(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023182076
(43)【公開日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車両用表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231219BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231219BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20231219BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231219BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20231219BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20231219BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20231219BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231219BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20231219BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20231219BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 680B
G09G3/20 642F
G09G3/34 J
G09G3/20 621E
G09G3/20 641P
G09G3/20 650M
G09G3/20 612U
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
G09G5/00 510A
G09G5/36 520P
G02B27/01
G02F1/133 535
G02F1/133 580
G02F1/13357
B60K35/00 A
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095471
(22)【出願日】2022-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山瀬 孝文
【テーマコード(参考)】
2H193
2H199
2H391
3D344
5C006
5C054
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
2H193ZG02
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZH04
2H193ZH07
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2H391FA07
3D344AA22
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5C006AA02
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5C182DA66
(57)【要約】
【課題】背景の輝度に応じて虚像を適正に表示することができる車両用表示システムを提供する。
【解決手段】車両用表示システム1は、液晶表示装置31と、輝度検出部321と、輝度調整部322とを備える。液晶表示装置31は、表示画像を表示する液晶パネル311と、液晶パネル311に光を照射するバックライト312とを含み、車両に設けられ透過性を有するフロントガラスに向けて表示画像を含む表示光を照射して虚像を表示する。輝度検出部321は、虚像が表示される背景の輝度を検出する。輝度調整部322は、輝度検出部321により検出された背景の輝度に基づいて、バックライト312の輝度及び表示画像を構成する各画素の輝度の両方を調整する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルに光を照射するバックライトとを含み、車両に設けられ透過性を有する反射部材に向けて前記表示画像を含む表示光を照射して虚像を表示する表示器と、
前記虚像が表示される背景の輝度を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記背景の輝度に基づいて、前記バックライトの輝度及び前記表示画像を構成する各画素の輝度の両方を調整する輝度調整部と、を備えることを特徴とする車両用表示システム。
【請求項2】
前記バックライトは、光を照射する複数の発光素子を含み、それぞれの前記発光素子に応じて複数の発光ブロックに区分けされ、
前記表示画像は、前記バックライトの前記発光ブロック単位で複数の表示画像ブロックに区分けされ、
前記輝度調整部は、前記表示画像ブロックにおける前記背景の輝度に基づいて当該表示画像ブロックに対応する前記発光ブロックの前記発光素子の輝度及び当該表示画像ブロックの前記各画素の輝度を調整する請求項1に記載の車両用表示システム。
【請求項3】
前記輝度調整部は、前記背景を構成する各画素の輝度を当該背景の最大輝度で除算した値を、対応する前記表示画像の前記各画素の輝度に積算して、前記表示画像の前記各画素の輝度を調整する請求項1又は2に記載の車両用表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示システムとして、例えば、特許文献1には、虚像を表示する背景の輝度に応じて虚像の輝度を調整する車載表示装置が記載されている。この車載表示装置は、例えば、画像を含む光束である投写光を出射する出射部と、投写光を反射させて、外景に重畳された虚像を形成する反射部と、背景の各点における輝度の集合である輝度分布を取得する輝度取得部と、取得された輝度分布のうち、1つ以上の点からなる領域であって各点の輝度の平均よりも高い輝度を有する領域である高輝度領域と、基準方向とが成す角度に応じて、虚像のRGBを補正して虚像の輝度を調整する輝度調整部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の車載表示装置は、例えば、背景の輝度に応じて、虚像のRGBを補正して虚像の輝度を調整しているが、より適正に虚像の輝度を調整することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、背景の輝度に応じて虚像を適正に表示することができる車両用表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用表示システムは、表示画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルに光を照射するバックライトとを含み、車両に設けられ透過性を有する反射部材に向けて前記表示画像を含む表示光を照射して虚像を表示する表示器と、前記虚像が表示される背景の輝度を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記背景の輝度に基づいて、前記バックライトの輝度及び前記表示画像を構成する各画素の輝度の両方を調整する輝度調整部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用表示システムは、バックライトの輝度及び表示画像の各画素の輝度の両方を調整するので、背景の輝度に応じて虚像の輝度を適正に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るバックライトの輝度及び表示画像の各画素の輝度の調整例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るバックライトの輝度の調整例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る表示画像の各画素の輝度の調整例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る車両用表示システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0010】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係る車両用表示システム1について説明する。車両用表示システム1は、虚像Qを表示する背景Pの輝度に応じて当該虚像Qの輝度を調整するものであり、視点検出部10と、カメラ20と、HUD(ヘッドアップディスプレイ)装置30とを備える。視点検出部10、カメラ20、及び、HUD装置30は、相互に通信可能に接続されている。
【0011】
視点検出部10は、運転者の視点を検出するものである。視点検出部10は、車両に設けられ、車両の前後方向において運転者に対向した位置に配置される。視点検出部10は、運転者の視点を検出し、検出した視点を表す視点情報をHUD装置30に出力する。
【0012】
カメラ20は、画像を撮像するものである。カメラ20は、車両に設けられ、虚像Qが重畳される車両前方の背景Pを撮像する。カメラ20は、背景Pを撮像した背景画像P1をHUD装置30に出力する。
【0013】
HUD装置30は、虚像Qを表示するものである。HUD装置30は、車両のインストルメントパネルの内側に設けられ、透過性を有するフロントガラスFに向けて表示画像P2を含む表示光を照射して虚像Qを表示する。HUD装置30は、
図2に示すように、液晶表示装置31と、処理部32とを備える。液晶表示装置31及び処理部32は、相互に通信可能に接続されている。
【0014】
液晶表示装置31は、画像を表示するものであり、液晶パネル311と、バックライト312とを含んで構成される。
【0015】
液晶パネル311は、表示画像P2を表示するものであり、矩形状に形成されている。液晶パネル311は、液晶、三原色(RGB)のカラーフィルター、偏光フィルタ等を含んで構成される。液晶パネル311は、処理部32によって液晶に印加される電圧が制御されることにより、カラーフィルターを透過する光の透過量を調整して表示画像P2を表示する。
【0016】
バックライト312は、液晶パネル311に光を照射するものであり、液晶パネル311の形状に合わせて矩形状に形成され、液晶パネル311の背面に設置されている。バックライト312は、複数の発光素子312aを含んで構成される。複数の発光素子312aは、例えば、LED(light emitting diode)であり、格子状に配置されている。バックライト312は、
図3に示すように、各発光素子312aに応じて発光ブロックB単位で複数のブロックに区分けされている。バックライト312は、例えば、1つの発光素子312aに対して1つの発光ブロックBで区分けされている。すなわち、バックライト312は、1つの発光素子312aと1つの発光ブロックBとが1対1で対応している。バックライト312は、処理部32によって発光素子312a毎に光の照射量が調整され、発光素子312aの輝度が調整される。
【0017】
処理部32は、液晶表示装置31を制御するものである。処理部32は、検出部としての輝度検出部321と、輝度調整部322とを備える。
【0018】
輝度検出部321は、虚像Qが表示される背景Pの輝度を検出するものである。輝度検出部321は、カメラ20により撮像された背景画像P1の各画素の輝度を検出する。輝度検出部321は、検出した背景画像P1の各画素の輝度を輝度調整部322に出力する。
【0019】
輝度調整部322は、輝度検出部321により検出された背景Pの輝度に基づいて、バックライト312の輝度及び表示画像P2を構成する各画素の輝度の両方を調整するものである。ここで、表示画像P2は、バックライト312の発光ブロックB単位で複数の表示画像ブロックP21に区分けされている。輝度調整部322は、表示画像ブロックP21における背景Pの輝度に基づいて当該表示画像ブロックP21における発光素子312aの輝度、及び、当該表示画像ブロックP21の各画素の輝度を調整する。
【0020】
次に、
図3~
図5を参照して、具体的な虚像Qの輝度の調整方法について説明する。この例では、
図3に示すように、虚像Qとして、「矢印」及び「60km/h」を表示する例について説明する。バックライト312は、各発光素子312aに応じて発光ブロックB単位で区分けされおり、例えば、「3×5」の「15個」の発光ブロックBに区分けされている。表示画像P2は、当該表示画像P2を重ねて虚像表示する背景Pの背景画像P1と画像サイズが同等である。そして、表示画像P2は、バックライト312の発光ブロックB単位で「15個」の表示画像ブロックP21に区分けされ、背景画像P1も、バックライト312の発光ブロックB単位で「15個」の背景画像ブロックP11に区分けされる。背景Pは、その一部の領域M2が残りの部分の領域M1よりも輝度が高くなっている。背景Pにおいて、高輝度の領域M2には、「矢印」の一部が重ねて表示され、低輝度の領域M1には、「矢印」の残り部分と「60km/h」が重ねて表示される。
【0021】
上述のような表示態様において、輝度検出部321は、カメラ20により撮像された背景画像P1の各画素の輝度を検出する。輝度検出部321は、例えば、
図4に示すように、背景画像ブロックP11毎に背景画像P1の各画素の輝度を検出する。そして、輝度検出部321は、それぞれの背景画像ブロックP11の各画素の中から最大輝度を検出する。
図4に示す例では、輝度検出部321は、所定の背景画像ブロックP11の各画素の中から最大輝度「250」を検出している。同様にして、輝度検出部321は、他の背景画像ブロックP11に対しても各画素の中から最大輝度を検出して、
図4に示すように、各背景画像ブロックP11の最大輝度を検出した最大輝度テーブルN1を生成する。この最大輝度テーブルN1は、例えば、
図3に示す背景画像P1aに対応したものである。この背景画像P1aは、背景輝度が相対的に高い領域M2(「3×1」ブロック)と、背景輝度が相対的に低い領域M1(「3×4」ブロック)とが含まれている。
【0022】
輝度調整部322は、虚像Qとして「矢印」を表示する範囲E1(
図3参照)、「60km/h」を表示する範囲E2についてバックライト312を点灯し、一方で、虚像Qを表示しない範囲についてはバックライト312を消灯する。輝度調整部322は、バックライト312を点灯する範囲E1、E2において、輝度検出部321により生成された背景画像P1の最大輝度テーブルN1を用いてバックライト312の発光素子312aの輝度を調整する。輝度調整部322は、例えば、
図4に示すように、背景画像P1の背景輝度とバックライト輝度との関係を表す調光カーブのマップデータを有している。調光カーブは、背景輝度が相対的に高い場合、バックライト輝度を相対的に高くし、背景輝度が相対的に低い場合、バックライト輝度を相対的に低くするものである。輝度調整部322は、この調光カーブに基づいてバックライト312の発光素子312aの輝度を発光ブロックB単位で個別に調整する。
【0023】
輝度調整部322は、例えば、調光カーブに基づいて、最大輝度テーブルN1が表す背景画像ブロックP11の最大輝度に対応する発光素子312aの輝度を計算する。そして、輝度調整部322は、計算した発光素子312aの輝度を記録した発光素子312aの輝度テーブルN2を生成する。発光素子312aの輝度テーブルN2には、発光ブロックB単位で発光素子312aの輝度が記録されている。輝度調整部322は、この輝度テーブルN2に基づいてバックライト312の各発光素子312aの輝度を調整し、発光素子312a毎に光の照射量を調整する。この例では、輝度調整部322は、バックライト312を点灯する背景画像P1aにおける範囲E1、E2に関し、背景輝度が相対的に高い領域M2(「3×1」ブロック)の発光素子312aの輝度を相対的に高くし、背景輝度が相対的に低い領域M1(「3×4」ブロック)の発光素子312aの輝度を相対的に低くする。バックライト312は、輝度調整部322によって調整された輝度で各発光素子312aから光を照射する。
【0024】
次に、表示画像P2を構成する各画素の輝度(RGB輝度)を補正する例について説明する。輝度調整部322は、液晶パネル311の液晶に印加する電圧を調整することで、表示画像P2を構成する各画素の輝度(RGB輝度)を補正する。輝度調整部322は、例えば、表示画像ブロックP21における背景Pの輝度に基づいて、当該表示画像ブロックP21の各画素の輝度を調整する。輝度調整部322は、例えば、背景画像P1の領域を構成する各画素の輝度を当該背景画像P1の領域における最大輝度で除算した値を、対応する表示画像P2の各画素の輝度に積算して、表示画像P2の各画素の輝度を補正する。すなわち、輝度調整部322は、
図5に示すように、背景画像ブロックP11を構成する各画素の輝度(例えば、69)を当該背景画像ブロックP11における最大輝度(例えば、「250」)で除算した値を、対応する表示画像ブロックP21の画素の輝度(例えば、「0」)に積算して、表示画像ブロックP21の画素の輝度を補正する。
図5に示す表示画像ブロックP21aは、補正後の各画素の輝度が記録されたテーブルである。このように、輝度調整部322は、各表示画像ブロックP21において、対応する背景画像ブロックP11の輝度に基づいて、表示画像ブロックP21を構成する各画素の輝度(RGB輝度)を画素単位で補正する。
【0025】
このように、輝度調整部322は、表示画像ブロックP21における背景Pの輝度に基づいて当該表示画像ブロックP21に対応する発光ブロックBの発光素子312aの輝度、及び、当該表示画像ブロックP21の各画素の輝度の両方を調整する。
【0026】
次に、車両用表示システム1の動作例について説明する。車両用表示システム1は、カメラ20から背景画像P1を取得する(ステップS1)。次に、輝度検出部321は、背景画像P1からバックライト312の発光ブロックB毎に最大輝度を抽出する(ステップS2)。輝度検出部321は、例えば、各背景画像ブロックP11において各画素の中から最大輝度を検出して、各背景画像ブロックP11の最大輝度を検出した最大輝度テーブルN1を生成する。次に、輝度調整部322は、調光カーブから背景輝度に対するバックライト輝度を計算する(ステップS3)。輝度調整部322は、例えば、調光カーブに基づいて、最大輝度テーブルN1が表す背景画像ブロックP11の最大輝度に対応する発光素子312aの輝度を計算する。そして、輝度調整部322は、計算した発光素子312aの輝度を記録した発光素子312aの輝度テーブルN2を生成する。輝度調整部322は、この輝度テーブルN2に基づいてバックライト312の各発光素子312aの輝度を調整し、発光素子312a毎に光の照射量を調整する。さらに、輝度調整部322は、表示画像P2の画素の輝度を補正する(ステップS4)。輝度調整部322は、例えば、背景画像ブロックP11を構成する各画素の輝度を当該背景画像ブロックP11における最大輝度で除算した値を、対応する表示画像ブロックP21の画素の輝度に積算して、表示画像ブロックP21の画素の輝度を補正する。
【0027】
以上のように、実施形態に係る車両用表示システム1は、液晶表示装置31と、輝度検出部321と、輝度調整部322とを備える。液晶表示装置31は、表示画像P2を表示する液晶パネル311と、液晶パネル311に光を照射するバックライト312とを含み、車両に設けられ透過性を有するフロントガラスFに向けて表示画像P2を含む表示光を照射して虚像Qを表示する。輝度検出部321は、虚像Qが表示される背景Pの輝度を検出する。輝度調整部322は、輝度検出部321により検出された背景Pの輝度に基づいて、バックライト312の輝度及び表示画像P2を構成する各画素の輝度の両方を調整する。
【0028】
この構成により、車両用表示システム1は、バックライト312の輝度及び表示画像P2の各画素の輝度の両方を調整するので、従来のようにバックライト312の輝度又は表示画像P2の各画素の輝度のいずれか一方のみを調整する場合と比較して分解能を高くすることができる。これにより、車両用表示システム1は、背景Pの輝度に基づいて虚像Qの輝度を精度よく調整することができるので、この結果、背景Pの輝度に応じて虚像Qの輝度を適正に調整することができる。
【0029】
上記車両用表示システム1において、バックライト312は、光を照射する複数の発光素子312aを含み、それぞれの発光素子312aに応じて複数の発光ブロックBに区分けされる。表示画像P2は、バックライト312の発光ブロックB単位で複数の表示画像ブロックP21に区分けされる。輝度調整部322は、表示画像ブロックP21における背景Pの輝度に基づいて当該表示画像ブロックP21に対応する発光ブロックBの発光素子312aの輝度及び当該表示画像ブロックP21の各画素の輝度を調整する。この構成により、車両用表示システム1は、背景Pの輝度が相対的に高い表示画像ブロックP21に対応する発光ブロックBの発光素子312aの輝度を上げることにより虚像Qを鮮明に表示することができる。車両用表示システム1は、虚像Qの鮮明な表示を実現した上で、背景Pの輝度が相対的に低い表示画像ブロックP21に対応する発光ブロックBの発光素子312aの輝度を下げることにより省電力化を実現できる。さらに、車両用表示システム1は、表示画像ブロックP21の各画素の輝度も調整することで、表示画像ブロックP21内で細分化して輝度を調整することができ、この結果、背景Pの輝度に応じて虚像Qの輝度を正確に調整することができる。
【0030】
上記車両用表示システム1において、輝度調整部322は、背景画像P1の領域を構成する各画素の輝度を背景画像P1の領域における最大輝度で除算した値を、対応する表示画像P2の各画素の輝度に積算して、表示画像P2の各画素の輝度を調整する。この構成により、車両用表示システム1は、背景画像P1の輝度に応じて表示画像P2の各画素の輝度を適正に調整できる。
【0031】
なお、上記説明では、発光ブロックB毎に発光素子312aの輝度を調整し、表示画像ブロックP21毎に各画素の輝度を調整する例について説明したが、これに限定されず、例えば、ブロック毎に輝度を調整しなくてもよい。
【0032】
輝度調整部322は、背景画像P1の領域を構成する各画素の輝度を背景画像P1の領域における最大輝度で除算した値を、対応する表示画像P2の各画素の輝度に積算して、表示画像P2の各画素の輝度を調整する例について説明したが、これに限定されず、その他の演算方法によって表示画像P2の各画素の輝度を調整してもよい。
【0033】
バックライト312は、1つの発光素子312aに対して1つの発光ブロックBで区分けされる例について説明したが、これに限定されず、例えば、複数の発光素子312aに対して1つの発光ブロックBで区分けするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 車両用表示システム
20 カメラ(検出部)
31 液晶表示装置(表示器)
311 液晶パネル
312 バックライト
312a 発光素子
321 輝度検出部(検出部)
322 輝度調整部
B 発光ブロック
F フロントガラス(反射部材)
P 背景
P2 表示画像
P21 表示画像ブロック
Q 虚像