(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018208
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】歩道防護構台の構築方法及び装置
(51)【国際特許分類】
E04G 5/00 20060101AFI20230201BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20230201BHJP
E21F 11/00 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
E04G5/00 301D
E04G21/32 A
E21F11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122133
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】315019894
【氏名又は名称】株式会社杉孝グループホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】北原 大二郎
(72)【発明者】
【氏名】庄子 直毅
(57)【要約】
【課題】歩道の通行人を落下物から保護するための歩道防護構台の構築方法と構築装置を提供する。
【解決手段】歩道を挟む両側位置に第1足場構造体(1a)と第2足場構造体(1b)を構築する足場構築工程と、梁手段(2)により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結して構台構造体(M)を構築する構台構築工程と、前記梁手段の上部に沿って取付金具(6)を介してユニットフレーム(7)を取付け固定するユニットフレーム取付工程と、隣り合うユニットフレームの下部を相互に下側桟部材(25)により連結する屋根下地形成工程と、隣り合うユニットフレームの間において前記下側桟部材の上に複数の屋根パネル(33)を敷設する屋根材敷設工程と、隣り合うユニットフレームの上部を相互に上側桟部材(34)により連結して屋根パネルを保持する屋根材保持工程により構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設現場に臨む歩道に落下する落下物から歩道の通行人を保護するための防護構台の構築方法であり、歩道に沿うX方向と歩道に交差するY方向に関して、
(A)X方向に延びる足場構造体を構築し、歩道を挟む両側位置に第1足場構造体(1a)と第2足場構造体(1b)を構築する足場構築工程と、
(B)通行人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段(2)により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結し、複数の梁手段をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体(M)を構築する構台構築工程と、
(C)Y方向に延びるユニットフレーム(7)を前記梁手段の上部に沿って取付金具(6)を介して取付け固定するユニットフレーム取付工程と、
(D)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の下部を相互に下側桟部材(25)により連結し、複数の下側桟部材をY方向に間隔をあけて配設する屋根下地形成工程と、
(E)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の間において、前記下側桟部材の上に複数の屋根パネル(33)を相互にオーバラップさせた状態で敷設し、屋根パネルの側縁部(33x)を前記ユニットフレームの保持溝(15)に嵌入させる屋根材敷設工程と、
(F)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の上部を相互に上側桟部材(34)により連結し、複数の上側桟部材をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネルを保持する屋根材保持工程と、
から成ることを特徴とする歩道防護構台の構築方法。
【請求項2】
建設現場に臨む歩道に落下する落下物から歩道の通行人を保護するための防護構台の構築方法であり、歩道に沿うX方向と歩道に交差するY方向に関して、
(A)X方向に延びる足場構造体を構築し、歩道を挟む両側位置に第1足場構造体(1a)と第2足場構造体(1b)を構築する足場構築工程と、
(B)通行人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段(2)により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結し、複数の梁手段をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体(M)を構築する構台構築工程と、
(C1)前記梁手段の上部に沿って、ジャッキ手段(37)を介して、歩道に向けて下向き傾斜可能な可動フレーム(38)を取付ける傾斜構造形成工程と、
(C2)Y方向に延びるユニットフレーム(7)を前記可動フレームの上部に沿って取付金具を介して取付け固定するユニットフレーム取付工程と、
(D)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の下部を相互に下側桟部材(25)により連結し、複数の下側桟部材をY方向に間隔をあけて配設する屋根下地形成工程と、
(E)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の間において、前記下側桟部材の上に複数の屋根パネル(33)を相互にオーバラップさせた状態で敷設し、屋根パネルの側縁部(33x)を前記ユニットフレームの保持溝(15)に嵌入させる屋根材敷設工程と、
(F)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の上部を相互に上側桟部材(34)により連結し、複数の上側桟部材をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネルを保持する屋根材保持工程と、
から成ることを特徴とする歩道防護構台の構築方法。
【請求項3】
建設現場に臨む歩道に落下する落下物から歩道の通行人を保護するための防護構台の構築方法であり、歩道に沿うX方向と歩道に交差するY方向に関して、
(A)X方向に延びる足場構造体を構築し、歩道を挟む両側位置に第1足場構造体(1a)と第2足場構造体(1b)を構築する足場構築工程と、
(B)通行人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段(2)により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結し、複数の梁手段をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体(M)を構築する構台構築工程と、
(C1)前記梁手段の上部に沿ってジャッキ手段を設けた取付金具を列設し、列設された取付金具の高さが歩道に向けて下向き傾斜する傾斜ラインに沿うように整列する傾斜構造形成工程と、
(C2)Y方向に延びるユニットフレーム(7)を前記傾斜ラインに沿わせた状態で前記取付金具により取付け固定するユニットフレーム取付工程と、
(D)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の下部を相互に下側桟部材(25)により連結し、複数の下側桟部材をY方向に間隔をあけて配設する屋根下地形成工程と、
(E)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の間において、前記下側桟部材の上に複数の屋根パネル(33)を相互にオーバラップさせた状態で敷設し、屋根パネルの側縁部(33x)を前記ユニットフレームの保持溝(15)に嵌入させる屋根材敷設工程と、
(F)X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の上部を相互に上側桟部材(34)により連結し、複数の上側桟部材をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネルを保持する屋根材保持工程と、
から成ることを特徴とする歩道防護構台の構築方法。
【請求項4】
前記ユニットフレーム取付工程の後、X方向に延びる一対の端部フレーム(23)(24)により、X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の両端部を相互に連結する矩形枠形成工程が構成されており、
前記屋根材敷設工程において、屋根パネル(33)の端縁部(33y)を一対の端部フレームの溝部(26)に嵌入させるように構成して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の歩道防護構台の構築方法。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の歩道防護構台の構築方法において、
前記ユニットフレーム(7)は、断面に関して、縦壁(11)の上下端部にそれぞれ上部横壁(12)と下部横壁(13)を一体に形成し、縦壁(11)の両側に位置して上部の保持溝(15)と下部の連結溝(16)を備えた型材により構成され、前記保持溝(15)をユニットフレーム(7)の側方に向けて開口するように形成しており、
前記保持溝(15)に屋根パネル(33)の側縁部(33x)を嵌入させるように構成して成ることを特徴とする歩道防護構台の構築装置。
【請求項6】
前記連結溝(16)は、ユニットフレーム(7)の側方に向けて開口するように形成され、ユニットフレーム(7)の長手方向に間隔をあけて該連結溝(16)から突出する固定突部(20)を突設しており、
X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の相互において、相対向する固定突部(20,20)に前記下側桟部材(25)を架設するように構成して成ることを特徴とする請求項5に記載の歩道防護構台の構築装置。
【請求項7】
前記連結溝(16)は、前記保持溝(15)に向けて上向きに開口する樋溝(16a)を構成しており、ユニットフレーム(7)の長手方向に間隔をあけて該樋溝(16a)の外側の側壁(42)に固定突部(20)を突設しており、
X方向に隣り合うユニットフレーム(7,7)の相互において、相対向する固定突部(20,20)に前記下側桟部材(25)を架設するように構成して成ることを特徴とする請求項5に記載の歩道防護構台の構築装置。
【請求項8】
前記取付金具(6)は、平板部(9a)の両端に起立部(9b)を形成した上向きほぼコ字形の支持手段(9)を備え、前記起立部(9b)(9b)の間にユニットフレーム(7)の下部を嵌入自在に構成しており、
前記起立部(9b)とユニットフレーム(7)を相互に着脱自在に固定する側部固定手段(10A)を設けて成ることを特徴とする請求項5、6又は7に記載の歩道防護構台の構築装置。
【請求項9】
前記取付金具(6)は、平板部(9a)の両端に起立部(9b)を形成した上向きほぼコ字形の支持手段(9)を備え、前記起立部(9b)(9b)の間にユニットフレーム(7)の下部を嵌入自在に構成しており、
前記平板部(9a)とユニットフレーム(7)を相互に着脱自在に固定する底部固定手段(10B)を設けて成ることを特徴とする請求項5、6又は7に記載の歩道防護構台の構築装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設現場に臨む歩道の通行人を落下物から保護するための歩道防護構台の構築方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場においては、例えば、建造物を囲むようにして仮設足場が構築され、高所で工事等の作業が行われる。また、仮設足場を有しない場合でも、既設の構築物や新築中の構築物等においては、高所で作業が行われる。ところが、建設現場に歩道が臨んでいる場合、高所で作業中の工具や作業用機材その他の物品が落下するおそれがあり、歩道を往来する通行人を危険にさらすことになる。
【0003】
このため、歩道の通行人を落下物から保護するため、歩道の側部と上部を囲む歩道防護構台を構築することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-52436号公報
【特許文献2】特開2012-219615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人が従来から実施している歩道防護構台は、例えば、H型鋼やL型鋼等の鉄骨により形成した支柱を歩道の側部に間隔をあけて列設し、支柱を長尺梁により連結すると共に、支柱の上端に短尺梁を固設し、短尺梁をブレース金具で連結することにより、構台構造体を構築し、その後、短尺梁の上に、合板パネルを敷設し、屋根を形成するように構成されている。
【0006】
しかしながら、現場毎に鉄骨製の支柱や長尺梁及び短尺梁等を準備しなければならないので生産性が悪く、重量物のため現場搬入も容易でない。更に、支柱や梁は、現場においてクレーン等の重機で吊り上げながら、多数のボルト・ナットで連結固定しながら組み立てる必要があるので、作業効率が悪く、構築のために長期間を要し、その結果、極めて高いコストを招来するという問題がある。
【0007】
ところで、特許文献1には、駅工事に伴う改札口とホームを屋外でつなぐ仮設通路構造が提案され、特許文献2には、モジュール式歩行者トンネルが提案されており、簡便に構築可能な歩行者の通路が提供される。しかし、何れの構造物も強度の点に問題があり、上述のような本出願人が従来実施している鉄骨製の歩道防護構台に匹敵し得る強度を有しないので安全性を確保することができない。
【0008】
このため、本発明は、鉄骨製の歩道防護構台に匹敵する強度を有する一方において、上記のような構築の作業性やコスト等に関する種々の問題を解決した歩道防護構台の構築方法及び装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、歩道防護構台の構築方法に係る本発明の第1発明が手段として構成したところは、建設現場に臨む歩道に落下する落下物から歩道の通行人を保護するための防護構台の構築方法であり、歩道に沿うX方向と歩道に交差するY方向に関して、(A)X方向に延びる足場構造体を構築し、歩道を挟む両側位置に第1足場構造体と第2足場構造体を構築する足場構築工程と、(B)通行人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結し、複数の梁手段をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体を構築する構台構築工程と、(C)Y方向に延びるユニットフレームを前記梁手段の上部に沿って取付金具を介して取付け固定するユニットフレーム取付工程と、(D)X方向に隣り合うユニットフレームの下部を相互に下側桟部材により連結し、複数の下側桟部材をY方向に間隔をあけて配設する屋根下地形成工程と、(E)X方向に隣り合うユニットフレームの間において、前記下側桟部材の上に複数の屋根パネルを相互にオーバラップさせた状態で敷設し、屋根パネルの側縁部を前記ユニットフレームの保持溝に嵌入させる屋根材敷設工程と、(F)X方向に隣り合うユニットフレームの上部を相互に上側桟部材により連結し、複数の上側桟部材をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネルを保持する屋根材保持工程とから成る点にある。
【0010】
また、本発明の第2発明が手段として構成したところは、建設現場に臨む歩道に落下する落下物から歩道の通行人を保護するための防護構台の構築方法であり、歩道に沿うX方向と歩道に交差するY方向に関して、(A)X方向に延びる足場構造体を構築し、歩道を挟む両側位置に第1足場構造体と第2足場構造体を構築する足場構築工程と、(B)通行人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結し、複数の梁手段をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体を構築する構台構築工程と、(C1)前記梁手段の上部に沿って、ジャッキ手段を介して、Y方向に関して下向き傾斜可能な可動フレームを取付ける傾斜構造形成工程と、(C2)Y方向に延びるユニットフレームを前記可動フレームの上部に沿って取付金具を介して取付け固定するユニットフレーム取付工程と、(D)X方向に隣り合うユニットフレームの下部を相互に下側桟部材により連結し、複数の下側桟部材をY方向に間隔をあけて配設する屋根下地形成工程と、(E)X方向に隣り合うユニットフレームの間において、前記下側桟部材の上に複数の屋根パネルを相互にオーバラップさせた状態で敷設し、屋根パネルの側縁部を前記ユニットフレームの保持溝に嵌入させる屋根材敷設工程と、(F)X方向に隣り合うユニットフレームの上部を相互に上側桟部材により連結し、複数の上側桟部材をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネルを保持する屋根材保持工程とから成る点にある。
【0011】
更に、本発明の第3発明が手段として構成したところは、建設現場に臨む歩道に落下する落下物から歩道の通行人を保護するための防護構台の構築方法であり、歩道に沿うX方向と歩道に交差するY方向に関して、(A)X方向に延びる足場構造体を構築し、歩道を挟む両側位置に第1足場構造体と第2足場構造体を構築する足場構築工程と、(B)通行人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段により前記第1足場構造体と第2足場構造体を連結し、複数の梁手段をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体を構築する構台構築工程と、(C1)前記梁手段の上部に沿ってジャッキ手段を設けた取付金具を列設し、列設された取付金具の高さが歩道に向けて下向き傾斜する傾斜ラインに沿うように整列する傾斜構造形成工程と、(C2)Y方向に延びるユニットフレームを前記傾斜ラインに沿わせた状態で前記取付金具により取付け固定するユニットフレーム取付工程と、(D)X方向に隣り合うユニットフレームの下部を相互に下側桟部材により連結し、複数の下側桟部材をY方向に間隔をあけて配設する屋根下地形成工程と、(E)X方向に隣り合うユニットフレームの間において、前記下側桟部材の上に複数の屋根パネルを相互にオーバラップさせた状態で敷設し、屋根パネルの側縁部を前記ユニットフレームの保持溝に嵌入させる屋根材敷設工程と、(F)X方向に隣り合うユニットフレームの上部を相互に上側桟部材により連結し、複数の上側桟部材をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネルを保持する屋根材保持工程とから成る点にある。
【0012】
本発明方法の好ましい実施形態は、前記ユニットフレーム取付工程の後、一対の端部フレームにより、X方向に隣り合うユニットフレームの両端部を相互に連結する矩形枠形成工程が構成されており、前記屋根材敷設工程において、屋根パネルの端縁部を一対の端部フレームの溝部に嵌入させるように構成している。
【0013】
本発明装置に関して、前記構築方法において使用されるユニットフレームは、断面に関して、縦壁の上下端部にそれぞれ上部横壁と下部横壁を一体に形成し、縦壁の両側に位置して上部の保持溝と下部の連結溝を備えた型材により構成され、前記保持溝をユニットフレームの側方に向けて開口するように形成しており、前記保持溝に屋根パネルの側縁部を嵌入させるように構成されている。
【0014】
前記連結溝は、1つの実施形態においては、ユニットフレームの側方に向けて開口するように形成され、ユニットフレームの長手方向に間隔をあけて該連結溝から突出する固定突部を突設しており、X方向に隣り合うユニットフレームの相互において、相対向する固定突部に前記下側桟部材を架設するように構成している。
【0015】
また、前記連結溝は、別の実施形態においては、前記保持溝に向けて上向きに開口する樋溝を構成しており、ユニットフレームの長手方向に間隔をあけて該樋溝の外側の側壁に固定突部を突設しており、X方向に隣り合うユニットフレームの相互において、相対向する固定突部に前記下側桟部材を架設するように構成している。
【0016】
前記取付金具は、平板部の両端に起立部を形成した上向きほぼコ字形の支持手段を備え、前記起立部の間にユニットフレームの下部を嵌入自在とするように構成されている。
【0017】
そこで、前記起立部とユニットフレームを相互に着脱自在に固定する側部固定手段を設けることができ、また、前記平板部とユニットフレームを相互に着脱自在に固定する底部固定手段を設けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鉄骨製の歩道防護構台に匹敵する強度を備えることができ、しかも、構築の作業性やコスト等の点において優れた歩道防護構台の構築方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の歩道防護構台の構築方法に関して、足場構築工程により構築された第1足場構造体と第2足場構造体を示す斜視図である。
【
図2】構台構築工程により構築された構台構造体を示す斜視図である。
【
図3】ユニットフレーム取付工程と屋根下地形成工程と屋根材敷設工程と屋根材保持工程を経ることにより構築された歩道防護構台を示す斜視図である。
【
図4】足場構築工程の実施方法を示す斜視図である。
【
図5】構台構築工程に関して、足場構造体に梁手段を設けた状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1発明に係るユニットフレーム取付工程に際し、梁手段に取付金具を取付けた状態を示しており、(A)は梁手段の全体を示す斜視図、(B)は取付金具を示す斜視図である。
【
図8】第1発明のユニットフレーム取付工程に関して、(A)は梁手段にユニットフレームを取付け中の状態を示す斜視図、(B)はユニットフレームの側面図、(C)はA-A断面図である。
【
図9】第1発明に関して、梁手段に設けた取付金具とユニットフレームを分離状態で示す斜視図である。
【
図10】構台構築物にユニットフレーム取付工程と矩形枠形成工程と屋根下地形成工程が実施された状態を示す斜視図である。
【
図11】一対の端部フレームと下側桟部材を示す斜視図である。
【
図12】構台の基端側におけるユニットフレームと端部フレームの連結部を示す斜視図である。
【
図13】構台の先端側におけるユニットフレームと端部フレームの連結部を示す斜視図である。
【
図15】構台の先端側において屋根材が支持された状態を示す斜視図である。
【
図18】構台の先端側において屋根材が保持された状態を示す斜視図である。
【
図19】本発明の第2発明に関して、傾斜構造形成工程を示しており、(A)は梁手段に可動フレームを取付けた状態を示す斜視図、(B)はジャッキ手段を示す斜視図である。
【
図20】第2発明において、可動フレームに対するユニットフレーム取付工程に際し、可動フレームに取付金具を取付けた状態を示しており、(A)は可動フレームの全体を示す斜視図、(B)は取付金具を示す斜視図である。
【
図21】本発明の第3発明に関して、ジャッキ手段を設けた取付金具を梁手段の上部に臨ませた状態を示す斜視図である。
【
図22】第3発明に関して、(A)は傾斜構造形成工程とユニットフレーム取付工程を示す斜視図、(B)はジャッキ手段を設けた取付金具を示す斜視図である。
【
図23】第3発明におけるユニットフレームの斜視図である。
【
図24】第3発明におけるユニットフレームの断面図である。
【
図25】第3発明に関して、取付金具とユニットフレームを相互に固定する側部固定手段及び底部固定手段を示す断面図である。
【
図27】第3発明に関して、(A)は取付金具にユニットフレームが取付け固定された状態を示す斜視図、(B)はユニットフレームを破断した状態を示す斜視図である。
【
図28】第3発明の底部固定手段に関して、(A)(B)はそれぞれ固定前の状態を示す斜視図及び横断面図、(C)(D)はそれぞれ固定した状態を示す斜視図及び横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0021】
図1ないし
図18は、本発明の第1発明に関して、足場構築工程から屋根材保持工程までの全ての工程を含む歩道防護構台の構築方法と、構築方法を実施するための構築装置を示している。
【0022】
これに対して、
図19及び
図20は、本発明の第2発明に関して、傾動構造形成工程とユニットフレーム取付工程と、これらの工程を実施するための装置を示している。
【0023】
そして、
図21ないし
図28は、本発明の第3発明に関して、傾動構造形成工程とユニットフレーム取付工程と、これらの工程を実施するための装置を示しており、更に、ユニットフレームの別の実施形態と、側部固定手段の別の実施形態と、底部固定手段の実施形態を示している。
【0024】
(第1発明)
図1に示すように、建設現場Wに歩道Pが臨んでいる環境において、歩道に沿うX方向と、これに交差するY方向に関して、歩道Pを挟む両側位置に、それぞれX方向に延びる第1足場構造体1aと第2足場構造体1bが構築される(足場構築工程)。通常は、建設現場Wの敷地内に第1足場構造体1aが構築され、これに対向する歩道の片側に第2足場構造体1bが構築されるが、これに限定されるものではない。
【0025】
以下、説明の便宜上、Y方向のうち、建設現場Wに向かう方向を基端方向Y1、その反対に向かう方向を先端方向Y2とし、基端側の足場構造体を第1足場構造体1a、先端側の足場構造体を第2足場構造体1bとして説明する。
【0026】
前記第1足場構造体1aと第2足場構造体1bは、
図2に示すように、歩道Wにおける人の往来を妨げない高さ位置において、Y方向に延びる梁手段2により連結され、複数の梁手段2、2をX方向に間隔をあけて配設することにより構台構造体Mが構築される(構台構築工程)。
その後、後述するユニットフレーム取付工程、屋根下地形成工程、屋根材敷設工程、屋根材保持工程等が実施され、これにより、
図3に示すような目的物とされた歩道防護構台Nが構築され完成する。
【0027】
図示のように、歩道防護構台Nは、多数のフレーム部材による骨組により高強度の剛体構造を構成している。歩道を往来する通行人の頭上を覆う天蓋Naは、後述するように、梁枠体の上でユニットフレームと該ユニットフレームに連結一体化された桟部材により屋根パネルを固定支持することにより構成されているので、落下物が重量物であっても、天蓋Naを通過させることはなく、歩道に落下することを確実に阻止することが可能である。しかも、第1足場構造体1aと第2足場構造体1bにより骨組みタワー構造体Nb、Nbが提供され、その上に天蓋Naが支持されているので、全体として高剛性の構築物が構成されており、台風等の暴風雨その他に遭遇した場合においても、通行人の安全を確保する避難場所として利用することが可能である。
【0028】
(足場構築工程)
図4に示すように、第1足場構造体1a及び第2足場構造体1bは、建築現場等で汎用されている仮設足場を利用することにより形成されている。図例の場合、Y方向に離間配置された2本の支柱3a、3bを1組とする支柱体3をX方向に間隔をあけて列設すると共に、隣り合う支柱体3、3を相互に足場板4aを含む連結手段4を介して連結することにより構築されている。
【0029】
その結果、足場構造体1a、1bは、
図1に示すような剛性の高い骨組みタワー構造体Nb、Nbを構成する。しかも、仮設足場と同様に、以後の構築作業のための作業床を提供する。尚、図例の場合、楔緊結式足場を図示しているが、枠組足場を採用しても良い。
【0030】
(構台構築工程)
第1足場構造体1aと第2足場構造体1bは、梁手段2で連結することにより、構台構造体Mを構成する。この際、梁手段2は、
図5及び
図6に示すように、鋼管等のパイプ材により枠組みされた梁枠体5により形成されている。
【0031】
梁枠体5は、長尺の専用梁枠体5Mと、短尺の延長用梁枠体5Sにより構成することが好ましく、図示のように、専用梁枠体5Mに延長用梁枠体5Sを連結することにより、梁枠体5の全長を延長可能とするように構成されており、これにより、歩道Pの幅員に対応する間隔をあけて構築された第1足場構造体1aと第2足場構造体1bを相互に好適に連結することが可能である。
【0032】
図例の場合、専用梁枠体5Mと延長用梁枠体5Sの連結構造は、仮設足場に使用されているフランジ式の楔緊結手段が採用されているが、これに限定されるものではない。
【0033】
(ユニットフレーム取付工程)
図7ないし
図9に示すように、構台構造体Mを構築した梁手段2の上部、つまり、梁枠体5の上部枠5aには、該上部枠に沿って取付金具6が設けられ、該取付金具6を介してY方向に延びるユニットフレーム7が取付け固定される。
【0034】
図7に示すように、取付金具6は、梁枠体5の上部枠5aを掴持することにより締結するクランプ手段8と、該クランプ手段8の上に縦軸廻りに回動自在に装着された支持手段9を備えている。
【0035】
前記支持手段9は、平板部9aの両端に起立部9b、9bを折曲形成することにより、上向きほぼコ字形に形成されており、前記起立部9b、9bを貫通するピン孔9cを設けている。
【0036】
ユニットフレーム7は、アルミニウム等の金属素材により押出成形された型材により構成されており、
図8(B)(C)及び
図9に示すように、断面に関して、縦壁11の上下端部と中間部にそれぞれ上部横壁12と下部横壁13と中間横壁14を交差するように一体形成することにより、縦壁11の両側に上部の保持溝15と下部の連結溝16を備え、保持溝15及び連結溝16を側方に開口させており、断面ほぼ王字形の形状に形成されている。
【0037】
前記縦壁11は、連結溝16の溝底の部位において、ユニットフレーム7の長手方向に延びる長孔から成る係止孔17を開設しており、多数の係止孔17をユニットフレーム7の長手方向に間隔をあけて列設している。
【0038】
取付金具6とユニットフレーム7は、相互に、ユニットフレーム7における下部横壁13が取付金具6におけるほぼコ字形の支持手段9に嵌入される形状寸法のものとして形成されており、嵌入状態において、取付金具6における支持手段9のピン孔9cと、ユニットフレーム7における縦壁11の係止孔17に対して、係止ピン18を挿通させることにより、ユニットフレーム7を支持手段9により固定支持する側部固定手段10Aが構成されている。
【0039】
これにより、
図8(A)に示すように、梁枠体5の上部枠5aのほぼ全長にわたり、取付金具6を介して、ユニットフレーム7が取付け固定される。
【0040】
(ユニットフレーム)
図8及び
図9に示すように、ユニットフレーム7は、基端方向Y1に配置される長尺の専用ユニットフレーム7Mと、先端方向Y2に配置される短尺の延長用ユニットフレーム7Sを継ぎ合せて延長することにより、全体として、梁枠体5の上部枠5aのほぼ全長にわたり取付け固定されるように構成されている。
【0041】
このため、専用ユニットフレーム7Mと延長用ユニットフレーム7Sの接合端部を連結する継手手段が設けられている。継手手段は、何れか一方のフレーム7に突設した継手部材19を他方のフレーム7の連結溝16に挿着するように構成されている。図示実施形態の場合、
図9に示すように、一方のフレーム7Sには、縦壁11の両側の連結溝16、16に固着された一対の継手部材19、19が該フレーム7Sの端部から突出させられており、この継手部材19、19を他方のフレーム7Mの連結溝16、16に挿入して縦壁11を挟持させると共に、継手部材19と縦壁11の間で連通する係止孔19a、11aにピン(図示せず)を挿着するように構成している。
【0042】
ユニットフレーム7は、他の部材との間においてユニット化を可能とする多目的機能を備えている。上述のように、下部横壁13は、連結溝16の溝底の係止孔17と協働することにより、取付金具6に固定支持される機能がある。また、連結溝16は、後述する屋根下地形成工程において下側桟部材の外挿金具を連結する機能があり、連結のためのプラグ手段を構成する固定突部20が連結溝16の内部の固定部から連結溝16の外部に突出させられている。
【0043】
また、ユニットフレーム7の保持溝15は、後述する屋根材敷設工程において屋根パネルの側縁部を嵌入させる機能を有している。更に、上部横壁12は、後述する屋根材保持工程において上側桟部材を連結させる機能を有しており、前記固定突部20の上方に位置して、上部横壁12の両側部のうち、一側部にソケット部材21を設け、他側部に取着金具22を設けている。ソケット部材21は、上部横壁12の上に角筒状の挿入空間を形成する。取着金具22は、上部を開放した2枚の板部を備え、該板部を貫通する孔22aを設けている。
【0044】
(矩形枠形成工程と屋根下地形成工程)
前記ユニットフレーム取付工程において構台構造体Mにユニットフレーム7を取付けた後、
図10に示すように、X方向に隣り合うユニットフレーム7、7の両端部のうち、基端方向Y1の端部を相互に第1端部フレーム23により連結すると共に、先端方向Y2の端部を相互に第2端部フレーム24により連結し、これにより、全体として矩形枠が形成される(矩形枠形成工程)。
【0045】
また、端部フレーム23、24の間に位置して、X方向に隣り合うユニットフレーム7、7の下部は、前記連結溝16に設けた固定突部20を介して、相互に下側桟部材25により連結され、複数の下側桟部材25がY方向に間隔をあけて配設される(屋根下地形成工程)。
【0046】
図11に示すように、第1端部フレーム23及び第2端部フレーム24は、溝部26を有する長尺の型材27により形成されており、型材27の両端部に位置して溝部26の反対側に、横向きのほぼコ字形に形成された固定金具28を固着し、固定金具28に係止ピン29を設けている。第1端部フレーム23及び第2端部フレーム24は、同一構成とされているが、対称に向き合うように配置され、相互に溝部26が対向させられる。
【0047】
図11に示すように、下側桟部材25は、角パイプ材により形成されており、両端部に横向きのほぼコ字形に形成された外挿金具30を固着し、外挿金具30の上下に舌片31、31を延設すると共に、係止ピン32を設けている。
【0048】
端部フレーム23、24及び下側桟部材25と、ユニットフレーム7の連結部分に関して、ユニットフレーム7の基端方向Y1の端部を
図12に示し、先端方向Y2の端部を
図13に示している。
【0049】
図12及び
図13に示すように、端部フレーム23、24は、固定金具28と共に型材27の端部がユニットフレーム7の保持溝15に嵌入される。嵌入時に持ち上げられた係止ピン29を嵌入後に下降させることにより、ユニットフレーム7の上部横壁12に形成された孔12aと、固定金具28に形成された孔28a(
図11参照)に係止ピン29を挿通させ、相互に係止固定される。
【0050】
下側桟部材25は、外挿金具31をユニットフレーム7の固定突部20に外挿させ、舌片31、31により固定突部20を上下から挟持した状態で、舌片31、31に形成された孔31a(
図11参照)と、固定突部20に形成された孔20a(
図9参照)に係止ピン32を挿通させ、相互に係止固定される。
【0051】
(屋根材敷設工程)
引き続き、
図14に示すように、X方向に隣り合うユニットフレーム7、7の間において、前記下側桟部材25の上に複数の屋根パネル33がX方向及びY方向に相互にオーバラップさせた状態で敷設される(屋根材敷設工程)。
【0052】
屋根パネル33は、樹脂製の波板を使用することができるが、FRPその他の強化樹脂により形成することが好ましく、屋根材敷設工程により、
図15に示すように、屋根パネル33のX方向の側縁部33xをユニットフレーム7の保持溝15に嵌入させられ、Y方向の端縁部33yを端部フレーム23、24の溝部26に嵌入させられる。
【0053】
(屋根材保持工程)
その後、敷設された屋根パネル33の上で、X方向に隣り合うユニットフレーム7、7の上部を相互に上側桟部材34により連結し、複数の上側桟部材34をY方向に間隔をあけて配置することにより屋根パネル33を保持する(屋根材保持工程)。
【0054】
上側桟部材34は、
図17に示すように、角パイプ材により形成されており、両端部にそれぞれ第1挿入片34aと第2挿入片34bを突設しており、第1挿入片34aに係止ピン35を設けており、前記角パイプ材の下面に金属板をV形に折曲形成した押え片36を固着している。この際、2個の押え片36、36を1組として、それぞれ上側桟部材34の両端近傍部に配置し、1組の押え片36、36が屋根パネル33の波形谷部の両側の傾斜面33a、33aに沿わされるように構成することが好ましい。
【0055】
上側桟部材34の取付けに際して、
図18に示すように、X方向に隣り合うユニットフレーム7、7は、相互に、ソケット部材21と取着金具22を対向して配置させた状態で設置されている。そこで、上側桟部材34は、先ず、第2挿入片34bを一方のユニットフレーム7(図示下側のユニットフレーム)のソケット部材21に挿入し、次いで、第1挿入片34aを他方のユニットフレーム7(図示上側のユニットフレーム)の取着金具22の2枚の板部の間に嵌入すると共に、第1挿入片34aの孔34c(
図17参照)と取着金具22の孔22a(
図9参照)に係止ピン35を挿通することにより係止固定する。
【0056】
上述のように、下側桟部材25を連結固定する固定突部20と、上側桟部材25を連結固定するソケット部材21及び取着金具22は、上下に対応して配置されているので、屋根パネル33は、下側桟部材25と上側桟部材34により挟持される。この際、上側桟部材34は、押え片36により屋根パネル33の波形斜面を好適に保持する。
【0057】
(歩道防護構台)
以上の工程を経て、
図3に示す歩道防護構台Nの構築が完了する。骨組みタワー構造体Nbを提供する第1足場構造体1a及び第2足場構造体1bは、従来公知の仮設足場の構築方法を踏襲することにより、簡単容易に構築することができる。
【0058】
そして、第1足場構造体1aと第2足場構造体1bに梁枠体5を架設する構台構築工程により構台構造体Mを構築し、ユニットフレーム取付工程によりユニットフレーム7を取付けた後は、専らユニットフレーム7を中心として、端部フレーム23、24の配設(矩形枠形成工程)と、下側桟部材25の配設(屋根下地形成工程)と、屋根パネル33の敷設(屋根材敷設工程)と、上側桟部材34の配設(屋根材保持工程)を実施することができるので作業効率が良く、構築費用が安価である。
【0059】
しかも、それぞれの部材(端部フレーム23、24、下側桟部材25、屋根パネル33、上側桟部材34)は、全て、ユニットフレーム7に組付けてユニット化されるように構成されているので、部材の生産効率が良く、製造原価も安価であり、更に、構築時及び解体時における部材の管理も容易である。
【0060】
(第2発明)
図19及び
図20は、本発明の第2発明における一部の工程を示している。
【0061】
上述の通り、第1発明の場合は、(A)足場構築工程、(B)構台構築工程、(C)ユニットフレーム取付工程、(D)屋根下地形成工程、(E)屋根材敷設工程、(F)屋根材保持工程により構成されているが、第2発明は、(B)構台構築工程と(D)屋根下地形成工程の間において、(C1)傾斜構造形成工程と、(C2)ユニットフレーム取付工程を構成しており、この点において第1発明と相違している。
【0062】
即ち、第2発明の場合、構台構築工程により構台構造体Mを構築した後、梁枠体5の上部枠5aに沿って、ジャッキ手段37を介して、Y方向に関して下向き傾斜可能な可動フレーム38が取付けられ(傾斜構造形成工程)、引き続き、前記可動フレーム38の上部に沿って、取付金具6を介して、Y方向に延びるユニットフレーム7が取付け固定される(ユニットフレーム取付工程)。その後に実施される屋根下地形成工程と、屋根材敷設工程と、屋根材保持工程は、上述した第1発明の実施形態と同様である。
【0063】
(傾斜構造形成工程)
図19に示すように、梁枠体5の上部枠5aの長手方向に間隔をあけて固設された縦枠5bの上部開口を利用することにより、ジャッキ手段37が列設されており、ジャッキ手段37に可動フレーム38が取付けられる(傾斜構造形成工程)。
【0064】
ジャッキ手段37は、
図19(B)に示すように、ボルト軸にナットを螺合したジャッキ部37aと、前記ボルト軸の上部に設けられたクランプ手段37bを備えており、ナットを貫通して下向きに挿出されたボルト軸の下端部を縦枠5bの上部開口に挿入すると共に、ナットを該上部開口の開口縁に載置することにより取付けられる。そこで、可動フレーム38は、列設されたジャッキ手段37のクランプ手段37bに掴持され締結されることにより取付けられる。
【0065】
ジャッキ手段37のナットを回転するとボルト軸が上下方向に螺動してクランプ手段37bを昇降するので、列設されたジャッキ手段37の高さを調整することにより、上部枠5aの軸線L1に対して可動フレーム38の軸線L2を所定角度θとなるように傾斜させることができる。
【0066】
これにより、
図19(A)に示すように、可動フレーム38は、Y方向のうち先端方向Y2に向けて下向き傾斜させることができ、その傾斜角度θは、その後に敷設される屋根パネル33の屋根勾配を構成し、雨水の流下を可能にする。因みに、ジャッキ手段37を列設した構成によれば、図示とは反対の傾斜方向、つまり、基端方向Y1に向けて下向き傾斜させることも可能であり、歩道Pの周辺条件に応じて自在に選択することができる。
【0067】
(ユニットフレーム取付工程)
第2発明においては、当然のことながら、ユニットフレーム7は、
図20に示すように、梁枠体5の上部枠5aではなく、可動フレーム38に対して、取付金具6を介して、取付け固定される(ユニットフレーム取付工程)。
【0068】
取付金具6及びユニットフレーム7の構成は、上述した第1発明の場合と同様であるから、説明を省略する。
【0069】
(第3発明)
図21ないし
図28は、本発明の第3発明における一部の工程を示している。
【0070】
上述の通り、第1発明の場合は、(A)足場構築工程、(B)構台構築工程、(C)ユニットフレーム取付工程、(D)屋根下地形成工程、(E)屋根材敷設工程、(F)屋根材保持工程により構成されているが、第3発明は、(B)構台構築工程と(D)屋根下地形成工程の間において、(C1)傾斜構造形成工程と、(C2)ユニットフレーム取付工程を構成しており、この点において第1発明と相違している。
【0071】
即ち、第3発明の場合、構台構築工程により構台構造体Mを構築した後、梁枠体5の上部に沿ってジャッキ手段37を設けた取付金具6を列設し、列設された取付金具6の高さが歩道に向けて下向き傾斜する傾斜ラインL3に沿うように整列し(傾斜構造形成工程)、その状態で、Y方向に延びるユニットフレーム7が前記傾斜ラインL3に沿わされた姿勢として取付金具6により取付け固定される(ユニットフレーム取付工程)。
【0072】
従って、第3発明の傾斜構造形成工程においては、第2発明のような可動フレーム38は使用されず、ジャッキ手段37と取付金具6を一体化した装置が使用される。
【0073】
尚、ユニットフレーム取付工程の後に実施される屋根下地形成工程と、屋根材敷設工程と、屋根材保持工程は、上述した第1発明の実施形態と同様である。
【0074】
図22(B)に示すように、ジャッキ手段37は、ボルト軸にナットを螺合したジャッキ部37aにより構成され、ボルト軸の上端部に取付金具6を横軸Rの廻りに回動自在かつ固定自在となるように設けている(
図25)。取付金具6は、平板部9aの両端に起立部9b、9bを折曲形成することにより、上向きほぼコ字形に形成された支持手段9により構成されている。
【0075】
(傾斜構造形成工程)
図21及び
図22(A)に示すように、取付金具6を備えたジャッキ手段37は、ナットを貫通して下向きに挿出されたボルト軸の下端部を梁枠体5の縦枠5bの上部開口に挿入し、ナットを該上部開口の開口縁に載置することにより設置される。この際、図示のように、梁枠体5における全ての縦枠5bの上部を開口するように形成し、所望の開口を選択することによりジャッキ手段37を任意の位置に設置できるように構成することが好ましい。
【0076】
この状態で、ジャッキ手段37のナットを回転するとボルト軸が上下方向に螺動して取付金具6を昇降するので、列設されたジャッキ手段37の高さを調整することにより、列設された取付金具6の高さが歩道に向けて所定角度θで下向き傾斜する傾斜ラインL3に沿うように整列させられる(傾斜構造形成工程)。この際、取付金具6は、ジャッキ手段37の上で前記横軸Rの廻りに回動姿勢を調節された状態で固定され、平板部9aを前記傾斜ラインL3に沿わせられる。
【0077】
(ユニットフレーム取付工程)
そこで、ユニットフレーム7は、Y方向に向けられて前記傾斜ラインL3に沿わせた状態で取付金具6に搭載することにより取付け固定される(ユニットフレーム取付工程)。これにより、ユニットフレーム7は、Y方向のうち先端方向Y2に向けて下向き傾斜させられ、その傾斜角度θは、その後に敷設される屋根パネル33の屋根勾配を構成することにより、雨水の流下を可能にする。尚、ジャッキ手段37の構成によれば、図示とは反対の傾斜方向、つまり、基端方向Y1に向けて下向き傾斜させることも可能であり、歩道Pの周辺条件に応じて自在に選択することができる。
【0078】
(ユニットフレームに関する別の実施形態)
図23及び
図24は、ユニットフレーム7の別の実施形態を示している。ユニットフレーム7は、アルミニウム等の金属素材により押出成形された型材により構成されており、断面に関して、縦壁11の上下端部にそれぞれ上部横壁12と下部横壁13を一体形成し、縦壁11の両側に上部の保持溝15と下部の連結溝16を備え、保持溝15を側方に開口させており、この点は第1発明について上述した構成と同様であるが、次の点において第1発明とは異なる特徴を有している。
【0079】
縦壁11は、下端近傍において保持溝15に臨む段壁39を介して左右に分岐する分岐壁40、40を構成し、分岐壁40、40の間に位置して下向きに開口する係止溝41を形成している。
【0080】
前記分岐壁40、40の下端から下部横壁13、13を横向きに延設することにより形成される連結溝16は、下部横壁13の端部から側壁42を立設することにより、該側壁42と分岐壁40の間に樋溝16aを形成しており、該樋溝16aを保持溝15に向けて上向きに開口させている。尚、側壁42の上端には、内向きのリブ状壁42aを形成することが好ましい。
【0081】
このような樋溝16aを形成することにより、
図24に図示鎖線で示すように、屋根パネル33の側縁部33xを保持溝15に嵌入した状態において、側縁部33xから溢れる雨水は、樋溝16aにより好適に受取られ、該樋溝16aに沿って前記傾斜角度θとされた下り勾配により排水される。
【0082】
更に、樋溝16aは、
図23に示すように、専用ユニットフレーム7Mと延長用ユニットフレーム7Sの接合端部を連結する継手手段を形成するために資することができる。継手部材19は、一方のフレーム7の樋溝16aに差し込み固着することにより、該フレーム7に簡単容易に突設することができる。そして、継手部材19を他方のフレーム7の樋溝16aに挿着することにより、該継手部材19と樋溝16aをガタツキのない状態で好適に連結することができる。この際、継手部材19は、図示のような溝形部材により形成されており、樋溝16aの排水流路を塞がないように構成されている。
【0083】
第1発明に関して上述した屋根下地形成工程を実施するため、つまり、隣り合うユニットフレーム7、7の下部を相互に下側桟部材25により連結可能とするために、ユニットフレーム7は、前記側壁42にプラグ手段としての固定突部20を固着しており、該固定突部20に上述のような下側桟部材25の外挿金具30を連結するように構成している。
【0084】
(側部固定手段に関する別の実施形態)
取付金具6における支持手段9の起立部9bとユニットフレーム7を相互に着脱自在に固定する側部固定手段10Aは、
図22(B)並びに
図25及び
図26に示す実施形態の場合は、起立部9bの外側から内側に向けて貫通する押動ボルト43により構成している。押動ボルト43は、起立部9bの外側面に固着されたナット44に螺挿されており、起立部9b、9bの間にユニットフレーム7の下部を嵌入した状態で、押動ボルト43の先端を前記側壁42に圧接することにより、起立部9bと側壁42を相互に固定する。
【0085】
(底部固定手段)
ユニットフレーム7に係止溝41を形成した構成によれば、取付金具6における平板部9aと該係止溝41を相互に着脱自在に固定する底部固定手段10Bを設けることが可能となる。
【0086】
図24及び
図28(B)に示すように、ユニットフレーム7の係止溝41は、下向き開口部の両縁部から内向きにリップ41aを突設することにより開口幅を狭窄するように形成され、係止溝41の内部の溝幅W2に対して開口幅W1をW2>W1とするように形成している。従って、リップ41aにより、係止溝41の内部に係止段部41bが形成されている。
【0087】
これに対して、取付金具6における支持手段9は、ユニットフレーム7を支持した状態で、前記係止溝41に連通させられる挿通孔45を平板部9aに開設している。挿通孔45は、係止溝41の長手方向に延びる長孔により形成されており、
図28(D)に示すように、長孔の長手方向の寸法W3をW3>W2とするように形成され、短手方向の寸法W4をW4≧W1とするように形成されている。
【0088】
このように形成された挿通孔45と係止溝41に対して、挿脱自在に係止する頭部47を備えた固定ボルト46が設けられ、これにより底部固定手段10Bが構成されている。
【0089】
固定ボルト46の頭部47は、
図28(B)に示すように、平面視が概ね長方形とされた形状に関して、対角線上に位置する一対の角部を切除した形状とされ、長手方向の寸法W5をW2≧W5>W1とするように形成され、短手方向の寸法W6をW1≧W6とするように形成されている。
【0090】
このような構成によれば、取付金具6の支持手段9の上にユニットフレーム7を搭載し、前記係止溝41の開口部と平板部9aの挿通孔45を合致して連通させた状態で、
図28(A)(B)に示すように、平板部9aの下方から固定ボルト46の頭部47を係止溝41の内部に挿入し、その後、
図28(C)(D)に示すように、固定ボルト46をほぼ90度回動させると、頭部47が係止段部41bに対して抜け止め係止する。そこで、この状態から、固定ボルト46のネジ軸部48にナット49を螺着することにより、ユニットフレーム7の底部を支持手段9の平板部9aに締結することができる。
【符号の説明】
【0091】
W 建設現場
P 歩道
M 構台構造体
N 歩道防護構台
Na 天蓋
Nb 骨組みタワー構造体
1a 第1足場構造体
1b 第2足場構造体
2 梁手段
3 支柱体
3a、3b 支柱
4 連結手段
4a 足場板
5 梁枠体
5M 専用梁枠体
5S 延長用梁枠体
5a 上部枠
5b 縦枠
6 取付金具
7 ユニットフレーム
7M 専用ユニットフレーム
7S 延長用ユニットフレーム
8 クランプ手段
9 支持手段
9a 平板部
9b 起立部
9c ピン孔
10A 側部固定手段
10B 底部固定手段
11 縦壁
11a 係止孔
12 上部横壁
12a 孔
13 下部横壁
14 中間横壁
15 保持溝
16 連結溝
16a 樋溝
17 係止孔
18 係止ピン
19 継手部材
19a 係止孔
20 固定突部
21 ソケット部材
22 取着金具
22a 孔
23 第1端部フレーム
24 第2端部フレーム
25 下側桟部材
26 溝部
27 型材
28 固定金具
28a 孔
29 係止ピン
30 外挿金具
31 舌片
31a 孔
32 係止ピン
33 屋根パネル
33x 側縁部
33y 端縁部
33a 傾斜面
34 上側桟部材
34a、34b 挿入片
34c 孔
35 係止ピン
36 押え片
37 ジャッキ手段
37a ジャッキ部
37b クランプ手段
38 可動フレーム
39 段壁
40 分岐壁
41 係止溝
41a リップ
41b 係止段部
42 側壁
42a リブ状壁
43 押動ボルト
44 ナット
45 挿通孔
46 固定ボルト
47 頭部
48 ネジ軸部
49 ナット