(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182020
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ガス絶縁静止誘導電器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H01F27/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095380
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】三谷 友倫
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 正一
(72)【発明者】
【氏名】片山 洋子
【テーマコード(参考)】
5E059
【Fターム(参考)】
5E059BB02
(57)【要約】
【課題】分割構造とすることで設置場所に搬入可能なガス絶縁静止誘導電器を提供することである。
【解決手段】実施形態のガス絶縁静止誘導電器は、絶縁性ガスを封入したタンクの内部に、鉄心に巻回した巻線を収納して構成されるガス絶縁静止誘導電器であって、前記タンクは、前記タンクを軸方向に複数分割した複数の軸方向分割タンクと、前記複数の軸方向分割タンクにそれぞれ設けられたフランジと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性ガスを封入したタンクの内部に、鉄心に巻回した巻線を収納して構成されるガス絶縁静止誘導電器であって、
前記タンクは、
前記タンクを軸方向に複数分割した複数の軸方向分割タンクと、
前記複数の軸方向分割タンクにそれぞれ設けられたフランジと、を備えるガス絶縁静止誘導電器。
【請求項2】
前記複数の軸方向分割タンクは、軸方向に複数分割した胴板と、前記胴板の端部を閉塞する鏡板とを備える請求項1に記載のガス絶縁静止誘導電器。
【請求項3】
前記タンクの内部であって、前記胴板および前記鏡板の連結部に補強部材をさらに備える請求項2に記載のガス絶縁静止誘導電器。
【請求項4】
前記複数の軸方向分割タンクは、前記フランジを介して0.2MPa abs以上に耐えられる強度で連結し前記タンクを形成する請求項1に記載のガス絶縁静止誘導電器。
【請求項5】
絶縁性ガスを封入したタンクの内部に、鉄心に巻回した巻線を収納して構成されるガス絶縁静止誘導電器であって、
前記タンクは、
前記タンクを径方向に複数分割した複数の径方向分割タンクと、
前記複数の径方向分割タンクにそれぞれ設けられたフランジと、を備えるガス絶縁静止誘導電器。
【請求項6】
前記タンクの端部を閉塞する複数の鏡板と、
前記複数の径方向分割タンクに前記フランジを介して連結され、輸送時の前記複数の径方向分割タンクをそれぞれ閉塞する複数の輸送用鏡板と、を備える請求項5に記載のガス絶縁静止誘導電器。
【請求項7】
前記複数の径方向分割タンクは、前記フランジを介して0.2MPa abs以上に耐えられる強度で連結し前記タンクを形成する請求項5に記載のガス絶縁静止誘導電器。
【請求項8】
絶縁性ガスを封入したタンクの内部に、鉄心に巻回した巻線を収納して構成されるガス絶縁静止誘導電器であって、
前記タンクは、
前記タンクを軸方向および径方向に複数分割した複数の分割タンクと、
前記複数の分割タンクにそれぞれ設けられたフランジと、を備えるガス絶縁静止誘導電器。
【請求項9】
前記複数の分割タンクは、その連結部をT字になるように連結する請求項8に記載のガス絶縁静止誘導電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガス絶縁静止誘導電器に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁および冷却媒体として絶縁性不活性ガスを用いたガス絶縁静止誘導電器は、不燃性で防爆性が高い特徴を持ち、漏油の危険性がないため、都市部の地下変電所や、水力発電所、臨海部の地上変電所等で運用されている。
【0003】
しかし、地下変電所等の限られた設置スペースで稼働しているガス絶縁静止誘導電器において、本体タンク(鉄心やコイル等を含む)一体の状態で搬入することが困難である場合が多い。特に、油絶縁静止誘導電器をガス絶縁静止誘導電器に更新する際には、油絶縁静止誘導電器とガス絶縁静止誘導電器ではタンクの縦横比が大きく異なるため、一体で搬入できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス絶縁静止誘導電器は、製作時に厳格な防塵環境が必要となるため、従来は工場等でガス絶縁静止誘導電器を組み立て、本体タンクを密閉した状態で輸送する、一体輸送方式が用いられてきた。したがって、ガス絶縁静止誘導電器は、輸送に際する寸法制約・質量制約の厳しい場所への設置は難しく、事前に輸送経路を広げておく等の対応をしてきた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、分割構造とすることで設置場所に搬入可能なガス絶縁静止誘導電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、実施形態のガス絶縁静止誘導電器は、絶縁性ガスを封入したタンクの内部に、鉄心に巻回した巻線を収納して構成されるガス絶縁静止誘導電器であって、前記タンクは、前記タンクを軸方向に複数分割した複数の軸方向分割タンクと、前記複数の軸方向分割タンクにそれぞれ設けられたフランジと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る静止誘導電器本体の正面図。
【
図4】第1実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の変形例に関する図。
【
図5】第2実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の側面図。
【
図6】第3実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の斜視図である。
図2は、
図1におけるa-a線における断面図である。
図1および
図2に示すように、ガス絶縁静止誘導電器1は、静止誘導電器本体10と、圧力容器であって、絶縁性ガスを封入し静止誘導電器本体10を内部に収納するタンク20とを備える。
【0011】
図3は、静止誘導電器本体の正面図である。静止誘導電器本体10は、例えば三相三脚の変圧器を構成する。静止誘導電器本体10は、巻線11および鉄心12を備える。巻線11は、3つ設けられている。各巻線11は、巻回軸線が略鉛直方向に沿うように、鉄心12に巻回されている。鉄心12は、巻線11が巻回される3つの脚13と、各脚13の端部に接続するヨーク14とを備える。3つの脚13は、略鉛直方向に延びており、略水平方向(略軸方向)に略等間隔で並んでいる。ヨーク14は、略水平方向(略軸方向)に延びており、脚13の上端部同士および下端部同士を接続している。この構成により、巻線11によって生じる磁束は、脚13とヨーク14により形成された磁路を流れる。なお、静止誘導電器本体10は、三相三脚の変圧器に限定されず、例えば三相五脚の変圧器等であってもよい。
【0012】
図1に示すように、タンク20は円筒形であり、軸方向に平行な平面で軸方向分割タンク上部20Aおよび軸方向分割タンク下部20Bに2分割されている。ここで、軸方向とはタンク20の中心軸線に沿う方向を示し、タンク20の径方向は単に径方向と呼ぶ。タンク20は、組み合わせて円筒形となる一対の半円筒形の胴板21Aおよび21Bと、タンク20の両端を閉塞する鏡板22A、22B、22C、および22Dと、軸方向分割タンク上部20Aおよび軸方向分割タンク下部20Bを接続する一対のフランジ23Aおよび23Bとを備える。タンク20は、胴板21A、鏡板22A、および鏡板22Cからなる軸方向分割タンク上部20Aと、胴板21B、鏡板22B、および鏡板22Dからなる軸方向分割タンク下部20Bとを、上下方向に組み合わせフランジ23Aおよび23Bにより連結することで形成される。
【0013】
胴板21Aおよび21Bは、静止誘導電器本体10を囲うように上下に組み合わせて配置される。胴板21Aおよび21Bは、鉄心12の脚13が並ぶ軸方向に沿って延びており、その材料は例えば軟鋼である。
【0014】
鏡板22A~22Dは、胴板21Aおよび21Bの軸方向の断面と略同径の半円形に形成されている。鏡板22Aと22B、鏡板22Cと22Dがそれぞれ組み合わされることで円形となる。鏡板22Aおよび22Cは胴板21Aに例えば溶接により固着され、鏡板22Bおよび22Dは胴板21Bに例えば溶接により固着される。鏡板22Aから22Dは、例えば平形や皿形等であり、その材料は例えば軟鋼である。
【0015】
フランジ23Aは、胴板21A、鏡板22A、および鏡板22Cの連結部分に設けられている。フランジ23Bは、胴板21B、鏡板22B、および鏡板22Dの連結部分に設けられている。フランジ23Aおよび23Bは、例えば溶接、ボルト締結、リベット締結、クランプ部品による締付等により連結されることで、軸方向分割タンク上部20Aおよび軸方向分割タンク下部20Bを連結しタンク20を形成する。フランジ23Aおよび23Bは、例えばタンク内圧0.2MPa abs以上に耐えられる強度で連結される。なお、フランジ23Aおよび23Bは設置場所においては例えばポルト締結等の溶接を避けた方法で連結するのが好ましい。
【0016】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0017】
上記のような構成を備えることにより、本実施形態のガス絶縁静止誘導電器1は、設置場所まで分割された状態で搬入し、搬入した後にガス絶縁静止誘導電器1を組み立てることができる。具体的には、例えば、静止誘導電器本体10と、軸方向分割タンク上部20Aと、軸方向分割タンク下部20Bとをガス絶縁静止誘導電器1の設置場所まで搬入する。次に、静止誘導電器本体10を内部に収納するように、軸方向分割タンク上部20Aおよび軸方向分割タンク下部20Bをフランジ23Aおよびフランジ23Bを介して連結する。このとき、タンク20の内部には、静止誘導電器本体10とともに、絶縁性不活性ガスを封入する。
【0018】
上述のように、本実施形態によると、ガス絶縁静止誘導電器のタンクを分割した状態で搬入し、搬入した後に組み立てることができるので、寸法制約・質量制約の厳しい場所への搬入を可能とすることができる。
【0019】
次に、本実施形態の変形例について、本実施形態と異なる点を主に説明する。本実施形態とは、タンク20の内部に補強部材24をさらに備える点で異なる。補強部材24は、
図1のA~Dで示す位置のタンク20の内部にそれぞれ設けられている。
【0020】
図1のCで示す位置に設けられた補強部材24を
図4に示す。補強部材24は、胴板21Aと鏡板22Cの連結部に設けられた上部の補強部材24Aと、胴板21Bと鏡板22Dの連結部に設けられた下部の補強部材24Bの2つの補強部材で構成される。補強部材24A及び補強部材24Bは、例えば直角三角形であり、直角三角形の底辺に相当する補強部材24Aの斜辺24C及び補強部材24Bの斜辺24Dは、鉛直方向から見た形状として、円弧状に加工されている。補強部材24は例えば溶接によりタンク20の内部に固着され、材料は例えば軟鋼である。
図1のA、B、Dで示す位置のタンク20の内部に設けられる補強部材24も、上述したC位置に示す位置に設けられる補強部材24と同じ構成である。
【0021】
このような構成を備えることにより、第1実施形態と同様の効果に加えて、タンク20の内圧に対する強度を向上させることができる。補強部材24が設けられる箇所はタンク20のうち強度が比較的低い部分なので、補強部材24を備えることによりタンク20が内圧によって開口せず、密閉性をより維持することができる。
【0022】
(第2実施形態)
第2実施形態について、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様な点については詳細な説明を省略する。第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、タンク30を径方向に平行な平面で分割する点である。
【0023】
図5は、第2実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の側面図である。
図5に示すように、タンク30は円筒形であり、径方向に平行な平面で、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cに3分割されている。タンク30は、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cと、タンク30の両端を閉塞する鏡板32Aおよび32Bと、輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dと、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cを接続するフランジ34A、34B、34C、および34Dとを備える。タンク30は、径方向分割タンク端部30Aと、径方向分割タンク中央部30Bと、径方向分割タンク端部30Cと、鏡板32Aと、鏡板32Bとを、軸方向に組み合わせフランジ34A、34B、34C、および34Dにより連結することで形成される。
【0024】
径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cはそれぞれ円筒形であり、軸方向に組み合わせて配置される。径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cは鉄心12の脚13が並ぶ軸方向に沿って延びており、その材料は例えば軟鋼である。
【0025】
鏡板32Aおよび32Bは、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cと略同径の円形に形成されている。鏡板32Aは径方向分割タンク端部30Aに例えば溶接により固着され、鏡板32Bは径方向分割タンク端部30Cに例えば溶接により固着される。鏡板32Aおよび32Bは、例えば平形や皿形等であり、その材料は例えば軟鋼である。
【0026】
フランジ34A、34B、34C、および34Dは、それぞれ径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cの連結部分に設けられている。フランジ34A、34B、34C、および34Dは、例えば溶接、ボルト締結、リベット締結、クランプ部品による締付等により連結されることで、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cを連結しタンク30を形成する。フランジ34A、34B、34C、および34Dは、例えばタンク内圧0.2MPa abs以上に耐えられる強度で連結される。
【0027】
また、タンク30の搬入時には、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cの分割部に輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dが連結される。輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dは、フランジ34A、34B、34C、および34Dにそれぞれ例えば溶接、ボルト締結、リベット締結、クランプ部品による締付等により連結される。輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dは、例えば平形や皿形等であり、その材料は例えば軟鋼である。なお、フランジ34A、34B、34C、および34Dは設置場所においては例えばポルト締結等の溶接を避けた方法で連結するのが好ましい。
【0028】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0029】
上記のような構成を備えることにより、本実施形態のガス絶縁静止誘導電器1は、設置場所まで分割された状態で搬入し、搬入した後にガス絶縁静止誘導電器1を組み立てることができる。具体的には、例えば、静止誘導電器本体10と、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、径方向分割およびタンク端部30Cとをガス絶縁静止誘導電器1の設置場所まで搬入する。搬入前に、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cの分割部には、輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dを、それぞれフランジ34A、34B、34C、および34Dに連結する。
【0030】
次に、設置場所まで搬入した後、輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dを径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cから取り外す。そして、静止誘導電器本体10を内部に収納するように、径方向分割タンク端部30A、径方向分割タンク中央部30B、および径方向分割タンク端部30Cをフランジ34A、34B、34C、および34Dを介して連結する。このとき、タンク30の内部には、静止誘導電器本体10とともに、絶縁性不活性ガスを封入する。
【0031】
上述のように、本実施形態によると、ガス絶縁静止誘導電器のタンクを分割した状態で搬入し、搬入した後に組み立てることができるので、寸法制約・質量制約の厳しい場所への搬入を可能とすることができる。
【0032】
また、搬入時には輸送用鏡板33A、33B、33C、および33Dによりタンク端部30A、タンク中央部30B、およびタンク端部30Cの密閉状態を維持できる。
【0033】
(第3実施形態)
第3実施形態について、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様な点については詳細な説明を省略する。第3実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、タンク40の形状が例えば直方体であり、タンク40を径方向に平行な平面および軸方向に平行な平面で分割する点である
【0034】
図6は、第3実施形態に係るガス絶縁静止誘導電器の斜視図である。
図6に示すように、タンク40は例えば直方体であり、分割タンク40A、40B、40C、および40Dから形成されている。タンク40は、分割タンク40A、40B、40C、および40Dと、それらを連結するフランジ41A、41B、41C、および41Dとを備える。タンク40は、分割タンク40A、40B、40C、および40Dを、フランジ41A、41B、41C、および41Dにより連結することで形成される。
【0035】
なお、タンク40は直方体ではなくセミオーバルやフルオーバルでもよい。
【0036】
分割タンク40A、40B、40C、および40Dはそれぞれ例えば直方体のうち2面がない形状であり、それらの連結部42がT字となるようにずらして配置される。その材料は例えば軟鋼である。
【0037】
図7は、分割タンク40Aの図である。分割タンク40B、40C、および40Dにおいても同様の構成であってよく、ここでは分割タンク40Aを一例として説明する。
【0038】
側面40Aは、
図7に示すように、連結部分にフランジ41Aを備え、タンク40を径方向に平行な平面および軸方向に平行な平面で分割したものである。タンク40Aの各面およびフランジ41Aは、例えば溶接、ボルト締結、リベット締結、クランプ部品による締付等により連結される。
【0039】
フランジ41A、41B、41C、および41Dは、それぞれ分割タンク40A、40B、40C、および40Dの連結部分に設けられ、その材料は例えば軟鋼である。フランジ41A、41B、41C、および41Dは、例えば溶接、ボルト締結、リベット締結、クランプ部品による締付等により連結されることで、分割タンク40A、40B、40C、および40Dを連結しタンク40を形成する。フランジ41A、41B、41C、および41Dは、例えばタンク内圧0.2MPa abs以上に耐えられる強度で連結される。なお、フランジ41A、41B、41C、および41Dは設置場所においては例えばポルト締結等の溶接を避けた方法で連結するのが好ましい。
【0040】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0041】
上記のような構成を備えることにより、本実施形態のガス絶縁静止誘導電器1は、設置場所まで分割された状態で搬入し、搬入した後にガス絶縁静止誘導電器1を組み立てることができる。具体的には、例えば、静止誘導電器本体10と、分割タンク40A、40B、40C、および40Dとをガス絶縁静止誘導電器1の設置場所まで搬入する。
【0042】
次に、静止誘導電器本体10を内部に収納するように、分割タンク40A、40B、40C、および40Dをフランジ41A、41B、41C、および41Dを介して連結する。このとき、タンク40の内部には、静止誘導電器本体10とともに、絶縁性不活性ガスを封入する。
【0043】
上述のように、本実施形態によると、ガス絶縁静止誘導電器のタンクを分割した状態で搬入し、搬入した後に組み立てることができるので、寸法制約・質量制約の厳しい場所への搬入を可能とすることができる。
【0044】
また、タンクの側面および底面をさらに分割した状態で搬入できるので、より寸法制約・質量制約の厳しい場所への搬入を可能とすることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…ガス絶縁静止誘導電器、10…静止誘導電器本体、11…巻線、12…鉄心、13…脚、14…ヨーク、20、30、40…タンク、20A…軸方向分割タンク上部、20B…軸方向分割タンク下部、21A、21B…胴板、22A、22B、22C、22D、32A、32B…鏡板、23A、23B、34A、34B、34C、34D、41A、41B、41C、41D…フランジ、24、24A、24B…補強部材、24C、24D…斜辺、30A、30C…径方向分割タンク端部、30B…径方向分割タンク中央部、33A、33B、33C、33D…輸送用鏡板、40A、40B、40C、40D…分割タンク、42…連結部。