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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182044
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】糸加工機
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/00 20060101AFI20231219BHJP
   B65H 63/08 20060101ALI20231219BHJP
   D01D 7/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H63/00 Z
B65H63/08 C
D01D7/00 A
D01D7/00 C
D01D7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095425
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】長井 規浩
【テーマコード(参考)】
3F115
4L045
【Fターム(参考)】
3F115AA01
3F115CA39
3F115CB14
3F115CF01
4L045BA03
4L045DA09
4L045DA14
4L045DA40
4L045DA50
4L045DC23
4L045DC31
4L045DC37
4L045DC43
(57)【要約】
【課題】品質が劣る糸が製品用の巻取パッケージに混入することを回避する。
【解決手段】仮撚加工機1の機台制御装置5は、給糸パッケージPs1に残っている糸Yの残量に関する数値情報である残量関連情報を演算によって生成する。機台制御装置5は、巻取パッケージPwに含まれる糸Yの量が所定の目標巻取量に達すると判断した場合、オートドッファ10のカッタを制御して糸Yを切断させ、巻取装置19を制御して巻取パッケージPwの形成を終了させる形成終了処理を実行する。その後、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して、巻取パッケージPwと新しい巻取ボビンBwとを交換させる交換処理を実行する。機台制御装置5は、残量関連情報の数値が所定値以下になったと判断したときに形成終了処理を行うことにより、目標巻取量よりも少ない糸Yを含む巻取パッケージPw3s(形成強制終了巻取パッケージ)を巻取装置19に形成させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸パッケージから解舒された糸を加工して巻取ボビンに巻取可能に構成された糸加工機であって、
前記給糸パッケージを保持する給糸パッケージ保持部と、
前記巻取ボビンに糸を巻き取って巻取パッケージを形成可能に構成された巻取装置と、
前記巻取ボビンに巻き取られる前の糸を切断可能に構成された切断部と、
前記巻取装置において形成終了した前記巻取パッケージと、前記巻取ボビンとしての新しい巻取ボビンとを交換可能に構成され、且つ、前記新しい巻取ボビンに糸掛可能に構成されたボビン交換部と、
少なくとも、前記切断部を制御して糸を切断させ且つ前記巻取装置を制御して前記巻取パッケージの形成を終了させる形成終了処理と、前記ボビン交換部を制御して、前記形成終了した巻取パッケージと前記新しい巻取ボビンとを交換させ且つ前記新しい巻取ボビンに糸を掛ける交換処理と、を実行可能に構成された制御部と、を備え、
前記制御部は、
形成中の前記巻取パッケージに含まれる糸の量が所定の目標巻取量に達すると判断したとき、前記形成終了処理及び前記交換処理を行い、
前記給糸パッケージ保持部に保持された解舒中の前記給糸パッケージに残っている糸の残量に関する数値情報である残量関連情報を演算によって生成し、
前記残量関連情報の数値が所定値以下になったと判断する残量減少判断を行ったとき、前記形成終了処理を行うことにより、前記目標巻取量よりも少ない量の糸を有する前記巻取パッケージである形成強制終了巻取パッケージを前記巻取装置に形成させることを特徴とする糸加工機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記形成強制終了巻取パッケージの個体情報と、前記残量減少判断に関する情報と、を関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の糸加工機。
【請求項3】
前記給糸パッケージ保持部は、前記給糸パッケージとして、第1給糸パッケージと、前記第1給糸パッケージとは別の、前記給糸パッケージとしての第2給糸パッケージと、を保持可能に構成され、且つ、前記第1給糸パッケージに含まれる糸の始端部と前記第2給糸パッケージに含まれる糸の終端部とが接続されていることにより糸接続部分が形成されている場合に糸を途切れずに供給可能に構成され、
前記給糸パッケージ保持部において前記第1給糸パッケージからの糸の解舒が終わり、前記糸接続部分が移動し始めて前記第2給糸パッケージからの糸の解舒が始まる給糸パッケージ切替の発生を示す情報を検知可能に構成された検知部を備え、
前記制御部は、
前記第1給糸パッケージからの糸の解舒中に前記残量減少判断を行ったとき、前記形成終了処理を行うことにより、前記形成強制終了巻取パッケージの形成を終了させ、前記形成強制終了巻取パッケージが形成された後、前記交換処理を行い、前記残量減少判断の後に前記第1給糸パッケージから解舒され加工された糸を、前記形成強制終了巻取パッケージが形成された後の前記交換処理によって前記巻取装置に装着された前記新しい巻取ボビンに巻き取らせることにより、前記残量減少判断の後に前記第1給糸パッケージから解舒された糸を有する前記巻取パッケージである内層部含有巻取パッケージを前記巻取装置に形成させ、
前記検知部による検知結果に基づいて、前記内層部含有巻取パッケージの形成中に前記給糸パッケージ切替が発生したと判断する切替判断、を行ったとき、前記形成終了処理を行うことにより、前記内層部含有巻取パッケージの形成を終了させ、前記内層部含有巻取パッケージが形成された後、前記交換処理を行い、前記切替判断の後に第2給糸パッケージから解舒されて加工された糸を、前記内層部含有巻取パッケージが形成された後の前記交換処理によって前記巻取装置に装着された前記新しい巻取ボビンに巻き取らせることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸加工機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記内層部含有巻取パッケージの個体情報と、前記切替判断に関する情報と、を関連付けて記憶することを特徴とする請求項3に記載の糸加工機。
【請求項5】
前記巻取装置によって形成中の前記巻取パッケージに目印を付すマーキング動作を実行可能に構成されたマーキング部を備え、
前記制御部は、
前記切替判断を行ったときに、前記マーキング部を制御して、前記内層部含有巻取パッケージに前記目印を付す内層部含有マーキング動作を前記マーキング動作として行わせることを特徴とする請求項3又は4に記載の糸加工機。
【請求項6】
前記巻取装置によって形成中の前記巻取パッケージに目印を付すマーキング動作を実行可能に構成されたマーキング部を備え、
前記制御部は、
前記残量減少判断を行ったときに、前記マーキング部を制御して、前記形成強制終了巻取パッケージに前記目印を付す内層部回避マーキング動作を前記マーキング動作として行わせることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の糸加工機。
【請求項7】
前記制御部は、
前記残量減少判断を行ったときに、前記マーキング部を制御して、前記形成強制終了巻取パッケージに前記目印を付す内層部回避マーキング動作を前記マーキング動作として行わせることを特徴とする請求項5に記載の糸加工機。
【請求項8】
前記マーキング部は、
前記形成強制終了巻取パッケージと前記内層部含有巻取パッケージとを区別できるように前記マーキング動作を行うことが可能に構成され、
前記制御部は、
前記マーキング部を制御して、前記形成強制終了巻取パッケージと前記内層部含有巻取パッケージとを区別できるように前記内層部回避マーキング動作及び前記内層部含有マーキング動作を行わせることを特徴とする請求項7に記載の糸加工機。
【請求項9】
前記マーキング部は、前記巻取装置を含み、
前記巻取装置は、
前記巻取パッケージの中心軸周りに前記巻取パッケージを回転駆動するように構成された回転駆動部と、
糸を綾振りするためのトラバースガイドと、前記トラバースガイドを前記巻取パッケージの軸方向に沿って往復駆動可能に構成されたガイド駆動部と、を含むトラバース部と、を有し、
前記制御部は、
前記回転駆動部を制御して前記巻取パッケージを回転させつつ、前記トラバース部を制御して、前記トラバースガイドを前記軸方向における所定の位置に停止させることにより、前記マーキング動作を前記巻取装置に行わせることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の糸加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給糸ボビンに糸が巻かれて形成された給糸パッケージ(特許文献1では供給ボビンと記載されている)から解舒された糸を加工して巻取ボビンに巻き取り、巻成体(巻取パッケージ)を形成する装置(糸加工機)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003-526584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した給糸パッケージに含まれる糸によって形成される糸層のうち、給糸パッケージの径方向における内側部分(すなわち、給糸ボビンの近傍の部分。以下、内層部と呼ぶ)は、内層部よりも径方向における外側の部分と比べて品質が劣っている場合がある。その理由は、以下のようにいくつか挙げられる。まず、給糸パッケージは、一般的に、周面にスリットが形成された給糸ボビンに糸が巻き取られることによって形成される。このような給糸ボビンに糸が巻かれ始める際、給糸ボビンのスリットが形成された部分に糸を確実に保持させるために、巻取時よりも糸のテンションが高くなるように糸が取り扱われる。また、一般的に糸と比べて硬い給糸ボビンに糸が巻き取られ始める際、給糸ボビンとの接触等によって糸がダメージを受けやすい傾向にある。このように品質が劣る内層部の糸が製品用の巻取パッケージに混入すると、巻取パッケージのグレードが低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、品質が劣る糸が製品用の巻取パッケージに混入することを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の糸加工機は、給糸パッケージから解舒された糸を加工して巻取ボビンに巻取可能に構成された糸加工機であって、前記給糸パッケージを保持する給糸パッケージ保持部と、前記巻取ボビンに糸を巻き取って巻取パッケージを形成可能に構成された巻取装置と、前記巻取ボビンに巻き取られる前の糸を切断可能に構成された切断部と、前記巻取装置において形成終了した前記巻取パッケージと、前記巻取ボビンとしての新しい巻取ボビンとを交換可能に構成され、且つ、前記新しい巻取ボビンに糸掛可能に構成されたボビン交換部と、少なくとも、前記切断部を制御して糸を切断させ且つ前記巻取装置を制御して前記巻取パッケージの形成を終了させる形成終了処理と、前記ボビン交換部を制御して、前記形成終了した巻取パッケージと前記新しい巻取ボビンとを交換させ且つ前記新しい巻取ボビンに糸を掛ける交換処理と、を実行可能に構成された制御部と、を備え、前記制御部は、形成中の前記巻取パッケージに含まれる糸の量が所定の目標巻取量に達すると判断したとき、前記形成終了処理及び前記交換処理を行い、前記給糸パッケージ保持部に保持された解舒中の前記給糸パッケージに残っている糸の残量に関する数値情報である残量関連情報を演算によって生成し、前記残量関連情報の数値が所定値以下になったと判断する残量減少判断を行ったとき、前記形成終了処理を行うことにより、前記目標巻取量よりも少ない量の糸を有する前記巻取パッケージである形成強制終了巻取パッケージを前記巻取装置に形成させることを特徴とする。
【0007】
本発明では、給糸パッケージに含まれる糸の残量が所定値以下になったとき、すなわち内層部の糸が当該給糸パッケージから解舒され始めたとき、形成強制終了巻取パッケージの形成が終了される。これにより、品質が劣る糸が、製品としての形成強制終了巻取パッケージに含まれることを回避できる。したがって、品質が劣る糸が製品用の巻取パッケージに混入することを回避できる。
【0008】
第2の発明の糸加工機は、前記第1の発明において、前記制御部は、前記形成強制終了巻取パッケージの個体情報と、前記残量減少判断に関する情報と、を関連付けて記憶することを特徴とする。
【0009】
本発明では、制御部に記憶された情報を利用することにより、形成強制終了巻取パッケージを他の巻取パッケージと区別できる。
【0010】
第3の発明の糸加工機は、前記第1又は第2の発明において、前記給糸パッケージ保持部は、前記給糸パッケージとして、第1給糸パッケージと、前記第1給糸パッケージとは別の、前記給糸パッケージとしての第2給糸パッケージと、を保持可能に構成され、且つ、前記第1給糸パッケージに含まれる糸の始端部と前記第2給糸パッケージに含まれる糸の終端部とが接続されていることにより糸接続部分が形成されている場合に糸を途切れずに供給可能に構成され、前記給糸パッケージ保持部において前記第1給糸パッケージからの糸の解舒が終わり、前記糸接続部分が移動し始めて前記第2給糸パッケージからの糸の解舒が始まる給糸パッケージ切替の発生を示す情報を検知可能に構成された検知部を備え、前記制御部は、前記第1給糸パッケージからの糸の解舒中に前記残量減少判断を行ったとき、前記形成終了処理を行うことにより、前記形成強制終了巻取パッケージの形成を終了させ、前記形成強制終了巻取パッケージが形成された後、前記交換処理を行い、前記残量減少判断の後に前記第1給糸パッケージから解舒され加工された糸を、前記形成強制終了巻取パッケージが形成された後の前記交換処理によって前記巻取装置に装着された前記新しい巻取ボビンに巻き取らせることにより、前記残量減少判断の後に前記第1給糸パッケージから解舒された糸を有する前記巻取パッケージである内層部含有巻取パッケージを前記巻取装置に形成させ、前記検知部による検知結果に基づいて、前記内層部含有巻取パッケージの形成中に前記給糸パッケージ切替が発生したと判断する切替判断、を行ったとき、前記形成終了処理を行うことにより、前記内層部含有巻取パッケージの形成を終了させ、前記内層部含有巻取パッケージが形成された後、前記交換処理を行い、前記切替判断の後に第2給糸パッケージから解舒されて加工された糸を、前記内層部含有巻取パッケージが形成された後の前記交換処理によって前記巻取装置に装着された前記新しい巻取ボビンに巻き取らせることを特徴とする。
【0011】
本発明では、第1給糸パッケージからの糸の解舒が終わっても、第2給糸パッケージからの糸の解舒が始まるため、糸を連続的に供給できる。但し、このような構成では、第1給糸パッケージの内層部に含まれる糸の第1給糸パッケージからの解舒が終わった後にも内層部含有巻取パッケージの形成が続きうる。このような場合、第2給糸パッケージの外層部に含まれる良質の糸までもが内層部含有巻取パッケージに大量に混入してしまい、良質の糸が無駄になるおそれがある。そこで、本発明では、切替判断が行われた時点で、内層部含有巻取パッケージと新しい巻取ボビンとが交換される。これにより、給糸パッケージ切替の発生後、直ちに、第2給糸パッケージに含まれる糸を新しい巻取ボビンに巻き取らせることができる。したがって、第2給糸パッケージに含まれる良質な糸が内層部含有巻取パッケージに大量に混入することを抑制できる。
【0012】
第4の発明の糸加工機は、前記第3の発明において、前記制御部は、前記内層部含有巻取パッケージの個体情報と、前記切替判断に関する情報と、を関連付けて記憶することを特徴とする。
【0013】
本発明では、制御部に記憶された情報を利用することにより、内層部含有巻取パッケージを他の巻取パッケージと区別できる。
【0014】
第5の発明の糸加工機は、前記第3又は第4の発明において、前記巻取装置によって形成中の前記巻取パッケージに目印を付すマーキング動作を実行可能に構成されたマーキング部を備え、前記制御部は、前記切替判断を行ったときに、前記マーキング部を制御して、前記内層部含有巻取パッケージに前記目印を付す内層部含有マーキング動作を前記マーキング動作として行わせることを特徴とする。
【0015】
本発明では、内層部含有マーキング動作を行うことにより、目印が付されていない巻取パッケージと内層部含有巻取パッケージとを外観で区別できる。
【0016】
第6の発明の糸加工機は、前記第1~第4のいずれかの発明において、前記巻取装置によって形成中の前記巻取パッケージに目印を付すマーキング動作を実行可能に構成されたマーキング部を備え、前記制御部は、前記残量減少判断を行ったときに、前記マーキング部を制御して、前記形成強制終了巻取パッケージに前記目印を付す内層部回避マーキング動作を前記マーキング動作として行わせることを特徴とする。
【0017】
本発明では、内層部回避マーキング動作を行うことにより、目印が付されていない巻取パッケージと形成強制終了巻取パッケージとを外観で区別できる。
【0018】
第7の発明の糸加工機は、前記第5の発明において、前記制御部は、前記残量減少判断を行ったときに、前記マーキング部を制御して、前記形成強制終了巻取パッケージに前記目印を付す内層部回避マーキング動作を前記マーキング動作として行わせることを特徴とする。
【0019】
本発明では、内層部回避マーキング動作を行うことにより、目印が付されていない巻取パッケージと形成強制終了巻取パッケージとを外観で区別できる。
【0020】
第8の発明の糸加工機は、前記第7の発明において、前記マーキング部は、前記形成強制終了巻取パッケージと前記内層部含有巻取パッケージとを区別できるように前記マーキング動作を行うことが可能に構成され、前記制御部は、前記マーキング部を制御して、前記形成強制終了巻取パッケージと前記内層部含有巻取パッケージとを区別できるように前記内層部回避マーキング動作及び前記内層部含有マーキング動作を行わせることを特徴とする。
【0021】
本発明では、形成強制終了巻取パッケージと内層部含有巻取パッケージとを外観で容易に区別できる。したがって、形成強制終了巻取パッケージと内層部含有巻取パッケージとが意図せず混合しても分別できる。
【0022】
第9の発明の糸加工機は、前記第5~第8のいずれかの発明において、前記マーキング部は、前記巻取装置を含み、前記巻取装置は、前記巻取パッケージの中心軸周りに前記巻取パッケージを回転駆動するように構成された回転駆動部と、糸を綾振りするためのトラバースガイドと、前記トラバースガイドを前記巻取パッケージの軸方向に沿って往復駆動可能に構成されたガイド駆動部と、を含むトラバース部と、を有し、前記制御部は、前記回転駆動部を制御して前記巻取パッケージを回転させつつ、前記トラバース部を制御して、前記トラバースガイドを前記軸方向における所定の位置に停止させることにより、前記マーキング動作を前記巻取装置に行わせることを特徴とする。
【0023】
本発明では、マーキング動作として、いわゆる棒巻きを巻取パッケージに施すことができる。したがって、簡易的な手段でマーキング動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る仮撚加工機を含む糸加工設備の電気的構成を示すブロック図である。
図2】仮撚加工機の側面図である。
図3】糸の経路に沿って仮撚加工機を展開した模式図である。
図4】仮撚加工機の処理モードの選択画面等を示す説明図である。
図5】(a)~(c)は、従来の処理モードにおける糸量と時刻との関係を示すグラフである。
図6】給糸パッケージに含まれる糸の残量減少に伴う巻取ボビンの交換手順を示すフローチャートである。
図7】(a)~(c)は、内層部含有巻取パッケージ形成用の処理モードにおける糸量と時刻との関係を示すグラフである。
図8】(a)、(b)は、巻取パッケージを示す模式図であり、(c)は、巻取パッケージのランクに関する情報を示す説明図である。
図9】変形例に係る仮撚加工機の模式図である。
図10】別の変形例に係る仮撚加工機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(糸加工設備の概略)
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態に係る仮撚加工機1(後述)を含む糸加工設備100の概略について、図1のブロック図を参照しつつ説明する。図1に示すように、糸加工設備100は、複数の仮撚加工機1(本発明の糸加工機)と、管理装置101とを有する。複数の仮撚加工機1は、例えば、所定の機台長手方向(図2等参照)に沿って配列されている。各仮撚加工機1は、例えばポリエステル、ナイロン(ポリアミド系繊維)等の合成繊維からなる糸Y(図2等参照)を仮撚加工可能に構成されている。糸Yは、例えば複数のフィラメント(不図示)からなるマルチフィラメント糸である。各仮撚加工機1は、後述するように、給糸部2から供給された糸Yを加工部3によって加工し、巻取部4に装着された巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成するように構成されている。各仮撚加工機1は、各仮撚加工機1に設けられたコンピュータ装置である機台制御装置5によって制御される。
【0026】
管理装置101は、複数の機台制御装置5によって取得された情報を統括的に管理するためのホストコンピュータである。管理装置101は、管理入力部101a(例えばキーボード)と、管理出力部101b(例えばディスプレイ)と、管理記憶部101c(例えばハードディスク)とを有する。管理装置101と複数の機台制御装置5とを合わせたものが、本実施形態の情報管理部110である。
【0027】
(仮撚加工機の全体構成)
次に、仮撚加工機1の全体構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は、仮撚加工機1の側面図である。図3は、糸Yの経路(糸道)に沿って仮撚加工機1を展開した模式図である。図2の紙面垂直方向を上述した機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。糸Yが走行する方向を糸走行方向とする。仮撚加工機1は、複数の糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された複数の糸Yを加工する(仮撚加工する)加工部3と、加工部3によって加工された複数の糸Yを巻取ボビンBwに巻き取る巻取部4と、機台制御装置5(本発明の制御部)と、を備える。
【0028】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド6を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸部2から複数の糸Yを解舒して加工するように構成されている。加工部3は、糸走行方向における上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、第2加熱装置17、第3フィードローラ18が配置された構成となっている。加工部3におけるこれらの構成要素は、例えば、後述する複数の錘9(図3参照)のそれぞれに設けられている。巻取部4は、複数の巻取装置19を有する。各巻取装置19は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。また、巻取部4には、複数の巻取装置19にそれぞれに対応して、形成された巻取パッケージPwと新たな空の巻取ボビンBwとの交換作業を行う複数のオートドッファ10が設けられている。
【0029】
機台制御装置5は、給糸部2、加工部3及び巻取部4の各構成要素を制御可能に構成されている。機台制御装置5は、例えば一般的なコンピュータ装置である。機台制御装置5は、機台入力部5aと、機台出力部5bと、機台記憶部5cとを有する(図1参照)。機台入力部5aは、例えば、不図示のタッチパネル及び/又はキーボード等であり、オペレータによって操作されることが可能に構成されている。機台出力部5bは、例えば不図示のディスプレイを有し、情報を出力可能に構成されている。機台記憶部5cは、給糸部2、加工部3及び巻取部4の構成要素を制御するための各種情報を記憶するように構成されている。機台制御装置5は、各種情報に基づき、給糸部2、加工部3及び巻取部4の構成要素を制御する。或いは、機台制御装置5は、給糸部2、加工部3及び巻取部4の各構成要素を制御するための各種制御装置(不図示)を介して、これらの構成要素を間接的に制御しても良い。機台制御装置5には、ホストコンピュータである管理装置101が電気的に接続されている。機台制御装置5は、少なくとも、後述する「形成終了処理」及び「交換処理」を実行可能である。
【0030】
仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台7及び巻取台8を有する。主機台7及び巻取台8は、機台長手方向に略同じ長さに延びるように設けられている。主機台7及び巻取台8は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。仮撚加工機1は、1組の主機台7及び巻取台8を含む、スパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンにおいては、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。仮撚加工機1は、このスパンが、主機台7の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている(主機台7は、左右のスパンで共通のものとなっている)。また、複数のスパンが、機台長手方向に配列されている。
【0031】
また、1本の糸Yが給糸部2から供給されて巻取部4に到達するまでに通る構成要素のグループは、「錘」と呼ばれる。仮撚加工機1は、巻取装置19の数と同じ数の錘9(図3参照)を有する。複数の錘9は、大まかに言えば、機台長手方向に沿って並べて配置されている。包含関係として、仮撚加工機1は複数のスパンを有し、各スパンは複数の錘9を有する。仮撚加工機1は、糸Yが掛けられた錘9において、糸Yを仮撚加工可能である。
【0032】
(給糸部)
給糸部2の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。給糸部2のクリールスタンド6は、複数の錘9にそれぞれ対応して設けられた複数の給糸パッケージ保持部20(図3参照)を有する。複数の給糸パッケージ保持部20の各々は、2つの給糸パッケージPsが着脱されるように構成されている。すなわち、給糸パッケージ保持部20は、2つのパッケージ装着部21を有する。説明の便宜上、2つのパッケージ装着部21の一方を第1装着部22と呼び、他方を第2装着部23と呼ぶ。第1装着部22及び第2装着部23は、それぞれ、1つの給糸パッケージPsが着脱されることが可能に構成されている。パッケージ装着部21への給糸パッケージPsの着脱は、例えばオペレータによって行われる。
【0033】
給糸部2の各給糸パッケージ保持部20は、以下のようにして、糸Yを途切れずに供給可能に構成されている。例えば、図3に示すように、複数の給糸パッケージPsの任意の1つである給糸パッケージPs1が、第1装着部22に装着されている。また、給糸パッケージPs1とは別の給糸パッケージPs2が、第2装着部23に装着されている。給糸パッケージPs1から糸Yが解舒されている。また、給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの終端部と、給糸パッケージPs2に含まれる糸Yの始端部とが結節されている(接続されている)。これにより、2本の糸Yの間に結節部分K(糸接続部分)が形成されている。このような場合、給糸パッケージPs1が空になった後に、給糸パッケージPs2から糸Yを途切れずに供給可能である。具体的には、給糸パッケージPs1からの糸Yの供給が終了して給糸パッケージPs1が空になった直後、結節部分Kが糸走行方向下流側(巻取装置19側)へ引っ張られることにより、給糸パッケージPs2から糸Yが解舒される。つまり、一方のパッケージ装着部21に装着された給糸パッケージPsから糸Yが解舒され終わった後、他方のパッケージ装着部21に装着された次の給糸パッケージPsから糸Yが解舒され始める。以下、説明の便宜上、このような事象を給糸パッケージ切替と呼ぶ。これにより、糸Yが途切れることなく供給される。その後、空になった給糸パッケージPs(給糸ボビンBs)は、例えばオペレータによって新しい給糸パッケージPsと交換される。さらに、給糸パッケージPs2の始端部と、新しい給糸パッケージPsの終端部とが、例えばオペレータによって結節される。このような手順を繰り返すことによって、給糸部2から糸Yを途切れさせずに供給できる。
【0034】
各給糸パッケージ保持部20の糸走行方向下流側には、糸検知センサ24(本発明の検知部)が配置されている。糸検知センサ24は、第1装着部22及び第2装着部23のうちどちらから糸Yが供給されているか検知可能に構成されている。図3に示すように、糸検知センサ24は、第1検知部25と、第2検知部26とを有する。第1検知部25は、第1装着部22から糸Yが供給されているか否か検知可能に構成されている。第2検知部26は、第2装着部23から糸Yが供給されているか否か検知可能に構成されている。第1検知部25及び第2検知部26は、例えば、それぞれが糸Yを光学的に検知する光学センサである。糸検知センサ24のより詳細については、例えば特許第5873105号公報を参照されたい。或いは、第1検知部25及び第2検知部26は、例えば、接触式のセンサであっても良い。
【0035】
また、糸走行方向において、各給糸パッケージ保持部20よりも下流側且つ第1フィードローラ11よりも上流側には、走行中の糸Yを切断可能に構成されたカッタ27が設けられている。カッタ27は、機台制御装置5と電気的に接続されている。
【0036】
(加工部)
加工部3の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。以下では、説明の便宜上、加工部3のうち1つの錘9に対応する部分のみ説明する。
【0037】
第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、撚止ガイド12の糸走行方向上流側に配置されている。第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度は、給糸パッケージPsから糸Yが解舒される解舒速度V(図3参照)と略等しい。第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度の設定値の情報は、例えば機台制御装置5に予め記憶されている。第1フィードローラ11の糸走行方向における上流側には、上述したカッタ27が設けられている。断糸が発生したとき、カッタ27が糸Yを切断することにより、糸Yが第1フィードローラ11等の回転駆動される部材に巻き付くことを防止できる。
【0038】
撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。撚止ガイド12は、第1フィードローラ11の糸走行方向下流側、且つ、第1加熱装置13の糸走行方向上流側に配置されている。
【0039】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第1加熱装置13は、撚止ガイド12の糸走行方向下流側、且つ、冷却装置14の糸走行方向上流側に配置されている。本実施形態においては、説明の簡略化のため、第1加熱装置13は1本の糸Yを加熱するように構成されているものとするが、これには限られない。第1加熱装置13は、複数の糸Yを同時に加熱可能に構成されていても良い。
【0040】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、第1加熱装置13の糸走行方向下流側、且つ、仮撚装置15の糸走行方向上流側に配置されている。本実施形態においては、説明の簡略化のため、冷却装置14は1本の糸Yを冷却するように構成されているものとするが、これに限られない。冷却装置14は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。
【0041】
仮撚装置15は、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側、且つ、第2フィードローラ16の糸走行方向上流側に配置されている。
【0042】
第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを第2加熱装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸される。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度の設定値の情報は、例えば機台制御装置5に予め記憶されている。
【0043】
第2加熱装置17は、第2フィードローラ16から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置17は、鉛直方向に沿って延びている。説明の簡略化のため、第2加熱装置17は1本の糸Yを加熱するように構成されているものとするが、これには限られない。第2加熱装置17は、複数の糸Yを同時に加熱可能に構成されていても良い。
【0044】
第3フィードローラ18は、第2加熱装置17によって加熱された糸Yを巻取装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度の設定値の情報は、例えば機台制御装置5に予め記憶されている。
【0045】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15から下流では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって各フィラメントが波状に仮撚りされた状態が維持される。さらに、仮撚装置15によって仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、第2加熱装置17で熱処理された後、糸走行方向における下流側へ案内される。最後に、第3フィードローラ18から送られた糸Yは、巻取装置19によって巻取ボビンBwに巻き取られる。これにより、巻取パッケージPwが形成される。
【0046】
(巻取部)
巻取部4の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。巻取部4は、複数の巻取装置19(本発明のマーキング部)と、各巻取装置19に対応して設けられた複数のオートドッファ10(図2参照。本発明のボビン交換部)とを有する。複数の巻取装置19は、複数の錘9に1つずつ属している(図3参照)。各巻取装置19は、糸Yを巻取ボビンBwに巻き取るように構成されている。各巻取装置19は、例えば、支点ガイド31と、トラバース装置32(本発明のトラバース部)と、クレードル33と、巻取ローラ34とを有する。支点ガイド31は、糸Yがトラバースされる際の支点となるガイドである。トラバース装置32は、例えば、モータ36(本発明のガイド駆動部)により往復駆動される無端ベルトに取り付けられたトラバースガイド35によって糸Yを綾振りするように構成されている。すなわち、トラバース装置32は、トラバースガイド35を巻取ボビンBw(巻取パッケージPw)の軸方向(以下、巻取ボビン軸方向)に沿って往復移動させるように構成されている。クレードル33は、巻取ボビンBw(巻取パッケージPw)を巻取パッケージPwの中心軸周りに回転自在に支持可能に構成されている。巻取ローラ34は、巻取パッケージPwを上記中心軸周りに回転させ、且つ、巻取パッケージPwの表面に接圧を付与するように構成されている。巻取ローラ34は、例えば、巻取パッケージPwの表面に接触した状態で、モータ37(本発明の回転駆動部)によって回転駆動される。これにより、巻取パッケージPwが摩擦力により従動回転するとともに、巻取パッケージPwの表面に接圧が付与されて巻取パッケージPwの形状が整えられる。なお、巻取ローラ34が回転駆動される代わりに、巻取パッケージPwが不図示のモータによって直接回転駆動されても良い。
【0047】
オートドッファ10は、巻取パッケージPwを巻取装置19から取り外し、空の巻取ボビンBwを巻取装置19に装着するように構成されている。言い換えれば、オートドッファ10は、巻取部4において、形成終了後の巻取パッケージPwと空の巻取ボビンBwとを交換可能に構成されている。また、オートドッファ10は、巻取パッケージPwの近傍において糸Yを切断可能な不図示のカッタを有する。走行中の糸Yがカッタによって切断されることにより、巻取パッケージPwの形成が終了する。ここで、カッタによる糸切断後にも、糸Yは、巻取ボビンBwに巻き取られるときと略等しい速度で給糸パッケージPsから解舒され、巻取装置19側へ供給され続ける。オートドッファ10は、ある巻取パッケージPwの形成終了後、次の巻取ボビンBwへの糸Yの巻取開始までの間、巻取装置19に供給されてくる走行中の糸Yを吸引捕捉して保持可能な不図示のサクションを有する。次に糸Yが巻き取られる巻取ボビンBwに糸Yが掛けられるまでの間、糸Yのうちサクションによって吸引された部分は吸引除去される。さらに、オートドッファ10は、巻取装置19に装着された空の巻取ボビンBwに糸Yを掛けるように構成されている。オートドッファ10の構造等のより詳細については、例えば特開平6-212521号公報を参照されたい。
【0048】
以上のように構成された巻取部4では、上述した第3フィードローラ18から送られた糸Yが各巻取装置19によって巻取ボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される(巻取処理)。オートドッファ10のカッタによって糸Yが切断され、且つ、巻取装置19の動作が停止することにより、巻取ボビンBwへの糸Yの巻取処理(巻取パッケージPwの形成)が終了する。それとほぼ同時に、巻取装置19へ供給されてくる糸Yがサクションによって吸引保持され、形成された巻取パッケージPwがオートドッファ10によってクレードル33から取り外される。その直後、オートドッファ10によって新しい空の巻取ボビンBwがクレードル33に装着され、新しい巻取ボビンBwに糸Yが掛けられる。これにより、新しい巻取ボビンBwに糸Yを巻き取り始めることが可能である。以下、説明の便宜上、機台制御装置5がオートドッファ10のカッタを制御して糸Yを切断させ、且つ巻取装置19を制御して巻取パッケージPwの形成を終了させる処理を形成終了処理と呼ぶ。また、説明の便宜上、機台制御装置5がオートドッファ10を制御して、形成終了した巻取パッケージPwと新しい巻取ボビンBwとを交換させ、且つ新しい巻取ボビンBwに糸Yを掛けさせる処理を交換処理と呼ぶ。
【0049】
ここで、上述した給糸パッケージPsに含まれる糸Yによって形成される糸層のうち、給糸パッケージPsの径方向における内側部分(すなわち、給糸ボビンBsの近傍の部分。以下、内層部と呼ぶ)は、内層部よりも径方向における外側の部分と比べて品質が劣っている場合がある。その理由は、以下のようにいくつか挙げられる。まず、給糸パッケージPsは、一般的に、周面にスリット(不図示)が形成された給糸ボビンBsに糸が巻き取られることによって形成される。このような給糸ボビンBsに糸が巻かれ始める際、給糸ボビンBsのスリットが形成された部分に糸Yを確実に保持させるために、巻取時よりも糸Yのテンションが高くなるように糸Yが取り扱われる。また、一般的に糸Yと比べて硬い給糸ボビンBsに糸Yが巻き取られ始める際、給糸ボビンBsとの接触等によって糸Yがダメージを受けやすい傾向にある。このように品質が劣る内層部の糸Yが製品用の巻取パッケージPwに混入すると、巻取パッケージPwのグレードが低下するおそれがある。
【0050】
そこで、本実施形態では、品質が劣る糸Yが製品用の巻取パッケージPwに混入することを回避するため、機台制御装置5は、後述のような処理を行う。なお、以下では、特に断らない限り、複数の錘9のうち、1つの所定の錘9に限定して説明を進める。
【0051】
まず、前提として、機台制御装置5は、所定の基準時刻において糸Yが解舒されている給糸パッケージPs(以下、解舒中パッケージ)に含まれる糸Yの残量の算出(以下、残量算出)を実行可能に構成されている。本実施形態では、基準時刻は、残量算出が開始される時刻を意味する。また、機台制御装置5は、当該給糸パッケージPsに含まれる糸Yの残量が減少したときの処理(以下、減少時処理)の内容を予め設定可能に構成されている。以下、残量算出及び減少時処理についてより具体的に説明する。
【0052】
(残量算出)
残量算出について説明する。機台制御装置5は、後述する初期量情報と、解舒単位量情報と、積算時間情報とを利用して、基準時刻において解舒中パッケージに含まれている糸Yの残量を算出可能(すなわち、推定可能)に構成されている。以下、説明の便宜上、初期量情報、解舒単位量情報及び積算時間情報をまとめて基本情報とも呼ぶ。
【0053】
初期量情報は、糸Yが解舒され始める前の給糸パッケージPsに含まれる糸Yの初期量(初期重量又は初期長)に関する情報である。初期量情報は、例えば、1つの仮撚加工機1の全ての錘9の全ての給糸パッケージPsに係る共通の情報として、機台制御装置5において予め設定されている。より具体的な情報として、本実施形態では、上述した初期重量WFの情報と、糸Yの繊度(単位長さあたりの重量)の情報が、初期量情報として機台制御装置5に記憶されている。給糸パッケージPsの重量の単位は、例えばkgである。また、糸Yの繊度をFとする。繊度の単位は、例えばdtexである。デシテックスは、10000メートルあたりの糸Yの重量(g)である。
【0054】
解舒単位量情報は、給糸パッケージPsから単位時間あたり解舒される糸Yの量に関する情報である。解舒単位量情報は、例えば、上述した解舒速度Vの情報である。本実施形態では、説明の便宜上、巻取処理中の解舒速度Vが略一定であるものとする。解舒速度の単位は、例えばm/minである。解舒単位量情報は、例えば、1つの仮撚加工機1の全ての錘9における共通の情報として、機台制御装置5において予め設定されている。機台制御装置5は、例えば、第1フィードローラ11の回転数の設定値の情報に基づいて、解舒速度Vの情報を取得する。
【0055】
積算時間情報は、給糸パッケージPsから糸Yが解舒された時間の積算値(積算時間)に関する情報である。説明の便宜上、糸Yが解舒されている給糸パッケージPsに係る積算時間をtinと呼ぶ。積算時間情報は以下のようにして取得される。まず、例えば上述した給糸パッケージPs1(図3参照)から糸Yが解舒され始めたとき、第1装着部22における糸Yの解舒開始が糸検知センサ24によって検知される。このとき、機台制御装置5は、tinを所定の初期時間にする(リセット処理)。初期時間は、例えばゼロである。その後、機台制御装置5は、給糸パッケージPsから糸Yが解舒されているときに、時間の経過に応じてtinを増加させる(tinを更新する)。また、例えば給糸パッケージPsからの糸Yの解舒が糸切れ等の理由により一時停止された(言い換えると、停止時間が発生した)とき、機台制御装置5は、tinの更新を一時停止させる。このようにして、機台制御装置5は、給糸パッケージPsから糸Yが解舒されたことが糸検知センサ24によって検知された時間(検知時間)のみを、積算時間(tin)として取得する。機台制御装置5は、任意の給糸パッケージPsから糸Yが解舒されているときに、当該給糸パッケージPsに関する積算時間情報を取得できる。
【0056】
また、巻取処理中に、機台制御装置5は、糸検知センサ24による検知結果に基づき、糸Yを供給している給糸パッケージPsが切り替わる給糸パッケージ切替が起こったかどうか判断する。例えば、図3を参照したとき、給糸パッケージPs1からの糸Yが解舒され終わり(解舒終了)、且つ、給糸パッケージPs2から糸Yが最初に解舒される事象が、給糸パッケージ切替である。糸検知センサ24の状態が、第1検知部25及び第2検知部26の一方によって糸Yを検知している状態から、第1検知部25及び第2検知部26の他方によって糸Yを検知している状態に切り替わったとき、機台制御装置5は、給糸パッケージ切替が起こったと判断する。機台制御装置5は、給糸パッケージ切替が起こったと判断したとき、上述したリセット処理を行い、tinを所定の初期時間にする。
【0057】
以上のようにして、機台制御装置5によって、初期量情報、解舒単位量情報及び積算時間情報が、基本情報として、演算によって生成される(言い換えれば、取得される)。
【0058】
基準時刻において解舒中パッケージに含まれる糸Yの残量をWRとしたとき、機台制御装置5は、基本情報を利用して、以下の数式に基づいて残量算出を行う。なお、数式中の「1000」及び「10000」は、両辺の数値の単位を「kg」に統一するための係数である。
【0059】
WR=WF-(V×F/10000)×tin/1000
【0060】
また、解舒中パッケージに含まれる糸Yの残量の、初期量に対する割合(以下、残量割合)をRとしたとき、機台制御装置5は、以下の数式に基づいて残量割合を算出可能である。機台制御装置5は、残量割合をWRのWFに対するパーセンテージ(残量パーセンテージ)として算出しても良い。
【0061】
R=WR/WF
【0062】
或いは、機台制御装置5110は、WRを利用せずに基本情報のみを利用して残量割合を算出しても良い。
【0063】
また、解舒中パッケージから糸Yを供給可能な残時間をtRとしたとき、機台制御装置5は、tRを例えば以下の数式に基づいて推定しても良い。tRの単位は「min」である。
【0064】
tR=WF×1000/(V×F/10000)-tin
【0065】
(減少時処理のための構成)
減少時処理のための構成について、図4を参照しつつ説明する。図4は、仮撚加工機1の処理モードの選択画面等を示す説明図である。説明の便宜上、機台出力部5bとしてディスプレイが設けられ、機台入力部5aとしてディスプレイと重なるように配置されたタッチパネルが設けられているものとする(図4参照)。しかし、機台入力部5a及び機台出力部5bの構成はこれに限られるものではない。
【0066】
機台制御装置5は、減少時処理の複数の選択肢の情報を機台記憶部5cに記憶している。機台制御装置5は、例えば、減少時処理の選択肢を機台出力部5bに表示させることが可能に構成されている(図4の画面S1を参照)。機台制御装置5は、オペレータによる機台入力部5aへの入力に応じて、減少時処理の内容を予め設定可能に構成されている。例えば、画面S1の画面上側部分に、選択肢として「無し」及び「内層部含有巻取パッケージ形成」と表示されている。「無し」は、解舒中パッケージの残量が減少しても特別な処理を実行しないことを意味する。「内層部含有巻取パッケージ形成」は、解舒中パッケージの残量が減少したときに、後述の内層部含有巻取パッケージを形成することを意味する。また、例えば、画面S1の画面下側部分に「処理条件」の入力欄が表示されている。「処理条件」とは、どのような条件が満たされたときに減少時処理の実行を開始するかを示す。図4に示す例において、機台制御装置5は、上述した残量割合(R)が5%以下になったときに減少時処理の実行が行われるように設定されている。機台制御装置5は、減少時処理として「内層部含有巻取パッケージ形成」が予め選択されており、且つ、所定の処理条件が満たされたときに、後述する内層部含有巻取パッケージの形成処理を実行する。
【0067】
(減少時処理が行われない場合)
後の説明を理解するための参考のため、減少時処理が行われない場合(上述した「無し」が選択された場合)における各給糸パッケージPsからの糸Yの解舒及び各巻取パッケージPwの形成について、図5(a)~(c)を参照しつつ説明する。図5(a)~(c)は、減少時処理が行われない従来の処理モードにおける糸量と時刻との関係を示すグラフである。より詳細には、図5(a)は、第1装着部22に装着された給糸パッケージPs(具体的には給糸パッケージPs1、Ps3)に含まれる糸Yの残量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図5(b)は、第2装着部23に装着された給糸パッケージPs(具体的には給糸パッケージPs2)に含まれる糸Yの残量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図5(c)は、巻取ボビンBw(具体的には巻取ボビンBw1、Bw2、Bw3、Bw4、Bw5)への糸Yの巻取量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図5(a)~(c)のいずれのグラフにおいても、給糸パッケージPs1から糸Yが初めて解舒される時刻t0が原点である。また、本実施形態においては、各給糸パッケージPsから糸Yが一度も解舒されていない状態(すなわち、満巻の状態)における各給糸パッケージPsの重量(初期重量)は、いずれもWFである。
【0068】
まず、時刻t0よりも前に、第1装着部22に満巻の給糸パッケージPs1が装着される。給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの初期重量はWFである。また、時刻t0よりも前に、第2装着部23には、同じく満巻の給糸パッケージPs2が装着される。給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの終端部と、給糸パッケージPs2に含まれる糸Yの始端部とが結節されており、結節部分Kが形成されている。また、時刻t0において、所定の錘9の各部への糸掛けが開始される。それとともに、時刻t0において、満巻の給糸パッケージPs1から糸Yが解舒され始める。その後、時刻t0の直後の時刻ts1において、巻取装置19に装着された巻取ボビンBw1への糸掛けが完了し、巻取ボビンBw1に糸Yが巻き取られ始める(すなわち、巻取パッケージPw1の形成が開始される)。なお、給糸パッケージPs1から糸Yが解舒され始めてから巻取ボビンBw1への糸掛けが完了するまでの間、オートドッファ10のサクションによって糸Yが吸引捕捉される。本実施形態では、糸掛けが行われているときの糸Yの解舒速度は、巻取ボビンBwに糸Yが巻き取られているときの解舒速度(上述したV)と略等しい。
【0069】
時間が経つにつれて、給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの残量(残重量)が減り、巻取ボビンBw1に巻き取られた糸Yの巻取量(巻取重量)が増える。すなわち、時間が経つにつれて、巻取パッケージPw1に含まれる糸Yの量が増える。機台制御装置5は、巻取パッケージPw1の形成開始から経過した時間をカウントする。機台制御装置5は、この時間の情報を利用して、巻取パッケージPw1に含まれる糸Yの量を算出する。機台制御装置5は、巻取パッケージPw1に含まれる糸Yの量が所定の目標巻取量に達したと判断したとき、巻取パッケージPw1の形成を終了させる(形成終了処理を実行する)。より具体的には、例えば時刻te1において、機台制御装置5がオートドッファ10のカッタに糸Yを切断させることにより、巻取ボビンBw1への糸Yの巻取処理が終了する。つまり、時刻te1は、巻取ボビンBw1に糸Yが巻き取られ終わった(巻取パッケージPw1の形成が終了した)巻取終了時刻である。巻取ボビンBw1には、給糸パッケージPs1から供給された糸Yのみが巻き取られている。カッタによる糸Yの切断及びサクションによる糸Yの吸引捕捉(すなわち、糸Yの吸引除去の開始)が、ほぼ同時に行われる。さらに、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して交換処理を実行する。すなわち、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して、巻取ボビンBw1(巻取パッケージPw1)をクレードル33から取り外させ、巻取ボビンBw2をクレードル33に装着させ、巻取ボビンBw2への糸掛けを行わせる。これにより、時刻te1の直後の時刻ts2において、オートドッファ10による巻取ボビンBw2のクレードル33への装着が完了し、巻取ボビンBw2への糸Yの巻取処理が開始される。巻取ボビンBw1に係る巻取終了時刻(時刻te1)と、巻取ボビンBw1の次に糸Yが巻き取られる巻取ボビンBw2に係る巻取開始時刻(時刻ts2)との間には、わずかなタイムラグtL(図5(c)参照)がある。上述したように、糸Yは、巻取ボビンBwの交換が行われているときにも、巻取ボビンBwに巻き取られているときと略等しい速度で給糸パッケージPsから解舒される。さらに、時刻te2において巻取ボビンBw2への糸Yの巻取処理(巻取パッケージPw2の形成)が終了し、時刻ts3において巻取ボビンBw3への糸Yの巻取処理が開始される。
【0070】
時刻ts3よりも後の時刻ta1(図5(a)参照)において、第1装着部22に装着された給糸パッケージPs1が空になる。つまり、時刻ta1は、給糸パッケージPs1から糸Yが解舒され終わった解舒終了時刻である。給糸パッケージPs1が空になるのと同時に、時刻tb1(=時刻ta1)において、給糸パッケージPs1に含まれる糸Yと給糸パッケージPs2に含まれる糸Yとが結節されて形成された結節部分Kが巻取装置19側へ引っ張られる。これにより、第2装着部23に装着された給糸パッケージPs2から糸Yが解舒され始める。つまり、時刻tb1は、給糸パッケージPs2から最初に糸Yが解舒された(糸Yが解舒され始めた)解舒開始時刻である。その後、時刻te3において巻取ボビンBw3への糸Yの巻取処理(巻取パッケージPw3の形成)が終了する。巻取ボビンBw3には、給糸パッケージPs1から解舒された糸Y及び給糸パッケージPs2から解舒された糸Yの両方が巻き取られている。また、巻取パッケージPw3には、結節部分Kが含まれている。その後、時刻ts4において、巻取ボビンBw4への糸Yの巻取処理が開始される。時刻te4において巻取ボビンBw4への糸Yの巻取処理(巻取パッケージPw4の形成)が終了する。巻取ボビンBw4には、給糸パッケージPs2から解舒された糸Yのみが巻き取られている。
【0071】
また、時刻ta1よりも後、且つ、給糸パッケージPs2が空になる前に(例えば時刻ta2に)、オペレータによって、空の給糸パッケージPs1が第1装着部22から取り外され、新しい満巻の給糸パッケージPs3が第1装着部22に装着される(給糸パッケージ交換作業)。この時の給糸パッケージPs3の残重量はWFである。その後、適切なタイミングで、オペレータによって、給糸パッケージPs2に含まれる糸Yの終端部と、給糸パッケージPs3に含まれる糸Yの始端部とが結節され(接続され)、結節部分K(図3参照)が形成される。オペレータは、手で結節の作業(接続作業)を行っても良い。或いは、オペレータは、例えば持ち運び可能な不図示の結節装置を操作することによって結節の作業を行っても良い。
【0072】
その後、時刻ts5から時刻te5まで巻取ボビンBw5に糸Yが巻き取られる(巻取パッケージPw5が形成される)。時刻ts5と時刻te5との間の時刻tb2において、第2装着部23に装着された給糸パッケージPs2が空になる。給糸パッケージPs2が空になるのと同時に、時刻ta3(=時刻tb2)において、第1装着部22に装着された給糸パッケージPs3から糸Yが解舒され始める。
【0073】
減少時処理が行われない場合には、以上のように各給糸パッケージPsから糸Yが解舒され、各巻取パッケージPwが形成される。
【0074】
(内層部含有巻取パッケージ形成の手順)
次に、減少時処理のモードとして「内層部含有巻取パッケージ形成」が選択されているときの内層部含有巻取パッケージ形成の手順について、図6図8(c)を参照しつつ説明する。図6は、給糸パッケージPsに含まれる糸Yの残量減少に伴う巻取ボビンBwの交換手順を示すフローチャートである。図7(a)~(c)は、内層部含有巻取パッケージ形成用の処理モードにおける糸量と時刻との関係を示すグラフである。図7(a)は、図5(a)と同様、第1装着部22に装着された給糸パッケージPsに含まれる糸Yの残量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図7(b)は、図5(b)と同様、第2装着部23に装着された給糸パッケージPsに含まれる糸Yの残量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図7(c)は、図5(c)と同様、巻取ボビンBwへの糸Yの巻取量(縦軸)と時刻(横軸)との関係を示すグラフである。図8(a)、(b)は、巻取パッケージPwを示す模式図である。図8(c)は、巻取パッケージPwのランクに関する情報を示す説明図である。図8(c)には、例えば、機台出力部5bに表示された、巻取パッケージPwの情報に関する画面S2が示されている。
【0075】
初期状態として、上述した「減少時処理が行われない場合」と同様、例えば第1装着部22に給糸パッケージPs1が装着され、第2装着部23に給糸パッケージPs2が装着されている。さらに、給糸パッケージPs1から解舒された糸Yが加工部3によって加工され、巻取ボビンBw1に糸が巻き取られている。給糸パッケージPs1が本発明の第1給糸パッケージに相当する。給糸パッケージPs2が本発明の第2給糸パッケージに相当する。
【0076】
機台制御装置5は、所定時間が経過する度に、例えば、給糸パッケージPs1に残っている糸Yの残量割合を算出する。以下、説明の便宜上、残量割合の数値の情報を残量関連情報と呼ぶ。言い換えると、機台制御装置5は、所定時間が経過する度に残量関連情報を演算によって生成する(取得する)。機台制御装置5は、残量割合が所定値以下であるかどうか判断する(S101)。所定値とは、上述した処理条件の設定時に設定された値である(図4の「5%以下」を参照)。機台制御装置5は、残量割合が所定値以下になるまで(S101:No)、減少時処理が行われない場合と同様に、所定の錘9に巻取パッケージPwを形成させる。この例では、巻取パッケージPw1及びPw2が、減少時処理が行われない場合と同様に順番に形成される。機台制御装置5は、巻取パッケージPw1及びPw2を最も高いランク(例えば、図8(c)の「A1」を参照)の巻取パッケージPwとして評価する。機台制御装置5は、各巻取パッケージPwの個体情報(図8(c)の「ID」を参照)とランクとを関連付けて記憶する。
【0077】
残量割合が所定値以下になったと判断したとき(残量減少判断。S101:Yes)、機台制御装置5は、巻取装置19を制御して、形成中の巻取パッケージPwに対する以下の内層部回避マーキング動作を行わせる(S102)。例として、給糸パッケージPs1に残っている糸Yの残量がW1になったとき(図7(a)の時刻t1参照)が、残量割合が所定値に到達したときである。また、残量割合が所定値に到達したとき、例えば巻取ボビンBw3に糸Yが巻き取られ、巻取パッケージPw3sが形成されている(図7(c)参照)。機台制御装置5は、給糸パッケージPs1からの糸Yの解舒中に残量減少判断を行ったとき、内層部回避マーキング動作として、モータ37(図3参照)を制御して巻取パッケージPw3sを従動回転させつつ、モータ36を制御して、巻取ボビン軸方向においてトラバースガイド35を所定の第1位置で停止させる。これにより、巻取パッケージPw3sにいわゆる棒巻きが施され、巻取パッケージPw3sに目印M1(図8(a)参照)が形成される。言い換えると、巻取パッケージPw3sにマーキングが施される。内層部回避マーキング動作は、本発明のマーキング動作に含まれる。
【0078】
さらに、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して走行中の糸Yを切断し、巻取パッケージPw3sの形成を終了させる(形成終了処理)。その後、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して、巻取装置19において巻取パッケージPw3sと新しい巻取ボビンBw4とを交換させる(S103。交換処理)。さらに、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して、新しい巻取ボビンBw4(本発明の新しい巻取ボビン)への糸掛けを行わせる。これにより、給糸パッケージPs1の内層部に含まれる糸Yが巻取パッケージPw3sに混入することが回避される。巻取パッケージPw3sは、巻取パッケージPw1及びPw2と比べて小さいパッケージとなる(図7(c)参照)。言い換えれば、形成中の巻取パッケージPw3sは、上述した目標巻取量よりも少ない量の糸Yを有する状態で形成が終了される。巻取パッケージPw3sは、本発明の形成強制終了巻取パッケージに相当する。
【0079】
さらに、機台制御装置5は、巻取パッケージPw3sを例えば巻取パッケージPw1及びPw2と比べて低いランク(例えば、図8(c)の「A2」を参照)の巻取パッケージPwとして評価し、巻取パッケージPw3sの個体情報とランクとを関連付けて記憶する。また、機台制御装置5は、S103において、巻取パッケージPw3sの個体情報と、巻取パッケージPw3sの形成中に残量減少判断を行ったことを示す情報(例えば、図8(c)の「内層部混入回避」を参照)とを関連付けて記憶する。
【0080】
次に、機台制御装置5は、巻取装置19を制御して巻取ボビンBw4に糸Yを巻き取らせ始めて巻取パッケージPw4rを形成させ始める。機台制御装置5は、巻取パッケージPw4rの形成中に、糸検知センサ24による検知結果に基づいて、上述した給糸パッケージ切替が発生したかどうか判断する(S104)。機台制御装置5は、給糸パッケージ切替が発生するまで巻取パッケージPw4rの形成を続ける(S104:No)。給糸パッケージ切替が発生したとき、給糸パッケージPs1から糸Yが解舒され終わり、結節部分Kが引っ張られ、給糸パッケージPs2から糸Yが解舒され始める(図7(a)、(b)参照)。機台制御装置5は、給糸パッケージ切替が発生したと判断したとき(切替判断。S104:Yes)、巻取パッケージPw4rに対する以下の内層部含有マーキング動作を行わせる(S105)。機台制御装置5は、巻取ボビンBw4への糸Yの巻取中に切替判断を行ったとき、内層部含有マーキング動作として、モータ37を制御して巻取パッケージPw4rを従動回転させつつ、モータ36を制御して、巻取ボビン軸方向においてトラバースガイド35を所定の第2位置で停止させる。これにより、巻取パッケージPw4rに棒巻きが施され、巻取パッケージPw4rに目印M2(図8(b)参照)が形成される。言い換えると、巻取パッケージPw4rにマーキングが施される。内層部含有マーキング動作は、本発明のマーキング動作に含まれる。
【0081】
機台制御装置5は、目印M1の巻取ボビン軸方向における位置と目印M2の巻取ボビン軸方向における位置とを互いに異ならせるようにモータ36を制御すると良い。例えば、目印M1は、巻取ボビン軸方向において、巻取パッケージPw3sの端面と巻取パッケージPw3sの中心との中間又はその近傍に位置していても良い。目印M2は、巻取パッケージPw4rの巻取ボビン軸方向における略中心に位置していても良い。これにより、巻取パッケージPw3sと巻取パッケージPw4rとを外観で容易に区別できる。
【0082】
さらに、機台制御装置5は、例えば、結節部分Kを巻取パッケージPw4rに含ませるように、所定のタイミングでオートドッファ10のカッタを制御して走行中の糸Yを切断させ、巻取パッケージPw4rの形成を終了させる(形成終了処理)。これにより、給糸パッケージPs1の内層部に含まれる糸Y、及び結節部分Kが巻取ボビンBw4に巻き取られて巻取パッケージPw4rが形成される。或いは、機台制御装置5は、結節部分Kを巻取パッケージPw4rに含ませずにオートドッファ10のサクションによって吸引除去させるようなタイミングで、走行中の糸Yをオートドッファ10のカッタに切断させても良い。
【0083】
その後、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して、巻取装置19において巻取パッケージPw4rを新しい巻取ボビンBw5(本発明の新しい巻取ボビン)と交換させる(S106。交換処理)。巻取パッケージPw4rは、巻取パッケージPw3sと同様、巻取パッケージPw1及びPw2と比べて小さいパッケージとなる(図7(c)参照)。巻取パッケージPw4rは、給糸パッケージPs1の内層部に含まれる糸Yを除去するため、他の巻取パッケージPwと比べて品質が劣る巻取パッケージPwとして意図的に形成されたものである。巻取パッケージPw4rは、廃棄されても良い。或いは、巻取パッケージPw4rは、ランクが低い巻取パッケージPwとして取り扱われても良い。巻取ボビンBw4に糸Yが巻き取られて形成された巻取パッケージPw4rは、本発明の内層部含有巻取パッケージに相当する。さらに、機台制御装置5は、オートドッファ10を制御して、新しい巻取ボビンBw5への糸掛けを行わせる。機台制御装置5は、巻取装置19を制御して、巻取ボビンBw5に糸Yを巻き取らせ始める。
【0084】
さらに、機台制御装置5は、巻取パッケージPw4rを例えば巻取パッケージPw1、Pw2及びPw3rと比べてさらに低いランク(例えば、図8(c)の「B」を参照)の巻取パッケージPwとして評価する。機台制御装置5は、巻取パッケージPw4rの個体情報とランクとを関連付けて記憶する。また、機台制御装置5は、S106において、巻取パッケージPw4rの個体情報と、巻取パッケージPw4rの形成中に切替判断を行ったことを示す情報(例えば、図8(c)の「内層部を含有」を参照)とを関連付けて記憶する。
【0085】
さらに、巻取ボビンBw5に糸Yが巻き取られ、巻取パッケージPw5が形成される。巻取パッケージPw5は、巻取パッケージPw1及びPw2と同様、ランクの高い巻取パッケージPwとして形成される(図8(c)参照)。さらに後の処理については説明を省略する。
【0086】
以上のように、給糸パッケージPs1に含まれる糸Yの残量が所定値以下になったとき、すなわち内層部の糸Yが給糸パッケージPs1から解舒され始めたとき、巻取パッケージPw3sの形成が終了される(形成終了処理)。これにより、品質が劣る糸Yが、製品としての巻取パッケージPw3sに含まれることを回避できる。したがって、品質が劣る糸Yが製品用の巻取パッケージPwに混入することを回避できる。
【0087】
また、機台制御装置5は、巻取パッケージPw3s(形成強制終了巻取パッケージ)の個体情報と残量減少判断に関する情報とを関連付けて記憶する。機台制御装置5に記憶された情報を利用することにより、巻取パッケージPw3sを他の巻取パッケージPwと区別できる。
【0088】
また、切替判断が行われた時点で、巻取パッケージPw4rと新しい巻取ボビンBw5とが交換される。これにより、給糸パッケージ切替の発生後、直ちに、給糸パッケージPs2に含まれる糸Yを新しい巻取ボビンBw5に巻き取らせることができる。したがって、給糸パッケージPs2に含まれる良質な糸Yが巻取パッケージPw4rに大量に混入することを抑制できる。
【0089】
また、機台制御装置5は、巻取パッケージPw4r(内層部含有巻取パッケージ)の個体情報と切替判断に関する情報とを関連付けて記憶する。機台制御装置5に記憶された情報を利用することにより、巻取パッケージPw4rを他の巻取パッケージPwと区別できる。
【0090】
また、機台制御装置5は、巻取装置19に内層部含有マーキング動作を行わせる。これにより、目印M2が付されていない巻取パッケージPwと巻取パッケージPw4rとを外観で区別できる。
【0091】
また、機台制御装置5は、巻取装置19に内層部回避マーキング動作を行わせる。これにより、目印M1が付されていない巻取パッケージPwと巻取パッケージPw3sとを外観で区別できる。
【0092】
また、機台制御装置5は、巻取パッケージPw3sと巻取パッケージPw4rとを区別できるように、巻取装置19に内層部回避マーキング動作及び内層部含有マーキング動作を行わせる。これにより、巻取パッケージPw3sと巻取パッケージPw4rとを外観で容易に区別できる。したがって、巻取パッケージPw3sと巻取パッケージPw4rとが意図せず混合しても分別できる。
【0093】
また、マーキング動作として、いわゆる棒巻きを巻取パッケージPwに施すことができる。したがって、簡易的な手段でマーキング動作を行うことができる。
【0094】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0095】
(1)前記実施形態において、機台制御装置5は、減少時処理の選択肢として、「無し」及び「内層部含有巻取パッケージ形成」の情報を記憶しているものとした。これに加え、機台制御装置5は、減少時処理の選択肢として、所定の条件が満たされたときに、上述したカッタ27によって糸Yを切断する処理を選択可能に構成されていても良い。このような選択肢は、機台出力部5bにおいて例えば「糸カット」と表示されても良い。処理モードとして「糸カット」が選択されている場合、機台制御装置5は、残量減少判断を行ったときにカッタ27に糸Yを切断させ、且つ、当該糸Yが走行している錘9の稼働を停止させる。これにより、当該錘9における巻取パッケージPw(形成強制終了巻取パッケージ)の形成が終了する(形成終了処理)。この場合、カッタ27が本発明の切断部に相当する。処理モードとして「糸カット」が選択されている場合においても、機台制御装置5は、巻取装置19に内層部回避マーキング動作を行わせても良い。
【0096】
(2)前記までの実施形態において、機台制御装置5は、各巻取パッケージPwの個体情報と、各巻取パッケージPwについて行われた判断(上述した残量減少判断又は切替判断)に関する情報とを関連付けて記憶するものとした。しかしながら、これには限られない。機台制御装置5は、各巻取パッケージPwについて行われた判断に関する情報を記憶しなくても良い。
【0097】
(3)前記までの実施形態において、機台制御装置5は、巻取装置19に内層部回避マーキング動作及び内層部含有マーキング動作を行わせるものとした。しかしながら、これには限られない。各錘9において、例えば、回転中の巻取ボビンBwに巻き取られる直前の糸Yに着色を施すことが可能に構成された不図示のマーキング装置(マーキング部)が設けられていても良い。マーキング装置は、例えば、インクなどの液体を糸Yに向けて吐出又は噴霧可能に構成されていても良い。マーキング装置は、形成強制終了巻取パッケージと内層部含有巻取パッケージとを外観で区別できるように、例えば、形成強制終了巻取パッケージに巻き取られる糸Yに付着させるインクの色と内層部含有巻取パッケージに巻き取られる糸Yに付着させるインクの色とを互いに異ならせることが可能に構成されていても良い。
【0098】
(4)前記までの実施形態において、機台制御装置5は、巻取装置19又はマーキング装置に内層部回避マーキング動作及び内層部含有マーキング動作の両方を行わせるものとした。しかしながら、これには限られない。内層部回避マーキング動作及び内層部含有マーキング動作のうち一方のみが行われても良い。或いは、内層部回避マーキング動作及び内層部含有マーキング動作のいずれも行われなくても良い。このような場合でも、品質の劣る糸Yが製品用の形成強制終了巻取パッケージ(例えば巻取パッケージPw3s)に混入することを回避できる。
【0099】
(5)前記までの実施形態において、初期量情報は、仮撚加工機1の全ての錘9において共通の値として機台制御装置5に記憶されているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、複数の錘9が複数のグループに分けられていても良い。機台制御装置5は、当該複数のグループの各々に関する初期量情報が設定されることが可能に構成されていても良い。或いは、機台制御装置5は、錘9ごとに初期量情報が設定されることが可能に構成されていても良い。この場合、機台制御装置5は、さらに、複数の給糸パッケージPsの各々に対応する初期量情報(又は残時間の初期値の情報)を取得可能に構成されていても良い。より具体的には、給糸パッケージ保持部20に新しい給糸パッケージPsが装着される度に、新しい給糸パッケージPsに係る初期量情報等を個別に取得可能に構成されていても良い。
【0100】
(6)前記までの実施形態において、オペレータが給糸パッケージPsの交換の作業を行うものとした。しかしながら、これには限られない。給糸パッケージPsの交換の作業は、例えば、不図示のクリールロボットによって行われても良い。糸加工設備100は、形成された巻取パッケージPwを回収して搬送する不図示の巻取パッケージ搬送装置を備えていても良い。
【0101】
(7)前記までの実施形態において、第1検知部25と、第2検知部26とを有する糸検知センサ24によって給糸パッケージPsからの糸Yの解舒開始及び解舒終了が検知されるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば図9に示すように、仮撚加工機1aの給糸部2aは、各錘9aにおいて、糸検知センサ24とは異なる構成を有する検知部41を有していても良い。検知部41は、糸検知センサ24と同様、本発明の検知部に相当する。検知部41は、例えば、供給センサ42と、結節部分センサ43とを有していても良い。供給センサ42は、第1装着部22から糸Yが供給されているか否か(解舒開始)を検知可能に構成されている。結節部分センサ43は、所定位置に静止するように配置された結節部分Kを検知可能に構成されている。このような構成においては、結節部分Kが所定位置から移動して、結節部分Kが結節部分センサ43によって検知されなくなったとき、給糸パッケージ切替(解舒終了)が起こったと判断できる。また、給糸パッケージ切替時に第1装着部22及び第2装着部23のいずれから糸Yが供給されているかについては、供給センサ42による検知結果に基づいて知ることができる。このように、結節部分Kの検知結果を用いた場合でも、第1装着部22及び第2装着部23のうちどちらから糸Yが供給されているか確実に知ることができる。なお、結節部分センサ43は、移動している結節部分Kを検知可能に構成されていても良い。
【0102】
(8)各給糸パッケージ保持部20は、3つ以上の給糸パッケージPsを保持可能に構成されていても良い。この場合、3つ以上の給糸パッケージPsに含まれる糸Yの端部同士が適切に接続されていても良い。
【0103】
或いは、図10に示すように、仮撚加工機1bの給糸部2bが、各錘9bにおいて、給糸パッケージ保持部20の代わりに、給糸パッケージPsを1つのみ保持可能な給糸パッケージ保持部50を有していても良い。この場合、給糸パッケージ保持部50は、パッケージ装着部21を1つのみ有する。給糸部2bは、供給センサ42を有していても良い。このような構成においても、機台制御装置5は、減少時処理の選択肢として、「無し」、「内層部含有巻取パッケージ形成」及び「糸カット」の情報を記憶していても良い。機台制御装置5は、処理モードとして「内層部含有巻取パッケージ形成」が選択されている場合、残量減少判断を行ったときに形成終了処理及び交換処理を実行しても良い。この場合、給糸パッケージ保持部50に保持されている給糸パッケージPsに含まれる糸Yが枯渇したとき、当該給糸パッケージ保持部50を有する錘9bの稼働が停止する。機台制御装置5は、処理モードとして「糸カット」が選択されている場合、残量減少判断を行ったときにカッタ27に糸を切断させても良い。この場合、カッタ27が糸を切断したときに、当該カッタ27を有する錘9bの稼働が停止する。
【0104】
(9)前記までの実施形態において、機台制御装置5は、第1フィードローラ11の回転数の情報に基づいて解舒速度Vの情報を取得するものとしたが、これには限られない。他の例として、機台制御装置5には、第2フィードローラ16の回転数の情報と、第1フィードローラ11の回転数と第2フィードローラ16の回転数との比率の情報と、が記憶されていても良い。機台制御装置5は、これらの情報に基づいて解舒速度の情報を取得しても良い。或いは、機台制御装置5は、解舒単位量情報として、解舒速度の情報の代わりに、給糸パッケージPsから単位時間あたり糸Yが解舒される重量の情報を取得しても良い。このような情報は、例えばオペレータによって予め機台制御装置5に入力されていても良い。
【0105】
(10)前記までの実施形態において、機台制御装置5が仮撚加工機1の各部を制御し、且つ残量関連情報を生成するものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、管理装置101が仮撚加工機1の各部の制御及び/又は残量関連情報の生成を行っても良い。この場合、管理装置101が本発明の制御部に含まれる。
【0106】
(11)前記までの実施形態において、情報管理部110は、複数の機台制御装置5及び管理装置101を有するものとしたが、これには限られない。すなわち、情報管理部110は、機台制御装置5及び管理装置101以外のコンピュータ装置(不図示)を含んでいても良い。或いは、情報管理部110は、機台制御装置5又は管理装置101のみを有していても良い。
【0107】
(12)前記までの実施形態において、糸加工設備100は、複数の仮撚加工機1を備えるものとしたが、これには限られない。糸加工設備100は、1つの仮撚加工機1のみを備えていても良い。また、管理装置101が設けられていなくても良い。また、仮撚加工機1は複数の錘9を有するものとしたが、これには限られない。すなわち、仮撚加工機1が有する錘9の数は1つでも良い。言い換えると、給糸部2が有する給糸パッケージ保持部20の数は1つでも良い。
【0108】
(13)本発明は、仮撚加工機1の代わりに、別の糸加工機に適用されても良い。例えば、特開2002-088605号公報に記載されたエア加工機(糸加工機)に対して本発明が適用されても良い。
【符号の説明】
【0109】
1 仮撚加工機(糸加工機)
5 機台制御装置(制御部)
10 オートドッファ(ボビン交換部、切断部)
19 巻取装置(マーキング部)
20 給糸パッケージ保持部
24 糸検知センサ(検知部)
27 カッタ(切断部)
32 トラバース装置(トラバース部)
35 トラバースガイド
36 モータ(ガイド駆動部)
37 モータ(回転駆動部)
41 検知部
Bw 巻取ボビン
Bw4 巻取ボビン(新しい巻取ボビン)
Bw5 巻取ボビン(新しい巻取ボビン)
Ps 給糸パッケージ
Ps1 給糸パッケージ(第1給糸パッケージ)
Ps2 給糸パッケージ(第2給糸パッケージ)
Pw 巻取パッケージ
Pw3s 巻取パッケージ(形成強制終了巻取パッケージ)
Pw4r 巻取パッケージ(内層部含有巻取パッケージ)
Y 糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
或いは、機台制御装置5は、WRを利用せずに基本情報のみを利用して残量割合を算出しても良い。