(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182075
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】中国武術練習用無音扇子
(51)【国際特許分類】
A45B 27/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A45B27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095470
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】722006728
【氏名又は名称】越智 健太
(72)【発明者】
【氏名】越智 健太
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104ZA01
3B104ZB01
(57)【要約】
【課題】現在の扇形メッシュ生地1の素材では、本来の扇子にある折り目が作れていない。通常の扇子に比べて生地が薄いので開閉に支障は無いが、閉めた際に多少のごわつきが出てしまっている。
【解決手段】今迄は音が鳴らない事を最優先に生地を探し作成してきたが、今後は布地を作るところから携わり、音が鳴らずきちんと折り畳める素材の開発をしていく。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太極拳やカンフーなど中国武術で使用する、2つの外骨とその間に挟まれた複数の中骨によって構成されていて、片方の末端をリベット若しくはボルトで固定し、そこを支点に等間隔になるよう25g~30g前後の扇形メッシュ生地で連結されている武術用扇子。
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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太極拳を始め、中国武術全般で使用される演武用扇子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来中国武術で使用されている演武用扇子は、閉じた状態で概ね約30cm~35cm・重さ約120g前後で、開いた際にやや激しい破裂音がなる物が多く、骨の素材は竹若しくは樹脂製である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在市場に出回っている演武用の扇子は開いた時に激しい破裂音が鳴るが、試合や演武会場・体育館等での練習時はそれで構わない。しかし住宅地やマンション、夜の公園で練習しようとすると音が大き過ぎて近所迷惑を考え、ましてや住宅密集地や都会では昼間であっても躊躇してしまう。
【0004】
そこで住宅環境を問わずどんな時間でも周囲を気にすることなく安心して使用できる、中国武術練習用扇子を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来外骨と中骨に貼られている素材はビニール系の布であったことから、音を出さないようにするには力を入れずにゆっくり開くしか方法が無かったが、それでは力を入れて動く中国武術本来の練習が出来ない。
【0006】
太極拳やカンフーなど中国武術で使用する、2つの外骨とその間に挟まれた複数の中骨によって構成されていて、片方の末端をリベット若しくはボルトで固定し、そこを支点に等間隔になるよう25g~30g前後の扇形メッシュ生地を貼ることによって音を限りなく0に近づけることが出来る。
【発明の効果】
【0007】
素材をビニール地からメッシュ地にする事によって、扇子自体が音が鳴らない構造となり、誰でも手軽に家庭練習の環境を整える事が出来る。
【0008】
更に本発明は布をメッシュの中でも30g以下のチュール地にする事により、開いた際布が引っ張られて鳴る音を限りなく0に近付ける事が出来た。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の扇子を示す図であり、10は本発明扇子である。
図1の扇子10は以下の様な構造である。
【0011】
1は、扇型メッシュ生地であり、2は中骨であり、複数有している。4は外骨であり、複数の中骨2を挟むように両側に各1個配置されている。
3は軸であり、複数の中骨2と2つの外骨4それぞれの一端の交点に位置している。
扇型メッシュ生地1が中骨2と外骨4へ等間隔に貼り付けられており、各中骨2と外骨4が全て連結されている。また円周側の中骨2の間隔は6~7cm、軸側の間隔は1~2cmで、最も円周側の中骨2と外骨4の先は2cm程度飾りとして扇形メッシュ生地1がはみ出る作りとなっている。
【0012】
扇形メッシュ生地1の素材は従来のビニール生地ではなくチュールメッシュ生地である事がポイントで、音が鳴らない為には二つの要因がある。まず一つ目に伸縮性のある生地を使用することにより、外骨4が180度まで開いた際布が突っ張らなくなる。二つ目にメッシュ構造であることにより空気が抜け同時に音も抜ける。
【0013】
中骨2は長さは30~35cmで11本同じサイズの物が等間隔に並んでおり、2本の外骨4により上下を挟み軸3によって中心側一か所で貫通し連結されている。尚中骨2の長さや本数はこれに限らない。
【0014】
軸3はボルトナット若しくはリベットで中骨2と外骨4の中心側端より2~3cmの場所を貫通固定していて、ナットを使用する場合は袋ナット若しくはロックナットを利用、袋ナットの場合ボルトの端がナット内に収まるよう3.5cm程度にカットし、ロックナットの場合ナット背面に長さが合うよう3.5cm程度にカットする。リベットを使用する場合は出っ張りが無いので3cm程度の長さで潰して固定する。
【0015】
外骨4も中骨2と同様30~35cmの長さがあり、上下2本で中骨2を挟む構造になっていて、
図1のように右の外骨が上の場合右手用、扇形メッシュ生地1の重なりを逆にして左の外骨が上に来た場合左手用となる。この構造により左利き用だけではなく、両手で扇子を持つ双扇にも対応する事ができる。
【0016】
本発明扇子・通常練習用扇子・他社製静音扇子で実際に開いた音を比べたものが表1と表2であり、実験の条件はいずれも扇子より約1mの位置に騒音計を置き、何もしていない状況の騒音が35.5dBの時に計測したものでる。
【0017】
表1は片方の外骨4を持ち重力で開く力のみで180度開いた場合の騒音レベルであり、何もしてない状況から6.6dBの上昇に留めることができ、図書館の中程度の42.1dBという結果であった。
【表1】
【0018】
表2は通常練習で開く程度の力で扇子を操作し平均を出したもので、普通の会話程度の64.8dBという結果であることから、住宅地や公園での練習にも影響がないと思われる。
【表2】
【実施例0019】
現在デイサービスで中国武術のレッスンを行っているが、音が大き過ぎると吃驚してしまうご年配の方が居ることから、練習する環境によっては普段使いでこの無音扇子が活躍する。
練習生の中には心臓が弱い方や大きな音を苦手に思う方が居る事も十分考えられる。そんな方にこの無音扇子を知ってもらえると、もっと中国武術を広める事が可能だろう。