(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182030
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】振動検出装置、及び検査システム
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20231219BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20231219BHJP
G01M 7/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
G01M99/00 Z
G01M7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095403
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000229689
【氏名又は名称】日本ビソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506367283
【氏名又は名称】株式会社エルメック
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】松崎 悦稔
(72)【発明者】
【氏名】三原 英作
(72)【発明者】
【氏名】平野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】梶原 正臣
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024CA13
2G024DA12
2G024FA06
2G024FA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】対象物を振動させて当該振動を検出することが可能となる振動検出装置及び検査システムを提供すること。
【解決手段】タイルを検査するためのタイルの振動を検出する振動検出装置3であって、タイルを振動させるための外力をタイルに付与する外力付与部5と、外力に基づいて発生するタイルの振動を検出する振動検出部6と、を備え、振動検出部6は、外力付与部5とは別体であり、外力付与部5が付与する外力の方向に対応する方向におけるタイルの振動を検出し、外力付与部5は、当該外力付与部5が延在する方向において外力を付与し、振動検出部6は、外力付与部5が延在する方向におけるタイルの振動を検出し、外力付与部5は、タイルに押し付けられた状態で、タイルに対して外力を付与する棒状の部分である棒状部と、棒状部を付勢する付勢力を棒状部に伝達する力伝達手段とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を検査するための前記対象物の振動を検出する振動検出装置であって、
前記対象物を振動させるための外力を前記対象物に付与する外力付与手段と、
前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を検出する振動検出手段と、を備え、
前記振動検出手段は、前記外力付与手段とは別体であり、前記外力付与手段が付与する前記外力の方向に対応する方向における前記対象物の振動を検出する、
振動検出装置。
【請求項2】
前記外力付与手段は、当該外力付与手段が延在する方向において前記外力を付与し、
前記振動検出手段は、前記外力付与手段が延在する方向における前記対象物の振動を検出する、
請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項3】
前記外力付与手段は、
前記対象物に押し付けられた状態で、前記対象物に対して前記外力を付与する棒状の部分である棒状部と、
前記棒状部を付勢する付勢力を前記棒状部に伝達する力伝達手段と、を備え、
前記棒状部は、前記力伝達手段に伝達された前記付勢力に基づいて、前記対象物に対して前記外力を付与する、
請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項4】
前記力伝達手段は、磁力又は弾性力に基づく前記付勢力を伝達する、
請求項3に記載の振動検出装置。
【請求項5】
前記振動検出手段は、
前記対象物の振動を検出する振動検出センサと、
前記対象物に押し付けられた状態で、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を前記振動検出センサへ伝達する振動伝達手段と、を備え、
前記振動検出センサは、前記振動伝達手段によって伝達された前記対象物の振動を検出する、
請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項6】
前記振動検出手段は、
前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動以外の他の振動が前記振動検出センサに伝達されることを防止する防振手段、を更に備える、
請求項5に記載の振動検出装置。
【請求項7】
前記振動検出手段は、
前記振動検出センサ及び前記振動伝達手段を前記振動検出装置の本体部に取り付けるための取付手段であって、前記振動検出センサを基準にして前記振動伝達手段とは反対側に設けられている前記取付手段、を更に備え、
前記防振手段は、前記取付手段側からの前記他の振動が前記振動検出センサに伝達されることを防止する、
請求項6に記載の振動検出装置。
【請求項8】
対象物を検査する検査システムであって、
前記対象物を検査するための前記対象物の振動を検出する振動検出装置と、
前記振動検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物を検査する検査手段と、を備え、
前記振動検出装置は、
前記対象物を振動させるための外力を前記対象物に付与する外力付与手段と、
前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を検出する振動検出手段と、を備え、
前記振動検出手段は、前記外力付与手段とは別体であり、前記外力付与手段が付与する前記外力の方向に対応する方向における前記対象物の振動を検出する、
検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動検出装置、及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の振動に基づいて当該対象物を検査する技術が知れていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検査を行うために対象物を振動させて当該振動を検出する技術が要望されていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、対象物を振動させて当該振動を検出することが可能となる振動検出装置及び検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の振動検出装置は、対象物を検査するための前記対象物の振動を検出する振動検出装置であって、前記対象物を振動させるための外力を前記対象物に付与する外力付与手段と、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を検出する振動検出手段と、を備え、前記振動検出手段は、前記外力付与手段とは別体であり、前記外力付与手段が付与する前記外力の方向に対応する方向における前記対象物の振動を検出する。
【0007】
また、請求項2に記載の振動検出装置は、請求項1に記載の振動検出装置において、前記外力付与手段は、当該外力付与手段が延在する方向において前記外力を付与し、前記振動検出手段は、前記外力付与手段が延在する方向における前記対象物の振動を検出する。
【0008】
また、請求項3に記載の振動検出装置は、請求項1に記載の振動検出装置において、前記外力付与手段は、前記対象物に押し付けられた状態で、前記対象物に対して前記外力を付与する棒状の部分である棒状部と、前記棒状部を付勢する付勢力を前記棒状部に伝達する力伝達手段と、を備え、前記棒状部は、前記力伝達手段に伝達された前記付勢力に基づいて、前記対象物に対して前記外力を付与する。
【0009】
また、請求項4に記載の振動検出装置は、請求項3に記載の振動検出装置において、前記力伝達手段は、磁力又は弾性力に基づく前記付勢力を伝達する。
【0010】
また、請求項5に記載の振動検出装置は、請求項1に記載の振動検出装置において、前記振動検出手段は、前記対象物の振動を検出する振動検出センサと、前記対象物に押し付けられた状態で、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を前記振動検出センサへ伝達する振動伝達手段と、を備え、前記振動検出センサは、前記振動伝達手段によって伝達された前記対象物の振動を検出する。
【0011】
また、請求項6に記載の振動検出装置は、請求項5に記載の振動検出装置において、前記振動検出手段は、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動以外の他の振動が前記振動検出センサに伝達されることを防止する防振手段、を更に備える。
【0012】
また、請求項7に記載の振動検出装置は、請求項6に記載の振動検出装置において、前記振動検出手段は、前記振動検出センサ及び前記振動伝達手段を前記振動検出装置の本体部に取り付けるための取付手段であって、前記振動検出センサを基準にして前記振動伝達手段とは反対側に設けられている前記取付手段、を更に備え、前記防振手段は、前記取付手段側からの前記他の振動が前記振動検出センサに伝達されることを防止する。
【0013】
また、請求項8に記載の検査システムは、対象物を検査する検査システムであって、前記対象物を検査するための前記対象物の振動を検出する振動検出装置と、前記振動検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物を検査する検査手段と、を備え、前記振動検出装置は、前記対象物を振動させるための外力を前記対象物に付与する外力付与手段と、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を検出する振動検出手段と、を備え、前記振動検出手段は、前記外力付与手段とは別体であり、前記外力付与手段が付与する前記外力の方向に対応する方向における前記対象物の振動を検出する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の振動検出装置によれば、外力付与手段及び振動検出手段を備えることにより、例えば、対象物を振動させて当該振動を検出することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の振動検出装置によれば、外力付与手段が延在する方向において外力を付与し、外力付与手段が延在する方向における対象物の振動を検出することにより、例えば、対象物を確実に振動させて当該振動を確実に検出することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の振動検出装置によれば、対象物に押し付けられた状態で、対象物に対して外力を付与することにより、例えば、外力を付与する際の騒音の発生を防止することが可能となる。また、力伝達手段に伝達された付勢力に基づいて、対象物に対して外力を付与することにより、例えば、対象物を確実に振動させることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の振動検出装置によれば、磁力又は弾性力に基づく付勢力を伝達することにより、例えば、対象物を比較的単純な構成で確実に振動させることが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の振動検出装置によれば、対象物に押し付けられた状態で対象物の振動を伝達することにより、例えば、対象物の振動を確実に検出することが可能となる。
【0019】
請求項6に記載の振動検出装置によれば、対象物の振動以外の他の振動が振動検出センサに伝達されることを防止することにより、例えば、他の振動による対象物の検査の悪影響を防止し、対象物の検査を適切に行うことが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の振動検出装置によれば、取付手段側からの他の振動が振動検出センサに伝達されることを防止することにより、例えば、他の振動による対象物の検査の悪影響を防止し、対象物の検査を適切に行うことが可能となる。
【0021】
請求項8に記載の検査システムによれば、外力付与手段及び振動検出手段を備えることにより、例えば、対象物を振動させて当該振動を検出することが可能となる。また、例えば、振動検出装置の検出結果に基づいて対象物を検査することにより、対象物の検査を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】検査システムを機能概念的に示すブロック図である。
【
図6】振動検出装置のケースの内部に設けられている要素を示す斜視図である。
【
図7】振動検出装置のケースの内部に設けられている要素を示す斜視図である。
【
図8】振動検出装置のケースの内部に設けられている要素を示す斜視図である。
【
図9】振動検出装置のケースの内部に設けられている要素を示す側面図である。
【
図10】外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
【
図11】外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
【
図12】外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
【
図13】外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
【
図14】外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
【
図15】外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
【
図16】振動検出部の構成要素を示す斜視図である。
【
図17】振動検出部の構成要素を示す斜視図である。
【
図18】振動検出部の構成要素を示す側面図である。
【
図19】振動検出部の構成要素を示す正面図である。
【
図21】振動検出部の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図22】振動検出部の構成要素を示す分解斜視図である。
【
図23】振動検出部の構成要素を示す斜視図である。
【
図24】振動検出部の構成要素を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る振動検出装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0024】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、振動検出装置及び検査システムに関するものである。
【0025】
「振動検出装置」とは、対象物を検査するための対象物の振動を検出するための装置であり、例えば、対象物の振動に関する物理量を検出するための装置である。「検査システム」とは、対象物を検査するためのシステムである。
【0026】
「対象物」とは、振動検出装置によって振動が検出される対象となる物であり、具体的には、力を付与することにより振動する物を含む概念であり、例えば、施工済のタイル、及び、当該タイル以外の任意の物(例えば、石材又はモルタル材等の任意の物、又は配管)等を含む概念である。
【0027】
「検査」とは、例えば、対象物の状態が正常であるか異常であるかを調べること、異常の種類、及び異常の度合い等を調べること等を含む概念である。
【0028】
「振動に関する物理量」とは、振動の特徴を表す量を示す概念であり、例えば、振幅、周期、周波数、及び波長等を含む概念である。
【0029】
そして、以下に示す実施の形態では、「対象物」が施工済みのタイルである場合を例示して説明する。
【0030】
[実施の形態の具体的内容]
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0031】
(構成)
まず、本実施の形態の検査システムの構成について説明する。
図1は、検査システムを機能概念的に示すブロック図であり、また、
図2は、施工済のタイルを示す図である。なお、
図2の(a)~(d)においては、例えば、建物の躯体93に対して結合材92を用いて施工することにより固定されたタイル91が概略的に例示されている。
【0032】
図1の検査システム100は、
図2に例示されるタイル91を検査するためのシステムであり、例えば、タイル91の状態が正常であるか異常であるか、及び、異常である場合の異常の種類を検査するためのシステムである。
【0033】
===タイル===
図2の(a)~(d)タイル91は、前述の対象物であり、例えば、建物の内外を区画する壁の外面を形成する物である。このタイル91は、躯体93に対して、結合材92を用いて固定されている。結合材92の具体的な材料は任意であるが、例えば、モルタル又は任意の接着剤等を含む。
【0034】
「タイル91の状態が異常」とは、例えば、タイル91が浮いている状態であり、
図2の(b)~(d)に示すように、陶片浮きの状態、下地浮きの状態、及び複層浮きの状態を含む概念である。
【0035】
「陶片浮きの状態」(以下、単に「陶片浮き」とも称する)とは、
図2(b)に示すように、結合材92とタイル91との間に隙間900が発生して、当該タイル91が躯体93に対して浮いている状態を示す概念である。
【0036】
下地浮きの状態(以下、単に「下地浮き」とも称する)とは、
図2(c)に示すように、結合材92(つまり、下地)と躯体93との間に隙間900が発生して、当該タイル91が躯体93に対して浮いている状態を示す概念である。
【0037】
複層浮きの状態(以下、単に「複層浮き」とも称する)とは、例えば、
図2(d)に示すように、結合材92とタイル91との間、及び、結合材92と躯体93との間に隙間900が発生して、当該タイル91が躯体93に対して浮いている状態を示す概念である。
【0038】
「タイル91の状態が正常」とは、例えば、タイル91が躯体93に対して浮いていない状態であり、例えば、
図2の(a)に示すように、隙間が設けられておらず浮いていない状態を含む概念である。
【0039】
===検査システム===
図1の検査システム100は、例えば、端末装置1、制御装置2、及び振動検出装置3を備える。
【0040】
(構成-端末装置)
図1の端末装置1は、検査システム100における各種制御又は演算等を行うための装置であり、例えば、制御装置2との間で通信可能に接続されており、また、振動検出装置3との間で制御装置2を介して通信可能に接続されている。
図1の端末装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ(一例としては、携帯可能なノートブック型のパーソナルコンピュータ)等を用いて構成することができる。
【0041】
なお、バリエーションとしては、例えば、端末装置1について、スマートフォン又はタブレット端末等を用いて構成したり、あるいは、クラウドコンピュータを用いてクラウド化して構成したりしてしてもよい。
【0042】
図1の端末装置1は、例えば、通信部11、入力部12、表示部13、記録部14、及び制御部15を備える。
【0043】
(構成-端末装置-通信部)
図1の通信部11は、他の装置との間で通信を行う通信手段であり、例えば、公知の通信回路等を用いて構成することができる。
【0044】
(構成-端末装置-入力部)
図1の入力部12は、端末装置1に対して情報を入力するための入力手段であり、例えば、キーボード又はマウス等を用いて構成することができる。
【0045】
(構成-端末装置-表示部)
図1の表示部13は、各種情報を表示する表示手段であり、例えば、公知のディスプレイ装置を用いて構成することができる。
【0046】
(構成-端末装置-記録部)
図1の記録部14は、端末装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段(格納手段)であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリ、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(他の装置の記録部も同様とする)。
【0047】
(構成-端末装置-制御部)
図1の制御部15は、端末装置1を制御する制御手段である。具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(他の装置の制御部も同様とする)。
【0048】
制御部15は、機能概念的には例えば、検査部151を備える。検査部151は、振動検出装置3の検出結果に基づいて、対象物であるタイル91を検査する検査手段である。なお、制御部15の各部によって行われる処理については、後述する。
【0049】
(構成-制御装置)
図1の制御装置2は、振動検出装置3を制御したり各種データを取得したりするための装置である。この制御装置2としては、公知の電気回路を用いて任意に構成することができるので、詳細の説明を省略する。
【0050】
なお、バリエーションとしては、例えば、制御装置2の一部又は全部の機能を、端末装置1又は振動検出装置3に組み込んでもよい。
【0051】
(構成-振動検出装置)
図3~
図5は、振動検出装置の斜視図である。なお、
図5においては、振動検出装置3の外形の一部の図示が省略されており、内部が見える状態となっている。
【0052】
また、本実施の形態において、組み立てられた状態の振動検出装置3を基準にして、外力付与部5(具体的には、加振接触子51及び加振軸52(
図5)等)が延在する方向(以下、「前後方向」とも称する)において、外力付与部用開口部421(
図3)が設けられている向きを正面又は正面側と称し、また、外力付与部用開口部421が設けられている向きとは反対の向きを背面又は背面側と称して説明する。
【0053】
図1の振動検出装置3は、対象物であるタイル91(
図2)を検査するためのタイル91の振動を検出する装置であり、
図3に示すように例えば、第1把手31、第2把手32、及び本体部33を備える。
【0054】
(構成-振動検出装置-第1把手)
図3の第1把手31は、振動検出装置3を操作する操作者によって保持される部分であり、例えば、本体部33の所定位置に設けられている部分であり、例えば、トリガスイッチ311を備える。
【0055】
なお、振動検出装置3の保持者は任意であり、例えば、作業員である人間であってもよいし、あるいは、作業員によって遠隔操作されるロボットであってもよい。
【0056】
(構成-振動検出装置-第1把手-トリガスイッチ)
図3のトリガスイッチ311は、タイル91に対して外力を付与する際に操作されるスイッチである。
【0057】
「外力」とは、例えば、検査のためにタイル91を振動させるために当該タイル91に振動検出装置3から付与される力を示す概念である。
【0058】
(構成-振動検出装置-第2把手)
図3の第2把手32は、振動検出装置3を操作する操作者によって保持される部分であり、例えば、本体部33を基準にして第1把手31の反対側に設けられている部分である。
【0059】
(構成-振動検出装置-本体部)
図6~
図8は、振動検出装置のケースの内部に設けられている要素を示す斜視図であり、また、
図9は、振動検出装置のケースの内部に設けられている要素を示す側面図である。なお、
図6~
図9においては、
図3のケース42の内部の構成要素等が図示されている。
【0060】
図3の本体部33は、振動検出装置3の本体となる部分であり、
図3に示すように例えば、コネクタ41、ケース42、本体部側取付部材43(
図5)、外力付与部5、及び振動検出部6を備える。
【0061】
(構成-振動検出装置-本体部-コネクタ)
図3のコネクタ41は、振動検出装置3を
図1の制御装置2に対して電気的に接続するための接続手段であり、例えば、接続用のケーブルが接続されるものである。
【0062】
(構成-振動検出装置-本体部-ケース)
図3のケース42は、振動検出装置3の各種要素を収容するための収容手段であり、例えば、外形が矩形柱形状となって、中空部を有するものである。なお、ケース42の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよいし、あるいは、金属製としてもよい。また、ケース42の一部を樹脂製とし、残りの一部を金属製としてもよい。なお、振動検出装置3の他の構成要素の材質についても、特記する場合を除いて同様とする。
【0063】
ケース42は、例えば、外力付与部用開口部421(
図3)、振動検出部用開口部422(
図3)、及び凹部423(
図7)を備える。
【0064】
(構成-振動検出装置-本体部-ケース-外力付与部用開口部)
図3の外力付与部用開口部421は、ケース42の正面側の部分である正面部42Aに設けられている貫通孔であり、例えば、外力付与部5の一部が挿通されている貫通孔である。
【0065】
(構成-振動検出装置-本体部-ケース-振動検出部用開口部)
図3の振動検出部用開口部422は、ケース42の正面部42Aに設けられている貫通孔であり、例えば、振動検出部6の一部が挿通されている貫通孔である。
【0066】
これら各開口部の位置は任意であるが、例えば、振動検出装置3を正面側から見た場合において、正面部42Aの中心に外力付与部用開口部421が設けられており、当該外力付与部用開口部421の下方(つまり、第1把手31及び第2把手32の内の第1把手31が設けられている方向)に振動検出部用開口部422が設けられている。
【0067】
(構成-振動検出装置-本体部-ケース-凹部)
図7の凹部423は、後述する電磁石57がケース42の内面に当ることを防止するための窪んだ部分であり、例えば、ケース42の内側において、当該内側から外側に向かって抉られるように窪んでいる部分である。
【0068】
(構成-振動検出装置-本体部-本体部側取付部材)
図5の本体部側取付部材43は、ケース42に対して各構成要素(例えば、外力付与部5及び振動検出部6)を取り付けるためのものであり、例えば、全体そしては所定の厚みを有する矩形の平板状のものである。本体部側取付部材43の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよいし、あるいは、金属製としてもよい。
【0069】
本体部側取付部材43は、ケース42の内部に固定されているものであり、前後方向を基準にしてケース42の正面部42A及びケース42の背面側の部分である背面部42Bの相互間に設けられているものであり、ケース42の内部の空間を正面側空間A11及び背面側空間A12に区画するものである。
【0070】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部)
図10~
図15は、外力付与部の構成要素を示す斜視図である。
図9の外力付与部5は、対象物であるタイル91を振動させるための外力をタイル91に付与する外力付与手段であり、例えば、外力付与部5が延在する方向において外力を付与するものである。
【0071】
「外力付与部5が延在する方向」とは、加振接触子51及び加振軸52が延びている方向を示す概念であり、具体的には、前述の「前後方向」を示す概念であり、例えば、
図9の図面上下方向に対応する方向を示す概念である。
【0072】
外力付与部5は、例えば、
図10の加振接触子51、加振軸52、ストッパ支持用部材53、ストッパ54、リニアブッシュ55、永久磁石56、
図14の電磁石57、及びバネ機構部58を備える。
【0073】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-加振接触子)
図10~
図12の加振接触子51は、タイル91に押し付けられて当該タイル91に接触する部材であり、例えば、外力付与部5の先端部となる部材である。加振接触子51は、比較的短い棒状の部材である。加振接触子51の先端部は、例えば、半球形状となっている。加振接触子51は、所定の取付手法(例えば、ネジ又はボルト構造を用いた取付手法等)にて加振軸52に対して着脱可能に取り付けられている。加振接触子51の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよい、あるいは、金属製としてもよい。
【0074】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-加振軸)
図10~
図12の加振軸52は、前後方向に延在する部材であり、例えば、正面側の端部に加振接触子51が設けられ、背面側の端部に永久磁石56が設けられる部材である。加振軸52は、加振接触子51よりも長い棒状の部材である。加振軸52の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよいし、あるいは、金属製としてもよい。
【0075】
なお、この加振接触子51及び加振軸52の組み合わせが、対象物であるタイル91に押し付けられた状態で、タイル91に対して外力を付与する棒状の部材である「棒状部」に対応するものと解釈してもよい。また、この加振接触子51及び加振軸52の組み合わせである「棒状部」は、力伝達手段によって伝達された付勢力(つまり、後述する永久磁石56、電磁石57、及びバネ機構部58によって発生して伝達される付勢力)に基づいて、タイル91に対して外力を付与する。
【0076】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-ストッパ支持用部材)
図10~
図12のストッパ支持用部材53は、ストッパ54を支持して加振軸52における所定位置に固定するための部材である。ストッパ支持用部材53は、加振軸52が延在する方向の所定位置において当該加振軸52に対して固定されている平板状の部材である。ストッパ支持用部材53の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよいし、あるいは、金属製としてもよい。
【0077】
ストッパ支持用部材53の固定手法は任意であり、例えば、ストッパ支持用部材53の中央部分に加振軸52の径よりも僅かに大径となる貫通孔を設けて、当該貫通孔に加振軸52を挿入した後に接着剤等を用いて固定する手法を用いてもよい。
【0078】
あるいは、加振軸52を、ストッパ支持用部材53よりも正面側(
図12の図面上側)の第1部分、及びストッパ支持用部材53よりも背面側(
図12の図面下側)の第2部分に2分割可能に構成する。また、ストッパ支持用部材53の中央部分に加振軸52の径よりも小径となる貫通孔を設けて、また、加振軸52の第1部分及び第2部分相互に対向する面の内の一方面にボルトを設けて、他方に面に等がボルトが挿入されて螺合する螺合孔を設ける。そして、前述のボルトを貫通孔に挿通した状態で螺合孔に螺合することにより、加振軸52の第1部分及び第2部分の相互間にストッパ支持用部材53を挟んで固定してもよい。なお、この場合、限定されるものではないが例えば、第1部分を樹脂製とし、第2部分を金属製としてもよい。
【0079】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-ストッパ)
図10~
図12のストッパ54は、加振接触子51及び加振軸52の移動を規制する規制手段であり、例えば、加振接触子51及び加振軸52の背面側(
図9の図面下側)へ向かう移動を規制する部材である。ストッパ54は、ストッパ支持用部材53の両端部に所定の固定手法(例えば、ボルトを用いる手法等)で固定されている部材であり、当該両端部から背面側へ向かって突出している部材である。ストッパ54は、
図11に示すように例えば、本体部側取付部材43の受部431と対向する位置に設けられている。ストッパ54の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよいし、あるいは、金属製としてもよい。
【0080】
なお、本体部側取付部材43の受部431とは、本体部側取付部材43における正面側の面に設けられている窪みであり、例えば、ストッパ54を受けて当該ストッパ54が内部に設けられる窪みである。
【0081】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-リニアブッシュ)
図10~
図11、
図13のリニアブッシュ55は、
図12の加振接触子51、加振軸52、ストッパ支持用部材53、ストッパ54、及び永久磁石56(以下、「加振軸52等」とも称する)を、本体部側取付部材43に対して前後方向に移動可能となるように取り付けるための部材である。リニアブッシュ55は、本体部側取付部材43に固定されている部材であり、例えば、金属製の部材である。リニアブッシュ55は、
図13に示すように例えば、案内保持部551、及びボルト孔552を備える。
【0082】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-リニアブッシュ-案内保持部)
図13の案内保持部551は、加振軸52の軸受けとして機能する部分であり、例えば、内部に貫通孔551Aが設けられている部分である。この案内保持部の貫通孔551A内には、加振軸52の前後方向への移動を案内し、当該加振軸52を保持するための複数のいわゆるボール(小径の鋼球)が設けられている。
【0083】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-リニアブッシュ-ボルト孔)
図13のボルト孔552は、リニアブッシュ55を本体部側取付部材43に固定するためのボルト(不図示)が設けられる孔である。リニアブッシュ55の固定手法は任意であるが、例えば、本体部側取付部材43(
図10)の中心付近にリニアブッシュ55の案内保持部551の外径よりも僅かに大径となる貫通孔に設けられており、当該貫通孔に案内保持部551を挿通した状態で、ボルト孔552及び本体部側取付部材43に対して不図示のボルトを螺合することにより固定する手法を用いてもよい。
【0084】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-永久磁石)
図10~
図12の永久磁石56は、検査を行う場合に加振接触子51及び加振軸52を正面側に向かって付勢する付勢力を、加振接触子51及び加振軸52に伝達するための力伝達手段であり、具体的には、当該付勢力を発生するための磁力を発生して伝達する永久磁石である。永久磁石56は、例えば、円盤形状であり、中心付近に加振軸52の背面側の端部が任意の固定手法(例えば、接着剤を用いて接着して固定する手法、あるいは、ボルト等を用いて着脱自在に固定する手法等)で固定されているものである。永久磁石56は、
図8又は
図9に示すように、隙間500を介して電磁石57と対向している。
【0085】
なお、永久磁石56と電磁石57との間の隙間500の幅については、後述するように電磁石57が僅かに変位した場合に僅かに変動することも想定されるが、例えば、変位したとしても永久磁石56及び電磁石57が磁力によって、相互に引き合ったり又は退け合ったりすることが可能となる程度の幅に設定されている。
【0086】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-電磁石)
図14~
図15の電磁石57は、検査を行う場合に加振接触子51及び加振軸52を正面側に向かって付勢する付勢力を、加振接触子51及び加振軸52に伝達するための力伝達手段であり、具体的には、当該付勢力を発生するための磁力を発生して伝達する電磁石である。電磁石57は、バネ機構部58の正面側(
図15の図面上側)に固定されており、例えば、第1平板部材581における第1支持部材が設けられている側とは反対側の端部に固定されている。
【0087】
電磁石57は、例えば、電磁石57を形成する不図示のコイルへ電流を供給したり当該電流を遮断したりすることにより、電磁石57を励磁したり当該電磁石57を無励磁としたりすることが可能となっている。また、電磁石57は、例えば、電磁石57を形成するコイルへ供給する電流の方向を変更することにより、永久磁石56と対向する正面側(
図9の図面上側)の磁極をN極又はS極に変更可能となっている。
【0088】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-バネ機構部)
図14~
図15のバネ機構部58は、検査を行う場合に加振接触子51及び加振軸52を正面側に向かって付勢する付勢力を、加振接触子51及び加振軸52に伝達するための力伝達手段であり、具体的には、当該付勢力を発生するための弾性力を発生して伝達する弾性機構である。
【0089】
バネ機構部58は、
図14~
図15に示すように例えば、第1平板部材581、第2平板部材582、第1支持部材583、及び第2支持部材584を備える。
【0090】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-バネ機構部-第1平板部材)
第1平板部材581は、前後方向に対して直交する方向に延在する金属製の平板部材であり、例えば、所定の弾性を有する部材である。第1平板部材581の一方の端部(
図14及び
図15の図面左側の端部)には、電磁石57が固定されており、第1平板部材581の他方の端部(
図14及び
図15の図面右側の端部)は、第1支持部材583に固定されて支持されている。
【0091】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-バネ機構部-第2平板部材)
第2平板部材582は、前後方向において所定の間隔を隔てて第1平板部材581の背面側に設けられている土台となる部材であり、例えば、第1平板部材581と同様な形状の金属製の部材である。第2平板部材582の両端部は、第1支持部材583及び第2支持部材584に固定されて支持されている。
【0092】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-バネ機構部-第1支持部材)
第1支持部材583は、ケース42の背面部42Bに対して第1平板部材581及び第2平板部材582を固定するための前後方向に延在する金属製の部材であり、例えば、背面側の端部が背面部42Bに固定されており、また、所定位置に第1平板部材581及び第2平板部材582の他方の端部が固定されている。
【0093】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-バネ機構部-第2支持部材)
第2支持部材584は、ケース42の背面部42Bに対して第2平板部材582を固定するための前後方向に延在する金属製の部材であり、例えば、背面側の端部が背面部42Bに固定されており、また、所定位置に第2平板部材582の一方の端部が固定されている。
【0094】
(構成-振動検出装置-本体部-外力付与部-バネ機構部-弾性力)
そして、このような各部材を備えるバネ機構部58においては、第1平板部材581の他方の端部のみが固定されているので、第1平板部材581の他方の端部に前後方向に向かう力が付与された場合、第1平板部材が撓んで変形し当該変形を元に戻そうとする弾性力が発生することになる。
【0095】
例えば、第1平板部材581の一方の端部が背面側(
図14及び
図15の図面下側)に変位して変形した場合、正面側(
図14及び
図15の図面上側)に向かう弾性力が発生する。また、例えば、第1平板部材581の一方の端部が正面側に変位して変形した場合、背面側に向かう弾性力が発生する。
【0096】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部)
図16~
図17は、振動検出部の構成要素を示す斜視図であり、また、
図18は、振動検出部の構成要素を示す側面図であり、また、
図19は、振動検出部の構成要素を示す正面図であり、また、
図20は、
図19のA-A矢視方向の断面図であり、また、
図21~
図22は、振動検出部の構成要素を示す分解斜視図であり、また、
図23は、振動検出部の構成要素を示す斜視図であり、また、
図24は、振動検出部の構成要素を示す側面図である。
【0097】
なお、
図18においては、振動センサ62は実際には見えない状態となっているが、説明の便宜上、外形が矩形の破線で図示されている。また、他の各図においては、説明の便宜上、振動センサ62の図示は省略されている。また、
図20においては、
図19の一部の構成要素の断面図が図示されている。
【0098】
図9の振動検出部6は、外力に基づいて発生するタイル91の振動を検出する振動検出手段であり、具体的には、外力付与部5とは別体であり、外力付与部5が付与する外力の方向(前後方向)に対応する方向(前後方向)における対象物の振動を検出する検出手段である。振動検出部6は、例えば、外力付与部5が延在する方向(前後方向)におけるタイル91の振動を検出するものである。
【0099】
振動検出部6は、例えば、
図18の検出接触子61、振動センサ62、センサケース63、及び検出側取付部64を備える。
【0100】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出接触子)
図16~
図19、
図21~
図24の検出接触子61は、対象物であるタイル91に押し付けられた状態で、外力に基づいて発生するタイル91の振動を振動センサ62へ伝達する振動伝達手段である。検出接触子61は、例えば、振動検出部6の先端部となる部材である。検出接触子61の先端部は、例えば、正面側(
図24の図面上側)に向かうについて細くなっている。検出接触子61は、所定の取付手法(例えば、ネジ又はボルト構造を用いた取付手法等)にてセンサケース63に対して着脱可能に取り付けられている。検出接触子61の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよい、あるいは、金属製としてもよい。
【0101】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-振動センサ)
図18の振動センサ62は、対象物であるタイル91の振動を検出する振動検出センサであり、例えば、
図17のセンサケース63の収容部631に収容されるものである。この振動センサ62としては、公知の振動センサを用いることができる。
【0102】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-センサケース)
図16~
図19、
図21~
図24のセンサケース63は、振動センサ62を収容するための収容手段であり、例えば、概略的には矩形柱形状となっているものであり、また、収容部631(
図17)を有する。センサケース63の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよい、あるいは、金属製としてもよい。
【0103】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-センサケース-収容部)
図17の収容部631は、振動センサ62を収容して保持する部分であり、例えば、センサケース63における1個の側面部に設けられた凹部である。
【0104】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部)
図16~
図18の検出側取付部64は、振動検出部6を本体部側取付部材43(
図9)(つまり、ケース42)に取り付けて固定するための部分である。
【0105】
検出側取付部64は、
図20~
図22に示すように例えば、本体部71、棒部材72、第1防振チューブ73、第1平ワッシャ74、第1防振ブッシュ75、第2防振チューブ76、第2防振ブッシュ77、第2平ワッシャ78、及び固定ナット79を備える。
【0106】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-本体部)
図25~
図26は、本体部を示す斜視図である。
図20~
図22、
図25~
図26の本体部71は、検出接触子61、振動センサ62(
図18)、及びセンサケース63を振動検出装置3の本体部33(つまり、ケース42の本体部側取付部材43)に取り付けるための取付手段であり、
図18に示すように例えば、振動センサ62を基準にして検出接触子61とは反対側に設けられている取付手段である。本体部71の材質は任意であり、例えば、樹脂製としてもよい、あるいは、金属製としてもよい。本体部71は、
図20、
図25~
図26に示すように例えば、貫通孔711、ボルト孔712を備える。
【0107】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-本体部-貫通孔、ボルト孔)
図20の貫通孔711は、棒部材72等が挿入されて取り付けられる取付孔であり、例えば、前後方向において貫通している孔である。
図20のボルト孔712は、本体部71を本体部側取付部材43に固定するためのボルト(不図示)が設けられる孔である。本体部71の固定手法は任意であるが、例えば、ボルト孔712及び本体部側取付部材43に対して不図示のボルトを螺合することにより固定する手法を用いてもよい。
【0108】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-棒部材)
図20~
図22の棒部材72は、本体部71に対してセンサケース63を取り付けるための所定径の金属製の棒状の部材である。棒部材72は、例えば、正面側端部721、及び背面側端部722を備える。
【0109】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-棒部材-正面側端部、背面側端部)
正面側端部721は、棒部材72における正面側の端部であり、例えば、センサケース63に設けられている螺合孔632(
図21)に挿入されて当該センサケース63に螺合して固定される部分であり、一例としては、らせん状のネジ溝が設けられているボルト構造となっている部分である。
【0110】
背面側端部722は、棒部材72における背面側の端部であり、例えば、固定ナット79が螺合して固定される部分であり、一例としては、らせん状のネジ溝が設けられているボルト構造となっている部分である。
【0111】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-第1防振チューブ)
【0112】
図20~
図24の第1防振チューブ73は、防振手段である。なお、「防振手段」とは、外力に基づいて発生する対象物であるタイル91の振動以外の他の振動が振動センサ62に伝達されることを防止する手段である。「他の振動」とは、外力に基づいて発生するタイル91の振動以外の任意の振動であり、本実施の形態では例えば、
図9のバネ機構部58等で発生し、ケース42、本体部側取付部材43、本体部71を介して伝達される可能性がある振動を示すものと解釈してもよい。
【0113】
図20~
図24の第1防振チューブ73は、棒部材72が挿通される貫通孔が設けられている。第1防振チューブ73の材質は防振機能を有する限りにおいて任意であるが、例えば、弾性体を用いることができ、本実施の形態では、シリコン製とする。
【0114】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-第1平ワッシャ)
図20~
図24の第1平ワッシャ74は、棒部材72が挿通される貫通孔が設けられている金属製の部材である。
【0115】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-第1防振ブッシュ)
図20~
図24の第1防振ブッシュ75は、前述の防振手段である。第1防振ブッシュ75は、例えば、突出部751を備える。突出部751は、例えば、背面側に向かって突出する部分であり、また、棒部材72が挿通される貫通孔が設けられている部分であり、また、本体部71の貫通孔711(
図20)に挿入される部分である。第1防振ブッシュ75の材質は防振機能を有する限りにおいて任意であるが、例えば、弾性体を用いることができ、本実施の形態では、シリコンを利用して生成されるシリコーン製とする。また、本実施の形態では、第1防振ブッシュ75の材質としては、第1防振チューブ73の材質よりも柔らかいものを用いることとする。
【0116】
なお、バリエーションとしては、例えば、第1防振ブッシュ75をシリコン製としたり、前述の第1防振チューブ73をシリコーン製としたりしてもよく、あるいは、他の任意の弾性材にて形成してもよい。なお、後述する各防振手段についても同様とする。
【0117】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-第2防振チューブ)
【0118】
図20~
図24の第2防振チューブ76は、防振手段である。第2防振チューブ76は、棒部材72が挿通される貫通孔が設けられているものであり、また、本体部71の貫通孔711(
図20)に挿入されるものである。第2防振チューブ76の材質は防振機能を有する限りにおいて任意であるが、本実施の形態では例えば、第1防振チューブ73の材質と同じ材質とする。
【0119】
第2防振チューブ76の外径は、本体部71の貫通孔711よりも小径となっており、
図20に示すように例えば、貫通孔711の内部において本体部71との間に隙間が形成されている。
【0120】
なお、バリエーションとしては、例えば、第2防振チューブ76の材質を第1防振チューブ73の材質と異なる材質としてもよい。
【0121】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-第2防振ブッシュ)
図20~
図24の第2防振ブッシュ77は、前述の防振手段である。第2防振ブッシュ77の形状及び寸法は、例えば、第1防振ブッシュ75と同じである。第2防振ブッシュ77は、例えば、突出部771を備える。突出部771は、例えば、正面側に向かって突出する部分であり、また、棒部材72が挿通される貫通孔が設けられている部分であり、また、本体部71の貫通孔711(
図20)に挿入される部分である。第2防振ブッシュ77の材質は防振機能を有する限りにおいて任意であるが、本実施の形態では例えば、第1防振ブッシュ75の材質と同じ材質とする。
【0122】
なお、バリエーションとしては、例えば、第2防振ブッシュ77の材質を第1防振ブッシュ75の材質と異なる材質としてもよい。また、例えば、第2防振ブッシュ77の形状又は寸法を第1防振ブッシュ75の形状又は寸法と異なる形状又は寸法としてもよい。
【0123】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-第2平ワッシャ)
図20~
図24の第2平ワッシャ78は、棒部材72が挿通される貫通孔が設けられている金属製の部材である。
【0124】
(構成-振動検出装置-本体部-振動検出部-検出側取付部-固定ナット)
図20~
図24の固定ナット79は、本体部71に対して棒部材72等を固定するための金属製のナットであり、棒部材72の背面側端部722(
図20)に螺合して固定されるものである。
【0125】
(組み立て方法)
次に、振動検出装置3の組み立て方法の一例について説明する。ここでは、例えば、
図9の振動検出部6の組み立て方法について詳細に説明し、他の構成要素の組み立て方法の詳細の説明は省略する。
【0126】
まず、
図21及び
図22のセンサケース63の収容部631(
図17)に振動センサ62(
図18)を設けた上で、センサケース63に対して検出接触子61を取り付けて固定する。ここでは、例えば、センサケース63及び検出接触子61における相互に対向する面に不図示の螺合孔(ボルトを螺合して固定する孔)が設けられていることとし、この螺合孔に不図示のボルト(例えば、頭部が設けられておらずネジ部のみ設けられており、両螺合孔に螺合する形状のボルト)を螺合することにより、固定する。
【0127】
次に、
図21及び
図22の棒部材72に、第1防振チューブ73、第1平ワッシャ74、第1防振ブッシュ75、及び第2防振チューブ76を設ける。ここでは、例えば、これら各構成要素の貫通孔に棒部材72を挿入することにより設ける。
【0128】
次に、
図21及び
図22の棒部材72をセンサケース63に固定する。ここでは、例えば、棒部材72の正面側端部721を、センサケース63の螺合孔632に螺合して固定する。
【0129】
次に、
図21及び
図22の棒部材72に、第2防振ブッシュ77、第2平ワッシャ78を設ける。ここでは、例えば、第2防振ブッシュ77の突出部771を、本体部71の背面側(例えば
図21の図面右側)から貫通孔711に挿入する。次に、棒部材72を本体部71の正面側(例えば
図21の図面左側)から貫通孔711に挿入することにより、本体部71に突出部771が挿入されている第2防振ブッシュ77の貫通孔に棒部材72を挿入する。この場合、
図20に示すように、棒部材72に設けられている第1防振ブッシュ75の突出部751及び第2防振チューブ76は、貫通孔711内に挿入されることになる。次に、第2平ワッシャ78の貫通孔に、第2防振ブッシュ77の貫通孔から背面側に突出した棒部材72を挿入する。
【0130】
次に、
図21及び
図22の棒部材72等を本体部71に固定する。ここでは、例えば、
図20に示すように、棒部材72の背面側端部722に固定ナット79を螺合して設けることにより固定する。このようにして、振動検出部6の組み立てが完了する。
【0131】
そして、この場合、
図20に示すように、棒部材72の両端部に螺合して固定されているセンサケース63及び固定ナット79の相互間において、前後方向(
図20の図面上下方向)を基準にして、第1防振ブッシュ75及び第2防振ブッシュ77が本体部71に押し付けられているので、
図20に示すように、棒部材72を含む各構成要素が本体部71に固定されることになる。
【0132】
次に、
図9に示すように、振動検出部6を本体部側取付部材43に固定し、また、外力付与部5を組み立てて取り付けた上で、他の構成要素を取り付けることにより、
図3の振動検出装置3の組み立てが完了する。
【0133】
(振動検出装置の動作及び処理)
次に、振動検出装置3の加振動作及び検出処理について説明する。「加振動作」とは、タイル91を検査する場合に、タイル91を振動させるための外力を付与するための動作である。「検出処理」とは、タイル91を検査する場合に、前述の外力に基づいて発生するタイル91の振動を検出するための処理である。
【0134】
図27~
図28は、加振動作及び検出処理の説明図である。なお、
図27~
図28においては、振動検出装置3の一部の構成要素が図示されている。ここでは、例えば、永久磁石における背面側(
図9の図面下側であり、電磁石57と対向している側)の磁極がN極となっている場合を例示して説明する。また、明示的な操作を行うまでは、電磁石57への電流は遮断されており(つまり、電流が供給されておらず)、電磁石57が無励磁となっていることとする。また、以下で説明する電磁石57の磁極については、永久磁石56と対向する正面側の磁極を示すものとする。
【0135】
===第1ステップ===
まず、第1ステップでは、タイル91を検査するために、
図3の加振接触子51及び検出接触子61を、
図27(a)のタイル91の外面(外側に露出している面)に押し付ける。ここでは、例えば、第1把手31及び第2把手32を保持した状態で、加振接触子51及び検出接触子61をタイル91に対して直交する方向から押し付ける。そして、少なくとも加振動作及び検出処理が終了するまでの間、加振接触子51及び検出接触子61をタイル91に押し付けた状態を維持し、すなわち、加振接触子51及び検出接触子61がタイル91に接触した状態を維持することとする。
【0136】
なお、加振接触子51がタイル91に押し付けられる場合、
図11の加振接触子51及び加振軸52には、タイル91からの反力(つまり、背面側への力)が付与されることになるが、
図11の加振軸52に固定されているストッパ54が本体部側取付部材43の受部431に当って、加振接触子51の背面側への移動が規制されるので、加振接触子51をタイル91に対して押し付けた状態を維持することが可能となる。
【0137】
また、検出接触子61については、
図20のセンサケース63及び棒部材72を介して本体部71に固定されており、棒部材72は、各防振手段(つまり、第1防振チューブ73、第1防振ブッシュ75、第2防振チューブ76、第2防振ブッシュ77)に保持された状態で本体部71に固定されている。そして、各防振手段は、弾性体であるために弾性変形可能となっているので、検出接触子61をタイル91に押し付けた場合、防振手段が弾性的に変形し、検出接触子61は、押し付ける前に比べて所定距離(例えば、検査時のタイル91の振動の振幅よりも僅かに長い距離等)分だけ背面側に変位した状態でタイル91に押し付けられる。なお、この場合、前述したように、背面側への移動が規制されている加振接触子51がタイル91に押し付けられて当たっているので、
図27(a)の本体部側取付部材43及びタイル91との間の前後方向(
図27(a)の図面上下方向)における距離は所定距離に維持されており、検出接触子61が想定以上に背面側に変位することは防止される。
【0138】
そして、このように検出接触子61が各防振手段によってタイル91側(
図27(a)の図面上側)に向かって付勢された状態で、当該タイル91に押し付けられているので、後述するようにタイル91が振動した場合、当該タイル91の外面の位置が振動の振幅に対応する距離だけ前後方向(
図27(a)の図面上下方向)において変位することになるが、当該変位に追従して防振手段が弾性的に変形したり元の形状に戻ったりすることにより、振動するタイル91に対して検出接触子61が接触した状態を維持することが可能となる。
【0139】
なお、この場合、
図27(a)に示すように、電磁石57が無励磁となっているので、永久磁石56及び電磁石57の相互間の磁力は発生しないことになる。
【0140】
===第2ステップ===
次に、第2ステップでは、タイル91に外力を付与するための準備を行う。ここでは、例えば、
図3の第1把手31のトリガスイッチ311を押下して外力を付与するための操作を行った場合、励磁用の電流を供給することより電磁石57をS極に励磁する。なお、励磁用の電流を供給する主体は任意であり、例えば、振動検出装置3に電流供給部が設けられていることとし、この電流供給部が供給することとしてもよいし、あるいは、
図1の制御装置2が供給することとしてもよい。
【0141】
この場合、
図27(b)の矢印で示すように、永久磁石56及び電磁石57の相互間に発生する引き合う磁力により、電磁石57に固定されている第1平板部材581の端部が正面側に移動して、第1平板部材581が弾性的変形して撓むことになる。
【0142】
===第3ステップ===
次に、第3ステップでは、タイル91に外力を付与し、また、検出処理を行う。ここでは、例えば、第2ステップで
図3の第1把手31のトリガスイッチ311の操作を行ったタイミングの所定時間後(例えば、100ミリ秒後等)に、励磁用の電流の方向を切り替えることにより電磁石57をN極に励磁する。なお、本実施の形態で示す「100ミリ秒」等の時間の表記は例示であり、他の時間としてもよい。
【0143】
この場合、
図27(c)の矢印で示すように、永久磁石56及び電磁石57の相互間に発生する退け合う磁力、及び、
図27(b)の状態で発生する第1平板部材581の弾性力により、電磁石57に接続されている加振接触子51を正面側(
図27(c)の図面上側)に向かって付勢する付勢力が発生し、タイル91に対して当該付勢力に対応する外力(つまり、
図27(c)の上側に向かう力であって、タイル91を押して振動させる力)の付与を加振接触子51が開始する。また、この場合、前述の磁力及び弾性力により、電磁石57に固定されている第1平板部材581の端部が背面側に移動して、第1平板部材581が弾性的変形して撓むことになる。
【0144】
そして、この後、当該弾性力及び磁力により、
図27(d)及び
図28(a)の矢印で示すように撓んで弾性的に変形することを繰り返すことになる。
【0145】
一方、タイル91に付与される外力については、
図27(c)で示す状態と
図27(d)で示す状態(
図27(d)の状態を含む)に対応するタイミングに至るまで徐々に増大し、この後に減少することになるが、当該外力によってタイル91の振動が発生することになる。
【0146】
そして、タイル91の振動は、
図18の検出接触子61及びセンサケース63を介して振動センサ62に伝達されることになり、振動センサ62は、伝達されたタイル91の振動を検出することになる。
【0147】
一方、
図1の制御装置2は、振動センサ62の検出結果を取得することになり、検出結果を取得するタイミングは任意であるが、例えば、トリガスイッチ311の操作したタイミングを基準とした所定の取得タイミング(例えば、検査を適切に行うことが可能となる検出結果を取得可能なタイミングであり、実験又はシミュレーション等によって定められるタイミング等)に振動センサ62の検出結果を取得して、端末装置1に送信する。なお、この所定の取得タイミングについては、例えば、
図3の第1把手31のトリガスイッチ311の操作を行ったタイミングの80ミリ秒後~180ミリ秒後までの間の時間帯としてもよい。
【0148】
===第4ステップ===
次に、第4ステップでは、タイル91の検査を終了するために、第2ステップで
図3の第1把手31のトリガスイッチ311の操作を行った後の所定時間(例えば、第3ステップの実行が完了した後のタイミングであり、200ミリ秒後等)に、励磁用の電流を遮断して電磁石57を無励磁とする。
【0149】
この場合、
図28(a)に示すN極同士の退け合う磁力が消えるので、
図28(b)の矢印で示すように、第1平板部材581の端部が正面側に移動することにより、N極同士の退け合う磁力によって撓んで弾性的に変形していた第1平板部材581が、
図28(c)に示すように、元の形状(つまり、検査開始前の形状)に戻る。
【0150】
(タイルの検査)
次に、タイル91の検査について説明する。この検査については、振動検出装置3で検出した振動に基づいて行う限りにおいて任意であるが、例えば、機械学習または深層学習によって生成した所定の検査モデルに基づいて行う場合を例示して説明する。
【0151】
図1の記録部14に対して、所定の検査モデルとして、画像データを入力した場合に、検査結果を出力するモデルが格納されていることとする。
【0152】
「画像データ」とは、振動検出装置3で検出したタイル91の振動の時間変化(本実施の形態では、振動の時間変化)の情報を、所定の数式を用いた変換(例えば、ウェーブレット変換)を行って求められた、各時間における周波数及びレベル(つまり、振動の振幅)の情報を示す画像データであり、例えば、横軸を時間とし、縦軸を周波数とし、レベルを色分け(例えば、赤色~青色等の色分け)で示した画像データ等を示す概念である。
【0153】
「検査結果」とは、検査の結果であり、例えば、
図2(a)に例示されているように、正常であることを示す「正常」、
図2(b)~(d)に例示されているように異常である陶片浮き、下地浮き、及び複層浮きに対応する「陶片浮き」、「下地浮き」、及び「複層浮き」を示す概念である。
【0154】
この所定の検査モデルの格納手法は任意であるが、例えば、振動検出装置3を用いてあらゆるタイル91(正常なもの、及び異常なもの)に関する振動を検出し、当該検出した結果を用いて多数の教師データを生成した上で、当該教師データを用いて機械学習または深層学習を行うことにより所定の検査モデルを生成して格納してもよい。
【0155】
検査で行う処理としては、例えば、
図1の端末装置1の検査部151が、制御装置2によって送信された振動センサ62の検出結果(つまり、振動検出装置3によって検出されたタイル91の振動を示す情報)を受信し、受信した検出結果をウェーブレット変換することにより、前述の画像データを生成する。次に、検査部151が、当該生成した画像データを記録部14に格納されている所定の検査モデルに入力することにより検査を行う。次に、検査部151は、所定の検査モデルから出力される検査結果を示す情報を、表示部13に表示したり、記録部14に記録したりする。
【0156】
そして、ユーザは、表示部13に表示された情報、又は、記録部14に記録された情報を確認することにより、振動検出装置3を用いて外力を付与して振動を検出したタイル91の検査結果を把握することが可能となる。
【0157】
(防振について)
各防振手段(
図20の第1防振チューブ73、第1防振ブッシュ75、第2防振チューブ76、第2防振ブッシュ77)による防振について説明する。前述したように、タイルの検査時(つまり、振動検出装置3の加振動作時)に、
図27(a)等の第1平板部材581が動く等により、前述の他の振動がバネ機構部58等で発生する場合がある。しかしながら、振動検出装置3については、
図20に示すように、本体部71と棒部材72との間、及び本体部71とセンサケース63との間に、各防振手段が設けられているので、他の振動が振動センサ62に伝達されることを防止することが可能となる。
【0158】
なお、
図20の第2防振チューブ76は、第1防振ブッシュ75及び第2防振ブッシュ77よりも硬い材質で形成されているので、例えば、他の振動によって本体部71が
図20の図面左右方向に振動し、各ブッシュの突出部751、771が当該振動によって弾性的に変形することにより、棒部材72が貫通孔711の内部で本体部71に近づく場合であっても、棒部材72に設けられている第2防振チューブ76が本体部71に当たって棒部材72側への振動の伝達の少なくとも一部が防止されることになる。従って、棒部材72が貫通孔711内で本体部71に直接当たることを防止して、他の振動が振動センサ62に伝達されることを防止することが可能となる。
【0159】
また、
図20に示すように、前後方向(
図20の図面上下方向)において、第1防振ブッシュ75、第2防振チューブ76、及び第2防振ブッシュ77が相互に接触して当たっており(つまり、当接しており)、第1防振ブッシュ75及び第1防振チューブ73が第1平ワッシャ74を介して相互に押し付けられているので、他の振動を各防振手段に分散させることができるので、他の振動の伝達を確実に防止することが可能となる。
【0160】
なお、「他の振動が振動センサ62に伝達されることを防止する」とは、他の振動の伝達を完全に防止すること、あるいは、他の振動の少なくとも一部の伝達を防止すること(つまり、伝達される振動を低減すること)等を示す概念である。
【0161】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、外力付与部5及び振動検出部6を備えることにより、例えば、対象物であるタイル91を振動させて当該振動を検出することが可能となる。
【0162】
また、外力付与部5が延在する方向(前後方向)において外力を付与し、外力付与部5が延在する方向におけるタイル91の振動を検出することにより、例えば、タイル91を確実に振動させて当該振動を確実に検出することが可能となる。
【0163】
また、タイル91に押し付けられた状態で、タイル91に対して外力を付与することにより、例えば、外力を付与する際の騒音の発生を防止することが可能となる。また、永久磁石56、電磁石57、及びバネ機構部58に伝達された付勢力に基づいて、タイル91に対して外力を付与することにより、例えば、タイル91を確実に振動させることが可能となる。
【0164】
また、磁力又は弾性力に基づく付勢力を伝達することにより、例えば、タイル91を比較的単純な構成で確実に振動させることが可能となる。
【0165】
また、タイル91に押し付けられた状態で対象物の振動を伝達することにより、例えば、タイル91の振動を確実に検出することが可能となる。
【0166】
また、タイル91の振動以外の他の振動が振動センサ62に伝達されることを防止することにより、例えば、他の振動によるタイル91の検査の悪影響を防止し、タイル91の検査を適切に行うことが可能となる。
【0167】
また、本体部71側からの他の振動が振動センサ62に伝達されることを防止することにより、例えば、他の振動によるタイル91の検査の悪影響を防止し、タイル91の検査を適切に行うことが可能となる。
【0168】
また、外力付与部5及び振動検出部6を備えることにより、例えば、タイル91を振動させて当該振動を検出することが可能となる。また、例えば、振動検出装置3の検出結果に基づいてタイル91を検査することにより、タイル91の検査を適切に行うことが可能となる。
【0169】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0170】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0171】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
【0172】
例えば、外力付与部5の任意の構成要素(一例としては、加振接触子51及び加振軸52)を個別の各部品では無く、1個の部品として一体的に形成してもよい。また、例えば、振動検出部6の任意の構成要素も同様としてもよい。
【0173】
(防振手段について)
また、
図20の各防振手段である第1防振チューブ73、第1防振ブッシュ75、第2防振チューブ76、又は第2防振ブッシュ77の内の、一部を省略してもよい。また、例えば、防振機能が不要である場合、防振手段を全て省略してもよい。防振手段を省略する場合、棒部材72が本体部71に対して直接取り付けられるように構成してもよい。
【0174】
(バネ機構部について)
また、バネ機構部58として、
図14及び
図15に図示されている機構以外の他の機構を用いてもよい。例えば、第1平板部材581の長さをより長くした上で、両端部を支持し、中央に電磁石57を固定して両端部が支持される機構としてもよい。又は、例えば、コイルばねを用いてもよい。また、バネ機構部58の代わりに、弾性力を発生する任意の機構(例えば、ゴム等の弾性体を用いた機構等)を設けてもよい。
【0175】
(磁石について)
また、
図12の加振軸52に対して、永久磁石56の代わりに、小型の電磁石を設けてもよい。この場合、例えば、
図14及び
図15の電磁石57の代わりに、永久磁石を設けてもよい。
【0176】
(磁力及び弾性力について)
また、上記実施の形態では、磁力及び弾性力の両方を用いて外力を付与する場合について説明したが、これに限らない。例えば、磁力のみ又は弾性力のみ用いて外力を付与するように構成してもよい。
【0177】
(検査について)
また、上記実施の形態では、各時間における周波数及びレベルを示す画像データを用いて検査する場合について説明したが、これに限らない。例えば、各時間にけるレベル(振幅)の変化を示す画像データを用いて検査するように構成してもよいし、あるいは、画像データを用いずに、各時間におけるレベルの値に基づいて検査するように構成してもよい。
【0178】
(特徴について)
また、上記実施の形態の構成、及び変形例の特徴を、任意に組み合わせてもよい。
【0179】
(付記)
付記1の振動検出装置は、対象物を検査するための前記対象物の振動を検出する振動検出装置であって、前記対象物を振動させるための外力を前記対象物に付与する外力付与手段と、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を検出する振動検出手段と、を備え、前記振動検出手段は、前記外力付与手段とは別体であり、前記外力付与手段が付与する前記外力の方向に対応する方向における前記対象物の振動を検出する。
【0180】
付記2の振動検出装置は、付記1に記載の振動検出装置において、前記外力付与手段は、当該外力付与手段が延在する方向において前記外力を付与し、前記振動検出手段は、前記外力付与手段が延在する方向における前記対象物の振動を検出する。
【0181】
付記3の振動検出装置は、付記1に記載の振動検出装置において、前記外力付与手段は、前記対象物に押し付けられた状態で、前記対象物に対して前記外力を付与する棒状の部分である棒状部と、前記棒状部を付勢する付勢力を前記棒状部に伝達する力伝達手段と、を備え、前記棒状部は、前記力伝達手段に伝達された前記付勢力に基づいて、前記対象物に対して前記外力を付与する。
【0182】
付記4の振動検出装置は、付記3に記載の振動検出装置において、前記力伝達手段は、磁力又は弾性力に基づく前記付勢力を伝達する。
【0183】
付記5の振動検出装置は、付記1に記載の振動検出装置において、前記振動検出手段は、前記対象物の振動を検出する振動検出センサと、前記対象物に押し付けられた状態で、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を前記振動検出センサへ伝達する振動伝達手段と、を備え、前記振動検出センサは、前記振動伝達手段によって伝達された前記対象物の振動を検出する。
【0184】
付記6の振動検出装置は、付記5に記載の振動検出装置において、前記振動検出手段は、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動以外の他の振動が前記振動検出センサに伝達されることを防止する防振手段、を更に備える。
【0185】
付記7の振動検出装置は、付記6に記載の振動検出装置において、前記振動検出手段は、前記振動検出センサ及び前記振動伝達手段を前記振動検出装置の本体部に取り付けるための取付手段であって、前記振動検出センサを基準にして前記振動伝達手段とは反対側に設けられている前記取付手段、を更に備え、前記防振手段は、前記取付手段側からの前記他の振動が前記振動検出センサに伝達されることを防止する。
【0186】
付記8の検査システムは、対象物を検査する検査システムであって、前記対象物を検査するための前記対象物の振動を検出する振動検出装置と、前記振動検出装置の検出結果に基づいて、前記対象物を検査する検査手段と、を備え、前記振動検出装置は、前記対象物を振動させるための外力を前記対象物に付与する外力付与手段と、前記外力に基づいて発生する前記対象物の振動を検出する振動検出手段と、を備え、前記振動検出手段は、前記外力付与手段とは別体であり、前記外力付与手段が付与する前記外力の方向に対応する方向における前記対象物の振動を検出する。
【0187】
(付記の効果)
付記1に記載の振動検出装置によれば、外力付与手段及び振動検出手段を備えることにより、例えば、対象物を振動させて当該振動を検出することが可能となる。
【0188】
付記2に記載の振動検出装置によれば、外力付与手段が延在する方向において外力を付与し、外力付与手段が延在する方向における対象物の振動を検出することにより、例えば、対象物を確実に振動させて当該振動を確実に検出することが可能となる。
【0189】
付記3に記載の振動検出装置によれば、対象物に押し付けられた状態で、対象物に対して外力を付与することにより、例えば、外力を付与する際の騒音の発生を防止することが可能となる。また、力伝達手段に伝達された付勢力に基づいて、対象物に対して外力を付与することにより、例えば、対象物を確実に振動させることが可能となる。
【0190】
付記4に記載の振動検出装置によれば、磁力又は弾性力に基づく付勢力を伝達することにより、例えば、対象物を比較的単純な構成で確実に振動させることが可能となる。
【0191】
付記5に記載の振動検出装置によれば、対象物に押し付けられた状態で対象物の振動を伝達することにより、例えば、対象物の振動を確実に検出することが可能となる。
【0192】
付記6に記載の振動検出装置によれば、対象物の振動以外の他の振動が振動検出センサに伝達されることを防止することにより、例えば、他の振動による対象物の検査の悪影響を防止し、対象物の検査を適切に行うことが可能となる。
【0193】
付記7に記載の振動検出装置によれば、取付手段側からの他の振動が振動検出センサに伝達されることを防止することにより、例えば、他の振動による対象物の検査の悪影響を防止し、対象物の検査を適切に行うことが可能となる。
【0194】
付記8に記載の検査システムによれば、外力付与手段及び振動検出手段を備えることにより、例えば、対象物を振動させて当該振動を検出することが可能となる。また、例えば、振動検出装置の検出結果に基づいて対象物を検査することにより、対象物の検査を適切に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0195】
1 端末装置
2 制御装置
3 振動検出装置
5 外力付与部
6 振動検出部
11 通信部
12 入力部
13 表示部
14 記録部
15 制御部
31 第1把手
32 第2把手
33 本体部
41 コネクタ
42 ケース
42A 正面部
42B 背面部
43 本体部側取付部材
51 加振接触子
52 加振軸
53 ストッパ支持用部材
54 ストッパ
55 リニアブッシュ
56 永久磁石
57 電磁石
58 バネ機構部
61 検出接触子
62 振動センサ
63 センサケース
64 検出側取付部
71 本体部
72 棒部材
73 第1防振チューブ
74 第1平ワッシャ
75 第1防振ブッシュ
76 第2防振チューブ
77 第2防振ブッシュ
78 第2平ワッシャ
79 固定ナット
91 タイル
92 結合材
93 躯体
100 検査システム
151 検査部
311 トリガスイッチ
421 外力付与部用開口部
422 振動検出部用開口部
423 凹部
431 受部
551 案内保持部
551A 貫通孔
552 ボルト孔
581 第1平板部材
582 第2平板部材
583 第1支持部材
584 第2支持部材
500 隙間
631 収容部
632 螺合孔
711 貫通孔
712 ボルト孔
751 突出部
771 突出部
A11 正面側空間
A12 背面側空間