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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182070
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20231219BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20231219BHJP
   G07D 11/12 20190101ALI20231219BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H31/24
G07D11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095459
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】金田 潤之介
(72)【発明者】
【氏名】大城 涼太
(72)【発明者】
【氏名】高田 敦
【テーマコード(参考)】
3E141
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA03
3E141AA06
3E141BA12
3E141DA06
3E141FC03
3E141FJ08
3F048AA06
3F048AB03
3F048BA03
3F048BA04
3F048BB02
3F048BB10
3F048CA02
3F048CB15
3F048CC02
3F048DC13
3F048EB04
3F048EB06
3F048EB07
3F054AA03
3F054AC06
3F054BA02
3F054BD02
3F054BD04
3F054BF08
3F054BF22
3F054CA16
3F054CA23
3F054CA37
3F054DA05
3F054DA13
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】カセット内に設けられる収納空間の空きをより精度高く検出し、かつより広く適用可能な媒体処理装置を提供する。
【解決手段】媒体を収納する媒体収納空間、および前記媒体収納空間を下方収納部と上方収納部とに区分し、前記媒体収納空間内における規定の可動領域を上下方向に移動可能に設けられる仕切板、を備える媒体収納カセットと、前記媒体収納カセットへ前記媒体を搬送する搬送部と、前記仕切板の上下方向における位置を検出する仕切板位置検出センサと、前記仕切板、前記仕切板位置検出センサ、および前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記仕切板を前記可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、前記仕切板位置検出センサにより検出された移動後の前記仕切板の上下方向における位置に基づいて、前記下方収納部に前記媒体を収納する空き空間があるか否かを判定する、媒体処理装置が提供される。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収納する媒体収納空間、および
前記媒体収納空間を下方収納部と上方収納部とに区分し、前記媒体収納空間内における規定の可動領域を上下方向に移動可能に設けられる仕切板、
を備える媒体収納カセットと、
前記媒体収納カセットへ前記媒体を搬送する搬送部と、
前記仕切板の上下方向における位置を検出する仕切板位置検出センサと、
前記仕切板、前記仕切板位置検出センサ、および前記搬送部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記仕切板を前記可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、前記仕切板位置検出センサにより検出された移動後の前記仕切板の上下方向における位置に基づいて、前記下方収納部に前記媒体を収納する空き空間があるか否かを判定する、
媒体処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記指示を出した後、前記仕切板が前記最下端に位置することを前記仕切板位置検出センサが検出した場合、前記空き空間があると判定し、前記媒体収納カセットへの前記媒体の収納を開始させる、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記指示を出した後、前記仕切板が前記最下端に位置することを前記仕切板位置検出センサが検出できない場合、前記空き空間がないと判定し、前記空き空間がない旨の通知が行われるよう制御する、
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記下方収納部への前記媒体の集積を開始させる前に、前記指示の実施および前記空き空間に係る判定を行う、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記下方収納部に集積された前記媒体の数が規定の閾値を超えるごとに前記指示の実施および前記空き空間に係る判定を行う、
請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記媒体収納カセットは、前記下方収納部において前記媒体が集積されるステージ、および前記ステージを支持し前記ステージに集積される前記媒体の重みにより収縮する支持部材、をさらに備え、
前記媒体処理装置は、前記ステージの上下方向における位置を検出するステージ位置検出センサ、をさらに備え、
前記制御部は、前記ステージが規定の位置にあることを前記ステージ位置検出センサが検出した後、前記下方収納部に集積された前記媒体の数が規定の閾値を超えるごとに前記指示の実施および前記空き空間に係る判定を行う、
請求項5に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記媒体収納カセットは、前記搬送部から搬送される前記媒体が通過する通過口、をさらに備え、
前記制御部は、前記媒体収納カセットへの前記媒体の収納が完了した場合、前記通過口から前記下方収納部が視認できないよう前記仕切板の位置を制御する、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記仕切板は、前記可動領域を上下方向に回動可能に設けられる、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記媒体は、紙葉類を含む、
請求項1~8のいずれかに記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記紙葉類は、紙幣を含む、
請求項9に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記下方収納部および前記上方収納部に、それぞれ特性の異なる紙幣が収納されるよう制御する、
請求項10に記載の媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙葉類等の各種の媒体を処理する装置が普及している。このような装置の一例としては、紙幣の入出金に係る処理を行う紙幣処理装置が挙げられる。また、紙幣処理装置の中には、装置から回収すべき紙幣を収納するためのカセットを備えるものがある。例えば、特許文献1には、装置に着脱可能なカセット内部において回収紙幣を収納するための空間とリジェクト紙幣を収納するための空間とを仕切り板で分離する構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、カセット内に設けられる紙幣収納空間に集積される紙幣の上端面の位置を光学センサで検出し、検出結果に基づいて紙幣収納空間の空きを判定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-17013号公報
【特許文献2】特開2013-25606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に開示される光学センサを用いた検出技術は、装置のハードウェア構成によっては採用することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、カセット内に設けられる収納空間の空きをより精度高く検出し、かつより広く適用可能な媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、媒体を収納する媒体収納空間、および前記媒体収納空間を下方収納部と上方収納部とに区分し、前記媒体収納空間内における規定の可動領域を上下方向に移動可能に設けられる仕切板、を備える媒体収納カセットと、前記媒体収納カセットへ前記媒体を搬送する搬送部と、前記仕切板の上下方向における位置を検出する仕切板位置検出センサと、前記仕切板、前記仕切板位置検出センサ、および前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記仕切板を前記可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、前記仕切板位置検出センサにより検出された移動後の前記仕切板の上下方向における位置に基づいて、前記下方収納部に前記媒体を収納する空き空間があるか否かを判定する、媒体処理装置が提供される。
【0008】
前記制御部は、前記指示を出した後、前記仕切板が前記最下端に位置することを前記仕切板位置検出センサが検出した場合、前記空き空間があると判定し、前記媒体収納カセットへの前記媒体の収納を開始させてもよい。
【0009】
前記制御部は、前記指示を出した後、前記仕切板が前記最下端に位置することを前記仕切板位置検出センサが検出できない場合、前記空き空間がないと判定し、前記空き空間がない旨の通知が行われるよう制御してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記下方収納部への前記媒体の集積を開始させる前に、前記指示の実施および前記空き空間に係る判定を行ってもよい。
【0011】
前記制御部は、前記下方収納部に集積された前記媒体の数が規定の閾値を超えるごとに前記指示の実施および前記空き空間に係る判定を行ってもよい。
【0012】
前記媒体収納カセットは、前記下方収納部において前記媒体が集積されるステージ、および前記ステージを支持し前記ステージに集積される前記媒体の重みにより収縮する支持部材、をさらに備え、前記媒体処理装置は、前記ステージの上下方向における位置を検出するステージ位置検出センサ、をさらに備え、前記制御部は、前記ステージが規定の位置にあることを前記ステージ位置検出センサが検出した後、前記下方収納部に集積された前記媒体の数が規定の閾値を超えるごとに前記指示の実施および前記空き空間に係る判定を行ってもよい。
【0013】
前記媒体収納カセットは、前記搬送部から搬送される前記媒体が通過する通過口、をさらに備え、前記制御部は、前記媒体収納カセットへの前記媒体の収納が完了した場合、前記通過口から前記下方収納部が視認できないよう前記仕切板の位置を制御してもよい。
【0014】
前記仕切板は、前記可動領域を上下方向に回動可能に設けられてもよい。
【0015】
前記媒体は、紙葉類を含んでもよい。
【0016】
前記紙葉類は、紙幣を含んでもよい。
【0017】
前記制御部は、前記下方収納部および前記上方収納部に、それぞれ特性の異なる紙幣が収納されるよう制御してもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、カセット内に設けられる収納空間の空きをより精度高く検出し、かつより広く適用可能な媒体処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の外観、および媒体処理装置1が備える媒体収納カセット60の配置例について説明するための図である。
図2】同実施形態に係る媒体処理装置1の構成を概略的に示す図である。
図3】同実施形態に係る媒体収納カセット60の基本構成について説明するための図である。
図4】同実施形態に係る媒体収納カセット60の基本構成について説明するための図である。
図5】従来の空き空間判定に係る2つ目の方式について説明するための図である。
図6】従来の空き空間判定に係る2つ目の方式について説明するための図である。
図7】従来の空き空間判定に係る3つ目の方式を採用する収納カセットの構成について説明するための図である。
図8】ステージ位置検出センサ980の動作について説明するための図である。
図9】上面検出センサ970を用いる2つ目の方式または3つ目の方式を採用する収納カセットが、仕切板920を備える場合の問題点について説明するための図である。
図10】上面検出センサ970を用いる2つ目の方式または3つ目の方式を採用する収納カセットが、仕切板920を備える場合の問題点について説明するための図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置1の構成例について説明するための図である。
図12】同実施形態に係る媒体処理装置1の構成例について説明するための図である。
図13】同実施形態に係る仕切板位置検出センサ670の動作例について説明するための図である。
図14】同実施形態に係る下方収納部630に回収紙幣が上限まで集積され、空き空間がなくなった状況を示す図である。
図15】同実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。
図16】同実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。
図17】本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置1の構成例について説明するための図である。
図18】同実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。
図19】本発明の第3の実施形態に係る仕切板620の位置制御について説明するための図である。
図20】同実施形態に係る仕切板620の位置制御について説明するための図である。
図21】同実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.実施形態>
<<1.1.概要>>
近年、紙葉類、カード類等の各種の媒体を処理する装置が普及している。上記紙葉類には、例えば、紙幣、商品券等の金券、チケット、伝票等が含まれる。
【0022】
また、媒体処理装置の一例としては、紙幣の入出金に係る処理を行う紙幣処理装置が挙げられる。
【0023】
上記紙幣処理装置は、金融窓口において紙幣の入出金処理に用いられる装置、ATMの他、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店、ディスカウントショップ等の大型量販店等の精算所に設置されるレジスタ、POS(Point Of Sales)用レジスタ等に接続して紙幣の入出金に用いられる装置を広く含む。
【0024】
例えば、紙幣処理装置は、小売店等において顧客により操作されるセルフ精算機、セミセルフ精算機の一部として機能してもよい。
【0025】
また、近年においては、装置から回収すべき紙幣を収納し、かつ装置から着脱可能なカセットを備える紙幣処理装置が普及している。
【0026】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1もまた、着脱可能な媒体収納カセット60を備える。図1は、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の外観、および媒体処理装置1が備える媒体収納カセット60の配置例について説明するための図である。
【0027】
本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1は、利用者と対峙する面に媒体入出口10を備える。媒体入出口10は、利用者が媒体を挿入する、または利用者に対して媒体を出力する構成である。
【0028】
以下、上記利用者と対峙する面を前面、前面の反対面を後面とし、前面および後面を基準として図1中手前の側面方向を右、図1中奥側の側面方向を左とする。また、鉛直上向きを上、鉛直下向きを下とする。
【0029】
本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60は、媒体処理装置1の筐体内部に設けられる内部構成の一つである。媒体収納カセット60は、例えば、媒体処理装置1の筐体前面のプレートを外した後、他の内部構成とともに前方向に引き出し可能に設けられてもよい。また、媒体収納カセット60は、他の内部構成とともに前方向に引き出された後、さらに左方向に引き出されることにより当該他の内部構成と分離可能に設けられてもよい。
【0030】
保守員等は、上記のような手順で操作を行うことにより、媒体収納カセット60を媒体処理装置1から取り外すことができる。また、保守員等は、上記とは反対の手順で操作を行うことにより、媒体収納カセット60を媒体処理装置1に装着することができる。
【0031】
ただし、上記着脱手順はあくまで一例であり、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60の着脱を実現する構成は柔軟に変形可能である。また、媒体収納カセット60の不正な取り外し等を防止するために、媒体処理装置1は、各種のロック機構を備えてよい。
【0032】
続いて、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の構成について概要を述べる。図2は、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の構成を概略的に示す図である。
【0033】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1は、媒体入出口10、媒体入出部20、搬送部30、鑑別部40、媒体収納部50、媒体収納カセット60、および制御部70を備えてもよい。
【0034】
(媒体入出口10)
上述したように、媒体入出口10は、利用者が媒体を挿入する、または利用者に対して媒体を出力する。本実施形態および後述する他の実施形態において媒体は例えば紙幣であり、その場合、媒体入出口10は、利用者が媒体処理装置1に紙幣を入金する、または媒体処理装置1から利用者に対して紙幣を出金する入出金口として機能する。
【0035】
(媒体入出部20)
媒体入出部20は、媒体入出口10に挿入された媒体の取り込み、および、媒体入出口10からの媒体の出力を実現する構成である。
【0036】
(搬送部30)
搬送部30は、媒体を搬送する構成である。このために、搬送部30は、ローラ、ベルト等を備える。搬送部30は、媒体入出部20と鑑別部40との間、鑑別部40と媒体収納部50との間、鑑別部40と媒体収納カセット60との間、媒体収納部50と媒体収納カセット60との間において媒体を搬送する。
【0037】
(鑑別部40)
鑑別部40は、搬送部30により搬送された媒体を鑑別し、鑑別の結果を制御部70に送信する。鑑別部40は、例えば、媒体の種類、真偽、損傷しているか否か等を鑑別してもよい。上記のような鑑別を行うために、鑑別部40は、光学素子、磁気検出素子等を備えてもよい。制御部70は、鑑別部40から受信した鑑別結果に基づき、鑑別対象である媒体の搬送先を決定し、搬送部30の動作を制御する。
【0038】
(媒体収納部50)
媒体収納部50は、媒体を収納するための収納空間を有する。媒体収納部50に収納される媒体は、例えば、鑑別部40により、損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された媒体であってもよい。
【0039】
媒体収納部50は、搬送部30により搬送された媒体を上記収納空間に集積させて収納する。なお、媒体収納部50は、鑑別部40による鑑別結果に応じて媒体を集積、収納してもよい。例えば、媒体収納部50は、媒体を種類ごとに集積、収納してもよい。
【0040】
また、媒体収納部50は、制御部70による指示に従い、収納している媒体のうち指示に対応する種類の媒体を指示された数だけ搬送部30に受け渡す。
【0041】
(媒体収納カセット60)
媒体収納カセット60は、媒体を収納する媒体収納空間を備え、媒体処理装置1に対して着脱可能に設けられる。制御部70は、媒体処理装置1から回収すべき媒体が媒体収納カセット60へ搬送されるよう制御を行う。本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60の詳細な構成については後述する。
【0042】
(制御部70)
制御部70は、媒体入出部20、搬送部30、鑑別部40、媒体収納部50、および媒体収納カセット60等の動作を制御する。このために、制御部70は、制御の対象となる各構成と通信が可能となるように接続される。制御部70が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0043】
以上、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の構成例について述べた。ただし、図2を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の構成はかかる例に限定されない。
【0044】
例えば、媒体処理装置1は、利用者等による操作を受け付ける操作部や、各種の情報を表示する表示部等をさらに備えてもよい。本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1の構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0045】
続いて、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60の構成について詳細に説明する。なお、以下においては、媒体処理装置1が紙幣を処理する場合を主な例として述べる。
【0046】
図3および図4は、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60の基本構成について説明するための図である。なお、以降の図面においては、回収紙幣およびリジェクト紙幣を含む紙幣を斜線のハッチングにより示す。
【0047】
本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60は、カセット筐体610の内側に形成される媒体収納空間を下方収納部630と上方収納部635とに区分し、当該媒体収納空間内における規定の可動領域を上下方向に移動可能に設けられる仕切板620を備える。
【0048】
本発明の一実施形態に係る下方収納部630および上方収納部635は、それぞれ特性の異なる媒体を集積して収納してもよい。
【0049】
媒体処理装置1が処理の対象とする媒体が紙幣である場合、例えば、下方収納部630は回収紙幣を収納し、上方収納部635はリジェクト紙幣を収納してもよい。
【0050】
ここで、上記回収紙幣とは、例えば、売上金等として媒体処理装置1から回収すべき紙幣であってもよい。
【0051】
また、上記リジェクト紙幣とは、例えば、媒体収納部50から繰り出された紙幣について、鑑別部40及び制御部70により、媒体処理装置1の外部へ出すべきではない(出金すべきではない)と鑑別された紙幣や、回収紙幣として下方収納部630へ収納すべきでないと鑑別された紙幣である。そのような紙幣は例えば、損傷等や汚損等により使用に適切ではないと鑑別された紙幣、搬送部30上での姿勢が正常時よりも傾いた状態で搬送されるスキューや、複数枚の紙幣が重なった状態で搬送される重送等の異常が発生し鑑別不能であった紙幣である。
【0052】
制御部70は、上記のような回収紙幣が下方収納部630に、リジェクト紙幣が上方収納部635にそれぞれ正しく収納されるよう仕切板620を制御する。
【0053】
本発明の一実施形態に係る仕切板620は、例えば、軸622を支点として規定の可動領域を上下方向に回動可能に設けられてもよい。
【0054】
図3は、仕切板620が上記可動領域の最上端に位置する場合の構成を示している。仕切板620は、基本状態においては、図3に示すように、引張部材626により上方に引き上げられて固定されてもよい。なお、引張部材626は、例えば、引張スプリング等であってもよい。
【0055】
この場合、搬送部30から搬送された回収紙幣は、カセット筐体610に設けられる通過口615を通過する際、ローラにより回転する羽根車660が有する放射状の舌片により下方に叩かれることで、下方収納部630においてステージ640の上に整列した状態で集積される。
【0056】
ステージ640は、支持部材650により下方より支持される。また、支持部材650は、ステージ640に集積される回収紙幣の重みにより収縮する。このため、ステージ640に集積される回収紙幣の枚数が増加するほど、支持部材650が収縮し、ステージ640が下方に移動する。
【0057】
支持部材650は、例えば、圧縮スプリング等であってもよい。支持部材650の圧縮力は、ステージ640の重みおよびステージ640に集積される回収紙幣の重みにより、ステージ640が適切な位置に留まるよう設計される。
【0058】
一方、図4は、仕切板620が可動領域の最下端に位置する場合の構成を示している。制御部70は、上方収納部635にリジェクト紙幣を収納する場合、仕切板620を可動領域の最下端へ移動させる指示を図示しないアクチュエータに対し出力する。
【0059】
アクチュエータは、上記指示に従い、例えば、仕切板620の一部として形成されるアーム624を後方向に押し出す。これにより、仕切板620は、軸622を支点、アーム624を力点として下方向に回動する。
【0060】
制御部70は、上記のような制御により、搬送部30から搬送される紙幣の収納先を下方収納部630から上方収納部635に切り替えることができる。
【0061】
仕切板620が可動領域の最下端に位置する場合、搬送部30から搬送されたリジェクト紙幣は、カセット筐体610に設けられる通過口615を通過する際、ローラにより回転する羽根車660が有する放射状の舌片により下方に叩かれることで、上方収納部635において仕切板620の上に整列した状態で集積される。
【0062】
なお、上記アクチュエータは、媒体処理装置1の筐体内において媒体収納カセット60とは別途に形成されてもよい。この場合、媒体収納カセット60を媒体処理装置1から取り外すと、アクチュエータによる仕切板620の駆動が行われなくなり、引張部材626が有する引張力により仕切板620は可動領域の最上端の位置に復帰する。
【0063】
以上、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60の基本的な構成について説明した。続いて、下方収納部630の空き空間の判定について述べる。
【0064】
媒体収納カセット60が備える下方収納部630に収納可能な回収紙幣の枚数には限度がある。このため、下方収納部630に回収紙幣を収納する空き空間がない状態において、下方収納部630に回収紙幣をさらに収納しようとする場合、ジャムが発生し媒体処理装置1の正常動作を妨げる可能性が生じる。上記のような事態を回避するためには、下方収納部630に回収紙幣を収納する空き空間があるか否かを精度高く判定することが求められる。
【0065】
ここで、収納部の空き空間判定に係る3つの方式について述べる。
【0066】
1つ目の方式は、例えば、収納カセットに設けられる通過口を通過する紙幣を検出するセンサ等を用いて収納カセットに収納される回収紙幣の枚数をカウントし、カウント数が予め定められた上限に至った場合に回収紙幣を収納する空き空間がないと判定する方式である。
【0067】
しかし、上記1つ目の方式では、回収紙幣の枚数のみを監視しているため、回収紙幣の状態(折れ癖や反りなど)や回収紙幣の集積状態が想定よりも悪い場合、収納される回収紙幣の枚数が本来の上限に達する前に収納部に空き空間が存在しなくなる可能性が生じる。上記のような状態において回収紙幣をさらに収納しようとした場合、ジャムが発生し装置の正常動作が妨げられる恐れがある。
【0068】
また、2つ目の方式は、収納カセットに集積される回収紙幣の上端面の位置をセンサにより検出する方式である。図5は、上記2つ目の方式について説明するための図である。
【0069】
図5は、上記2つ目の方式について説明するための図である。図5には、上記2つ目の方式を採用する収納カセットの構成が示される。
【0070】
図5に示すように、上記2つ目の方式を採用する収納カセットは、上面検出センサ970を備える。上面検出センサ970は、光軸975が物体に遮られたことを検出するセンサである。光軸975は、例えば、図5に示すように、収納カセットのカセット筐体910に設けられる通過口915の近傍において、ステージ940に回収紙幣が集積され空き空間がなくなった場合に、集積された回収紙幣の上端が光軸975を遮るように設定される。
【0071】
すなわち、2つ目の方式では、上面検出センサ970が光軸975が遮られたことを検出した場合、回収紙幣を収納する空き空間がないと判定することができる。
【0072】
しかし、回収紙幣の集積枚数が上限に達していない場合であっても、図6に示すように、回収紙幣が折れ曲がっている状況や、回収紙幣の集積状況が悪い状況では、回収紙幣が光軸975を遮り、空き空間がないと誤判定される可能性がある。
【0073】
このため、2つ目の方式では、搬送部から搬送される回収紙幣を羽根車960によりステージ940の上に確実に押し下げることが求められる。
【0074】
次に、3つ目の方式について説明する。3つ目の方式を採用する収納カセットは、図7に示すように、上面検出センサ970に加えて、ステージ940の上下方向における位置を検出するステージ位置検出センサ980をさらに備える。
【0075】
ステージ位置検出センサ980は、集積される回収紙幣の重みにより変化するステージ940の上下方向における位置を検出する。例えば、ステージ位置検出センサ980は、上限枚数の回収紙幣が集積され、その重みによりステージ940が最下端に位置したことを検出するセンサであってもよい。
【0076】
図8は、ステージ位置検出センサ980の動作について説明するための図である。図8に示すように、ステージ位置検出センサ980は、例えば、上面の一部が開放されたコの字(U字)型に形成され、開放部分に光軸985を有する。また、ステージ位置検出センサ980は、ステージ940が最下端に位置した場合に、ステージ940の一部である遮蔽部945が光軸985を遮る位置に配置される。
【0077】
このようなステージ位置検出センサ980によれば、集積された回収紙幣によりステージ940の位置が最下端に至ったこと、すなわち回収紙幣を収納する空き空間がなくなったことを検出することができる。3つ目の方式によれば、2つ目の方式において説明したような、回収紙幣の集積枚数が上限に達していない場合に空き空間がないと誤検出される状況を回避することが可能となる。
【0078】
以上、回収紙幣を収納する空き空間判定に係る3つの方式について説明した。しかし、上記で述べた上面検出センサ970を用いる2つ目の方式または3つ目の方式を採用する収納カセットと異なり、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60は、媒体収納空間を下方収納部630と上方収納部635とに区分する仕切板620を備えることを特徴の一つとする。
【0079】
ここで、上面検出センサ970を用いる2つ目の方式または3つ目の方式を採用する収納カセットが、仕切板920を備える場合の問題点について説明する。
【0080】
収納カセットが、仕切板920を備える場合、図9に示すように、上面検出センサ970の光軸975は、集積された回収紙幣の上面の他、仕切板920によっても遮られてしまうことから、回収紙幣を収納する空き空間の有無を正しく判定することが困難となる。
【0081】
また、上記のような状況を回避するために、図10に示すように、仕切板920に光軸975を通すための孔を設けた場合であっても、仕切板920の上にリジェクト紙幣が集積された状況では、リジェクト紙幣が光軸975を遮ってしまう。
【0082】
このため、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60のように仕切板920を備える構成では、2つ目の方式および3つ目の方式のような上面検出センサを用いた空き空間判定を採用することができない。
【0083】
なお、本発明の一実施形態に係る媒体収納カセット60のように仕切板920を備える構成であっても1つ目の方式を採用することは可能である。しかし、上述したように、1つ目の方式では、回収紙幣の状態や回収紙幣の集積状態が想定よりも悪い場合、収納される回収紙幣の枚数が本来の上限に達する前に収納部に空き空間が存在しなくなる可能性が生じる。
【0084】
本発明の各実施形態に係る技術思想は上記のような点に着目して発想されたものであり、下方収納部630の空きをより精度高く検出し、かつより広く適用可能な媒体処理装置1を実現する。以下、本発明の各実施形態について詳細に説明する。
【0085】
<<1.2.第1の実施形態>>
まず、本発明の第1の実施形態について述べる。図11および図12は、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置1の構成例について説明するための図である。図11および図12に示すように、本発明の第1の実施形態に係る媒体処理装置1は、仕切板620の上下方向における位置を検出する仕切板位置検出センサ670を備える。
【0086】
一例として、仕切板位置検出センサ670は、仕切板620が可動領域の最下端に位置するか否かを検出するセンサであってもよい。
【0087】
図11には、仕切板620が可動領域の最上端に位置する場合の状況が示される。このように、仕切板620が可動領域の最下端以外に位置する場合、仕切板位置検出センサ670は、OFFの状態であってもよい。
【0088】
一方、図12には、仕切板620が可動領域の最下端に位置する場合の状況が示される。当該状況では、仕切板位置検出センサ670は、ONの状態となる。
【0089】
図13は、仕切板位置検出センサ670の動作例について説明するための図である。図13に示すように、仕切板位置検出センサ670は、例えば、上面の一部が開放されたコの字(U字)型に形成され、開放部分に光軸675を有する。また、仕切板位置検出センサ670は、仕切板620が可動領域の最下端に位置した場合に、仕切板620の一部である遮蔽部628が光軸675を遮る位置に配置される。
【0090】
なお、仕切板位置検出センサ670は、媒体処理装置1の筐体内部において媒体収納カセット60と隣接する位置、例えば、図1に示す媒体収納カセット60の左側面に隣接する位置に設けられてもよい。この場合、媒体収納カセット60の左側の側面には、遮蔽部628を通すための孔が設けられる。
【0091】
上記のような仕切板位置検出センサ670によれば、仕切板620が可動領域の最下端に位置することを検出することが可能となる。
【0092】
また、本発明の第1の実施形態に係る制御部70は、仕切板620を可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、仕切板位置検出センサ670により検出された移動後の仕切板620の上下方向における位置に基づいて、下方収納部630に回収紙幣を収納する空き空間があるか否かを判定することを特徴の一つとする。
【0093】
図14は、本発明の第1の実施形態に係る下方収納部630に回収紙幣が上限まで集積され、空き空間がなくなった状況を示す図である。このような状況においては、図14に示すように、集積された回収紙幣に邪魔されて仕切板620が可動領域の最下端Bまで到達することができない。
【0094】
このことから、制御部70は、仕切板620を可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出した場合、下方収納部630に回収紙幣を収納する空き空間があると判定し、媒体収納カセット60への紙幣の収納を開始させてもよい。
【0095】
一方、制御部70は、仕切板620を可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出できない場合、下方収納部630に回収紙幣を収納する空き空間がないと判定し、当該空き空間がない旨の通知、例えば、媒体収納カセット60からの紙幣の回収を求める通知が行われるよう制御してもよい。
【0096】
上記のような制御によれば、回収紙幣の状態や回収紙幣の集積状態に依らず、空き空間の有無を精度高く判定することが可能となる。
【0097】
次に、本発明の第1の実施形態に係る制御の流れについて例を挙げて説明する。図15は、本発明の第1の実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。
【0098】
図15に示す一例の場合、媒体収納カセット60が備える下方収納部630に紙幣を集積しようとする際、まず、制御部70が仕切板620を最下端Bに移動させる指示をアクチュエータに対し出力する(S102)。
【0099】
次に、制御部70は、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出したか否かを判定する(S104)。
【0100】
ここで、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出できない場合(S104:NO)、制御部70は、下方収納部630に空き空間がないと判定し、空き空間がない旨の通知が行われるよう制御する(S106)。
【0101】
一方、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出した場合(S104:YES)、制御部70は、下方収納部630に空き空間があると判定し、仕切板620を可動領域の最上端に移動させる指示を出す(S108)。
【0102】
また、制御部70は、集積カウンタCtを0にリセットしたうえで媒体収納カセット60への紙幣搬送と集積を開始する(S110)。なお集積カウンタCtとは、制御部70が媒体収納カセット60に集積(収納)される紙幣の枚数を管理するための、紙幣集積(収納)を制御するプログラム(ソフトウエア)の機能として実現される。
【0103】
このように、制御部70は、下方収納部630への回収紙幣の集積を開始させる前に、仕切板620を最下端Bに移動させる指示の実施および前記空き空間に係る判定を行ってもよい。
【0104】
上記のようなタイミングで判定を行うことにより、下方収納部630に空き空間があることを確実としたうえで集積を開始することができ、より効率的な集積処理が実現可能となる。
【0105】
集積の開始後、制御部70は、1枚集積が完了するごとに集積カウンタCtの値を1ずつインクリメントし(S112)、予定された紙幣の集積がすべて完了したか否かを判定する(S114)。なお搬送部30の任意の位置、例えば媒体収納部50と搬送部30との間の任意の位置や、媒体収納カセット60と搬送部30との間の任意の位置などに設けられた図示しない紙幣通過センサにて、媒体収納カセット60へ向かって搬送される紙幣を1枚検出したことをもって集積カウンタCtを1つインクリメントしてもよい。また例えば、媒体収納部50から鑑別部40を経由して、あるいは媒体収納部50から鑑別部40へ紙幣を搬送したのち鑑別部40から媒体収納カセット60へスイッチバックして、紙幣を媒体収納カセット60へ搬送する場合、鑑別部40で紙幣1枚を鑑別したことをもって集積カウンタCtを1つインクリメントしてもよい。
【0106】
制御部70は、予定された紙幣の集積がすべて完了したと判定した場合(S114:YES)、集積の停止制御を行い(S120)、一連の処理を終了する。
【0107】
一方、制御部70は、予定された紙幣の集積の一部がまだ完了していないと判定した場合(S114:NO)、続いて、集積カウンタCtが閾値Jtを超えたか否かを判定する(S116)。
【0108】
制御部70は、集積カウンタCtが閾値Jtを超えていないと判定した場合(S116:NO)、ステップS112に復帰する。
【0109】
一方、制御部70は、集積カウンタCtが閾値Jtを超えたと判定した場合(S116:YES)、集積の停止制御を行い、ステップS102に復帰する。
【0110】
すなわち、制御部70は、下方収納部630に集積された回収紙幣の枚数が規定の閾値Jtを超えるごとに、仕切板620を最下端Bに移動させる指示の実施および前記空き空間に係る判定を行ってもよい。
【0111】
なお、閾値Jtは、媒体処理装置1の管理者等が自由に値を設定できてもよい。
【0112】
上記のような閾値Jtに基づく制御によれば、下方収納部630に規定枚数の回収紙幣が集積されるごとに空き空間の有無を判定することができ、より確実な集積処理が実現可能となる。
【0113】
一方、図15に示すような閾値Jtに基づく制御は必ずしも行われる必要はない。図16は、本発明の第1の実施形態に係る変形された制御の流れを例示するフローチャートである。なお、図16に示すステップS202~S214における処理は、図15に示すS102~S114における処理と実質的に同一であってよいため、詳細な説明は省略する。一方で図16に例示する制御例の場合、制御部70は、閾値Jtに基づく制御は行わない。
【0114】
制御部70は、ステップS214において予定された紙幣の集積がすべて完了したと判定した場合(S214:YES)、仕切板620を最下端Bに移動させる指示をアクチュエータに対し再度出力する(S216)。
【0115】
次に、制御部70は、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出したか否かを判定する(S218)。
【0116】
ここで、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出できない場合(S218:NO)、制御部70は、下方収納部630に空き空間がないと判定し、空き空間がない旨の通知が行われるよう制御する(S206)。
【0117】
一方、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出した場合(S218:YES)、制御部70は、下方収納部630に空き空間があると判定し、仕切板620を可動領域の最上端に移動させる指示を出す(S220)。その後、制御部70は、集積の停止制御を行い(S222)、一連の処理を終了する。
【0118】
このように、予定された紙幣の集積がすべて完了したタイミングで空き空間の有無を判定することにより、空き空間がない場合には次回の集積開始に先立って紙幣を回収する等の作業を行うことができ、業務の効率化が期待される。
【0119】
<<1.3.第2の実施形態>>
次に、本発明の第2の実施形態について詳細に説明する。なお、以下においては、主に第1の実施形態との差異に着目して説明を行い、第1の実施形態と共通する構成等については詳細な説明を省略する。
【0120】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置1の構成例について説明するための図である。図17に示すように、本発明の第2の実施形態に係る媒体処理装置1は、ステージ640の上下方向における位置を検出するステージ位置検出センサ680をさらに備える。
【0121】
本発明の第2の実施形態に係るステージ位置検出センサ680は、例えば、図8に示すステージ位置検出センサ980と同等の構成であってもよい。すなわち、本発明の第2の実施形態に係るステージ位置検出センサ680は、ステージ640の遮蔽部645が光軸685を遮った場合に、ステージ640が最下端に位置することを検出するセンサであってもよい。
【0122】
なお、ステージ位置検出センサ680は、媒体処理装置1の筐体内部において媒体収納カセット60と隣接する位置、例えば、図1に示す媒体収納カセット60の左側面に隣接する位置に設けられてもよい。この場合、媒体収納カセット60の左側の側面には、遮蔽部645を通すための孔が設けられる。
【0123】
本発明の第2の実施形態に係る制御部70は、ステージ640が規定の位置、例えば最下端等にあることをステージ位置検出センサ680が検出した後、下方収納部630に集積された回収紙幣の枚数が規定の閾値を超えるごとに前記空き空間に係る判定を行うことを特徴の一つとする。
【0124】
図18は、本発明の第2の実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。なお、図18に示すステップS302~S310における処理は、図15に示すステップS102~S110における処理と実質的に同一であってよいため、詳細な説明は省略する。
【0125】
本実施形態に係る制御部70は、ステップS310において集積を開始した後、1枚の紙幣の集積が完了する(S312)ごとに、予定された紙幣の集積がすべて完了したか否かを判定する(S314)。
【0126】
制御部70は、予定された紙幣の集積がすべて完了したと判定した場合(S314:YES)、集積の停止制御を行い(S324)、一連の処理を終了する。
【0127】
一方、制御部70は、予定された紙幣の集積の一部がまだ完了していないと判定した場合(S314:NO)、続いて、ステージ640が最下端に位置することをステージ位置検出センサ680が検出したか否かを判定する(S316)。
【0128】
ここで、ステージ640が最下端に位置することをステージ位置検出センサ680が検出していない場合(S316:NO)、制御部70は、ステップS312に復帰する。
【0129】
一方、ステージ640が最下端に位置することをステージ位置検出センサ680が検出した場合(S316:YES)、制御部70は、集積カウンタCtを1つインクリメントし(S318)、集積カウンタCtが閾値Jtを超えたか否かを判定する(S320)。
【0130】
制御部70は、集積カウンタCtが閾値Jtを超えていないと判定した場合(S320:NO)、ステップS312に復帰する。
【0131】
一方、制御部70は、集積カウンタCtが閾値Jtを超えたと判定した場合(S320:YES)、集積の停止制御を行い、ステップS302に復帰する。
【0132】
すなわち、本発明の第2の実施形態に係る制御部70は、ステージ640が最下端に位置することが検出された後に集積された回収紙幣の枚数が規定の閾値Jtを超えるごとに、仕切板620を最下端Bに移動させる指示の実施および前記空き空間に係る判定を行う。
【0133】
このため、本発明の第2の実施形態に係る制御では、ステージ640が最下端に到達する前の段階では集積が停止されることがないため、第1の実施形態に係る制御と比較して集積の停止の回数と時間を改善し、より効率的な処理が実現可能である。
【0134】
<<1.4.第3の実施形態>>
次に、本発明の第3の実施形態について詳細に説明する。なお、以下においては、主に第1の実施形態および第2の実施形態との差異に着目して説明を行い、第1の実施形態または第2の実施形態と共通する構成等については詳細な説明を省略する。
【0135】
第1の実施形態および第2の実施系形態では、仕切板620が、アクチュエータが動作していない基本状態においては、引張部材626により上方に引き上げられて固定される場合について述べた。しかし、この場合、媒体収納カセット60を媒体処理装置1から取り外す際、カセット筐体610に設けられる通過口615から下方収納部630に集積される回収紙幣が視認できてしまう可能性がある。
【0136】
そこで、本発明の第3の実施形態に係る制御部70は、媒体収納カセット60への紙幣の収納が完了した場合、通過口615から下方収納部630が視認できないよう仕切板620の位置を制御する。
【0137】
上記のような制御によれば、一般的にリジェクト紙幣と比較して収納枚数が多い回収紙幣が人目に触れることを回避し、セキュリティ性をより向上させることができる。
【0138】
図19および図20は、本発明の第3の実施形態に係る仕切板620の位置制御について説明するための図である。
【0139】
図19には、アクチュエータが動作していない基本状態が示される。当該状態において、本実施形態に係る仕切板620は、第1の実施形態および第2の実施形態とは異なり、引張部材626により下方に引き下げられて可動領域の最下端Bに固定される。当該状態においては、図19に示すように、通過口615から下方収納部630を視認することができないため、セキュリティ性の向上が見込める。
【0140】
一方、図20には、アクチュエータの動作時の状態が示される。アクチュエータは、制御部70による指示に従い、仕切板620の一部として形成されるアーム624を前方向に押し出す。これにより、仕切板620は、軸622を支点、アーム624を力点として上方向に回動する。
【0141】
また、媒体収納カセット60を媒体処理装置1から取り外す際には、アクチュエータによる仕切板620の駆動が行われなくなり、引張部材626が有する引張力により仕切板620は可動領域の最下端の位置に復帰する。
【0142】
図21は、本発明の第3の実施形態に係る制御の流れを例示するフローチャートである。
【0143】
図21に示す一例の場合、まず、制御部70は、アクチュエータがONとなっているか否かを判定する(S402)。
【0144】
アクチュエータがONとなっている場合(S402:YES)、制御部70は、アクチュエータをOFFに切り替える(S404)。上記制御により、仕切板620は、引張部材626により下方に引き下げられる。
【0145】
一方、アクチュエータがOFFとなっている場合(S402:NO)、制御部70はステップS404における処理をスキップする。
【0146】
次に、制御部70は、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出したか否かを判定する(S406)。
【0147】
ここで、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出できない場合(S406:NO)、制御部70は、下方収納部630に空き空間がないと判定し、空き空間がない旨の通知が行われるよう制御する(S408)。
【0148】
一方、仕切板620が最下端Bに位置することを仕切板位置検出センサ670が検出した場合(S406:YES)、制御部70は、下方収納部630に空き空間があると判定し、仕切板620を可動領域の最上端に移動させる指示を出す(S410)。
【0149】
なお、図21に示すステップS412~S422における処理は、図15に示すステップS110~S120における処理と実質的に同一であってよいため、詳細な説明は省略する。
【0150】
制御部70は、ステップS416において、予定された紙幣の集積がすべて完了したと判定した場合(S416:YES)、集積の停止制御(S422)に加えて、アクチュエータをOFFに切り替える制御を行い(S424)、一連の処理を終了する。
【0151】
ステップS424における上記の制御によれば、仕切板620が、引張部材626により下方に引き下げられ、通過口615から下方収納部630が視認できなくなり、セキュリティ性が向上する。
【0152】
<2.まとめ>
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1は、媒体を収納する媒体収納空間、および媒体収納空間を下方収納部630と上方収納部635とに区分し、媒体収納空間内における規定の可動領域を上下方向に移動可能に設けられる仕切板620、を備える媒体収納カセット60と、媒体収納カセットへ媒体を搬送する搬送部30と、仕切板620の上下方向における位置を検出する仕切板位置検出センサ670と、仕切板620、仕切板位置検出センサ670、および搬送部30を制御する制御部70と、を備える。
【0153】
また、制御部70は、仕切板620を可動領域の最下端へ移動させる指示を出した後、仕切板位置検出センサ670により検出された移動後の仕切板620の上下方向における位置に基づいて、下方収納部630に媒体を収納する空き空間があるか否かを判定することを特徴の一つとする。
【0154】
上記のような構成によれば、カセット内に設けられる収納空間の空きをより精度高く検出し、かつより広く適用可能な媒体処理装置の提供が実現される。
【0155】
また上記のような構成によれば、媒体収納カセット60の内部に仕切板620が配置される構成、換言すると媒体収納カセット60の内部が仕切板620により空間的に二つの収納空間に区分される構成であっても、上述した従来の収納部の空き空間判定に係る3つの方式に比べて、媒体収納カセット60の構成による制約に依らずカセット内に設けられる収納空間の空きをより精度高く検出することができる。
【0156】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0157】
例えば、上記実施形態では、仕切板位置検出センサ670が仕切板620が可動領域の最下端に位置することを検出するセンサである場合を例示した。しかし、本発明の一実施形態に係る仕切板位置検出センサ670はかかる例に限定されない。
【0158】
一例として、本発明の一実施形態に係る仕切板位置検出センサ670は、アクチュエータの回転角等に基づき仕切板620の上下方向における位置を検出してもよい。
【0159】
また、例えば、本発明の一実施形態に係る仕切板位置検出センサ670は、仕切板620の底面に配置される接触式センサであり、下方収納部630に集積された回収紙幣との接触を検出してもよい。この場合、制御部70は、仕切板位置検出センサ670が回収紙幣との接触を検出したことに基づいて、仕切板620が可動領域の最下端に位置していないと判定してもよい。
【0160】
また、上記実施形態では、仕切板620が上下方向に回動可能に設けられる場合を主な例として説明した。一方、本発明の一実施形態に係る仕切板620は、上下方向に直線的に移動可能に設けられてもよい。
【0161】
また、上記実施形態では、媒体入出口10は、利用者が媒体を挿入する、または利用者に対して媒体を出力するものとして説明した。しかし、本発明の一実施形態に係る媒体入出口10は、利用者が媒体を挿入する機能のみ有する媒体挿入口としてもよく、その場合は媒体処理装置1の前面に利用者に対して媒体を出力する機能のみ有する媒体出力口を設けてもよい。媒体出力口を設ける場合、搬送部30と媒体出力口とが接続され、媒体処理装置1の内部における搬送路の配置は図2に対し一部が変更されるが、上述した各実施形態における媒体収納カセット60の構成および制御は同一である。
【0162】
また、上記実施形態では、媒体の一例として紙幣を例示したが、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1が処理の対象とする媒体は紙幣に限定されない。さらには、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置1は、例えば、紙幣と金券等、種類の異なる複数の媒体を同時に処理してもよい。また、この場合、下方収納部630と上方収納部635には、それぞれ異なる種類の媒体が収納されてもよい。
【0163】
また、上記実施形態において説明した処理に係る各ステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、各ステップは、記載された順序と異なる順序で処理されても、一部が並列的に処理されてもよい。
【0164】
また、上記実施形態において説明した制御部70による一連の処理は、コンピュータにより読み取り可能な非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable storage medium)に格納されるプログラムにより実現されてもよい。各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のプログラムは、記憶媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0165】
1 媒体処理装置
10 媒体入出口
20 媒体入出部
30 搬送部
40 鑑別部
50 媒体収納部
60 媒体収納カセット
70 制御部
615 通貨口
620 仕切板
626 引張部材
630 下方収納部
635 上方収納部
640 ステージ
650 支持部材
670 仕切板位置検出センサ
680 ステージ位置検出センサ
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