(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182022
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装装置における検査方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095387
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】納富 亮
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE51
5E353JJ28
5E353JJ48
5E353NN18
5E353QQ09
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】ノズルに粘着物質が付着している状態を確実に検出することができる部品実装装置および部品実装装置における検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】吸着動作を行っていない状態のノズル15Nの下端15Tを載置面22Mに載置された検査用治具21に接触させた後、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させ、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が載置面22Mから移動するか否かを判定する。その結果、検査用治具21が載置面22Mから移動しなかったと判定された場合にはノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していないと判断し、検査用治具21が載置面22Mから移動したと判定された場合にはノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していると判断する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着ヘッドが備えるノズルの下端に部品を真空吸着させて基板に装着する部品実装装置であって、
載置面に載置された検査用治具と、
吸着動作を行っていない状態の前記ノズルの下端を前記検査用治具に接触させた後、前記ノズルを前記載置面から離れる方向に移動させる移動手段と、
前記ノズルの移動に伴って前記検査用治具が前記載置面から移動したか否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記検査用治具が前記載置面から移動しなかったと判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していないと判断し、前記判定部により前記検査用治具が前記載置面から移動したと判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していると判断する判断部と、
を備えた部品実装装置。
【請求項2】
前記ノズル内の空気の流量または圧力を計測する計測手段を備え、前記判定部は、前記ノズルが前記載置面から離れる方向に移動された状態で前記計測手段によって計測される前記ノズル内の空気の流量または圧力に基づいて、前記検査用治具が前記載置面から移動したか否かを判定する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記検査用治具が載置面に載置された状態を検出する検出手段を備え、前記判定部は、前記ノズルが前記載置面から離れる方向に移動された状態で前記検出手段によって前記検査用治具が前記載置面に載置された状態が検出されるか否かに基づいて、前記検査用治具が前記載置面から移動したか否かを判定する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
装着ヘッドが備えるノズルの下端に部品を真空吸着させて基板に装着する部品実装装置における検査方法であって、
吸着動作を行っていない状態の前記ノズルの下端を載置面に載置された検査用治具に接触させた後、前記ノズルを前記載置面から離れる方向に移動させる移動工程と、
前記移動工程における前記ノズルの移動に伴って前記検査用治具が前記載置面から移動したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記検査用治具が前記載置面から移動しなかった判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していないと判断し、前記判定工程において前記検査用治具が前記載置面から移動したと判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していると判断する判断工程と、
を含む部品実装装置における検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルの下端に部品を真空吸着させて基板に装着する部品実装装置および部品実装装置における検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルの下端に部品を真空吸着させて基板に装着する部品実装装置が知られている。このような部品実装装置では、半田が塗布された基板に部品を装着することから、ノズルの下端に半田が付着してしまう場合がある。半田は粘着物質であることから、ノズルの下端に半田が付着してしまうと、基板に装着しようとした部品がノズルから離れず、正常な部品装着がなされないなどの不具合が発生するおそれがある。このため従来、生産開始時のほか、生産作業中に一定のタイミングにおいて、ノズルを下方から撮像し、これにより得られる画像に基づいて、ノズルの下端に半田(すなわち粘着物質)が付着しているかどうかを検査するようにしていた(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような検査では、粘着物質が透明であった場合やノズルと同じ色であった場合にはその粘着物質を認識できず、ノズルに粘着物質が付着した状態を検出できないおそれがあるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、ノズルに粘着物質が付着している状態を確実に検出することができる部品実装装置および部品実装装置における検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、装着ヘッドが備えるノズルの下端に部品を真空吸着させて基板に装着する部品実装装置であって、載置面に載置された検査用治具と、吸着動作を行っていない状態の前記ノズルの下端を前記検査用治具に接触させた後、前記ノズルを前記載置面から離れる方向に移動させる移動手段と、前記ノズルの移動に伴って前記検査用治具が前記載置面から移動したか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記検査用治具が前記載置面から移動しなかったと判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していないと判断し、前記判定部により前記検査用治具が前記載置面から移動したと判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していると判断する判断部と、を備えた。
【0007】
本発明の部品実装装置における検査方法は、装着ヘッドが備えるノズルの下端に部品を真空吸着させて基板に装着する部品実装装置における検査方法であって、吸着動作を行っていない状態の前記ノズルの下端を載置面に載置された検査用治具に接触させた後、前記ノズルを前記載置面から離れる方向に移動させる移動工程と、前記移動工程における前記ノズルの移動に伴って前記検査用治具が前記載置面から移動したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程において前記検査用治具が前記載置面から移動しなかった判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していないと判断し、前記判定工程において前記検査用治具が前記載置面から移動したと判定された場合には前記ノズルの下端に粘着物質が付着していると判断する判断工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズルに粘着物質が付着している状態を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1における部品実装装置の要部側面図
【
図2】本発明の実施の形態1における部品実装装置の要部平面図
【
図3】本発明の実施の形態1における部品装着装置が備える吸引機構の構成を示す図
【
図4】本発明の実施の形態1における部品実装装置が備える治具ユニットの(a)斜視図(b)一部断面斜視図(c)側断面図
【
図5】本発明の実施の形態1における部品実装装置が備える検査用治具が(a)載置面に載置された状態を示す図(b)載置面から移動した状態を示す図
【
図6】本発明の実施の形態1における部品実装装置の制御系統を示すブロック図
【
図7】本発明の実施の形態1における部品実装装置が実行する検査の流れを示すフローチャート
【
図8】(a)(b)(c)(d)本発明の実施の形態1における部品実装装置が検査を実行した場合におけるノズルと検査用治具の状態を示す図
【
図9】本発明の実施の形態1における部品実装装置が備えるノズルをノズル洗浄部において洗浄している状態を示す図
【
図10】本発明の実施の形態2における部品実装装置が備える治具ユニットの(a)一部断面斜視図(b)側断面図
【
図11】(a)(b)(c)(d)本発明の実施の形態2における部品実装装置が検査を実行した場合におけるノズルと検査用治具の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1および
図2は本発明の実施の形態1における部品実装装置1を示している。部品実装装置1は、上流工程側に設定された半田印刷装置によって半田が印刷(塗布)された基板KBを受け取って部品BHを装着し、下流工程側に搬出する装置である。ここでは説明の便宜上、部品実装装置1における基板KBの搬送方向(作業者OPから見た左右方向)をX方向、X方向と直交する水平方向(作業者OPから見た前後方向)をY方向、上下方向をZ方向とする。
【0011】
図1および
図2において、部品実装装置1は、基台11、搬送コンベア12、台車13、テープフィーダ14、装着ヘッド15、ヘッド移動機構16、部品カメラ17、ノズル洗浄部18、治具ユニット19および制御装置20を備えている。搬送コンベア12は基台11上に設けられており、基板KBの両端部を下方から支持してX軸方向に搬送する。台車13は基台11のY方向の端部に連結されており、上部にフィーダベース13Bを備えている。テープフィーダ14はフィーダベース13Bの上面側に着脱自在に取り付けられている。フィーダベース13Bには複数のテープフィーダ14をX方向に並べて取り付けることができる。
【0012】
図1および
図2において、台車13には部品BHを収納したキャリアテープCTが巻き付けられた複数のリールRLが保持されている。各リールRLは複数のテープフィーダ14それぞれに対応する位置に保持されており、各テープフィーダ14は対応するリールRLからキャリアテープCTを引き出して搬送し、前方(搬送コンベア12に向かう側)の端部に設けられた部品供給口14Kに部品BHを供給する。
【0013】
図1および
図2において、装着ヘッド15は下方に延びた複数の中空のシャフト(ノズルシャフト15S)を備えている。これら複数のノズルシャフト15Sそれぞれの下端には、部品BHを吸着するためのノズル15Nが取り付けられている。装着ヘッド15はノズル15Nを昇降させるノズル昇降部15Kを備えており、このノズル昇降部15Kによって、複数のノズルシャフト15Sを(従って各ノズル15Nを)個別に昇降(Z方向に移動)させる。
【0014】
図3において、ノズルシャフト15Sにノズル15Nが取り付けられた状態では、ノズル15N内の空気通路であるノズル内管路T1と、ノズルシャフト15S内の空気通路であるシャフト内管路T2が連通する。シャフト内管路T2は装着ヘッド15の内部から外部にかけて延びる真空配管T3を通じて部品実装装置1の外部に設置された真空源VCに繋がっている。
【0015】
図3において、真空配管T3には真空配管T3内の空気の流れを制御する制御バルブ15Vが介装されている。制御バルブ15Vが真空配管T3を開放した状態では、真空配管T3内にノズル15Nの下端15Tから真空源に向かって流れる空気の流れが形成され、ノズル15Nの下端15Tに部品BHを吸着する真空吸着力が発生する。
【0016】
このように実施の形態1において、ノズル内管路T1、シャフト内管路T2、真空配管T3、真空源VCおよび制御バルブ15Vは、ノズル15Nを通じて空気の吸引を行う吸引機構KKを構成している。部品実装装置1は吸引機構KKによって、ノズル15Nの下端15Tに真空吸着力を発生させる。
【0017】
装着ヘッド15は、テープフィーダ14が部品供給口14Kに供給する部品BHをノズル15Nの下端に吸着させてピックアップする。ヘッド移動機構16は例えばXY移動機構から成り、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。
【0018】
図3において、装着ヘッド15内の真空配管T3には計測手段RSが介装されている。計測手段RSは、真空配管T3内を流れる空気の流量または圧力からノズル15N内の空気の流量または圧力を計測するものであり、計測手段RSが計測する真空配管T3内の空気の流量または圧力を調べることによって、ノズル15Nが部品BH(或いはその他の物体)を吸着した状態であるか、或いはノズル15Nが部品BHを吸着していない状態であるかを判断することができる。具体的には、計測手段RSが計測する空気の流量がほぼ「0」である場合、あるいは空気の圧力が所定の基準値よりも大きい場合には、ノズル15Nは部品BHを吸着していると判断でき、計測手段RSが計測する空気の流量が所定の基準値よりも大きい場合、あるいは空気の圧力が大気圧並みである場合には、ノズル15Nは部品BHを吸着していない(或いは吸着していた部品BHを開放した)と判断できる。
【0019】
図1および
図2において、部品カメラ17は基台11上の搬送コンベア12とテープフィーダ14の間の領域に設けられている。部品カメラ17は撮像光軸を上方に向けており、装着ヘッド15がノズル15Nの下端に吸着した状態で部品カメラ17の上方を移動したときに、その部品BHを下方から撮像する。
【0020】
図1および
図2において、ノズル洗浄部18は、基台11上の部品カメラ17の側方に設けられている。ノズル洗浄部18は上方に開口した容器18a内に洗浄液18bが入れられた構成となっている。
【0021】
図1および
図2において、治具ユニット19は、基台11上の部品カメラ17とは反対側の側方に設けられている。治具ユニット19は、
図2および
図4(a),(b),(c)に示すように、検査用治具21と、検査用治具21が載置される載置台22から構成されている。
【0022】
図4(a),(b),(c)において、検査用治具21は水平な板状の部材から成り、下面から下方に延びたロッド部21aと、ロッド部21aの下端に取り付けられた抜止め部21bを備えている。載置台22は水平な板状の載置板22aと、載置板22aから下方に延びて載置板22aを支持する複数の脚部22bを備えている。
【0023】
図4(a),(b),(c)において、載置板22aの中央部には、厚さ方向(Z方向)に貫通した貫通孔22Hが設けられている。検査用治具21のロッド部21aは貫通孔22Hを貫通して延びており、検査用治具21は、載置板22aの上面である載置面22Mに載置された位置である「載置位置」(
図5(a))と、載置面22Mから上方に移動(離間)した位置である「離間位置」(
図5(b))のいずれかの位置をとることができる。
【0024】
図1において、制御装置20は基台11内に設けられている。制御装置20は搬送コンベア12、テープフィーダ14、装着ヘッド15、ヘッド移動機構16および部品カメラ17の各動作を制御する。制御装置20は、搬送コンベア12を制御して基板KBの搬送と所定の作業位置への位置決めを行い、テープフィーダ14を制御してそのテープフィーダ14の部品供給口14Kに部品BHを供給させる。また制御装置20は、装着ヘッド15を制御して各ノズルシャフト15Sを(すなわち各ノズル15N)を作動(昇降および回動)させ、ヘッド移動機構16を制御して装着ヘッド15を水平面内で移動させる。制御装置20はまた、部品カメラ17に撮像動作を行わせる。
【0025】
部品実装装置1が基板KBに部品BHを装着する作業(部品装着作業)を行う場合には、先ず、制御装置20に制御された搬送コンベア12が作動し、上流工程側から送られてきた基板KBを受け取って搬入して、所定の作業位置に位置決めする。基板KBが作業位置に位置決めされたら、装着ヘッド15が装着ターンを繰り返し実行し、基板KBに部品BHを装着していく。ひとつの装着ターンにおいて装着ヘッド15は、テープフィーダ14の上方に移動してテープフィーダ14が供給する部品BHをノズル15Nの下端に吸着させ後、基板KBの上方に移動したうえで、基板KB上の目標装着位置に部品BHを装着する。
【0026】
装着ヘッド15は、テープフィーダ14から部品BHを吸着して基板KBの上方に移動する際、部品カメラ17の上方を通過する。部品カメラ17は装着ヘッド15が上方を通過する際に部品BHを撮像し、制御装置20は部品カメラ17の撮像によって得られた画像に基づいてその部品BHを認識する。
【0027】
装着ヘッド15が装着ターンを繰り返して基板KBに装着すべき部品BHを全て装着したら、搬送コンベア12が作動して、基板KBを部品実装装置1の下流工程側に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品装着作業が終了する。
【0028】
部品実装装置1は上記の手順で部品装着作業を実行している間に、粘着物質(ここでは半田)がノズル15Nの下端15Tに付着するおそれがある。このため部品実装装置1は、生産開始時のほか、生産作業中に一定のタイミングにおいて、装着ヘッド15が備える各ノズル15Nに粘着物質が付着しているかどうかを調べる検査(粘着物質付着検査)を行うようになっている。
【0029】
図7に示すフローチャートは、部品実装装置1が行う粘着物質付着検査の実行手順(検査方法)を示している。部品実装装置1が粘着物質付着検査を行う場合には先ず、装着ヘッド15が移動して、検査対象とするノズル15Nを治具ユニット19の上方に位置させる(
図8(a)。ステップST1の準備工程)。検査対象とするノズル15Nが治具ユニット19の上方に位置したら、装着ヘッド15は、ノズル昇降部15Kを作動させてノズルシャフト15Sを下降させ、ノズル15Nの下端15Tを載置台22の載置面22Mに載置された(載置位置に位置した)検査用治具21に接触させる(
図8(b)。ステップST2の接触工程)。
【0030】
ノズル15Nの下端15Tが検査用治具21に接触したら、装着ヘッド15はノズル昇降部15Kによりノズルシャフト15Sを上方に移動させることによって、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させる(ステップST3の移動工程)。このときノズル昇降部15Kは、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向に移動させる移動手段として機能する。
【0031】
ステップST3で、ノズル15Nが載置面22Mから離れる方向に移動されたら、制御装置20の判定部20a(
図6)は、計測手段RSによって計測されるノズル15N内の空気の流量または圧力に基づいて、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が載置面22Mから移動したか否かを判定する(ステップST4の判定工程)。
【0032】
具体的には、判定部20aは、計測手段RSによって計測されるノズル15N内の空気の流量が所定の基準値以上であった場合、あるいは空気の圧力が大気圧並みであった場合には、ノズル15Nは検査用治具21を吸着していないと判断し、検査用治具21は載置面22Mから移動しなかったと判定する(
図8(c)。ステップST4の判定において「N」)。一方、判定部20aは、計測手段RSによって計測されるノズル15N内の空気の流量がほぼ「0」であった場合、あるいは空気の圧力が所定の基準値よりも大きい場合には、ノズル15Nは検査用治具21を吸着していると判断し、検査用治具21は載置面22Mから移動したと判定する(
図8(d)。ステップST4の判定において「Y」)。
【0033】
判定部20aが上記の判定を行ったら、制御装置20の判断部20b(
図6)は、その判定結果に基づいて、ノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着しているか否かを判断する(ステップST5の判断工程)。判断部20bは、具体的には、ステップST4で検査用治具21が載置面22Mから移動しなかったと判定された場合には、検査用治具21がノズル15Nの下端15Tにくっつかなかったとして、ノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していないと判断する(ステップST5a)。一方、判断部20bは、ステップST4で検査用治具21が載置面22Mから移動したと判定された場合には、検査用治具21がノズル15Nの下端15Tにくっついたとして、ノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していると判断する(ステップST5b)。
【0034】
このように実施の形態1における部品実装装置1(部品実装装置1における検査方法)は、載置面22Mに載置された検査用治具21と、吸着動作を行っていない状態のノズル15Nの下端15Tを検査用治具21に接触させた後、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させる移動手段としてのノズル昇降部15Kと、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が載置面22Mから移動したか否かを判定する判定部20aと、判定部20aにより検査用治具21が載置面22Mから移動しなかったと判定された場合にはノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していないと判断し、判定部20aにより検査用治具21が載置面22Mから移動したと判定された場合にはノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していると判断する判断部20bを備えた構成となっている。
【0035】
実施の形態1における部品実装装置1では、載置面22Mに載置された検査用治具21にノズル15Nを接触させた後、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させた場合に、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が移動するかどうかに基づいて、ノズル15Nの下端15Tにおける粘着物質の付着の有無を判断するようになっている。このため従来のように、ノズル15Nを下方から撮像して得られる画像に基づいてノズル15Nの下端における粘着物質の付着の有無を判断する場合と比べ、ノズル15Nに粘着物質が付着している状態を確実に検出することができる。
【0036】
上記のようにして粘着物質付着検査を実行した結果、
図7のステップST5bにおいて、判断部20bによりノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していると判断された場合には、装着ヘッド15はノズル洗浄部18の上方に移動した状態でノズルシャフト15Sを下降させる。そして、ノズル15Nの下端15Tを洗浄液18bに接触させたうえでノズル15Nを上下方向や水平方向に動かすことで、ノズル15Nの下端15Tを洗浄する(
図9)。
【0037】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2における部品実装装置は実施の形態1における部品実装装置1とほぼ同じであるが、実施の形態2における部品実装装置1では、
図10(a),(b)に示すように、治具ユニット19の載置板22aの上面に、例えば接触センサからなる検出手段SSが設けられている。検出手段SSは、検査用治具21が載置面22Mに接触している状態では検査用治具21によって押圧されてオンとなることで、載置面22Mに検査用治具21が載置されている状態を検出する。また検出手段SSは、検査用治具21が載置面22Mに接触していない状態ではオフとなることで、載置面22Mに検査用治具21が載置されていない状態を検出する。
【0038】
実施の形態2において、検出手段SSは、検査用治具21が載置面22Mに載置された状態を検出する検出手段として機能する。実施の形態2においても、粘着物質付着検査を行う場合には、先ず、装着ヘッド15が治具ユニット19の上方に移動して、検査対象とするノズル15Nを治具ユニット19の上方に位置させる(
図11(a)。
図7のステップST1の準備工程)。そして、ノズルシャフト15Sを下降させ、ノズル15Nの下端15Tを載置台22の載置面22Mに載置された検査用治具21に接触させたら(
図11(b)。ステップST2の接触工程)、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させる(ステップST3のノズル移動工程)。
【0039】
ステップST3で、ノズル15Nが載置面22Mから離れる方向に移動させたら、判定部20aは検出手段SSによって検査用治具21が載置面22Mに載置された状態が検出されるか否かに基づいて、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が載置面22Mから移動したか否かを判定する(ステップST4の判定工程)。
【0040】
具体的には、判定部20aは、検出手段SSがオンになっていることにより検査用治具21が載置面22Mに載置された状態が検出された場合には、検査用治具21は載置面22Mから移動しなかったと判定する(
図11(c)。ステップST4の判定において「N」)。一方、判定部20aは、検出手段SSがオフになっていることにより検査用治具21が載置面22Mに載置された状態が検出されなかった場合には、検査用治具21は載置面22Mから移動したと判定する(
図11(d)。ステップST4の判定において「Y」)。
【0041】
ステップST4以降の流れは前述の場合と同様である。すなわち判定部20aが上記の判定を行ったら、判断部20bは、その判定結果に基づいて、ノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着しているか否かを判断する(ステップST5の判断工程)。具体的には、判断部20bは、ステップST4で検査用治具21が載置面22Mから移動しなかったと判定された場合には、検査用治具21がノズル15Nの下端15Tにくっつかなかったとして、ノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していないと判断する(ステップST5a)。また、ステップST4で検査用治具21が載置面22Mから移動したと判定された場合には、検査用治具21がノズル15Nの下端15Tにくっついたとして、ノズル15Nの下端15Tに粘着物質が付着していると判断する(ステップST5b)。
【0042】
実施の形態2においても、載置面22Mに載置された検査用治具21にノズル15Nを接触させた後、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させた場合に、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が移動するかどうかに基づいて、ノズル15Nの下端15Tにおける粘着物質の付着の有無を判断するようになっているので、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0043】
以上説明したように、実施の形態1,2における部品実装装置1(部品実装装置1における検査方法)では、載置面22Mに載置された検査用治具21にノズル15Nを接触させた後、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向(上方)に移動させた場合に、ノズル15Nの移動に伴って検査用治具21が移動するかどうかに基づいて、ノズル15Nの下端15Tにおける粘着物質の付着の有無を判断するようになっている。このため、ノズル15Nに粘着物質が付着している状態を確実に検出することができる。
【0044】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態で示した検査用治具21は一例であり、その形状や構成等は限定されない。また、上述の実施の形態では、ノズル15Nを載置面22Mから離れる方向に移動させる移動手段は、ノズル15Nを載置面22Mに対して上方に移動させるもの(ノズル昇降部15K)であったが、載置面22Mをノズル15Nに対して下方に移動させるものであってもよい。
【0045】
また、治具ユニット19は、装着ヘッド15が備えるノズル15Nの配列に合わせて複数個を列状あるいはマトリクス状に配置しておき、複数のノズル15Nについて同時に粘着物質付着検査を行うことができるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
ノズルに粘着物質が付着している状態を確実に検出することができる部品実装装置および部品実装装置における検査方法を提供する。
【符号の説明】
【0047】
1 部品実装装置
15 装着ヘッド
15K ノズル昇降部(移動手段)
15N ノズル
15T 下端
18 ノズル洗浄部
20a 判定部
20b 判断部
21 検査用治具
22 載置台
22M 載置面
RS 計測手段
SS 検出手段
BH 部品