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特開2023-182072検索プログラム、検索装置、及び検索方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182072
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】検索プログラム、検索装置、及び検索方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/903 20190101AFI20231219BHJP
   G16H 20/30 20180101ALI20231219BHJP
【FI】
G06F16/903
G16H20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095463
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】早川 昭二
(72)【発明者】
【氏名】前田 一穂
【テーマコード(参考)】
5B175
5L099
【Fターム(参考)】
5B175FB04
5B175HB03
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】介入対象者に対する介入方法に関する適切な事例を検索する。
【解決手段】コンピュータは、介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択する。コンピュータは、介入対象者に対して特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求める。コンピュータは、複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、特定の事例データを検索する。特定の事例データは、第1特性情報及び推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、特定の介入方法とを含む。コンピュータは、特定の事例データに基づく情報を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択し、
前記介入対象者に対して前記特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、前記第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求め、
複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、前記第1特性情報及び前記推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、前記特定の介入方法とを含む、特定の事例データを検索し、
前記特定の事例データに基づく情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための検索プログラム。
【請求項2】
複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報に基づいて、前記第1特性情報を生成する処理を、前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項1記載の検索プログラム。
【請求項3】
前記複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報は、前記複数の項目各々の数値を含み、
前記第1特性情報は、前記複数の項目に関連する複数の因子それぞれの数値を含み、
前記複数の因子各々の数値は、前記複数の項目各々の数値の加重和であることを特徴とする請求項2記載の検索プログラム。
【請求項4】
前記複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データは、前記複数の人物それぞれの介入方法を用いて介入が行われたときの状況を示す状況情報をさらに含み、
前記特定の事例データに基づく情報は、前記特定の事例データに含まれる状況情報を含むことを特徴とする請求項1記載の検索プログラム。
【請求項5】
前記特定の介入方法を選択する処理は、
前記第1特性情報に基づいて、前記第1特性情報に対応する前記介入対象者の状態を示す第1状態情報を求める処理と、
前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々に基づいて、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の前記介入対象者の状態を示す第2状態情報を求める処理と、
前記第1状態情報及び前記第2状態情報に基づいて、前記複数の介入方法の中から前記特定の介入方法を選択する処理と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の検索プログラム。
【請求項6】
前記第1状態情報を求める処理は、状態推定モデルを用いて前記第1特性情報から前記第1状態情報を求める処理を含み、
前記第2状態情報を求める処理は、
特性推定モデルを用いて、前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々から、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の特性を示す第3特性情報を求める処理と、
前記状態推定モデルを用いて前記第3特性情報から前記第2状態情報を求める処理と、
を含み、
前記状態推定モデルは、複数の特性情報と前記複数の特性情報それぞれに対応する状態情報とを含む、訓練データを用いた機械学習により生成され、
前記特性推定モデルは、前記複数の特性情報と、前記複数の特性情報各々に対応する介入方法と、前記複数の特性情報各々と前記複数の特性情報各々に対応する介入方法との組み合わせに対応する状態情報とを含む、訓練データと、前記状態推定モデルとを用いた機械学習により生成されることを特徴とする請求項5記載の検索プログラム。
【請求項7】
前記推定特性変化量を求める処理は、
前記特性推定モデルを用いて、前記第1特性情報及び前記特定の介入方法から前記第2特性情報を求める処理と、
前記第1特性情報及び前記第2特性情報を用いて前記推定特性変化量を求める処理と、
を含むことを特徴とする請求項6記載の検索プログラム。
【請求項8】
介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択する選択部と、
前記介入対象者に対して前記特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、前記第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求める推定部と、
複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、前記第1特性情報及び前記推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、前記特定の介入方法とを含む、特定の事例データを検索する検索部と、
前記特定の事例データに基づく情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする検索装置。
【請求項9】
介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択し、
前記介入対象者に対して前記特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、前記第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求め、
複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、前記第1特性情報及び前記推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、前記特定の介入方法とを含む、特定の事例データを検索し、
前記特定の事例データに基づく情報を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索技術に関する。
【背景技術】
【0002】
国及び地方自治体において、住民の健康寿命を延伸させることで社会保険料を削減する取り組みが実施されており、アウトリーチ支援を行っている地方自治体が増えている。アウトリーチ支援では、地方自治体の保健師が高齢者宅を訪問して、高齢者に対する働きかけを行う。働きかけによって、フレイル予防への高齢者の関心度を増加させたり、高齢者の意識を変えて、介護予防に繋がる行動を自ら起こすように促したりすることができる。働きかけは、介入と呼ばれることもある。
【0003】
健康改善に関連して、検証にかかる期間、手間又は費用等の負担を軽減しながら、製品又はサービスの健康改善に関する効果を検証する情報を生成できる情報生成システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。ユーザの健康に関連する情報として、より多くの情報を収集可能な情報管理システムも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
行動に対する対象者の動機付けやセルフエフィカシーを向上させ、リラプスの発生を抑制できる行動支援システムも知られている(例えば、特許文献3を参照)。ケアプランの作成を行うユーザにとって利用しやすく、より被介護者に適したケアプランの作成を補助する情報処理装置も知られている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-87349号公報
【特許文献2】特開2020-27309号公報
【特許文献3】特開2016-85703号公報
【特許文献4】特開2019-46474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アウトリーチ支援においては、過去に高齢者に対して行われた働きかけに関する事例を参考にして、働きかけ対象者に対する働きかけ方法を決定することが望ましい。しかしながら、多数の事例の中から最も効果的な働きかけに関する成功事例を抽出することは容易ではない。
【0007】
なお、かかる問題は、アウトリーチ支援において高齢者に対する働きかけ方法を決定する場合に限らず、様々な社会活動において介入対象者に対する介入方法を決定する場合において生ずるものである。
【0008】
1つの側面において、本発明は、介入対象者に対する介入方法に関する適切な事例を検索することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの案では、検索プログラムは、以下の処理をコンピュータに実行させる。
【0010】
コンピュータは、介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択する。コンピュータは、介入対象者に対して特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求める。
【0011】
コンピュータは、複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、特定の事例データを検索する。特定の事例データは、第1特性情報及び推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、特定の介入方法とを含む。コンピュータは、特定の事例データに基づく情報を出力する。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面によれば、介入対象者に対する介入方法に関する適切な事例を検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の検索装置の機能的構成図である。
図2】第1の検索処理のフローチャートである。
図3】検索装置の具体例を示す機能的構成図である。
図4】因子得点行列を示す図である。
図5】働きかけ前の状態を示す状態行列を示す図である。
図6】状態推定モデルを示す図である。
図7】働きかけ行列を示す図である。
図8】働きかけ後の状態を示す状態行列を示す図である。
図9】因子得点推定モデルを示す図である。
図10】組み合わせモデルを示す図である。
図11】事例データを示す図である。
図12】因子得点ベクトルを示す図である。
図13】働きかけ前の因子得点ベクトルから生成された状態情報を示す図である。
図14】働きかけ後の因子得点ベクトルから生成された状態情報を示す図である。
図15】状況情報を示す図である。
図16A】学習処理のフローチャート(その1)である。
図16B】学習処理のフローチャート(その2)である。
図17A】第2の検索処理のフローチャート(その1)である。
図17B】第2の検索処理のフローチャート(その2)である。
図18】情報処理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0015】
例えば、アウトリーチ支援のために保健師が高齢者宅を訪問して働きかけを行う場合、以下のような情報が収集される。
【0016】
(A1)基本チェックリスト又はアセスメントシートのような、住民の状態に関するアンケート結果
(A2)住民に対して行われた働きかけの方法を示す分類ラベル
(A3)住民の意識又は関心の変化(例えば、働きかけ前後の住民の状態)
【0017】
(A1)のアンケート結果は、働きかけの前に収集され、働きかけの後では収集されない。基本チェックリストは、例えば、日常生活、運動、栄養、口腔、閉じこもり、認知、うつ等の複数の質問を含む。(A2)の働きかけの方法としては、情報提供、フィードバック、モデリング、指導等が用いられる。(A3)の働きかけ前後の住民の状態としては、例えば、行動変容ステージモデルにおけるステージを示す情報が用いられる。
【0018】
(A1)~(A3)の情報と、訪問時の状況を示す状況情報とを対応付けることで、事例データが生成され、データベースに蓄積される。状況情報としては、例えば、以下のような情報が用いられる。
【0019】
(B1)働きかけを行った保健師
(B2)分類ラベルよりも具体的な働きかけの情報
(B3)住民に渡したパンフレットの種類
(B4)働きかけを決めた着眼点
(B5)訪問において合意した行動目標
(B6)同席者
(B7)その他(気になったこと等)
【0020】
働きかけ対象者に対する働きかけ方法を決定する際、データベースに蓄積された事例データの中から、最も効果的な働きかけ方法を含む成功事例の事例データを検索して、保健師に提示することが望ましい。そこで、データベースから事例データを検索する比較例の検索装置について説明する。比較例の検索装置は、以下のような手順で事例データを検索する。
【0021】
(1)検索装置は、訓練データを用いた機械学習によりディープニューラルネットワーク(Deep Neural Network,DNN)を訓練して、意識変化推定モデルを生成する。訓練データは、アンケート結果及び働きかけ方法を入力データとして含み、意識変化の結果を出力データの教師データとして含む。働きかけ方法は、例えば、ワンホットベクトルにより表される。意識変化の結果としては、例えば、良い方向への変化、変化なし、又は悪い方向への変化(逆効果)の3種類の結果が用いられる。
【0022】
(2)検索装置は、意識変化推定モデルを用いて、働きかけ対象者から取得したアンケート結果と複数の働きかけ方法各々との組み合わせから、意識変化の結果を生成する。そして、検索装置は、良い方向への変化を示す確率が最も高い働きかけ方法を、推奨働きかけ方法として選択する。
【0023】
(3)検索装置は、データベースから、推奨働きかけ方法を示す分類ラベルを含み、かつ、働きかけ対象者のアンケート結果と類似するアンケート結果を含む事例データを検索して、保健師に提示する。働きかけ対象者のアンケート結果と類似するアンケート結果は、働きかけ対象者のアンケート結果との差分が小さいアンケート結果を意味する。
【0024】
推奨働きかけ方法を含み、かつ、アンケート結果が類似している過去の事例データは、働きかけ対象者に対する働きかけ方法の具体的内容を決定する際に参考となる有益な事例データである。保健師は、提示された事例データに記載された具体的な働きかけ内容を参考にして、働きかけ対象者への推奨働きかけ方法を採用するか否かを決定することができる。
【0025】
しかしながら、アンケート結果が類似しているからといって、必ずしも同じ働きかけ方法が働きかけ対象者に対して効果を奏するとは限らない。例えば、基本チェックリストが幅広いカテゴリの複数の質問を含んでいる場合、どの質問に対する回答が同じであり、どの質問に対する回答が異なっているかによって、働きかけ方法の効果が異なってくる。
【0026】
一例として、働きかけ対象者のアンケート結果において特定の質問に対する回答が「はい」となっており、その質問に対する回答が働きかけの効果に重要となる場合を想定する。
【0027】
この場合、その質問に対する回答が「いいえ」であり、かつ、他のすべての質問に対する回答が一致している、働きかけが成功した事例の事例データが、類似するアンケート結果を含む事例データとして抽出される可能性がある。抽出された事例データが成功事例に対応する場合であっても、その事例データは、保健師が参考にしても働きかけの成功に繋がらない恐れがある。
【0028】
図1は、実施形態の検索装置の機能的構成例を示している。図1の検索装置101は、選択部111、推定部112、検索部113、及び出力部114を含む。
【0029】
図2は、図1の検索装置101が行う第1の検索処理の例を示すフローチャートである。まず、選択部111は、介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択する(ステップ201)。そして、推定部112は、介入対象者に対して特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求める(ステップ202)。
【0030】
次に、検索部113は、複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、特定の事例データを検索する(ステップ203)。特定の事例データは、第1特性情報及び推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、特定の介入方法とを含む。出力部114は、特定の事例データに基づく情報を出力する(ステップ204)。
【0031】
図1の検索装置101によれば、介入対象者に対する介入方法に関する適切な事例を検索することができる。
【0032】
図3は、図1の検索装置101の具体例を示している。図3の検索装置301は、分析部311、訓練部312、生成部313、選択部314、推定部315、検索部316、表示部317、及び記憶部318を含む。選択部314、推定部315、検索部316、及び表示部317は、図1の選択部111、推定部112、検索部113、及び出力部114にそれぞれ対応する。
【0033】
検索装置301は、働きかけ対象者に対する働きかけ方法を決定するユーザを支援する。働きかけ対象者は、介入対象者に対応し、働きかけ方法は、介入方法に対応する。例えば、アウトリーチ支援の場合、ユーザは、働きかけ対象者の自宅を訪問して働きかけを行う保健師に対応する。検索装置301は、学習処理及び検索処理を行う。
【0034】
学習処理において、記憶部318は、過去に働きかけを受けたN人の人物のアンケートデータ321を記憶する。Nは2以上の整数であるが、後述する因子分析やモデル推定に必要な人数がNに設定される。アンケートデータ321は、働きかけの前に各人物から取得された基本チェックリスト及び/又はアセスメントシートのような、アンケート結果を含む。
【0035】
アンケート結果は、K個(Kは2以上の整数)の質問それぞれに対する回答を含む。K個の質問は、複数の項目の一例である。各質問に対する回答は、例えば、数値により表され、アンケートデータ321は、例えば、各人物のK個の回答をK次元ベクトルとして含む、N行K列の行列Zにより表される。
【0036】
分析部311は、アンケートデータ321に対する探索的因子分析を行うことで、アンケート結果に対する意味のある重み付けを行う。まず、分析部311は、探索的因子分析を行うことで、M個の主因子とK行M列の因子負荷行列Aとを求める。因子負荷行列Aの各要素は、因子負荷量を表す。
【0037】
次に、分析部311は、アンケートデータ321からK行K列の相関行列Rを求め、相関行列Rの逆行列R-1を求める。そして、分析部311は、行列ZをN行M列の因子得点行列Fに変換するK行M列の係数行列Cを次式により求め、係数行列Cを示す係数情報322を記憶部318に格納する。
【0038】
C=R-1A (1)
【0039】
次に、分析部311は、次式により因子得点行列Fを求める。
【0040】
F=ZC (2)
【0041】
因子得点行列Fの各要素は、因子得点を表す。因子得点は、各人物のK個の回答の加重和であり、各人物の各主因子に対する評価値を表す。係数行列Cの各要素は、各人物の各主因子に対する因子得点の計算における、各回答の数値に対する重みを表す。因子得点行列Fの各行は、人物の特性を示す特性情報に対応する。
【0042】
K個の回答の加重和である因子得点を求めることで、アンケート結果に対して影響を与えている潜在的な主因子の重要度を数値化することができる。
【0043】
図4は、因子得点行列Fの例を示している。Pi(i=1~N)は、i番目の人物のアンケート結果の識別情報であり、Rj(j=1~M)は、j番目の主因子の識別情報である。この例では、M=5であり、R1は、自己効力感を表し、R2は、モチベーションを表し、R3は、身体的能力を表し、R4は、社会的支援を表し、R5は、その他の主因子を表す。
【0044】
分析部311は、探索的因子分析の代わりに、各質問と各因子の間の繋がりを予め仮定した確認的因子分析を用いて、係数行列Cを求めてもよい。
【0045】
次に、訓練部312は、訓練データ323を生成して、記憶部318に格納する。訓練データ323は、因子得点行列Fと、因子得点行列Fの各行に対応する状態情報とを含む。状態情報は、因子得点行列Fの各行に対応する人物の働きかけ前の状態を示す教師データであり、アンケートデータ321とともに事前に用意されている。N人の人物の状態情報は、N行L列の状態行列により表される。Lは、状態の個数を表す。
【0046】
図5は、働きかけ前の状態を示す状態行列の例を示している。Tj(j=1~L)は、j番目の状態の識別情報である。この例では、L=5であり、行動変容ステージモデルにおけるステージが状態として用いられている。T1は、無関心期を表し、T2は、関心期を表し、T3は、準備期を表し、T4は、実行期を表し、T5は、維持期を表す。Tjは、jが大きくなるほど、より先に進んだステージを表す。
【0047】
状態行列の各行は、人物の働きかけ前の状態を示す状態情報であり、ワンホットベクトルにより表される。例えば、アンケート結果P1に対応する人物の状態情報は(0,1,0,0,0)であり、T2に対応する。
【0048】
次に、訓練部312は、訓練データ323を用いた機械学習により機械学習モデルを訓練することで、状態推定モデル325を生成して、記憶部318に格納する。状態推定モデル325は、人物のM個の因子得点を含む因子得点ベクトルから、その人物の状態を推定する。機械学習により生成されたモデルは、学習済みモデルと呼ばれることもある。
【0049】
機械学習モデルとしては、例えば、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、又はサポートベクタマシンが用いられる。ニューラルネットワークは、DNNであってもよい。機械学習のアルゴリズムとしては、例えば、誤差逆伝播学習が用いられる。
【0050】
図6は、状態推定モデル325の例を示している。図6の状態推定モデル601はDNNであり、入力層611は、ノード621-1~ノード621-5を含み、出力層612は、ノード622-1~ノード622-5を含む。ノード621-1~ノード621-5は、R1~R5にそれぞれ対応する因子得点を受け付ける入力ノードであり、ノード622-1~ノード622-5は、T1~T5にそれぞれ対応する状態の数値を出力する出力ノードである。
【0051】
次に、訓練部312は、訓練データ324を生成して、記憶部318に格納する。訓練データ324は、因子得点行列Fと、アンケートデータ321と、各人物に対して行われた働きかけの方法と、各人物の働きかけ後の状態を示す状態情報とを含む。働きかけ方法と状態情報は、アンケートデータ321とともに事前に用意されている。
【0052】
各人物に対して行われた働きかけの方法は、複数の特性情報各々に対応する介入方法の一例である。各人物の働きかけ後の状態を示す状態情報は、複数の特性情報各々と複数の特性情報各々に対応する介入方法との組み合わせに対応する状態情報の一例である。
【0053】
N人の人物の働きかけ方法は、N行G列の働きかけ行列により表される。Gは、働きかけ方法の個数を表す。
【0054】
図7は、働きかけ行列の例を示している。Hj(j=1~G)は、j番目の働きかけ方法の識別情報である。この例では、G=5である。働きかけ方法の識別情報としては、例えば、働きかけ方法を示す分類ラベルが用いられる。H1は、情報提供を表し、H2は、フィードバックを表し、H3は、モデリングを表し、H4は、指導を表し、H5は、その他の働きかけ方法を表す。
【0055】
働きかけ行列の各行は、働きかけ方法を示すワンホットベクトルである。例えば、アンケート結果P1に対応する人物の働きかけ方法は(1,0,0,0,0)であり、H1に対応する。
【0056】
図8は、働きかけ後の状態を示す状態行列の例を示している。例えば、アンケート結果P1に対応する人物の状態情報は(0,0,1,0,0)であり、T3に対応する。図5図8を比較すると、図7の働きかけによって、この人物の状態は関心期から準備期に変化しており、働きかけが成功していることが分かる。
【0057】
次に、訓練部312は、状態推定モデル325及び訓練データ324を用いた機械学習により機械学習モデルを訓練することで、因子得点推定モデル326を生成して、記憶部318に格納する。因子得点推定モデル326は、人物の働きかけ前の因子得点ベクトル、アンケート結果、及び働きかけ方法から、その人物の働きかけ後の因子得点ベクトルを推定する、学習済みモデルである。因子得点推定モデル326は、特性推定モデルの一例である。
【0058】
図9は、因子得点推定モデル326の例を示している。図9の因子得点推定モデル901はDNNであり、入力層911は、ノード921-1~ノード921-5を含み、入力層912は、ノード922-1~ノード922-Kを含み、入力層913は、ノード923-1~ノード923-5を含む。出力層914は、ノード924-1~ノード924-5を含む。
【0059】
ノード921-1~ノード921-5は、R1~R5にそれぞれ対応する働きかけ前の因子得点を受け付ける入力ノードである。ノード922-1~ノード922-Kは、アンケート結果に含まれるK個の回答を受け付ける入力ノードである。Qj(j=1~K)は、j番目の質問の識別情報である。ノード923-1~ノード923-5は、H1~H5の何れかを示すワンホットベクトルを受け付ける入力ノードである。
【0060】
924-1~ノード924-5は、R1~R5にそれぞれ対応する働きかけ後の因子得点を出力する出力ノードである。
【0061】
入力層912及び入力層913に入力された数値に対して、複数の中間層による演算処理が実行され、最終中間層の演算結果が出力層914へ出力される。一方、入力層911に入力された働きかけ前の因子得点ベクトルは、恒等写像によりそのまま出力層914へ出力される。
【0062】
出力層914は、最終中間層の演算結果の加重和を表すベクトルと、入力層911に入力された因子得点ベクトルとの和を、働きかけ後の因子得点ベクトルとして出力する。この場合、働きかけ前の因子得点ベクトルは、出力層914におけるバイアスとして用いられる。
【0063】
ここで、説明を簡単にするため、因子得点推定モデル901が1層の中間層のみを含む場合を想定する。この場合、働きかけ後の因子得点ベクトルyは、入力層912及び入力層913に入力された数値を要素とするベクトルxと、バイアスベクトルb1と、働きかけ前の因子得点ベクトルb2とを用いて、次式により表される。
【0064】
y=W2・f(W1・x+b1)+b2 (3)
【0065】
W1は、ベクトルxに対する重みを表し、fは、活性化関数を表し、W2は、f(W1・x+b1)に対する重みを表す。式(3)の右辺のW2・f(W1・x+b1)は、因子得点ベクトルyと因子得点ベクトルb2との差分を表す。
【0066】
図10は、因子得点推定モデル326を生成する機械学習における組み合わせモデルの例を示している。図10の組み合わせモデル1001は、学習前の機械学習モデルに対応するDNN1011と、図6の状態推定モデル601とを含む。DNN1011は、図9の因子得点推定モデル901と同様の構成を有する。状態推定モデル601の入力層611は、DNN1011の出力層914に接続されている。
【0067】
訓練部312は、因子得点行列Fの各行に対応する働きかけ前の因子得点ベクトルと、各人物の回答を表すK次元ベクトルと、図7の働きかけ行列の各行に対応するワンホットベクトルとを、DNN1011の入力層911~入力層913に与える。そして、訓練部312は、図8の状態行列の各行に対応する状態情報を、状態推定モデル601の出力層612に教師データとして与えて、誤差逆伝播学習によりDNN1011を訓練する。入力層911に入力された働きかけ前の因子得点ベクトルは、出力層914におけるバイアスの初期値として用いられる。
【0068】
誤差逆伝播学習において、訓練部312は、出力層914におけるバイアスの学習率と、状態推定モデル601の各層における学習率とを、0に設定する。したがって、出力層914に与えられるバイアスは更新されず、状態推定モデル601も更新されない。このような組み合わせモデル1001を用いた誤差逆伝播学習により、DNN1011から因子得点推定モデル901が生成される。
【0069】
因子得点推定モデル326は、アンケート結果に含まれるK個の回答を受け付ける入力層の代わりに、働きかけ前の因子得点ベクトルを受け付ける入力層を含んでいてもよい。
【0070】
次に、訓練部312は、アンケートデータ321に含まれるN人のアンケート結果に対応するN個の事例データを生成し、それらの事例データを事例集合327として記憶部318に格納する。事例集合327は、事例データを蓄積するデータベースとして用いられる。
【0071】
図11は、事例集合327に含まれる事例データの例を示している。図11の事例データは、エントリ番号、働きかけ方法、働きかけ前の因子得点ベクトル、差分ベクトル、働きかけ前の状態情報、働きかけ後の状態情報、及び状況情報を含む。
【0072】
エントリ番号は、事例データの識別情報である。働きかけ方法は、人物に対して行われた働きかけの方法を表す。働きかけ前の因子得点ベクトルは、因子得点行列Fにおいて、その人物に対応する行に含まれるM個の因子得点からなるベクトルである。
【0073】
差分ベクトルは、働きかけ後の因子得点ベクトルと働きかけ前の因子得点ベクトルとの差分を表すベクトルである。
【0074】
訓練部312は、各人物の働きかけ前の因子得点ベクトル、アンケート結果、及び働きかけ方法を因子得点推定モデル326に入力し、因子得点推定モデル326から出力される因子得点ベクトルを、その人物の働きかけ後の因子得点ベクトルとして取得する。そして、訓練部312は、働きかけ後の因子得点ベクトルに含まれる各要素と、働きかけ前の因子得点ベクトルに含まれる同じ要素との差分を計算し、M個の差分を要素として含む差分ベクトルを生成する。差分ベクトルは、特性変化量の一例である。
【0075】
働きかけ前の状態情報は、人物の働きかけ前の状態を示す。働きかけ後の状態情報は、人物の働きかけ後の状態を示す。状況情報は、働きかけが行われたときの状況を示す。
【0076】
状況情報としては、例えば、前述した(B1)~(B7)の情報が用いられる。(B4)の着眼点は、例えば、アンケート結果に含まれる特定の質問であってもよく、(B5)の行動目標は、例えば、自宅で体操を行うことであってもよい。(B6)の同席者は、例えば、訪問時に同席した家族であってもよく、(B7)の気になったことは、例えば、働きかけを受けた人物の性格であってもよい。人物の性格は、論理的な思考をする性格であってもよい。
【0077】
検索装置301は、アンケートデータ321に対応するN個の事例とは異なる他の事例の事例データを、事例集合327に追加してもよい。
【0078】
検索処理において、記憶部318は、新たな働きかけ対象者のアンケートデータ328を記憶する。アンケートデータ328は、アンケートデータ321と同様のアンケート結果を含む。アンケートデータ328は、複数の項目それぞれについて介入対象者から取得された情報の一例である。
【0079】
生成部313は、アンケートデータ328に基づいて、働きかけ対象者の働きかけ前の因子得点ベクトル329を生成し、記憶部318に格納する。生成部313は、アンケートデータ328に含まれるK個の数値を要素として含むベクトルuと、係数情報322が示す係数行列Cとを用いて、次式により因子得点ベクトルvを求める。
【0080】
v=uC (4)
【0081】
そして、生成部313は、因子得点ベクトルvを、因子得点ベクトル329として記憶部318に格納する。アンケートデータ328から因子得点ベクトル329を生成することで、K個の質問に対する働きかけ対象者の回答を、働きかけ対象者の各主因子に対する評価値に変換することができる。
【0082】
因子得点ベクトル329は、介入対象者の特性を示す第1特性情報の一例である。因子得点ベクトル329に含まれるM個の因子得点は、複数の項目に関連する複数の因子それぞれの数値の一例である。
【0083】
図12は、因子得点ベクトル329の例を示している。図12の因子得点ベクトル329は、R1~R5それぞれの因子得点を含んでいる。この例では、M=5である。
【0084】
次に、選択部314は、因子得点ベクトル329に基づいて、G個の働きかけ方法の中から、働きかけ対象者に適した特定の働きかけ方法を、推奨働きかけ方法として選択する。そして、選択部314は、推奨働きかけ方法を示す働きかけ情報330を、記憶部318に格納する。
【0085】
選択部314は、因子得点ベクトル329を状態推定モデル325に入力して、状態推定モデル325から出力されるL個の状態の数値を取得し、それらの数値に基づいて、働きかけ対象者の働きかけ前の状態を推定する。選択部314は、例えば、L個の数値のうち最大値に対応する状態が、働きかけ対象者の働きかけ前の状態であると推定する。状態推定モデル325から出力されるL個の数値は、第1状態情報の一例である。
【0086】
状態推定モデル325を用いることで、働きかけ前の状態を精度良く推定することができる。
【0087】
図13は、図12の因子得点ベクトル329から生成された状態情報の例を示している。図13の状態情報は、T1~T5それぞれの状態の数値を含んでいる。この例では、L=5である。この場合、T1の数値が最大であるため、働きかけ対象者の働きかけ前の状態は、無関心期と推定される。
【0088】
次に、選択部314は、G個の働きかけ方法の中から各働きかけ方法を順に選択し、因子得点推定モデル326を用いて、選択された働きかけ方法が適用された場合の働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルを推定する。
【0089】
選択部314は、働きかけ前の因子得点ベクトル329、アンケートデータ328、及び選択された働きかけ方法を、因子得点推定モデル326に入力する。そして、選択部314は、因子得点推定モデル326から出力される因子得点ベクトルを、働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルとして取得する。働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルは、介入対象者に対して複数の介入方法各々が適用された後の特性を示す第3特性情報の一例である。
【0090】
次に、選択部314は、働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルを状態推定モデル325に入力して、状態推定モデル325から出力されるL個の状態の数値を取得し、それらの数値に基づいて、働きかけ対象者の働きかけ後の状態を推定する。選択部314は、例えば、L個の数値のうち最大値に対応する状態が、働きかけ対象者の働きかけ後の状態であると推定する。状態推定モデル325から出力されるL個の数値は、第2状態情報の一例である。
【0091】
因子得点推定モデル326及び状態推定モデル325を用いることで、働きかけ後の状態を精度良く推定することができる。
【0092】
図14は、働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルから生成された状態情報の例を示している。この例では、H2のフィードバックが、働きかけ方法として選択されている。この場合、T2の数値が最大であるため、働きかけ対象者の働きかけ後の状態は、関心期と推定される。
【0093】
次に、選択部314は、各働きかけ方法が適用された場合の働きかけ後の状態を比較して、状態が最も改善される働きかけ方法を、推奨働きかけ方法として選択する。これにより、成功する可能性が高い働きかけ方法を、推奨働きかけ方法として特定することができる。
【0094】
行動変容ステージモデルの場合、働きかけ前のステージよりも先に進んだステージが、改善された状態に対応する。例えば、T2~T5が示すステージは、T1が示すステージよりも改善されたステージに対応する。
【0095】
フィードバックによる働きかけ後の状態がT2であり、他の働きかけ方法による働きかけ後の状態がT1である場合、フィードバックが推奨働きかけ方法として選択される。フィードバック及びモデリングによる働きかけ後の状態がT2であり、他の働きかけ方法による働きかけ後の状態がT1である場合、フィードバック及びモデリングのうち、T2の数値が大きい方が推奨働きかけ方法として選択される。また、複数の働きかけ方法による働きかけ後の状態がT2となった場合には、図14に示されるT2の数値が最も大きい働きかけ方法が、推奨働きかけ方法として選択される。
【0096】
次に、推定部315は、因子得点ベクトル329、アンケートデータ328、及び働きかけ情報330が示す推奨働きかけ方法を、因子得点推定モデル326に入力する。そして、推定部315は、因子得点推定モデル326から出力される、働きかけ後の因子得点ベクトル331を取得し、記憶部318に格納する。因子得点ベクトル331は、介入対象者に対して特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報の一例である。
【0097】
次に、推定部315は、因子得点ベクトル331に含まれる各要素と、因子得点ベクトル329に含まれる同じ要素との差分を計算し、M個の差分を要素として含む推定差分ベクトル332を生成する。そして、推定部315は、推定差分ベクトル332を記憶部318に格納する。推定差分ベクトル332は、第2特性情報と第1特性情報との差分を表す推定特性変化量の一例である。
【0098】
因子得点推定モデル326を用いることで、働きかけ後の因子得点ベクトル331を精度良く推定することができる。したがって、因子得点ベクトル331から生成される推定差分ベクトル332の精度も向上する。
【0099】
次に、検索部316は、事例集合327から、働きかけ対象者に適した特定の事例データを検索する。特定の事例データは、選択部314により選択された推奨働きかけ方法と同一の働きかけ方法を含み、かつ、因子得点ベクトル329及び推定差分ベクトル332の組み合わせC1と類似する働きかけ前の因子得点ベクトル及び差分ベクトルの組み合わせC2を含む。
【0100】
検索部316は、事例集合327から推奨働きかけ方法と同一の働きかけ方法を含む事例データを抽出し、組み合わせC1と、抽出された事例データに含まれる組み合わせC2との間の距離Dを、次式により計算する。
【0101】
D=α(v-s)(Σ1)-1(v-s)
+(1-α)(Δv-Δs)(Σ2)-1(Δv-Δs) (5)
【0102】
vは、因子得点ベクトル329を表し、sは、抽出された事例データに含まれる働きかけ前の因子得点ベクトルを表す。Δvは、推定差分ベクトル332を表し、Δsは、抽出された事例データに含まれる差分ベクトルを表す。
【0103】
ベクトルv、ベクトルs、ベクトルΔv、及びベクトルΔsは、行ベクトルである。したがって、(v-s)及び(Δv-Δs)も行ベクトルである。(v-s)は、(v-s)を転置することで得られる列ベクトルを表し、(Δv-Δs)は、(Δv-Δs)を転置することで得られる列ベクトルを表す。
【0104】
Σ1は、事例集合327内の事例データに含まれる働きかけ前の因子得点ベクトルの共分散行列を表し、(Σ1)-1は、Σ1の逆行列を表す。Σ2は、事例集合327内の事例データに含まれる差分ベクトルの共分散行列を表し、(Σ2)-1は、Σ2の逆行列を表す。
【0105】
αは、0~1の範囲の実数である。式(5)の右辺の第1項は、ベクトルvとベクトルsの間のマハラノビス距離と、αとの積を表す。第2項は、ベクトルΔvとベクトルΔsの間のマハラノビス距離と、(1-α)との積を表す。αを変更することで、第1項又は第2項の何れを重視するかを調整することができる。
【0106】
組み合わせC1と組み合わせC2の間の類似度は、距離Dが小さいほど大きくなり、距離Dが大きいほど小さくなる。そこで、検索部316は、抽出された事例データのうち、最小の距離Dを有する事例データを、特定の事例データに決定する。
【0107】
式(5)を用いて距離Dを計算することで、働きかけ前の因子得点ベクトルが類似しているだけでなく、働きかけによる因子得点ベクトルの変化量も類似している、適切な成功事例の事例データを検索することができる。したがって、働きかけ対象者の働きかけ前の状態だけでなく、働きかけを実施した後の効果(変化)の類似性も考慮して、働きかけ対象者に対する働きかけ方法を決定する上で最も参考となる成功事例の情報を求めることができる。
【0108】
ベクトルvとベクトルsの間の距離、及びベクトルΔvとベクトルΔsの間の距離としては、式(5)に示した距離以外のベクトル間距離を用いてもよい。ベクトル間距離は、ユークリッド距離であってもよく、マンハッタン距離であってもよい。検索部316は、ベクトル間距離の代わりにベクトル間類似度を用いて、特定の事例データを求めてもよい。
【0109】
次に、検索部316は、特定の事例データを用いて検索結果333を生成し、記憶部318に格納する。検索結果333は、例えば、特定の事例データに含まれる働きかけ方法、働きかけ前の状態情報が示す状態、働きかけ後の状態情報が示す状態、及び状況情報を含む。表示部317は、検索結果333を画面上に表示する。検索結果333は、特定の事例データに基づく情報の一例である。
【0110】
図15は、検索結果333に含まれる状況情報の例を示している。担当者は、(B1)の情報に対応し、パンフレットは、(B3)の情報に対応し、着眼点は、(B4)の情報に対応する。合意した行動目標は、(B5)の情報に対応し、同席者は、(B6)の情報に対応し、その他は、(B7)の情報に対応する。
【0111】
過去の事例で採用された働きかけ方法とともに状況情報を表示することで、保健師は、その働きかけ方法が適用されたときの状況を参考にして、同じ働きかけ方法を採用するか否かを決定することができる。
【0112】
図3の検索装置301は、アウトリーチ支援に限らず、様々な社会活動において介入対象者に対する介入方法を決定する場合に利用することができる。例えば、介入対象者は、企業の従業員であってもよく、介入は、従業員の業績を向上させるための働きかけであってもよい。
【0113】
図16A及び図16Bは、図3の検索装置301が行う学習処理の例を示すフローチャートである。まず、分析部311は、探索的因子分析における主因子の個数Mを決定する(ステップ1601)。分析部311は、例えば、ユーザの指示に従って、主因子の個数Mを決定する。主因子の個数Mは、例えば、相関行列の固有値が1以上の因子数を選択する等の既存の方法を用いて決定される。
【0114】
次に、分析部311は、N人の人物のアンケートデータ321に対する探索的因子分析を行うことで、因子負荷行列Aを求める(ステップ1602)。
【0115】
次に、分析部311は、アンケートデータ321から相関行列Rを求める計算を行い(ステップ1603)、計算が収束したか否かをチェックする(ステップ1604)。相関行列が特異行列になっており、計算が収束しない場合(ステップ1604,NO)、検索装置301は、処理を終了する。
【0116】
計算が収束した場合(ステップ1604,YES)、分析部311は、相関行列Rの逆行列R-1を求め、式(1)により係数行列Cを求めて、係数行列Cを示す係数情報322を生成する(ステップ1605)。そして、分析部311は、式(2)により因子得点行列Fを求める(ステップ1606)。
【0117】
次に、訓練部312は、訓練データ323を用いた機械学習により状態推定モデル325を生成する訓練を行い(ステップ1607)、機械学習が収束したか否かをチェックする(ステップ1608)。機械学習が収束していない場合(ステップ1608,NO)、訓練部312は、ステップ1607以降の処理を繰り返す。
【0118】
機械学習が収束した場合(ステップ1608,YES)、訓練部312は、学習前の機械学習モデルと状態推定モデル325とを接続することで、組み合わせモデルを生成する(ステップ1609)。そして、訓練部312は、訓練データ324を用いた機械学習により因子得点推定モデル326を生成する訓練を行い(ステップ1610)、機械学習が収束したか否かをチェックする(ステップ1611)。機械学習が収束していない場合(ステップ1611,NO)、訓練部312は、ステップ1610以降の処理を繰り返す。
【0119】
機械学習が収束した場合(ステップ1611,YES)、訓練部312は、アンケートデータ321から1つのアンケート結果を選択する(ステップ1612)。そして、訓練部312は、選択されたアンケート結果と、そのアンケート結果に対応する働きかけ前の因子得点ベクトル及び働きかけ方法とを、因子得点推定モデル326に入力し、働きかけ後の因子得点ベクトルを生成する(ステップ1613)。
【0120】
次に、訓練部312は、働きかけ後の因子得点ベクトルと働きかけ前の因子得点ベクトルから、差分ベクトルを生成する(ステップ1614)。そして、訓練部312は、エントリ番号、働きかけ方法、働きかけ前の因子得点ベクトル、差分ベクトル、働きかけ前の状態情報、働きかけ後の状態情報、及び状況情報を含む事例データを、事例集合327に追加する(ステップ1615)。
【0121】
次に、訓練部312は、アンケートデータ321に含まれるすべてのアンケート結果を選択したか否かをチェックする(ステップ1616)。未選択のアンケート結果が残っている場合(ステップ1616,NO)、訓練部312は、次のアンケート結果について、ステップ1612以降の処理を繰り返す。すべてのアンケート結果が選択された場合(ステップ1616,YES)、検索装置301は、処理を終了する。
【0122】
図17A及び図17Bは、図3の検索装置301が行う第2の検索処理の例を示すフローチャートである。まず、生成部313は、働きかけ対象者のアンケートデータ328に含まれるK個の数値を要素として含むベクトルuと、係数情報322が示す係数行列Cとを用いて、式(4)により因子得点ベクトルvを求める(ステップ1701)。そして、生成部313は、因子得点ベクトルvを、因子得点ベクトル329として記憶部318に格納する。
【0123】
次に、選択部314は、因子得点ベクトル329を状態推定モデル325に入力し(ステップ1702)、状態推定モデル325から出力されるL個の数値に基づいて、働きかけ対象者の働きかけ前の状態を推定する(ステップ1703)。
【0124】
次に、選択部314は、因子得点ベクトル329及びアンケートデータ328を、因子得点推定モデル326に入力する(ステップ1704)。次に、選択部314は、G個の働きかけ方法の中から1つの働きかけ方法を選択し(ステップ1705)、選択された働きかけ方法を、因子得点推定モデル326に入力する(ステップ1706)。そして、選択部314は、因子得点推定モデル326から出力される因子得点ベクトルを、働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルとして取得する。
【0125】
次に、選択部314は、働きかけ対象者の働きかけ後の因子得点ベクトルを状態推定モデル325に入力し、状態推定モデル325から出力されるL個の数値に基づいて、働きかけ対象者の働きかけ後の状態を推定し、記憶部318に記録する(ステップ1707)。
【0126】
次に、選択部314は、すべての働きかけ方法を選択したか否かをチェックする(ステップ1708)。未選択の働きかけ方法が残っている場合(ステップ1708,NO)、選択部314は、次の働きかけ方法について、ステップ1705以降の処理を繰り返す。
【0127】
すべての働きかけ方法が選択された場合(ステップ1708,YES)、選択部314は、記憶部318に記録されている、各働きかけ方法が適用された場合の働きかけ後の状態を比較して、状態が最も改善される働きかけ方法を、推奨働きかけ方法として選択する(ステップ1709)。そして、選択部314は、推奨働きかけ方法を示す働きかけ情報330を生成する。
【0128】
次に、推定部315は、因子得点ベクトル329、アンケートデータ328、及び働きかけ情報330が示す推奨働きかけ方法を、因子得点推定モデル326に入力し、働きかけ後の因子得点ベクトル331を推定する(ステップ1710)。そして、推定部315は、因子得点ベクトル331と因子得点ベクトル329から、推定差分ベクトル332を生成する(ステップ1711)。
【0129】
次に、検索部316は、事例集合327から推奨働きかけ方法を含む事例データを抽出し(ステップ1712)、距離Dの最小値DMに初期値を設定する(ステップ1713)。最小値DMの初期値としては、想定される距離Dの最大値よりも十分に大きな値が用いられる。
【0130】
次に、検索部316は、抽出された事例データの中から1つの事例データを選択する(ステップ1714)。そして、検索部316は、因子得点ベクトル329と、推定差分ベクトル332と、選択された事例データに含まれる因子得点ベクトル及び差分ベクトルとを用いて、式(5)により距離Dを計算する(ステップ1715)。
【0131】
次に、検索部316は、距離Dを最小値DMと比較する(ステップ1716)。距離Dが最小値DMよりも小さい場合(ステップ1716,YES)、検索部316は、最小値DMに距離Dを設定し、選択された事例データのエントリ番号を記憶部318に記録する(ステップ1717)。
【0132】
次に、検索部316は、抽出されたすべての事例データを選択したか否かをチェックする(ステップ1718)。未選択の事例データが残っている場合(ステップ1718,NO)、検索部316は、次の事例データについて、ステップ1714以降の処理を繰り返す。
【0133】
すべての事例データが選択された場合(ステップ1718,YES)、検索部316は、最後に記録されたエントリ番号が示す特定の事例データを用いて、検索結果333を生成する(ステップ1719)。そして、表示部317は、検索結果333を画面上に表示する(ステップ1720)。
【0134】
距離Dが最小値DM以上である場合(ステップ1716,NO)、検索部316は、ステップ1718以降の処理を行う。
【0135】
図1の検索装置101及び図3の検索装置301の構成は一例に過ぎず、検索装置101又は検索装置301の用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略又は変更してもよい。例えば、図3の係数情報322、状態推定モデル325、因子得点推定モデル326、及び事例集合327が外部の装置により生成される場合は、分析部311及び訓練部312を省略することができる。
【0136】
図2図16A図16B図17A、及び図17Bのフローチャートは一例に過ぎず、検索装置101又は検索装置301の構成又は条件に応じて、一部の処理を省略又は変更してもよい。例えば、図3の係数情報322、状態推定モデル325、因子得点推定モデル326、及び事例集合327が外部の装置により生成される場合は、図16A及び図16Bの学習処理を省略することができる。
【0137】
図4に示した因子得点行列、図5及び図8に示した状態行列、及び図7に示した働きかけ行列は一例に過ぎず、これらの行列は、アンケートデータ321が取得された事例に応じて変化する。図6に示した状態推定モデル601、図9に示した因子得点推定モデル901、及び図10に示した組み合わせモデル1001は一例に過ぎず、別の機械学習モデルを用いてもよい。図11に示した事例データは一例に過ぎず、別の形式の事例データを用いてもよい。
【0138】
図12に示した因子得点ベクトル329と図13及び図14に示した状態情報は一例に過ぎず、因子得点ベクトル329及び状態情報は、アンケートデータ328に応じて変化する。図15に示した状況情報は一例に過ぎず、状況情報は、働きかけ後の因子得点ベクトル331に応じて変化する。
【0139】
式(1)~式(5)は一例に過ぎず、検索装置301は、別の計算式を用いて学習処理及び検索処理を行ってもよい。
【0140】
図18は、図1の検索装置101及び図3の検索装置301として用いられる情報処理装置のハードウェア構成例を示している。図18の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)1801、メモリ1802、入力装置1803、出力装置1804、補助記憶装置1805、媒体駆動装置1806、及びネットワーク接続装置1807を含む。これらの構成要素はハードウェアであり、バス1808により互いに接続されている。
【0141】
メモリ1802は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリであり、処理に用いられるプログラム及びデータを記憶する。メモリ1802は、図3の記憶部318として動作してもよい。
【0142】
CPU1801(プロセッサ)は、例えば、メモリ1802を利用してプログラムを実行することにより、図1の選択部111、推定部112、及び検索部113として動作する。CPU1801は、メモリ1802を利用してプログラムを実行することにより、図3の分析部311、訓練部312、生成部313、選択部314、推定部315、及び検索部316としても動作する。
【0143】
入力装置1803は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、ユーザ又はオペレータからの指示又は情報の入力に用いられる。出力装置1804は、例えば、表示装置、プリンタ等であり、ユーザ又はオペレータへの問い合わせ又は指示、及び処理結果の出力に用いられる。処理結果は、検索結果333であってもよい。出力装置1804は、図1の出力部114又は図3の表示部317として動作してもよい。
【0144】
補助記憶装置1805は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、テープ装置等である。補助記憶装置1805は、ハードディスクドライブであってもよい。情報処理装置は、補助記憶装置1805にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ1802にロードして使用することができる。補助記憶装置1805は、図3の記憶部318として動作してもよい。
【0145】
媒体駆動装置1806は、可搬型記録媒体1809を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬型記録媒体1809は、メモリデバイス、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等である。可搬型記録媒体1809は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。ユーザ又はオペレータは、可搬型記録媒体1809にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ1802にロードして使用することができる。
【0146】
このように、処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、メモリ1802、補助記憶装置1805、又は可搬型記録媒体1809のような、物理的な(非一時的な)記録媒体である。
【0147】
ネットワーク接続装置1807は、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークに接続され、通信に伴うデータ変換を行う通信インタフェース回路である。情報処理装置は、プログラム及びデータを外部の装置からネットワーク接続装置1807を介して受信し、それらをメモリ1802にロードして使用することができる。ネットワーク接続装置1807は、図1の出力部114として動作してもよい。
【0148】
なお、情報処理装置が図18のすべての構成要素を含む必要はなく、情報処理装置の用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略することも可能である。例えば、可搬型記録媒体1809又は通信ネットワークを使用しない場合は、媒体駆動装置1806又はネットワーク接続装置1807を省略してもよい。
【0149】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【0150】
図1乃至図18を参照しながら説明した実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択し、
前記介入対象者に対して前記特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、前記第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求め、
複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、前記第1特性情報及び前記推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、前記特定の介入方法とを含む、特定の事例データを検索し、
前記特定の事例データに基づく情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させるための検索プログラム。
(付記2)
複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報に基づいて、前記第1特性情報を生成する処理を、前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする付記1記載の検索プログラム。
(付記3)
前記複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報は、前記複数の項目各々の数値を含み、
前記第1特性情報は、前記複数の項目に関連する複数の因子それぞれの数値を含み、
前記複数の因子各々の数値は、前記複数の項目各々の数値の加重和であることを特徴とする付記2記載の検索プログラム。
(付記4)
前記複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データは、前記複数の人物それぞれの介入方法を用いて介入が行われたときの状況を示す状況情報をさらに含み、
前記特定の事例データに基づく情報は、前記特定の事例データに含まれる状況情報を含むことを特徴とする付記1記載の検索プログラム。
(付記5)
前記特定の介入方法を選択する処理は、
前記第1特性情報に基づいて、前記第1特性情報に対応する前記介入対象者の状態を示す第1状態情報を求める処理と、
前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々に基づいて、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の前記介入対象者の状態を示す第2状態情報を求める処理と、
前記第1状態情報及び前記第2状態情報に基づいて、前記複数の介入方法の中から前記特定の介入方法を選択する処理と、
を含むことを特徴とする付記1乃至4の何れか1項に記載の検索プログラム。
(付記6)
前記第1状態情報を求める処理は、状態推定モデルを用いて前記第1特性情報から前記第1状態情報を求める処理を含み、
前記第2状態情報を求める処理は、
特性推定モデルを用いて、前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々から、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の特性を示す第3特性情報を求める処理と、
前記状態推定モデルを用いて前記第3特性情報から前記第2状態情報を求める処理と、
を含み、
前記状態推定モデルは、複数の特性情報と前記複数の特性情報それぞれに対応する状態情報とを含む、訓練データを用いた機械学習により生成され、
前記特性推定モデルは、前記複数の特性情報と、前記複数の特性情報各々に対応する介入方法と、前記複数の特性情報各々と前記複数の特性情報各々に対応する介入方法との組み合わせに対応する状態情報とを含む、訓練データと、前記状態推定モデルとを用いた機械学習により生成されることを特徴とする付記5記載の検索プログラム。
(付記7)
前記推定特性変化量を求める処理は、
前記特性推定モデルを用いて、前記第1特性情報及び前記特定の介入方法から前記第2特性情報を求める処理と、
前記第1特性情報及び前記第2特性情報を用いて前記推定特性変化量を求める処理と、
を含むことを特徴とする付記6記載の検索プログラム。
(付記8)
介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択する選択部と、
前記介入対象者に対して前記特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、前記第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求める推定部と、
複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、前記第1特性情報及び前記推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、前記特定の介入方法とを含む、特定の事例データを検索する検索部と、
前記特定の事例データに基づく情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする検索装置。
(付記9)
複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報に基づいて、前記第1特性情報を生成する生成部をさらに備えることを特徴とする付記8記載の検索装置。
(付記10)
前記複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報は、前記複数の項目各々の数値を含み、
前記第1特性情報は、前記複数の項目に関連する複数の因子それぞれの数値を含み、
前記複数の因子各々の数値は、前記複数の項目各々の数値の加重和であることを特徴とする付記9記載の検索装置。
(付記11)
前記複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データは、前記複数の人物それぞれの介入方法を用いて介入が行われたときの状況を示す状況情報をさらに含み、
前記特定の事例データに基づく情報は、前記特定の事例データに含まれる状況情報を含むことを特徴とする付記8記載の検索装置。
(付記12)
前記選択部は、前記第1特性情報に基づいて、前記第1特性情報に対応する前記介入対象者の状態を示す第1状態情報を求め、前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々に基づいて、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の前記介入対象者の状態を示す第2状態情報を求め、前記第1状態情報及び前記第2状態情報に基づいて、前記複数の介入方法の中から前記特定の介入方法を選択することを特徴とする付記8乃至11の何れか1項に記載の検索装置。
(付記13)
前記選択部は、状態推定モデルを用いて前記第1特性情報から前記第1状態情報を求め、特性推定モデルを用いて、前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々から、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の特性を示す第3特性情報を求め、前記状態推定モデルを用いて前記第3特性情報から前記第2状態情報を求め、
前記状態推定モデルは、複数の特性情報と前記複数の特性情報それぞれに対応する状態情報とを含む、訓練データを用いた機械学習により生成され、
前記特性推定モデルは、前記複数の特性情報と、前記複数の特性情報各々に対応する介入方法と、前記複数の特性情報各々と前記複数の特性情報各々に対応する介入方法との組み合わせに対応する状態情報とを含む、訓練データと、前記状態推定モデルとを用いた機械学習により生成されることを特徴とする付記12記載の検索装置。
(付記14)
介入対象者の特性を示す第1特性情報に基づいて、複数の介入方法の中から特定の介入方法を選択し、
前記介入対象者に対して前記特定の介入方法が適用された後の特性を示す第2特性情報と、前記第1特性情報との差分を表す、推定特性変化量を求め、
複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データから、前記第1特性情報及び前記推定特性変化量の組み合わせと類似する特性情報及び特性変化量の組み合わせと、前記特定の介入方法とを含む、特定の事例データを検索し、
前記特定の事例データに基づく情報を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする検索方法。
(付記15)
複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報に基づいて、前記第1特性情報を生成する処理を、前記コンピュータがさらに実行することを特徴とする付記14記載の検索方法。
(付記16)
前記複数の項目それぞれについて前記介入対象者から取得された情報は、前記複数の項目各々の数値を含み、
前記第1特性情報は、前記複数の項目に関連する複数の因子それぞれの数値を含み、
前記複数の因子各々の数値は、前記複数の項目各々の数値の加重和であることを特徴とする付記15記載の検索方法。
(付記17)
前記複数の人物それぞれの介入方法、特性情報、及び特性変化量を含む事例データは、前記複数の人物それぞれの介入方法を用いて介入が行われたときの状況を示す状況情報をさらに含み、
前記特定の事例データに基づく情報は、前記特定の事例データに含まれる状況情報を含むことを特徴とする付記14記載の検索方法。
(付記18)
前記特定の介入方法を選択する処理は、
前記第1特性情報に基づいて、前記第1特性情報に対応する前記介入対象者の状態を示す第1状態情報を求める処理と、
前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々に基づいて、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の前記介入対象者の状態を示す第2状態情報を求める処理と、
前記第1状態情報及び前記第2状態情報に基づいて、前記複数の介入方法の中から前記特定の介入方法を選択する処理と、
を含むことを特徴とする付記14乃至17の何れか1項に記載の検索方法。
(付記19)
前記第1状態情報を求める処理は、状態推定モデルを用いて前記第1特性情報から前記第1状態情報を求める処理を含み、
前記第2状態情報を求める処理は、
特性推定モデルを用いて、前記第1特性情報及び前記複数の介入方法各々から、前記介入対象者に対して前記複数の介入方法各々が適用された後の特性を示す第3特性情報を求める処理と、
前記状態推定モデルを用いて前記第3特性情報から前記第2状態情報を求める処理と、
を含み、
前記状態推定モデルは、複数の特性情報と前記複数の特性情報それぞれに対応する状態情報とを含む、訓練データを用いた機械学習により生成され、
前記特性推定モデルは、前記複数の特性情報と、前記複数の特性情報各々に対応する介入方法と、前記複数の特性情報各々と前記複数の特性情報各々に対応する介入方法との組み合わせに対応する状態情報とを含む、訓練データと、前記状態推定モデルとを用いた機械学習により生成されることを特徴とする付記18記載の検索方法。
【符号の説明】
【0151】
101、301 検索装置
111、314 選択部
112、315 推定部
113、316 検索部
114 出力部
311 分析部
312 訓練部
313 生成部
317 表示部
318 記憶部
321、328 アンケートデータ
322 係数情報
323、324 訓練データ
325、601 状態推定モデル
326、901 因子得点推定モデル
327 事例集合
329、331 因子得点ベクトル
330 働きかけ情報
332 推定差分ベクトル
333 検索結果
611、911~913 入力層
612、914 出力層
621-1~621-5、622-1~622-5、921-1~921-5、922-1~922-K、923-1~923-5、924-1~924-5 ノード
1001 組み合わせモデル
1011 DNN
1801 CPU
1802 メモリ
1803 入力装置
1804 出力装置
1805 補助記憶装置
1806 媒体駆動装置
1807 ネットワーク接続装置
1808 バス
1809 可搬型記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18