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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182073
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20231219BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20231219BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G06F3/041 534
G06F3/041 560
G06F3/0362 461
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095466
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 勇斗
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA05
5B087AC02
5B087BC13
5B087BC16
5B087BC34
5B087CC32
(57)【要約】
【課題】 操作子への操作中であっても操作子周辺のタッチ操作を可能にする入力装置を提供する。
【解決手段】 本発明の入力装置100は、静電容量型のタッチパネル110と、タッチパネル110上に取り付けられた回転型のノブ120と、タッチパネル110の静電容量の変化に基づきタッチパネル110へのタッチ操作またはノブ120の操作を検出する検出コントローラ130とを含む。検出コントローラ130は、ノブ120への操作が行われとき、ノブ周辺に検出感度調整エリア150を設定し、検出感度調整エリア150の検出感度を低下させ、タッチ操作を検出し難くする。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量型のタッチパネルと、
前記タッチパネル上に取り付けられた操作子であって、当該操作子は、タッチパネル上を移動可能な導電性部材を含み、当該導電性部材はタッチパネルと容量的に結合する、前記操作子と、
タッチパネルの静電容量の変化に基づきタッチパネルへのタッチ操作または前記操作子の操作を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記操作子の操作が検出されたとき、前記操作子の周辺に検出感度調整エリアを設定する設定手段と、
前記検出手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記検出感度調整エリアが設定されたとき、前記検出感度調整エリアの検出感度を低くさせる、入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段が前記操作子への一定本数以上の指の接触を検出した場合、前記検出感度調整エリアのタッチ操作の検出を無効にさせる、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段が前記検出感度調整エリアにおける複数地点のタッチ操作を検出した場合、前記検出感度調整エリアのタッチ操作の検出を無効にさせる、請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
入力装置はさらに、前記タッチパネルに組み合わされた表示手段を含み、前記表示手段は、前記検出感度調整エリアにユーザー入力のためのアイコンを表示する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御手段は、タッチ操作の有無を検出するためのしきい値を高めることで検出感度を低下させる、請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御手段は、タッチ操作の有無を検出するための時間を長くすることで検出感度を低下させる、請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記制御手段は、タッチ操作の有無を判定するための範囲を大きくすることで検出感度を低下させる、請求項1に記載の入力装置。
【請求項8】
前記操作子は、回転角または回転量を入力するための回転型のノブである、請求項1に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人と機械とのインターフェス機能を備えた入力装置に関し、特に、タッチパネルと操作子とを備えた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザー入力装置として、タッチパネルと操作子とを組み合わせた入力装置が開示されている(例えば、特許文献1)。タッチパネルは、液晶等のディスプレイに搭載され、ユーザーが画面へのタッチ操作を行うことで入力を可能にし、操作子は、例えば、ロータリエンコーダーなどであり、ユーザーが物理的にエンコーダを回転させたり、決定ボタンを押下することで入力を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-120782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タッチセンサー付きディスプレイに操作子としてのノブを取り付け、回転等の操作をノブに付与するノブ付きディスプレイ(Knob on Display)の実用化が進められている。ユーザーがノブを操作することで、ノブ内の金属の静電容量の移動をタッチパネルのセンサが捉えるものであり、この動作原理は、タッチ検出と同じである。
【0005】
図1(A)、(B)に、ノブ付きディスプレイの概略平面と概略側面とを示す。同図に示すように、タッチパネル10の表面にはノブ20が取り付けられる。ノブ20は、例えば、回転角または回転量を入力するためのロータリ式のエンコーダである。
【0006】
ここで、図1(C)に示すように、ユーザーがノブ20をつかんだ際、つかんでいる指Fがタッチパネル10に接近したりあるいは触れてしまうと、ユーザーがタッチ操作をする意図がないにもかかわらず、タッチパネル10によってタッチ操作が誤検出されてしまう。このような誤検出を防止するために、ノブ20の周辺には、タッチ操作を無効にするためのタッチ無効エリアが設定される。例えば、図2に示すように、ノブ20の周辺に誤検出防止用の円形のタッチ無効エリア30が設定される。しかし、タッチ無効エリア30を設定すると、ノブ20の周辺に、タッチ操作用の入力ボタン40(図の例は、オーディオの再生、停止、音量の増減を指示するアイコン)を配置することができず、GUIデザインに制約が生じてしまう。
【0007】
これに対し、特許文献1は、ユーザーがノブに触れたときのみ、ノブ周辺のタッチ無効エリアを有効にしている。例えば、ノブに指が接触したことをセンサで検出したり、ノブに接触している指の本数をセンサで検出したとき、タッチ無効エリアを有効にすることでノブ操作時にタッチ操作の誤検出を防止している。
【0008】
しかし、特許文献1のようにノブの操作中に、タッチ無効エリア内のタッチ操作を完全に無効にしてしまうと、ノブ操作時に周辺の入力ボタン等のタッチ操作を行えないという課題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、操作子への操作中であっても操作子周辺のタッチ操作を可能にする入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る入力装置は、静電容量型のタッチパネルと、前記タッチパネル上に取り付けられた操作子であって、当該操作子は、タッチパネル上を移動可能な導電性部材を含み、当該導電性部材はタッチパネルと容量的に結合する、前記操作子と、タッチパネルの静電容量の変化に基づきタッチパネルへのタッチ操作または前記操作子の操作を検出する検出手段と、前記検出手段によって前記操作子の操作が検出されたとき、前記操作子の周辺に検出感度調整エリアを設定する設定手段と、前記検出手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記検出感度調整エリアが設定されたとき、前記検出感度調整エリアの検出感度を低くさせる。
【0011】
ある態様では、前記制御手段は、前記検出手段が前記操作子への一定本数以上の指の接触を検出した場合、前記検出感度調整エリアのタッチ操作の検出を無効にさせる。ある態様では、前記制御手段は、前記検出手段が前記検出感度調整エリアにおける複数地点のタッチ操作を検出した場合、前記検出感度調整エリアのタッチ操作の検出を無効にさせる。ある態様では、入力装置はさらに、前記タッチパネルに組み合わされた表示手段を含み、前記表示手段は、前記検出感度調整エリアにユーザー入力のためのアイコンを表示する。ある態様では、前記制御手段は、タッチ操作の有無を検出するためのしきい値を高めることで検出感度を低下させる。ある態様では、前記制御手段は、タッチ操作の有無を検出するための時間を長くすることで検出感度を低下させる。ある態様では、前記制御手段は、タッチ操作の有無を判定するための範囲を大きくすることで検出感度を低下させる。ある態様では、前記操作子は、回転角または回転量を入力するための回転型のノブである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作子の操作時に、操作子の周辺に検出感度調整エリアを設定し、検出感度調整エリアの検出感度を低下させるようにしたので、操作子周辺に配置された入力ボタン(アイコンなど)へのタッチ操作を可能にしつつタッチ操作の誤検出を回避し、さらに入力ボタンのGUIデザインの自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のノブ付きディスプレイの全体の構成を示す模式的に示す図である。
図2】従来のノブ付きディスプレイのタッチ無効エリアの設定例を示す図である。
図3】本発明の実施例に係る入力装置の構成を示すブロック図である。
図4】ノブ付きディスプレイのノブの操作を説明する図である。
図5図5(A)は、ノブ非操作時のノブ周辺の操作可能なアイコンを示し、図5(B)は、ノブ操作時のノブ周辺の検出感度調整エリア内に配置されたアイコンを示す。
図6図6(A)は、ノブに指1本が接触したときの様子を示し、図6(B)は、ノブに指5本が接触したときの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の入力装置は、特に限定されないが、例えば、タッチパネルを搭載する電子装置などに適用され、人と機械との間のインターフェースを提供する。タッチパネルを搭載する電子装置は、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ機能などを備えた車載装置である。
【実施例0015】
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。図3は、本発明の実施例に係る入力装置の構成を示すブロック図である。本実施例の入力装置100は、静電容量型のタッチパネル110と、タッチパネル110の表面に取り付けられたノブ120と、タッチパネル110やノブ120の操作を検出する検出コントローラ130、ディスプレイ200、画像コントローラ210を含んで構成される。
【0016】
タッチパネル110は、例えば、複数のX側およびY側の電極ラインが交差する位置に形成された複数の検出センサを含み、当該検出センサは、ユーザーの指や手などがタッチパネル110に接近または接触したとき静電容量を変化させる。タッチパネル110は、ディスプレイ200上に搭載され、ディスプレイ200に表示されたアイコン等の入力ボタンへのユーザー入力インターフェースを提供する。画像コントローラ210は、ディスプレイ200に表示するアイコン等の画像を生成し、例えば、車載装置内に搭載される。
【0017】
ノブ120は、タッチパネル110と共同してユーザー入力インターフェースを提供する。ユーザーがノブ120を操作したときの物理的な操作情報は、タッチパネル110の静電容量の変化に表れ、この静電容量の変化が検出される。
【0018】
ノブ120は、その形状や大きさを限定するものではないが、例えば、図4(A)に示すようなドーナッツ状の回転型の操作子(ロータリーエンコーダ)から構成される。ノブ120は、タッチパネル110の任意の位置に取り付けることが可能であり、ノブ120は、例えば底部が両面接着剤によりタッチパネル110の表面に貼り付けられる。ノブ120の取り付け位置は、例えば、ノブ120の回転中心の座標によって規定される。
【0019】
ノブ120は、例えば、プラスチック等の非導電性材または導電性材の筐体を含み、筐体の内部または表面近傍に、ノブ120の回転とともに回転する導電性材料から成る金属パッド122を配置する。金属パッド122は、図4(B)に示すように、ユーザーが指Fでノブ120をつまみ、ノブ120を回転させたとき、一緒に回転する。
【0020】
ノブ120内に配置する金属パッド122の材料、形状、大きさは任意であるが、金属パッド122は、タッチパネル110の検出センサと容量的に結合し、ノブ120に指Fが触れたとき、あるいはノブ120が回転されたとき、金属パッド122と容量的に結合する検出センサの静電容量が変化する。さらに、ユーザーが指Fでノブ120を掴んだとき、指Fの接触する本数に応じて金属パッド122と容量的に結合する検出センサの静電容量が変化する。
【0021】
検出コントローラ130は、タッチパネル110と電気的に接続され、タッチパネル110の全体の動作を制御し、タッチパネル110やノブ120に対して入力されたユーザーの操作を検出する。検出コントローラ130は、ハードウエアおよび/またはソフトウエアによって構成され、例えば、ROM/RAMを含むコントローラを用いて構成され、ROM/RAMには、タッチパネル110を制御するためのソフトウエアが搭載される。検出コントローラ130は、図3に示すように、駆動/測定部132、操作検出部134、検出感度調整エリア設定部136、検出制御部138を含んで構成される。
【0022】
駆動/測定部132は、タッチパネル110のX側および/またはY側の複数の電極ラインを駆動し、駆動した電極ラインの各検出センサの静電容量を測定する。
【0023】
操作検出部134は、駆動/測定部132で測定された静電容量に基づきタッチパネル110の操作やノブ120の操作を検出する。例えば、タッチパネル110にユーザーの指Fが接近または接触したとき、操作検出部134は、対応する検出センサの静電容量の変化に基づきタッチ位置を検出する。また、ノブ120にユーザーの指Fが触れると、金属パッド122の位置に対応する検出センサの静電容量が変化し、この静電容量の変化が操作検出部134によって検出される。指Fがノブ120に接触したときの静電容量の変化は、指Fが接触する本数によっても変化し、この静電容量の変化が操作検出部134によって検出される。さらにノブ120が回転されると、金属パッド122の位置が変化し、金属パッド122の位置に対応する検出センサの静電容量が変化し、この静電容量の変化が操作検出部134によって検出される。つまり、操作検出部134は、タッチパネル110へのタッチ位置、ノブ120への接触、ノブ120の回転操作などを静電容量の変化から検出する。
【0024】
検出感度調整エリア設定部136は、操作検出部134によってノブ120への操作(指の接触)が検出されたとき、ノブ120の周辺に検出感度調整エリアを設定する。検出感度調整エリアは、ノブ120の取り付け位置を基準に設定される。一方、ノブ120への指Fの接触、つまりノブ120への操作が検出されない場合には、検出感度調整エリアは設定されない。検出感度調整エリアは、ノブ120の操作時、ユーザーの指Fがタッチパネル110に接近もしくは接触することでノブ周辺に配置されたアイコンへの誤入力を回避させ、かつノブ周辺に配置されたアイコンへの入力を可能する。
【0025】
検出感度調整エリアの大きさや形状は、特に限定されないが、例えば、図5(B)の破線で示すように、ノブ120の回転中心と同心円のドーナツ状のエリアが検出感度調整エリア150として設定される。
【0026】
本実施例で留意すべきことの1つは、検出感度調整エリア150を設定することで、タッチパネル110から入力可能なアイコンなどの入力ボタン140をノブ120の周辺にレイアウトし、ノブ120の操作時に入力ボタン140へのタッチ操作が可能になることである。画像コントローラ210は、ノブ120の取り付け位置を基準に、検出感度調整エリア150と重複するような位置、あるいは部分的に重複するような位置に1つまたは複数の入力ボタン140を表示させることができる。
【0027】
検出制御部138は、検出感度調整エリア設定部136によって検出感度調整エリア150が設定されたとき、操作検出部134の検出感度調整エリア150の検出感度を低下させる。つまり、検出感度調整エリア150の検出感度は、検出感度調整エリア150が設定されていないときの通常時よりも低下させる。これにより、操作検出部134は、ユーザーがノブ120を操作するとき、ノブ周辺の検出感度調整エリア150の入力ボタン140へのタッチ操作を容易に検出できなくなる。言い換えれば、ノブ操作時、ユーザーがノブ120をつかむ操作をしても、ノブ周辺の入力ボタン140への誤入力が回避され、ノブ操作時であってもノブ周辺の入力ボタン140への入力が可能になる。他方、ノブの非操作時は、検出感度調整エリア150が設定されず、検出感度は低下されないので、ノブ周辺の入力ボタン140のタッチ操作は通常の検出感度で検出される。
【0028】
検出感度を下げる方法は、特に限定されないが、例えば、第1の方法は、タッチ操作の有無を検出するために用いるしきい値を通常よりも高くし、タッチ操作が容易に検出されないようにする。通常のしきい値とは、ノブ非操作時の検出感度調整エリアが設定されていないときのしきい値、あるいは、検出感度調整エリアとは関係のない別のエリアのしきい値である。
【0029】
第2の方法として、タッチ操作の有無を検出するために用いる検出時間を通常のときよりも遅延させることで、タッチ操作が容易に検出されないようにする。例えば、静電容量の変化が一定時間以上継続しなければ、タッチ操作が検出されない場合、その一定時間をさらに長くすることで、タッチ操作が簡単に検出されないようにする。
【0030】
第3の方法として、タッチ操作の有無を検出するために用いる範囲を通常のときよりも広げることで、タッチ操作が容易に検出されないようにする。例えば、タッチ操作の検出には、一定範囲の検出センサによって静電容量の変化が検出される必要がある場合、その一定範囲を広げることで、タッチ操作が簡単に検出されないようにする。検出感度の低下方法は、第1ないし第3の方法を単独で行っても良いし、あるいは複数組み合わせて行っても良い。
【0031】
次に、本実施例の入力装置100の動作について図5および図6を参照して説明する。図5(A)に示すように、ノブ120への操作が検出されないとき(ノブ非操作時)、ノブ120の周辺に検出感度調整エリア150は設定されず、ノブ周辺の検出感度は低下されない。従って、ノブ周辺の入力ボタン140をユーザーがタッチ操作した場合、そのタッチ操作は、通常の検出感度で操作検出部134によって検出される。
【0032】
一方、操作検出部134によってノブ120への操作が検出されたとき、つまり、ユーザーの指Fがノブ120に触れたことが検出されたとき(ノブ操作時)、この検出に応答して検出感度調整エリア設定部136によって検出感度調整エリア150が設定される。また、検出制御部138は、検出感度調整エリア150の検出感度が低下するように操作検出部134に指示を与える。その結果、ノブ周辺の入力ボタン140のうち、検出感度調整エリア150と重複する位置にある入力ボタン142へのタッチ操作が検出し難くなる。他方、検出感度調整エリア150と重複しない位置にある入力ボタン144へのタッチ操作は、通常通りの検出感度で検出される。こうして、ユーザーがノブ120をつまんだとき、ノブ周辺の検出感度調整エリア150の入力ボタン142へのタッチ操作が容易に検出され難くなり、入力ボタン142へのユーザーの意図しないタッチ操作の誤検出が回避される。
【0033】
次に、検出感度調整エリアのタッチ操作を完全に無効とする場合の動作について説明する。図6(A)は、1本の指Fがノブ120に触れた状態を示している。この場合、操作検出部134は、金属パッド122に対応する検出センサの静電容量の変化から、ノブ120に1本の指Fが接触していること、およびタッチパネル110の検出センサの静電容量の変化から1本の指Fが検出感度調整エリア150に接近または接触していることを検出する。つまり、操作検出部134によって2地点の静電容量の変化が検出される。
【0034】
1本の指Fがノブ120に接触している状態は、ユーザーがノブ120を操作するためにノブ120を掴んでいるのではなく、検出感度調整エリア150内の入力ボタン142をタッチ操作することを意図し、その際に誤ってノブ120に接触したと推測される。従って、この場合には、検出制御部136は、検出感度調整エリア150の検出感度の低下の指示を継続し、操作検出部134による検出感度調整エリア150のタッチ操作の検出を有効にする。
【0035】
図6(B)は、5本の指Fがノブ120に触れた状態を示している。この場合、操作検出部134は、金属パッド122に対応する検出センサの静電容量の変化から、ノブ120に5本の指Fが同時に接触していること、およびタッチパネル110の検出センサの静電容量の変化から5本の指Fが検出感度調整エリア150に接近または接触していることを検出する。つまり、操作検出部134によって6地点の静電容量の変化が検出される。
【0036】
5本の指Fがノブ120に接触している状態は、ユーザーがノブ120を操作することを意図してノブ120を掴んでおり、その際、誤って検出感度調整エリア150の入力ボタン142に接触したと推測される。それ故、この場合には、検出制御部138は、検出感度調整エリア150の検出感度を低下させる指示を取りやめ、その代わりに、検出感度調整エリア150における全てのタッチ操作を完全に無効とする指示を操作検出部134に与える。これにより、操作検出部134による検出感度調整エリア150のタッチ操作の検出が無効となり、ノブ操作時の検出感度調整エリア150の入力ボタンの誤検出が防止される。
【0037】
上記の例では、5本の指Fが同時にノブ120に接触されたときに検出感度調整エリア150の検出を完全に無効にしたが、これに限らず、静電容量の変化が2地点を超える場合(つまり、3地点以上の静電容量の変化が検出されたとき)、検出感度調整エリア150のタッチ操作を完全に無効にするようにしてもよい。
【0038】
また、上記の例では、検出制御部138は、ノブ120への接触と、タッチパネル110へのタッチ操作の双方の検出結果に基づき検出感度調整エリアのタッチ操作を無効にするようにしたが、これに限らず、例えば、ノブ120への2本以上の指が同時に接触したことが検出されたときに検出感度調整エリアのタッチ操作を完全に無効にするようにしてもよいし、あるいは、タッチパネル110における2地点以上のタッチ操作が検出されたときに検出感度調整エリアのタッチ操作を完全に無効にするようにしてもよい。
【0039】
また、上記の例では、操作子として回転型のノブを例示したが、これは一例であり、操作子は、回転情報を入力するだけでなく、決定を押下するボタンを備えていても良い。さらに操作子は、直線情報を入力するものであってもよく、その場合には、操作子の直線移動に応じた検出感度調整エリアを設定するようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
100:入力装置
110:タッチパネル
120:ノブ
122:電極パッド
130:検出コントローラ
140:入力ボダン(アイコン)
150:検出感度調整エリア
F:指
図1
図2
図3
図4
図5
図6