22a側に交互に隙間が生じるように配置された複数の壁71によって、除菌室25の中に照射された紫外線が排気口24から漏れ出ることを抑制しつつも、除菌室25から排気口24へ流れる空気の流路を形成する。
【0049】
空気誘導部80は、第1紫外線漏れ抑制部60よりもファン30の近くに設けられ、ファン30から送り出される空気を第1紫外線漏れ抑制部60に誘導する機能を有する。空気誘導部80は、
図2、
図3に示すように、ファン保持部81と、ガイドリブ82と、誘導面83とを備える。空気誘導部80は、例えば第2板部22aに固定される。
【0050】
ファン保持部81は、第2板部22aに沿った板状の部分であり、その表側にファン30が位置するようにファン30を保持する。
【0051】
ガイドリブ82は、
図2に示すようにファン保持部81から表側に突出する略U字状の部位である。ガイドリブ82によって、ファン30が放射状に吐き出す空気を上方側に向かわせることができる。
【0052】
誘導面83は、
図3に示すように第1紫外線漏れ抑制部60の壁61aとファン保持部81との間に位置する。誘導面83は、その一端が流入口62に向き、その他端が流入口62よりも第2板部22aの近くに位置する。この実施形態では、誘導面83の一端は流入口62の端に到っており、誘導面83の他端はファン保持部81の表側の面と繋がっている。誘導面83は、第2板部22aに対して傾くとともに前記他端から前記一端に向かって滑らかに曲がる凹曲面である。誘導面83は凹曲面ではなく所定の傾斜角度を有する傾斜面としてもよい。
【0053】
なお、空気除菌装置Sは、ファン30及び光源50の動作を制御する図示せぬ制御部を備える。この制御部は、例えばマイクロコンピュータから構成される。その他の図示せぬ構成として、空気除菌装置Sは、ユーザの操作を受け付け、その操作内容を示す信号を制御部に伝送する操作部を備えていてもよい。
【0054】
以上のように本実施形態では、空気が吸い込まれる吸気口23、吸気口23から吸い込まれた空気を除菌するための除菌室25、及び除菌室25で除菌された空気が排出される排気口24が設けられた筐体20と、除菌室25の中に紫外線を照射する光源50とを備え、除菌室25の中に紫外線を反射可能な反射部材28を設け、反射部材28には光源50から照射される紫外線が通過可能な貫通部Nが設けられ、光源50が配設される基板40を反射部材28の外部に設けたものである。
【0055】
従って、光源50から照射される紫外線が反射部材28によって除菌室25内で繰り返し反射することになり、結果的に除菌室25の中で紫外線を高い効率で反射させ、除菌室25を通過する空気を良好に除菌することができる。つまり、紫外線の照射により除菌できる空気の量を効率的に多くすることができ、除菌効率を高めることが可能な空気除菌装置を提供することができる。
【0056】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0057】
例えば上述した実施形態では、反射部材28が第1の反射部28aと第2の反射部28bとに分割形成されていたが、例えば本実施形態の第1変形例として
図5に示すように反射部材28を第1の反射部28aと第2の反射部28bとに分割せずに単一の四角筒状の部材として構成してもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、第2の反射部28bが平板状に形成されたものであったが、例えば本実施形態の第2変形例として
図6に示すように第2の反射部28bの光源50(基部H1の貫通部N)と向かい合う位置に断面形状が略三角形状の凸状部Rを設けてもよい。つまり、この場合、反射部材28は、基部H1と第2の反射部28bとでなる一対の対向部H1、28bを少なくとも備え、当該一対の対向部のうち一方の対向部H1に貫通部Nが設けられ、当該一対の対向部のうち他方の対向部28bには貫通部Nと向かい合う位置に凸状部Rが設けられる構成となる。このように構成することで、紫外線が除菌室25の中で拡散反射されることになり、除菌効率をより高めることができるという利点がある。
【0059】
さらに、上述した実施形態では、光源基板40を筐体20の第2板部22aに載置する構成としていたが、本実施形態の第3変形例として
図7に示すように第2板部22aに光源基板40の外形形状よりも若干大きい貫通孔からなる孔部Vを設け、この孔部Vに光源基板40を配置するような構成としてもよい。つまり、この場合、第2板部22a(筐体20)は光源基板40の配設位置に対応する箇所に孔部Vを備えていることになる。この第3変形例の構成によれば、空気除菌装置Sの奥行き方向の寸法を極力小さくすることが可能となる。よって、薄型化を実現することが可能な空気除菌装置Sを提供することができる。なお、金属筐体である筐体20を極力、軽量化とするために、紫外線が漏れる虞のない部分(例えば第2の反射部28bに位置する第1板部21a箇所)に孔部を形成してもよい。
【0060】
なお、以上の説明では、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0061】
10 外装カバー
20 筐体
21 第1の筐体
22 第2の筐体
23 吸気口
24 排気口
25 除菌室
26 第1収容室
27 第2収容室
28 反射部材
28a 第1の反射部
28b 第2の反射部(他方の対向部)
30 ファン
40 光源基板(基板)
50 光源
60 第1紫外線漏れ抑制部
70 第2紫外線漏れ抑制部
80 空気誘導部
G 空所
H1 基部(一方の対向部)
N 貫通部
R 凸状部
V 孔部